Bundesliga 28. Spieltag ニュルンベルク対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 4 月 1 日

■1.FC Nurnberg 0 – 1 FC Bayern Munchen
バイエルンはチャンピオンズリーグの影響を受けて、珍しくいくつかの選手を休ませて試合に臨んでいる。特にコンテントの先発出場は久しぶりで、それ以外にもティモシュチュク、プラニッチがそれぞれ先発している。

バイエルンは両サイドのアタッカーを大きくタッチラインに広げ、サイドバックも開かせている。ニュルンベルクの守備を大きく外に広げる効果を期待して広げて、狙い通りにしっかり広がっているものの、バイエルンは広げた後を利用できていない。ニュルンベルクから強いプレッシングを受けているわけではなく、中盤もマークされているわけではない。それでもボランチを経由して大きく開いたウイングへボールを配球していくことが出来ておらず、センターバックで回しサイドバックに預けて縦へ出している。それではせっかく相手のマークを外へ広げていてもしっかりと構えられてしまって動きを限定され、次に中へのコースを複数で閉じられてしまって横へパスを動かすこともままならなくなる。そしてバックパスをして再びサイドバックへと戻し、ようやくボランチへ預ける。預けてもウイングは先のマークでパスを出せず、フォワードへも出せない。フィードで直接裏を狙い、ニュルンベルクのディフェンスラインの背後を取って押し下げを狙って繰り返していかなければならなくなっている。

バイエルンは相変わらずバイタルエリアの埋め方が甘く、クロスからニュルンベルクにチャンスを作られてしまっている。特に左のコンテントの所から上げられてしまうと、クロスに対応するのが身長の低いラームになってしまう。センターバックをこなせるティモシュチュクが出場しているのだから、彼に後ろへの意識を持たせてケアをさせ、クロスへ対応するためディフェンスラインに入らせればいいものを、彼が後ろへ戻る意識もバイタルエリアへ入る意識も出せていない。どの試合でもクロスへの対応から危険な場面も作りつつ修正できていない。プラニッチが出場しているお陰で左側は、中盤が下がってきてコンテントと二枚で挟み込めてバドシュトゥバーが必要以上に引き出されていないのは改善された点。特にアラバのように簡単に裏を取られないためにサポートを早く行う必要がないことが大きい。プラニッチが守備に下がって出来たスペースをマリオ・ゴメスやミュラーが使うことで、本来ウイングがいればマークされて潰されてしまう外のスペースを残したまま彼らがボールを受けられるのも試合中に改善された一つ。
ボランチの背後への守備意識の薄さは問題があるものの、それだけポジションをあげていることは攻撃面においてはプラスになってきており、セカンドボールを拾う回数の多さや、攻守の切り替えからスムーズにプレッシャーをかけられることにも繋がって連続して攻められる。ウイングや上がってきたサイドバックから中へのパスコースを作る動きにもなっていて、立ち上がりは出来ていなかった横への展開を作ることが出来ている。守備面ではニュルンベルクの中央攻撃をプレッシャーによって押し戻してバイタルエリアから戻させ、外へとパスを出させて押し出していく。中を固めて外へ持っていかせる面では狙い通りに進んでいるものの、そこからはクロスを狙われるわけで、自分たちで後ろへの守りが必要な状況を作りながらそこを埋められないのが気にかかる。ただ低い位置から外へ出されるボールに関してはラームもコンテントも残って対応しているためフリーで使われることはなく、待ち構えてパスカットを狙うことも出来ている。彼らが残っていることでセンターバックが外へ引き出されることなく残って、縦パスにも反応できる。ただ引いてしまったディフェンスラインとそれ以外との距離は開いてしまって裏を取られてこそいないものの、前後に伸びてしまってフォアチェックや縦パスに対して鋭く反応して捉えることが出来なくなってきている。

ニュルンベルクはボランチとフォワードを繋ぐ動きをしているミュラー、その両者共に抑えるために激しく体を寄せて接触を持って動きを限定しようとしており、それ以外もポジションを動かしていてもしっかりとそれに合わせてマークを修正してきている。ただ間延びに付き合おうとはしていないため、ニュルンベルクがフィードを中心に組み立ててバイエルンのラインを押し下げてしまうとボランチを掴まえられなくなり、そこから自由にパスを出されてしまう。それに加えて守備に下がって上下動をするプラニッチを注意してみておかなくなった影響から、右サイドバックな画家へ絞ってしまってプラニッチを見ず、バイエルンは縦パスを入れてから大きく空いた左のスペースへ彼を走らせてクロスを狙うことも、そこから中へのパスやカットインなどいくつものチャンスを得られる。しかしバイエルンが間延びを解消してしまえばそのスペースも消されてしまうわけで、マリオ・ゴメスが再三にわたって裏を狙ってくれているお陰でラインを引っ張っているからニュルンベルクにコントロールされていないものの、縦の厚みがあっても選択肢として利用できる部分は少なく、特に横の変化に富んだ攻撃が出来ていない。欲に横パスが相手を揺さぶったりフリースペースを使うものではなく、様子を伺っていたり、パスコースが無く仕方なく出しているだけで、パススピードも遅い。

後半に入ってもボランチがボールをディフェンスラインから引き出すところまでは出来ても、そこから先との距離が開いてしまってパスを繋げない。フィードで裏を選択しなければならないほど、攻撃陣はニュルンベルクの裏へ走ってしまって、受けに戻ってきて繋ごうとする意識が足りない。裏へ抜け出すにしても全ての選手がその意識を持ってしまっていることでニュルンベルクはそれに狙いを絞って守りやすく、競争を前提とした体勢を整えていられる。仮にパスが通っても同じ動きで全体が動くために横に動かせる場所が無く、それぞれが掴まえられてしまう。さらに後ろからの押し上げを待とうとしても距離が開いてしまって間に合わない。せっかくのフィードからの速攻をいかせない。ロッベンとミュラーで前後の関係を作っても、中にはマリオ・ゴメスしかおらず、逆サイドからプラニッチは絞ってこない。クロースが追いつけるわけもなく、パスコースが一つしかないのにシュートまで持っていけるはずもない。リズムが単調でクイックに攻め続けても効果は現れない。そういった意味では早い段階でシュバインシュタイガーとリベリーを投入したのは正解だったように思う。彼らが入ったことで後ろからフィード一本で何とかしようとするよりも、まず預けて横に動かしながら彼らのポジションを見て繋いで戻し、前線で連携が取れるほど距離を縮めたのを見て縦パスを入れて連動しながら崩しを狙う。クロースと二枚で縦パスを入れるパサーが出来たことでニュルンベルクは狙いを絞りづらく、足下へのパスと裏へのスルーパスの二つを警戒しなければならなくなった。飛び出しに対してついていけず、スピードアップするミュラーについていけなかったり、その後に飛び出すマリオ・ゴメスの時間差で飛び出せるようになったものにもついてけなかったり、徐々に綻びが見え始め、ラームやコンテントのオーバーラップも目立ち始めた。ゴール自体はオフサイドで認められなかったが、同じ飛び出しにしてもタイミングをばらけさせて相手に対応を絞らせなくなった。リベリーが入ったことでポジションの横の変化が生まれ、同じく横に動くロッベンを加えて、中央に厚みが生まれてそれぞれの距離が近くなったことも大きく、セカンドボールを拾ったり攻守の切り替えを素早くして奪い返せるようにもなった。しっかりと中央に厚みを用意して距離を縮められたことでリベリーの飛び出しに繋がり、その後のこぼれ球をロッベンが押し込むことにも繋がった。

