TopicPath: Winning Eleven Blog - No Football, No Life / Football / EURO2008

EURO2008のまとめ

Date
June 30, 2008 9:00 PM
Category
EURO2008
■大会開幕前予想
■本大会日程及び結果
グループA
開催日 試合カード 予想
6/7 Swiss 0 - 1 Czech ×
6/7 Portugal 2 - 0 Turkey
6/11 Czech 1 - 3 Portugal
6/11 Swiss 1 - 2 Turkey ×
6/15 Swiss 2 - 0 Portugal ×
6/15 Turkey 3 - 2 Czech ×
グループB
開催日 試合カード 予想
6/8 Austria 0 - 1 Croatia
6/8 Germany 2 - 0 Poland
6/12 Croatia 2 - 1 Germany ×
6/12 Austria 1 - 1 Poland ×
6/16 Poland 0 - 1 Croatia ×
6/16 Austria 0 - 1 Germany
グループC
開催日 試合カード 予想
6/9 Romania 0 - 0 France ×
6/9 Netherlands 3 - 0 Italy ×
6/13 Italy 1 - 1 Romania ×
6/13 Netherlands 4 - 1 France
6/17 France 0 - 2 Italy ×
6/17 Netherlands 2 - 0 Romania ×
グループD
開催日 試合カード 予想
6/10 Spain 4 - 1 Russia ×
6/10 Greece 0 - 2 Sweden
6/14 Sweden 1 - 2 Spain
6/14 Greece 0 - 1 Russia
6/18 Greece 1 - 2 Spain
6/18 Russia 2 - 0 Sweden ×
準々決勝
開催日 試合カード
6/19 Portugal 2 - 3 Germany
6/20 Croatia 1 - 1
PK1-3
Turkey
6/21 Netherlands 1 - 3 Russia
6/22 Spain 0 - 0
PK4-2
Italy
準決勝
開催日 試合カード
6/25 Germany 3 - 2 Turkey
6/26 Russia 0 - 3 Spain
決勝
開催日 試合カード
6/29 Germany 0 - 1 Spain
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ドイツ対スペイン / 決勝

Date
June 30, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Germany 0 - 1 Spain
ドイツの立ち上がりはよく、スペインの立ち上がりには堅さがあった。その隙をドイツは積極的に狙い、特に攻撃に多くの特徴を持つ左サイドから攻める事が多く、ラームとポドルスキの部分へさらにヒツルスベルガーやバラック、右から流れてきたシュバインシュタイガーが使うなど、全体を左側へ寄せ、スペインのバランスを崩すことに成功していました。右サイドのスペースをカバーしなければならないセルヒオ・ラモスを前に吊り出して面のスペースを突いていたんですが、そのケアの多くをプジョルがしなければならず、中に人数をかけることが出来ていれば、そしてドイツがクロスを上げるところまで持っていけていれば多くのことが動いていたのかもしれません。ただプジョルのカバーが的確で、二度ほど周囲との連携からサイドからのクロスをケアしきれない場面がありましたが、それ以外に彼のプレイを否定すべき要素はありませんでした。それもドイツがサイドからの攻撃を成功させられなかったようその一つ。
それと立ち上がりの部分では、本来なら中盤でスペースを埋めながら特定の選手を抑えきるマルコス・セナが、入ってくる人数の多さと多用さに誰一人捕まえきれない状況を作らされていましたから、大きなチャンスだった。そこで勝負を決めにかかるほどドイツは焦っていませんでしたし、様子を見なければならない時間帯で勝負のタイミングが訪れてしまったことが大きな不幸でした。それ以後のドイツに明確な形が出来なかったのは、左のポドルスキが、もともと運動量が多くなく死から消えがちな選手だとはいえ、今まで以上に完全に試合から消えてしまって役に立たなかったことが多少なりとも影響しています。その分左のシュバインシュタイガーが多くのポジションチェンジとチェイシングをしながら試合に絡み続けていたのが印象的であると同時に、後半になって運動量を落とす原因になってしまっていました。
ヨアヒム・レーブがこの大会で評価を落としていると何度か書いてますが、この辺のポドルスキへの固執というか、思考の硬直っぷりが駄目なんですね。もうちょっと思い切った采配を出来る監督だったはずが本大会になって状況の見極めを誤るようになったのはとても大きい。逆にスペインのアラゴネス監督の采配が予想の範疇にあったとしても、その外にあったとしても、重要な駒をいとも簡単に目的のために外せる、その決断力の差もまた勝負を分けた一つの要因でしょう。

スペインは押し込まれる時間を多く迎えながら主な戦い方をポゼッションではなくカウンターに絞ることで対処していました。特にカウンターの場面でフェルナンド・トーレスにポストプレイをさせて押し上げをさせるのではなく、裏へ抜け出すことに徹底させたお陰でドイツに裏の意識を植え付けることでディフェンスラインを押し下げることに成功し、前半の得点と合わせて間延びした状況を作り出し、徐々に自分たちのペースに持っていけていました。そのしたたかさと共にドイツを苦しめたのは、ドイツがポルトガル戦と似たように中央を固め、サイドに比較的スペースを多く空けているようにしたため、イニエスタを中心としてドリブルを仕掛けることが出来るようになっていたことですね。ポルトガルのそれと違うのは、ドリブルが常にゴールの方向を向いたもので、クロスではなくグラウンダーでの勝負を使用というもので、抜ききる必要もクロスを上げることもパスを通す必要もなかったこと。スペイン側の意図としてコーナーキックでも構わないという意識があったからこそ、ドイツは中央を固めた守備でパスをカットしてカウンターに移行するというプランを実行できず、スペインのカウンター時に多く見られた逆サイドへ展開するボールの多さに振られてしまうことも増えて、組織だった守備を持続するのが難しくなっていました。そういったことの積み重ねがリードしたあと、特に後半の残り時間が少なくってきたあとの焦りを生み出させる攻撃の布石になっていましたね。

一点目であり決勝点のあの場面に焦点を絞るとすれば、あの一点を決定づけたのはフェルナンド・トーレスのスピードであり決定力なんですが、彼よりも決定的だったのは、ドイツの守備が二つのラインで成り立っていることを熟知していたシャビが、ディフェンスラインと中盤のラインのちょうど真ん中に出来るスペースに飛び込んだことでしょう。あの一瞬は中盤はまだディフェンスラインに吸収されておらず、前への意識も持っている状態だった。ディフェンスラインは裏への意識があって、さらにそれまでスペインが後方でのボール回しに終始していたことから前への意識をそがれていた。その意識のずれのまっただ中へ飛び出して、そこにきっちりとパスが出てくる意識の統一が素晴らしく、そこからのパスも本当にドイツにとって致命的な位置へ送り出している凄さ。ああ、もう、本当に凄い。感嘆しかでてきませんヨ。

スペインに訪れた戴冠の日を喜びながら、またもシルバーメダルに留まった彼の姿に涙しそうになった。うん、まぁ、スペインもドイツも好きなんだけど、レバークーゼン時代からバラックはアイドルだったし、比較をするならドイツ代表の方がスペイン代表よりも好きなんだ。スペインは代表よりもバルセロナの方が好きで二の次なんて思っていたけど、代表選手たちにもあったその意識がこの大会ではまるで感じられないくらいに一体になっていて、それが優勝の原動力なのかもしれない。


続きを読む


  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ベスト11と最優秀選手を勝手に選出

Date
June 29, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008

本物の最優秀選手はEUROの場合は決勝終了後でしたよね。それよりも一歩先に勝手に選出してしまおうという記事です。もちろん決勝の前に書いていますから活躍は含まれませんし、決勝でどの選手がどれだけの活躍をして最優秀選手に選出されるかも知りません。これは予想ではなく、自分が勝手に印象度で選出しただけで、最優秀選手に重きを置いているよりもベスト11の選考の方がメインです。さらに個人的趣向に思いっきり偏っていますのでご了承ください。

続きを読む


  • Comments (Close) : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ロシア対スペイン / 準決勝2

Date
June 27, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Russia 0 - 3 Spain
この大会のロシアが多くの試合でしていたような高い位置からの激しいプレッシングから攻撃に移るスタイルが出来なかったのは、前半からロシアがそれをする意図がなかったからではなく、スペインがそれを上手くかわしていたからなんです。スペインは前半の早い段階で一度奪われてしまったのでどうなるかと思ったんですが、その後は立て直せたお陰でプレッシングの影響を受けることなくプレイできるようになっていました。
あの高い位置からのプレスは全員が連動してプレスを行うことで機能するものですから、心理戦の要素が強く、一人でもそのプレスをしても効果がないと思って動きを鈍らせてしまえば、そこにスペースが出来、相手に逃げ道を用意してやることになってしまいますから、全員が首尾貫徹してプレスをし続けなければならないんです。しかし、スペインはそれをかいくぐるための方法を持っている。例えば先日にあった日本対バーレーン戦でも似たような光景があったんですが、あの時のバーレーンは日本の選手たちがプレスに来ると精度は関係なくロングボールを蹴り続け、プレスに来る意志を挫いてプレスをほぼ無効化していました。スペインの場合はバーレーンのようなことはしなくてもプレッシャーの中でボールを扱うことに長けていますから、一人がプレッシャーの中でキープし続けファウルを貰うことも可能ですし、側にいる味方にパスを出してプレスの外にある逆サイドまでボールを運ぶことも可能。相手ボールにすることなくプレスをかいくぐられてしまえば、ロシアはこれを続けたら奪えるという意識を持つことが出来ず、全員が連動しなくなっていく。プレスを受ける側は一度も奪われてはならず、プレスをする側は一度奪えればそのイメージを全員が共有し続けなければならい。難しさはありますが、この部分の戦いで敗れたことでロシアは武器としていた部分の多くを失ってしまいましたね。後半開始直後に一気に気持ちを入れ替えてプレスをしましたが、結局それをやっても無理だとスペインに見せつけられて、手薄になったところをカウンターで突かれることまでやられる始末。もし前半からこのプレッシングをどこまでもやろうとしていたら、ロシアの守備が初戦の時のようになってしまうのはもっと早い段階で訪れていたでしょうね。だから前半にプレスを早い段階で諦めていたのは正解だったと思ってます。

