■Real Madrid 2 – 1 (PK2-3)FC Bayern Munchen
厳しい試合が続くレアル・マドリーは左サイドバックのコエントランとマルセロを入れ替えたものの、メンバーを入れ替えずにこのチャンピオンズリーグにも挑んでいるものの、それぞれバルセロナよりは一日ずつ試合間隔が空き、多少は休みがあったと言える。対するバイエルンはブンデスリーガではメンバーを大きく落としているためコンディション面に不安は無いといいたいものの、結局の所リベリーやマリオ・ゴメスは出場しなければならない状況を作ってしまったため、完全な休養とはいかなかった。
バイエルンはポゼッションを使用と試合に入り、マドリーはそれに対してフォアチェックをかけて奪い、カウンターへ移行しようとしているが、バイエルンの繋ぎ方は危険な地域では繋がず、前へ蹴り出してしまい、チェックに出てくる裏へと単純なパスを使って攻めようともするため、マドリーは攻撃の位置が下がってしまう。下がった位置からゆっくりとマドリーは構築するわけではなく、パスを繋がずドリブルで持ち上がることを選択している。シャビ・アロンソのワイドに開くフィードは逆サイドを狙っていて、特にアラバの外側へと展開して収めさせ、立ち上がりで二度も通すことに成功をした。省略してチェックから逃れられる手段を持ち、パスではなくドリブルによって変化を加えてしまうわけで、バイエルンがフォアチェックからペースを握ろうとしても奪いに行くことが出来ずにスピードに乗るドリブルのコースを限定して外に押し出していく程度。無理に奪いに行けば抜かれカバーリングを必要とし、他へのマークが緩くなってしまう。片側に人数を集めていくマドリーに対してバイエルンはこれまでのようにブロック全体を同サイドに集めてファーサイドへのケアを怠っている。明確に弱点となっているその部分へのかを全くすることが出来ず、ファーサイドまで流したクロスをダイレクトでシュートに持っていったディ・マリアのシュートがアラバの手に当たってPKになったものの、ファーサイドに人が全く足りない弱点自体を修正してこなかったことが強く影響をしていて、ダイレクトでなく時間を使われたとしてもゴールを奪われてしまった可能性はある。このゴールによって二試合合計で同点に追いつかれアウェーゴール差によってマドリーがリードを奪うことになった。
直後にアラバのスピードアップした直線のドリブルで相手の裏へでてクロスからロッベンのシュートに繋げたものがあった。マドリーの守備意識が前へ向かっている以上、バイエルンの縦へのスピードアップは効果的に機能し、こちらもマドリーはサイドバックの裏側をセンターバックがカバーリングすることを強く意識しているため、ファーサイドや中央に人数が多くいるわけではない。中央にマリオ・ゴメスがいるためそれへのマークをしておかなければならないと同時に、リベリーやロッベン、アラバが裏へ走るのも見なければならない。そしてその間やポジション左右へ動かした後をクロースが補っているために、マドリーは出れば彼にその裏を捉えてしまい、バイエルンは一度戻してもシュバインシュタイガーがきっちりとサポートをしていてすぐに裏への飛び出しに対応できるパスを入れられる。後ろへ戻りながらのプレイを意識させることでバイエルンにもチャンスがあるように見えた。
ただ先にゴールを奪ったのはマドリーでサイドから中央へ繋いだ後、クロースが奪ったこぼれ球が相手の足下にこぼれる不運なものだったものの、アラバがボールしか見ておらず自分の埋めるべきスペースを意識しないプレイをしていたことが原因で、バドシュトゥバーが常に左サイドへ引き出されてしまっていた。ルイス・グスタボが中央を埋めるべく下がっていたものの、一度マドリーを押し下げたときに本来のポジションに戻ってしまい、アラバが戻るべきタイミングでも後ろを全く意識しなかったことが影響をしてしまった。左サイドに人が集まってしまってそのサイドにゾーンを集められていたに等しく、ファーサイドとなる中央にディフェンダーがおらず、隙間が大きく空いていた。そこをクリスチアーノ・ロナウドに使われ、というよりもオンサイドのエリアに体を入れ切れていなかった彼に大きなスペースとオンサイドをプレゼントして、ゴールを献上した。それでも二点を追いかける状況であっても一点を取ればアウェーゴールで並べてしまうという状況はましなものなのかもしれない。
両者共に縦への展開を早くしていて中盤でゆっくりと組み立てることは少ない。バイエルンはリベリーやクロースが引いてマークを引きつけてその裏側にあるスペースへとマリオ・ゴメスやアラバが流れたり上がって利用をする。マークに付いているペペを左右へとマリオ・ゴメスが引っ張っているものの、マドリーはフィードによって裏を意識させられたバイエルンは縦のコンパクトさを保てておらず、押し上げていくことが難しく、動いた後に誰もそこを突けるポジションにいない。時間をかけてポゼッションをしてしまうと陣形を整えられてしまい、ゾーンを左右へ崩させる効果はなくなってしまう。マーカーを引きつけ左右へと揺さぶる効果は、バイタルエリアを意識して中盤とディフェンスラインの距離を縮めるマドリーにはカウンターでしか発揮することは難しい。ただそのカウンターからロッベンが中へとポジションを移してプレイしたことでマドリーはより片側に選手が集まってしまい、ファーサイドへ流れたクロースを誰も見ていない環境を作ることが出来た。特に中央でマリオ・ゴメスが一度触ったことが大きく、中央で足を止めさせたことも上手く作用した。そしてマリオ・ゴメスは反転して裏へ抜け出す動きをし、一度ボールを見てしまったペペらは遅れ、体を掴んで止めたことでPK。カシージャスはボールに触ったものの止めるまでには至らず、これでアウェーゴールを得て二試合合計で同点にまで追いつくことが出来た。
