EURO2008 オランダ対フランス / グループC
- Date
- June 14, 2008 6:30 PM
- Category
- EURO2008
■Netherlands 4 - 1 France
トータルフットボールという幻想を捨て去り、リアリスティックなサッカーを展開するようになったオランダはとにかく強い。ファン・バステン監督が自慢をするように相手に攻めさせたあとのカウンターはとにかく鋭く、ボールを追い越していく選手らにポジションは関係なく、ゴールを決めきるだけの決定力を多くの選手が持っているのも魅力。そのカウンターを支える守備がきっちり出来ているのも、この大会の活躍の要因なのでしょう。大会前からすると、まさか、の展開なんですけどね。ここまで二試合続けて完璧な形を見せられるとぐうの音も出ない。
フランスは第一戦からフォーメーションを変更してきて、ようやくリベリーに自由を与えられる4-2-3-1のシステムになったお陰で、攻撃の質はルーマニア戦と比べても格段によくなってました。リベリーが動く左右への振り幅が大きいがためにマークに付ききれていない場面が幾つかありましたし、両サイドのゴブーとマルダの二人、あるいはサイドバックと連携することによってサイドを切り崩してクロスを上げられるようになっていましたし、そういう意味では勝つことだって考えられる試合のはずでした。左にアビダルではなくエヴラが入ったことで縦の突破力も出来ましたしね。ただ失点をするタイミングが明らかに早すぎたことで、攻撃にどうしても出なければならない状況を作り出されてしまったことで、オランダのカウンターがやりやすい形を作らなければならなくなりましたし、中盤の底を務めるマケレレとトゥラランの二人よりも、オランダのエンヘラールとナイジェル・デ・ヨングの二人の方が、こぼれ球への反応も、ポジショニングも、攻撃の芽をつみ取るのも上手く、運動量も豊富でした。特にトゥラランのポジショニングの不安定さは如何ともしがたく、攻撃に集中するにしてもパスで試合を動かすほどの力もなければ、オフ・ザ・ボールの動きでフォワードを助けるほどの運動量もなく、守備でも貢献できずマークも離してしまいがちで苦しかったですね。そのぶんマケレレが前線へ飛び出してみたり、カバーリングで奔走したり様々な仕事をこなしていましたが、お世辞にも攻撃センスがある選手とは言えないので相手の脅威になるほどではありませんでした。もしもフラミニを呼んでいれば少なくとも運動量の面でチームを活性化させることは出来ていたでしょうね。それ以外の面ではジダンへ依存していたフランスの攻撃が未だにそれから脱却できていない印象を受け、プレイメイカーが居たとしてもそこへボールを配球する一枚後ろの選手が不足しているのもまた事実。あとはペナルティエリア内で抜群の強さを発揮できる本格的なストライカーがいないのも、苦しいプレイを要求されたときに苦しいまま誰かを頼んでプレイすることさえ出来ないまま終わる、という要因になっているのかもしれません。
オランダはエンヘラールを途中交代でアウトさせた采配には疑問でしたが、それ以外は的確で結果もついてきてますね。攻撃の迫力と鋭さ、華麗さに目を奪われそうになりますが、やっていることは至極現実的なサッカー。中盤の底に守備に長けた二人を置いてサイドバックの片方はオーバーラップを殆どしないセンターバックを兼任できる選手を置き、主に攻撃は前の数人で行う。ロングボールではなく繋げるサッカーを出来るのは攻撃のタレントが揃っているからこそのサッカーですが、がっちりと固められた守備からカウンターへ移行するのはよくある戦術。それをリスクを冒してどんどんと選手が上がっていくのもまたよくある戦術。
でもあの精度の高さでそれをやられるというのは脅威でしかなく、例えばカペッロからシュスターのレアル・マドリーがやったように、あれだけの選手たちを揃えたチームがカウンターをやると、下位のクラブがビッククラブを相手にするのとは訳が違い、一本のカウンターが決まればそれが得点に繋がるだけの決定力になる。それに加えて、ロッベンとスナイデルのキレっぷりはどうにもならないでしょ。