失点後のニュルンベルクはそれまで早いタイミングで入れることの多かったクロスを、深くえぐってからよりチャンスを広げようとするようになってしまい、最後尾に人数を揃えきれないバイエルンが、待ち構える時間をくれるようになった。ただ深くえぐろうとすることで実際にドリブルで抜かれて鋭いクロスを入れられることもあるものの、バイエルンとしては陣形を整えられるだけの時間があってギャップを疲れることもなくなった。さらにニュルンベルクが攻撃の起点を外側に設けるのではなく、中央にフィードを当て、縦パスを入れてから外へと展開しようとバイエルンの守備が堅いところにボールを入れてから勝負しようとしてくれることで、スピードを落とすことが出来るようになった。右からのクロスも持ち替えて左足であげなければならないニュルンベルクにはクイックさが無く、余計な手数と時間をかけすぎているように思う。リベリーは守備負担をきっちりこなし、ルイス・グスタボが投入されてさらにバイエルンは中央を固める。ニュルンベルクは無理に中へパスを入れてゴール前で崩そうとして捕まってカウンターを受ける繰り返しで、外からのクロスも中へ守備が整ったバイエルンに対して先に触ることは出来ても、シュートやゴールに迫れるものではなく、決定的な場面はロングシュートから一つだけだった。ただバイエルンはクロスに対して先に触られる場面があまりにも多く、人数が揃っていても人を掴まえ切れておらず、動きも見られていないのかもしれない。

Liga Espanola Jornada 31. バルセロナ対アスレチック・ビルバオ

2012 年 4 月 1 日

■FC Barcelona 2 – 0 Athletic Bilbao
両者とも過密日程のためメンバーを変更しなければならず、特にヨーロッパリーグを戦っているビルバオにとっては厳しい試合間隔になっている。

バルサはフォアチェックの意識が高く、繋ごうとするビルバオに対して最前線からチェックを行ってディフェンスラインも高く保っている。ビルバオはそれでもクリアで逃げるようなことを選択せず、キーパーを含めて外へと繋ぎながら前へ運ぼうとする。バルサはフォアチェックによって高いラインの背後へ直接フィードを入れさせないようにしているものの、サイドを中心に走られてしまって戻りながら対応をしなければならない。ただカウンターに関してきっちりと攻守の切り替えからプレッシャーをかけていて、一気に後方へ引き戻されることはなく、一つ守備の準備をする時間は必ずあり、慌てることなく対応することが出来る。ビルバオはしっかりと繋いでいるものの、若干淡泊なほどで、守備における印象と攻撃に回ったときの印象が異なる。

ビルバオはしっかりとボールホルダーを見てボールの受け手をしっかりと捉えて厳しい守備を行っている。特に体を寄せて密着をして行動を限定しようとするビルバオの勢いはあり、それができるだけポジションの修正についてきている。特に一度背後に入られてからそれをセンターバックら一つ後ろのポジションの選手に任せてしまうのではなく、自分で追いかけてプレッシャーをかけ続ける。それに加えて縦パスにしても掴まえられるように距離を縮めて受ける瞬間に体を常にぶつけられるよう距離も保ってマークを見ている。最前線からプレッシャーをかけるトケーロを中心としたフォアチェックに加えて、追いかける後ろへの守備、そのどちらもを徹底していることでバルサは自由を得られることは少ない。それに加えてウイングに対するマークを積極的に行っていて、他のクラブであれば自由にすることの多いタッチライン際に関してもそれ以外と同様に向かっていけるだけの距離を保って、バルサに外へ広げられないようにしている。外から縦へ引き戻されることも、中へと動かされることも上手くさせないようにしており、外を塞がれていることで、サイドバックのアドリアーノとダニエウ・アウベスの二人がウイングの外側をポゼッションの最中に追い越していく場面は見られず、中へ切れ込む回数の方が多く、高さも相手を広げるほどの高さを保てず、マークを引きつける役割もあまり効果が無い。
バルサはそれぞれがマークに付かれている影響もあってセンターバックが持ち上がる場面が多い。縦パスを送ればチェックを確実に受けてしまうためそれを選択しづらく、細かいパスを繋いで動き直してポジションを修正していく繋ぎ方にしても、ビルバオが同じようにポジションを修正してマークを離してくれないことが影響をして、フリーの状況を作れない。サポートを近くしてワンツーで抜け出そうとしても、それにも必ずついてくるため数的有利を前で作れず、左右どちらかのコースも限定されてしまう。人に付いてくる以上、ドリブルで一人かわすことが出来れば、前にフリーなスペースが出てくることはあるものの、そのプレッシャーが余裕を奪われてしまう。外へウイングを広げて、マークも付いてきていることで中盤中央にはスペースがある。それを利用させてもらえない難しさがあって、ファウルは増えている。接触をファウルと取らず、ファウルにカードを出さない審判とビルバオの戦い方は相性が良く、バルサの選手たちは相手を常に意識させられてしまっている。

バルサは裏へのランニングとフィードが少なく、ディフェンスラインを押し下げてマークの距離を広げるパスを選択していない。パスの出し手に対してプレッシャーがかかっていることでそういったらランニングをしづらいことに加え、相手を広げるためにウイングが外へ開きっぱなしで、中へのカットインを選択できず、センターバックの背後を取る動きにはならない。中央に相手を集めないことでメッシの周囲にイニエスタを上がらせ彼らの前への推進力を利用しながら崩すことを考えているのかもしれず、そのためにはウイングを中に入れて相手を集めない方がいい。ただそれをしなくとも中の人数がそろっているためチャンスは増やせていない。サイドバックも縦のオーバーラップではなく中に入っていることで、マークをさらに外へ広げられず、中へ集めてしまっているため、攻撃参加が逆効果になることもある。徐々にマークの修正やチェックに繋がるポジショニングを出来なくなっているビルバオを相手にディフェンスラインを乱したり、バイタルエリアを広げて前向きにそこでボールを受けて仕掛けたりラストパスを選択できるようになってきている。そしてマークを引っ張りながら別の選手がオーバーラップをして縦のギャップを作る。ウイングのアレクシス・サンチェスが絞っていたこともあってイニエスタのオーバーラップに対してマークに付く選手がおらず、フリーのままゴールに迫ることが出来た。そして先制点。

後半開始にあたって二枚を同時投入したビルバオは攻撃への淡泊さが無くなってしっかりと攻撃に対して繋ぎ、オーバーラップをし、ボールを追いかけて全力を傾けようとするようになった。守備の意識を削っているわけではないものの、前へ向かって徹底してついていったりバルサの後方に対して時間を与えないようプレッシャーをかけ続けることは減り、後ろで待ちかまえる場面が増えた。特にバルサはサンチェスのポジションをウイングとして外側に起き続けるよりも、中へ入れる回数が増えて相手を引っ張りながらプレイするようになり、より攻守の切り替えが攻撃へと直結する前線の守備が出来るようになった。ビルバオが前へと勢いよく向かってくることでパスコースを読みやすく、トケーロを中心にして向かってくる選手を受け止めればよく、パスカットを狙った守備も出来るようになった。
パスにしても相手の前で受けるだけではなく、ディフェンスラインの背後へ出して走らせて受けるようなものも、パサーにプレッシャーが減ったことで出しやすくなり、飛び出すスピードをそのまま活かし、ディフェンダーの頭の上を越して通るようなパスを選べるようになった。オフサイドになる危険は増えるものの、ビルバオに後ろ向きの意識を植え付けることは大きく、それによって前後のコンパクトさを失わせてバイタルエリアを広げ、マークの距離を広げてチェックのタイミングを遅らせる。先に潰せないことで次が難しくなり、ボールを触る旬簡易体を寄せて自由と余裕を奪っていたのができなくなって、バルサは勝負のドリブルやパスが出来るようになった。テージョがPKをもらってメッシがゴールを決めて二点目。ビルバオはジョレンテを投入してさらに攻撃への意識を増やすようになった。