もう一点が必要になったマドリーは攻勢に出るようになったものの、裏を意識して早めに下がり縦へ伸びてしまっているバイエルンを相手に一気に裏へとフィードを通すことが出来ず、ワイドなパスからサイドバックの横へと通すことも出来ない。引いて戻りながらパスを引き出していかなければならず、その動きであればバイエルンもしっかり引っ付いて動きを限定していくことが出来る。反転して抜け出そうとしても背後から掴まえていればスピードに乗っていないことで捉えやすく、複数で向かって奪うことが出来る。それまでのように前向きでボールを持ったままドリブルでスピードアップされるのとは違い、一度足を止めた状態からのドリブルでは混乱させられることは少ない。引いて受ける動きに合わせてその裏へと飛び出しが連動していない、その距離を攻撃陣で保ててていないことが攻撃を単発で終わらせていて、サポートが少なければバイエルンは狙いを絞って向かうことが出来る。ポゼッション時にしても横にスライドするドリブルをしてもボールホルダーを追い越そうともしておらず、視線を一点に絞らせてくれる。
バイエルンはロッベンがボールを持ったときにラームのオーバーラップを呼び込むようになり、左のアラバもリベリーを追い越す動きが多くある。停滞したときに縦へと変化する動きがあることで次の選択肢を作り直すことが出来ているのが強みになっている。その分シュバインシュタイガーがバランスを取って後ろに残ることでサイドバックが上がった後に走られないようにケアもしていて、カウンターの危険を減らしている。
マドリーは自らスピードアップをする手段をあまり持たず、特に引いて前へ出られるように整えた守備を相手にかき乱すような動きが無く運動量も低下してきてしまっている。一度受けに戻ってしまい、そこからスピードアップすることが出来ないことで、マルセロのオーバーラップも前を蓋されてスピードアップできず、フォワードに預けても足を止める、あるいは戻りながらのプレイしか無く、個人で反転するには無理が多すぎ、一度下げてすぐに動き直せば裏を取れるものの、そういった後ろから支えるサポートが少なく、大きな展開に頼らなければならなくなっている。
ロッベンが自由にポジションを動かしていることもあって、マドリーはそれ以外の選手にはマンマーク気味につけて守備をしているものの、ロッベンに対しては引いて受けに戻る動きを許してしまってマルセロが密着して対応することはない。前半半ばまではロッベンがマルセロに自ら近いポジションを取ってドリブルで仕掛けようとしていたこともあって、距離が詰まってスピードアップできず、中へのカットインも前に立たれて対応されてしまっていたものの、距離が開いていることでスピードアップすることもパスを選択することも、ランニングで中へ入ることも制限無く行えるようになっている。前半終了直前のファウルを貰った場面も、そういったものから生まれて、フリーキックもゴールを脅かす惜しいものだった。ペペのハンドの可能性はあったものの、それは取られず。
後半も主な流れは変わらず、ボールホルダーを追い越す動きを見せながら人数をかけるバイエルンは、シュバインシュタイガーのバランス感覚に助けられてそれを維持し、サイドバックを押し上げてマドリーのサイドバックの裏を連携して取ろうとする。特にアルベロアの裏側はペペがマリオ・ゴメスのマーカーになっていることもあってサポートが受けづらく、アラバも含めて流れてくる選手の多さから前へ張り出してディ・マリアの裏をケアしなければならず、対応が厳しくなっている。反対側はラームのオーバーラップ頻度も少なく、セルヒオ・ラモスが自由に動けることもあって背後を使うことは難しく、起点を作って中への展開を狙ってもセンターバック二枚をかわさなければならず、直接フォワードへ横パスを入れるのが難しい。
バイエルンの守備は少し厳しくなったのは、マドリーのフォワードが前半は距離を広げてそれぞれがサポートを得られるような距離を保っていなかったのに対して、後半はエジルとクリスチアーノ・ロナウドやベンゼマらが距離を縮めてパスコースを意識しなければならなくなっている。そのため下がった位置から前へ出て密着したマークでついていき動きを限定して囲い込む一連の流れを作れず、ダイレクトで動かされて裏に動き直されるのを意識しているのか、密着してついていけなくなっている。さらに引いて縦に伸びているバイエルンの守備にマドリーの攻撃陣は付き合わず、ディフェンスラインと戦うのではなく間延びして増えたバイタルエリアにスタートポジションを取り、センターバックとの距離を取っていることもそういった守備をさせづらくしている要因なのかもしれない。
