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UEFA Champions League 11/12 Semi final 2ndLeg レアル・マドリー対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 4 月 26 日 木曜日

■Real Madrid 2 – 1 (PK2-3)FC Bayern Munchen
厳しい試合が続くレアル・マドリーは左サイドバックのコエントランとマルセロを入れ替えたものの、メンバーを入れ替えずにこのチャンピオンズリーグにも挑んでいるものの、それぞれバルセロナよりは一日ずつ試合間隔が空き、多少は休みがあったと言える。対するバイエルンはブンデスリーガではメンバーを大きく落としているためコンディション面に不安は無いといいたいものの、結局の所リベリーやマリオ・ゴメスは出場しなければならない状況を作ってしまったため、完全な休養とはいかなかった。

バイエルンはポゼッションを使用と試合に入り、マドリーはそれに対してフォアチェックをかけて奪い、カウンターへ移行しようとしているが、バイエルンの繋ぎ方は危険な地域では繋がず、前へ蹴り出してしまい、チェックに出てくる裏へと単純なパスを使って攻めようともするため、マドリーは攻撃の位置が下がってしまう。下がった位置からゆっくりとマドリーは構築するわけではなく、パスを繋がずドリブルで持ち上がることを選択している。シャビ・アロンソのワイドに開くフィードは逆サイドを狙っていて、特にアラバの外側へと展開して収めさせ、立ち上がりで二度も通すことに成功をした。省略してチェックから逃れられる手段を持ち、パスではなくドリブルによって変化を加えてしまうわけで、バイエルンがフォアチェックからペースを握ろうとしても奪いに行くことが出来ずにスピードに乗るドリブルのコースを限定して外に押し出していく程度。無理に奪いに行けば抜かれカバーリングを必要とし、他へのマークが緩くなってしまう。片側に人数を集めていくマドリーに対してバイエルンはこれまでのようにブロック全体を同サイドに集めてファーサイドへのケアを怠っている。明確に弱点となっているその部分へのかを全くすることが出来ず、ファーサイドまで流したクロスをダイレクトでシュートに持っていったディ・マリアのシュートがアラバの手に当たってPKになったものの、ファーサイドに人が全く足りない弱点自体を修正してこなかったことが強く影響をしていて、ダイレクトでなく時間を使われたとしてもゴールを奪われてしまった可能性はある。このゴールによって二試合合計で同点に追いつかれアウェーゴール差によってマドリーがリードを奪うことになった。

直後にアラバのスピードアップした直線のドリブルで相手の裏へでてクロスからロッベンのシュートに繋げたものがあった。マドリーの守備意識が前へ向かっている以上、バイエルンの縦へのスピードアップは効果的に機能し、こちらもマドリーはサイドバックの裏側をセンターバックがカバーリングすることを強く意識しているため、ファーサイドや中央に人数が多くいるわけではない。中央にマリオ・ゴメスがいるためそれへのマークをしておかなければならないと同時に、リベリーやロッベン、アラバが裏へ走るのも見なければならない。そしてその間やポジション左右へ動かした後をクロースが補っているために、マドリーは出れば彼にその裏を捉えてしまい、バイエルンは一度戻してもシュバインシュタイガーがきっちりとサポートをしていてすぐに裏への飛び出しに対応できるパスを入れられる。後ろへ戻りながらのプレイを意識させることでバイエルンにもチャンスがあるように見えた。
ただ先にゴールを奪ったのはマドリーでサイドから中央へ繋いだ後、クロースが奪ったこぼれ球が相手の足下にこぼれる不運なものだったものの、アラバがボールしか見ておらず自分の埋めるべきスペースを意識しないプレイをしていたことが原因で、バドシュトゥバーが常に左サイドへ引き出されてしまっていた。ルイス・グスタボが中央を埋めるべく下がっていたものの、一度マドリーを押し下げたときに本来のポジションに戻ってしまい、アラバが戻るべきタイミングでも後ろを全く意識しなかったことが影響をしてしまった。左サイドに人が集まってしまってそのサイドにゾーンを集められていたに等しく、ファーサイドとなる中央にディフェンダーがおらず、隙間が大きく空いていた。そこをクリスチアーノ・ロナウドに使われ、というよりもオンサイドのエリアに体を入れ切れていなかった彼に大きなスペースとオンサイドをプレゼントして、ゴールを献上した。それでも二点を追いかける状況であっても一点を取ればアウェーゴールで並べてしまうという状況はましなものなのかもしれない。

両者共に縦への展開を早くしていて中盤でゆっくりと組み立てることは少ない。バイエルンはリベリーやクロースが引いてマークを引きつけてその裏側にあるスペースへとマリオ・ゴメスやアラバが流れたり上がって利用をする。マークに付いているペペを左右へとマリオ・ゴメスが引っ張っているものの、マドリーはフィードによって裏を意識させられたバイエルンは縦のコンパクトさを保てておらず、押し上げていくことが難しく、動いた後に誰もそこを突けるポジションにいない。時間をかけてポゼッションをしてしまうと陣形を整えられてしまい、ゾーンを左右へ崩させる効果はなくなってしまう。マーカーを引きつけ左右へと揺さぶる効果は、バイタルエリアを意識して中盤とディフェンスラインの距離を縮めるマドリーにはカウンターでしか発揮することは難しい。ただそのカウンターからロッベンが中へとポジションを移してプレイしたことでマドリーはより片側に選手が集まってしまい、ファーサイドへ流れたクロースを誰も見ていない環境を作ることが出来た。特に中央でマリオ・ゴメスが一度触ったことが大きく、中央で足を止めさせたことも上手く作用した。そしてマリオ・ゴメスは反転して裏へ抜け出す動きをし、一度ボールを見てしまったペペらは遅れ、体を掴んで止めたことでPK。カシージャスはボールに触ったものの止めるまでには至らず、これでアウェーゴールを得て二試合合計で同点にまで追いつくことが出来た。

もう一点が必要になったマドリーは攻勢に出るようになったものの、裏を意識して早めに下がり縦へ伸びてしまっているバイエルンを相手に一気に裏へとフィードを通すことが出来ず、ワイドなパスからサイドバックの横へと通すことも出来ない。引いて戻りながらパスを引き出していかなければならず、その動きであればバイエルンもしっかり引っ付いて動きを限定していくことが出来る。反転して抜け出そうとしても背後から掴まえていればスピードに乗っていないことで捉えやすく、複数で向かって奪うことが出来る。それまでのように前向きでボールを持ったままドリブルでスピードアップされるのとは違い、一度足を止めた状態からのドリブルでは混乱させられることは少ない。引いて受ける動きに合わせてその裏へと飛び出しが連動していない、その距離を攻撃陣で保ててていないことが攻撃を単発で終わらせていて、サポートが少なければバイエルンは狙いを絞って向かうことが出来る。ポゼッション時にしても横にスライドするドリブルをしてもボールホルダーを追い越そうともしておらず、視線を一点に絞らせてくれる。
バイエルンはロッベンがボールを持ったときにラームのオーバーラップを呼び込むようになり、左のアラバもリベリーを追い越す動きが多くある。停滞したときに縦へと変化する動きがあることで次の選択肢を作り直すことが出来ているのが強みになっている。その分シュバインシュタイガーがバランスを取って後ろに残ることでサイドバックが上がった後に走られないようにケアもしていて、カウンターの危険を減らしている。
マドリーは自らスピードアップをする手段をあまり持たず、特に引いて前へ出られるように整えた守備を相手にかき乱すような動きが無く運動量も低下してきてしまっている。一度受けに戻ってしまい、そこからスピードアップすることが出来ないことで、マルセロのオーバーラップも前を蓋されてスピードアップできず、フォワードに預けても足を止める、あるいは戻りながらのプレイしか無く、個人で反転するには無理が多すぎ、一度下げてすぐに動き直せば裏を取れるものの、そういった後ろから支えるサポートが少なく、大きな展開に頼らなければならなくなっている。
ロッベンが自由にポジションを動かしていることもあって、マドリーはそれ以外の選手にはマンマーク気味につけて守備をしているものの、ロッベンに対しては引いて受けに戻る動きを許してしまってマルセロが密着して対応することはない。前半半ばまではロッベンがマルセロに自ら近いポジションを取ってドリブルで仕掛けようとしていたこともあって、距離が詰まってスピードアップできず、中へのカットインも前に立たれて対応されてしまっていたものの、距離が開いていることでスピードアップすることもパスを選択することも、ランニングで中へ入ることも制限無く行えるようになっている。前半終了直前のファウルを貰った場面も、そういったものから生まれて、フリーキックもゴールを脅かす惜しいものだった。ペペのハンドの可能性はあったものの、それは取られず。

後半も主な流れは変わらず、ボールホルダーを追い越す動きを見せながら人数をかけるバイエルンは、シュバインシュタイガーのバランス感覚に助けられてそれを維持し、サイドバックを押し上げてマドリーのサイドバックの裏を連携して取ろうとする。特にアルベロアの裏側はペペがマリオ・ゴメスのマーカーになっていることもあってサポートが受けづらく、アラバも含めて流れてくる選手の多さから前へ張り出してディ・マリアの裏をケアしなければならず、対応が厳しくなっている。反対側はラームのオーバーラップ頻度も少なく、セルヒオ・ラモスが自由に動けることもあって背後を使うことは難しく、起点を作って中への展開を狙ってもセンターバック二枚をかわさなければならず、直接フォワードへ横パスを入れるのが難しい。

