‘Football’ カテゴリーのアーカイブ

Liga Espanola Jornada 1. マラガ対バルセロナ

2012 年 1 月 23 日 月曜日

■Malaga CF 1 – 4 FC Barcelona
マラガはディフェンスラインをある程度高く保ちながらワイドに開き、ウイングに対して自由を与えないようにしようとしている。攻撃に回ったときにも外側に広げているため、サイドアタッカーとサイドバックを連携させて、縦に追い越しながら切り崩しを狙うことも出来、個人のスピードや技術を活かしたタッチ数の少ない横への変化もある。パススピードも速く、連動したパスワークからスムーズに攻撃へと移っていき、そのパスワークを掴まえるのは難しくなっている。カウンターでそれを行われるとバルサはマンマークの守備体系を敷いて選手を掴まえているわけではないため、動かされてしまう。ただその一本目となるパスを抑えてしまえば限定することは出来るわけで、セルヒオ・ブスケツがその役割を担って前へ出て的確に抑えることで、最初の数本以降はスムーズな攻撃を許さなくなってきている。直接フィードを出して、ファン・ニステルローイへと当てようとするものに対してはピケとマスケラーノで前後に挟み込んでマークとカバーの関係を作れている。

マラガの守備はラインをある程度高く保ちながらも、積極的なチェイシングを攻撃陣がしておらず、イニエスタを掴まえておこうとする意識は強くあるものの、バイタルエリアを埋めようとする意識がそれほどあるわけではない。むしろ中盤の選手たちは足を出すためにチェックへと出てしまい、バイタルエリアを広げてしまうことも多くあり、メッシがピボーテとポジションをかぶらせながら、ボールタッチと共にその背後を取っていくのを警戒し切れていない。そのためメッシにはドリブルからセンターバックへのチャレンジを許してくれており、イニエスタにはセンターバックが出てきてラインを乱さなければならなくなっている。アドリアーノやアレクシス・サンチェス、ダニエウ・アウベスが外側の裏を使い、前へ出ることで守備をコントロールしているマラガの反対側を突いていく。ピボーテが後ろのスペースを意識してメッシがバイタルエリアに入れなくなってきているものの、それを気にしなければならないとワイドなディフェンスラインの状態を保てなくなってきており、バルサはサイドバックをオーバーラップさせて、中と外に人を用意した状態で試合を進められるようになった。そうなるとマークをすべき対象が常に入れ替わるようになり、ピボーテが再びメッシを中心に見られなくなり、デミケリスをが中心となってチェックとカバーの両面を行わなければならなくなってセンターバックにかかる負担が大きくなっている。そしてラストパスのチャンスも増えるため、キーパーのカバジェロも運動量を必要とし、飛び出しを狙った判断を迫られるようになった。

先制点を得たのはバルサ。バイタルエリアに入ったイニエスタが誰のマークも受けずにぽっかりと空き、そこに意識を引きつけられたマラガの守備がサイドバックを含めてその一点に視線を集めて守備も集まってしまった。大きく外に開いていたアドリアーノをフリーにしてしまい、全くプレッシャーを受けないままクロスを許し、メッシのヘディングゴールが生まれた。

マラガは奪うための組織作りを殆ど出来なくなり、足を出しに来る選手と連動してコースを塞ぎ、次のパスを奪う体勢が作れなくなってきた。ディフェンスラインとその一つ前に中盤のラインを用意することだけは出来ているものの、足を動かして変化についていこうとはしておらず、待つ時間が増えた。ワイドに開いたり、メッシのポジションに対応して、縦パスが来るであろうタイミングでセンターバックが一気に距離を詰めて体をぶつけて自由を奪おうとはしているものの、バルサはそこ以外にもコースを用意しながら縦パスを狙っており、狙い通りのパスカットはさせていない。

後半になってもマラガのシステムは変更されていないものの、それぞれが選手を掴まえようと足を動かして守備に待ちかまえる以外の運動量が増えたのは改善された点。バルサのダイアゴナルな動きやポジションチェンジにもしっかりと付いていこうとして足を出そうともしている。ワイドな攻撃にも対処しようとサイドバックも広げているものの、ヘスス・ガメスだけは中へ絞り、少し引き気味にポジションを取ってマークしづらくしているアドリアーノへ、どういった対応をするのか明確に出来ておらず、抜かれないようにするのか、クロスを上げられないようにするのか、それとも受けさせないようにするのかも不明なまま、追加点となる二点目もそこから生まれた。
失点から一気に足が止まってしまったマラガはバルサの攻撃だけではなく守備の切り替えにもついて行けなくなり、すぐさま奪い返されてしまい、メッシが三点目を決めて試合を決定づけた。

マラガは守備に労力をかけずにそれぞれがカバーリングとマークを不徹底にし始め、チェックに出ようとするのも個人だけであって、組織としての連動はなくなってバルサが簡単にボールを動かし続けられるようになった。チェックを受けても逃れる先は多くあり、逃れた先から再展開も簡単にさせてもらえる。あまりの余裕が相手が寄せていることに気づけずミスになることはあっても、組織として動いていないためカウンターに勢いが無く、バルサの抑えられる範囲での攻撃しかされず、カットされても再びバルサが拾えることも多い。そしてタッチライン際に起点を作ってリスクを抑えた試合運びをしつつ、外へ意識が向くとバイタルエリアにパスを入れる。

マラガがフォワード二枚を投入して前線からのプレッシングを活性化し、カウンターになったときに裏へと直結したパスを出し、スピードを活かす。ロンドンはアビダルの裏を多く狙い、マスケラーノがカバーのために左サイドへと大きく流れなければならなくなり、守備陣形を崩すことには成功されている。ただ外を切り崩す所までは持って行かれておらず、アビダルもすぐに修正をして裏を取られないように後ろを警戒し、特に中へのコースを切ったままマークをするようになり、外からのクロスやパスを選択させず、タッチライン際の攻防のみに抑えている。反対サイドでの攻撃にしても、しっかりとマークをして中へと切り込ませず、中央へと戻させてもそのまま縦パスを入れさせておらず、左右に揺さぶられてもいない。

マラガは引いて組織を作ることよりも遅れても個人がしっかりと体を寄せてぶつけようとするくらいの意識を持ち、綺麗な形を構築するのではなく、戦う意識を持ちながら守るようになったように見える。少しの雑さは見えるものの、それぞれの距離が縮まり、体を寄せていることでプレイをいくつか限定して、精度を落とさせることは出来ている。問題だったサイドバックの距離も向かっていくことで適切なものになり、バルサが相手ディフェンスラインの外側から簡単にクロスを入れられる場面は減った。しかしながら、バルサのセンターバックにも向かって守備をしていくということは、自陣にスペースを作り、それぞれのポジションにギャップを作りながら前へ出ているということでもあって、バルサが奪ってからカウンターへ出来るときに、メッシ、ペドロ、クエンカのいずれかを掴まえきれなくなり、前を向いてプレイをさせる事にも繋がる。そしてカウンターからメッシがハットトリックとなるゴールを決めた。

