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EURO2008 ポルトガル対ドイツ / 準々決勝1

Date
June 20, 2008 11:00 AM
Category
EURO2008
■Portugal 2 - 3 Germany
ドイツが勝つためのサッカーをした、というのは身も蓋もない言い方なのでそれはしません。少なくとも、勝つためだけに引いて守りカウンターでのみ得点を挙げたわけではありませんし、得点の形も決して泥臭いものではない。最後の部分以外はいいサッカーだと思っています。

シュバインシュタイガーがクロアチア戦で犯した報復行為のレッドカードにはがっかりさせられ、彼の成長を疑いたくなったし、これからの出場も危うくなったんじゃないかと思っていたんですが、この試合で十二分に名誉挽回を果たして、全得点に絡む活躍はマン・オブ・ザ・マッチに相応しい活躍です。もとから正確なキックをもっていて、サイドから上げるクロスだけでなく、左サイドからの巻き込むミドルシュートも彼の得意技なんですが、左からのグラウンダーのクロスに飛び込んだ場面には驚かされましたね。体を張ることをいとわない選手ですが、左側でプレイしているときのボールを持ってドリブルを仕掛けるイメージが強くて、また、バイエルン・ミュンヘンでの右サイドでプレイしているときのバランサーとしての動きの印象が強くて、カウンターになったときに一枚であそこにいる、というのは今まではあまり見られなかったと思うんですヨ。あとは二点のアシストをしたフリーキックもよかったんですが、それよりもあの粘り強いディフェンスは大きくドイツを助けていましたね。ドイツは主に中のスペースを消す動きを中心としていて、サイドのケアはそれほど多くしていなかった。意図的にそうやっていたんですが、二失点目になった場面だけはサイドに多くの人数を吊り出されて失敗していました。
試合全体を通して言うと、中を固めてサイドのケアはサイドアタッカーの選手一枚に任せ、クロスを上げられることよりも中へのパスをケアする方を選んでいました。シモン、ボシングワの縦のラインが最も多かったんですがそうやって縦へのパスは出させてもらっていたが、横に並ぶ選手たちへのパス成功数が低いのを見ても明らかなように横へのパスコースを切られていた証拠でもあります。その中でポルトガルのシモンやクリスチアーノ・ロナウドと両サイドバックが連携して攻めてくるわけですから、それだけでもサイドでドイツは数的不利を作られる。そこに状況を的確に読んでデコが流れて3対1の状況を作り出して攻めようとするのだから、大きな負担になりますよね。ドイツの左サイドはラームが粘り強く対応したとしてもポドルスキに守備の負担を求めるのは酷ですから何度も崩されていましたし、一失点目のプレイも彼の軽い守備から始まったことを考えればしかたがない行為。そのために中へ絞れるアルネ・フリードリッヒを右に置いていますから左からのクロスにはある程度対応できる。でもドイツの右側が左ほど簡単にやられることがなかったのはシュバインシュタイガーが中へのドリブルではなく、どんなフェイントをされても縦へのドリブルコースを消し続けたこととボールを奪うのではなく、マークし続ける粘り強さを持っていたことでしょう。

ポルトガルに本格的なストライカーがいないことをずっと弱点だと言い続けてきましたが、この試合のようにクロスでギャップを作り、ディフェンダーとキーパーの間にボールを入れ続けることが出来ればその必要はあまりない。でも得点できた場面や決定的なチャンスになってシュートまで持っていけた場面ではそうであっても、苦しいときにポルトガルは中へ向かってドリブルをしてパスで崩そうとする意識が働いてしまって、ドイツ人の密集している地域に特攻をかけているようなもので、そう簡単には崩れませんし、何より人数が多いから一本パスが通ってもシュートへ行く前に寄せられてしまう。そういったときに本格的なストライカーがいれば、サイドにあれだけのスペースを残してくれているのだからクロスを徹底的に放り込み、高さではなくタイミングの部分でドイツに真っ向勝負を仕掛けていってもいい。190cmを越える二枚のセンターバックに挟まれていても、180cmそこそこの選手がヘディングゴールを多々決めてしまうのがブンデスリーガ。クロスの質とストライカーの質が高ければ高いほど、身長の高さなんてものはそれほど有利な条件じゃなくなってくるんですヨ。ヌーノ・ゴメスもエウデル・ポスチガも勇気を持って何度も何度も挑戦できるストライカーではなかったのが原因かもしれません。もしくはドリブラーたちがより確実な崩し方を模索してクロスを上げようとしなかったのが原因か。
ドイツがポルトガルのように、得点を出来る位置でファウルを犯し、フリーキックをあまり与えてくれなかったのも一つの要因でしょう。ドイツは二度のチャンスを逃さず決めてしまったのだから。

あと書くとすれば、ドイツはフリングスの負傷欠場でどうなるかと思った守備的ミッドフィールダーの位置ですが、ロルフェスがなかなかの働きをしていましたね。ドイツの守備の取り方は、中へ絞り気味の4バックの前に4人のセンターハーフを置いてバラック、クローゼ、という形だったでしょうか。味方によってはイングランド式の守り方で、ディフェンスラインとセンターハーフのラインの間にスペースが出来て、試合序盤に幾つか突かれたように危険なエリアが出来るんですが、ラインを低くし過ぎない、ラインが低くなったら前のラインも押し下げることでその部分を減らしてカバーしていました。だから終了間際のようなどん引きサッカーみたいになってしまったわけですが。
それはともかく、ロルフェスはフリングスのように一枚後ろに残ってアンカーの仕事をするのではなく、センターハーフとしての仕事に近かった。サイドバックやサイドアタッカーからのパスを中央で受けて配球する。状況に応じて前へも出るが基本は後ろ、というのはありましたが、彼とラームのパス交換が試合の中でもかなり多い部類だったのが、効果的にプレッシャーをかわせていたことを物語っていますね。
中二日のドイツが前の試合でスタメンの多くを休ませたポルトガルに勝った、といっても短期決戦の中では一試合休養を取ることが必ずしもプラスに働かないんで、どうだったんでしょうね。日程的にとてもドイツの方が厳しかったのは確かですが、それだけに肉体的にも精神的にも緊張を保ったまま挑めたのかもしれません。

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