■FC Basel 1893 1 – 0 FC Bayern Munchen
バイエルンはボランチのところで上手く構築を出来る選手がおらず、クロースも一列下げて起用できるほど前の層が厚いわけでもない。アラバは積極的に高い位置を取ってクロースやリベリーとの距離を縮めて前線と分離しない距離は保てているものの、バーゼルが低く保っている中盤に自ら入って、戻したり構築し直す選択肢から外れてしまっている。バーゼルはラインを高く上げず、中盤を押し下げ、バイタルエリアをきっちりと閉じて守っている。左右へ動かされてもゾーンの修正をきっちりと行いつつも、幅を狭めては守らない。バイエルンがロッベンやリベリーに頼って試合を作らなければならない以上、タッチライン際に開いて縦を塞がなければならない。そこを自由にさせるつもりはないようで、両サイドバックがきっちりと開いて対応に出て、中盤の外側がそれをサポートをする。あるいはサイドバックをカバーリングに回す。きちんと足を止めて前向きに対応しようと組織作っていることが仇となっているようで、何度か裏を取られてキーパーの働きに助けられなければならなかった。
バーゼルの攻撃が外から中へとクロスを入れつつ起点を作るもので、バイエルンのバイタルエリアにアレクサンダー・フライとシュトレラーの二人のフォワードがセンターバックを背負いながら収め、裏を取る。バイエルンはボランチの二枚がそのどちらかでも掴まえていられればバドシュトゥバーかボアテングがカバーリングに専念できるものの、それをさせてもらえず、無理につかなければならず、サイドバックのどちらかを絞らせて対応することも多い。サイドバックが引き出された裏を取られてしまうと、外に引き出されて中に人がおらず、サポートもなく守らなければならない場面も見られた。しかし中央に起点を作ることのみがバーゼルの戦い方ではなく、スピードのある両サイドから縦に切り崩してクロスを入れ、ペナルティエリア内で強いフォワードを中心として勝負をする。そしてクロスを強く意識づけたところでカットインをしてシュートを狙う。そのいずれの形でも決定的な場面を作り、ノイアーに防がれる、あるいはゴールマウスによって防がれ得点には至らなかったものの、バイエルン以上に多彩で、ゴールに迫っている。
バイエルンは後ろから形を作れないことと、深く攻め込まれてしまうとゴール前の動きに対応できないこともあって、フォアチェックに勢いをもたらし、前から相手の攻撃を封じ、奪ってショートカウンターをしようと狙っているものの上手くいっていない。バーゼルにミスや焦りを誘って前へ繋がれる回数は減ったものの、フォアチェックを成功させるためにボランチも含めて前へ向かっていかなければならず背後を意識して守れなくなってしまう。センターアックがボランチの後ろを見なければならず、ただでさえセンターバックと相手フォワードとの関係が悪いにもかかわらず、それでも出て行かなければならない。ポストプレイのため戻るフライとシュトレラーに何処までセンターバックが付き、サイドバックにスイッチするのかも明確ではないまま向かっているため、引き出されている印象が強くなっている。
バイエルンの攻撃はショートカウンターを除けば手詰まりの印象が強く、タッチライン際でリベリーやロッベンに持たせたとしても、きちんと縦のコースを切られ、マークの距離を縮められたことで、前への仕掛けが見られず、横へも動かせずにサイドバックを上がらせなければ相手を引き戻すことも難しい。次第に外と中央のマリオ・ゴメスとの距離は開き、クロースもボールを触れなくなり、アラバのポジションもそれらを補える距離になくなった。支配率はバーゼルよりも高くとも有効な展開が出来ずに持たされているだけでしかなく、単純なクロスやフィードで裏を取ることでしかゴールに迫れず、いくつもの選択肢を考えさせているわけでもなく、体を寄せられてフリーになることもできていない。前を向く余裕であったりスペースを与えてくれることは多いため、個人がドリブルで仕掛けて抜くことでチャンスを作ることはできるものの、チャレンジをする選手は少なく、味方を待つあまり相手の陣形が整ってからしてしまっているため、一人抜いたとしても大きな変化を生めていない。