スペインは低い位置でボールを奪われる事こそほとんど無く、プジョルやマルチェナ、カシージャスといったところは殆ど目立つことはなく試合を終えましたが、高い位置ではチャレンジするパスの多さから奪われる場面は結構ありました。でもそこからカウンターに移らせなかったのは、マルコス・セナがカウンターに移る一つ目のパスをアンカーでありながらファーストチェックで潰し、カウンターへと連動して動き出す一歩目を躊躇させていましたし、他の選手たちの戻りも速く、守備の形は崩れなかった。プジョルが前と右のセルヒオ・ラモスが上がるスペースをケアし、セナが上記の部分とキーマンのアルシャヒンを徹底して封じ込め続ける。結局アルシャヒンが目立ったプレイを出来たのは終了間際のシチョフのヘディングへのアシストをしたくらい。その堅さはスペインらしさとは遠く感じますが、近年のリーガ・エスパニョーラを見ていればよく見られる光景ですから別に驚きもせず、よくまとまっているなぁ、と思うくらい。これまでの代表なら華麗なパスで観客を魅了し、守備でもほころびがないように見えることがあっても、それぞれの一部分から崩壊が始まることが結構あった。例えば練習中に殴り合ってみたり、民族的乖離からチーム瓦解していったり、スペインであるが故の難しさが常につきまとっていたんですが、アラゴネス監督が選手選考の段階で多くの批判を浴びながらそうならないためのチーム作りを徹底してきたおかげで、今回はその心配がまるでありませんでしたからね。ラウールを外したこともその一つの要因で、残念だけど妥当なものでしたから。

スペインの攻撃が明確に動き出したのはビジャが怪我をしてセスク・ファブレガスと変わってからかもしれません。それ以前にもビジャがスペースに出る動きをしながら相手を吊り出してみようとしたり、フェルナンド・トーレスと共にダブルポストのような形になって後ろの押し上げを促そうとしていたりしていましたが、前へチャレンジしなければならない選手たちが、シルバを含めて殆どしていませんでしたから、前後で分離しがちで、ある意味ではビジャとトーレスの個人頼みのサッカーになりかけていたと言ってもいいでしょう。でも1トップになったことで、というよりもセスクが多く動きチームを活性化させたことで、ロシア側のマークのずれを生み出し、シルバも動けるようになり、シャビが飛び出せる状況が出来てきた。スペースを利用しなければ攻撃が立ち行かず、飛び出さなければ人数が足りないのだから自然とそうなるわけですし、何より中盤の全てがボールを持っていても奪われない選手だから相互の信頼でオーバーラップを出来るというのも大きいですね。後方から前へと動きが出ることで、フォワードがポストプレイをするための後ろ向きの受け方をしなければならない状況が減り、前向きでボールを受けることが出来るようになり、それがさらに後ろからの飛び出しをしやすくする、という好循環になってました。そこからは速く、一点を取ってしまえば前がかりになる裏を突けますから、初戦と同じようになっていく。簡単なことではないけど簡単に見せてしまうテクニックが恐ろしいです。
でも自分にとっては、ドイツとスペインというよく知る二つの国が決勝で戦うことになってくれただけでもう満足。内容はともあれ、自分としては最良の大会かもしれない。

続きを読む


  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ドイツ対トルコ / 準決勝1

Date
June 26, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Germany 3 - 2 Turkey
この試合の最も大きな障壁は、WOWOWの試合解説に現れたネズミ男岡田武史監督。サッカーを見ていないと公言していたように、まるで素人かのようなコメントから、監督らしいことをいっても日本代表で全く実践できていないことを発言しまくり、まずはそれを自分のチームで実践ないし、それらしい方向性が見えるような戦い方をしてからにして欲しい。簡単な言い方をすれば「お前が言うな」。試合中に出てくる言葉も見当違いなものが多く、「バラックが動いておらず中央ででーんと構えているだけ」と発言している最中に出ていたスタッツでは、バラックの走破距離は二番目に多く、むしろ多く動いていることが証明されている。直後のプレイでサイドに流れたら「動き出しました」と前言撤回。チーム自体のイメージも古いイメージで凝り固まっていて今のチームを知らない発言ばかり、選手個人に対する発言も先入観だけ。
試合に関係ないところはそれぐらいにして、内容――の前に、トルコのことを少し。
試合前にはベンチ入りメンバーは二人になってしまうんじゃないかといわれていたトルコですが、実際には三人フィールドプレイヤーがベンチ入りして辛うじて使える状態で、それ以外にも一応登録はされていたわけで、控えキーパーがフィールドプレイヤーとして出場する事態は避けられました。その辺はこのレベルの大会でして欲しくないことでしたから、いいことでしたね。ちょっとがっかりでもありましたけど(笑

試合開始時に問題視されたドイツの運動量の無さはそれほど大きな問題ではなく、ヨアヒム・レーブ監督が先発メンバーを変更してこなかったことの方が問題なんです。ポルトガル戦は、1トップにすることで中盤の支配力を上げながらポルトガルのボールポゼッションを上げきらないようにすることや中央のケアをする意図があったとしても、この試合で1トップを維持する必要はどこにもない。トルコの攻撃が前がかりになったとしても人的な問題から中央に人を割けるわけではないですから、中盤の人数を多くしても特別大きな影響はないんです。結局の所、ポドルスキはどうやったって守備をしないわけですから、そうならば最初からクローゼと2トップにしてしまって守備の部分を他の選手に担当させてしまった方が安定するんですけどね。この辺の状況に合わせたメンバー変更を予選ではやっていたんですが、本大会に入ってから硬直してしまっているのが彼の評価を落としている要因ですね。
このポドルスキが守備をしない負担が同サイドのラームにかかっていたんですが、最初の失点も二つ目の失点も彼の所。一つはスローインからポドルスキと動きが被ってのもので、守備をしない彼の分をラームが読んで動いたら予想外の動きをしてしまってああなった、とでもいうべきでしょうか。約束事としてはラームの動きの方が正しく、ポドルスキはスローインを入れた方をケアするべきですから、ラームを責めるのは厳しい。それよりも中の対応がお粗末だったのはいうまでもなく、レーマンがコーチングをして対応を決めなければいけなかったんですが、それも見られませんでした。それ以外にもアルティントップのフリーキックをクロスだと思いこんで予め前にポジショニングをして、さらに飛び出し、危うくそのまま決められそうになったり、コーナーキックやサイドからのフリーキックのボールも最初からクロスと決めてかかって前目にポジショニングをして自ら危うい場面を生み出すなど、2002年のワールドカップでシーマンがやった凡ミスを彷彿とさせる、年齢から来る身体能力の衰えを読みでカバーしようとする悪い癖が出て、チーム全体のリズムを崩しかねない動きをしてましたね。もしこの試合で負けるようなことがあれば、彼が全責任を負わなければならなくなるくらい悪い動きですヨ、本当に。二失点目のニアサイドを割られたときも、ラームがお粗末だったとはいえ、周囲を予め確認できてなくクロスが自分の所まで転がってくるのを前提としたポジショニングをして、キーパーの責任にしかならないニアサイドをぽっかりと空けたままボールが来るのを馬鹿みたいに腰を落として待つだけ。あれでは失点するのも当たり前。ボールを取るのなら自分から取りに行かなければなりませんし、取りに行かないのであればもっとニアサイドをケアすべきだった。ディフェンダーへのコーチングを含めてね。だからあれほどこのポジションのミスが最大の不安要素だと大会前から書いていたのに。
トルコの方も、キーパーの不安がつきまとっているわけです。前の試合から出場するようになったリュシュトゥもミスの多いキーパーだというのは周知の事実。現に前の試合でも幾つかのミスと致命的になりそうな飛び出しの判断ミスもあり、この試合は両キーパーのミスが試合を分ける重要な要素になるだろうと思っていたら、その通りになってがっかり。急造のセンターバックを助けなければいけないと思っていたとしても、あの位置からのアーリークロスであのボールスピード。フォワードの位置もペナルティエリアに入ったばかりのところで距離がある。それなのに彼は信じられないタイミングで飛び出して無人のゴールにクローゼのヘディングを許すなんてとんでもないことをしてくれたわけで、両キーパーのお陰で試合が台無し。

さて、ラームの部分をもう少し書くとすれば、この部分を利用してくるのはトルコのカズムとサブリという攻撃力のある二人なんですが、前述の通りラームとポドルスキがこちらのサイドは見ていた。ポドルスキの守備意識の低さはともかくとしてラームも守備能力が高いディフェンダーではないんですよね。ドイツの中では特別小柄で、右サイドバックを担当するアルネ・フリードリッヒやフリッツらと比べると落ちるのは事実。そのラームが攻撃力のある二人の攻撃をそのまま受け止めることは不可能で、守備に長けた選手であったとしても90分をお完璧に抑えることは出来なかったでしょう。それでもラームが先発したのはヤンゼンが信用を失ってしまったからで、ヴェスターマンという選択もあるんですが、彼の方がより横の揺さぶりに弱くスピードもないので、トルコの攻撃スタイルを考えるとラームを先発させざるを得なかったんでしょう。それにラームには守備の不安を補ってあまりある攻撃のバリエーションがありますしね。その得意なはずの攻撃回数が少なかったのは、守備の部分をカバーしなければならなかったから自重していただけで、実況解説ゲストの言うような彼自体の問題ではなかったように見えました。
ドイツの守備全体がラームのような危うさを抱えていたのは、トルコがしてくるサッカーが見えてこないのも要因の一つでしょう。グループリーグから通じて、「これ」という形が未だに見えてこないトルコに対応するには、ポルトガルのように両サイドの部分を使わせながら中をケアすればいい、というようにはっきりとした対応策がないんです。だから多くの場面でフォアチェックをするのではなくリトリートを選択し、相手に余裕がない場面でのみチェックをかけるという状況に応じた守備をしていました。さらに後半は前半の方向から修正をしたようで、状況判断の部分もだいぶ改善されていましたね。中央へ飛び込んでくる選手の少なさを利用して、左をメッツェルダーに多くケアをさせたり、前へメルテザッカーを出させてみたり、センターバックの部分を動かすことで他の手薄になっているところのカバーを目指してました。それが出来たのも怪我を押して出場したフリングスのバランス感覚あってこその戦術なんですが、何度もトルコがサイドの高い位置でボールを持ちながら、ペナルティエリア内に誰もいない場面が見られたように、思った通り。いくらアルティントップが運動量を武器に攻守に動き回り、アクセントをつけていてもエリア内にまで入り込めばカウンターを喰らった時に彼がいないと致命的になってしまいますから入り込めず、状況の改善は一向に出来ないまま、さらにカズムを左に回したことでラームの負担が減ってしまったのもありましたね。
最後のゴールはラームの意地だとかなんだとかいうのではなく、あれはドイツの一つの形であって偶然の形ではないんです。それまでのスロースタートも会場から吹かれる笛が病み上がりのメルテザッカーに判断ミスさせたり、ということもひっくるめて全てがどうあれ、最後にはドイツがピッチ上に立っているだけのこと。

