TopicPath: No Football, No Life. Foot-Lab / Football / W杯3次予選 日本対バーレーン | Newer | Older
■Japan 1 - 0 Bahrain
得点は内田のヘディングからバウンドを見誤ったバーレーンのキーパーが置かした凡ミスによるものなので省略しておきましょう。あんなものに戦術的価値はありませんから。
日本の守りの特徴であるフォアチェックは弱点がはっきりしていて、プレッシャーをものともしない技術を持った選手が多くいたり、プレッシャーの連動性が悪く共通理解が未熟であれば何の役にも立たない戦術なんです。バーレーンにはそのプレッシャーをかいくぐる選手もいなければ、日本の選手たちも合宿と試合を通じて連動性を高めているから効くはずだ、と思ったら大間違い。テクニックを相手が持っていなくとも、自分たちが上手くプレッシャーをかけていても簡単にそれは無効化できてしまうものなんです。この試合のバーレーンは上手くそれを実行し、自らのミスでピンチは多く招いていましたが、日本のプレッシャーが前線からかからないようにしていましたね。
例えば、日本のフォワードがボールを奪われた瞬間に連動してプレッシャーをかけに行く。ボールを持っている選手への速い寄せに対して、それよりも速くボールを蹴って日本のディフェンスラインの裏へ出せばいいだけで、そのプレッシャーから解放されるんです。一見すると意味のない行為で、それだけ焦ったようにボールを出していれば当然精度が落ちてチャンスになるはずもない。でもプレッシャーをかける選手たちにとっては、何度プレスに行っても簡単にボールを裏に出され奪うことが出来ないまま後ろへと一時的に下がらなければならない状況を作られてしまう。その繰り返しをすることで、プレスに行ってもボールを派も後ろに行く、無駄なんじゃないか、と一瞬でも思わせてしまえば、それはバーレーン側の戦術が勝ってしまうことになるんです。一歩の遅れが連動性を無くし、フリーの選手を作り、パスを繋げる状況を作ってしまう。ボールを奪えなくても最初から最後までやり続ける鉄の意志が必要な戦術ですから、日本のアタッカー陣を見て、その守備の意志を持ち続けられる人材だと思えたら、あなたは幸せな人だ。
他には闘莉王のオーバーラップは前線が停滞したときには有効でしょう。ユーロでもそうやって状況を打開選手もいましたから、程度の差こそあれ状況を変化させるプレイはいいことで、やっても構わない。しかし、闘莉王のそれが悪いのは、自分がボールを奪われた後処理を他の選手に任せてしまっているところでしょう。もちろん、センターバックがオーバーラップをするときにはサイドバックやボランチの選手がカバーに入っておくのが当たり前ですが、ドリブルをカットされてしまえば、一枚少なくなったところをカウンターで狙われてしまうのもまた当たり前。だからこそ、オーバーラップする選手たちは最低限奪われないようにファウルを貰ってフリーキックを獲得するとか、奪われたとしてもファウルで止めるというのが必要になってくるんですが、彼はそのどちらも出来ず、さらにカウンターを受けた後半11分でしたか、その場面では全力で走って戻ることすらしませんでした。本田が全力で戻ってカバーしましたが、カバーする選手が居たとしてもセンターバックは全力で戻らなくてはいけない。その上、この試合では両サイドバックに内田と安田という攻撃面はよしとしても守備力に難のある二人が担当しているのだから、より、奪われたときの切り替えを速くしなければいけないんですよ。前線の選手たちがしているようにね。