バイエルンの守備は少し厳しくなったのは、マドリーのフォワードが前半は距離を広げてそれぞれがサポートを得られるような距離を保っていなかったのに対して、後半はエジルとクリスチアーノ・ロナウドやベンゼマらが距離を縮めてパスコースを意識しなければならなくなっている。そのため下がった位置から前へ出て密着したマークでついていき動きを限定して囲い込む一連の流れを作れず、ダイレクトで動かされて裏に動き直されるのを意識しているのか、密着してついていけなくなっている。さらに引いて縦に伸びているバイエルンの守備にマドリーの攻撃陣は付き合わず、ディフェンスラインと戦うのではなく間延びして増えたバイタルエリアにスタートポジションを取り、センターバックとの距離を取っていることもそういった守備をさせづらくしている要因なのかもしれない。
しかしバイエルンも徐々に修正をして自由に受けさせて前を向かせる場面は減ったし、サイドからドリブルで駆け上がられても、センターバックが先に対応にでるだけではなくボランチがでる回数も増え、ボールだけを見てしまうのではなく、しっかりと背後を意識して中の選手を見てポジションを取るようになってきており、ファーサイドだけではなく、マイナスのコースに対応できるだけの厚みも用意しながらリトリートできるようになってきて、弱点を減らしてきている。

バイエルンは攻撃の重心を右側にかけていたときにはバランスを崩してしまっており、逆サイドへ選手をおけておらずサイドが変えられなくなってしまって窮屈なプレイになってしまっていた。マドリーにファーサイドを意識させられなかったことでゾーンをサイドへ絞らせてしまっており、そのために崩しにかかることが出来なかった。左に攻撃の重心を一度戻してからは左で収めたボールを右のロッベンに運び、それをラームが追い越していく横の動きから縦への動きへとスムーズに切り替える事が出来て流れを取り戻していった。一度そういった流れが出来ると、横へのスムーズな展開がマドリーのフォアチェックを抑える効果に繋がり、右から攻撃をスタートしてもアラバをあげて左に残し、左右へ狭くならないようにしていられるようになった。

マドリーの攻撃は足が止まりかけ、足下のボールは繋がっているものの、裏への動き出しの頻度は少なく、ボールを引き出す動きも少ない。きちんとした形でボールを収められても、追い越す動きやセンターバックの背後へと飛び出す動きが少なく、バイタルエリアでボールを持ったからといってボアテングもバドシュトゥバーも前後二つのことを考えなくてもよく、目の前に狙いを絞って守ることが出来る。動き出しの少なさはマドリーの後方から左右へフィードを送って収め起点にするパスすら出せなくしていき、自陣からボールを出すことにも苦労してしまっている。

延長に入ってもマドリーはボールを収めた選手に対してサポートに向かえなくなっており、後半開始時に見せたような距離の近さを保つことが出来ずにバイエルンが複数でチェックにでて囲い込める環境を作ってあげてしまっている。ゴール前でカカとベンゼマのポジションが近くなることはあっても足が止まってディフェンダーに掴まえられている状態で待っているだけであって、動き出して裏を取ろうとも引き出そうともしておらず、停滞からさらに停滞を作ってしまっている。
バイエルンも状況としては大して変わらず、リスクを考えてオーバーラップをサイドバックがあまりせず、ボランチの押し上げもディフェンスラインの押し上げもない。相手陣内でチェックをかわして横に動かせる体勢を作れず、ウイングは孤立して個人で複数を相手にしてキープをするか抜いていかなければならない。ボールが収まり、ディフェンスラインに人が残っているマドリーの方により得点の可能性はあるくらいで、こぼれ球であったり足が止まった瞬間に裏やセンターバックの外側へ収めてシュートへ持っていけるマドリーに対して、バイエルンはマリオ・ゴメス一枚が中央に残ってペペのマンマークに加えてセルヒオ・ラモスのサポートと戦わなければならず、前後どちらの動きも封じられてしまっている。サイドを切り崩す人数も用意できておらず、押し上げもない。アーリークロスを入れていくくらいしか無く、こぼれ球を裏へ出すことすら難しい。

アタッカーをスタート時から二枚変えられたマドリーの方が延長後半に入ってからは運動量と勢いを保ったまま攻撃に出ることが出来ており、特に単純なフィードを入れてイグアインを走らせたり、そのこぼれ球を拾って押し上げたりというような変化を生みやすく、バイエルンはフィードを入れて走ることも難しく、消耗したクロースが前後に繋がなければならなくなっていて、スピードアップするポイントも見つからず、押し上げも飛び出しも期待できない。マリオ・ゴメスも安定して収めようと引いてしまっているためにマドリーのセンターバックが後ろへ走らされることもない。そのため変化のないフィードはピボーテにカットされるだけで、無理にパスを繋ごうとしても選手間の距離を保てていないことから無理なパスになって間に入られてカットされてしまう。リベリーがいなくなったことで前へ運ぶ手段すら失ってしまい、バイエルンの攻撃は立ち行かず、シュートチャンスを得ることすら難しく、跳ね返されるばかりになってしまい、前へボールを運ぶのはリスクを増大させているだけでしかなくなってしまっている。

PK戦にまでもつれ込み、一番手を務めたのがアラバだという所に驚きを感じると同時にきっちりと決めた精神的な強さも驚き。対してノイアーはクリスチアーノ・ロナウドのシュートを止め、一本目からリードを奪った。続いて二本目のカカのシュートも止めて一気に勝利をたぐり寄せたものの、三本目はクロースは強いシュートを打てずにカシージャスに止められ、一本差に。四本目はラームが止められて一気に並び、両キーパーの素晴らしい力が勝負を左右していた。ただ最後を決めるべきセルヒオ・ラモスはゴールマウスの遙か上へ外し、シュバインシュタイガーがきっちりと決めてバイエルンが決勝進出を果たした。

UEFA Champions League 11/12 Semi final 2ndLeg バルセロナ対チェルシー

2012 年 4 月 25 日 水曜日

■FC Barcelona 2 – 2 (Agg-win)Chelsea FC
両チーム共当然のことながらチャンピオンズリーグ第一戦から国内リーグ戦を挟んだ試合ではあるものの、チェルシーは大きくメンバーを変えてアーセナルとの一戦に挑み、バルセロナはクラシコということもあっていくつかメンバーを変更こそしたものの、層の薄い部分を中心として固定化しておかなければならなかった。それに加えて運動量を大きく必要とする3バックのシステムを採用し、試合を有利に進めるポゼッションを展開できなかったこともあって、恐らくレアル・マドリーを消耗させるのではなく、逆に自らが消耗しているとさえ思える試合内容でもあった。この試合でも3バックを採用して試合に臨もうとしているかのように思える。スタート時の形はマスケラーノを右サイドバックへと張り出させた4バックだったものの、守備時は3バックを採用しているときにもセルヒオ・ブスケツがディフェンスラインに入ることで4バックへと変化させているため、この時も変わらず攻撃面ではアンカーとして一列上がり、プジョルとマスケラーノが大きく開いた3バックになる。

チェルシーはチェックに出てこずドログバを前へ残して10人でブロックを構築し守りに入ろうとしている。攻守の切り替えでこそ僅かながらにボールへ向かうことこそあっても、少しでも明確な形でボールを収めてしまえば、自陣に向かってすっと引き、左右への横パスに関しても奪いに来る気配がない。引いてボールを扱おうとするシャビに関しても自陣であればチェックに向かってくることはなく、前を向いてボールを扱わせてくれる。パスの出し手に関してプレッシャーがかからず、構築されているブロックは中央に集められてタッチライン際には大きなスペースがある。それだけであれば受け止めるだけで済んでいるのかもしれないものの、立ち上がりにアレクシス・サンチェスが裏へと飛び出し、そこへフィードを直接入れられたことでチェルシーの意識にダメージを与えられた。パサーがフリーでタイミングを探れるため、飛び出しに合わせたパスも出せる。それを怖がってディフェンスラインが下がるとチェルシーはバルサのポゼッションに対して、ハーフウェーラインを大きく越えても向かっていけなくなり、向かおうとすればバイタルエリアを広げてしまう。どちらにも明確なポジショニングが出来なかったことで縦パスを中央のサンチェスやメッシへ出すことが出来て、最初のシュートへと繋がった。
メッシはすぐに下がってプレイするようになってバイタルエリアよりも相手の中盤の前でボールを多く触ろうとするようになり、その後はセントラル・ミッドフィールダーの外側にポジションを取るなど、中盤の背後へ入ってボールを受けてセンターバックに直接勝負を仕掛けるポジションを取らず、まず中盤に対してドリブルを仕掛け無ければならないポジションにいることが増えた。バイタルエリアにきっちりとサンチェスが入っているため、彼とスペースをつぶし合わないようにする必要もあり、バイタルエリアが広がっていれば、二列を同時に相手にすることなくドリブルで変化をつけられるため、そのポジションを取ったのかもしれない。チェルシーが中盤をさらに押し下げてバイタルエリアを消してからはそういったポジションを取る機会が徐々に減った。
バルサはチームとしてタッチライン際に開いたクエンカを多く使い、チェルシーのブロックを横に引き出してマイナス方向のパスで外から中に動かし、上下の修正を頻繁にさせている。ただチェルシーのブロック構築は、中央の部分は上下にこそ動いてもサイドには引っ張り出されることはなく、サイドアタッカーを下げて対応することはあっても、横の変化は少ない。むしろサイドバック横を使われることに関しては無関心であるかのようで、最終的に中へのクロスを防げば問題ないとしているように大きく空けたままにすることが多く、バルサにしても中の高さや人数を用意できないために外へ広げさせようとする行為が成功しているとは思えない。ただ意識させることが出来ているのは、イニエスタにしてもクエンカにしても中へのカットインを狙えるよう体勢を整えて動くことも多く、中央でショートパスを入れて崩そうとする姿勢も見せているため、無視し続けることは出来ていない。

チェルシーの攻撃は非常にシンプルでフィードによってディフェンスラインの裏へと直接出し、バルサを背後へと引き戻してドログバと競争させようとするものが中心で、プレッシャーを受けたりドログバが下がってそれが出来ないときには奪われないためだけのショートパスを後ろ向きに繋ぎフォアチェックをかわしていく。バルサがチェックをし、待ち構え前へ相手を捉える体勢を整えるまで動かしていくだけで、能動的に崩そうとすることは少なく、裏を取る以外にはサイドアタッカーを使って縦に切り崩してクロスをファーサイドまで送る。ファウルを誘うようにボールを動かしてアピールをして時間を使い、次のプレイを開始するまでさらに時間を使う。時間稼ぎや遅延行為というほどのプレイではなく、ただ僅かながらバルサの連続した攻撃を防ぎつつ苛立たせて精度を落とそうとしているかのよう。

