TopicPath: No Football, No Life. Foot-Lab / EURO2008 / EURO2008 選手の評価と批判 | Newer | Older
ユーロ2008大会で、活躍を期待されながら活躍できなかった選手たちの評価を書いておきましょう。多くの場合に監督の責任がついて回っていますが、それでもピッチの上でプレイするのは彼らですから、その中で改善していくことが出来なかったのは彼らの責任でもあるわけですね。でもこれは悪意があって書いているのではなく、期待していたからこその落胆で書いているんです。その辺をお間違えなく。批判は書いてても楽しいものではないんで中途半端に終わっていたり足りない部分が多かったりすると思います。過度に自己満足のエントリなので多くの人にはスルーしてもらいたい部分でもあります。
■リベリー
彼は試合中に大怪我を負ってしまい負傷退場を余儀なくされ、試合をフルタイム出られたわけではありませんが、それでも多くの場面で期待を裏切ったのは事実でしょう。ただし、それは彼本来の力が劣るからでも大舞台で上手く力を発揮できなかったからでもなく、起用方法に原因を見いだした方が正しいのかもしれません。彼はバイエルン・ミュンヘンで主に攻撃的ミッドフィールダーのポジションでプレイをしていて、その下にシュバインシュタイガー、ゼ・ロベルト、ファン・ボメルといった選手らを置いてもらっている。スリーセンターの前の自由なポジションを与えられ、トニとクローゼの後ろにある広大なスペースを利用することを許されているわけですね。本格的なストライカーであり相手にプレッシャーを与えられる二人の後ろであればディフェンダー二枚を押し下げてくれますからマークは緩く、後ろは三枚でカバーしてくれていますから守備の負担も軽減されている。もちろんそんなことをしなくても彼は優秀な選手ではありますが、そうした方がより輝くのはバイエルン・ミュンヘンでの成績が示してくれています。
ドメネク監督がやったようにどちらか左右にポジションを限定し、動きを制限してしまえば、この大会に出るレベルのディフェンダーと組織であれば封じることに大きな問題はないわけです。さらに、バイエルンではゼ・ロベルトという変化をつけられるプレイヤーが後ろにいることで、ゲームメイクに集中する必要が無く得意な位置でボールを受け、変化をつけて相手を混乱に陥れることを考えていればいい。とてもいい環境を作れればもちろん輝く。フランス代表でリベリーがそこまでずば抜けて素晴らしく中心になる選手かというとそうではなく、マケレレやテュラムらに頼っている代表では、どうしてもそうすることはできなかったでしょう。あるいは、それに近い形を取っていたとしても、この大会で露呈してしまったように低い位置からのゲームメイク能力が今のフランス代表にはなく、リベリーが下がってゲームを作らなければならなかったでしょうから、同様に活躍は出来なかったでしょう。
■ベンゼマ
彼のプレイはゴール前の独善的なものではなく、ボールを受けに下がることや守備に戻ることも含めてクレバーな部分を多く含んでいるんですが、それでもプレイスタイルがスペースを要求しているように見えますね。低い位置でボールを受けてドリブルをして相手のファウルを誘う、というのは何度か見られましたがそれでも脅威になりきらないのはプレイの開始位置が低いからでしょう。フォワードならばもっと高い位置でボールを受け、もっと高い位置から相手ゴールを脅かさなければならない。でもプレイスタイルとしてそれが染みついてしまっているのは、リーグ・アンのディフェンスがその形をとっているから。あくまで欧州主要リーグからするとディフェンスのあり方が雑なリーグですから、それらのリーグでプレイする選手たちにとっては防ぐことは難しくないプレイですし、守備の堅いチームが揃ってスペースを生み出してはくれないのが事前にわかっていたことです。彼のプレイスタイルをそのまま貫くのであれば、バルセロナがいくら手を伸ばしてきたとしても彼はそのリーグに行くべきではない。活躍の場はイングランドへ求めるべきでしょう。なぜなら、あの国の守備には未だに一対一が残っており、広大なスペースが広がっているから。もしスペインやイタリアに行くのであれば、プレイスタイルが凝り固まらないうちに行くべきでしょう。大会前の予想で、「ベンゼマはもうちょっと先」と書いたのもこの辺が原因です。
■アンリ
リーガ・エスパニョーラで見せた低調なパフォーマンスそのままで一得点も実際にはオフサイドでしたし、やはり彼は代表ではスペシャルな存在になりきれていませんね。その原因はあのプレイスタイルでしょうか。本格的なストライカーにもなりきれず、味方を活かすためのポストプレイヤーにもなりきれない。ディフェンダーを背にしたときの脆さはあまりにも酷く、パートナーが似たような選手かそれよりもサイドよりの選手ばかりなのだから活躍できるはずがない。相手を引っ張ってくれてスペースを作ってくれるような選手がいれば多少は楽にプレイできていたでしょう。でもトレセゲとの相性が悪いというのもありましたから、選手選考でアンリを取ったのならしかたのないこと。
もし彼を本当に輝かせたいのであればアーセナル時代のように「戦術はアンリ」にするしかなく、例えそうしたとしてもアーセナルが国際舞台で勝ち上がりきれなかったのを見ても解る通り、あれもまたプレミアリーグ特有の守り方が関係していますから、もしバルセロナが同じ手法をとってアンリの再生を図ったとしても、あそこまでのプレイを見せてくれることはないでしょう。プレイスタイルがあまりにも特異な選手ですから、それに周りが合わせるだけの土壌を作ってやらなければならないんだけど、ドメネクには無理だった。もしくはアンリが以前公言したように、ストライカーではない、そのポジションで使って逃げ場を用意してやるべきでしたね。ポストプレイまがいのことを多くさせていたのでは、彼を殺していたのにも等しい。
