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UEFA Champions League 11/12 Final バイエルン・ミュンヘン対チェルシー

2012 年 5 月 20 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 1 – 1 (PK Win 3-4)Chelsea FC
バイエルンはアラバ、バドシュトゥバー、ルイス・グスタボの三人を出場停止で欠いているものの、ブンデスリーガを含めてそれらの選手を起用できない試合はあり、その際に組まれていた布陣を使うことが出来ている。チェルシーもテリーを中心として出場停止を多く抱えている。

ボランチに守備を専門とする選手をおけなかったバイエルンだが、立ち上がりからボールを支配してその部分の不安を感じさせていない。チェルシーが積極的にフォアチェックをかけるのではなく、引いてブロックを作ることを優先しているため、ディフェンスラインで試合を構築する必要はなく、ドログバもチェイシングをしてこない。彼の横でボールを引き出して縦に運ぶことが出来ており、よほど相手陣内に入らなければ足を出して奪いにきたり、ついてきて厳しくぶつかろうとすることもない。縦パスや運ぶドリブルに対してもリトリートを優先しているため、バイエルンはペナルティエリアに簡単に近づいていくことが出来る。
クロスやフィードで一気にそこへボールを入れることも出来るし、ボールホルダーを止めていても中の動きを止められずにクロスを入れてゴールに迫ることも出来る。

守勢に回ったときにもバイエルンはクロースとシュバインシュタイガーの二人がきっちりと背後を意識してスペースを広げないようにしていることもあって、ドログバとそれ以外の連携を許していない。センターバックの二人がしっかりとフォワードを捉え、サイドに引っ張られない。カルーらがサイドに流れてボールを納めようとするものに関しても、アラバではなくコンテントだということもあって、後ろに残ってサイドにスペースを作らず納めさせない。それはラームのサイドでも同じ事で、動きが少なく足下へ納めさせようとするパスを先に触ることも出来る。それらがボランチの戻りや横を使われそうな展開の時には中へ絞ってセンターバックの前を埋めることも出来、バイタルエリアに穴を作りにくくなっている。ドログバにはしっかりと体を密着させて自由を与えず前を向かせないことを中心としていて、裏を取られないよう意識しながらもしっかりと体を預けに行く前への守備行っていて、足も出して積極的な守備の姿勢もあり、守り方としてチェルシーと対照的になっている。チェルシーで積極的に当たりにきているのはマリオ・ゴメスのマーカーになっているダビド・ルイスぐらいか。

バイエルンのポゼッションに対してチェルシーもリトリートするだけではなく、ある程度前で奪おうとディフェンスラインに対し、プレッシャーをかけるようになってきているものの、徹底を欠いて脅威になったりミスを誘うものにはなっておらず、バイエルンは横に繋いでそれらを買わし、ボランチに渡して試合を作ることが出来る。そうなるとチェルシーはそれまでと同じようにリトリートしてしまい、バイエルンの縦に持ち上がるスピードを落としきれず、足下のパスで繋がせるだけではなく、動きながらパスをし、繋いでスペースや裏を狙うのを許す。それらの動きも制限できず、足下のパスが連続をすれば捕まえられるものの、引いた理代子の動きを混ぜられることで密着することは出来ず、掴まえきれずにバイタルエリアへボールを入れてチャンスになったり、ファウルを得てフリーキックでゴールに迫ることができる。

徐々にチェルシーは近くにまで距離を縮めて最初のパスに関して守備を行うようになったものの、カウンターを受けないようにであったり、ウイングに入ってスピードアップされないためにというものを厳しく当たって足や体で止めるようになって、ファウルでやることも多い。ただそれだけ前へ向かった守備をする意識が出たということは攻撃にかかったときに前へ向かえるということでもあり、ドログバとカルーやマタといった限られた選択肢だけの攻撃だったものからオーバーラップもある程度含まれるようになった。ドログバを挟み込んでいたセンターバックの関係を崩して前へ対応に出なければならない回数も増え、それによってコンテントやラームが代わりにその役割を担わなければならなくなる。ドログバも前で納めるためだけのものではなく、裏を取れるようディフェンダーと並んでみたり、選手の隙間にポジションを取るようになって、前向きにボールを受けてそのままゴールへ迫ろうとする姿勢が見える。そういった要素を意識するあまり、バイエルンは攻撃時に押し上げきれず、厚みが減って、二次攻撃であったり三次攻撃というような、こぼれ球を拾って攻撃を作り直すことや、攻守の切り替えから奪い返すことも減ってしまった。中盤が開くことによってチェルシーに攻撃するチャンスを与えながらも、バイエルンがペナルティエリア内や近くでボールを受けられる状況に変化はなく、ゴールチャンスも得ているものの、それらを枠に飛ばしきれずに先制点は得られなかった。

後半になると引いて裏を取られないように意識を強めたバイエルンが、相手との距離を広げてしまって手前でボールを納めさせてしまうようになった。足を出したり体をぶつけるには距離が遠く、攻守の切り替えで奪えなくなっていることもあってパスをそこに出されてしまう。密着して動きを制限するのではなく、前に立って待ちかまえるようになってしまう。まだ自由に前を向かせてはいない者の、バイタルエリアでボールに触らせるようになってしまい、それよりも手前ならなおさら先に触られてポストプレイのように落とさせてしまう。
ただチェルシーも攻撃に出られるようになったこともあって、ディフェンダーとアタッカーとの距離が開いてしまって、中盤にスペースが大きくある。カウンターに残しているミュラーやマリオ・ゴメス、他にもリベリーやロッベンを掴まえきれず、対応の遅れがスピードアップからのカウンターに繋がっていく。カウンターになるほどチェルシーが攻勢を強めていることでもあり、守備にかかる時間や戻って埋めなければならないスペースも多い。バイエルンはそれまではペナルティエリア内にマリオ・ゴメス以外にもリベリーやロッベンのどちらかとミュラーを加えたり、数多くの選択肢を持ったままサイドからのカットインやクロス、そしてフィードを入れることが出来ていたが、それによって戻され、守備を意識し、安定した繋ぎを考えるあまり、ペナルティエリア内にマリオ・ゴメスのみが入るだけになって、ピンポイントで合わせなければならなくなっている。そこにチェルシーは守りのポイントを絞ればよく、横や斜めの変化も減ったこともあって、後から入ってくる選手は、待ちかまえたところに入ってくる形になって止められる。シュートコースを得られないまま運ばなければならない。

何度かそれでもゴールに迫っていったことでバイエルンは再びラームを中心としてサイドバックの押し上げとオーバーラップを使い、ワイドさを用意できるようになった。チェルシーもボールを繋いで攻撃に出ようとするようになっているものの、カウンターに出られなくなったからこそ繋ぐようになった印象が強く、それだけ前後に伸びてしまうほどバイエルンが人数をかけて攻撃に出ている。オーバーラップをして、中のカットインも含める。ディフェンスラインからボランチへと繋ぐところにプレッシャーがかからず、ボランチも自由に動いてポジションが上がったことでコンパクトになってセカンドボールを拾って連続して攻撃に繋げられる。ただそれでもチェルシーの守備の集中と人数、ペナルティエリア内のスペースの無さを克服して崩すことには繋げられておらず、引かれているため、裏を取るように前へ動きながらボールを引き出すことが出来ず、展開が止まりがちになってしまう。シュバインシュタイガーとクロースが飛び出したり押し上げることで変化はつけられているものの、ロッベンやリベリーのカットインに関しては、チェルシーに絞らせて中のスペースを潰すことにしかなっていない。縦パスを入れることも、マリオ・ゴメスへのそれはチェルシーの両センターバックが徹底してタイミングを計ってカットを狙いにきているために使いづらく、相手を下げる意味にもなってしまうため、ただでさえ引かれて困っている中で相手を下げさせる効果は必要なく、むしろそれよりは相手を広げようとサイドを使っているように見える。その外へミュラーが右に開いたことでロッベンが中央に移って自由に動かせるようになり、ミュラーは右で縦の突破を含めた勢いを出せるようになった。中央でのパスのずれを生む要因になっていた部分が減り、クロスに対してゴールに飛び込む形に参加できるようになり、マリオ・ゴメス以外の選択肢をペナルティエリア内に作ることが出来るようになった。それが左からのクロスに合わせられるようになって、先制ゴールになった。