バルサは相手の前や横でこそ安定して動かしていられるものの、殆どの選手が足下へのパスを要求し、足下へのパスを受けてから動いて変化をつけようとしていて、事前にボールを出す先をイメージして展開を続けていられないよう。コントロールして前を向き、時間がかかりながら次を探していたのでは相手に対応するための時間を与えているのと変わらず、足下へパス以外にスペースへのパスを出して前へスピードアップをする展開に持ち込むことが出来ていない。連続して足下のパスが続くことでボールと人の両方をチェルシーは掴みやすく、裏を突く動きにしてもイニエスタが外から中へと動きつつ行うそれぐらいしかない。ただそれもサイドバックの裏でしか無く、センターバックに戻られればコースを消されてしまう。囮になるものではなくボールを引き出す前提でしか動いていないためにディフェンスラインを引っ張る効果がない。サンチェスが試合開始直後にしたように、結果としてパスが来たものの、ボールのないところから動き出してセンターバックに裏への意識を持たせるような囮となるランニングがこの試合には必要なはず。それをサンチェスも足下への意識が強くなってしまってやらなくなったことで停滞していったのかもしれない。

停滞を打破したのはコーナーキックから跳ね返されたところから、左サイドのスペースへとパスが出て、ラインを押し上げようとしていたチェルシーを後ろへ引き戻すことが出来たところから始まった。待ち構えさせるのではなく、自陣ゴールへ向かいながらのプレイをそのパスとクエンカの動きによってさせたことで、マイナス方向に出たパスに対処しきることが出来ず、セルヒオ・ブスケツがフリーになり、ゴールを奪うことが出来た。これで二試合合計で同点になった。

直後にテリーが退場になったのは、ボールのないところでアレクシス・サンチェスに対して膝を上げて明確に蹴っているため。歩いたり走ったりといった膝の上がり方でないのは確かで、意図してやっていることだというのは映像を見れば解る。プレイに関係しない暴力行為でしか無く、レッドカードが出されたことは当然でしょう。バルサが相手だから退場になったのではなく、何処が相手であっても退場になる行為だった。

チェルシーは同点になったことで数的不利になりながらも出てこなければならず、それまでプレスに関して出てこなかった高さまでディフェンスラインを押し上げて攻撃と守備を繋げなければならなかった。それに対してバルセロナは足下へのパスが連続しているものの、次へのプレイを意識しながらボールを受けられるようになってきていて、受けてからパスまでのスピードが上がり、パススピードも速くなって停滞した揺さぶりではなく、積極的な揺さぶりへと改善されてきている。それに加えて再三にわたってイニエスタが裏への飛び出しを見せ、ボールを必要としないタイミングでもそれをしていたことで、パサーにも相手にもその意識を植え付けることに成功しているようだった。それが実を結んだのはカウンターからであったものの、相手の単調なリズムのダイレクトパスを奪って前へ。イニエスタのランニングにボシングワの意識が向かい、オフサイドやメッシのドリブルにも意識を払わなければならず、ボールと人の両方を視界に収めておくことが出来なくなって抜け出して失点。バルサは二試合合計で要約の勝ち越しゴールとなった。ただ一点を取られればアウェーゴールの影響で敗退してしまうのだからより一層の注意が必要な状況になったものの、スペースへのパスを使いながらバルサの攻撃がスムーズになった印象を受けた次の瞬間にはカウンターで失点。クラシコで同点に追いついた後の簡単にゴールを奪われた負けた内容と変わらず、またしても簡単にセンターバックがサイドへと引き出され、隙間を広げてブスケツが戻る時間を得るよりも先に裏を取られてしまった。

後半に入ってバルセロナは明確にディフェンスラインの背後を突くよう動き出すようになって、それが一枚だけの動きではなく複数を絡めて裏と手前、そして横の距離を縮めてパスを細かく繋ぎながら変化を加え、チェルシーの守備を待ち構えさせず、ボールと人の両面を捉えさせず、視線を絶えず動かしていた。裏を使う意識をしっかりと持ち、パスも裏へと出していく。ターンをしながら裏へのパスを処理しなければならなくなれば、正確にボールを捉え続けるのは難しく、セスクへのファウルに繋がってPKになった。ただあのファウルの判断自体は非常に怪しく、足がかかっていたようにも見えるものの、リプレイで見ればそうでなく、シミュレーションだったようにも見える。そういったものであるならゴールが決まらないのは往々にしてあることで、メッシの失敗もその一つになってしまった。必要なゴールなのに、あの場面で他の選手たちが押し込むために動き出していないことを見ても、バルサの方に決まったという油断があったのは確かで、あれではゴールは決まらない。

PKの判断でチェルシーが熱くなったのに加えて、バルサの方もそれに当てられたかのように積極的になった。特にメッシはPKの失敗を取り戻そうとそれまであまりしなかったドリブルでのチャレンジを増やして相手を引きつけ抜こうと意識し始め、他の選手も裏へのランニングを継続している。ただ少し個人の動きになってしまって裏へ走った後のスペースを誰が使うのか、横に誰がサポートに近づいてパス交換をするのか、ゴールへ向かっていくのではなく、安全に繋ごうとして手前に引いてしまう動きも見られるようになり、確実さを求めるプレイが見え、焦りも加わってきたのかもしれない。マスケラーノ一枚を残して攻撃に出て、ダニエウ・アウベスをイニエスタの外側に出して横に大きく選択肢を用意しながらも連携して裏へ抜け出したりパスが出ることは少なく、一時避難場所やそこから直接クロスを狙う以外の変化が見えてこない。徐々に飛び出しから相手の前でボールを収めて抜こうとしたり、センターバックに掴まえられながら裏も取れず、ポストにもなれない選手が増え、フィードやクロスを入れてもマークを剥がせず跳ね返されるだけになってきた。手前でいくら変化をつけても、前後の動きに変化をつけて裏と手前の二択を迫っていかなければ相手は全てを見て待ち構えて対処できるだけに留まらず、前へ出てプレッシャーもかけられる。テージョを投入しても右サイドで孤立させてしまうだけでは何も変化を生むことが出来ずにそれまでの流れから裏への流れを新たに作り出すことにはならず、むしろダニエウ・アウベスの上がるスペースを潰してしまっているだけ。

ケイタを投入してフォワードの位置に入れ、クロスへの選択肢とポストプレイで体を張ってもらおうとしても裏への動きが近くでセットになっていないためにあまりに厳しい要求でしかなく、サイドにダニエウ・アウベスがでられるようになっても、相手を引き戻すような縦の仕掛けからクロスというスムーズな流れを作り事は出来ず、足下で受けてスピードが止まったところから仕掛けてクロスに持ち込もうとしてしまう。左のテージョにしてもそれは変わらず、スペースへパスが出て、その勢いのままクロスに持ち込んでいない。横に動かして自ら足を止めてしまってディフェンスラインで戦う選手は僅か。相手の前で横一列に並んでボールを動かしていても脅威にはならず、パスの後に動き直して前へ飛び出していけば脅威になることは出来るかもしれないが、それをやっていない。
80分を越えてからはオフサイドになったものの裏を取ってゴールに迫り、メッシのシュートがポストに当たったのもあった。チェルシーのディフェンスラインに中盤が吸収されて厚みが無くなって、仕掛けやすい環境と縦の変化が致命的になる状況を作れたが、それを活かせない。チェルシーのカウンターはドログバが下がってからは収めてくれる選手がいなくなったこともあって機能せず、バルサが攻め続けているだけに余計に状態が膠着してしまって、チェルシーに横パスをカットに出る勇気を与えてしまうだけ。

最後は実際にあったかどうかは別として、ペナルティエリア内のハンドのアピールを取ってもらえずカウンターを受け、フェルナンド・トーレスにゴールを奪われてアウェーゴール差だけではなくトータルスコアでも負けた。

結果論でしかないものの、3バックの問題点であるポゼッション時の距離の遠さや左右へ大きく開きすぎるバランスの悪さを改善することが出来ず、中央に厚みをもたらせないまま横へ展開し続けることになってしまった。それに加えて、縦の運動量に乏しく裏へ抜ける動きや引いて受ける動きに合わせて飛び出すことも出来ず、足下のパスが連続してしまったことも縦に薄い3バックの影響だと言えるのかもしれない。それを補うための運動量を出せる日程であれば十分に機能していたのかもしれないものの、厳しい相手と日程の中でとるべき戦術ではなかったように思う。4バックであればウイングとサイドバックを縦に連携させることで、ペナルティエリア横をオーバーラップのスピードを維持したまま切り崩し、相手にゴールへ向かわせながら守備をさせることが出来ていたかもしれず、一点目のような形をもっと作れていたのかもしれない。

Bundesliga 32. Spieltag ヴォルフスブルク対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 4 月 22 日 日曜日

■Werder Bremen 1 – 2 FC Bayern Munchen
ブンデスリーガの優勝がドルトムントにほぼ決まった状態の中、チャンピオンズリーグの第二戦を控えたバイエルンは、シュバインシュタイガーやノイアーこそ出場しているものの、宇佐美まで出場をするほど大きくメンバーを落として試合に臨んでいる。他にはチャンピオンズリーグに先発する可能性のある選手としてはルイス・グスタボやミュラーが先発しているものの、ラームはベンチ入りすらせずに休ませている。消化試合気味であるとはいえ、宇佐美にはようやく回ってきた出場機会であるだけに、アピールを期待したい。