ビルバオは引き戻されてしまって前後のコンパクトさを失った部分を修正できておらず、前半であればドリブルで抜かれても追いかけて残っているディフェンダーと中盤が挟み込む形を作れていたのが、中盤は抜かれても追いかけているものの、それをセンターバックが前へ出て挟み込む形を作れておらず、プレッシャーをかけ切れておらず、自由を奪えていないことが大きい。バルサはワンツーやドリブルで仕掛け、止められたとしてもセカンドボールを拾えるようになった。横に動かしてチェックをかわしてオーバーラップを呼び込めるようにもなり、飛び出しを含めた縦のギャップの作り方でゴール前にあっても厳しくぶつけられなくなってきている。

守勢に回るバルサにしても攻撃に出てきているビルバオにしても、運動量が減ってダイナミックなポジションチェンジが出来ず、オーバーラップの勢いや押し上げも減った。ボールホルダーともとから前へポジションを取っている選手が絡もうとする動きはあっても、背後に飛び出すことは少なくなってきているし、それより後ろの選手が追い越していくまでに多くの時間を必要とするようになってしまっている。消耗の具合が運動量の低下で判断できるほどで、守備に戻るスピードも落ちて複数で囲い込む場面が、バルサにも少なくなっている。シャビが投入されてからはよりポゼッションの意識を明確にして、未だ元気に走り回るダニエウ・アウベスのオーバーラップを利用しつつペースを握るようになって、ビルバオの全体を押し下げ、戻りながら守備をするのではなく、前へ向かって守備をすることでバルサがペースを握って攻撃をし続けられる環境を整えようとしている。だがビルバオも飛び出しと裏へのパスを使用して、バルサのセンターバックの横をついて外から起点を作ろう年、セカンドボールを拾えるほど前へ出てくるようにもなった。全体を前がかりにしたことでセカンドボールも拾えるようになったが、バルサはケイタを投入して緩くなっていた中盤から後ろに戻る守備を引き締めた。それでもポゼッションは上手くいかずにセンターバックに戻す回数は多く、縦パスを入れて斜めの変化を生むことも難しい。消耗も含めて効果的なパスは少なく、一つのチャンスをシュートに結びつけるしかない。なんとかビルバオの攻撃は抑えきり、難しい試合をきっちりと勝利で終えた。

UEFA Champions League 11/12 Quarter final 1stLeg マルセイユ対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 3 月 29 日

■Olympique de Marseille 0 – 2 FC Bayern Munchen
マルセイユは積極果敢に人に向かって体をぶつけ足を出して接触から止めようとしており、縦の突破にしても足を止めて対応するのではなく併走して体を預けるチャンスを待って止めようとしている。ただバイエルンが苦手とするフォアチェックによって押し下げられてしまうような展開を作ることはしておらず、あくまで待って自分たちのフィジカルを活かせる環境を作ってから守備を行おうとしている。それをバイエルンは上手く接触を逃れられるようボールをコントロールし、接触が起こるよりも早くボールを離してしまうことで上手く支配している。特にタッチライン際まで大きく開かせたウイングがボールを逃れる先として選択できる、相手を広げられるのは大きい。それでもマルセイユはボールを離した後でも確実に体を立てようとするところに危険があり、バイエルンが逃れるパスを選択する要因になっている。ただフォアチェックによって下げられるわけではなく、事前に捕まれてボールを受ける動きを制限されるわけでもない。オーバーラップも自由にさせてくれている。ボールを受ける段階で制限されていることが殆ど無いため、次の行動へと移りやすく周囲も連動しやすくなっている。そうなるとマルセイユは次の攻撃を予測するのが難しくなり、より詰められなくなってリトリートし、ゴール前を埋めるほか無くなっていく。

マルセイユの攻撃もバイエルンにとって苦手とするものではなく、ショートパスを繋ぎ、フィードではディフェンダーの前で体を張って受けようとしてくれる。センターバックの背後に走らせるよう大きく蹴り込んでこないため、背後のスペースを気にして押し下げられることが無く、相手の守備によって下げられることもない。陣形を保って、相手のパスに対してセンターバックが引っ付いて振り向かせないようにすることも簡単にできる。フォアチェックをかわすテクニックやスピードを持っていても、裏を意識した動きがあまりにも少ないことでパスコースへとカットに出て行くのを躊躇せず行えるのは大きい。しっかりと足の届く範囲で相手を掴まえていることで反転されそうになってもボールに触って行動を限定できる。カウンターになっても、ディフェンダーの前でボールを受けてt、サイドを上がっていく選手へパス。それもサイドバックの裏ではなく前で収めてしまうため、スピードアップをしきれず、カウンターの勢いも止まってしまう。守備時に押し下げられてしまっていることが他の上がりを遅くさせていることもあって、裏へ直接出しても個人で全てを打開しなければならず、あまりにも負担が大きい。サイドをえぐってのクロスやコーナーキックで、高さを活かしたりディフェンダーとキーパーの間に入れることでチャンスは作っているものの、相手の前で受けているため、収められるのかどうかを周囲の選手が見て判断してから走り出しているように見え、その遅れがバイエルンに陣形を整えさせていることにも繋がっているようで、回数チャンスを作ることが出来ない。

前半途中からリベリーをアスピリクエタがしているように、背後から密着して掴まえ、ボールを受けた後に自由なコントロールをさせないよう距離を縮めてマークするようになり、縦パスへの反応を早めてセンターバックが出て行く回数も増えた。それまでの遅れ気味のチェックに比べると体ごと掴めるために強さを活かせるようになって、バイエルンに縦へ深く入り込ませないようになった。ロッベンにドリブルを使わせるなどそれもまだ不十分ではあるものの、バイエルンが全体を押し上げるのを躊躇するには十分で、ポジションを動かしながらパスを繋いでオーバーラップを誘発するのもタイミングを計らなければならなくなり、一人一人がボールを持ってパスコースを探す時間が増え、その間にチェックを受けて繋げないボールを蹴ることも増えた。そしてフィジカルコンタクトの激しさと自由に出来なくなった苛立ちもあり、ボールを奪われて攻撃へと移られるタイミングで潰さなければならなくなったことも含めてファウルが増え、バイエルンはカードを出されてしまうようになった。当然のようにマルセイユにもファウルは増えているものの、自らコントロールしているため、それが熱くなって試合への集中を損なうものにはなっていない。

カウンターからロッベンが運び、マリオ・ゴメスが決め、前半終了間際にバイエルンが先制。セットプレイでマルセイユが前へ重心をかけたところの背後を上手く使ったゴールだった。マルセイユにはこのゴールのように背後へ飛び出してシュートに直結させるプレイが足りていない。

後半はマルセイユが意図的にワイドレンジにパスを配球するようになってフィードをフォワードとセンターバックが競り合うよりも身長の低いサイドバックと競らせる場面が増えた。特に縦の展開ではなく横の展開を使ってサイドへボールを動かそうとするようになり、サイドを限定して背後から掴まえておくのが難しくなった。サイドバックを含めた攻撃参加もするようになって外の人数も増やしてマークの対象を絞れなくしていることもあり、裏へボールを出していないことに変わりはないが、バイエルンが抑えづらく、前向きにボールを扱われるようになった。
守備面でもリトリートせずにラインを保とうとしていることは改善された点で、前で追い回し、バイエルンのセンターバックにこそ自由に持たせているものの、サイドバックやボランチに与える時間は少ない。縦のコースを切りながら寄せてパスコースを限定していく。バイエルンは横へ動かしながらサイドバックからウイングへ縦に出す、悪いときのパターンを多用しなければならなくなり、より体をぶつけられやすくするほどにバリエーションが減って考える時間が増えてしまった。その間に寄せられて、追われて、ディフェンスラインが攻撃時に下がってしまう。縦に伸びてそれぞれの距離が伸びてしまってサポートが得られず、長いパスコースでカットを狙われる。前後の分離とマルセイユが攻撃に出ていることと合わせてカウンターでシュートを打つチャンスは増えたものの、流れを得ているとは言い難くなった。外に起点を作られるようになって、アラバの裏を狙われてバドシュトゥバーが外へ引き出されるようになったことも悪い流れの一つ。ルイス・グスタボがセンターバックとして振る舞えていたり、交代で入ったティモシュチュクが同じ役割を果たせれば数の問題を解消することはできているものの、攻撃面ではさらに後方からの展開力を交代によって失ったということでもあり、マルセイユにボールを動かされるようになってしまった。