「フットボールはシンプルなスポーツだ。22人のプレーヤーがひとつのボールを巡って闘い、そして最後にドイツが勝つ」とリネカーが言ったとか言わないとか。ドイツに対する侮蔑であり賞賛の言葉であると同時に、サッカーの本質を表してますね。
試合を支配しているものが常に勝者となるのならこれ以上簡単なことはない。もしそうならトルコはここまで勝ち上がる前にどこかに敗れ去り、ドイツもまたどこかに敗れ去っているだろう。07/08シーズンのバルセロナは常に勝ち、レアル・マドリーは負ける試合が多くなってなければならなかったはずだ。試合を支配することが何の意味も持たないのは、カウンターでの得点が多いこの大会では特に顕著で、支配を目指したチームが敗れ去っていることもね。でも今日の試合はお粗末。

  • Comment : 4
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 選手の評価と批判

Date
June 25, 2008 12:00 PM
Category
EURO2008

ユーロ2008大会で、活躍を期待されながら活躍できなかった選手たちの評価を書いておきましょう。多くの場合に監督の責任がついて回っていますが、それでもピッチの上でプレイするのは彼らですから、その中で改善していくことが出来なかったのは彼らの責任でもあるわけですね。でもこれは悪意があって書いているのではなく、期待していたからこその落胆で書いているんです。その辺をお間違えなく。批判は書いてても楽しいものではないんで中途半端に終わっていたり足りない部分が多かったりすると思います。過度に自己満足のエントリなので多くの人にはスルーしてもらいたい部分でもあります。

続きを読む


  • Comments (Close) : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 スペイン対イタリア / 準々決勝4

Date
June 23, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Spain 0 - 0 Italy(PK4-2)
イタリアにもスペインにも90分で勝たなければならないという強迫観念にも似たプレッシャーは微塵もなく、延長に入っても構わないという戦い方をしてましたね。お陰で試合が動いたのは後半30分を越えた当たりから、と超スローペースの試合だったんですが、退屈な試合ではありませんでしたね。ただPK戦にはいるのを嫌がったのはイタリア。スペインの方も勝つために色々と工夫をしていましたが、リスクをお冒して攻め続けることをせず、人数をそれまで以上にかけて攻めることもなく、交代人事もバランスを崩してまで攻めを意識させなかった。ルイス・アラゴネス監督はなんとしてもPK戦より前に勝負を決めたがっている印象でしたが、選手たちの方が落ち着いていてバックラインからフォワードに至るまでの覚悟が見て取れました。PKの名手を多く生み出している国ですから。
逆にこういった戦い方になれていて、一本のチャンスさえられれば何とか出来てしまうだろうと意識を持っているはずのイタリアが勝ちを焦っている部分があって、交代もポジションの違う選手を交代させて前がかりの意識を持たせ、延長に入ってからはバランスを崩した攻めもサイドバックを中心にやっていました。PK戦を嫌がり、今のうちに得点を入れて勝たなければならないと思って負けたのが前日のオランダ。失う物のなかったロシアにやられた彼らとは違い、スペインも失うものを抱えていたために同じ轍を踏むことはなかったんですが、PK戦では勝負のポイントを失っていた彼らが負けるのは道理。
意外だったのはスペインがあそこまで落ち着き、崩せなくても焦りがなかったことですね。

試合開始当初の中盤はイニエスタとシャビの二人だったんですが、あの二人はどちらもピボーテ、そしてアンカーを務めることが出来るほどのバランサーであり、イタリアと戦うときのリスクマネージメントを考えてプレイしている部分が強く出ていて、パスもカットされる可能性が高い部分を嫌がって安全なパスを選びがちで、イタリア守備陣の間を抜けていく、一本のパスを出すことを嫌ってました。崩しきることを考えた場合それでは不十分で、隙間の少ないところをパスで回し、飛び出し、突っかけ、得点をしていくのがスペインなんですが、この二人の意識ではそれが出来なかった。失敗しない試合の入り方をするにはこの二人でなければならず、もしセスク・ファブレガスが途中投入されてからやっていたような一本で勝負が決まるかもしれないパスを、試合開始から彼がスタメンで同じプレイをしていれば、いずれイタリア側にカウンターのチャンスを与えてしまっていたでしょう。崩すのはリスクと隣り合わせで、相手がどんな意図を持っているか理解しなければならない。セスクが投入されたタイミングは、イタリアがカモラネージを投入した直後でカウンターではなく能動的に動いて状況を変えようとしたタイミングで、そうなってしまうとイニエスタとシャビのようにリスクマネージメントをし続けなくても、相手の攻撃の意図が変わってきたのでセスクがしたタイプのパスであっても問題なくなったんですね。ただ他の選手たちの意識はあまり監督の意識とは別に変わりきらず、崩しきる方向に傾かなかったんですけど、結果オーライ。本当ならせっかくのスペインの試合なのでPK戦ではなく、得点を取って勝って欲しかったんですが、仕方ない。0-0のまま終えたのはイタリアがカテナチオだとか守備的だとか後ろ向きだとか、そんな無駄なものをしたからではなくて、スペインの選手が、開始直後のセルヒオ・ラモスの無思慮なプレイ以外で、常にリスクを考えていたからの引き分けで、実に現実的な、ノックアウトラウンドであるトーナメントを勝つための考え方をしているからです。
ま、カシージャス様々な部分とプジョルが引き締めているから出来る部分でもありますが、こういう戦い方が出来るのならトーナメントでも期待が出来ますね。次のロシアはそんなことはお構いなしのプレイをオランダ戦同様にしてくるはずなので、あまり役には立たないと思いますが。

続きを読む


  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 オランダ対ロシア / 準々決勝3

Date
June 22, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Netherlands 1 - 3 Russia
ロシアの戦い方の大半は予想していたとおりでしたが、オランダの攻めは予想していたよりもずっと悪かった。これまでオランダが大量得点を挙げて勝ち上がって来られたのは鋭いカウンターから得点できたからで、崩しきった得点がほとんど無いといっていいのはグループリーグ三戦目のエントリで書いたとおり。この試合も結局フリーキックから決定的なチャンスを得ることが出来たけれど、崩してチャンスを作ったのはほとんど無く、いつものオランダ代表そのままに守備も脆くなっていた。
まず守備から書くと、不幸な出来事があったとはいえブーラルーズを先発させるのはやむを得なかった。彼が入っているからこそここまでの堅守があり、オランダの不安材料だった部分を見事に封じ込めてくれていたのだから、本人が嫌がったとしても出しておくしかなかったんです。精神的に辛い状況であっても、彼のこの試合でのパフォーマンスは素晴らしく、堅固な守備を構築することが出来ていたんですが、問題は彼にはなく、彼を交代させてヘイティンハを入れたことでしょう。彼はユーティリティプレイヤーですから右サイドバックを務めることも出来ますし、それなりに守備力のあるセンターバックですが、後ろへの動きは非常に悪いんです。彼をもし途中投入するのであれば、センターバックのオーイエルを右に出して、センターバックとして起用していた方が、三戦目でそれなりに結果を残せたポジションですし、よかったはず。そこはファン・バステンのミス。で、ブーラルーズも守備はよかったんですがそれ以外の部分ではこの試合完璧だったとは言えず、三戦目から多くやるようになってしまったオーバーラップを継続してやってしまっていましたよね。前にカイトが入っていましたからサイドからの攻撃力というところからすると上がらなければならなかったんですが、でも彼が上がることで出来るスペースを考えると積極的に上がるべきではなく、状況を見極めて前でキープできたときにだけサポートするだけでよかったはず。
あとは両センターバックの裏へ向かうスピードの無さ、ラインコントロールの稚拙さがグループリーグで出なかったのがここにきて出てしまいましたか。大会前にこの状況を見てグループリーグで負けるだろうと予想していたんですが、よくここまで持った方でしょう。本来ならエンヘラールとナイジェル・デ・ヨングの二人が中盤のスペースをカバーし、相手に前を向かせて裏を狙わせないことでこの弱点をカバーしていたんですが、この試合のエンヘラールには運動量が無くボールホルダーを抑えることもこぼれ球を拾いきることも出来ず、途中交代で離脱する事になりました。デ・ヨング一人でカバーできるほどロシアの攻撃は薄くなく、運動量も少なくない。あの交代がされたときは既に攻撃に出なければならなくなっていましたから仕方ないとはいえ、エンヘラールがそれまで同様の動きが出来てれば、それだけで少しはマシになっていたでしょうね。