宇佐美は右サイドでスタートしている。守備への運動量は少なく、フォアチェックにかける労力や詰めるときに足を出して奪える寄せ方ではなく、ボールのないところでは歩いている姿が目立ち、スペースの埋め方に関しても積極的であるようには見えない。攻撃時もパスを呼び込むような大きな動きこそ少ないものの、横への意識は非常に強くあり、ミュラーやペテルセンと上手くポジションを入れ替え、サポートを行いながら、サポートを得ようとしている。右の突破から絶妙なクロスを入れられたのもミュラーとの距離が近かったらこそのもので、足下へ届く精度も申し分ないものだった。残念ながらペテルセンがそれを決められなかったことでアシストにはならなかったものの、チームメイトに向けてのアピールにはなったようで、裏へ抜け出すタイミングでボールをもらえたり、縦へ仕掛けられるタイミングでパスをもらえるように、存在を意識してもらえるようになってパスを受けられるようになった。ただ動き続けてボールをもらえるポジションを取ることに関してズレがあるようで、足下へ収めることを求めるパスが宇佐美の動きの逆を突いていることが多く、それがズレとなってミスとなり、相手ボールへとなってしまうことも多い。

バイエルンの全体として通常のモチベーションを保てていないためかフォアチェックにかける意識が低く、攻守を切り替えて前で奪ってクイックな展開へと結びつけることは出来ていない。特にアタッカーが前へ向かう意識に乏しくボランチもそれがコースを限定してくれないことで前へ向かえず、奪う位置が低くなりがちになっている。そこにはセンターバックの二人が本職ではないこともあるのかもしれないものの、ルイス・グスタボはバドシュトゥバーがやっているように左サイドバックの裏のケアであったり前へ張り出してカットを狙う動きも問題なくこなせている。前へ出るタイミングも問題はなく、裏を取られる可能性のあるところでは出ず、きちんと動きを制限してボランチと挟み込むこともしている。ただ徐々に中盤が前へと向かう守備をしていないことがブレーメンの余裕に繋がり、ボランチ前でボール持たれてしまい、バイエルンのディフェンスラインは踏みとどまっているものの、プレッシャーがかからないまま止まっているために裏への動きを捉えきれず、パスも防げず、何度か飛び出しを許してしまった。裏を取られたことでディフェンスラインが踏みとどまり、前へ向かう守備をしていくのが難しくなり、下がったところをポストプレイで使われるようにもなってきており、メンバーは変わっているとはいえ、バイエルンの抱える守備の問題点はそのまま引き継いでしまっている。
攻撃面では足下で収めてキープできる選手があまりに少ないこともあって、縦へのクイックな展開になっていることが多く、中盤のサイドでボールを収めて起点を作り、オーバーラップやボランチのサポートを待って展開することは出来ていない。ボランチへボールが収まることは多く、そこからワイドに展開することはあっても、足下というよりもオリッチや宇佐美を走らせようとするパスも多く、単純なものになっている。そのためブレーメンには読まれやすく、動きを捉えられて動き出しの早さで先手を取ることが出来ず、先に触られてカットされてしまう。通ったとしてもシンプルであるが故に中の枚数や戻してから中へといった人数や変化をつけづらく、クロスを入れられる状況であってもペナルティエリア内に選手がおらずシュートを無理に狙わなければならないなど、苦しさも見えてくる。

クイックな展開だけではなく、ミュラーが下がってボールを引き出してキープをし、バランスを取ってその間にプラニッチが上がり、中盤でキープをしてゆっくりとした展開も少しずつ狙えるようになった。継続して行けていないのはパスの精度の面で問題があり、誤差が多すぎるために繋がらず、カットされるのではなく相手に渡ってしまう回数が多いため、スローテンポであればその危険が増えるため、継続には至らなかった。しかしペナルティエリアの人数が少ない問題もオリッチが左サイドから早めのフォワードの位置へと上がることで二枚を用意し、ファーサイドからウイングが絞らなくとも二枚中央にいられる状況を作り、外からの展開をクロスを活かせるシステムになってきている。それをサポートするためにコンテントは高くポジションを保ち、その裏をグスタボが張り出してサポートをする。ただ縦の連携が出来ないことは問題で、右の宇佐美とラフィーニャが入れ替わることでクロスまで持っていけるのに対して、縦を塞がれてしまうとコンテント一人では展開先を見つけられず止められてしまう。コンテントの裏を常にグスタボがケアしていることでシュバインシュタイガーがセンターバックの間を見て下がらなければならないため高いポジションを取れないことも攻撃に厚みを作れず左サイドにサポートを持っていけない要因でもあり、プラニッチが左に流れてカバーリングと攻撃の両面をこなしていた方がバランスを取れるのではないかと思ってしまう。ただプラニッチも裏への意識は強く持っているお陰でセンターバックのサポートでの貢献は大きく、ボールを引き出して動かすところでも多く関われている。

後半に入るとバイエルンはディフェンスラインで落ち着いてボールを回して、ゆっくりと人数をかけられるくらい時間をかけて動かすようになった。ブレーメンも積極的に前へ出てプレッシャーをかけてくるわけではないため余裕はあり、サイドバックのポジションをあげながら動かしていける。斜めへ進んでいくパスからマークも受けずに中へ動かしていく。ただウイングに関してはマークを厳しくして背後からぶつかることで収めさせず起点にさせないよう意識しているようで、特に宇佐美は強くぶつかられることでコントロールすらままならず、それから逃げる動きをしてしまって、タッチライン際で相手サイドバックを引きつける囮になる以外には立ち上がりは役に立てていない。徐々にワンツーを使いながらカットインをしたり、正確なアーリークロスを入れたりと十分に機能している様子は窺えるも、それが継続できない所に問題があるのかもしれない。
他でもプレッシャーを受けていない中盤がフォワードへ早めに当てようとしていることをペテルセンが感じ切れていない部分があり、ボールを見ずに動き直してポジションを探っている段階でパスが出てしまい、カットされてカウンターを受けることもある。フォアチェックが機能しないバイエルンは、そのままピサロやローゼンベリに裏へと走られてしまってピンチを作ったり、パスの出し手に向かえていないそのままの影響からフリーでクロスを許して、ノイアーのファインセーブでそこは防いだものの、コーナーキックでも集中が足りずにこぼれ球をナウドに押し込まれ先制を許してしまった。攻守の切り替えの遅さは致命的で、一歩動かせば先に触れるような状況でも接触を嫌っているのか足を止めて見てしまって、ボールを前へ出されてしまってプレッシャーをかけられない位置へとでられてしまう。ティモシュチュクは前や左に大きく素早く出てしまうルイス・グスタボのカバーリングを上手くこなしていてラフィーニャと共に上手くスライドをしている。ロッベンが出場していれば献身的に戻ってその外側を埋めているはずの所を宇佐美が埋められていないのはマイナスなものの、ブレーメンに逆サイドを使う意識が少ないお陰でピンチはその部分で作ってはいないが、同サイドでボールをロストしても全力で戻らないのは危険を増加させている。

リベリーとクロースが投入されてからのバイエルンは左に起点を作れるようになったことでコンテントがそれを追い越していけるようになって、左側でも縦の連携から切り崩しを狙えるようになり、左に収めてから中へのパスを使った横への変化も加えられるようになった。それのサポートをクロースやシュバインシュタイガーが行い、コンテントのポジションの高さが安定をしていくようになった。マリオ・ゴメスも投入されたことで中央にポイントが出来て、アーリークロスやフィードを送っても先に触れる環境が出来、左右だけに狙いを絞られて厳しくマークをされる状況から抜け出し、サイドから中へと動かしていくだけの余裕を手に入れた。動きのある攻撃が出来るようになると、攻守を切り替えたときにも厚みとスムーズさが加わるようになり、前で相手の攻撃を押さえ奪い、コースを限定していけるようになる。低かったバイエルンのディフェンスラインも高さを取り戻してコンパクトに保ちやすくなって、奪えないまでもコースを限定して次を守りやすくできるようになった。

カウンターからリベリーのクロスをナウドが押し込んでしまいオウンゴールで追いついたバイエルンは、その後も中央からリベリーやミュラーが後ろからのボールを引き出してコンビネーションを活かしながら前へ運んでいくものの、早い時間帯で三枚を代えてフル出場が決まった宇佐美は運動量が落ちてしまって守備に引き戻されると攻撃に出るタイミングが遅く間に合わない場面も見られた。ゴールへ迫るときに、中の厚みと外への選択肢の二つを用意しきれず、時間をかけなければそれをすることが難しい。前へ残っても再びサイドバックに背後から捉えられてしまって、縦パスを収めていくことは出来ず、他の選手にしても球際の部分で激しくぶつかろうとせずに待ってしまったり、ボールを受けに行かずに立ち止まっていることも多い。ボールがあるところでは動いていても、無いところのランニングは少なく、ブレーメンにしてもそういった面でピリッとした緊張感というのはそれほど感じられない。カウンターにでられる状況でありながらも、パスを出せずに停滞をしてオーバーラップを待ってしまったり、オーバーラップこそしっかりあって、後方から押し上げてきているものの活かすスピードアップできる状況やパスを出せていない。

試合自体はリベリーのお陰で逆転のゴールを奪い、勝利を収められた。出場機会を得られていなかった宇佐美にとってこの試合が大きなアピールになったのは確かで、通用するドリブルやクロスの精度を見せられた。パワー不足であったり、運動量や守備に対する意識の低さは変わらなかったものの、ゴール前へ飛び込んだり、横のポジションチェンジのスムーズさもあったし、サポートを得たときのカットインでチャンスも作った。ただ同じポジションではロッベンが比較対象になるだけに、試合日程に余裕のある残り二試合に出場できるとは思えない。消化試合だからと割り切ればあるのかもしれないものの、今季限りのレンタルのため、積極的に使おうとすることは思えない。