崩しきり以前からミドルシュートを積極的に狙われて、バルサはその後を埋める集中力を少し欠いていたのかもしれない。そのこぼれ球をロンドンに押し込まれて一点を返されてしまった。その後もセンターバックの裏を積極的に狙ってきているロンドンとフェルナンデスにバルサはケアし切れておらず、クイックに展開されることでより裏を取られやすくなっていた。それぞれの戦う姿勢と攻撃が上手くリンクし始めたマラガだったが、バルサはしっかりとアビダルやセルヒオ・ブスケツが後ろを気にしながらプレイするようになって防ぎ、パスをしっかりと繋いでポゼッションを高めることでクイックなカウンターを許さないようにした。
試合終了直前のプレイで再びマラガに得点チャンスを与えてしまったことに代表される守備の不安を感じさせるものの、攻撃面におけるメッシの復調のインパクトが強い試合だった。

Bundesliga 18. Spieltag ボルシア・メンヘングラッドバッハ対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 1 月 21 日 土曜日

■Borussia Monchengladbach 3 – 1 FC Bayern Munchen
バイエルンは非常に運動量を多くスタートし、前からのチェイシングを中心としてグラッドバッハにボールをコントロールさせずにミスを誘い、自分たちのボールへとしようとしている。特にボランチとサイドバックまでがその意識を強く持って追いかけ、センターバックが一つ引いてカバーを行う。ただセンターバックの前を埋める選手を失いながら押し上げないため、目の前にはスペースが出来がちになってしまう。パスが出てくるタイミングを伺ってチェックに出て行くことこそあるが、もとのポジションが引きすぎているため、予測から先に動いてもパスカットはおろかボールを触られるより早く体をぶつけることも出来ておらず、相手のコントロール次第では危険を招きかねない部分がある。サイドを使われたときにも、サイドバックとのギャップを作りながら守っているため、その背後にボールを出される危険があれば常にセンターバックがカバーに向かわなければならず、サイドへラインをスライドさせて守らなければならない。ボランチや反対側のサイドバックの絞りが間に合えば問題ないものの、大きなスペースを中央に作りながら守ることには代わりがない。

長いフィードを中心として両サイドへ大きく振り分け、逆サイドを意識した展開を最後尾から狙いながら、ショートパスは同サイドに繋ぐ。常に安全な位置へとセンターバックを下げて戻せるようにしていることで中盤の中央を押し上げられず、復帰を果たしたシュバインシュタイガーは自由に動くよりも引き出しに戻ってバランスを取ることを優先させられてしまう。両サイドに開いたウイングを残して、そこに預けることで機転とする意識が強く働いているため、中央を縦に利用するような展開も作れず、そうするための人も用意できない。ポゼッションを取りながらも効果的なパスを出している回数は非常に少なく、グラッドバッハの守備に押されながらバックパスによってセンターバックやキーパーを利用する回数が増えてしまっている。そんな中でノイアーにチェイシングされて危険な状態の中でボールを渡し、誰も動き直してボールを引き出してあげようともせず孤立させ、ミスキックをさせてしまった。それが相手に渡り、マルコ・ロイスにゴールをプレゼントしてしまった。

バイエルンは失点以後もワイドにウイングとサイドバックを開かせながら、そこへのパスを中心に組み立てようとしている。大きく外へ開くことで相手を広げようとしているのかもしれないものの、パスを動かすだけで縦へ突破を狙う姿勢がないため、相手としては防ぎやすい。気をつけなければならないのはロッベンのみで、それ以外の選手に渡ったとしても、中のサポートが少なく距離も遠く、マークを外そうとする意識も乏しいため、バックパスを選択させればいいだけで、ウイングがダイアゴナルな動きをして、外から中への変化をつけてマリオ・ゴメスへのマークの意識を動かそうともしていない。チャンスがいくらかあるのは、マリオ・ゴメスの裏への抜け出しからオフサイドになった部分で、バイタルエリアをグラッドバッハも空けやすく、中盤が背後を埋め切れていないことからチャンスを作りやすくなっている。ただウイングを外へ残しているからそこにスペースが出来るわけではなく、カウンター気味に展開してようやく空く程度のため、バイエルンの横のパスで相手を全く揺さぶれておらず、押し込んでいてもディフェンスラインをコントロールする余裕すら持たれている。

バイエルンは相手を押し込めるようになって、ボランチの二枚を同時に高い位置へと保ち、中央を押し上げることでバイタルエリアへと展開、進入しやすい環境を作り始めている。ただパススピードが遅く止めてから動かすまでに時間を必要としているために相手に守られやすく対応を許している。中央に選択肢が増えたことで外から中へボールを動かしやすくなるはずだが、ティモシュチュクはマークの隙間にはいって受けるポジションを取り切れておらず、サイドバックやウイングが持った時に結局バックパスを選択させて相手に陣形を整えさせてしまう。外へ出しても同じ事の繰り返しで変化が無く、ウイングとサイドバックが二枚で連携する姿も見られない。バイタルエリアからウイング気味に寄ってサポートする意識が出始めてミュラーにしても、彼が孤立気味でボールをダイレクトで捌かなければ体を寄せられてしまい、前を向くチャンスすらない。オフサイドになる飛び出しすら徐々に出来なくなり、ミドルシュートしかゴールを脅かすものがなくなった。
そしてロッベンがボールを奪われたことを隠すための下手な演技をしている間にカウンターを喰らい、センターバックがサイドにスライドし、ボランチが埋められていないスペースをそのまま利用され、二点目を献上した。

後半に入ってようやくそれぞれがボールホルダーを助けるべく動いて近づき、サポートの形を作りながら個人で仕掛ける姿も見られるようになってきた。近づいてサポートをしながらパスを繋ごうとするようになったお陰で全体が動きながらプレイし、停滞した状態のままボールだけが動くのではなく、人が動くようになったことで横の変化やサイドバックとウイングの連携も見られるようになり、人を追い越していく姿も多少見られるようになった。それができるようになればバックパスの回数が減り、グラッドバッハの守備ブロックをそのままに待ち構えさせなくなり、左右へ走らせ、修正のために動かして消耗を強いられるようになった。左右の修正が必要になれば、ディフェンスラインを整えて押し上げることが難しくなり、ギャップを突いて二列目が飛び出すチャンスが生まれる。

アラバを投入してクロースとシュバインシュタイガーの二枚で中央に展開力とポジショニングを用意し、アラバを左に開かせておくことでラーム一人になりがちだった左側を二枚で崩そうとしているように見える。ただ外側を意識させて大きく展開することやクロスを狙おうとするあまり、出来始めていた近づくサポートとパスの横の揺さぶりが少なくなり、中央でパスを交換しても誰かが抜け出してゴールを狙うのではなく、サイドに流してからクロスの段階になってようやく裏を取ろうとするだけ。アーリークロスから反対側を狙い、こぼれ球を拾って勝負を仕掛ける単調な狙いと力業にも似た崩し方でしかない。グラッドバッハは中盤を下げて、外側へディフェンスラインを広げても中の人数を減らさず、スペースを広げてしまわないようきちんとブロックを構築しており、外へも中盤を下げて中のコースを二枚で塞いで展開を許さない。バイエルンがラフィーニャを投入して右のアタッカーを増やしたとしても、サイドで数的優位や追い越して変化をつけるには至らない。それどころか、パスを渡して連携もせず、ウイングの外を追い越そうとせずブロックの中へと向かってしまい、変化のない中央への無理な展開からカウンターを許し、駄目押しとなる三点目をさらに献上した。