積極的に奪いに行かなければならなくなったチェルシーはそれまでのようにしっかりと待って形を作ってからボールを奪うのではなく、はじめから向かって奪いに足を出したことで一つかわせばチャンスになり、繋ぐことでそれを焦らせることが出来るようになっていた。ただバイエルンは守備に人数をかけて守り抜くためにヴァン・ブイテンを投入して守備を固め、ティモシュチュクを一列前に出してランパードを掴まえるようにした。ただフェルナンド・トーレスにサイドで起点を作られて最初のコーナーキックを取られ、そこからドログバの同点ゴールに繋がった。

後一点を取る必要が出てきたバイエルンは守備を固める布陣にかえてしまったことで、バランスが崩れてしまい、それぞれが守るエリアを決めきれずに守備が横に動かされる時間が増えて、戻りながら体をぶつけなければならなくなった。さらにフェルナンド・トーレスとドログバが中央と右でポジションを動かしながらプレイしていることで両者の動きに注意をしながら捉えなければならず、サイドバックの所でポストプレイされるため、センターバックがサポートしなければならず、中央の枚数が減ってしまう。
延長戦でもその形は変わらず危険な要素は多かったものの、リベリーのドリブルに対してペナルティエリア内でドログバがリベリーの足に接触をしてPK。その勝負を決められる決定的なPKをロッベンが決められず、チェフに止められて勝ち越すには至らなかった。そしてそのファウルの所でリベリーが負傷してオリッチと交代をしなければならなくなった。

バイエルンはマリオ・ゴメスにフィードを当てようとしてそこに収まらず、オリッチになって左側で納めてドリブルで運んでいくことができず、右のロッベンに頼らなければならないことで狙いを絞って守られやすく、彼がワイドに開いてはボールを渡せないため中へ絞ってプレイする時間が長い。そうなるとチェルシーのゾーンの中でボールを受けることに繋がり、囲まれてしまう。それにPK失敗の影響から得点を取りに走ってしまうところも加わって、あとは疲労もあってずれに対応できなくなっている。ティモシュチュクが上がったことでも攻撃の部分にはプラスの影響を与えず、むしろミスが増えて前へより運べなくなっている。オリッチは動いて納めて、縦に仕掛けて、クロスのために中へ入って体を張る。それらをやれていてもあとがついてこない。マリオ・ゴメスは中央で待つだけで引き出していけず、ゴール前の変化としても使えない。オリッチも中へ入ってしまっているため、ロッベンが運んでも逆サイドに選択肢がない。そして無理にシュートを狙ってしまって決定機にすることが出来ない。攻撃のオプションとなる交代選手を持たないバイエルンはそれ以上の変化をつけることが出来ず、消耗したまま試合を進めなければならない。チェルシーのブロックの外側でボールを動かしながら、そのただ中に入っていかなければならない。足下のボールかも取りながら受けるほかなく、前へ向かすスピードを維持したりスピードアップするような変化をつけられない。ロッベンのドリブルも個人に頼るだけで単調になってしまってマルダとアシュリー・コールの二枚の対応に阻まれて何も得られない。
チェルシーは急がずフィードを中心として時間を使いながらチャンスをうかがい、両者共に動き無くPK戦へ。

先攻はバイエルン。ラームが決めたもののチェフには読まれ、触られていた。チェルシーの一本目はマタ。そのシュートはノイアーが読んで止め、バイエルンが一本目にしてリードを奪った。二本目はマリオ・ゴメスが決め、ダビド・ルイスも決めた。三本目はまさかのキーパー、ノイアーが蹴り、決め、ランパードも決めた。四本目になってそれまでコースを全て読んできたチェフがオリッチのシュートを止めて同点に。後攻のアシュリー・コールは問題なく決めた。
五本目のシュバインシュタイガーがフェイントを入れたことが裏目に出てコースをチェフに読まれていたことが影響をしてポストに当てて決められなかった。最後のキックをドログバが決めてチェルシーがチャンピオンズリーグ初タイトルを獲得した。バイエルンはこのタイトルも逃して今季は国内のリーグ、カップを含めて全て二位で終えた。

DFB Pokal Finale ボルシア・ドルトムント対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 5 月 13 日 日曜日

■Borussia Dortmund 5 – 2 FC Bayern Munchen
立ち上がりからドルトムントは積極的に前へ出てプレッシャーをかける守備を行ってきている。レヴァンドフスキと香川の二人が最前線でディフェンダーにまで向かい、中盤の両サイドが中から外へとバイエルンのパスを押し出してくる。中央にブロックを作って中で繋がせず外へ出させようとすることでバイエルンにはゴールに近い位置でプレイさせず、シュバインシュタイガーやクロースといった活動範囲の広い選手を中央で閉じ込めようとする狙いがあるのかもしれない。
先制点を取ったのはドルトムントで、前へ積極的に体をぶつけて奪いに足を出していたことが功を奏して、守備から攻撃へと移る際にバイエルンは安定して繋ぐ意識がでてしまっていて足を止めてボールを待っていた。失点の場面ではルイス・グスタボとリベリーの意識が合わずに繋がらず、一度はカットしたものの、そのこぼれ球がブワシュチコフスキの前にこぼれ、ノイアーの飛び出しもパスによってかわされた香川のゴールになった。ミス以外にもアラバがマークすべき対面の選手を見ずに途中で離してしまったこともゴール前で崩される要因になっている。

ただドルトムントの前へと重心のかかる攻めと守りはカウンターになった瞬間に脆さを見せてしまい、縦へスピードアップしていけるメンバーを揃えているバイエルンに対して、足を止めさせるようポジションを取ることも、奪いに行くことも数的に無理な状況を作ってしまい、オーバーラップから裏を取らせてゴールに迫られてしまう。外に押し出すよう守れているのはある程度引いて形を作った状態から前へ向かっているためで、攻撃と守備が入れ替わりばらばらになった状態から向かってしまうと裏にスペースを作ってしまってスピードアップされてしまう。そうさせないために、ドルトムントは両サイドバックがバイエルンのウイングを掴まえて縦のコースを切りスピードに乗らせないよう距離を縮めてコースを切ろうとしている。時には中盤の両サイドを引き戻してその役割に当たらせ、外で縦を抑える。ただその守り方をしてしまうと中のブロックから外へ通しだしてバイエルンにタッチライン際で窮屈なプレイをさせることは出来ず、リベリーやロッベンの位置だけではなく、ラームやアラバといった一列下からでも中へとパスを出したりボールを動かして徐々に繋げるようになっている。
繋げるようになると誰か一人が向かっていってバイエルンのコースを限定していかなければならないが、きちんと収められて前を向かれてからそれを行っては簡単にかわされてしまうだけで、他の選手がチェックに合わせて動くのは難しくなってしまう。バイエルンは前を向くチャンスを得たことでディフェンスラインの裏への飛び出しとパスの狙いを繋げられるようになり、ロッベンやマリオ・ゴメスがそれを行えるようになった。ドルトムントは前で捉える意識を切り替えられておらず、飛び出す動きに対応もできず、ヴァイデンフェラーがマリオ・ゴメスを倒してPK。ロッベンが決めて同点にした。