Liga Espanola Jornada 35. バルセロナ対レアル・マドリー / クラシコ

2012 年 4 月 22 日 日曜日

■FC Barcelona 1 – 2 Real Madrid
試合間隔がマドリーに比べ一日詰まっているバルセロナはチャンピオンズリーグからアレクシス・サンチェスや途中で投入されたペドロらを先発起用せず、テージョを先発させてきた。レアル・マドリーはバイエルン戦と全くメンバーを変えておらず、噂されていたようなピボーテを三枚にしたり、カカとエジルを併用するような変化もない。もちろんコエントランも先発しており、もしかするとテージョの起用は、ロッベンに散々やられていたそこを突くためのものなのかもしれない。
ただスタート時の布陣は3バックに近い状態を採用して左にアドリアーノを置いてダニエウ・アウベスを右のウイングに、セルヒオ・ブスケツがセンターバックとアンカーを行き来する形になり、プジョルが右のサイドバックのような位置に大きく張り出している。テージョにコエントランの攻略を任せるのではなく、ダニエウ・アウベスに任せたようだ。
この試合はチャンピオンズリーグとは違いブスケツのポジションが高く、シャビと横並びの関係に近いのは変わっていない。守備時にディフェンスラインに入ってそこから組み立てにも参加し、十分にポゼッションしてから上がっていく。彼がセンターバックに入ったときにはイニエスタやシャビが大きく引いてバイタルエリアを空けないようにしているものの、そうしているのではなく、そうさせられている印象が強い。後方からのパスが上手く繋がらず、マドリーのラインとブロックが高い位置にあることもあってスペースが少なく少しのパスのずれもゆるされず、ベンゼマやケディラを中心としたフォアチェックによってプレッシャーを与えられていることもミスを呼ぶ原因になっている。コンパクトに保っていることでバルサはパスで揺さぶれず、マドリーはきっちりと出し手にも受け手にもプレッシャーをかけて近く距離を保っている。横へ連続した繋ぎをさせてもらえず、タッチライン際へ通しだしていくようにプレッシャーをかけてきており、縦への変化の少ないパスしか許してもらえていない。ディフェンスラインを引っ張る選手も出場をしておらず、ダニエウ・アウベスが右サイドでダイナミックな動きはあってもライン全体を引っ張るほどの効果はなく、特にセンターバックを中央で引っ張る効果はない。メッシは上下動をしていても、ぺぺやセルヒオ・ラモスは受ける動きについて前へ出てくることが出来ており、バイタルエリアで納めようとするパスへ激しく出てこられてしまう。そういったところから奪ってカウンターへと繋げていくのがマドリーで、速攻からクリスチアーノ・ロナウドを中心とした縦へのスピードを作っていく。プジョルが対峙していられる状況であれば問題ないものの、それ以外の選手を見なければならないことや、ディフェンスラインの人数と上がってくる相手が同数になって外へ出られないこともあり、そういったときは戻りながら中盤の選手が対応しなければならなくなる。そういった中でブスケツがファウルで止め、そのフリーキックからコーナーを取られ、そしてコーナーキックからこぼれ球を押し込まれて先制点を奪われてしまった。

一点を取ったマドリーは前へ出てくる時間が減って後ろに下がってブロックを構築するようになった。外へ押し出すような守りは変わっていないものの、ピボーテの左右へポジションを取るようなメッシに対して密着したとらえ方が出来ず、シャビ・アロンソやケディラが見ているものの、センターバックが出てこられない位置を取るようになった。イニエスタも同じくピボーテの横で受けて中盤の底のバランスを左右へ動かそうとしており、その後を埋めようと攻撃陣をマドリーは引き戻して埋める、あるいはセンターバックが前へ出て対処しなければならない。この試合チアゴがシャビの代わりに引いてプレイすることが多く、それがミスに繋がって奪われるミスも多くなってしまっているものの、シャビが前に出て行くことでメッシが相手を引き出している裏側をつくことが出来、得点には至らなかったものの裏を突いたシャビの飛び出しから決定的な形を作れた。シャビがバイタルエリアにはいることでメッシとの縦関係を作り、シャビが引きつけてメッシの動きをサポートすることもあり、近い距離でパスを繋げる状態を作れたことで中央からパスを通してゴールへ迫ろうと出来るようになった。
しかしながらマドリーのマークの距離が近いことや、一枚ではなく二つのラインを相手にすることもあって、ドリブルで仕掛けて変化をつけたり注意を引くようなことが出来ておらず、テージョも仕掛けられる持ち方であっても繋ぐことを優先してしまって突破を狙えず横に逃げてしまっている。パスを繋ぐことだけしかしていないことでマドリーの守備のタイミングを絞らせてしまって、足下へのパスが連続していることもそれを助けている。裏への動き出しの少なさと、仕掛けの少なさ、チーム全体が動く要素が無く、テージョが無理に仕掛けるようになっても、スピードを活かせるパスからの動きではない。アウベスも早いタイミングのクロスが多く、コエントランがバイエルン戦で失敗したような対応を取らせることが出来ておらず、深く切り崩すこともないため、待ちかまえた形で処理させてしまって、ディフェンダーとキーパーの間にボールを入れられず、戻りながらの処理を強いることも出来ていない。

後半も3バックを中心としたシステムを変えることはなく、ダニエウ・アウベスが右のウイングに入っているのも変わっていないが、しかし少しばかりディフェンスラインと戦う意識は出てきている。メッシが予めセンターバックに引っ付いてみたり左右のウイングもディフェンスラインを引っ張ろうと走ることも増えた。イニエスタやシャビも同じように前へ向かう回数も増えて、仕掛けのドリブルも増えた。メッシが引いてドリブルするだけではなく、チアゴが持ち上がる際の変化をつけられるようになって相手を引きつけたり、動きながらパスを引き出そうとするようになった。中央のバイタルエリアに人が入らないことに代わりはないが、わざとそこに入れていないのか、仕掛けてセンターバックを引き出してディフェンスラインに乱れを作ろうとして、ドリブルの変化に繋げようとしているものの上手くいかない。ただ中央に目を向けさせて足を止めることには成功をしてテージョの抜け出しを演出したものの枠に飛ばず。
この試合のバルサは攻守の切り替えをしっかりしているものの、奪うために向かっていけず、相手の前に入ってコースはふさげていても相手のミスを誘って奪ったりタッチラインを割らせるようなこともなかなか出来ていない。3バックであることで後ろのカバーを意識しなければならないことで重心が後ろにかかっているのかもしれず、サイドバックがいないことで向かっていった後をしっかりとカバーリングをしてくれる選手がいないこともそれに影響をしているのかもしれない。攻撃時に足下のパスが連続してスペースへの動きとパスが連動していないことも前への勢いを持続したまま守備に切り替えることが出来ず、足が止まった状態から守備が始まることもそういった勢いのある守備を出来ない要因なのかもしれない。マドリーが全員を引かせて守りに人数をかけているためカウンターの心配は少なく案っている者の、待ちかまえて出てこられる状況を作ってしまっているため、前へ向かいながら守備をすることが出来ている。前へ出てカットしてそのまま持ち上がられて、バルサの守備に切り替える裏側へすぐに出られてしまう。前へ横に大きく選手を並べていると中盤とのバランスの悪さからこうなってしまうことが多くなってしまう。

シャビに代えてアレクシス・サンチェスを投入したことでバルサのシステムとして4バックに変化をすることはなく、前後の配置が換わることはなく、サンチェスをフォワードの中央に配置して、ディフェンスラインを引っ張る役割を彼にやってもらいつつ、バイタルエリアを広げる役割も担う。そしてメッシがドリブルできるスペースを増やして一人抜いた後のカバーを入れさせず、突破を狙わせる。イニエスタらにも集中できていた守備をドリブルに向けさせることでフリーにし、外を空けさせる。そういった縦の動きで変化をつけられるアレクシス・サンチェスが入ったことであっという間に同点へと追いついてしまった。だが不用意に前へ出た裏を一気に取られてしまってあっという間にカウンターから右サイドで納められ、クリスチアーノ・ロナウドにセンターバックの中央を割られてしまってせっかくの同点ゴールをふいにしてしまった。

再びリード許した直後にアドリアーノを下げてペドロを入れたことでダニエウ・アウベスが右サイドに下がり、右のウイングにペドロが入ったが、マドリーも修正をしてきてグラネロが入り、メッシを掴まえやすい環境を作り、一列下がってプレイする機会が増えたメッシをピボーテがしっかりと掴んでおくようにして、ドリブルやスペースの動きを封じてくるようになった。サンチェスはしっかりと飛び出しながら変化をつけ、フィードも納めて一人で多くの役割をこなしているものの、そのサポートをする選手が足りず、それに見合うだけの動きを周りが出来ていない。ドリブルに連動をして走っても変化をつけるには至らず、前へ向かうだけで斜めや横の変化がない。ウイングが絞りながらゴールへ迫ることもなく、守る側は対処のしやすいものになっている。運動量が明らかに落ちたバルサはマドリーの攻撃にも対処することが出来ず、カウンターを止めるファウルも増えた。ファウルで止めて時間を稼がれて苛立たされ、より攻撃が単調になっていく。時間を稼がれる外側でのプレイをされる回数が増えてセットプレイを置く取られて時間をさらに使われ、後ろに引き戻されてバルサは攻撃へスピードアップさせてもらえない。最後は集中の切れた散漫なプレイが増えて攻守共に精度を欠いたプレイばかりになってしまい、勝ち越すことはおろか同点にすることすら不可能だと思うようなプレイしかなくなってしまった。