三枚目の交代枠を怪我をしたヴァン・ブイテンに使わなければならなくなったのは自業自得で、ロイスを止めるために不必要に足を高く上げて引っかけたため、自分の足の上に倒れ込まれただけ。その交代がグラッドバッハの集中力を失わせたわけではないだろうけれども、直後のコーナーキックで一点を返し、可能性を繋いだ。しかしやれることは中央を固めるグラッドバッハ相手に、大きく開いた外からクロスを入れ続けることくらいで、ペナルティエリア内に多く人数を入れてボールに触れる可能性を増やすくらい。両サイドを大きく広げているお陰でファーサイドがフリーになりやすいものの、深くえぐらなければ効果は薄く、アーリークロスを多く狙っても、マークに付かれて先に触ることがやっとでセカンドボールを拾える位置に落とすことすらままならない。シュートの近くにまでは持っていけるようになってきたものの、グラッドバッハの集中した守備によって阻まれ、得点には至らない。そこまでの形をバイエルンが作れていないからこそ、グラッドバッハが対応できているということでもあり、彼らは最後までカウンターの姿勢を崩さずバイエルンに延々と攻撃されるような自体を作らなかった。

Copa del Ray Cuartos de Final 1stLeg レアル・マドリー対バルセロナ / クラシコ

2012 年 1 月 19 日 木曜日

■Real Madrid 1 – 2 FC Barcelona
レアル・マドリーは怪我によって出場が危惧されていたぺぺが先発出場をし、アルティントップが右サイドバック、イグアインとベンゼマを共存させる攻撃的な印象を与えるメンバーながら、中盤の構成は逆に守備的と思わせるものになっている。バルサが3バックのシステムで試合を始めることが予想される中、サイドを駆け上がれるディ・マリアが起用できず、エジルも出場しない。3トップでウイングがいるとはいえ、タッチライン際を得意としていないことが守備側にしては助かるように思える。実際は4バックとしてスタートをしたため、サイドのスペースのケアをどうするかという部分は薄いのかもしれない。

バルサのポゼッションに対してマドリーは、エスパニョールが成功して以降の戦術として定着し始めているフォアチェックでセンターバックにプレッシャーをかける戦い方ではなく、引いてプレッシャーをかけるラインを低めに設定している。プジョルやピケに対して向かっていくことは少なく、両サイドバックに対しても厳しくいかない。そこより一つ先にボールが渡ったときに初めて向かっていく程度。ただディフェンスラインは非常に高く設定してあり、コントロールも頻繁に行ってコンパクトに保ってスペースを与えないようしている。そうやって全体を高く保っていることで、バルサのバックパスによって不安定なピントを含めなければならなくなった際には追いかけて押し込み、縦や横の再展開を難しくさせるほど深くは入り込んでプレッシャーを与えることもできる。

バルサはワイドに開いたダニエウ・アウベスが右のウイングのサポートとなり、中央にアレクシス・サンチェスを入れ、メッシがマドリーの三枚の中盤、特にアンカーにマークされる中央に入らず右から中へというポジションを取り、先にボールを触り、ぺぺのタックルを一歩遅らせている。ピボーテの背後にはいることだけを狙っておらず、ピボーテの前で引き出すようなポジショニングもとって、シャビらに対してぺぺが積極的に向かっていくことも計算しながら、動いた裏を狙ったポジショニングを取っている。アレクシス・サンチェスも高いマドリーのディフェンスラインに対してスペースのある背後へと飛び出しを再三狙い、ダイアゴナルな動きも混ぜながら動いていることはマドリーのライン構築を難しくさせ、前へ徹底させられないよう意識付けをしているように見える。

先制点はマドリー。カウンターからクリスチアーノ・ロナウドのゴールを許してしまった。これまでであれば高い位置に残ってカウンターのボールを待っていたクリスチアーノ・ロナウドが、この試合は積極的に守備に戻り低い位置へと戻ることで、予めマークをして動きを限定し、苛立たせることでより単純化していき容易に防げていたが、下がった位置からオーバーラップをしてスピードに乗ったままプレイされることで、彼への距離を縮められなくなっていた。ピケの対応は中のコースを切ってファーサイドへのシュートコースも限定していた。キーパーにニアサイドの警戒を促すディフェンスだったものの、ピントの弱点でもある足下の弱さが出た形だった。その後もクリスチアーノ・ロナウドを一本目のパスで利用せず、マークを動かし、彼へのマークがいなくなってから利用をしている。繋いで展開をしていくほどの技術が中盤にないことで、それでもシンプルなものになっている。

バルセロナは徹底してサンチェスの飛び出しを利用して、マドリーのプランを崩すためにフィードを多用している。両者がコンパクトに保った密集地帯でのパスワークはリスクが高く、4バックの前に3枚を用意したブロックはペナルティエリア前であまりの分厚さを誇り、縦パスを入れればそれを自ら集めることにも繋がってしまう。フィードで裏を狙えない状況であれば、左はイニエスタを利用し、右はダニエウ・アウベスを利用する。ただアビダルはリスクを考えて大きく上がれず、メッシがフリーで動くために右も一枚のまま、複数で外に引き出すほどの効果は得られていない。外からの仕掛けにしても、最終的には中へのパス、あるいはカットインを使わなければならないため、マドリーはコースを切りやすい。ただ右サイドバックに入っているアルティントップはイニエスタへの対応が不安定で、距離の取り方やドリブルのコースを限定する守り方も不十分で、隙に動かれてしまっている。縦と横の両面で緩く、動き直しへの継続したマークももの足りず、いくつかそこからチャンスを作れた。

徐々にバルサがバイタルエリアに近くポジションを取りボールを受けられるようになったのは、アレクシス・サンチェスが左右へと動いて相手のマークを引きつけていることと、マドリーがフォアチェックへの意識があり、カウンターのように大きく展開して出てきている選手の背後を取らせてくれるようになったこと。ただポゼッションの段階になればフォアチェックはせず、自陣に引きこもってゾーンに入らなければ動いてくれないため、オフ・ザ・ボールの動きで変化をつけ、マークを動かす必要があるものの、それも密集しているためにスイッチされてしまう。大きくフィードをしてその外側に展開することでしか動かせておらず、そこにしか活路を見いだせていないが、そのフィードもこの試合は精度を欠いている。メッシも中央のブロックはおろか、サイドバックの前であったり、ピボーテの横にもポジションを取れておらず、ボールを持ってもラサナ・ディアラとぺぺの二枚に激しくフィジカルコンタクトで封じられることを嫌がっているようにさえ見える。サンチェスの飛び出しも減り、ウイングやサイドバックから横への展開も減って丁重なパフォーマンスに前半の終盤は終始してしまった。