ただバイエルンはマルセイユが激しくぶつかってくることを利用してファウルを得ようとコントロールしていくことが出来るようになっており、リードもあって余裕がある。マルセイユの激しい接触やマークもタイミングがずれれば簡単にかわされて逆を突かれるのと変わらず、スピードアップできる要素になっている。加えて消耗もあるようで、一つ一つの寄せが甘く攻撃に出るための意識が強く、戻りが遅くなっている。スペースがブロックの中央そこかしこに出来てしまい、ワンツーからロッベンが抜け出して追加点。

その後のマルセイユは足が止まり、ボールサイドでこそ人が動いているものの、ボールホルダーとサポートの距離があまりに近く、フリーランニングで変化を作ったりマークをずらすような動きもなく、同サイドで細かく動かそうとして渋滞を作ってしまっている。それ以外にも攻守の切り替えで判断が鈍くなってバイエルンのチェックを受けて展開すらままならず、他の選手たちはボールがでると信頼して上がっていくことが出来ない。バイエルンは無理をせずにボールを動かしながら厳しくぶつかられる前に球を放し、動かしていく繰り返し。マルセイユが裏を取ろうと走るのはサイドバックの裏のみで、最後までゴールに近いセンターバックとサイドバックの間や、センターバックの後ろを取ろうとせず、バイエルンに後ろへのケアを意識づけられず前への守備を楽にしたままだった。

UEFA Champions League 11/12 Quarter final 1stLeg ACミラン対バルセロナ

2012 年 3 月 29 日

■AC Milan 0 – 0 FC Barcelona
ミランはチェックを早く、バルサに時間を与えず守備を行い、ブロックを中央から作って外へ押し出すためのチェックにして縦を塞ぐ。的確にコースを塞ぎながら追い込む守備はバルサに焦りを生じさせてミスを誘い、プレッシャーに押されながら後ろで構築してチャンスを伺おうとしていたブスケツにパスミスをさせ、決定的な形を作った。それに加えて、左サイドバックにプジョルが入っていることで、ディフェンスラインでボールを動かしても、左側から縦や横の変化を作りづらい。

攻撃面でもバルサに時間を与えないのは変わらず、球離れが早く時間をかけない。バルサのフォアチェックよりも早くダイレクトでボールを動かしつつ、パスのレンジを広く保つ。狭い範囲の中で動かしていれば囲い込むことも可能になるが、タッチライン際に広げるボールの動かし方を捉えるのは難しく、さらに三枚残した前線にフィードを入れられることも考えなければならないため、センターバックを押し上げてチェックに参加させることが難しい。裏へのフィードを考慮して距離を取らなければならないし、ポストプレイも警戒しなければならない。サイドへ流れるロビーニョとボアテングをも警戒しなければならない。序盤こそそれを掴まえきれていない場面が見られたものの、セルヒオ・ブスケツがロビーニョやボアテングを見てマスケラーノがそれをカバーする形を作り、ダニエウ・アウベスのポジションを下げずに対処できるようになった。

攻撃面でもミランのチェックを受けなくなり、バイタルエリアにメッシを入れてボールを受けさせることが出来るようになった。横パスやバックパスの頻度が多いものの、それぞれがポジションを取り直して追い越す動きに加え、アレクシス・サンチェスがディフェンスラインを引っ張っていることもあって、ミランの守備が少しずつ縦に距離ができはじめている。ポジションを前後に動かれることによって後方にブロックを作る動きとチェックに出る動きのどちらかを選択しなければならなくなっており、ミランは後ろでブロックを作る方を優先している。そのため、シャビやブスケツに対してチェックに行けず、彼らに前向きにボールを扱わせてしまい、縦パスを入れられる環境を作っている。だからこそメッシやイニエスタがバイタルエリアに入ってボールを待つことを選択でき、センターバックが待ち構えられているものの、間延びに繋がってきている。流れの中ではフォアチェックに連動性が薄くなり、ディフェンスラインの押し上げが不十分なことからバルサが縦に伸ばすことでプレッシャーは受けながらも、パスで逃れてコースを探すことが出来るようになった。バルサはこの試合ワイドに利用しようとする意識は低く、アレクシス・サンチェスが一枚でラインを引っ張っている影響を受けている。イニエスタは下がって試合を作ることに参加をして、メッシも引いたりサイドへ流れてボールを受けて、ファウルに晒されながらもボールタッチ数を増やしている。ケイタがプジョルが上がれない分のバランスを取って補ってサイドに開いているものの、タッチライン際まで広げる場面は少ない。どうしても縦を切って塞いでくるミランに対して、ダニエウ・アウベスへのパスもタイミングが早くなりやすく、縦へスピードアップをするよりも、横へスライドをして中央でパス交換を狙ってしまう。バイタルエリアで受けさせてくれているからこそそれができているものの、中盤が引いて挟み込もうとする中で、さらに中央へブロックを作られてしまうと窮屈でこじ開けるのが難しい。どうしてもぎりぎりのプレイをしなければならずフリーでシュートは打ちづらい。何度もダニエウ・アウベスはフリーにしてもらえているが、最後は中へのパスと決まっているため、彼を自由にしていてもミランは慌てる様子がない。

選手同士の距離が伸びてバルサが掴まえやすくなったのは大きく、タッチライン際とフィードに警戒しなければならないのは変わっていないが、プレッシングをダイレクトパスの連続で逃れられるほどではなくなり、パスコースを限定したチェックとその先にあるマークによってタッチ数を増加させ、時間をかけさせることでさらに次を防ぎやすくしている。ただシャビの所を奪われてカウンターからイブラヒモビッチに決められそうになったり、カウンターで外に起点を作られているものの、バルサの守備が徒労に終わる事は少なく、きちんと他へのコースの限定、プレッシャーからクリアで逃れさせるなど効果を発揮し、ポゼッションへと移行しやすくしている。特にキープ力のあるセードルフに持たれていないことが大きく、彼を守備に奔走させて押し下げることで攻撃時に収め所として利用させず、そこから大きな変化も出させない。彼へはダニエウ・アウベスが注意を払っていて早めに潰そうとする意志が見える。プジョルが中へ絞って守ることでロビーニョにしてもイブラヒモビッチにしても、どちらもきっちりと二枚で前後に挟んでマークしておくことが出来るのは大きく、アンカーを含めた体勢はそこを緩めてしまわない限り、フィードにも裏へのパスにも対応を出来る。最前線へボールを収めさせなければ、オーバーラップを始められないミランに対して有利な状況でバルサは試合を進められている。

後半のバルサは少しばかり外に起点を作ろうとし始めた。特にポジショニングの面で、バイタルエリアへ縦の動きで入るのではなく、一度タッチライン際に開いておいてからボールのないところで横にスライドして入っていく。イニエスタのポジションもタッチライン際からスタートさせて中への変化を入れて、ミランの守備を外から中へと絞らせるように構築させ、逆サイドが絞るのとセンターバックが前へ出てバイタルエリアを埋めにかかる動きを牽制している。守備の幅を広げて中盤を引き出してバイタルエリアを広げる。ミランがそれに乗っかってくれるだけなら楽に動かせるようになるものの、縦に動きが少なくバイタルエリアに早めに入ってしまわないことで、相手を引き戻す効果が薄くなってしまって前へのチェックをさせてしまうようになった。特にボアテングが守備に戻ってこず、前へ残ってエル・シャラウィとイブラヒモビッチの三人で残っていることがフォアチェックにも活きている。三枚が横に並ぶことも含めてより捉えづらくなっていて先にボールに触られることが増えた。それによってファウルのアピールを過剰にされてしまったり、実際に接触をしても奪いきれず足を出せずに抑えておくだけの効果しかもたらせないことも増えた。バルサの銃身が少し守備に傾いて後ろに人数が増えてしまうと、縦パスや預けるパスの先を狙われやすくなって、チェックに出てこられてカットを狙われ、成功されてしまう。セカンドボールを拾われる回数も増えた。