前線でのゲームの組み立ては、批判する以前の酷さだったので書く必要もないでしょうし、多くの人が見て「これでいい」と思った人は殆どいないはずです。だけど少しだけ書いてみる。いつものことだけど縦の連動性はないんです。特にサイドの部分においては縦関係でどうにか使用という意志は少なく、左が辛うじて本田のキープから安田が出て行ったり玉田が出たり、というのはありましたけど、本田が縦の関係を利用しようとしていると言うよりは自分のスペースを作ってくれと言っているようにしか見えないのが難点です。それで、パスをもっとくれ、とアピールしても駄目で、パスを出させるような動きをしなければならないんです。このチームが今しようとしているサッカーは王様がいては成り立たないサッカーをしているんですから。短い距離でパスをだし、動き出し、展開をしていく。岡田監督が自ら口にした「接近、展開、連続」。この試合でどれか実践できていたでしょうか。守備の接近はあるかもしれない。でも上記の通り奪えなかったから展開までは至らない。攻撃も近い間隔でパスを出すことはあってもそのあとの動き出しがないから展開も出来ていない。基本的な部分ではパスの距離が長いので前後が分離しがちなのも変わりませんね。もっと前でキープをして押し込むことを念頭に置いてプレイをし、その間にディフェンスラインを押し上げてハーフウェーラインまで最後尾が来れば、求めているプレッシングもパスワークも出来てくると思うんですけどね。
あとは代表合宿に呼んだ選手から追加招集をすることなく、佐藤寿人をいきなり招集するのは悪いことではない。他の国でも往々にしてあることですから批判の材料にはなりません。調子の良さそうな選手を積極的に招集して使うのはありで、例えそれが二部であってもパフォーマンスに問題がなければそれで構わないでしょう。もちろん先発させたことについても。
でもバーレーンが人数をかけて守ってくるのはある程度予想のつくことで、玉田と佐藤寿人の二人で人数のかかったところで点を取ることが出来るか、というのは難しいんじゃないかというのも想像できたところだと思います。ディフェンスラインがもし引いてしまえば裏へ抜けるために必要なスペースが出来ませんし、裏へ出すために必要な高い位置でのボールキープも出来なくなってしまうわけですからね。彼ら二人にポストプレイなんて酷なことを要求するわけにも行きませんし、サイドのクロスからヘディングをさせようとしても体を張ることも高さも足りない。なら何故両サイドバックを安田と内田にして深い位置までえぐらせようとしたのか。中村や本田も飛び込んでくれる選手ではありませんし、誰に中で合わせて欲しかったのか意図が不明です。もしユーロでのロシアのようにサイドを切り崩してマイナスのパスを中心としてペナルティエリア内でボールを繋ぐことを意図していたとしたら、バーレーンの人数をかけた守備でそれをやるのは自殺行為に等しい。スペースがないのにパスが出せるはずがないでしょう? いったい意図は何だったのか、理解に苦しむ布陣ですね。両サイドバックを上げるにはボランチの二人がボールを配球する選手で守備のスペシャリストではない。闘莉王も上がるのに、本田も中村俊輔も守備に労を惜しまない選手ではない。徹底した攻撃を展開するための布陣にしてはポゼッション時のボール回しが後ろ向きでオフ・ザ・ボールの動きも無いから効果的なパスでの崩しもありません。
ここまで書いておいてアレなんですが、本当はこの試合にそれほどの価値なんて無いんです。勝つ必要も本当はなかった。第3次予選を一位通過するか二位通過するかは重要なことではなく、もう最終予選の組み合わせ順は決まったも同然なんですよね。前回の2006年のワールドカップの成績によって優先順位は決められているわけで、三次予選の通過も決定していますから。マスコミの視聴率と観客動員数を稼ぎたいがための「大事な一戦」と煽り文句が飛び交っていただけで、本当なら負けてもいいから最終予選に向けて好材料になるような選手を発掘してもいいんです。バーレーンが主力を4人温存させてきたようにね。
だから、怪我から復帰したばかりで足に痛みが残るとか残っていないとか情報が正確に出てこないの中村俊輔を強行出場させる必要もないんです。彼が今後最終予選で日程の都合上帰国できないときや、怪我をしてしまって出場できないときのためのテストだって構わなかった。そこまで選手たちにプレッシャーをかけ続けて「勝たなければいけない」とか「叩きつぶす」とか言わせる必要もなかったんですよ。もっとマスコミは緩めてもよかったし、見ている自分たちも条件を緩めてもよかった。そうなっていないのはまだ監督に対する不信感があるからなのかもしれませんね。
この試合で払拭できたとは全く思いませんけど。