後半はメッシが右には行ってスタートしたものの、すぐに中盤へと下がってしまった。ただメッシは前半よりもピボーテに近いポジションを取り、接触から逃げるのではなく、そこに人を集め始めており、アレクシス・サンチェスの素早い動き出しと連動し、その後のスペースを使ったり、彼を裏へ走らせるだけではなく、手前へと戻らせてボールを受けに動かせ手先に触らせることも増えた。
ようやく連動した形が見え始め、動きも連動するようになってきた中、コーナーキックからプジョルのヘディングで同点ゴールを決めた。これによってアウェーゴールを得たことになり、マドリーが集中して守りのみを固めていればいいという状況ではなくなった。

マドリーは攻撃に出なければならない焦りからポゼッションに対して出て行こうとしたり、縦パスに対してセンターバックが引き出される場面が目立つようになり、ピボーテとセンターバックの関係がずれてバイタルエリアを閉じ続けていた部分で、ゾーンをしっかりと埋めきる事が出来ず、動きに左右されてセンターバックの前に選手が入るスペースを与えてくれるようになった。フォワードのサポートをセスクが近づいて行うことで、それぞれが孤立せず、逃れるパスを出せるようになり、メッシもコエントランに近づいたり、シャビ・アロンソに近づいてポジションを上げるようになった。それでもメッシは注意してみられ、ボールを受けて前へ仕掛けられるほどの時間的にもスペースも余裕を与えてもらえていないが、マドリーも効果的だったクリスチアーノ・ロナウドにボールを最初に渡す場面が増えてしまい、あるいは足を止めてからボールが渡るタイミングでしか動かせず、バルサのセンターバックを大きく引き戻すようなダイナミックさもなく、止めやすい環境になってきている。マドリーはエジルを投入したことで中盤にボールを納めて変化をつけられるようになり、改善を目指そうという意識が見える。だがその効果がすぐに現れることはなく、クリスチアーノ・ロナウドは足を止めたままボールを触り、積極的に動くこともなくなり、カウンターへの勢いもなくなったまま。

選手交代をして中盤の枚数を減らしたことでバルサにとっては利用しやすいスペースが増え、アビダルのオーバーラップを呼び込めるほど、安定したキープをサイドバックの前で行えるようになった。横への変化をつけるパスこそ回数が少ないものの、全く使えなかった前半からは改善して、多少できるくらいには改善をしてきている。ピボーテが一枚減ったことでボールを受けようと動けばセンターバックが前へ簡単に出てきてくれ、それをサポートするためのピボーテの動きも広がったエリアを埋めきるほどではなく、メッシがピボーテの前や横へポジションを取って前を向く回数が増えた。そして左からのリスタートの時も、これまでであればメッシにすぐ体をぶつけにピボーテが現れ、余裕を持たせてもらえなかったが、パスコースを探せる時間を与えてもらい、アビダルのゴールをアシストできた。

マドリーは逆転されてからさらに積極的になって攻撃に人数をかけ、プレッシャーをかける一も上げたものの、接触を自分たちのペースで行えておらず、バルサの選手たちがボールを持ってから向かっていくため、タイミングの遅れが目立つようになり、かわされてしまったり、ぶつかるところまでいけずに引き返して自分のポジションに戻る、ファウルになる、と一つの遅れが守備全体のコンパクトさを奪い、バルサが余裕を持ってボールを動かせるようになり、フリーとはいかないまでも、寄せられる以前に隙間に入ってボールを受けて前を向き、その繰り返しで消耗されてより追いかけられなくさせていく。

マドリーは残りの時間を大きなフィードを利用して左右へ大きく動かしながら、人数をかけてワイドに広げたところへボールを動かし、そして中へとフィードを入れてバルサのディフェンスラインを裏へ走らせるようとしている。ただバルサの守り方は集中して、特に両サイドに交代選手を入れているため、そこへのプレッシャーが遅れることはなく、きちんと抑えている。さらにはクリスチアーノ・ロナウドへ最初にボールを預けて何とかしてもらおうとする意思が強いため、マークを縮めて触らせず、満足にプレイをさせない守り方を選択でき、より守りやすくしてくれていた。

いくつかのラフプレイと悪質な行為があり、よく退場者が出なかったと思えるほど。

Liga Espanola Jornada 19. バルセロナ対ベティス

2012 年 1 月 16 日 月曜日

■FC Barcelona 4 – 2 Real Betis
ベティスもラインを高く設定してフォアチェックから試合へと臨んできている。3トップ気味のウイングのどちらかを大きく開かせてサイドへとセンターバックを引き出しながら、戦うことを考えているようで、カウンターからドリブルに入ったときも、中央から外へと押し出されながら、それでもいいとしているようで、バルサのセンターバックを引き出し、中央を経由して逆サイド、あるいは高い起点から裏を狙う。
ベティスは攻撃時こそ3トップの形にして、それぞれの距離を縮めてサポートを得られるようにし、ディフェンダーを引きつけ、それが動いた背後へと飛び出せるよう狙いを絞ってきている。中央のマスケラーノは直接カウンターを抑えるための前後の動きは非常に優れているものの、自分のポジションを保ってカバーリングを行わなければならない3バックの中央、特にベティスがサイドのセンターバックに対してしかけているため、チェックに力を割けない。常に背後を気にするあまり持ち味が出ず、ピンチも作られてしまった。

先制のバルサの攻撃はプジョルの守備から始まった。それまでサイドに開かれて前向きにボールを納められて引き出されてしまっていたtが、ポジショニングの距離を縮めて、外へ押し出すのではなく、パスカットをし、奪うためのポジショニングに切り替えていた。整えていた中盤のラインをそのカウンター気味になったものによって整えられず、ダイアゴナルなバルサの動きによって大きく乱れ、オフサイドを取ることもかなわなかった。そしてシャビが押し込んで先制点。

ベティスは守備時にラインを高くしているディフェンスラインの前にピボーテを置いてバイタルエリアを埋めさせるのではなく、フォワードを一列下げて四人の中盤をフラットに保つことによってバルサの攻撃をしのいでいたものの、一度チャンスを得てから攻撃に重心を置いてしまって中盤に四枚をそろえることなく三枚のまま対処する事が増えた。ピボーテの横、バルサから見て左サイドを埋めていた選手が戻ってこなくなったことで、イニエスタがフリーになる機会が多くなり、中央をピボーテが埋めていたとしても、その横、そしてサイドバックの前で自由にボールを受けて仕掛けることが出来るようになった。そこから二点目は生まれ、その後右サイドバックが前へ張り出すことによってその代わりを務めようとしたものの、ディフェンスラインを乱してまで出て行くことで、サイドへ広大なスペースを作ることに繋がって余計にバルサの攻撃に余裕を与え、全体がスペースを持って自由にボールを回せるようになった。バルサがしっかりとしたポゼッションに入ると立ち上がりのように一枚フォワードが右の中盤にはいってスペースを埋め、チェックと両面を行うようになったものの、スコア面でも余裕を持ったバルサはポジションチェンジを多用しながら左右に揺さぶるほどのこともできるようになり、フォワードが下がってしまえば、3バックの両サイドを務めるセンターバックも攻撃のサポートをするため、ハーフウェーラインを大きく越えてボールを扱えるようになり、数的有利を作って動かせている。フォアチェックによってクイックな展開こそさせてもらえないとしても、しっかりと前を向けるだけの状況を動き直して作れるようになっている。