どちらが明確にペースを掴んでいるわけではないものの、ドルトムントはサイドでリベリーとロッベンを掴まえておけなくなってきており、そこを中心として外に奪うポイントを作れなくなったことで、攻撃に移ったときにサイドから切り崩すことが出来ず、オーバーラップも期待できなくなってしまった。攻撃がゴール前に集まってしまい、バイエルンはセンターバックでレヴァンドフスキを挟み込み、ルイス・グスタボやシュバインシュタイガーが香川を見て、混乱を生じさせるような変化を作らせていない。
攻撃では縦パスがクロースに入り、バイタルエリアのそこに入ることで意識を後ろに向けさせ、中央に集めることで両サイドへ開いている守備を中に絞らせ、今度はウイングをフリーにする。縦パスが一本通ることで横の展開を助け、横に動かされることで縦パスや裏への動きに対して対応しきれなくなってきている。
ただ二点目のチャンスを先に得たのはドルトムントで、引いた香川がボールを横に動かすことで縦に急ぎ攻撃の幅が狭まっていたところに時間を与えて、人が多く参加できる状況を作った。それによって中に人を用意しながらもピシュチェクが上がってくるだけの時間を稼ぎ、中央と外の両方に選択肢を作ることが出来た。セカンドボールを拾えたのも押し上げる時間を得たからで最終的にはグロスクロイツがボアテングに倒されてPK。フンメルスが決めて再びドルトムントがリードを奪った。

その後再び安定を取り戻したドルトムントの守備によって、中と外をバランスよく使えていたバイエルンの攻撃を止められてしまうようになった。特にリベリーとロッベンが縦に突破することが出来なくなり、ある程度引いた状態でブロックを作られるため、中へのパスも選べなくなった。先に中のクロースへとパスを入れる事が出来ていれば外を使えたのかもしれないものの、待ち構えられてしまってはその効果も薄くなってしまう。ポジションを入れ替えながらでても効果が薄く、戻して中盤を省略したフィードを入れて組み立てなければならなくなった。ただそれが前後を分離させてしまい、守備に回ったときにレヴァンドフスキと香川の二枚を見られていた関係をも崩してしまい、カウンターからその二枚への対応を誤ったことで三点目となるゴールを奪われてしまった。レヴァンドフスキをセンターバック二枚で挟み込めず、役割を明確に仕切れないまま二人共が裏を取られてしまっていた。

後半に入ってバイエルンはミュラーを投入し、縦パスを受ける選択肢になれなくなっていたクロースが一列下がった。ただそれでも中央に縦パスを入れてドルトムントを押し下げていくことは出来ておらず、サイドに流れてリベリーと横の関係を縮めて連携を取ろうとしたり、サイドバックに頼らない変化をサイドで作れるように動いていうように見える。ただドルトムントは無理に前で押さえようとしておらず、きちんと引いた形から前へと守るように安定した形を選んできている。ハーフウェーラインからドルトムント陣内に入ってもボールを持たせてくれるエリアは広がっているものの、裏を取ることでゴールに迫ってきたバイエルンにとって飛び出すスペースを減らされてしまい、手前で変化をつけなければならないが、バイタルエリアも閉じられてしまってウイングを中へ絞らせての変化も作ることが出来ない。待ち構えられている相手の前で繋ぎ、カットされてカウンターを受けたり、無理にシュートを狙って壁にブロックされて跳ね返ったところを前へ運ばれる悪い繰り返ししかなくなってしまっている。そのカウンターからグスタボがいなくなって広がったセンターバック前のスペースを香川に運ばれ、グロスクロイツを経由されて、最後は逆サイドのレヴァンドフスキに渡って4点目。

バイエルンは何とか縦パスを中央のミュラーに通そうとするようになったものの、ウイングへのコースを消されている中での縦パスでしか無く、センターバックが狙いを絞ってでやすく、そのリスクも小さい。そこで体をぶつけて前を向かせなければ揺さぶられることも少なく、裏を取られることにも繋がらない。バイエルンはボランチの位置で横に動かしてサイドバックを混ぜることは出来てもドルトムントが作るブロックの手前でしか動かせず、その中へと入っていけない。タッチライン際にも中を抑えられているためコースが無く、迷いからカットされてカウンターを受けることもしばしばで、その際にシュバインシュタイガーが残って守備できているのはリスクを考慮して残っているのではなく、攻撃に出られていないから残っているだけという印象でしかない。バイエルンはカウンターでしかチャンスを作れず、一度あったリベリーの突破からのクロスもマリオ・ゴメスのヘディングシュートはゴールマウスに阻まれて得点には至らなかった。

右サイドから再三縦に突破をしてクロスを入れることは出来るようになってきたものの、それらは全てドルトムントを後ろに引き戻しながらのプレイではなく、縦に突破こそしていても崩して慌てさせているわけではなく、中の守備が自陣ゴールに向かいながら守備をしているわけでもない。クロスにも対応されてしまって単調なそれでゴールを奪えるようには見えなかったものの、それが徐々に縦からクロスだけではなく、中へのカットインを増やしていき、パスを使ってワンツーを狙い始めたり、右の縦の突破を起点として、そこから中への変化を作り始めている。そしてリベリーがドリブルで変化をつけて個人技でゴールを奪って二点差。
僅かながら中央で崩す気配がその得点によって見られるようになってきたところで、守備の注意を失ってファーサイドをがら空きにしてしまい、ノイアーのミスも重なってレヴァンドフスキにハットトリックとなる追加点を許して勝負を完全に決められてしまった。

その後は優勝に向けて集中力を高めているドルトムントに対して、集中が切れて足も止まったバイエルンが散発的な攻撃を加え、時にラフなプレイで試合を荒らす程度でしかなく、何の抵抗も示すことは出来なかった。

Liga Espanola Jornada 38. レアル・ベティス対バルセロナ

2012 年 5 月 13 日 日曜日

■Real Betis 2 – 2 FC Barcelona
国王杯の決勝やユーロに影響が出る怪我をプジョルがしてしまったのは残念で、他にもアレクシス・サンチェスやピントらも怪我を抱えて万全の状態では挑めていない。

ベティスに追い回されてスタートし、フォアチェックのスピードと連動性、組織的なプレッシングだけではなくしっかりと足を出して奪いにきている。バルサが狭い地域で動かして逃れようとしても近い距離のそれにはしっかりと寄せてきているため、短い繋ぎ方ではそれをかわせず、立ち上がりのリズムを掴むには難しい環境だった。ただその勢いがバルサにゆっくりとした入り方をさせず、力を抜かずしっかりとポゼッションをする姿勢に入らせた。狭く短いパスによってポゼッションをしてチェックをかわそうとするのではなく、しっかりと横に動かしていくことでチェックから逃れて、ポジションを取り直す動きに関してもマークから外れ、取り直して隙間に入る動きもある。ベティスはすぐに素早いチェックをかけ続けるタイミングを失って、きちんと納められてしまったため、ある程度引かなければならなくなった。ただその中でもポイントを絞って縦パスを抑えようとはしており、アフェライに関してはボールが入るタイミングで体をぶつけていこうとして、前を向かせず下げさせる。それでも中央に上がってくるシャビやケイタの動きを事前に捉えてぶつかることは出来ておらず、バイタルエリアにも入って流れを作れているようになった。早い段階で得たコーナーキックからのゴールも、上がっていたシャビを掴まえられず、メッシも掴まえられなかった影響で得たものだった。