しかしバイエルンも徐々に修正をして自由に受けさせて前を向かせる場面は減ったし、サイドからドリブルで駆け上がられても、センターバックが先に対応にでるだけではなくボランチがでる回数も増え、ボールだけを見てしまうのではなく、しっかりと背後を意識して中の選手を見てポジションを取るようになってきており、ファーサイドだけではなく、マイナスのコースに対応できるだけの厚みも用意しながらリトリートできるようになってきて、弱点を減らしてきている。
バイエルンは攻撃の重心を右側にかけていたときにはバランスを崩してしまっており、逆サイドへ選手をおけておらずサイドが変えられなくなってしまって窮屈なプレイになってしまっていた。マドリーにファーサイドを意識させられなかったことでゾーンをサイドへ絞らせてしまっており、そのために崩しにかかることが出来なかった。左に攻撃の重心を一度戻してからは左で収めたボールを右のロッベンに運び、それをラームが追い越していく横の動きから縦への動きへとスムーズに切り替える事が出来て流れを取り戻していった。一度そういった流れが出来ると、横へのスムーズな展開がマドリーのフォアチェックを抑える効果に繋がり、右から攻撃をスタートしてもアラバをあげて左に残し、左右へ狭くならないようにしていられるようになった。
マドリーの攻撃は足が止まりかけ、足下のボールは繋がっているものの、裏への動き出しの頻度は少なく、ボールを引き出す動きも少ない。きちんとした形でボールを収められても、追い越す動きやセンターバックの背後へと飛び出す動きが少なく、バイタルエリアでボールを持ったからといってボアテングもバドシュトゥバーも前後二つのことを考えなくてもよく、目の前に狙いを絞って守ることが出来る。動き出しの少なさはマドリーの後方から左右へフィードを送って収め起点にするパスすら出せなくしていき、自陣からボールを出すことにも苦労してしまっている。
延長に入ってもマドリーはボールを収めた選手に対してサポートに向かえなくなっており、後半開始時に見せたような距離の近さを保つことが出来ずにバイエルンが複数でチェックにでて囲い込める環境を作ってあげてしまっている。ゴール前でカカとベンゼマのポジションが近くなることはあっても足が止まってディフェンダーに掴まえられている状態で待っているだけであって、動き出して裏を取ろうとも引き出そうともしておらず、停滞からさらに停滞を作ってしまっている。
バイエルンも状況としては大して変わらず、リスクを考えてオーバーラップをサイドバックがあまりせず、ボランチの押し上げもディフェンスラインの押し上げもない。相手陣内でチェックをかわして横に動かせる体勢を作れず、ウイングは孤立して個人で複数を相手にしてキープをするか抜いていかなければならない。ボールが収まり、ディフェンスラインに人が残っているマドリーの方により得点の可能性はあるくらいで、こぼれ球であったり足が止まった瞬間に裏やセンターバックの外側へ収めてシュートへ持っていけるマドリーに対して、バイエルンはマリオ・ゴメス一枚が中央に残ってペペのマンマークに加えてセルヒオ・ラモスのサポートと戦わなければならず、前後どちらの動きも封じられてしまっている。サイドを切り崩す人数も用意できておらず、押し上げもない。アーリークロスを入れていくくらいしか無く、こぼれ球を裏へ出すことすら難しい。
アタッカーをスタート時から二枚変えられたマドリーの方が延長後半に入ってからは運動量と勢いを保ったまま攻撃に出ることが出来ており、特に単純なフィードを入れてイグアインを走らせたり、そのこぼれ球を拾って押し上げたりというような変化を生みやすく、バイエルンはフィードを入れて走ることも難しく、消耗したクロースが前後に繋がなければならなくなっていて、スピードアップするポイントも見つからず、押し上げも飛び出しも期待できない。マリオ・ゴメスも安定して収めようと引いてしまっているためにマドリーのセンターバックが後ろへ走らされることもない。そのため変化のないフィードはピボーテにカットされるだけで、無理にパスを繋ごうとしても選手間の距離を保てていないことから無理なパスになって間に入られてカットされてしまう。リベリーがいなくなったことで前へ運ぶ手段すら失ってしまい、バイエルンの攻撃は立ち行かず、シュートチャンスを得ることすら難しく、跳ね返されるばかりになってしまい、前へボールを運ぶのはリスクを増大させているだけでしかなくなってしまっている。
PK戦にまでもつれ込み、一番手を務めたのがアラバだという所に驚きを感じると同時にきっちりと決めた精神的な強さも驚き。対してノイアーはクリスチアーノ・ロナウドのシュートを止め、一本目からリードを奪った。続いて二本目のカカのシュートも止めて一気に勝利をたぐり寄せたものの、三本目はクロースは強いシュートを打てずにカシージャスに止められ、一本差に。四本目はラームが止められて一気に並び、両キーパーの素晴らしい力が勝負を左右していた。ただ最後を決めるべきセルヒオ・ラモスはゴールマウスの遙か上へ外し、シュバインシュタイガーがきっちりと決めてバイエルンが決勝進出を果たした。