バルサの両サイドをベティスが狙ってきていることに変化はなく、ドリブルで大きく押し下げてからクロス、あるいはプルバックのパスを出してシュートを狙う事が多くなった。序盤のようにサイドで引き出して中央の裏を取る戦い方が出来なくなってきているのは、セルヒオ・ブスケツが下がって、サイドを使われた際にニアサイドをしっかりと埋めて中へのパスを選択させなくしている。マスケラーノはそのお陰で前へのパスカットを考慮せずに、裏への選択肢を削ることのみに専念すればよく、安定したポジショニングを取れるようになった。特にブスケツのポジショニングに寄るところが大きく、ここが安定しているお陰で、ブロックを左右へ大きくスライドさせても、中央を経由して反対側まで持って行かれることはない。ただここのポジショニングでサイドの選択を失敗すると、マスケラーノの役割が序盤と同じく不安定になってしまい、一点を返された場面のようになってしまう。

ベティスは一点以前からフォアチェック時にマークの距離を縮めて密着して前を向かせないよう激しさをもたらすようになってきていた。フォアチェックでプジョルやアビダルを外へ押し出し、中へのコースを限定した上出たてへの選択肢をマンマークする。それで前を向かせず、一度下げさせることでスピードアップをさせない。ただディフェンスライン自体は高く保ち切れておらず、最初のチェックさえかいくぐってしまえば、一歩遅れてパスを受ける選手に対して向かってくるため、先に触ることさえ出来れば、動いて向かってくる選手がいたエリアにスペースがあり、スピードアップするためのスペースはある。ただそこへ一本目のパスを入れてベティスを押し下げられておらず、ディフェンスラインの裏を狙って押し下げようと飛び出す選手もいないため、バルサの攻撃は単調になり、反対に押し下げられてベティスのペースを作ってしまった。

後半開始とともにバルサとベティス両者ともに選手交代を行い、サンタ・クルスがベティスのフォワードとして入ったことでシステムは少し変わり戦い方も少し変化が出てきた。2トップ気味に中央に二枚のフォワードが残り、それまで効果的に使えていたサイドのスペースに対して誰も出て行かなくなり、早い段階で外へ起点を作ることが難しくなってきた。ただサンタ・クルスのポジショニングはポストプレイに活き、裏へ抜けてクイックな展開よりも、前でいったん納めて再展開を狙うのを容易にしている。そして彼がプレッシャーの中で失わずにプレイしたことで同点ゴールへの流れを作った。

ダニエウ・アウベスはワイドに開いて外の起点として残り続け、中央にブロックを集中されないようにしながらも、状況によっては引いて前のサポートに徹しながらオーバーラップをしてメッシへのマークを引きはがす役割も持っている。ただアレクシス・サンチェスは飛び出しを中心とした動き出しに躊躇が見られ、ダニエウ・アウベスとの連携も上手くいかず、左に回ったイニエスタやセスクとメッシの距離が遠く、細かくワンツーで崩す時にも足を出されやすい。特にメッシとセスクがマークの受け渡しをしながらフリーの方を利用するような形が見られず、バイタルエリアでの勝負ができていない。そのため、縦パスをピボーテの背後で受けようとするとセンターバックが猛然と出てきてタックルを仕掛けてこられる。二人が近く保てていれば、裏を取られることを考え、その思い切りを与えずに済んでいるかもしれない。特にセスクはこの試合中精彩を欠いていて、狙いとずれたキックも多く、得点に繋がるポジションも取れていない。取れていたとしてもシュートがミートすることも少なく、変化を与えられるランニングも少ない。

ダニエウ・アウベスがディフェンスラインの裏を狙って飛び出していくことはあっても、4バック気味にプレイをすることが多く、常にそれを狙うことは出来ず、相手のラインに与える変化はそれほど多くない。ただベティス自体は前から守備をすることができずに引いて守ることが増えている。サンタ・クルスがフォアチェックに向く選手ではないため、そういった方針に切り替えざるを得ないのかもしれなかったものの、プレッシャーを与えなくなったことで、メッシが相手のピボーテの前からドリブルを仕掛ける回数が増え、そこをかわしてセンターバックにまで突っかけられるようになった。そこから相手を退場に追い込むファウルを生み、ベティスはゴール前に張り付くようになった。バルサはサイド、中央、裏と変化をつけて猛攻を加え、最後にはそれまで少なかった中央の背後を取ったことで勝ち越しゴールに繋がった。センターバックが退場によって交代をしていたことも、ここの対応を不十分にしたことに繋がったのかもしれず、大きな退場だった。大きく下がって守っていることでパスの出し手にプレッシャーがかかっておらず、そういった状況がアレクシス・サンチェスの裏への飛び出しをさせる要因になっている。

ベティスはパサーを自由にさせすぎないようにチェックへと出ようとしているものの、バルサが横に多く並べてブロックに入っていかず、その手前で横に動かして走らせ続けるために徹底することは出来ず、足が止まってからバルサは前へと変化をつけていく。ベティスが下がったことで両サイドバックが高いポジションを取ることが出来、彼らに大きく外側のスペースを使わせる。中央に集まって守るベティスの外と裏をしっかりと使い、縦のスピードを維持したままワイドに使う。最後のPKは少し厳しいように感じたものの、相手のスペースをしっかりついた結果だった。

Copa del Ray Octavos 2ndLeg オサスナ対バルセロナ

2012 年 1 月 13 日 金曜日

■CA Osasuna 1 – 2 FC Barcelona
第一戦の成績からバルサ、オサスナ共にこの試合大きくメンバーを落として試合に臨んでいる。そのためクラシカルな4バックを採用して安定して試合に入ろうとしている。しかし、オサスナはディフェンスラインを高く設定してフォアチェックを行い、バルサの最後尾に対してプレッシャーを与え、ポゼッションを難しくさせている。マスケラーノがアンカーに入っていることもあって、大きく下がってボールを引き出すことも少なく、サイドバックも効果的なポジショニングを取れず、その一つ前も縦パスを引き出せるほどではない。
ただ一つそれをかいくぐってしまえば、オサスナはエスパニョールほど中盤以降が密着して掴まえにきておらず、パスカットを狙ったポジショニングを取っていない。抜けられないよう見ておくことを中心としているため、プレッシャーから逃れるためのパスであっても先に触られてカウンターを受けることも少なく、一応は先に触らせてもらえる。前に運んだ後であれば、奪われても攻守の切り替え自体に問題はなく、クイックに行えているため奪い返すことも、そこからポゼッションにはいることも出来るため、早めに縦へ入れられればオサスナのペースから逃れられる。