UEFA Champions League 11/12 Semi final 1stLeg チェルシー対バルセロナ

2012 年 4 月 19 日 木曜日

■Chelsea FC 1 – 0 FC Barcelona
バルサは布陣としてイニエスタを左に大きく出してウイングの役割を与え、セスクがそれとポジションを動かしながら中央に入り、メッシ、アレクシス・サンチェスと並ぶ。通常のセルヒオ・ブスケツ一枚にアンカーを任せるスタイルと比べるとシャビの位置が低くドブレ・ピボーテの印象を受けるほどのスタートにした。チェルシーのチェックやマークの距離は比較的近く、集中して人につき向かってくる。自分たちの前で捉えておいてボールと人を見られる状況を作り、左右のパスにも修正をしていく。シャビのポジションはそれに押されているために低くなっているのではなく、セスクが中央を引っ張り、サンチェスが右でラインと戦う。そこに高いポジションを取ればメッシの動くスペースを消してしまうため、意図的にポジションを下げ、メッシのポジションに応じて上下動をコントロールし、バイタルエリアにあるスペースを消さないようにし、飛び出しや動き直しを助けている。チェルシーはボールと人を同時に捉えておこうとする意識が強いため、守備時にゾーンを左右へ広げず、狭めてブロックを作り、中盤も守備に専念させるアンカー的役割の選手を置かず、フラットになる、あるいは入ってくる選手に対応して役割を変えながら底に入っている。そのためサイドを動かして変化を作る動きに対して修正が間に合わず、横の修正のために裏への意識を疎かにして飛び出させてくれることもある。サンチェスは上手く反対側からのランニングで抜け出したものの、ループシュートは不運にもクロスバーに当たってゴールはならなかった。

バルサは高いラインの裏を二度もドログバに走られてしまった。チェルシーは最後尾から中盤を省略して一本のフィードでドログバを走らせられることで、バルサとしては徒労に終わる、チェックにでた裏を取られる危険性の高さから十分にフォアチェックが機能をしておらず、ミスからボールを失ってしまい、そこからカウンターを受けることでも直接裏を意識した攻撃をされている。前へと向かって防ごうとしてくる相手に、メッシが下がってブスケツらとワンツーで横パスを使いながら攻め上がろうとするところにその要因があり、十分に動き直してポジションの修正を行い、揺さぶりながらであっても、チェルシーの守備は引き出されずに見ているため、横パスや出るタイミングがわかりきっている縦パスに反応が早く、そのカットを狙って鋭いカウンターへと繋げようとしている。体の接触が伴う縦への守備のため、バルサはサンチェスやセスクが中心となってディフェンスラインの裏を取って相手の意識を背後へ向けようとしている。ボールを動かしてポゼッションをし、タッチライン際のイニエスタやダニエウ・アウベスらにボールを預けて広げて揺さぶり、そして押し下げてから横パスを入れて中央のメッシに変化をつけさせる。ディフェンダーの前でスライドをすれば十分に押し下げたそこからなら前へ出れば裏への変化に繋がり、他へのパスからゴールを狙える。イニエスタのシュートのこぼれ球をセスクがいつものようにミスをしなければ、ここでも先制点は奪えていたかもしれない。

プジョルは試合開始からドログバを強く意識したポジショニングを取っていて、彼にボールが収まらないように前へと素早く動き出して背後から捉えて動きを限定すると同時にカットを狙った動きをしていた。それが裏目に出て裏への動き出しに間に合わなかったり、足を滑らせる要因になっていた。タイミングもドログバの動きとパススピードやタイミングの早さに合わず、先に触られてしまうことが多かった。先に触られて動きを制限できず、動き直されて裏を取られたり他を押し上げるパスに繋げられてしまうなど攻撃の中核として機能されてしまっていたが、前半半ばになってそのタイミングを合わせられるようになったようで、フィードには体をぶつけて競り勝ち、縦パスには先に体を入れてカットできるまでになった。そういった状況が出来上がると、ドログバに頼った組み立てをチェルシーは中心とすることが出来ず、横への展開も高い位置で行えなくなっている。ドログバ自身もその状況で思うようにプレイできないことをアピールするためにファウルの要求や倒れて時間を消費する回数が非常に多くなっている。チェルシーの組み立てる位置は低く、センターバックや中盤の低い位置から、ワイドレンジなロングパスを中心としている。それを左右に開いたウイングへと出すため、よりが長く精度も必要になってくる。テリーやケーヒルにそれがぴたりと収められるパスを出せるほどのものはなく、通せたとしてもぎりぎりの長さのそれでは足下でコントロールすることは難しく、他のサポートを必要とするが、サイドバックのイバノビッチやアシュリー・コールの押し上げは少なく、中盤やフォワードのサポートもなく奪われてしまう。それらに成功をすればようやく複数で動かし、攻撃の形を作れるものの、組み立て位置の低さからそれを成功させることが難しいのは変わらない。前半終盤にかけてサイドバックや中盤を押し上げてタッチライン際やディフェンスラインに入り込む多くの選手をチェルシーは作り出せたものの、バルサがコンパクトに保っていることもあって、前に人数を溜めてフラットに厚みを失ってしまう以外の効果はなかった。
ただ先制点はチェルシーが取り、直前に足を滑らせて怪我をしたメッシへのパスからボールを奪われてカウンターを許し、ドログバの動きに釣られすぎてラミレスをフリーにしてしまった。直接シュートを狙えるほどのスペースを与えてしまったことで、ドログバの動きよりもシュートコースや中へのカットインを警戒する方が優先されてしまって、ファーサイドへのパスを通してしまった。前半終了間際の最も悪い時間に、それまで狙われ続けたとおりにメッシの所をから奪われて最悪の形で失点をしてしまった。

後半もバルサのやり方自体は変わらないものの、シャビが少しずつポジションを上げて右のダニエウ・アウベスが下がり、左のアドリアーノはポジションを上げていく。その代わり前半は中へと動いてゴールに近いところでのプレイを目指していたアレクシス・サンチェスが右へ大きく開いて相手を広げる役割を担い、殆ど3バックと呼べる状況を作っている。攻撃の組み立て位置をより高く設定し、横へボールを動かす位置を上げることでチェルシーの守備を押し込みつつ、ウイングによって横幅を広げて隙間を作ってドリブルでの仕掛けやワンツーの崩しを狙えるスペースを得ようとしているよう。
チェルシーはパスの出し手にはそれほど強くプレッシャーをかけられないままであるものの、ずるずると下がらず踏みとどまり、受け手がボールを受けるために動けばそれに素早く詰めて後ろ向きのコントロールしか許さないようにしている。前を向こうとすれば体を強く当てるため、バルサは縦パスを入れても効果的に前を向くことが出来ずに下げてしまい、チェルシーの守備を下げる効果を得られていない。横へ動かすことも、縦へ入れられないからこそであって、横に動かしている間にバイタルエリアへと入り込む動きの少なさも、その表れ。アレクシス・サンチェスが外から中へとその中で動くことでチェルシーの見てないエリアからバイタルエリアに入り、裏へと動き出してチャンスを作り、その次はイニエスタが中へとスライドしていくことで外をアドリアーノに任せてチャンスを作った。この形を採用するとウイングが外に残って孤立してしまうことが多いものの、この試合は中への動きを柔軟にしてチャンスを作ることに繋げている。

チェルシーは前半のようにフィードによって組み立てることが少なく、踏みとどまった位置から前へとボール奪いに出て、その勢いのままパスをせずに持ち上がる。スピードアップしたものを受け止めるのは難しく、押し下げられることにも繋がり、その間にタッチライン際にフォワードが流れて縦パスを受けてバルサを押し下げ、そして横に渡して、戻してバルサのプレッシャーが無くなってから反対側へと動かしていく。守備時にきっちりと引いて10人で守るほどの人数を用意して中央のブロックを構築してバイタルエリアを閉じていく。メッシのドリブルでの仕掛けにしても、センターバックが無理に奪いに来ずに居続けて、中盤の戻りと合わせて周囲をぐるりと囲んでしまうことで防いでいる。そういった後方に用意している人数の多さが、攻撃に出たときにパスの選択肢を削ることにも繋がっているため、奪った選手が持ち上がらなければならなくなっている。特にドログバまでもが下がり、文字通りの全員守備を行っている時間も多いのだからそうせざるを得えない。バイタルエリアを閉じるために攻撃の選手を引き戻していることがチェルシーにとってはマイナスの面もあり、バイタルエリアに入られたときに挟み込める環境にあり、中盤が戻りながら背中からぶつかることも多い。それをファウルとして取られやすく、守備を専門としない攻撃の選手がするためによりファウルを取られやすい守備をしてしまう。ただバルサはファウルを貰おうと倒れているのではなく、当たればファウルになる位置へボールを置いてプレイしているからこそファウルになっている。

サンチェスに代わってペドロが入ってからは彼ウイングとしての役割を全うするためにタッチライン際に張り付いて相手を広げようと残り続けるようになり、サンチェスのように柔軟に中へとポジションを移してゴールへ迫れなくなってしまった。確かにペドロへとパスを出すことで一人相手を引き出すことには繋がるものの、ダニエウ・アウベスが中へ入って外を駆け上がる場面はなく、停滞したプレイになって縦の勢いを出せなくなってしまう。ダニエウ・アウベスが上がれるよう4バックのバランスに戻したことで左のイニエスタが中へ入り、ペドロはボールを持って中へのカットインを優先させて縦の連携が出来る場面も見られるようになったものの、回数は少なく、右が孤立して逃れるポイントとしてしか利用しづらくなってしまった。チアゴは相手の隙間に入るべく動き、これまでメッシ以外が入れていなかったプレッシャーの多いバイタルエリアに入ってボールを受けようとし、イニエスタもそれと近く保ってメッシと細かな連携を相手の中央で狙うようになった。ただそれがゴールを焦って縦パスを無理に入れようとすることに繋がって、自由もなく受ける体勢も整っていないメッシに無理矢理出していくだけになっている。外へ開いているイニエスタやペドロにしても相手の前でプレイするだけで、ゴールへ向かう動きは中央だけにしかない。ウイングへの横パスと、それを受ける動きに連動してサイドバックの背後を取る動き、それを作り出せていないことが大きく、チェルシーの守備を、ゴールに向かわせながら後ろ向きに守備を強いることが出来ておらず、待ち構えさせてしまっている。ただ終了間際になってチェルシーがゴール前に張り付かず、前へと出て止めに出てきてくれたお陰でバイタルエリアが大きく広がり、ブロックが乱れて隙間が広がっていった。その中でメッシの長いパスからブスケツが落とし、ペドロまで流していく縦と横の揺さぶりを見せることが出来た。シュートもゴールポストに当たる惜しいもので、それまでの崩しと共に上手く行っていたものの、詰めていたセルヒオ・ブスケツが決めきることが出来ずにふかしてしまい、またしてもゴールのチャンスを逃してしまった。