ロシアの攻撃と守備のやり方は共通していて人数をかけてボールを追い越しながらパスを相手陣内で繋げる。それをやるとオランダのカウンターの餌食になってしまいそうなものですが、これまでそれにやられてきた相手と違っていたのは、ボールを奪われた瞬間に、というよりもボールを奪われる前から守備が始まっていて、オランダにカウンターの一歩目となるパスを出させないようにしていましたね。その一本目のパスを不正確にすることでカウンターの出足が徐々に鈍っていって、仕舞いには連続したロシアの攻撃になるわけです。ボールをファン・ニステルローイなりスナイデルが収めて、それを追い越す動きを左サイドバックのファン・ブロンクホルストがする。そのパターンをさせないようにロシアはまずボールを奪われた瞬間にボールを奪いに動き、正確なつなぎからオーバーラップをさせないようにした。ある程度繋がれたとしても、寄せる速さから裏を狙うタイミングを計ることが出来ないためポストプレイをしようとするオランダのつなぎのパスをインターセプト狙いで相手の前に入り込むようセンターバックの出足を早め、二段構えでカウンターを阻止していました。一度その戦い方でカウンターが使えないという意識をオランダにすり込んでしまえば、グループリーグで見せたような鋭さは出ませんから、その時点で術中に嵌ってしまっていたと言ってもいいでしょう。
オランダは相手を崩すために敵陣内でパスを回して、ドリブルをして、とやっていましたが、それが全く効果的でなかったのは、得点を焦るあまりディフェンダーが前に並んでコースが限定されているにもかかわらずミドルシュートを多く打ち、ドリブルで切り崩そうとしてもサイドの広大なスペースを利用するのではなく密集している中へ向かっていこうとするのだからファウルは貰えてもそれ以上の効果は得られません。パスにしても回している間に本来ならサイドに残ってクロスを上げたり、一時的なボールの収めどころとなり形を作り直すためにサイドバックがサイドに張っていなければならないんですが、左サイドバックのファン・ブロンクホルストは左サイドでボールを回している間にセンターフォワードと同じ位置にまで入り込んでしまって得点を狙う動きをしてしまってました。中に入って得点を狙う動きをファン・デル・ファールトやスナイデルがしてくれないから彼が飛び込んでいったんでしょうが、それをするのは逆サイドの選手の役目で、同サイドの選手がそれをやってしまうと手詰まりになったときにパスを預けて作り直すことが出来ず、バックパスをする位置すらなくなってボールを奪われてしまうんです。何故彼があそこまで中に入っていってしまったのか解りませんが、残念ですね。
彼以外にも多くの選手が中への意識を強く持ちすぎ、右サイドに左利きのファン・ペルシーを置いているから彼も中に入ってくる、左サイドに右利きのアフェライを置いているから彼も中へ、と、飛び出す選手もなく中へどんどんと入り込んでも大渋滞を引き起こすだけでミドルシュートのコースも自分たちで防いでしまうようなもの。ワンツーで抜け出すスペースも消してしまいますね。
上手くロシアがカウンターの可能性を早めに諦めさせ、オランダがそれに乗っかって焦りを強めた、ただそれだけのことなんですが、グループリーグとトーナメントでは勝負の質が違うんです。選手を休ませたチームがことごとく敗退しているのが何の影響なのかは知りません。ただ言えるのは、中二日のロシアの方が総じて運動量が多く見えたこと。実際のデータが出るところで書いてませんから何とも言えませんが、ともかく予想通り。

続きを読む


  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 クロアチア対トルコ / 準々決勝2

Date
June 21, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Croatia 1 - 1 Turkey(PK1-3)
トルコは何度も書いてきたハミト・アルティントップの中盤起用をやっと実現してくれて個人的には嬉しい限りでした。彼の献身的な動きは走破距離にも現れているはずで、恐らく両チームを通じて一番になっていることでしょう。これまで右サイドバックで起用していたことで縦の動きのみに限定してしまっていたことがどれだけ無駄なことか解ってもらえたんじゃないかと思うんですが、今日はセンターハーフとして出場していたお陰でプレイエリアはかなり広かった。中央を中心としてカバーの仕事をしていたのでリスクを冒した攻めはあまり見られませんでしたが、効果的だったのは事実。延長後半まで失点せずに耐えられたのも、もしかしたら彼がここで踏ん張っていたからかもしれませんね。
ただ、両者共に得点できなかったのは暑さによるミスだけではなく、選手の守備が優れていたからもでないんです。どちらの選手もこれまでのグループリーグの戦い方とは大きく違う戦術をとっていたからに他ならず、それが意図したものかそうでないのかは別にして、試合をつまらなくした要因でもあります。例えばクロアチアのこれまでの戦い方はオリッチの運動量を起点とした前線からのフォアチェックでパスコースを限定し中盤でカットをすることを目指したもので、高い位置からのプレスが機能し、カウンターが機能することで得点してきた部分が大きかったんですが、この試合はオリッチの追い込みも見られず、中盤の選手たちの連動した動きも少なかった。ボールを奪う位置は自陣ペナルティエリア前になりがちで、カウンターも鋭さを失っていた。
トルコもその影響を受けてある程度高い位置でボールを回すことが出来ていましたが、クロアチアの守備が後ろになっただけで意識まで低下しているわけではありませんから、組織だった攻撃をしないトルコが崩せるはずもなく、パスは回せているがそれ以上ではないままでした。ニハトを1トップにしてその下に4枚というよりはニハト1枚の下に両サイドに二枚いて、その下にスリーセンターがいたような形で、トルコの布陣もメンバーはそうでなくとも守備的でしたからね。
これまでは失うものが何もなかったトルコにグループリーグを突破してトーナメントに進出してしまったが故に失うものが出来た。だからリスクを冒せなくなってしまって、攻撃をするチャンスが多くありながら攻撃が出来なかった。それはクロアチアも同じで3枚の司令塔を用意しながら誰一人ゲームを作ることなく走ることも追い越すこともなかった。ペトリッチ投入後も彼本来のポジションであるフォワードのファーサイドの位置を使わせてあげることなく、トップ下に置いて守備を重視させた。両者共に全くリスクを冒さずに攻めようとしていて、それが解消されるまでに80分を要していました。見ている側からするととんでもなくつまらない試合だったのはそのせいです。

リュシュトゥのミスは相変わらずで、延長に突入する前にも飛び出しの判断を誤りピンチになったのもありましたし、味方からのバックパスをコントロールミスして自陣ゴール方向に転がしてしまうなんていうのもありました。結局の所、彼は全く成長をしていないわけで、延長のところでも飛び出しの判断を誤ってモドリッチに先に拾われ失点。バルセロナに所属していたときの絶望的なまでの酷さを思い出すには十分だったんですが、彼が幸運だったのは味方が延長後半ロスタイムという状況で得点を取ってくれたことでしょう。ビリッチ監督からすると交代も認められずプレイを切るタイミングをいくらでも見いだせる中での失点でとんでもなく不運だったわけですが、延長に入る前にもっと攻撃的に行かせるようにし向けるとか、交代のタイミングをスルナが足をつったタイミングで交代しておくとか方法は色々ありましたし、それよりもまずトーナメントに入った途端に消極的になったチームに問題があるわけで、グループリーグ三戦目のBチームがした試合で前からのチェックを失ってしまっていたのをそのまま引き継いでしまったのが一番の問題でしょう。そのサッカーをするための構成になっていないんだからしてはいけない。あれは三戦目のメンバーだからこその戦い方で、一、二戦目のメンバーに近い形でするのであれば、その時にした戦い方にしておくべきでしょう。選手たちが悪いのかそれとも監督が悪いのか。少なくともトルコのやりたい形が見えないサッカーよりは上をいってくれるはずだと期待していたんですが、こんなくだらなくつまらないサッカーをするなんて…。
トルコが奇跡を起こしたのではなく、クロアチアが自滅したと取る方が自然です。

  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ポルトガル対ドイツ / 準々決勝1

Date
June 20, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Portugal 2 - 3 Germany
ドイツが勝つためのサッカーをした、というのは身も蓋もない言い方なのでそれはしません。少なくとも、勝つためだけに引いて守りカウンターでのみ得点を挙げたわけではありませんし、得点の形も決して泥臭いものではない。最後の部分以外はいいサッカーだと思っています。

シュバインシュタイガーがクロアチア戦で犯した報復行為のレッドカードにはがっかりさせられ、彼の成長を疑いたくなったし、これからの出場も危うくなったんじゃないかと思っていたんですが、この試合で十二分に名誉挽回を果たして、全得点に絡む活躍はマン・オブ・ザ・マッチに相応しい活躍です。もとから正確なキックをもっていて、サイドから上げるクロスだけでなく、左サイドからの巻き込むミドルシュートも彼の得意技なんですが、左からのグラウンダーのクロスに飛び込んだ場面には驚かされましたね。体を張ることをいとわない選手ですが、左側でプレイしているときのボールを持ってドリブルを仕掛けるイメージが強くて、また、バイエルン・ミュンヘンでの右サイドでプレイしているときのバランサーとしての動きの印象が強くて、カウンターになったときに一枚であそこにいる、というのは今まではあまり見られなかったと思うんですヨ。あとは二点のアシストをしたフリーキックもよかったんですが、それよりもあの粘り強いディフェンスは大きくドイツを助けていましたね。ドイツは主に中のスペースを消す動きを中心としていて、サイドのケアはそれほど多くしていなかった。意図的にそうやっていたんですが、二失点目になった場面だけはサイドに多くの人数を吊り出されて失敗していました。
試合全体を通して言うと、中を固めてサイドのケアはサイドアタッカーの選手一枚に任せ、クロスを上げられることよりも中へのパスをケアする方を選んでいました。シモン、ボシングワの縦のラインが最も多かったんですがそうやって縦へのパスは出させてもらっていたが、横に並ぶ選手たちへのパス成功数が低いのを見ても明らかなように横へのパスコースを切られていた証拠でもあります。その中でポルトガルのシモンやクリスチアーノ・ロナウドと両サイドバックが連携して攻めてくるわけですから、それだけでもサイドでドイツは数的不利を作られる。そこに状況を的確に読んでデコが流れて3対1の状況を作り出して攻めようとするのだから、大きな負担になりますよね。ドイツの左サイドはラームが粘り強く対応したとしてもポドルスキに守備の負担を求めるのは酷ですから何度も崩されていましたし、一失点目のプレイも彼の軽い守備から始まったことを考えればしかたがない行為。そのために中へ絞れるアルネ・フリードリッヒを右に置いていますから左からのクロスにはある程度対応できる。でもドイツの右側が左ほど簡単にやられることがなかったのはシュバインシュタイガーが中へのドリブルではなく、どんなフェイントをされても縦へのドリブルコースを消し続けたこととボールを奪うのではなく、マークし続ける粘り強さを持っていたことでしょう。