その後はベティスも運動量を取り戻そうとしているが、それは守備面でもそうであるものの、攻撃面でより顕著に表れている。ボールを運ぶ手段をパスに頼らず、カウンター気味に個人での突破を中心として縦へのスピードアップをしている。バルサはそれに対して体を寄せて足を出せるように意識を持って、きわどいタイミングのものに関しても積極的に足を出していけていて、接触を怖がっていないように見える。ただそのファウルにもなりかねない接触はドリブルを中心としたスピードアップに対して踏みとどまるタイミングが上手くいっていないことでもあり、裏への飛び出しを狙うフォワードに影響されて、ディフェンスラインを乱されて中盤との距離が広がっているためでもある。ディフェンスラインが下がってアンカーが前へ残り、バイタルエリアにスペースが広がってしまう。サイドアタッカーを置いていたり、フォワードのルベン・カストロやその下のペレイラが積極的に流れて出てくることもあってサイドバックも中へ絞ってバイタルエリアを埋めることが出来ない。そこを使われるとより足を止めて待ちかまえるタイミングを計るのが難しく、マスケラーノが中心となって左右や裏、そして前へ対応しなければならず、ファウルぎりぎりで止められているのは彼の力があってこそ。

メッシはタイミングを計って前へ出て体をぶつけに来るベティスの守備を嫌がって下がってポジションを取ることが多い。そのサポートをケイタがしたり、彼が下がってアンカー気味に振る舞い、ブスケツが前へ出ることも多い。密集地帯でのボールの預け先として機能しつつ、他の選手たちは下がってボールを触って、リズムを掴もうとする選手も多い。ただ引いて受ける動きに関しては直線的になってしまうため、向かってくる守備に掴まれやすく、前を向いて受けられるようパスを出していかなければならない。バルサの面々はそれを意識して行うようになり、徐々にプレスをさせずにパスを繋ぎ、左右へ運べるようにもどしていった。序盤は前を向かず下げる、あるいは抑えられていることも多かったアフェライも前を向くようにチャレンジをしていくようになっているし、ドリブルでの仕掛けも積極的になった。試合勘を取り戻しつつあるよう。

後半のベティスは、攻撃面ではよりドリブルで翻弄するよう縦と裏を意識したポジショニングと動きをしてきており、バルセロナが中盤との距離を縮めてディフェンスラインを高く保とうとしている反対側を取りに来ている。踏みとどまってディフェンスラインをコントロールしてオフサイドを取ろうとしていることが悪い影響を与えて、裏を何度も取らせてしまっている。そこに至るまでのドリブルにしても縦のスピードを抑えられず、パスを意識するあまり切り返しにもついて行けなくなり、それがまたパスを活かしていく。何度も右から崩されてしまった結果、ダニエウ・アウベスが全くついて行けずファウルをしてしまい、イエローカード二枚で退場。
その後のバルサは数的不利になりながらも中盤が引いてバランスを取り、投入されたモントーヤが中へ絞りながらきっちりとゴール前を埋め、高い位置ではバイタルエリアに入ろうとする動きを牽制する。どちらかといえば、それまでよりも守備が安定した印象を受けるほど前後と左右のバランスが良くなり、サイドから切り崩されそうになれば、全体が上手くスライドできるようになってニアサイドのマイナスの位置にパスコースを作らず、縦も塞いで仕掛けさせなくなった。ただ奪ってから繋ぐ位置も低くなってしまって、ベティスのアタッカーを増やして行うプレッシングに影響されやすくなってしまって、狭い距離で繋いで逃れられず、上手くかわして縦へ入れてもフォワードにはペドロとメッシのどちらかがいるだけ。カウンターとして得点を狙えるほどのオーバーラップを見せることもなく、ベティスに人数をかけられる状況を与えてしまっている。特にサイドバックが対応するサイドの部分に後ろからオーバーラップをかけられて、数的不利を作られて抜かれたり、その勢いのままドリブルで後手に回らされるとまた踏みとどまるタイミングを掴めず、裏を取られたりする。特にバルサが流れを取り戻そうと前へ重心を傾けたことで顕著に表れるようになり、再び中盤とディフェンスラインの間が空き、サンタ・クルスにバイタルエリアでそらされ、ルベン・カストロの飛び出しを許して、ループシュートで同点に追いつかせてしまった。そして直後にはピケとマスケラーノが無理に前へ出て止めなければならず、失点をして逆転を許した。中盤が引いて止められないのならば、リスクを冒してセンターバックが出なければならないとしても、裏を意識しておかなければならず、両者が出て行ってしまうと、それまで裏を取られ続けた通りに裏を割られてしまうのは簡単に想像できることだった。

バルサはペドロに代えてテージョを入れたこともあって、それまでも数的不利になってから入らなくなってきていた縦パスがより入らなくなって、ベティスの守備を裏へ戻したり引き戻すようなパスを使えず、個人で持ち上がらなければならなくなった。一本のパスで裏を取れるとしても、センターバックにはそれを警戒され、キーパーには飛び出しの準備をされた状態では通ることはなく、ワイドな選択肢も用意できない。サイドバックもバランスを取って後ろに残るばかりで、追い越していかず、縦にスピードアップする場所が無くなっている。外から中へのパスコースも用意できずにバックパスをしてしまうしかなく、意識を前に持っていくような変化を作れない。パスも安定して繋ぐことを意識しすぎて足下ばかりでコントロールしてから動かすタッチの多さも加わっていく。ニアサイドでサポートもなく、得点を取ろうとする意思も感じさせない。試合終了間際になってようやくゴールを狙う強い意識を出して、メッシがドリブルをしてファウルをもらい、惜しいフリーキックを蹴った。ゴールはならずそこで潰えたかに見えたものの、まだ前へ出て同点にしようとチャンスが見えたことで勢いは持続させることができて、モントーヤのクロスからケイタがヘディングで決めて同点。最後の最後になってようやく勝利への意欲が見えた気がした。

Bundesliga 34. Spieltag ケルン対バイエルン・ミュンヘン

2012 年 5 月 6 日 日曜日

■1.FC Koln 1 – 4 FC Bayern Munchen
リーグ最終戦を終えるとDFBポカルとチャンピオンズリーグの決勝が待っているため、ここの所リザーブを中心に先発メンバーを組み立てていたものの、この試合は休養を取っていた選手を中心に先発をさせている。ケルンも自動降格を避け、プレーオフに望みを繋げるために勝ち点が必要な試合。