テージョを入れたことでバルサは左にウイングを置く形になり、フォワードとしてはサンチェス一枚がラインと戦わなければならない。右にポジションを多く取るようになってメッシを残したオーソドックスな形になったこともあり、それまではケイタが上がって中央に入ることでセンターバックを抑える効果もあってサイドバックを絞らせる効果もあったが、テージョがボネーラを抜かなければならない。サイドバックのサポートを得られない左へ中盤がでられる状況にもない。距離が開いて孤立気味になってしまうものの、それでも成果を上げなければならない。幸運なのはボアテングが下がってエマニュエルソンが入ったことによってフォアチェックにかかる勢いや精度、攻撃に回ったときのスピードとキープ力、迫力も含めて一回り小さくなったことで守備にかかる負担が減り、攻撃に回れるようになった。ポゼッションに回ってもチェックを受けることなくアンカーだけでなくシャビが持てるようにもなり、飛び出しに合わせてパスを出せるようにもなってフォアチェックを使ってミランに前へ正確なボールを運ばせないようにもなった。バルサのポゼッションが正確に動くことでミランの守備を横に広げた効果も加えて厚みは減り、横に薄く広がるようになった。メッシが右にポジションを取っても変化を生むことは難しく、中へのパスを激しくアンブロジーニが潰そうとしてパスコースも塞いでいる。狙い通り外へ押し出されているようで、外から中へ入ってシュートを打っても、キーパーが触りさえすれば豊富なディフェンダーがカバーリングを行って押し込ませてくれない。正確なゴール前の埋め方が綻ぶことをはなく、ミランの選択肢が限定された攻撃がバルサを脅かすこともなかった。

Bundesliga 27. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対ハノーファー96

2012 年 3 月 25 日

■FC Bayern Munchen 2 – 1 Hannover 96
バイエルンはようやくチャンピオンズリーグを見据えてか、メンバーを多少変更して試合に挑んでいる。プラニッチが先発のチャンスを得てボランチに入りクロースが一列前へ、フォワードにはマリオ・ゴメスではなくオリッチが先発している。

ハノーファーはある程度前に出て行こうとする意識とは別に、ディフェンスラインが飛び出しを意識したポジショニングを取って前へ相手を捉えておこうとしているため、前後に多少伸びてしまっている。特にノイアーから度々送られてくるフィードに無警戒で、それ自体は跳ね返すことは出来てもセカンドボールを拾うはずの中盤が上がったまま戻ってきておらず、バイエルンが簡単にバイタルエリアでボールを拾い、スピードアップしてしまえる。それが中央だけでなくサイドでも起こっているため、バイエルンの勢いを止めることができておらず、ペナルティエリア横にまで進入してクロスを許している。そしてバイタルエリアの埋め方が不十分なのは変わらないため、センターバックの前、マイナスのコースを防げないでいる。

ハノーファーのフォアチェックは機能をしているものの、バイエルンのパスに対してきちんと組織的にコースを塞ぎ、足を出していく。バイエルンは追いかけられながらバックパスを選択することが多く、センターバックやサイドバックがボールを触る機会が増えている。ただハノーファーのディフェンスラインが裏への意識を持ってしまっていることがマイナスで、一つパスを動かした後の修正が追いついておらず、さらにバイエルンがボールを受けるためのポジション修正をサボっていないこともあって、プレスを逃れるパスからもう一度受け直すこともでき、前へとポジションを進めながらそれを行っていけば、パスコースを切るハノーファーが後手に回ってダイレクトパスを多用してどんどんと進んでいくことも出来る。さらにパスに対してコースを切る意識が強くありすぎることが原因で、ドリブルを使われると止められず、ファウルも出来ずかわされてしまう。バイエルンはボールを動かしながらウイングへのパスコースを確保し、後ろから角度をつけてそこへ渡し、マークを受ける前に前を向いて仕掛けられる環境を作れている。バイタルエリアを埋めていない欠点自体は変わらないため、外から中へカットインして弱点を埋めさせてしまうロッベンのドリブルよりは、縦へ突破してからのクロスに可能性を感じる試合展開になっている。

ハノーファーはボールを奪ってからカウンターも視野に入れた戦い方をしており、バイエルンの切り替えが遅いときには一枚のフォワードを走らせて、センターバックの背後を取ろうとしている。バイエルンのディフェンスラインはそれによって押し下げられてしまって中盤も連動して押し下げられてしまう。間延びこそしておらず、きちんと中央にブロックを作って守り、ゴールへ迫られる危険な場面は少ない。ただ攻撃にかける時間が必要になったのは確かで、一人一人がボールを持つ時間が増え、受けに戻るため相手を引き連れてこなければならなくなった。タイトなマークを受けてしまうようになり、距離が伸びてパスコースを読まれやすく、接触が増えた。リベリーは特にマークを受け、ロッベンは接触の度にファウルを要求してしまう。スピードに乗っておらず、無理に止める体勢ではないことがハノーファーに守りやすい環境を作りつつある。バイエルンは決定機を作ったサイドを深くえぐってからのクロスも、大きなフィードに頼らなければならず、ボールと人が共に動いてスピードのある展開は作れていない。バイエルンのラインが下げられている一つの要因として、ボランチがきちんとセンターバックの前を埋めていないのもあるかもしれない。ハノーファーのフォワードが下がって縦パスを受けようとしたときにセンターバックが大きく前へ張り出して押さえようとしなければならず、マークの受け渡しがされていない。そのため、反転して裏へと動き直されてしまうとセンターバックが引き出された形になって背後にスペースが出来てしまう。それはサイドから攻められたときにも変わらず、外から中への横パスをカットするのはバドシュトゥバーとボアテングの役目になっていて、動きの逆を取られていないからこそピンチになっていないものの、判断を誤ればゴールまで一直線、パスに対して足が届かなくても同じように一点に繋がるプレイを許してしまう。

先制点を得たのはバイエルン。タッチライン際に上がっていたルイス・グスタボからリベリーへ。密着してコースを限定しにかかったディフェンダーに対して裏を取ったことで振り切って深くえぐる格好になり、マイナスのパスから最後はクロースが決めた。

先制点をとっても試合自体の流れは変わらず、バイエルンは中盤から前へボールを出すことに苦労をしながらも、バイタルエリアの空いている相手の中央やサイドを経由して縦にボールを運び、中のコースを切っている相手の外側を縦に使ってチャンスにする。ハノーファーは裏へのフィードを中心に早めに背後を取ろうとして攻撃を仕掛け、バイエルンはセンターバックとサイドバックでカバーをしながら防ぐ。フォアチェックこそボールの出所に機能しなくなってしまっているが、アタッカーを前に残しているお陰でカウンターのチャンスは増え、若干分離気味ながらもボランチを残しながら中央にブロックを作って裏へのパスを何とか足に引っかけて止めている。