■スモラレク&ニハト
彼を活かすのに1トップというのは酷だ。同じく身長が低くパワーではなく裏への動き出し出勝負をするニハトが、勝ち上がっていくトルコとは別にまるで活躍できなかったのも同じことなんですが、彼らのような1トップのシステムを作り上げるのであれば、その一枚下からさらにもう一枚下にディフェンダーの裏へパスを供給し続ける選手を置かなければならず、裏へ引っ張ったあとのスペースを利用する飛び出してこれる2.5~3列目の選手も必要だ。サイドアタッカー立ちにはサイドを深くえぐりきらず早い段階でアーリークロスないしスルーパスを出してもらわなければ、深くまでえぐられてしまうと結局高さ勝負になってしまう。でも実際は彼らのチームの攻撃はサイドを深くえぐり、裏へパスを出せる選手がおらず、飛び出してくる選手もいない。いくら彼らが多くの負担を引き受けて掻き回したとしても、それを活かしてくれる選手も戦術もなければ彼らが輝くはずもない。1トップで使うのを諦めて2トップや一枚下の部分で彼らを使ってくれていれば、もっと期待できるプレイを何度もしてくれていたことだろう。
■クリスチアーノ・ロナウド
多くの元プロ選手の解説者たちが得点王候補に挙げていたのが彼なんですが、彼のコンディションのピークはもうとっくに過ぎ去っていました。チャンピオンズリーグでバルセロナと当たったときには既に下降線をたどっており、明確に封じる方法も見つけられていた。マンマーカーを付けなくともゾーンマークであっても縦のコースを防いで中へのパスをさせるよう意識的にし向けるだけで、自分から突破することを諦めてしまう。突破しようとしてもフィジカルコンタクトの瞬間に倒れてファウルを貰おうとアピールするだけではどうにもならないんです。もっと自由にピッチを横に大きく使い、どこのラインでもボールを受け、ドリブルを仕掛ければよかったんですが、プレイエリアがサイドにより過ぎているために「防ぐための方法」を実践するだけで封じられてしまうように、自分からしてしまっていましたね。そうなってしまったときにもっと低い位置からボールを受けワンツーでスピードに乗ったまま相手に突っ込んだり、ディフェンスラインの裏を狙い続けたり、体を張るプレイを選んでもいいと思うんです。セカンド・キャプテンをやっていたり、過度な期待から、自分らしく活躍しないといけない、とでも思ってしまったんでしょうか。それとも中央にデコがいたからなのか監督の指示なのか。もっとプレイスタイルを崩して、もっと無茶をすれば、いくらコンディションのピークを過ぎていても、もうちょっとの活躍は出来ていたでしょうね。最重要人物としてマークされていたとしても。このままならリーガ・エスパニョーラへ移籍してきたとしても、ロビーニョが来た当初、スペースの無さに目立った活躍ができなかったように、彼もまたフィジカルコンタクトとスペースの面で苦労をし、適応するまでに一シーズン以上かかるかもしれませんね。それまでサポーターが待ってくれるかどうかは別にして。
他にも書かなければいけない人たちはいるんですが、批判ばっかり書いてるとモチベーション保てない(;´Д`)
ここまで書いて解るとおり、特定のリーグを自分は評価していないんです。
特にプレミアリーグの特殊性によって活躍できるはずの選手が活躍できなくなっていってしまうのでは残念ですね。激しい当たりと中堅以下の未だに続くキック・アンド・ラッシュの影響は多くの部分でマイナスに働きますし、騎士道精神溢れる一対一のディフェンスが生み出すスペースに慣れきった攻めをしている選手たちが、それ以外のスペースの詰まった試合で見せる低調なパフォーマンスも、がっかりさせている要因の一つです。選手たちの技術や体力、精神力など疑いようのないほど素晴らしい物を持っていたとしても、慣れがそれらを上手く働かないようにしてしまっているように思えてなりません。でも裏を返せばそれだけスペースがある中での攻防は見ている側をわくわくさせてくれますし、セリエAの様にあまりに戦術的すぎてファウルで試合が中断する回数が多すぎて流れそのものを失ってしまうこともないわけです。あるいはリーガ・エスパニョーラのように選手が簡単に倒れて痛がって試合が中断してしまうこともなく、こねくり回して一向に前に進んでいかなかったり、一方的に片方が攻め続けることもない。そういう意味ではいいリーグですね。テレビカメラの位置も近く、迫力のある映像もありますから選手たちにスピードがあるようにも見える。
そのプレミアリーグに近いのが今のリーグ・アンやエールディビジでしょうね。リーグ・アンに所属するアフリカ系の選手たちの身体能力の高さは驚異的なスピードですが、守備の技術がそれに追いついておらず戦術的にも高いレベルにもない。シャンパンサッカーというよりもドリブル主体であり身体能力主体、ファインゴールも多いけれど偶然の産物という言い方も出来る。中にはパスで組み立てることが出来る選手もいるけど、それは希有な存在で単調なスピードのある試合になりがち。個人的にはベンゲルがここの選手たちを引っ張っているように(最近ではナスリ)、プレミアリーグに通じる部分が多く、そのための育成組織のような見え方すら出来てしまいますね。
エールディビジは見せかけだけのトータルフットボールのお陰で守備がおざなりで、全員の攻撃にかける意識の高さとは裏腹に守備になったときの戻りの遅さには絶句するほどで――って、また批判ばかりでエグくなってきたので、もうやめときます。
素人目にはリーガのサッカーが一番面白いんですが、あれはあれで(ry