後半開始後もバイエルンの攻撃は改善されておらず、ディフェンスラインから先にボールを出すのを苦労している。アラバは引き出しに戻って受けているし、一列先のクロースへ渡すこともある。クロースにはマークが付き前を向かせてもらえず、アラバにもゾーンマークがついている。渡せたとしてもそこから先にコースが無く、サイドバックのラームが中へ入っていったり、アラバとリベリーが横にポジションを動かして変化を斜めに、横にと作り、ドリブルのコースも縦だけではなく横へも狙い始めて、ようやくバーゼルの守備を少し焦らせることが出来る程度。外から中へ切れ込むことを中心とするならバーゼルはディフェンスラインを横に広げずに中へ絞って待てばいいわけで、中盤とサイドバックの二枚で外へ張り出していたものをサイドバック一枚に任せて、中のコースへセンターバックと中盤を並べて止める。深くえぐってクロスを入れることも、スピードアップしてバーゼルに自陣ゴールへ向かいながら守備を強いることもなく、アーリークロスやフィードでしかゴールへ近づけないのは変わらない。フリーランニングの動きにしても徹底がなく、パスがカットされるかもしれない、ボールが来ないかもしれないというタイミングで止めてしまい、実際にそこまでボールが届いたとしても止めたり緩めた動きで間に合わず、決定的なチャンスを潰している。
バイエルンはバーゼルのスピードの速いパスにフォアチェックの意識を削られ、徹底を欠いて狙いを絞れなくなった。その分を後ろに残して待ち構えることで必ず入れられる縦パスやフィードを跳ね返すことを中心として、バドシュトゥバーが大きく前へ出ないことで安定をするようになった。しかし止められるようになっても攻撃が改善するわけではなく、ロッベンやリベリーを中心として正当な守備にも過剰なファウルの要求をアピールして、止められるのを覆い隠そうとするばかり。マリオ・ゴメスとリベリー、ロッベンのどちらかが横の距離を縮めてチャンスを作ることは希にあるものの、すぐに大きく開いてその形を継続せずに孤立してしまうため、狙って崩しているとは言い難い。ミュラーが入ってもそのポジショニングは変わらず、流れの中でロッベンが流れてくるとか、ラームがカットインしてこなければチャンスにすることもボールを上手く動かすことも出来ない。片側に選手を集め、数的有利を作ればフリーになる選手は出てくるが、ボールを満足に横にも動かせず、バイエルンのファウルが目立つだけになってしまった。バーゼルにはサイドバックの裏へ簡単にフィードを通され、スピードアップしながらクロスを入れられる。外に簡単に起点を作られ、何度もクロスを入れられる。跳ね返してもクロスへ対応するために引いていてセカンドボールを拾えず、再展開をされて繰り返される。そうなればクロスを入れた選手は中に入り、ペナルティエリアの人数は増加して、全員を掴められなくなる。ただでさえバイエルンはボランチがセンターバックの隙間に入ることをせず、サイドバックが絞ってその代わりとしているためファーサイドが空いてしまう、そこをきちんと突かれてしまっている。失点した場面では、クロスを意識させられた上で中へのカットインを許したことでそれが顕著に表れ、ティモシュチュクが入っていてもバドシュトゥバーが無策に出て行ってしまえば同じことで、外側にフリーの選手を作ってしまった。
バイエルンは最後こそワイドに開きすぎて距離が遠く繋げなかった前線にオリッチを入れて改善し、ゴール正面の人数を増やして強引なクロスにも可能性を増やそうとしたものの、カウンターで一度押し下げられてしまうと上手くタッチライン際で時間を使われてしまい、それを活かすチャンスすらもらえなかった。