後半もハノーファーはフォアチェックを中心に守備を組み立て、バイエルンに対して試合を構築する余裕を与えすぎないようにしている。特に前半は多く通していたサイドバックからウイングへの縦パスをケアしてコースを切るようにチェイシングをしており、サイドを縦に使える回数は減っている。ただセンターバックが押し上げてオリッチやクロースを掴まえておこうとしておらず、裏へ抜けられる動きに合わせてポジションを下げる部分は変わっていないため、バイタルエリアを中心にボールを受けられているのも変わらない。リベリーとロッベンのポジションがサイドでボールを受けられないのならば中央で受ければいいとばかりに中へ変化をつけやすくなっている。ただオリッチには相変わらずポストプレイを要求するようなボールばかりが送られてきて、彼の持ち味を消してしまっている。

ハノーファーの攻撃は少しリズムを変えていて、十分に下げきったバイエルンのディフェンスラインに対してフィードを入れていこうとはしておらず、カウンターと共に繋いでいこうとする姿勢が見られる。前半に裏へのスルーパスとフィードを意識させたことで、カウンター時にスピードアップして裏へ走り抜けようとすればバイエルンは自然と引いてくれる。フォアチェックも特にかからず、オリッチやリベリーが個人で行う程度で、出所をも抑えられないことでラインを踏みとどまらせるきっかけも得られない。ハノーファーも相手の前でボールを扱うのは容易く、一度下がった位置から向かってくるだけバイエルンのディフェンダーが一歩遅れて先に触られてコントロールされてしまう。その間に裏へ走られて、全体が戻らなければならなくなる。バドシュトゥバーが出てきすぎているのは相手の狙いを考えるとよくなく、ティモシュチュクを投入してもそれは変わらない。

マリオ・ゴメスが入ったことでようやくチームが求めている内容に沿ったフォワードが最前線に存在するようになった。ただ攻撃の手段として主なものはフィードを中心としてポストプレイを求める部分は変わっていないが、重要なのはそれが終わってから。マリオ・ゴメスはそれまで早いタイミングでディフェンスラインの裏に飛び出していたオリッチとは違い、ドリブルで仕掛けるリベリーやロッベンがディフェンダーの注意を引きつけ、足を止めさせた後に裏へ飛び出す。相手の足が止まっている段階で裏へと抜けるためにボールが通りさえすればフリーになりやすく、慌てて戻りながら守備をするため、フェイントに引っかけやすい。一本ポストに弾かれたものの次のチャンスではきっちりとブロックの外からフリーになって裏へ抜け、ゴールを決めた。その後はチームとしてバイタルエリアに侵入し、ワンツーを使いながら足を止めた相手の背後へ抜けてゴールへ迫れるようになった。
ただ守備面に関しては改善されたとは言えず、アラバのポジションであるにもかかわらずバドシュトゥバーが張り出して守り中央をがら空きにしてしまう。それを埋めるべきボランチのルイス・グスタボも外へ出てしまうため、ティモシュチュクが埋めて最低でも三枚がクロスに備える環境を作らなければならないが、それもない。アラバが中に絞るのも不十分で、中央では相手のフォワードとディフェンダーが同数であることも多く、一人を余らせて挟み込んだりカバーリングを行って万全の体勢を整えられていない。そしてゴールを決められて1点差としてしまった。アラバの背後が穴であるのならば彼を変えるべきだし、カバーリングをさせることで解決をするのならバドシュトゥバーかルイス・グスタボのどちらかにさせればよく、両方がする必要はなく、やるのならそのカバーリングに動いた後のスペースもきっちり埋めなければならない。その後もサイドからディウフにヘディングシュートを打たせるなど中と外のバランスが不十分なまま推移している。右サイドに関してはボアテングが中に残っているお陰でニアサイドを閉じて相手に先に触られることは少ない。それでも危険なクリアからオウンゴールをしそうになったけれど、ノイアーに助けられて同点にはならなかった。

バイエルンは徹底的に時間を稼ぎ過剰なまでにファウルをアピールし、ファウルを得、そして時間を消費して一点差を守りきるためだけのやり方を使い、試合を締めくくった。

Liga Espanola Jornada 30. マジョルカ対バルセロナ

2012 年 3 月 25 日

■RCD Mallorca 0 – 2 FC Barcelona
バルセロナはダニエウ・アウベスが出場停止に加えてアドリアーノを怪我で欠いたため、3バックを採用して試合へと臨まなければならなくなった。ムニエサやモントーヤを出場させてバランスをとってサイドを埋めるのではなく、3バックのままセルヒオ・ブスケツに埋めてもらい、センターバックが外へ出る方を優先した様子。

マジョルカは立ち上がりからバルセロナのディフェンスラインに対して仕掛けてきており、スピードを使って切り崩しにかかっている。特にサイドアタッカーが外に開いてスピードアップしてパスを出し、センターバックを広げながら片側にスライドさせてファーサイドを空けさせる。他にもカウンター時には両サイドのセンターバック裏にあるスペースへ飛び出しを狙い、直接裏へのパスを出してゴールへ近いところへ向かう。どちらもきっちりとフォワードがスピードに乗った状態で前へパスを出していくことを意識しており、バルサのディフェンダーが少ないところで受けきれない。特にサイドで起点を作られないため、あるいは攻撃のサポートとしてサイドのセンターバックが前へ出て行くことの多いバルサにとってはカウンターを受けるとディフェンダーが二人しか残らないことが多く、前後で挟み込む形を作れないため、裏へ抜ける動きに対して安全な処理を出来ていない。ボールをキープされ、裏やサイドを気にするとブスケツがバイタルエリアからラインにはいるのはもちろんのこと、それ以外の選手もペドロらがサイドを埋めるためにラインはいることもあり、最後尾に人数をそろえることは出来ても、バイタルエリアを埋める厚みをもたらせないことも多い。そのためパスの出所と抜け出す選手を同時に見ていられないことが多くある。

バルサは3バックの影響から守備時に下げられることが多くあり、チアゴやペドロがディフェンスラインに参加することもある。全体をコンパクトに前で保つことが難しく、マジョルカのカウンターで裏を狙われる影響が出ている。カウンターになったときにバルサ側にスピードが無く、アレクシス・サンチェスに最前線で体を張ってもらってポストプレイをする姿が目立って、裏へ直接フィードで走らせ、マジョルカのラインを下げさせることにもなっておらず、きちんと守備ブロックを作って待ちかまえるマジョルカに前へ向かって抑えにかからせ、成功させてしまっている。左右問わずにサンチェスが体を張ってボールを受けようとする所のサポートに走る選手があまり多いとは言えず、接触の多さがあまり報われることはない。セカンドボールを拾うためにマジョルカは中盤を下げてコンパクトに保っており、中央に作られたブロックも、下がった位置から前へ向かっていくことでタイトさを保っており厳しさがある。それをバルサはウイングへボールを入れて横に動かし、ブロック自体を動かすことが出来ていれば、視線を動かして前へのチェックを遅らせることが出来るのかもしれないものの、サイドバックがおらず遅れていつもより低い位置にいるセンターバックのサポートしかそれを助けることが出来ない、さらに中盤もバランスよく縦に厚みをも照っていないために横へボールをスムーズに動かせていない。そんな中でサンチェスがフリーキックを得て、ボールが抜けてきたところを最後は彼が押し込んで先制ゴール。マジョルカの守備が彼へのマークをせず、流れの中の守備のように徹底してマークをして体をぶつけていれば防げていたかもしれない。