バイエルンは立ち上がりペースを掴めておらず、ペナルティエリア内でプレッシャーを受けながらボールを繋ごうとしたり、自陣深くでキープし繋ごうとして奪われて二次攻撃を許したり、ケルンの縦へ早く入れてくるボールに対しても先に触れず、体勢を整えられているように見えない。攻撃に回ってもポゼッションの形も作り切れていない。特に外で起点を作れるリベリーとロッベンの二人が出場しているにもかかわらず、外に起点を設けることが出来ておらず、そこから中へとボールを動かして行けていない。中央でキープしたときに無理に縦パスを狙わなければならないほど、ペナルティエリア前に集まってしまって、相手を外へ広げるための選手がサイドに残っていない。中やボールサイドに集まってしまって、低い位置からワイドに動かすにはコースを切られていたり、コースがあっても選手がおらず出せない。
立ち上がりすぐはリベリがボールを持ったときにサポートがおらず、縦のコースも中盤の選手に切られ、中へのカットインも中央の選手の早いチェックで潰される場面が見られたものの、徐々に修正されて、コンテントが追い越すことで二列のディフェンダーが足を止めて対応してくるのを防ぎ、中のチェックが来るタイミングを失わせる事にも繋げられた。クロースやミュラーも左へ流れる回数を増やすことで横の動きを加えて、連携できるようになっている。パスの引き出しや縦パスのスピードも徐々に出てきて、リベリーのポジションチェンジから他との距離を縮めて動きによるスペースメイキングでゴールへ迫るコースを作れるようにもなっている。ただ、逆サイドを意識すると、そこにコースがないために大きなフィードで逃れることが出来ず、わざわざ狭いところに出さなければならなくなっており、ラームやコンテントが同サイドで展開しているときのように、もう一列高いポジションを取っていればと思う事も多い。
守備も徐々にマークの距離を縮めて縦を塞ぎ、背後から掴まえ、攻撃陣も戻りながら足を出していくのではなく、引いて相手の前に戻ってからコースを塞いでいくようになったことでファウルにならず奪い、縦への早いパスを選ばせず横へチェックを逃れるためのパスを選択させられるようになった。縦へ動かされないようにしたことで守備に引き戻される距離が縮み、攻撃から守備へとスムーズに移れるようになって、スペースを与えない安定した守りになっている。サイドバックが積極的にオーバーラップしているため、ディフェンスラインが三枚で対応しなければならなくなるものの、ケルンの攻撃がそこまで裏を狙うものではなく、ポドルスキに収めさせるものでもないため、運動量の少ないそこを押さえる事は難しくなく、他も十分に対処できている。また左右へでてウイングを支えながら攻撃と守備を繋いでバランスを取るシュバインシュタイガーが後ろのバランスも見ており、クロースも縦に動きながらきちんと背後のスペースを意識できている。センターバックの前への負担を減らしながらファーストディフェンダーとしても機能している。

先制ゴール前は少し運動量が落ちて攻守の切り替えが遅くなり、裏へ入れられる回数も増え、サポートに戻る意識も減ってきていた。攻撃面でも立ち止まってボールを要求するようになっていて、積極性が減ったように見えていたものの、ゴールが入った場面では、横へボールホルダー以外の選手が動いて、人につくマークをしているケルンのディフェンダーを横へ引っ張り、ポジションをそれぞれが横に動かしながらケルンのゾーンを集め、逆サイドをフリーにすることに成功して十分な準備の後にシュートが打てた。
得点以後は逆サイドを意識したラームのオーバーラップも見られるようになって、反対側を使えて攻撃に横幅が生まれたものの、ケルンは攻撃へでるためにタッチライン際いっぱいに開いて縦の突破を目指すようになってきており、バイエルンが作るブロックの外側ばかりを突いてくるようになった。サイドバックがオーバーラップしている如何に関わらず、マークやチェックがあっても縦へ突破することを狙うケルンに、自陣まで引き戻されるのが目立ってきている。
後半もその傾向は変わらず、コンテントやラームが大きく開いて縦を塞ぐように方針転換をしなければ、タッチライン際を走られてクロスを入れられる部分を防げないのでは、と思わせるほど。中央のブロックがきちんとして跳ね返す自身があるのなら問題ないと思えるものの、ティモシュチュクが再三サイドに引き出されて、シュバインシュタイガーが戻らなければならなくなっている。それに加えて駆け上がられてからクロスを入れられることで戻りながらの守備を強いられて、待ち構えるのではなく自陣ゴールに向かいながら守備をしなければならない。さらにクロスに対してファーサイドを埋めないのは今季のバイエルンがずっと行っていることで、人が足りているとは言い切れない。何としても点を取りたいケルンに対する守り方としては不十分で、ハンドを取られてもおかしくないものやファウルを取られそうなものも多く、PKから追いつかれる危険性も大いにあった。

バイエルンが幸運だったのはそれらでPKを取られなかったと同時に、リベリーの突破からのクロスが、ケルンにとっては複数の選手に当たって不運なオウンゴールになったことで、ゴールへ迫られながらも二点差に出来たこと。この試合のバイエルンの危険なプレイは多く、ゴールライン際まで追い込まれながらも無理に繋ごうとしてクリアをせずに失敗をするなど、自陣ゴール付近ですべきではないプレイが多く見られている。しかしながら、二点目がケルンの集中を切ったのは確かで、三点目はきちんと守備に戻ってこずに広大なスペースを与えてロッベンをフリーにし、楽に決めさせてくれた。
目に見えて運動量や球際に寄せていくスピードの落ちたケルンはバイエルンの攻撃に対してチェックに出て行かず、距離を置いてみているだけで奪う姿勢が見られずリトリートしてしまう。ファーサイドも埋め続けられなくなり、ボールばかりを見てフリーになっている選手を見られず掴まえられなくなった。特にファーサイドとマイナスの動きに対応できず、サイドを切り崩すための飛び出しにもついていかない。戻ってパスを受けようとする選手に対しては、奪ってカウンターを使用としているためか、きっちりと出て行っているものの、でることで出来る裏のスペースをより広げてしまっているだけ。

ケルンの攻撃へ出るスピードも無駄走りへの労力をいとわない動きもなくなり、タッチライン際を縦へ切り崩すことも難しくなっていた。特に動きながらパスを引き出してその勢いのままクロスに持っていける選手がポドルスキしかいなくなっており、そこに頼らなければら無かった。それでもティモシュチュクが散々縦に突破されながらもまだ中へのコースを切ることを優先する守備ポジショニングや対応の悪さも手伝って、そのままクロスを入れて一点は返すことが出来た。左はコンテントもボアテングも意識しているために崩されにくく、アラバも投入されたことでより対応しやすくなった。ティモシュチュクはボランチのサポートを得ながらも前へ張り出してしまって一向に修正せず、結局バドシュトゥバーを投入してボアテングを右に回し、ティモシュチュクを一列あげて修正をしなければならなくなった。
ロッベンも下げてラフィーニャを投入したものの、サイドバックの外側を埋めるための選手起用というわけではなく、それまでのサイドアタッカーと同様にタッチライン際を攻撃に動くための役割であることに変更はなく、守備時にラームの外まで戻り続けているわけではなく、アシストを決めたように深くまで入ってクロスを狙う役割。それでも得点を焦るケルンが中央へとフィードの位置を変えたことも手伝ってタッチライン際を厳しく攻められることは減り、バイエルンの選手交代で行った修正も上手くいき、バイエルンが右から崩されることはなくなった。

ケルンの降格決定が残念だったのは理解できるものの、あの黒煙の上がり方からして何かものを燃やしたのは間違いなく、タイムアップを待たずして試合は打ち切られ、暴動まがいのことも起きた様子で非常に後味の悪い試合の終わり方になってしまった。