フォンタスの怪我によってアビダルが出場しなければならなくなったものの、オサスナのプレスに対する意識が少し緩く、センターバック同士でプレッシャーを受けながらも繋ごうとしたり、あるいはボールを動かしてそれをかわそうとしてしまい、ピンチを広げてしまった。キーパーがビクトル・バルデスであればスピードやポジショニング、パスの精度などからそういったことも出来るだけの余裕を得られるものの、ピントではそれが難しい。ただパスを積極的に前へ狙う姿勢はフォンタスよりも前線への動きを活発化させる効果はあり、バックパスや横パスの回数を減らしていった。マスケラーノが下がり気味にプレイしながらサイドバックを押し上げ、ポゼッションをしやすい環境を作っていくことで、オサスナのフォアチェックの連動を解いている。縦パスをさらわれるようなポジションこそ取られていないが、それでもボールタッチから前を向かせない、抜かれないポジションを維持し続けているため、ボールを受けてからスピードアップする場面を作れず、ドリブルを仕掛けるにしてもフォアチェックをかいくぐった直後のサイドバックや中盤がするほかはない。オサスナのディフェンダーはバルサのフォワードに対して飛び込んでいかず、徹底してみているため、抜けず、引きつけられず、相手のバランスを崩すのも難しく、ペナルティエリア内の陣形もぶれさせられていない。

バルサのクロスの本数がいつもよりも多く、サイドからサイドへの展開しかない、中央からの切り崩しが狙えていないのは、横への変化を中盤のセルジ・ロベルトやチアゴ・アルカンタラができていないから。フォワードの一枚が大きく引いてそれに参加することも出来ず、いくらか横パスを入れることは出来ていても、相手を引きつけてフリースペースを作るような余裕を持ってプレイしておらず、バイタルエリアが閉じられていることも影響しているとはいえ、そこが全く崩れていかない。バイタルエリアを広げるためにフォワードが飛び出しを頻繁に狙ってディフェンスラインを押し下げる工夫も、その動きにパスを連動させる期待もないため、ゴールへまる形が見えてきていない。

アビダルのパスが相手にさらわれ、リカバリーをして一度は止めたものの、奪い返されショートカウンターになり、レキッチにゴールを決められてしまった。その後もマスケラーノがゴール前からしたパスが相手に渡ってピンチになるなど修正も出来ていない。オサスナも一点を取ったことで守りにはいることはなく、あくまでも追加点を狙ってそれまでの形を維持しながら、それ以上の積極性をみせてパスカットができるだけのマークの距離になっており、点を取った勢いでより改善してきている。

後半スタートしてもそれほど大きな完全があったように見えなかったものの、オサスナのバイタルエリアにフォワードの全てを入れられたのは大きく得点に影響をしていた。ペドロが相手の中盤ではなくサイドバックの前で受けられたことでオーバーラップをするアドリアーノをフリーにし、余裕を持ってクロスを上げさせたのは前半には見られなかった形。そして中でクロスに対応する選手たちも、中盤とセンターバックの二つを相手にすることなく、戻りの遅れたピボーテを置いていき、ゴールへ近い位置でプレイできたことで同点ゴールに近づけた。

ゴール以後のバルサは大きくサイドへの展開も出来るようになり、サイドへの振り分けも中央のチアゴを経由しても行えた。ウイングがボールを持ったときのオサスナのピボーテがセンターバックに張り付くほどのポジションを取っておらず、フォワードをセンターバックに任せるようになった。そのためバイタルエリアではバルサの選手たちが縦パスを触ることが容易になり、ダイアゴナルな動きで中から外へ出て行くウイングに対しても突いていかなければならなくなり、ディフェンスラインの隙間が大きく開く場面も出てきた。そしてサンチェスやセルジ・ロベルトが裏へ飛び出し、そこへフィードが出てくるようにもなり、相手の前で受けるだけではなく、背後も使えるようになって、左右への揺さぶりや中盤とウイング、サイドバックの関係などサイドでも中央と絡んだ展開が使えるようになり、幅が広がった。

メッシが投入されてからは、それまでウイングを中心としてクイックに展開し、クロスを入れる回数が多かったものの、それを抑えてスローダウンする回数が増えた。横へボールを動かしながら、メッシ自身も右から横へスライドしていくようにして注意を引きつけながら陣形を揺り動かし、待ちかまえさせずに動きながらの対応をディフェンダーに迫るようになった。ペナルティエリア前で人数を集めて、相手の目の前で変化を作れるほどの余裕が出てきたのも大きく、相手をそうやって中央に集めてサイドを大きく開けさせるのも、その後の展開を考える上では重要な役割になっている。そして外へパスを出せば中を固めていた選手が引き出されて隙間を大きく作る。逆転ゴールとなったセルジ・ロベルトの動きは的確にそこを捉え、押し上げようとしたディフェンスラインのギャップを利用していた。

逆転後の展開はバルサが左右へ大きく振り分けながらポゼッションをし、セルヒオ・ブスケツはメッシの欲しいタイミングでボールを供給して、プレッシャーの中でもパスを受けるのを厭わず、そこから逃れるだけではなく相手を集めてから出す、しっかりとファウルをもらう、どちらも使うだけの余裕を持っている。守備に回ったときのバルサも、ピケがしっかりと相手とのマークの距離を縮めて、縦パスをカットしてそのまま持ち上がる場面も見られるようになり、納めさせず、押し上げさせない守り方も選択できるようになってきた。ピケだけではなく他のディフェンダーにも同じように、ボールコントロールが少しでも大きくなればカットを狙って足を出せるようにもなった。抜かれる危険は大きくなったものの、囲む余裕も出てきているため、ゴールへと直結されるようなことはなく、接触が増えてファウルの回数が増えたことぐらいが不安だったくらい。

Liga Espanola Jornada 18. エスパニョール対バルセロナ

2012 年 1 月 9 日 月曜日

■RCD Espanyol 1 – 1 FC Barcelona
イニエスタやアビダルといったところ怪我や病気から復帰し、4バックを十分に出来るだけのそろったため、通常の形でダービーに挑むのかと思っていたものの、キックオフ時には最後尾は3バックの姿勢を取っている。