マスケラーノとプジョルを外へ出し、変則的に4バックの姿勢を取ることでバルセロナは最後尾でボールを横に動かすスムーズさが出てきて、マジョルカのフォアチェックに対して苦労することなく横にボールを雨後かっせるようになった。低い位置で横に動かしながらウイングを広げて相手のサイドバックが出てくるのを封じる。そこへきっちりと後ろから押し上げたサイドバックが後ろで支えて、チアゴやセスクがピボーテのポジションに入って上手くバランスを取る。本職と比べると不十分ながらもバイタルエリアを守備時に埋める役割を果たし、サイドバックの裏を取られたときにはそこにはいることもある。上手く守備のバランスを取りながら、攻撃時には縦の厚みになって外へボールを動かす展開を作り出し、ウイングに預けなければ攻撃のリズムを作れなかったバルサが中盤の底からきっちりと構築をして縦パスを中央で狙いながら外へ動かすようになったことでマジョルカにチェックから体を密着させて自由を奪うほどの厳しさから少しずつ解放させている。まだマークを受けているものの、ボールを受けた後に体をぶつけられるだけで、事前にコントロール先まで制限されておらず、二つ三つと連続して受けることなく前へを向いたり前へ運ぶことが出来ている。バルサ自身も攻守の切り替えを早くフォアチェックから奪いきって、仮にマジョルカに奪われても奪い返して深くまで入らせない。きちんと縦に厚みを持たせられるようになったことで切り替えから守備にかかったときも上手く抑えられるようになっている。

後半になっても4バックの姿勢は変わらず、かといって交代を行って本職のサイドバックを入れていない。後ろでゆっくりと回せるようになったことでマジョルカのチェックを前へ引き出しやすくなって、チアゴがよく最後尾のボールを引き出そうとしていることで前へも動かせる。連続してチェックをかけてくるマジョルカに対して低い位置で繋ぐのは危険性が高いため、それを積極敵意に行っているとは言えず、サイドバックへ逃れてもそこが縦への突破力や展開力を兼ね備えているわけではないのも、チェックを受け続けながらも繋げていない要因の一つ。守備は安定してサイドから崩しにかかられてもサイドバックとセンターバックでチェックとカバーの関係を作って突破を許さず、クロスを上げられてもファーサイドに十分に残していられる。早めのクロスをそれによって躊躇させることでディフェンダーとキーパーの間に入れられなくなり、中央の縦パスに関しても従来通りに縦関係を作って納めさせず体を寄せて自由を奪うようになった。

チアゴがきちんとハンドにならないように腕を後ろに下げていたにもかかわらずハンドを取られて、しかも二枚目のカードを提示されて退場になってしまった。仮にハンドを取られたとしてもあれほど意識していればカードを提示する必要はなく、あまりにも納得のいかない退場だった。これによってアンカーを行っていたチアゴを失ってしまったため、セスクに代えてモントーヤを投入し、ブスケツをアンカーへと戻した。ただこれによって流れをマジョルカに持って行かれたのは間違いなく、フィードを直接ディフェンスラインが処理しなければならない深さまで放り込まれ、フォワードがそれに競る。裏へ抜ける動きとセットで行われており、アンカーへと戻ったはずのブスケツが度々ディフェンスラインに入らなければならず、守備に厚みが失われてしまっている。あるいはピボーテとして二枚で守っているときには背後を埋めきれずサイドから崩しにかかられたときに出てしまっていることも多い。マジョルカは前への守備意識を強めているのも、バルサの人数が減り攻撃に対して人を回せないことも影響をしている。ペドロを下げてケイタを投入したことでそれが加速し、タッチライン際にウイングを開かせてまず納めさせることが出来ず、相手を押し下げるようなランニングも起点を作れないことで出来ない。モントーヤが右で高く保ってもウイングほどの高さにすることは難しく、中盤に多くの選手が並んでしまって横のパスは出せてもバリエーションや変化が少なく、斜めや縦パスのコースがない。それらを意識しなければいい環境ではマジョルカは前へ向かった守備をしやすい。一人でポストプレイとディフェンスラインを背後へ引っ張ろうとしているサンチェスがなんとか縦に引き延ばしてマジョルカのディフェンスラインをさらに消耗させ、体を密着させられないようにする。外に選択肢があれば動かせている部分も、中央でメッシがドリブルで引きつけてオーバーラップと外へ逃げる動きを誘発しなければフリーの選手を作りづらい。

守備はケイタが左ミッドフィールダーとして入ってサイドバックの外側に対して多くケアに出て行くことで狙われていたプジョルのサイドで数的不利を作らず、きっちりと同数かそれ以上で守ることが出来ている。彼が幅広く対応することでプジョルがカバーリングに専念してポジションを取れることで、それ以外のセンターバックがニアサイドを埋めることも出来、クロスに対しての対応に人数もそろえていられる。

コーナーキックの流れからメッシのシュートはポストに阻まれたもののピケが押し込んで二点目。一人少なくなってから上手く形を作れなくなっていたものの、二点目を取ることが出来て苦しい状況を抜け出し事が出来た。これまで試合を引っ張ってきて負担がかかってきたサンチェスに代わってテージョを投入し、よりカウンターを意識できる選手に替わった。マジョルカも二点差にされたことで動きが鈍り、チェックに動く人が減り、ギャンブルのようなチェックを行って一歩遅れ、かわされる場面も見られるようになった。バルサはそれだけ動きを制限されなくなってしまえば、後ろで繋いでポゼッションの形を作ることも出来る。連動して複数で囲まれなくなったため、イニエスタやメッシの個人技でキープをしてチェックをかわしつつ動かして時間を消費することも出来る。マジョルカは連動してぶつかれないことでファウルで止めるほか無く、リスタートでさらに時間を消費していく。クロスへの対応こそ危険な場面が見られたものの、フィードはきちんと抑え、パスも掴まえる。上手くポゼッションとカウンターが機能しなかったのが少しマジョルカに息を吹き返させてしまった原因でもあり、最後のカウンターのように相手を後ろに引き戻すプレイをもっと多くしておきたかった。

DFB Pokal Halbfinale ボルシア・メンヘングラッドバッハ対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 3 月 22 日

■Borussia Monchengladbach 0 – 0 (PK Win 2-4)FC Bayern Munchen
グラッドバッハの立ち上がりはゆっくりと狙いを持ったボールの動かし方をしている。バイエルンのプレッシャーがかかりやすい中央でボールをあまり扱わず、外に起点を作る。ボランチやセンターバックがボールを保持してサイドバックを押し上げて、マークがそこへ集中しない環境を作りながら、外に収めてすぐに裏を狙うことでセンターバックが外へマークへ来づらい状況を作る。サイドバックの裏を中心にパスを出して走らせることで、事前にマークに来るのは難しく、オーバーラップを考慮してサイドバックも厳しく当たりに行けず裏を意識したポジショニングを取らなければならない。マークが緩くなり、より前を向ける。そして裏へ何度も走らせてスルーパスを狙っていくことでバイエルンの足の遅いセンターバックに意識付け、ディフェンスラインの押し上げをさせなくしている。前後にポジションと動きを不明確にしてフォアチェックと連動させず、カウンターになったときに一歩目の出足を遅くして、前へ向かう守備をさせない。バドシュトゥバーは特に前へ積極的に出られる環境では持ち味を発揮できるものの、ボアテングと二人でチェックとカバーの役割を分担できているわけではないため、不用意なポジショニングからラフな競り合いを何度も見せている。

バイエルンの攻撃はコンパクトに保てていたからこそここ最近の大量得点に繋がっていて、ディフェンスラインが押し下げられてしまっていると、攻撃に影響が出てしまう。ただセンターバックのポジションはカウンターから直接裏を取られることを恐れて下がってしまっているわけではなく、攻撃時にはハーフウェーラインまで押し上げることが出来ている。ただプレッシャーを受ければ大きく下がり、サイドバックを含めて横に広げてしまわなければならない状況を作ってしまっており、チェックに対してずるずるとボールを下げてしまう。グラッドバッハのチェイシングもそれほど厳しくタイトなものではないが、一度下がってしまって距離が広がると、パスコースが近くになく、サポートの距離も遠くなってしまう。プレッシャーを受けながらサイドチェンジのような大きな展開をきちんと通すのは難しく、縦と横に伸びてしまってより下げやすくなってしまう。細かなパスで動かせなくなるとランニングでも斜めの変化がなくなって単調な動きになってマークを受けやすくなる。フィードに頼ったゲームメイクをしなければならず、そのタイミングを探るための横パスが増えてしまう。