試合中何度かあったゴールチャンスを全て逃したバルサに対して一度の決定機をしっかりと決めきったチェルシーの決定力の違いがこの試合の結果を大きく左右し、第二戦はバルサは二点を取って勝たなければならなくなり、さらには一点も許せない厳しい状況へと身を置くことになってしまった。そしてその前にはクラシコが待っている。

UEFA Champions League 11/12 Semi final 1stLeg バイエルン・ミュンヘン対レアル・マドリー

2012 年 4 月 18 日 水曜日

■FC Bayern Munchen 2 – 1 Real Madrid
バイエルンは現状で考えられる最善のメンバーを揃え、特にシュバインシュタイガーとクロースを併用できていることが大きく、さらにそれをボランチの守備を必要とする横関係での起用ではなく、攻守に入れ替わり動ける縦関係で起用できていることが大きい。縦関係にしたことでボールを引き出しに動き、触って前を向けるのがリベリーを含めて三人で行える。前と後ろを繋ぐ重要な役割として機能しつつ、縦パスを収められるポイントとしても機能をして、特にクロースはミュラーとは違い、ディフェンスラインのマークにあわないよう、バイタルエリアのスペースに入り込んでボールを受けられ、ウイングからの横パスを受けられるだけサイドのサポートに出てこられるポジションを取れる。マドリーの守備としてそこを閉じてきているためフリーでボールに触るということまではいけないものの、前後や左右の分離と孤立をさせずに全体を保ち、細かな連携とアラバのオーバーラップを呼び込み、奪われた直後にカウンターを受けないよう切り替えることも出来ているし、セカンドボールを拾うことにも繋がっている。前後にクロースとシュバインシュタイガーがポジションを入れ替えることでボールを受けさせないようにマークへ専念していたケディラを引き剥がすことにも成功していく。

マドリーはフィードを中心としてバイエルンのサイドバックの外にあるスペースへとボールを入れることを中心としている。特にバイエルンの左サイドへベンゼマが流れて受けることもあり、サイドバックの外というだけではなく、裏を伺ったポジションを取っている。そこにシャビ・アロンソを始めとして長い距離であってもきちんとパスを出せてしまうのがマドリーで、アラバのポジショニングの悪さを利用した組み立てをしてこようとしている。
ショートカウンターからベンゼマが簡単に引き出されたバドシュトゥバーの裏を取って中央を割ったものの、通常であれば決められていた場面をノイアーが防ぎ、序盤での失点は避けられた。ただアラバはそれ以前から使われている部分を気にしているため、前後に不安定なポジショニングを取り、さらに外に開いているエジルやディ・マリアを気にして中へ絞ることも難しくなっている。他がサポートをしなければならない中で、ボランチが流れの中ではバイタルエリアを埋める意識に乏しいことがピンチを広げていて、そこに入り込まれバドシュトゥバーは裏を気にしてチェックにでるタイミングをのがしがちで縦パスに対して反応できていない。ただ前後に伸びていないことでクロースやリベリーがサポートに戻れ、時間を得ることで挟み込んで裏をケアしていくことも出来るようになっている。
右サイドでクリスチアーノ・ロナウドと対峙しているラームにはそれほど多くのサポートは必要なく、彼の前に居続けるようしっかりと対面してマークの距離を保って勝負をさせない。パスが入る瞬間に寄せられるタイミングも掴んできて、クリスチアーノ・ロナウドにボールが収まったとしても変化を埋めない状況を作り、他の選手によるサポートが必要な状況を作ってボールを別の所へ動かしている。

マドリーは徹底して裏へのフィードを使わず、スルーパスも入れてきていない。サイドバックの外の利用回数も減り、バイエルンの前でボールを受けるよう勝負をしてきている。バイエルンの弱点にもなる裏へのボールがないことでディフェンスラインが大きく引き戻されることはなく、中盤との距離を広げずに済んでいることは大きく、中盤や前へセンターバックが出て対応できる状況で受け止めて、跳ね返し、そしてカウンターに繋げる。マドリーも前で捉えるために中盤がチェックへ出てきているものの、組織的にそれぞれの選手を掴まえるまでにはいたっておらず、カウンターでの動きを限定こそすれ、中途半端なアルベロアやコエントランの裏を使わせてくれる。しかし中央のマリオ・ゴメスは使うことができないため、ペペやセルヒオ・ラモスのカバーリングを許してしまい、ゴールに直接向かうようなカウンターをさせてはもらえない。それでも先制点を得るには十分で、コーナーキックをセルヒオ・ラモスが止めきれずこぼれたところを最後はリベリーが押し込んで先制点を得た。

リードを許したマドリーは重心が一つ前にかかり、ディフェンスラインとピボーテとの距離を広げてでも、攻守共に前へ人数をかけるようになった。その分カウンターになったときには中盤の背後に入られてスピードアップするチャンスがバイエルンに訪れているものの、センターバックにある程度自由を与えてもらって動かせていたバイエルンは、そこでボールを動かして前へ出すチャンスを伺うことが出来ず、フィードをフォワードに当てて作らなければならない。マドリーはリーガではフィジカルの強さや激しさで優位に立てるものの、バイエルンと高さや強さで対峙しなければならなくなったときには優位に立つことが出来ておらず、足下のボールであれば厳しくマークし続けることで自由を奪えていても、フィードを落とし拾うのはバイエルンに分がある。それは守備でも変わらず、バイエルンはマドリーの前への推進力を受け止めてカウンターへと移行できる。ただ徐々にカウンターへ出ていく選手と後ろに残る選手でプレイスピードに差が出てきてしまい、前後に分離し始めてしまった。センターバックが押し上げられない中でボールが動いてマドリーのカウンターを受けてしまうと、ボランチ構えへ向かえず、ドリブルでスピードアップを許してしまい、さらに出て行く機会を逃してしまう。マドリーのディフェンスラインが引き、そういった状況が生まれやすくなっていることもその要因の一つ。マドリーはバイエルンのセンターバックに対してチェックを行っているものの、カウンターで素早く前へ動かすバイエルン相手に組織だってフォアチェックの体勢を整えることが出来ておらず、フィードや省略されることを恐れて個人個人で向かうだけになってしまい、よりチェックに出た背後を取られやすくなっているのも要因の一つ。

マドリーの攻撃が上手くいかないのはピボーテにボールが収まらないことが大きい。特にケディラは守備や攻撃に動いているものの、彼に奪ったボールを彼に預けて展開させることが出来ておらず、彼がボールを奪うところまで行けていない。シャビ・アロンソにしても序盤のように大きなフィードを狙えず、前に出てはカウンターによって引き戻されて主導権を握ったポジショニングを取れない。ここが機能していないことで中央からパスによって変化を生むことが出来ず、ドリブルに頼らなければならない。それでも足を止めて奪いに来てくれれば抜いて裏を取ってマークをずらし、スペースを作っていくことができるが、無理に足を止めず、向かっていかず、前へ居続けることを選択することも多いバイエルンを相手に抜ききることは難しく、どこかで外へボールを出さなければならなくなっている。ドリブルでスピードアップしているため、パスを細かく繋ぐ距離を保てず、変化の幅が小さく守備を混乱させられない。ペペやセルヒオ・ラモスからサイドアタッカーへとパスを送ることしかできず、バイエルンに外へ押し出されてしまっている。準備が出来ているバイエルンは、中のコースを切りつつ複数で囲い込んで奪い、カウンターへと繋げる。そしてまたマドリーはセンターバックとそれ以外との距離が広がってしまう。

後半に入ってマドリーはクイックな展開を求めず、サイドバックを押し上げてサイドアタッカーとの連携を目指し、きちんとした繋ぎを求めたプレイをするようになった。スペースを突いてのドリブルからスピードアップをするのではなく、アタッカーを前へ置いて押し下げ過ぎないようにし、縦パスを収められるよう前から後ろへと引いて受ける動きをさせるようになった。ペペやセルヒオ・ラモスからも直接タッチライン際で待つそれらに出すのではなく、アタッカーを引き戻してポストプレイを要求することで、バイエルンの守備に外へ押し出されるのではなく、中に近い位置へボールを入れ、タッチライン際のそれをバイエルンに意識させて中へ絞りきれないようにしていく。ただカウンターのチャンスと見れば仕掛けるだけの勢いを持っていて、守備に引き戻しすぎていないということはカウンター時にも有効なポジションを保っているということでもあり、バイエルンがフリーキックを得て前へ上がったところをカウンターで同点ゴールを決められてしまった。一つ目のパスを抑えなければならなかったアラバの不用意なポジショニングから始まり、最後のベンゼマの崩しに関しても、足を出さずに耐え続けることでマドリーに変化を作らせなかったそれまでの守備を守らず、アラバは不用意に奪うためだけに足を出して抜かれてパスコースをプレゼントしてしまった。
その後もマドリーはポストプレイを要求する縦パスを入れられるようになったお陰で、バイエルンの守備がフォアチェックへと向かいきれないことも手伝って、ピボーテのシャビ・アロンソに戻し、収めることが出来るようになった。彼が前向きにボールを触れるようになると、そこから両サイドへワイドな展開を作ることが出来、縦へも再び送ることが出来る。シャビ・アロンソ自体も前後へ動きすぎず、上下動をケディラに任せることでポジションが安定をしている。さらにクリスチアーノ・ロナウドを左から中央に動かしていることで、バイエルンのディフェンダーに直接裏へ抜けられるイメージを植え付けて、ドリブルに対して前へ居続けられて仕掛けられなかった彼自身にとってもプレイしやすいよう、足を止めて奪いに来てもらえる環境を作ってきている。そして裏を警戒するあまりバイエルンのセンターバックが必要以上に低くポジションを取ってしまい、前へ居続けるには後ろに下がれない位置にまで来てしまっていることに問題がある。