ポルトガルに本格的なストライカーがいないことをずっと弱点だと言い続けてきましたが、この試合のようにクロスでギャップを作り、ディフェンダーとキーパーの間にボールを入れ続けることが出来ればその必要はあまりない。でも得点できた場面や決定的なチャンスになってシュートまで持っていけた場面ではそうであっても、苦しいときにポルトガルは中へ向かってドリブルをしてパスで崩そうとする意識が働いてしまって、ドイツ人の密集している地域に特攻をかけているようなもので、そう簡単には崩れませんし、何より人数が多いから一本パスが通ってもシュートへ行く前に寄せられてしまう。そういったときに本格的なストライカーがいれば、サイドにあれだけのスペースを残してくれているのだからクロスを徹底的に放り込み、高さではなくタイミングの部分でドイツに真っ向勝負を仕掛けていってもいい。190cmを越える二枚のセンターバックに挟まれていても、180cmそこそこの選手がヘディングゴールを多々決めてしまうのがブンデスリーガ。クロスの質とストライカーの質が高ければ高いほど、身長の高さなんてものはそれほど有利な条件じゃなくなってくるんですヨ。ヌーノ・ゴメスもエウデル・ポスチガも勇気を持って何度も何度も挑戦できるストライカーではなかったのが原因かもしれません。もしくはドリブラーたちがより確実な崩し方を模索してクロスを上げようとしなかったのが原因か。
ドイツがポルトガルのように、得点を出来る位置でファウルを犯し、フリーキックをあまり与えてくれなかったのも一つの要因でしょう。ドイツは二度のチャンスを逃さず決めてしまったのだから。

あと書くとすれば、ドイツはフリングスの負傷欠場でどうなるかと思った守備的ミッドフィールダーの位置ですが、ロルフェスがなかなかの働きをしていましたね。ドイツの守備の取り方は、中へ絞り気味の4バックの前に4人のセンターハーフを置いてバラック、クローゼ、という形だったでしょうか。味方によってはイングランド式の守り方で、ディフェンスラインとセンターハーフのラインの間にスペースが出来て、試合序盤に幾つか突かれたように危険なエリアが出来るんですが、ラインを低くし過ぎない、ラインが低くなったら前のラインも押し下げることでその部分を減らしてカバーしていました。だから終了間際のようなどん引きサッカーみたいになってしまったわけですが。
それはともかく、ロルフェスはフリングスのように一枚後ろに残ってアンカーの仕事をするのではなく、センターハーフとしての仕事に近かった。サイドバックやサイドアタッカーからのパスを中央で受けて配球する。状況に応じて前へも出るが基本は後ろ、というのはありましたが、彼とラームのパス交換が試合の中でもかなり多い部類だったのが、効果的にプレッシャーをかわせていたことを物語っていますね。
中二日のドイツが前の試合でスタメンの多くを休ませたポルトガルに勝った、といっても短期決戦の中では一試合休養を取ることが必ずしもプラスに働かないんで、どうだったんでしょうね。日程的にとてもドイツの方が厳しかったのは確かですが、それだけに肉体的にも精神的にも緊張を保ったまま挑めたのかもしれません。

  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ギリシャ対スペイン / グループD

Date
June 19, 2008 9:00 PM
Category
EURO2008
■Greece 1 - 2 Spain
スペインは完全にリザーブメンバーでスタメンを休養させていましたね。やり方としてはポルトガル、クロアチア、オランダと同じく、突破を決めたチームだからこそ許される戦い方なんですが、その中でも一番大きくメンバーを変えてました。スターティングメンバーで出ていた中ではイニエスタだけがいつものメンバーで、あとはセスクと途中交代で入ったサンティ・カソルラぐらいでしょうか。対戦相手もポルトガル同様に敗退が決まっているギリシャ相手で、他の二カ国とは違いモチベーションを維持する上でも難しい試合だったのは事実でしょう。

スペインの攻撃手段は、これまで2トップだったところを1トップに変え、その下に四枚を並べた攻撃陣をポジションチェンジさせながら1トップのグイサがディフェンスラインを押し下げる役割を担ってました。ギリシャはそれにマンマーク気味に選手をつけて中盤でのポゼッションを抑えてディフェンスラインでボール回しをさせたかったようですが、序盤に何度かシャビ・アロンソがした大きなサイドチェンジと、あまりに頻繁なポジションチェンジにマークをずらされすぎて途中で諦めていたようにも見えましたが、基本は変わりません。スペインはその間に何度かマークをずらしてフリーになり裏へ、と効果的な動きをしているように見えますが、実際の所はグイサが孤立してしまってストライカーである彼をアシスト面で活用しなければならない苦しさが見えてます。もっとポストプレイに特化した選手がいればその選手に任せてもいいですし、スペースを空ける動きを得意とする選手がいるならその選手に任せてもいいシステムなんですが、スペインの中盤には飛び出していけるような選手が少なく、そういった戦い方をしても効果的ではないんでしかたないかなと、思うわけです。デ・ラ・レッドのシュートはそんな形でしたが、グイサは見事に相手ラインを押し下げてましたね。シュートももちろん見事でしたけど。

本来なら引き分けても関係なく、負けてすら構わない試合なんですが、それでも勝利できる強さはトーナメントに向けての好材料(毎回こんなのばっかりですがw)
特にスターティングメンバー以外を殆ど起用せずに、状況にある程度あわした戦い方ができたのを評価しておきたく、難しい試合になるだろうイタリア戦も途中交代で幾つか変化をつける際には、今日で他選手たちがどういった場面で出てくるかが鍵になるんですが、デ・ラ・レッドのように飛び出していける選手は貴重ですし、シャビ・アロンソの低い位置からサイドへ出される的確なロングパスも、イタリアがピルロ抜きでさらに堅いディフェンスになるかもしれないことを考えると十分に役に立つでしょう。意表を突いたハーフウェーラインからのロングシュートや、ペナルティエリア外からのミドルシュートも大きな武器になりますしね。マルコス・セナもそれは得意なんですが、イタリアが引けば考えてもいいかな。
セットプレイの弱さは相変わらずなので、そこさえ耐えられれば不安材料は小さい、はず。

  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ロシア対スウェーデン / グループD

Date
June 19, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Russia 2 - 0 Sweden
ロシアがここまで魅力的なサッカーをするとは思っていませんでした。この大会で最も現実的で勝つサッカーをしているのはオランダでしょうが、それが魅力的ではないのはカウンターによってポジションを崩すことはあっても、彼らが持っていたトータルフットボールを捨ててしまったサッカーだから。これはあくまで個人的な感想で、オランダのサッカーが魅力的だと言う人もいるでしょうが、あれだけの選手を集めたチームがカウンター主体で戦うことの違和感がそう言わせるんです。

ロシアの前半は、攻撃の意識を強く持ち、全員がサイドに開き全員が中に入る、全員がボールを追い越し、全員が試みる意識を持っていた。パス交換のスピードがあまりにも速いのは、ポジショニングがいいからではなくポジションを取る動きが多く速く的確だから。どんどんとボールを動かしながら人が最も動き、混乱するスウェーデンの守備は、自分のゾーンに入ってくる人数が一人ではなく複数でマークに付ききれず、さらにそのマークに付くべき選手がすぐに自分のゾーンから離れてしまう。そんな状態で強固な守備を築けるはずがなく、運動量を同じように上げてマークをしようとしても、スウェーデンの攻撃陣も全て投入しなければ防ぐことは出来なかったでしょう。ただそれには難点もあって、ロシアの運動量は、前半だけで動きの少ない試合であれば一試合分に相当するほどに動いていますから、その影響を受けて前半終了間際の運動量の低下とスウェーデンの決定的なチャンスを数度作られる要因になったわけですね。後半になってから、ボールを動かす動きが減ったことや左右に大きく開く動きが減ったのもその影響でもありますし、前半と後半のプランを変えてしまったからでもあります。
ロシアが二点目を奪えたことでスウェーデンは勝ち上がるために二点が必要になった。そうなれば一点が必要なだけとは違い、攻撃に人数を多く出さざるを得ませんから、ロシアはカウンターによってもう一点を狙うだけでよくなる。しっかりとしたゾーンを形成しながら、プレスのタイミングを間違わないように連動して仕掛け、奪えばカウンター一本。こうなると魅力的なサッカーとはほど遠いやり方になってしまうので、興味は一気に薄れてしまうんですが、興味がスウェーデン側に移行しないのもまたこのチームのサッカーが面白くないから。
ラーションの動きの質はあまりにも素晴らしくて、彼一人が大きなアクセントになっているのは事実で、テクニックやスピードでそれをしているのではなくて、オフ・ザ・ボールの動きでチーム全体を動かすサッカーをしているんですね。でも彼が活かすべきはずのイブラヒモビッチのコンディションがあまりにも悪く、運動量が少なく、パスを出した後の動きが無く、パスを受けるときの動きもない。ここのだけではなく、スウェーデン全体の関係が、パスの出し手は一つでも早く先にと焦りから前への意識が強すぎるパスを出し、受け手は何とか確実につなぎたい、ボールを触ってなんとかしたいという意識から足下に受けたがる。意識のずれが攻撃の歯車をかみ合わなくしていて、状態を悪化させていましたね。
その意識のずれを作り出したり、意表をつく戦い方や試合中に戦術の思い切った転換をしたり、というところはヒディンク監督らしいやりかた。まぁ、とんでもない金額の報奨金の力ともいわれるかもしれませんがw
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 オランダ対ルーマニア / グループC

Date
June 18, 2008 9:00 PM
Category
EURO2008
■Netherlands 2 - 0 Romania
クロアチアはスターティングメンバーを大きく変更をしても、自分たちのスタイルを殆ど変えることなくサッカーを進めることが出来、ポルトガルは全く自分たちのスタイルを作れなかった。オランダはどちらに転ぶのか、と見ていたんですが、どちらかといえばオランダは一軍でも二軍でもなくその中間に近い構成でした。もちろんここでいう二軍とは実力が落ちるとかそういう意味ではないので悪しからずご了承ください。