Liga Espanola Jornada 37. バルセロナ対エスパニョール

2012 年 5 月 6 日 日曜日

■FC Barcelona 4 – 0 RCD Espanyol
この試合もキーパーはピントが先発しており、国王杯に向けての準備と共にサモラ賞がほぼ確実になっているビクトル・バルデスの状況を守る意図があるのかもしれない。他にはモントーヤやチアゴ・アルカンタラといったところが先発し、怪我を抱えるシャビやアレクシス・サンチェスは出場をしていない。ピケは場所が頭だけに復帰は慎重になっているだけならいいんですが。

試合への入り方はゆっくりとしていて、ポゼッションのコントロールは出来ているものの、ラインを高めに保って中盤が追い回す形を取っているエスパニョールを相手に縦へ勝負をするパスを入れられず、ディフェンスラインを押し下げる事が出来ていない。ペドロが絞ったりチアゴが上がってセンターバックの裏を取ろうと動き、ラインを乱そうとしている。パスの距離も短くエスパニョールのゾーンの中で動かしていることが多く、上手く崩すことに繋がっていなかったものの、徐々に逆サイドへのフィードも意識しながら大きなサイドチェンジでゾーンの外側に出たり、サイドバックの外側を使えるようになって攻撃の幅が広がり、エスパニョールがより中央にブロックをつくって外に出られなくなり、タッチライン際を自由に使えるようになった。そこから中央へとゴールに迫るパスやドリブルが使えるようになって、チャンスを作り、いい流れが出来たところでファウルをもらい、フリーキックからメッシが先制ゴールを決めた。

守備の面でもバルサは安定をしてきて、裏を意識してスピードアップすることの多いヴァイスに中へ入られないようコースを切りながら対応するようになったり、背後から捉えて最初のコントロールの段階で奪えるようになるなどタイトさも増したように見える。ただ攻守の切り替え直後に相手を囲い込めるほどの近い距離を保てていることは少なく、追いかける形になることも多い。コースを読んで遠巻きにマークは出来ていても接触が発生するほどの近さを保てていないことで、若干キープを許してしまっている。ただフォアチェックに関しては出来るようになっていて、ボールを奪うポイントさえ絞れれば体を寄せて奪うこともできているわけで、裏へ直接何度か入れられたことでそれを意識してしまっているのかもしれない。前からの守備であれば特にきっちり体をぶつけていることを考えれば、緩さを与えているのはケイタやブスケツの所とディフェンスラインかもしれない。そうなった緩さから一時的にエスパニョールの攻撃を受けることになっていたものの、彼らの激しい奪い方に関しても簡単には奪われないような持ち方をしてファウルになるよう選択するようになったし、早く離して接触からボールを守るようにもなった。攻守の切り替え最寄りはっきりして前で抑えられるようになったのも、チェックを逃れられるだけボールを動かしているのも、ポジションを取り直せるよう動いているからで、足を止めていないことが守備へと繋がっている。エスパニョールの方がクイックな切り替えとフォアチェックに対応できずに無理にダイレクトで繋ごうとしてミスを増やしたし、裏を取るタイミングと合わずにオフサイドになる回数も増え、そこへボールを出せなくなってきた。

バルサは縦パスを入れてチャレンジすることも出来るようになってプレッシャーの中へと入れることも、足下へもスペースへもきちんと精度のあるパスを出せている。しかし少しばかりコントロールのミスや人が居ないところに出してしまうようなミスも多く、特にクロスやサイドチェンジのフィードに関してはミスも多く、足下やスペースの両面で収まらず、誰もいないところに流れたり、味方の所に届いても意図と違う箇所でコントロールしなければならなかったりと緩さを感じさせるのも多くある。

後半になってからは長い距離のパスに関してもバルサは精度を保てるようになって、ミスによってタッチラインを割ったりボールを失う回数は減り、きちんと意図した場所でコントロールできるようになっているように見える。クロスに関しても人の居ないところまで飛んでしまうのではなく、人の近くに飛び、カットされることはあっても狙い通りという印象を受けるようになった。
流れとしてはバルサがポゼッションして高い位置でボールを動かし続けることは少なく、エスパニョールがフォアチェックによって高い位置で奪おうと追いかけて距離を縮めて足を出してくる。その影響を受けてバルサは全体を下げて守り、サイドバックの裏へのフィードを警戒して、オフサイドを取るのではなくマークして対応することを選んでいる。そのことも影響をして攻撃に移ったときにフォワードが足りず収まらなくなってしまい、繋ぎのパスが狙われていることもあって、それまでのように信頼してオーバーラップを大きくかけてもいない。ゴール前でセンターバックの背後を取ろうとする選手がいなくなって、サイドに動かしてもそこから裏へ出すことが出来ずに限られ、メッシも引いた位置からドリブルをすることはあってもゴールに近いところで動き出せず、動いてもパスが出ない状況になってしまった。ケイタとブスケツの低いラインで横に動かすことも多く、エスパニョールの守備が成果を挙げているとも言えるが、攻守両面でのバルサの緩さがそれを助けているだけのように見える。

メッシが浮かせて抜きにかかったところをボールがペナルティエリア内で相手の手にあってPK。故意に当てようとしていないとはいえ、体から離れてボールの進行方向に出ているため仕方のない部分はあるのかもしれない。個人的には厳しすぎる判定だとは思う。

二点差にして余裕を得たバルサと勢いを失ったエスパニョール、そのどちらもが働いてバルサがポゼッションを安定しておこない、エスパニョールのミスが増えたところで奪って深くまで押し込まれる場面が減り、バルサはゴールに迫ったりセンターバックとその裏を取れるようなポジションや動きをするようになり、カウンターからメッシが背後を取って一気にスピードアップし、ハットトリックとなるゴールを決めた。ロングボールをコントロールする一つのタッチで勝負を決めた凄いゴールだった。
その直前にはバルサのディフェンスラインの裏を取られ、それをキーパーがカバーすることはバルサにとっては多くあるものの、それをピントも意識したのかもしれないが、タイミングとスピードは無理があって奪いきれず、ゴールを無人にして失点の危機を迎えていたものの、マスケラーノのお陰で失点には至らず。

さらに厳しすぎるジャッジでブスケツだったことを考えると取るべきではなかったPKだとはいえ、メッシがこの日4点目のゴールを決めてリーグ通算50点目。ただブスケツが倒れたのはシミュレーションというほどのことではなく、足と足が接触していたのは事実で、ディフェンダーの足も上がっていたのも事実。接触して倒れたもののファウルを取るほどではなかった、というだけ。

残りの時間の中でメッシが抜け出したもののゴールは決まらず、それ以外の流れの中での激しさや細かなファウル。観客席の雰囲気とは別にイエローカードを出される枚数やプレイも増えた。エスパニョールの一部の選手たちは諦めずに追いかけ回し、バルサはミスをしてカウンターを受けることも無理に後方で繋ごうとしている影響もあってあった。