バイエルンはシュバインシュタイガーに代えてミュラーを投入したことで、それまでカウンターを中心に、ロッベンやリベリーにボールを集めて外から中へと動いていたものをフィードや縦パスを中央で収めて外へと展開を狙うよう、横の動きを変化させた。特にミュラーはマリオ・ゴメスとの距離を近く保っていることで、カウンター時には中央でダイアゴナルな動きをしてマークを横に動かすことが出来て、パスコースを作れる。リベリーやロッベンのサイドに流れてサポートすることも出来る。シュバインシュタイガーのようにボールを引き出すことは出来ないが、後ろから前へとボールを出すことには苦労をしていないバイエルンはそれでも構わず、ゴール前での変化の多さや選択肢の多さを重視している様子。ロッベンやリベリーも中に入って動くそれらは縦パスを収めるポイントにもなり、マドリーは激しくぶつかることでそれを止めようとしてファウルを数多く犯している。その位置がゴールから遠く、フリーキックを与えても問題ないからこそのファウルであるものの、プロフェッショナルファウルというよりも、ラフなものや危険なものも含まれている。激しい中ではミュラーが足下へ収めるのには不安がつきまとい、ボールを失う危険性も含んでいるものの、中をイメージさせることで外にスペースを作り、マドリーのゾーンを左右へ揺さぶり前で止めるよう意識させつつ裏を使う。

マドリーは守備的に進めながら直接裏へとパスを入れてゴールへとプレイの数を省略した展開を狙うようになった。バイエルンのセンターバックが苦手とする守り方で、引き戻すことで攻撃への移行を遅らせようとしている。バイエルンが奪うポイントがセンターバックならショートカウンターへ移行することは難しく、それ以外では前半とはうって変わって接触にはファウルを要求して貰い、試合を止めて対処をする。それはバイエルンが前後に伸びて、センターバックの位置が下がっているからこそ、パスコースが限定されてパスの距離が伸びたことで受け手に対して向かえるからこそできることだった。バイエルンがしっかりと繋ぎ始めれば、センターバックのポジションも上がり縦パスのポイントが増えたところからポストプレイをされてサイドバックの押し上げにも繋げられる。前向きに全てがプレイできるようになってしまうと、体を寄せてファウルで試合を止める方法を選択できず、待ち構えなければならなかった。そこでドリブルに対して不用意に足を出さずに前へ居続けることを選択すればバイエルンが勝ち越し点を得ることは難しかったかもしれないが、コエントランはこの試合何度もそうだったように不用意にドリブルに対して足を出しに向かい、奪えずにかわされて縦の突破を許してくれる。勝ち越しゴールを得た場面では二度もコエントランが不用意な選択をしてくれたお陰で縦のコースが空き、マドリーのそれ以外の選手たちは、中へのカットインやパスコースを切る用意こそしていても、縦に切り崩されることを意識したカバーリングポジションを取っておらず、クロスを防ぐことは出来なかった。

最後はそれまでもそうであったようにマドリーはファウルで試合を荒し、審判のコントロールによって幸いにも退場者が出ることはなかったものの、揉める要因を作った。

Bundesliga 31. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対マインツ05

2012 年 4 月 15 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 0 – 0 1.FSV Mainz 05
前節のドルトムントの直接対決で敗北したことによって優勝の可能性をほぼ失ったバイエルンは、チャンピオンズリーグを意識していくつかメンバーを入れ替えて試合に臨んでいる。ただモチベーションが高いようには見えず、運動量も少なくボールを引き出そうとする動きが少ない。シュバインシュタイガーが下がらなければディフェンスラインからボールを前へ出すことも難しく、プレッシャーやチェックを受けているわけではなくともサイドバックを経由して前へ運ぶことも出来ない。マインツはウイングに対して距離を詰めて守っているため、縦パスを選択しづらく、リベリーのように引いて受け、そしてバランスを変えるプレイを選択できていないことも大きい。加えてサイドバックが持ち上がってもシュバインシュタイガーが下がってボールを引き出そうとしていることに加え、ミュラーやオリッチが相手の前で受けようとしていても、横パスを引き出せるほどの高さまで引いていないこともあって、バックパスをしなければ作り直せない。オリッチも見方が要求しているポストプレイをこなそうと引いているため、一度前へボールを収めることが出来れば、前後に分離し前へ残っている攻撃陣でコンビネーションを取ることが出来るが、厚みはもたらせない。
シュバインシュタイガーが盛んにセンターバックの間へポジションを取って、アンカー的役割を担いつつ左右へボールを配球しているものの、その際にティモシュチュクがボールを引き出すべく動くのではなく、前へ出るわけでもない。中途半端な高さを保ってしまってそこをパスの選択肢として使えず、押し上げたサイドバックのサポートにもならない。前後の分離は解消できず、守備時こそ引き出されたセンターバックの裏をカバーリングで助けているものの、攻撃面の貢献はそれほどでもなく、彼が後ろに残ることでシュバインシュタイガーが前後左右にポジションを動かして高いポジションを取れるようになれば、サイドバックとウイングの距離が近づき、横にも動かせるようになる。ロッベンが自由にポジションを動かして左右のバランスを崩しているもののそれをサイドバックが埋められるようになるが、それが上手く言っているとはいいがたく、オリッチがようやくポストプレイを中心とするのではなく、素早い動き出しから相手の背後でボールを受けようとするようになり、アラバも似たような動きをしていくことで変化をつけられるようになってきた。代わりにミュラーが中盤までしっかりと引いて縦の動きで前後の変化が作れているからこそ上手く機能して、サイドバックから横パスを使えるようになり、前後の分離が緩和されているように見えるものの、それが継続できないことがバイエルンの問題で、守備面でも相手を捉えて足を出せる距離を保てておらず、足下にきちんとボールが収まっていない相手に前を向かれてしまって運ばれて、それを見て、遅れて仕掛けて足を出し、かわされて危険を広げてしまう。一度は改善されていた攻撃も、前半終盤には分離が進み、戻るミュラーもマークされて捉えられ、アラバも裏への動きよりも引いて受けることが多く、そこから反転して裏を取ろうとするパターンも読まれて止められてしまう。オリッチにフィードや縦パスを当たるようなプレイが目立つようになり、シュバインシュタイガーが下がってもマインツの守備組織の前にボールを持たされているだけになってしまった。相手のブロックの外でボールを回してクロスを入れていくだけ。オリッチではなくミュラーがボールを受けることが出来れば、その間にオリッチが裏を取ってゴールに迫れるものの、一度の偶然のようにしか見えてこない。

後半からアラバに代えてリベリーを投入したことでバイエルンはバランスを取り戻した。それまで自由に動いていたロッベンを守備にも戻し、ボールを受けるべく下がるようになったことで、前後に分離せず縦の距離が縮まった。ティモシュチュクが攻撃参加をしてゴール前へ送れて入れるようになったのも距離が縮まったからこそで、ミュラーを含めた横のポジションチェンジで攻撃のポイントを動かしながら狙いを絞らせないことで、ボールが縦に動きやすくなり、斜めの変化も生まれ始めた。ティモシュチュクのポジションが上がれば攻守を切り替えたときに、前半ならオリッチのみがしていたフォアチェックも組織的に行えるようになって、攻守の切り替えをスムーズにして奪い返し、高い位置からショートカウンターのチャンスも増える。奪いきることこそ難しく成功していないものの、ミスを誘うことは出来ており、自陣深くまで入られる回数は減ってディフェンスラインもある程度の高さを保てるようになった。大きな展開で片側に寄せたマインツのブロックをかいくぐればもっとチャンスを増やせるはず。それが出来ているのは今のところ誰もおらず、シュバインシュタイガーが縦へのフィードをしているくらいだろうか。マリオ・ゴメスが入ってからはディフェンスラインと戦う彼に向かってフィードが出される機会も増え、裏へと直接ボールが出されることも増えた。それをしなければならないほど、マインツが前へとプレッシャーを強めてディフェンスラインを押し上げているということでもある。

バイエルンはリベリーを含めてきっちりと前線の選手が前へ出てきているマインツに合わせて戻って守備を行うことで、攻撃を受けても分離をすることが無くなった。サイドバックを押し上げて両翼を大きく広げて保つことも出来ていることで、ウイングを中へ絞らせてゴールに近い位置でプレイをさせたり、サイドバックと横並びにして縦の突破を個人に頼らず連携して行えるようにするなど効果はあった。サイドを切り崩したときに中への選択肢が複数用意できるようになって、ニアやマイナス、遅れて飛び込んでくるものも含めて、動きながらクロスやパスを要求できるようになっている。
ただサイドバックのポジションが高くなっている中で、マインツはそこの裏を使ってきており、起点を作られて押し下げられ、センターバックが外に張り出してクロスへ対応する選手が足りないというような守備面の不安もいくつか出てきている。センターバックが踏みとどまっているわけではなく、下がってしまって中盤がカバーしきれなくなっていることも問題で、時間を稼ぐことが出来れば挟み込み、前で捉えられるものの、それが出来ずに入り込まれ相手のミスやオフサイドに助けられる回数も多い。
クロースをと運乳して状況の打開を図っても、マインツのタッチライン際に作る起点を止められず、引き戻されるところから攻撃が始まり、押し上げて足下へのパスを連続させて組み立てていかなければならない。マインツの集中は切れておらず、足下のパスが連続すればディフェンダーが一気に詰めて体をぶつけ、行動を限定して前へのスピードアップを許さず止めていく。

バイエルンはモチベーションの低さを感じさせるプレイに終始し、終了間際こそ猛攻を見せたが、勝利に値するプレイをすることが出来なかった。試合中に多少の改善が出来たことでチャンピオンズリーグへの期待が持てるものの、それ以上の効果が出なかったことで不安も与えられてしまった。そして未だに問題点の改善が出来ていないこともマドリーを相手にして耐えられないのではないかと予想させられてしまう。