オランダはブーラルーズをそのまま起用しているところに、右サイドバックの適材がいないのではないかと勘ぐってしまうんですが、いざとなれば途中出場をしたメルヒオット以外にもナイジェル・デ・ヨングもオーイエルもできますから、選手が居ないわけではない。でも彼らが入ったときに今のスタイルを続けられない、ということなんでしょう。メルヒオットにしても堅固な守備からカウンター、というのにはあまり向いているとは思えず、どちらかといえば、今日は出場しませんでしたが、ジオことファン・ブロンクホルストの役割を右から担う方が合っているのかもしれません。でも不思議なもので、バベルが怪我をしなければ、ここの部分にほころびが出来ていたかもしれないんですよね。ブーラルーズは追加招集メンバーですから。
もう一つ書くと、オランダの守備はある程度の高さを無理矢理維持しているように見えました。後半のルーマニアが攻勢に出たあと、オフサイドの笛が増えたように思うんですが、あれは精度とタイミングの問題であって、統率され尽くしたラインでオフサイドを取っているようには見えず、もし裏を狙われたら、という部分のケアがあまり出来ていませんでしたね。カウンターへの対処も戻りは速くても組織だって出来ておらず、自分たちが得点している形を相手にやられたときに、そのままそっくり失点してしまいかねない危うさを感じました。ルーマニアの少ない人数の攻めでそれですから、人数をかけられるとかなり辛いんじゃないでしょうか。

ルーマニアのディフェンスは4-1-4-1を形成して、キヴをこの試合はアンカーで起用していました。左に入ることが多かったムトゥは守備での貢献が少なく、そこを突かれて何度か形を作られてしまいましたが、それ以外の部分では、二つの4人のラインが綺麗に構成されていて、距離も非常に近く、縦パスだけではずるずると下がらない堅固な守備ができていました。中盤でパスを収めさせて前に展開させるのも少なく、バックパスからロングボールは許容範囲でショートパスを繋がれたのは数える程度。決定的なチャンスを作られたもの、となるとさらに少なくてフンテラールにポストプレイをさせてロッベンがシュートを打った場面ぐらいでしょうか。
オランダの攻撃が、これまでの二試合とは違い、裏を狙う回数が少なくウイングもルーマニアのディフェンスに阻まれてボールをもらうことが難しく開始位置が低くなっていました。サイドでのドリブルも縦へのドリブルは許してもらえているような雰囲気でしたが、クロスに対して自信のあるルーマニアからすれば、それで十分なディフェンス。
これまで前に出てきた相手に対して鋭いカウンターで得点を挙げていただけに、どれだけ引いて守る相手を崩して点を決めることが出来るのかと思っていたら、得点は結局カウンターからでしたね。後半開始早々にルーマニアが人数をかけた攻撃に移行してきたところへ、二回連続してファン・ペルシーが裏を取って、そのあとにカウンター。相手の自信があるハイボールで勝負せず、グラウンダーのクロスを入れたのが功を奏しただけで、ちょっと遅れたもののカウンターの形であることには違いが無く、二点目も攻守両面に動いき精神的にも疲弊したルーマニアの足が止まっていたので、崩しきった得点、というのはありませんでした。その辺はがっかりで、これから先のトーナメントを占う上では不安点。一発勝負のトーナメントとグループリーグでは勝負の質が違いますからね。崩しきれなくて困る可能性が高いのはスペイン、ポルトガル、オランダのようなチーム。イタリアやドイツは崩しきれなくてPK戦になっても構わないメンタリティがありますから。スペインはPKの名手が多い国だからなんとかなるかもしれませんけどね。キーパーもキーパーなんで。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 フランス対イタリア / グループC

Date
June 18, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■France 0 - 2 Italy
フランスがスターティングメンバーを変更してきたのは結果からいうと失敗しましたが、試みとしては悪くなかったと思ってます。ただディフェンスラインのデュラムを下げてアビダルにしたことは解せないんですよね。テュラム本人が前回の試合後に「ミスをした」と認めたように彼の失敗があったとしても、キャプテンを務める選手を一試合のミスで外すべきではなく、ギャラスも経験のある選手ですが、イタリアのやり方を熟知しているテュラムを置いておく方が、右にさっぱりだったサニョルに代えてクレルク、左にエヴラと攻撃に特徴を出せる二人を入れたのだから、カバーリングの面で安定していたかもしれませんね。
そこよりも本来なら変えるべき部分があって、ゲームメイクを担当する部分を、3試合通して一切いじってこなかったことでしょう。ヴィエラを招集してしまったことでまったくバックアッパーがいなかったこともそうですが、この低い位置でゲームを組み立てられるだけの人材を配し、前の豪華な人材を行かすことを考えなかったのがドメネクの采配ミス。トゥラランとマケレレの繋ぎでは、確実なパスこそ出ても長い距離にピンポイントで出せるわけではありませんから、大胆なサイドチェンジが出来ず裏へのパスも出てこない。だからといって、アンリやベンゼマがディフェンダーを背負ってプレイして特徴が出せるわけでもない。サイドからクロスを入れてもヘディングも強くないから足下へのグラウンダーを多用しなければならない。選手起用に大きな矛盾があるように思えてならないんですよね。なら何故トレセゲを入れておかなかったのか、とかトゥラランに替えてナスリを先発させ、マケレレと縦関係を作りつつゲームメイクをさせるとか、前二試合で攻撃が機能していなかったのだから、改善すべきでしょう。
対するイタリアのゲームメイクは、ピルロが担っているわけですが、低い位置から組み立てられることで、ロングパスもショートパスも変化がつけられる。この試合は前の運動量が少なく、力を存分に発揮していたとは思いませんが、この位置からでも自分たちの形でスタートできるのは大きく、ピルロを封じてもデ・ロッシが代わりにパスを出せるのも大きい。守備も安定してこなせてパスも出せる、そういう違いですね、この試合は。どちらか一方だけでは駄目なんです。

試合の流れを決めてしまったのが23分頃のPKでしょうか。アビダルがした行為は、ファウルに相当してPKを与えられるには十分なプレイでしたし、シュート体制に入っていましたから、カードが出てもおかしくはなかった。でもレッドカードを出すべきでしょうか。得点チャンスを潰したことはPKを与えることで補われていて、それにイエローカードを出して警告をすることでペナルティを与える。それでも十分なジャッジだったのかもしれません。でも、あれはあまりにも決定的すぎた場面だったことや、トニが前でアビダルが後ろ、という位置関係も最悪なものだったから、レッドカードであっても文句の言えるようなものではありません。ただ、試合は壊れましたね。
あれ以降、ピルロが自由にボールを持てるようになり、持てない場合にはデ・ロッシがボールを持てるようになる。余裕を持ちすぎたイタリアの選手たちはリスクを冒してオーバーラップをしなくなり、ゲームを支配し続けるチャンスを得ながら、それをしようとしなくなってしまった。守備でも運動量が落ちてプレスに行かず、ラインを整えて自分のゾーンを維持するだけ。ボールに向かっていないから、クロスを上げられる回数が増えて、下手をすればチェコの二の舞になることだってあり得たんです。お粗末なディフェンスを割れなかったのもフランスで、彼らはトルコにはなれなかった。あそこまでの必死さも可能性もなかった。
フランスにツキがなかったと言う人がいるかもしれない。でもツキを呼び込むだけの作業をしてこなかったんだと自分は思っています。あれだけの要改善点がありながら、そこ以外を改善してもどうしようもなく、ベンゼマのシュートが入っていれば、とか言ったとしても、クペが防いだ決定的なシュートの数を考えれば、それも言えません。
本当にツキがなかったのはルカ・トニ。彼のゴールが一本でも決まっていれば、これから先のイタリアにとって、ピルロが出場停止でも明るい材料になったんですが。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ポーランド対クロアチア / グループB

Date
June 17, 2008 9:00 PM
Category
EURO2008
■Poland 0 - 1 Croatia
4-2-3-1で戦うのなら、ユーロのグループリーグを通してこの試合のようにスモラレクはトップで使わない方がよかったんじゃないでしょうか。彼の身長もありますが、動きの質が1トップには向いておらず、ポストプレイヤーでも純粋なストライカーでもないんです。他の選手と連動して動き、出来たスペースを利用して得点を奪うタイプなので、どちらかといえば、セカンドトップに彼を置いて、もう一枚下の位置か左右どちらかのミッドフィールダーの位置でゲームをコントロールさせた方が、ポーランド代表のやり方からすると活きたんでしょうね。それが出来なかったのは、プレイメイカーがロジェール・ゲレーロで、彼の動きの質を見る限りでは守備を免除されて始めて輝くことの出来るタイプのようですから、トップ下に置いておかなければ輝くことが出来ない、一枚下げてしまうとあのトリッキーなプレイもドリブルも、ピンチを招きかねない位置ですることになるからリスクが高い、守備もあまりしてくれないだろうからもう一枚の選手に相当な守備能力と運動量がなければならない、というわけですね。左に流れることが多いので左で使えればよかったんですが、クジノベクを外すくらいならロジェール・ゲレーロを起用しない方を選択したほうがチームの完成度としていいわけで、実際に開幕戦はそうした、ということなんでしょう。