エスパニョールは三枚のアタッカーを前線に残して引きすぎないようにし、カウンターへの人数と勢いを持たせようとしている。3バックの外側を狙うべく外側でスピードアップをしたり、納めたボールを直接裏へ出すことでスピードを活かそうともしている。ベルドゥーを含めたカウンターで決定的な形を作ったものの、ビクトル・バルデスのお陰で防げた。しかし、手前で納められたときに裏へ抜けようとする選手を捕まえ切れておらず、足を止めさせるためのプレッシャーをボールホルダーに与え切れていない。裏へ抜けられることを怖がり密着して守備を始められておらず、相手がダイアゴナルな動きを多用して直線的に動いてこないこともあって、3バックのマークの外側へと流れられやすくなっている。
残っているアタッカーはバルサのディフェンスラインやキーパーに対しても圧力をかけて自由に持たせる時間を大きく減らし、連動してエスパニョールはディフェンスラインを高く押し上げてコンパクトに中盤と最後尾を設定している。バルサが奪う位置を高く出来ず押し込まれていることや、プレッシャーを受けて最後尾から大きな展開が出来ない、そういうことを合わせてアレクシス・サンチェスや中盤も下がり気味にスタートし、ポゼッションもスムーズに動いていない。

時間の経過と共にバルサが主導権を握れるだけの状態を作り始め、エスパニョールは度重なるお粗末なミスによって流れを失っていった。一度はキーパーがメッシへとプレゼントのパスをしてしまいゴールを危険にさらし、もう一つはディフェンダーがバックパスをアレクシス・サンチェスにさらわれるほどの弱いパスを出してしまった。それ以前からセルヒオ・ブスケツがベルドゥーを密着して納めさせないことでセンターバックがフォワードを掴まえやすくしてバルサは守りを安定させはじめていた。ただセスクのヘディングゴールによって先制できたのはミスによって若干浮き足だったエスパニョールの影響がある。
失点後しばらくはそれを引きずったかのように動きが悪かったものの、守備に対する集中力と勢いを取り戻し、フォアチェックとそれから逃れようとする縦パスを奪うために素早い出足でカットをして、その勢いを持続させようとする。前線と後方がしっかりと前後に分離しないよう同じ意図を持ってボールを奪うためのポジショニングを取っているため、バルサに裏へ飛び出すチャンスをあまり与えず、縦パスを納めさせない。メッシがフリーでボールを納めることはあっても、守備によって押し下げているためサポートをが少なく、横の展開や近い位置に連携していく先があまりない。この試合のバルサは国王杯とは違い、ワイドに開いて中へ選手を集めてペナルティエリア内に人を集めるのではなく、ワイドに開いてディフェンスラインの隙間を広げようとする意図が強く働いているため、選手同士の距離が遠い。距離の長いパスは勢いがあっても集中している相手にはパスカットをされやすく、セカンドボールを拾うことや攻守の切り替えにも影響をしている。エスパニョールがアタッカーを多く残していることで、バルサの3バックの両サイドを担当するプジョルとアビダルが、オーバーラップをして前へのサポートをするためハーフウェーラインを越えるような場面を作れないことも、ウイングがワイドに開いたまま中へ入れない原因になっている。

攻撃が上手くいかなくなってしまうとエスパニョールへと主導権を渡してしまいがちで、一時は上手くいっていた攻撃の起点となりやすいベルドゥーを掴まえておく守備もできなくなってカウンターの一歩目を納められてしまうようになっている。事前マークの距離が伸びたことでカットの姿勢も取れず、フォアチェックがないことでリスクも高く、ばたばたと落ち着かない守備になってしまった。エスパニョールは中央で納め、人を集めつつもオーバーラップを利用して3バックを中央に集めてから外へ出し、埋めきれない部分を利用して狭い距離から裏を取ろうとして成功しているものの、最後の部分でプジョルが締めて失点を防いでいた。

後半になってバルサは落ち着きを取り戻して通常の形に近い距離を保てるようになってきた。まずはフォアチェックでエスパニョールからポゼッションを奪い、前へ預けるパスを正確なものにさせず限定し、狙い所を作る。プジョルをはじめとしたセンターバックが予めマークにつけるような体勢を作って体を寄せて裏へ走らせず、納めさせもしない。そうすることによって押し下げられる回数が減って、センターバックからワイドなフィードを使えるだけの状況を中盤に残している。
ポゼッションにしても両サイドをワイドに残しているのは変わらないものの、均等に中盤がポジショニングをして左右どちらにも選手を残しているため距離が開きすぎていたものが、若干左に重点を置いたポジショニングになり、右のダニエウ・アウベスを右に大きく残してイニエスタをサイドに出してサポートの時間を増やし、守備に相手を戻らせることでプジョルやアビダルがハーフウェーラインを越えるタイミングを作ってバックパスから横への選択肢を作っていく。

ただその流れを持続させていくことは難しく、エスパニョールはすぐに前半のような徹底したフォアチェックと後方の押し上げをセットで行えるように集中を取り戻した。バルサを押し込み、繋がせないように意識を持って守って、攻撃になればしっかりと繋いでサイドに流れたフォワードが縦パスを落として再展開していく。バルサのサポートを遠くさせて安定したパスを出させないよう浮き球を使わせる。ただ前半と違って消耗しているように見えるのは最後尾の方で、縦パスに対して予め密着して奪えるポジショニングを取っていたのが、後半は体をつける所か、パスが収まった瞬間に体を接触させられず、一歩遅れてぶつかる、あるいはコースを切ることしかできなくなっている。ラインを整えて踏みとどまっているものの、それ以上の効果はなく、前を向くチャンスをいくらでも与えてくれている。

途中から4バックに変更をして安定したポゼッションを得られるようゆっくりとボールを回す時間が増え、無理に最初からワイドな選択肢を使わず、低い位置に起点を設けて横に動かすようにし始めた。サイドバックは攻撃のサポートとオーバーラップにも影響をし、守備に回ったときにはセンターバックの外側を使われていた部分を埋めることが出来る。ただ人数の増加は、誰が明確に相手を掴まえておくのかという部分にも影響を与え、プジョルが相手を掴まえて納めさせないようマークの距離を縮めて守備を引き締めていたのが、それぞれの隙間に入られ、ブロックを左右へ動かされ中央にスペースを作るわけにもいかないため、密着したマークとパスカットを狙いづらくなった。さらに時間の経過と共にエスパニョールが前へ人数をかけてペナルティエリアに人数を増やし、外からのクロスを入れられるようにした。バルサは3バックであればきっちりと厚みを保っていた守備が、4バックになったことでラインが整ってしまって、センターバックの前を埋めきる選手がいなくなってしまった。同点に追いつかれた場面ではそれが顕著に表れてしまって、マークすべき対象もセカンドボールを警戒すべき相手もいない中でセルヒオ・ブスケツがクロスに対応するポジションを取らず、相手の素晴らしい対応によってゴールを許してしまった。

バルサはなんとか一点を取るために攻撃を仕掛けようとしているものの、エスパニョールの攻撃の勢いも衰えず、攻撃し続けることをさせてもらえない。メッシは二度目のオンサイドをオフサイドと取られ、ペドロのシュートはハンドに阻まれ、審判の判断に泣かされた。最初から最後までエンジンがかかることがなかったメッシも攻撃をスムーズにできなかった要因なのかもしれないが、あまりにもエスパニョールの攻守にわたる徹底が素晴らしく、引き分けで終わったことには納得できるほどだった。