Liga Espanola Jornada 20. バルセロナ対マラガ

2012 年 5 月 3 日 木曜日

■FC Barcelona 4 – 1 Malaga CF
マラガはラインを高く設定していながらもフォアチェックを積極的に行っているわけではなく、中盤はリトリートをしてバルサにボールを持たせてくれる。ボールホルダーへのチェックは行っているものの組織的なものではなく、それによってパスコースを限定した上で、積極的ではないバルサのポジションの取り方を掴まえておく。追い回すのではなく掴まえることを意識したものでありながらも、そこに読みが強く入ってくる。無理に近づきすぎず、運動量を消費しないことで、奪ったときにバルサの攻守の切り替えに捕まらないポイントを用意しておき、そこへ逃れられるようにしている。バルサのモチベーションの低さからミスが多くタッチが大きくなりやすいことがマラガのその守り方を容易にし、ボールを奪ってから繋ぐ助けにもなっている。
バルサはいつもアレクシス・サンチェスがディフェンスラインを引っ張って裏へ飛び出して押し下げようとする動きをこの試合ではペドロが多くやっていてパスも出ている。その外側をダニエウ・アウベスがオーバーラップをしてその飛び出しを利用するパスもあり、高いラインを設定しているマラガを相手に苦しみながらも裏を意識した攻撃で形を作っている。左側のクエンカにしても開き続けるだけではなく、アドリアーノの上がるスペースを空けるなど十分に横の動きがあり、ラインの背後を取ろうとする意識が見られる。特に右からの崩しが多く、エリゼウの裏を突いている。そしてコーナーキックからイニエスタが相手の裏を取り、プジョルへのクロスから先制ゴールが生まれた。
得点以後も飛び出しだけではなく、タッチライン際やサイドバックの横でボールを受けて縦に突破を狙うことも多くなっていく。それを相手に意識させるようになると、ウイングに向かってサイドバックが常に引っ張られ、センターバックのデミケリスはメッシに引っ張られている。中盤のポゼッションがしっかりしてくるとそれに対してチェイシングができなくなっていき、セスクやイニエスタがバイタルエリアに入り込んで縦パスを受けられるようになっていく。それを意識させることで中盤を押し下げてさらにポゼッションを安定させていき、マラガの守備を縦にコンパクトにさせることで、奪われてもバルサが攻守の切り替えからチェックに向かって奪い、ミスを誘ってもう一度攻撃に繋げられるようになった。

バルサはペナルティエリア横を多く使われてしまってボールをなかなか前へ出せなかった。繋ぐことに強く意識を置きすぎて、単純なクリアを使わずに全体を下げてカバーリングを行っていた。その影響から大きく蹴り出したカウンターも使えず、マラガに押し上げる時間と繋ぐ先へのマークを与えてしまっていた。バルサが右サイドに重心をかけていることもあってカウンターを使われるのも同サイドになり、カバーリングを行わなければならない。人数はかかるが狭い地域で繋がなければならず、パスコースを読まれて奪われやすくもなる。そうやってサイドでキープされて人数をかけられ、マラガの右サイドのクロスから中央ロンドンに合わされ同点ゴールを決められてしまった。キーパーのピントに展開力や足下のコントロール技術とサポートを必要としないそれらが十分にあれば、そこまで引いたりサポートをする必要がないのかもしれないものの、キーパーを含めた構築が出来ないこと一因なのかもしれない。あるいは裏への飛び出しを強く意識させられることでバルサのセンターバックが大きく引いているのもそういった形を許した要因なのかもしれない。

イニエスタのスピードに乗ったドリブルからヘスス・ガメスがペナルティエリア内でファウルをしてPK、それをメッシが決めて再び勝ち越しゴールにした。ファウルの判断としてはイニエスタのドリブルがスピードに乗った時点で止めることが難しく、一歩前に出て向かっていかなければならないところを待ってしまった。そしてイニエスタのファウルをもらえるボールコントロールと体の動きに、付き合って足を出してしまったことでファウルになってしまった。判断の遅れがペナルティエリア付近でのファウルになってエリアの内側だと判断されてしまった。

後半のバルサは少し一つを飛ばすようなパスを使うようになって細かく繋いでいくだけではなくなった。逆サイドまで中央を経由せずにサイドチェンジの大きなパスを使ったり、フィードで斜めに出す、あるいは引いて受けに来るウイングに合わせてダニエウ・アウベスが飛び出して、前後の連携から飛び出すときに一人飛ばして繋ぐ、そういった少し大きな展開を使うようになった。それを連続できているわけではないものの、パスコース一つに対しては密着して体をぶつけてくる相手に、素直にそこへパスを出すのではなく、マークを受けていない別の所を使えるようにはなっている。そうやって相手との距離がある状態でボールを受けて縦へと狙いを取れるように動けている。一つ視線を動かしてから反対側を使う。コーナーキックから反対側のアドリアーノへと渡して、そこからもう一度逆サイドで抜け出しているメッシへとフィードを入れてPK。コントロールこそ弾んでしまったものの、ドゥダの倒し方はファウルでしかなく、PKを取られても仕方のないものだった。

バルサが裏へ走らなければならない守備をさせられているのは、相手の足を止め切れていないため、攻守の霧かも出来て奪い返すことも出来ているものの、距離を縮めて縦へ上がる勢いを止めているわけではなく、カウンターへ移行するスピードを与えてしまっている。距離の取り方が前を向けるもので、ドリブルを開始できるものになっている。きちんと体をぶつけて縦のコースをふさげているわけではなく、横への動きも防げているわけでもない。距離取り方が曖昧で横へもスライドされてしまっている。そこを止められるようセンターバックの前をケイタを始めイニエスタやセスクがきっちりと埋めていればバイタルエリアを閉じて挟み込めていけるが、それがいないためフリーで前を動かれてしまう。センターバックはロンドンを、交代してからはファン・ニステルローイらを中心にマークしておかなければならず、前へ張り出していけないこともあってバイタルエリアを使われて裏へのパスを出されたり、ゴール前へ迫られてシュートに移ることもされてしまう。

メッシがカウンターから裏へ抜け出し、イニエスタの絶妙なスルーパスからフリーになった。この試合センターバックとポジションをかぶせて裏を取る意識を持っていたそのまま継続してきたメッシの動きが活きた瞬間で、飛び出したキーパーのカメニをかわしてハットトリックとなるゴールを決めた。

4点目を取って以降はバルセロナは裏への飛び出しを控えて、セスクやイニエスタがメッシを追い越していく場面は見られなくなっていき、特にセンターバック前のフォワードの位置に選手が入る回数は減っている。中央に人が居ないことで攻撃のスタイルが単調になって、攻めて裏を取ることに繋げられず、外を切り崩してクロスに移っても選択肢が無く、ファーサイドまで流れなければさわれる選手を置いていない。ケイタが上がるようになって中央にも選択肢が出来ているものの、シンプルなクロスが増えている。動いてスペースを作ったりパスコースを作る動きも少なく、試合を終えるための動きが多くなって、マラガの方にも縦への突破の意識や横へのスライドするドリブルの意識も減り、バルサが無理に上がらなくなったこともあってバイタルエリアが空いていない。サイドを縦に切り崩されず、きちんと受け止められるポジションを取ったこともあって、マラガにも得点のチャンスは減り、どちらにとっても試合が終わる流れになってきた。

Liga Espanola Jornada 36. ラージョ・バジェカーノ対バルセロナ

2012 年 4 月 30 日 月曜日

■Rayo Vallecano 0 – 7 FC Barcelona
グァルディオラ監督が今季限りの退任を発表をして初めての試合。国王杯こそタイトルの可能性が残っているものの、チャンピオンズリーグは敗退が決まり、リーガもタイトルの可能性がほぼ無くなっていて、モチベーションを何処に求めるかが難しいかもしれない。若手の育成と割り切ってしまうわけではなく、中盤の構成が変化し、右サイドバックにモントーヤが出場しているくらいでしかない。