クロアチアは一位勝ち抜けを決めていたので、先日のポルトガル同様にリザーブ主体でしたが、ポルトガルと違うのはそれぞれがきちんと機能していたということ。さすがにペトリッチやクラスニッチはオリッチのような圧倒的なプレッシングをする選手ではありませんから、前から積極的にプレスをかけてボールを奪い素早いカウンターの形は見られませんでしたが、モドリッチの陰に隠れてしまいがちのラキティッチの献身的な上下動とゲームメイクが効果的で、上手く左からゲームを組み立ててましたね。あとはペトリッチがボールを持ち上がってラストパスを出すなど、ゲームをコントロールしていたのはこの二人。プラニッチのオーバーラップが効果的だったり、中央の底でゲームを支えていた二人も見事で、ニコ・コヴァチとモドリッチが組んでいたときとはタイプが違いますが、完成度の高さは恐るべきものがありますね。右サイドバックのシミッチも衰えたとはいえタイミングは的確。ボールコントロール一つ、状況判断一つとってもポーランドを圧倒していたのは事実で、ポルトガルがした不甲斐なく、試合のコンセプトも見えなかった試合とは雲泥の差がありますね。トーナメントへ出て決勝まで行こうとするのであれば、レギュラーメンバーに怪我や累積による出場停止で欠員が出たときも、遜色なく埋められるメンバーが必要になってきますが、クロアチアにその心配はないようですね。唯一はプラニッチが務める左サイドバックだけが明確な控えを提示できていないことでしょうか。何かあった場合にはシムニッチが務めることになると思うんですが、攻撃力はまるでプラニッチに及びませんし運動量も同じですね。守備能力だけが上回るだけ、と考えればここにもし何かがあればクロアチアは、同じサッカーを継続できるのだろうかと心配になりますが、それ以外のポジションに関してはその必要もなさそうです。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 オーストリア対ドイツ / グループB

Date
June 17, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Austria 0 - 1 Germany
ドイツ代表は開始からあまり攻めることは出来ず、殆どの時間帯においてオーストリアのペースでしたね。それはドイツが引き分け以上でトーナメントへの進出が出来ることと無関係ではなく、勝てば進出を決めることが出来るオーストリアとは全く別のメンタリティで試合に臨んでいたからでしょう。でも、ドイツはポルトガルのようにメンバーを落としていたわけでもなく、勝つべきだというのは意識として持っていたんでしょうが、3-4-3で挑んできたオーストリアにまるで形を作らせてもらえませんでした。
オーストリアの3-4-3は、守備時には5バックにも近い形になり、運動量が少なかったドイツの攻撃陣と相まって大渋滞をディフェンスラインに作り出していました。それをこじ開けるの非常に難しく、マリオ・ゴメスやクローゼらがもっと掻き回すように動き回り、的確に裏のスペースを狙えば、多少はチャンスを釣ることが出来たんでしょうが、これまでの試合同様に動きが堅い。カウンターをしてオーストリアの守備が整う前に攻撃をしようとしても、3トップが高い位置から中央に絞りがちなドイツのサイドバックのスペースを利用し、そこへウイングバックが加わって人数をかけてサイドを崩すオーストリアのやり方に、両サイドハーフですらディフェンスラインに吸収されてしまっていたドイツでは鋭いカウンターができるはずもなく、連続してクロスを入れられることからフォワードも下がってしまいさらに連続して攻撃を受ける悪循環を作ってしまっていました。それでも失点をぎりぎりのところでしなかったのはドイツそのものなんですけどね。危うかったのは事実。
両フォワードはオフサイドを気にして一歩目の出だしが遅く、ポストプレイを要求するパスにしても一歩目の出だしが遅く、フォワードが主導権を持ったパスではなく、パスの出し手が主導権を持ったパスだとはっきりして、出てきたパスに反応しているだけ。それでも調子がよければ相手より先に触ることが出来るんでしょうが、一歩が明らかに遅いんで、ミスになってしまうことが多かった。さらにはクローゼはゴメスと組んでいると相手を活かすためだけのプレイをしているように見え、もっと効果的な動きが出来るはずなのにそれをしないでいる時間が長いんですよね。ポドルスキと組んだあとはシュートに持っていける動きをするようになりましたから、ゴメスにかかっているプレッシャーを外すためにも得点を取らせておきたい、と気持ちの表れなのかもしれません。ゴメスの調子を上げることがチームのプラスになるとしても、クローゼの積極さが出てきた方がよりドイツのためになると思うんですが……。

この試合の行方を決定づけたのが選手や監督ではなく、審判だったのは非常に残念なことです。国際大会におけるスペイン人審判の異質さは際だっていて、今大会、メフート・ゴンザレス審判が裁いた試合がもう一つあったと思いますが、他の国の審判に比べファウルの基準がずれていてカードの枚数も多かった。いい評判はないですね、スペイン人審判は。
そしてこの試合でも、理解しがたい形で両チームの監督を共に退席処分にしてしまい、その後の展開を大きく変えてしまっていました。特にオーストリアにとってこれは痛い判断で、3-4-3の形で奇襲をかけるほどのことをやったものを、アシスタントコーチがどれだけ把握し、それに添った選手交代が出来たのか疑問の残るところで、細かな部分では、後半になってディフェンスラインから早いボールを展開してサイドを切り崩す場面が減ったのも、もしかすると監督がいなくなった影響なのかもしれません。戦術家としての顔を失いつつあるレーブ監督がいなくなってもドイツはあまり影響を受けませんでしたが、オーストリアにとっては致命傷にも近かった。お願いだから、リーガ・エスパニョーラでそうであるように、試合を壊しまくらないでください。イトゥラルデ・ゴンザレスよりはこれでもましだとはいえ、スペイン人審判は駄目だよ、大事な試合で起用しては。

バラックのフリーキックが決まったときのオーストリアの対応はあまりにもお粗末。ボールを動かしたあとに詰める選手がおらず、あれではプレッシャーがないのと同じだから簡単にゴールを決められて当たり前。守備の綺麗な形は両チーム共になく、人数をかけて攻撃を受け止めるだけ。状況に合わせた守備も少なく、少なくとも守備の部分の見所は少ない試合でした。攻撃はオーストリアの前半はサイドの徹底利用で興味深かったんですが、後半、特に失点をしてから積極性を失って慎重なパスに終始してしまったんで、興味を失いました。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 スイス対ポルトガル / グループA

Date
June 16, 2008 9:00 PM
Category
EURO2008
■Swiss 2 - 0 Portugal
両チームが敗退とトーナメント進出を決めていて、本来はこの試合に価値はなく見るほどのこともなかったんですが、一応見ておきました。何のことはない、開催国のためだけの試合でしたけどね。

ポルトガルはメンバーを大幅に入れ替えて、これまでの試合で出られていなかった選手を中心に据えて、継続出場はペペとパウロ・フェレイラとリカルドぐらいでしょうか。対するスイスはフォワードに怪我人が多く出ているものの、キーパーのズベルビューラーとフォンランテンだけが入れ替わった程度。いくらリザーブだとはいえ、ポルトガルの選手たちでしたから、実力が大きく落ちるわけでも戦術的に大きく変わってしまうわけでもなく、勝ちを開催国に譲るつもりでこのメンバーを選んだのではないことは、ファウル数や出されたイエローカードの数から見ても明らかでしょう。
ポルトガルの選手たちがそれでも上手くいっていなかったのはディフェンスラインの部分が不安定だったのが大きかったのかもしれません。ペペはずっと出続けていますが、彼がディフェンスリーダーになれるほどの経験を積んでおらず、ラインコントロールもいまいち。ブルーノ・アウベスにしても高さやパワーはあっても横の動きがよくなく、試合勘の問題から不安定でしたし、右のミゲウにしても同じですね。いくつものパスミスをして決定的チャンスを与えてしまうミスも犯し、セットプレイでは簡単にシュートをされてリカルドが止めなければ、もっと早い段階で失点していてもおかしくなかった。中盤の底を担当したフェルナンド・メイラも悪くはないんですが、やはりスイス側が持つモチベーションと比べると、ポルトガルの選手が持つそれは弱いんですヨ。どこかきちんと統率しきれていない印象が強かったんですが、最後のPKだけはポルトガルのミスではありません。あれは共催国からのプレゼントでしかなく、ああいった行為がオーストリア対ポーランドでもありましたが、大会の価値とチームが勝利した価値を落としているのを気付かないのだろうか。本当に残念でならない。

ポルトガルの攻めも守備も、前からの切り替えが非常に遅く、デコを中心としたメンバーがフォアチェックからコースを限定してプレスをすることでディフェンスラインの負担を軽くするんですが、今日の中盤はまるでその役目を担えておらず、どちらかといえばフォアチェックよりも下がって陣形を整えようとする意識の方が強いようでした。さらにクアレスマにしてもナニにしても結果を残してスターティングメンバーとして次節も出場したいという意識が強すぎて守備が雑でしたから、その部分の負担が他にかかっていたのもあります。ナニもクアレスマもドリブルの技術は素晴らしくてもバランス感覚はまだまだ荒削りで、スローダウンさせることで後ろの上がりを促して人数を多くした攻めを多用してもよかったように思いますし、エウデル・ポスチガも序盤は特に酷くて、得点を焦るあまりオフサイドエリアに出続けて気付かないままボールを要求し続けていたり、相手のミスから得点チャンスをプレゼントされた場面でも迂闊すぎて得点できなかったり、と印象が悪くなるプレイばかりで、彼が今大会の残りに出てくることはなさそうです。
前半で得点できるチャンスは多かったんですけどね。それをものに出来ない選手たちが控えにいてもジョーカーとしては使えませんから、スタメンが頑張るしかない。もしスタメンが完璧に抑え込まれたらあのメンバーで変化がつけられるのか、と考えると、トーナメントを勝ち抜いて優勝するためには不満の残る出来でしたね。主力を休ませられたのが好材料だっただけで。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 トルコ対チェコ / グループA

Date
June 16, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Turkey 3 - 2 Czech
グループリーグ最終節に相応しい劇的な幕切れと後味の悪さ。