Copa del Ray Octavos 1stLeg バルセロナ対オサスナ

2012 年 1 月 5 日 木曜日

■FC Barcelona 4 – 0 CA Osasuna
開始早々にディフェンスラインをプレッシャーによって押し下げられ、クリアとなるフィードを跳ね返され、バイタルエリアから裏へ抜ける動きについていけずにファウルをしてしまった。それに代表されるようにバルサの後方に対してオサスナはフォアチェックによってプレッシャーをかけ、試合をコントロールしようとしている。キーパーがコパ・デル・レイではビクトル・バルデスではなくピントだということもあってバックパスから一気に再展開するとしても幅が狭く、距離も短い。さらにそれをサポートするために3バックの三人が大きく引いてワイドなポジションを取らなければならないこともあって、オサスナとしては思い切ってプレスに向かいやすく、切り替えるスイッチが明確で、ラインを押し上げやすくなっている。
バルサはセンターバックがプレッシャーにさらされて後ろに下がらなければならないことや、サイドを大きく使われることによって最初のポジションを押し上げ切れておらず、攻撃がカウンター気味にクイックな展開を増やしていることもコンパクトに保てない要素の一つになっている。センターバックのポジションが上げ切れていないことで、アンカーとの距離が少し空いてしまい、センターバック前で相手のフォワードのボールを触られて、納められ、裏への展開に加え、ファウルも与えがちになっていた。

バルサはダニエウ・アウベスをフリーにし続け、そこに起点を多く作っていた。ウイング気味にポジションを取りながらも、ペドロらの動きによって相手サイドバックのマークを受けず、その外側にスペースを作っている。オサスナがワイドに開いて外側をケアする守り方を取っておらず、フォアチェックをする分、中央に厚みを持たせるべくディフェンスラインを中へ集めていることと、バルサのウイングが中への動きを多用していることもあって自然とサイドバックが絞って守らなければならなくなっていた。先制点の場面では左から右に大きく振ったことでそのスペースをより明確なものにした上で、ダイアゴナルな動きでディフェンスラインを真ん中へ集めきり、再び左サイドに動かしてゴールを奪えるほどのスペースを作った。二点目の場面では、オサスナに中へ集められるという意識を持たせた上で、外を使わず中を使ったことでセスクへの反応を遅らせて、ループシュートを打てるだけの余裕を与えていた。

バルサはこの試合バイタルエリアへの縦パスをあまり利用してきておらず、サイドを主に使って前へボールを運ぼうとしている。そこから横へ展開することによって中央で攻撃の幅を持たせ、外でプレイしていた選手がその間に中へと動き直す。ペナルティエリア内に多く選手を入れて、その殆どが縦の単純な動きではなく、外から中への斜めの動きによって変化をつけながら入ってくるためオサスナとしては掴まえづらく、マークのずれをさらに利用されるため、対応したとしてもそれが新しいスペースを作ってしまっている。バルサはワイドに選手間の距離を広げた状態から縮め、細かくパスを繋げる距離にしてしまっていることで、動きだけではなくパスやコンビネーションで変化をつけやすくなっている。それに加えてペドロやクエンカが中心となって相手ディフェンスラインの背後へ飛び出しを常に狙って、ラインを一定の高さに保とうとしているオサスナの裏をとっているため、相手が前へ集中して出てこられなくしている。ビジャがいなくなったことでディフェンスラインを乱す飛び出しをだれもしなくなっていれば、パスを中心とした崩しに対して思い切ったパスカットに出てこられる危険性があるものの、この飛び出しと、そこへのパスをきちんと出していることによってそれを未然に防ぎ、パスと動きの変化の助けになっている。

オサスナは序盤こそバルサにフォアチェックからプレッシャーを与えてキーパーへ戻させて、ラインを下げさせることに成功していたものの、失点して以降そういった場面は見られておらず、ピントが触る機会を減らしていった。バルサは下げられていたことでフォワードを掴まえられておらずフィードを納められていたのが、事前にしっかりと掴まえられるようになって、フィードを納められてカウンターを受けることなく、しっかりと跳ね返すだけ密着できるようになった。守備が安定すれば、全体を引き戻される心配はなくなり、攻撃を連続させることが出来る。前半終盤にピントがボールを触る機会が増えたものの、序盤ほどのスピードや連動した脅威がないため、バルサが全体を押し下げられたり、下がりすぎてフォワードへのマークがずれるようなことはなかった。

後半開始時にはオサスナも集中をして、前半と同じようにディフェンスラインを高く、センターバックへのプレッシャーをかけつつスタートした。ただセンターバックに対して向かっていく頻度は少なくして、そこから前へ出るコースをきっちりと塞いでいる。前半は張るsが意図的にタッチライン際に縦パスを展開していたものの、後半開始時には、中へのパスコースを得られず仕方なく外から外へのパスを使わされている。コースを限定された上でのパスのため、オサスナの陣形を崩すパスにはならず、縦へも勝負をなかなかできていない。大きくサイドチェンジをすれば陣形の外側へボールを出して前へ仕掛けられるようになるものの、大きな展開に頼らなければならなくなっている。安定したショートパスを繋げていないことでフォワードは飛び出しのタイミングを掴めておらず、前半は相手のディフェンスラインを乱す飛び出しをペドロやクエンカが出来ていたものの、外側のゴールへ直結しないダニエウ・アウベスしかできなくなっている。

メッシが投入されてからはパスを中心とした展開の中にドリブルというオプションを入れられるようになった。特に中央のバイタルエリア付近でのボールタッチ、相手のマークを受けない納め所となれるようポジションを取っているため、セスクが飛び出しを行えるようになり、それまで中断させられていた裏へのパスと飛び出しを利用できるようになった。
オサスナは攻撃と守備が徐々に分離し始め、前後の間延びが大きく見られるようになったため、バルサのパスを限定するところまで持って行けず、パスからドリブル、そしてスピードアップと一連の流れを邪魔されることはほとんど無くなり、オサスナのディフェンスラインはリトリートしても数的な問題も解決できないままゴール前を埋めようとするだけで、仕掛けてファウルをもらうことも、引きつけてオーバーラップを利用することも出来ている。飛び出しも使われ、ドリブルもオーバーラップも警戒しなければならなくなったオサスナのディフェンスラインはフラットには保てなくなって、余計に踏みとどまることが出来なくなり、中盤と最後尾の境目が見えなくなるほどブロックを維持できなくなっている。

三点目を取って以降のバルセロナは、オサスナの間延びに合わせてしまって自らも間延びをして守備への戻りが遅くなってしまった。それに加えて、オサスナが狙いをセンターバックの前でいったん納めるのではなく、直接左右のセンターバック裏へパスを出して走らせることを始めたため、ゴール近くに迫られる回数も増えてしまった。しかし試合終了間際には前線の攻守の切り替えもしっかりと行えるよう集中を取り戻し、センターバックも先にボールを触り、裏へボールを出させないように、自分たちの前で捉えるようになった。しっかりと守備面での集中も取り戻して四点目も決め、いい形で試合を終えることが出来た。