バルサは立ち上がりからボールを動かすことに苦労をしていて、キーパーのピントにボールを触らせる回数が増えてしまっている。プレッシャーに負けてボールを下げながら縦に動かしたり相手を押し下げていくパスを入れることが出来ておらず、動き直して引き出す選手も多くない。マークに付かれている状況を打開するような動きも足りず、パスコースを見つけられず下げてしまう。キーパーへのサポートが行えるよう大きく戻ってパスを引き出したりはきちんと行っているため、一度ミスから危険な場面を作ってしまったものの、停滞してキーパーにまでチェックを受ける場面は少ない。
徐々にバルサがボールを動かせるようになったのはラージョが緩いディフェンスをするチームではなく、動き、プレッシャーを与えるチームだからこそ。引いて守りを固められて待ちかまえられる形を取られていれば、自ら動いて変化をつけなければ崩していけないものの、相手が動くことでスペースが新しく生まれ、そこにはいることでパスコースにしてしまえる。マークは常に付いて見られていて、ウイングを広げていてもブロックから距離が離れていない。ラージョはウイングにまでマークを付けることなく中へとブロックを構築してディフェンスラインを高く保っている。バルサはそういったチェイシングやブロック構築の外側に起点を作ることでボールを納め、横に動かしながらポゼッションをして相手を押し下げていく。ラージョはマークを厳しくしながらラインも高く保とうとしつづけたため、外から中へと動かしたときに中央にだぶつきやすく、ファーサイドにまでケアができず、先制点の時にはペドロをフリーにした。直前に倒れた選手がいてボールサイドに人が足りなかったためにそちらにスライドしてしまったことも影響をしているのかもしれないものの、踏みとどまろうとしていることで裏にスペースがあり、横に動かされてしまうと戻りながらの対応を強いられてしまう。流れの中でもディフェンスラインを高く設定しているにもかかわらず、メッシのようにバイタルエリアでプレッシャーをかけられていないとドリブルに入られてスピードアップされてしまう。そこで足を止めて対応できるわけではなく、リトリートしなければならず、ラインが高いこともあってドリブルと同時に裏を狙われると両方を下がりながら見なければならず、ファウルで止めなければならなくなる。特にアレクシス・サンチェスは再三にわたってラージョの裏へ飛び出そうと動いていることでマークに付いている相手を動かしラインを乱し、バイタルエリアでのプレイを助けている。ペドロもラインと戦いつつ開き続けるのではなく中に入ってサイドバックの上がるスペースを空けている。バイタルエリアで縦パスを上蹴る選手は少ないが、ケイタにしろチアゴにしろ上がって入ろうとする動き自体はあり、得点によってスコア面でも余裕を得たことでそれがスムーズになった。二点目をオウンゴールによって得たことも加わってサイドバックのオーバーラップや飛び出し、そして中盤の構築や高いポジショニングにも繋がっていく。押し上げが出てくるとウイングが外から中へ、中から外へと動いて連動していくことでラージョのブロックを狭めた上で外を使えるようになっていく。ポジションが高くなると、今度はバルサはフォアチェックを行って攻守の切り替えをスムーズにしてプレッシャーをかけられるようになる。相手のミスを誘いながら攻撃的に守れるようになった。
三点目はメッシが外から中へとカットインしながら自身のコースは切られながらもファーサイドのケイタのポジションを見てスルーパス。綺麗に通してゴールをアシストした。この前半はメッシにボールを集める傾向が強く、リードを奪った後は特に滅私の動きに合わせてパスをし、ペナルティエリア内ではメッシに点を取らせるために場所を常に意識しながらプレイをしているように見える。
後半開始直後もメッシの動きを意識したクロスだったものの、それをゴールへ決められずバーへ当ててしまってその跳ね返りをペドロが押し込んで四点目。ラージョは守備においてディフェンスラインを中央に絞って外を空けるやり方を変えてきておらず、中盤のサイドアタッカーをサイドバックの外にまで引き戻して外を埋めるやり方もしていない。サイドバックを外へ張り出して全体をスライドさせる守り方もしていないため、タッチライン際に大きなスペースがあり、そこを使えてしまう。早めに出されるフィードに関しては裏への意識もカバーリングももてるために積極的に出てくるが、押し込まれてクロスの危険性が増してからの方がより外へ出てこられなくなっている。その要因としてバルサのウイングが中へと絞ってゴールへ向かう飛び出しを強く意識していることも、ケイタやチアゴのオーバーラップでゴールへ迫る選手が増えているため、ゴール前を塞がなければならないと意識したためかもしれない。ウイングが中へと絞っていてもバルサはサイドバックをその外側へ上がらせることが出来るため、中へ絞っても外が減らず、オーバーラップをする勢いをそのまま利用できるため、3バックを採用したときのように足を止めて停滞した状態で横に広がっているのではなく、縦の勢いや変化を持ったまま横も使える、という状態にしている。特にウイングがボールを納めたときに外を駆け上がることでマークを引きつけ、カットインのスペースを作り、相手を引き戻したり、縦に切り崩すことも出来る。ウイングが外に残ればケイタがフォワードの位置に入り、3バックで崩れていたバランスを一気に修正できた感がある。

ラージョは多少ラフになりながらも持ち直してチェイシングとマークを厳しく修正して、抜かれても切り替えて追いかけて背後から掴んでスピードアップをさせず、追いかけることでラインが踏みとどまれるようにする。それまではウイングをフリーにしていたディフェンスラインもサイドバックのみを大きく広げてウイングへのマークに付かせて自由に納めさせて縦への突破を許さないようにする。薄くなった中央は中盤が下がって対応をして、バルサに対して自由を限定していった結果攻撃に移る機会が増えて、カウンターからシュートへ移ることも出来た。

大量リードのお陰で楽な状況でアフェライを復帰させることが出来たのは好材料。ピッチコンディションもいいとは言えず、滑りやすい中無理のかかる環境では新たに怪我をする可能性もあるわけで、スコア面で余裕を持たせられているのはぎりぎりのプレイを要求せずに済む。アフェライはウイングではなく中盤の中央に入っている。チアゴがアンカーに入る形ではなく、ケイタが後ろに残る形。アフェライは被災ぶりの実践ということもあってか、動きに鋭さが無く、体が重たいように見えるほどクイックさが無い。ボールを引き出そうとスペースのあるところにポジションを取ることはあっても、積極的に前を向いて仕掛けられるような持ち方をするのではなく、すぐに横や後ろにはたいてしまおうとしており、前を向いてドリブルで突っかけて相手を引きつけようともしていない。ダニエウ・アウベスが上がった後のバランスを取ろうとしているのかケイタと同列になっていることも多い。徐々にこぼれ球が来るところであったり、パスを呼び込めるポジションを取るようになって流れに絡んでいけるようになって、試合の中で勘を取り戻してきているようで、仕掛けることも出来るようになっていった。

メッシへボールを集めようとすることでゴールを決める役割よりも一つ前で彼が触ることが多くなって、マークの目がメッシに向いたところを別の選手が使うことに繋がっていて、5点目の時はチアゴがヘディングで決め、6点目はコーナーキックのこぼれ球をメッシがペドロへのアシストを決めて追加点になった。メッシにはマークが付いて常に見られていることでシュートへ持ち込むことは難しくなっているが、それだけ囮になったりアシストをするような役割を担いやすくなっている。そして最後にはアフェライとペドロで相手の注意を引きつけて、強引にメッシの得点に繋げた。