序盤のペースは完全にチェコのもので、中への意識が強いトルコのパスをチェコの綺麗な4-1-4-1のラインが中盤のスペースとパスコースを消し、中盤から前へボールを出させないプレスを完全にこなしていました。全体で見るとトルコの方が大幅にパスの成功数とポゼッションでは上回っているんですが、効果的なパスをさせていなかったという点ではチェコの守備が上回っていました。それが続いたのは、後半が開始してチェコ側が選手交代を利用してフォーメーションを4-3-3に近い形へと変化させるまでで、それ以降は、サイドから攻める意識が強くなったトルコの攻撃を、4-1-4-1のラインを形成したのでは止められませんから、徐々に統制されたラインが崩れて、ボールが来る、来ないに関わらず、ペナルティエリア内に選手を入れてしまうことが多くなってしまい、深い位置までえぐられることでクロスを入れられる回数も増えてしまっていました。それがあのチェフのミスに繋がったのかもしれません。雨が降っていなければキャッチングミスをしなかったんでしょうが、天候とボールのコンディションを考えれば、あれは単なるミスでしかなく、それを生み出したのは、捨て身の攻撃で延々と攻撃を続けるトルコが圧倒的にボールを支配してチェコは攻撃が出来ず完全に受け身に回ってしまっていたことでしょう。キーパーとしてはその流れを断ち切るために、キャッチングをして選手を落ち着かせ、フォーメーションを整える時間を得ようとした。ただそれだけのことがあれだけの結果を生んでしまったわけですね。そこに至るまでのトルコの攻撃は右からのクロスは数多く入れられていましたが、カズムとアルダが右サイドでプレイし、ローテーションのように動いていましたが、既に飽和状態になっており、そこへアルティントップも来て、事実上三枚が右サイドの高い位置でプレイしていたわけですから、あまり上手くいっていなかった。アルティントップが中へ絞ってバランスを取る動きになったときは上手く回っていたんですが、それでも縦関係の二枚ではなく同位置での二枚ですから、連携はいまいち。抑えられるだけの要素は残っていて、あと数分を耐えることが出来ていれば、焦りから自滅していた可能性すら見えてきていました。それだけに惜しく、失点の動揺からあっという間に逆転されてしまったのも――。

序盤のチェコの攻撃は、縦へのロングパスからコレルがポストプレイをし、右ウイングとセカンドトップを兼任していたシオンこのフリーランニングで攻めたり、クロスを送り込むことで、少ない手数で形を作っていましたが、左からの形は極端に少なく、プラシルのフィジカルの弱さを突かれて抑えられてしまっていましたね。両サイドが機能していればもっと楽に攻めることが出来ていたんでしょうが、右からだけでも得点を出来たのはマテヨフスキーがきっちりと中に入ったシオンコの代わりに右へ流れたり、パスを散らす役目を担い、バランスを取ることが出来たからでしょう。ヤロリームになってからこの部分が弱くなり、それが押し込まれる要因にもなっていたようです。怪我での交代だったので、どうしようもない部分ですが、押し込まれてしまうようになった段階で足の速いバロシュやスヴェルコシュ、フェニンらのいずれかを投入して、クリアボールを人へ狙うのではなくスペースへ狙い、選手を走らせることで、状況を打開してもよかったですし、クリアボールの精度が落ちてこれるに収まらなくなったり、コレルが守備に戻ってしまって前に人がいなくなった時点で何らかの手を打って、連続して攻撃を受け続ける状況から解放されるように手を打ちたかった。特にチェコはまだ交代枠が残ってましたからね。

終了間際のヴォルカンがやったコレルへのプレイは状況を考えればレッドカードが出てもしかたがなく、この試合の逆転勝利の価値をも落としかねない悪いもの。それが最初に書いた後味の悪さなんですが、あのプレイはしっかりとボールが外に出たあとのプレイでした? よく見えなかった(確認する時間もない)んですが、ボールがラインを割るまでにそれなりの時間があった部分なので気になっているんですが、ボールが外に出る前にやってしまっていればPKだってあり得たはずで、せっかくの勝利をふいにしかねない軽率なプレイでした。勝っていてもエリア内でキーパーが交代枠を使い切っているのにやるべきでない。もしチェコが焦らず正確なミドルシュートでも打てていれば、圧倒的に優位な状態でPKなどまで持ち込めてしまえるのだから。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 ギリシャ対ロシア / グループD

Date
June 15, 2008 2:00 PM
Category
EURO2008
■Greece 0 - 1 Russia
基本のコンセプトは両者同じで、高い位置から守備をして攻守の切り替えを速くして攻める、というもの。後半は死力を尽くした戦いだったためにカウンターでしかありませんでしたが、当初のコンセプトはそんな感じ。
細部には違いがあり、ロシアはカウンターで利用するのは中央ではなくサイドのスペースと裏へのパスを中心とし、ロングボールよりもショートパスを繋いでポゼッションに近い形を作る。でも前へ出るスピードは落とさないから事実上のカウンターですね。
ギリシャの方はロングボールを前線の選手へ当てることが多く、終盤で繋いで裏へ、ということよりもポストプレイを基調としているように見えました。ただロングボールに正確性が無く繋がる場面が少なかったことや、ロシアのディフェンダーらに高さがあって簡単には競り負けない強さを持っているために、それがロシアのしているものと比べて有効だったとは思えません。ゲカスを投入したあとは多少裏への意識が出たように見えましたが、それはあくまで個人が裏を狙う選手だっただけのことで、チーム全体の意思統一として裏を狙うと決められていたわけでないようでしたから、その点で大きく劣っていたとも言えるわけです。
ロシアの方が、よりパスのスピードが速く、前線へ持っていくスピードも速く、裏を徹底して狙うことで後ろ向きのディフェンスを強いて、高さはあってもスピードのないデラスとキルギアコスを翻弄していました。さらにはダイアゴナルに走る選手の多さがマーキングを困難にしてフリーの選手を多く作り出すことに成功して、シュートを打てていました。これらは選手の質よりも動きの徹底による部分が大きく、どのレベルの選手らであってもここまでの徹底が出来れば、相手がよほどのレベルにない限り効果的な攻めは出来そうです。ただギリシャが優れていたのは最後まで集中を持続していたことで、ロシアが裏に抜け、両センターバックが追いつけなかったとしてもシュートコースに体を投げ出して防ぐことも、辛うじて足が届く場面もあり、それが一失点に抑えられた要素でしょう。

両者共に負ければ敗退必至だったために攻撃が中心となっていて、見ている側とすれば面白い試合だったんですが、そうなると逆に書くことが無くなってしまう(笑
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 スウェーデン対スペイン / グループD

Date
June 15, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Sweden 1 - 2 Spain
スペインにとって誤算だったのは、プジョルとシャビという中心人物二人が負傷し、大事を取って交代しなければならなかったことでしょう。それでも前日の日本代表のように、条件が緩い中でリードしているにもかかわらず、負傷している中心選手を引っ張り続けるという愚かなことはせず、スペインは早々と交代させていましたね。グループリーグ全体を考えれば、この試合が一番難しい相手となるわけで、勝ち点が1になってしまってもまだ大丈夫だと言えるぐらいに、スペインにとっては緩い条件で、スウェーデンも似た状況でしたから、大事を取るのは当たり前。怪我から復帰後コンディションが上がりきっていないイブラヒモビッチをスウェーデンが下げたのも、こちらも食中毒から復帰後まだ本調子ではないイニエスタとこの試合で怪我をしたシャビを下げたのも、これが状況を考えれば当たり前。日本代表の選手交代が異常だったというだけでしょう。

スペインの攻撃は開幕前に危惧していたとおり、ポストプレイを中心として相手ディフェンダーの前でボールを受け、そこから展開しようとするものへ変化してしまっていました。一試合目は裏への意識が高く、ディフェンダーのフォアチェックで体を寄せられて奪われそうになる逆を突けたのが大きかったんでしょうが、この試合はことごとくディフェンダーに体を寄せられて満足のいく形をペナルティエリア付近で作れていませんでした。いくら中盤の構成力が高くパスを回し続けることが出来たとしても、パスの受け手の位置がディフェンダーの前であれば体をぶつけるだけでその後の展開を抑えることが出来、精度を落とすことが出来るわけですから、中盤からのパスに対する恐怖感がまるで違ってきてしまうんですね。裏へ出され続ける方が、ディフェンダーとしては一本でも決まってしまえばそれが失点になるがためにより恐怖を感じるものであり、後ろへ走らされることで消耗もしますから、スペインはロシア戦同様に裏への意識を強く持つべきでしたね。ただそれを上手くケアをして、裏へ出る動きをしないようにし向けていたのがスウェーデンのディフェンスで、ある意味ではそちらの方が一枚上手だったとも言えるわけで、ビジャやトーレスに非はないのかもしれない。
ロスタイムのゴールが、カプデビラが相手の裏へ出したパスだったというのも何かこの大会のスペイン代表を占える要素になるかもしれませんね。あのパスを意識的に出し続けることが出来れば、ディフェンスラインを下げさせる効果も生まれてきて、豪華な中盤が余裕を持ってパスを回すことが出来るようになり、ミドルシュートをも狙える環境になっていくはず。逆にそういったパスが今後でなくなっていけば、相手にとって抑えるべきポイントが明確になってしまうので点を取ることが難しくなっていってしまうでしょう。
狙うべきは裏。

スウェーデンのサイドアタックがギリシャ戦とまるで違い、コーナーキックを一本も奪えないままだったのはヴィルヘルムションがいなくなってしまったことと関係あるかもしれません。代わりに入ったエルマンデルも悪い選手ではありませんが、ヴィルヘルムションのように縦への突破力とドリブル、そして粘ってファウルを受けたりコーナーを得られる、ということは出来ていませんでしたし、リュングベリと連動したポジションチェンジから二枚で崩す、というのもありませんでしたね。もかすると、ズラタン・イブラヒモビッチの同点ゴールで、引き分けでもいいという意識が生まれてしまったのかもしれませんが、このチームの生命線はサイドアタックだと思ってますから、そこが機能するように改善していかなければ辛いかもしれません。
  • Comment : 0
  • TrackBack (Close) : 0

EURO2008 オランダ対フランス / グループC

Date
June 14, 2008 6:30 PM
Category
EURO2008
■Netherlands 4 - 1 France
トータルフットボールという幻想を捨て去り、リアリスティックなサッカーを展開するようになったオランダはとにかく強い。ファン・バステン監督が自慢をするように相手に攻めさせたあとのカウンターはとにかく鋭く、ボールを追い越していく選手らにポジションは関係なく、ゴールを決めきるだけの決定力を多くの選手が持っているのも魅力。そのカウンターを支える守備がきっちり出来ているのも、この大会の活躍の要因なのでしょう。大会前からすると、まさか、の展開なんですけどね。ここまで二試合続けて完璧な形を見せられるとぐうの音も出ない。

フランスは第一戦からフォーメーションを変更してきて、ようやくリベリーに自由を与えられ