攻撃時にバックパスで下げて相手のプレッシャーを受けてフィードを出し、失敗してグラッドバッハの攻撃を受ける。この形になってしまうと前線にハンケやロイスが残っているため、それを意識してディフェンスラインが押し上げられずに下がったままになっている。ルイス・グスタボやクロースまでのラインがフォアチェックを行ってもセンターバックが連動して押し上げられないことでバイタルエリアには大きなスペースが出来てしまっており、そこにボールを収められやすくなっている。フォアチェックが機能しなくなる要因にもなったそこを起点として、ボールを収めるのか、それとも裏へ直接出してくるのか、二択を迫ることが出来ればバイエルンのセンターバックは判断が鈍ってしまう。
バイエルンのボランチが前を向いてボールを扱えば、すっとグラッドバッハが下がって守備ブロックを整える方向へと切り替えてくれるため、そうなればようやくバイエルンがボールを横に動かして逆サイドのフリーなウイングやサイドバックへパスを出せるようになり、グラッドバッハを前に出させず、足を止めてそれぞれが自由を得て動きによる変化もつけられ、追い越して縦の変化も加えられる。クロスやコーナーキックから得点機を演出できていることもあって、攻撃の形は作れている。ただその形を狙って作れていないところに、グラッドバッハがバイエルンのラインを下げて全体を押し下げ、あるいは間延びさせた効果が出ている。
しかしながらグラッドバッハは後方で安全に繋いで裏を狙うやり方を少しずつ変え、バイタルエリアで収めて細かく繋いでから精度の高いボールを裏へ出そうとし過ぎるようになってしまったため、バイエルンが後ろへ引き戻されることなく受け止められるようになった。単純なフィードで競争させられなくなったことで特にサイドの部分できっちりと掴まえて止められるようになったことは大きく、余裕が無くなってパスミス、連携ミスを相手がしてくれるようになった。バイエルンはサイドバックがマークのために上がれるようになったことも含めて縦の連携がある程度狙えるようになり、外からの切り崩しを多く狙えるようになった。それでもフィードに頼らなければならなかったり、グラッドバッハが前へパスをせず、センターバックとキーパーの間で動かせる暗いに急がないことで、バイエルンはフォアチェックをして奪わなければならないが、裏を取られるため押し上げられない、その間で中途半端なポジショニングをしてどちらも出来ない場面も目立った。

後半もグラッドバッハはゆっくりと後ろで動かしてサイドに起点を作り、バイタルエリアにパスを入れて試合を作ろうとしている。ただ前半の早い時間帯にしていたようにディフェンスラインの背後へ直接走りフィードをしてラインを引き下げるための方法をとらなくなり、サイドバックもバイエルンの攻撃を受け止めるために残って上がれなくなった。裏を狙わないことがバイエルンの守備をタイトにさせ、前へのチェックのためにマーカーが距離を縮めて自由にコントロールさせず、前を向かせず、守備で主導権を握る場面が増えた。それでもフィードや早い段階で入れられることもあって前へ守備を絞れず、競争させられるセンターバックは後ろへ残っている。特にアラバの裏は大きく空いており、ルイス・グスタボを含めて下げられてしまう。裏を取られるだけ高いポジションを保って攻撃時にウイングと連携して追い越せているということでもあり、バイエルンは予め掴まえられていないロッベンとリベリーに預けて前を向き、仕掛けてグラッドバッハの守備全体を押し下げてしまうことでカウンター時に裏へフィードを出されないようにして攻撃と攻守の切り替えのペースを作っている。ただ二人のウイングの仕掛けにしても飛び込んでくれないため、延々と前に居続けられて仕掛けるタイミングが無く、タイミングが見えないことで中の動きもなく、パスを出して変化もつけられない。よりゴールに近い中へ中へと向かいすぎて相手の守備ブロックを狭めて固めさせてしまうだけ。サイドバックと縦関係を維持できず、外へフリーのスペースが出来上がってもオーバーラップのスピードがなく、足を止めてから渡して再スタートを切らなければならなくなっている。

グラッドバッハはサイドにハンケとロイスが流れることでボールを収め始め、後方でゆっくりと回してバイエルンがプレッシャーをかけられない位置からフィードを入れる。バイエルンは全くセンターバックの二人に対して追いかけ回す意志を見せておらず、中盤はある程度守備の形を作っているとはいえ、パスの出所を自由にさせていることで、縦パスを通す回数を増やしてしまっている。反対にグラッドバッハは追いかけ回すほどではないにしろ二人のフォワードが中心となってセンターバックにプレッシャーを緩やかに与えてショートパスを繋ぐ先にマークをつけ、キーパーへのバックパスも追う。バイエルンはボランチへボールが渡らなければ幅広いパスの展開から左右へ相手を揺さぶることが出来ず、サイドならサイドで決まったところにしかボールが動かない。裏へ出せば決定機になっているにもかかわらず、裏へのパスを多用しない。バイエルンが大勝してきた相手とは違い、グラッドバッハはバイエルンが苦手としていることへの対策を練って試合に臨み、実践をして防ぎ、決定機も作り出した。バイエルンは大量点を取って以後先発を固定し続けたことでコンディションが既に落ちているのか、それらに対応することがあまりできていなかった。

延長に入ってもバイエルンの戦い方に修正は見られず、選手交代で運動量を増やそうともしない。サイドの切り崩しを狙われたことでルイス・グスタボがカバーのために外へ出て行き、クロースが中に残る。ただバイタルエリアを彼が埋めているとは言い難く、ボールは見られても背後のスペースを意識するところまではいかない。そのためバドシュトゥバーが予測をして大きく張り出してチェックにでなければならず、遅れればファウルになり、センターバックが揃って残って背後への飛び出しを防ぐ体勢も整えられない。サイドを狙われるとセンターバックがスライドしてファーサイドを空けてしまう。攻撃に回ってもボランチが下がってしまったセンターバックとの距離を縮められず、前向きにボールを受けられず、中盤の底から大きく外へ運べない。もっと前へ持っていって角度のない横パスになってしまうか、ディフェンスラインから滞空時間の長いフィードでブロックを動かして待ち構えられてしまう。ボールが足下を連続して動き、スペースへのパスには受け手が動いておらず、繋がらない。オリッチを投入してもその意識は変わっておらず、スペースへのランニングに特徴のあるオリッチにポストプレイを要求するようなパスを出してミス。後半は足が止まる傾向のあるアラバはこの試合も変わらず、上がってきても停滞した状況から抜け出すオプションにはならなかった。

構築の段階でリズムが無く、フォワードへボールを運べていないからこそ得点を取れていないにもかかわらず、延長後半からペテルセンを投入してフォワードを並べても急にパスが通るようになるわけでも、センターバックとボランチの関係が改善されるわけでもない。ただ単純な縦のフィードに頼る回数が増えてしまって単調になるだけで、より前後の距離を離れさせ、コンパクトに保てなくなっていくだけ。新たに選手を入れたからといって目立った変化があるわけでもなく、先発出場していた選手たちにも変化はない。戦い方のオプションとして選手交代が利用できておらず、同じプランの延長線上で人が変わっただけという印象を受ける。得点の可能性があったのはリベリーとロッベンが同じサイドへポジションを移し、近い距離でプレイした時くらい。あとは試合を通じて何度かあった決定機は相手キーパーを褒めるべきセーブによって防がれているものの、これまでの大量点と好調に見えた部分は相手が対策を講じてこなかったからこそのものだったと思うほど、内容が悪かった。最後はPK戦で相手が外し、ノイアーが止めたお陰で勝利はできたものの、それだけでしかなかった。