■FC Bayern Munchen 1 – 1 (PK Win 3-4)Chelsea FC
バイエルンはアラバ、バドシュトゥバー、ルイス・グスタボの三人を出場停止で欠いているものの、ブンデスリーガを含めてそれらの選手を起用できない試合はあり、その際に組まれていた布陣を使うことが出来ている。チェルシーもテリーを中心として出場停止を多く抱えている。
ボランチに守備を専門とする選手をおけなかったバイエルンだが、立ち上がりからボールを支配してその部分の不安を感じさせていない。チェルシーが積極的にフォアチェックをかけるのではなく、引いてブロックを作ることを優先しているため、ディフェンスラインで試合を構築する必要はなく、ドログバもチェイシングをしてこない。彼の横でボールを引き出して縦に運ぶことが出来ており、よほど相手陣内に入らなければ足を出して奪いにきたり、ついてきて厳しくぶつかろうとすることもない。縦パスや運ぶドリブルに対してもリトリートを優先しているため、バイエルンはペナルティエリアに簡単に近づいていくことが出来る。
クロスやフィードで一気にそこへボールを入れることも出来るし、ボールホルダーを止めていても中の動きを止められずにクロスを入れてゴールに迫ることも出来る。
守勢に回ったときにもバイエルンはクロースとシュバインシュタイガーの二人がきっちりと背後を意識してスペースを広げないようにしていることもあって、ドログバとそれ以外の連携を許していない。センターバックの二人がしっかりとフォワードを捉え、サイドに引っ張られない。カルーらがサイドに流れてボールを納めようとするものに関しても、アラバではなくコンテントだということもあって、後ろに残ってサイドにスペースを作らず納めさせない。それはラームのサイドでも同じ事で、動きが少なく足下へ納めさせようとするパスを先に触ることも出来る。それらがボランチの戻りや横を使われそうな展開の時には中へ絞ってセンターバックの前を埋めることも出来、バイタルエリアに穴を作りにくくなっている。ドログバにはしっかりと体を密着させて自由を与えず前を向かせないことを中心としていて、裏を取られないよう意識しながらもしっかりと体を預けに行く前への守備行っていて、足も出して積極的な守備の姿勢もあり、守り方としてチェルシーと対照的になっている。チェルシーで積極的に当たりにきているのはマリオ・ゴメスのマーカーになっているダビド・ルイスぐらいか。
バイエルンのポゼッションに対してチェルシーもリトリートするだけではなく、ある程度前で奪おうとディフェンスラインに対し、プレッシャーをかけるようになってきているものの、徹底を欠いて脅威になったりミスを誘うものにはなっておらず、バイエルンは横に繋いでそれらを買わし、ボランチに渡して試合を作ることが出来る。そうなるとチェルシーはそれまでと同じようにリトリートしてしまい、バイエルンの縦に持ち上がるスピードを落としきれず、足下のパスで繋がせるだけではなく、動きながらパスをし、繋いでスペースや裏を狙うのを許す。それらの動きも制限できず、足下のパスが連続をすれば捕まえられるものの、引いた理代子の動きを混ぜられることで密着することは出来ず、掴まえきれずにバイタルエリアへボールを入れてチャンスになったり、ファウルを得てフリーキックでゴールに迫ることができる。
徐々にチェルシーは近くにまで距離を縮めて最初のパスに関して守備を行うようになったものの、カウンターを受けないようにであったり、ウイングに入ってスピードアップされないためにというものを厳しく当たって足や体で止めるようになって、ファウルでやることも多い。ただそれだけ前へ向かった守備をする意識が出たということは攻撃にかかったときに前へ向かえるということでもあり、ドログバとカルーやマタといった限られた選択肢だけの攻撃だったものからオーバーラップもある程度含まれるようになった。ドログバを挟み込んでいたセンターバックの関係を崩して前へ対応に出なければならない回数も増え、それによってコンテントやラームが代わりにその役割を担わなければならなくなる。ドログバも前で納めるためだけのものではなく、裏を取れるようディフェンダーと並んでみたり、選手の隙間にポジションを取るようになって、前向きにボールを受けてそのままゴールへ迫ろうとする姿勢が見える。そういった要素を意識するあまり、バイエルンは攻撃時に押し上げきれず、厚みが減って、二次攻撃であったり三次攻撃というような、こぼれ球を拾って攻撃を作り直すことや、攻守の切り替えから奪い返すことも減ってしまった。中盤が開くことによってチェルシーに攻撃するチャンスを与えながらも、バイエルンがペナルティエリア内や近くでボールを受けられる状況に変化はなく、ゴールチャンスも得ているものの、それらを枠に飛ばしきれずに先制点は得られなかった。
後半になると引いて裏を取られないように意識を強めたバイエルンが、相手との距離を広げてしまって手前でボールを納めさせてしまうようになった。足を出したり体をぶつけるには距離が遠く、攻守の切り替えで奪えなくなっていることもあってパスをそこに出されてしまう。密着して動きを制限するのではなく、前に立って待ちかまえるようになってしまう。まだ自由に前を向かせてはいない者の、バイタルエリアでボールに触らせるようになってしまい、それよりも手前ならなおさら先に触られてポストプレイのように落とさせてしまう。
ただチェルシーも攻撃に出られるようになったこともあって、ディフェンダーとアタッカーとの距離が開いてしまって、中盤にスペースが大きくある。カウンターに残しているミュラーやマリオ・ゴメス、他にもリベリーやロッベンを掴まえきれず、対応の遅れがスピードアップからのカウンターに繋がっていく。カウンターになるほどチェルシーが攻勢を強めていることでもあり、守備にかかる時間や戻って埋めなければならないスペースも多い。バイエルンはそれまではペナルティエリア内にマリオ・ゴメス以外にもリベリーやロッベンのどちらかとミュラーを加えたり、数多くの選択肢を持ったままサイドからのカットインやクロス、そしてフィードを入れることが出来ていたが、それによって戻され、守備を意識し、安定した繋ぎを考えるあまり、ペナルティエリア内にマリオ・ゴメスのみが入るだけになって、ピンポイントで合わせなければならなくなっている。そこにチェルシーは守りのポイントを絞ればよく、横や斜めの変化も減ったこともあって、後から入ってくる選手は、待ちかまえたところに入ってくる形になって止められる。シュートコースを得られないまま運ばなければならない。
何度かそれでもゴールに迫っていったことでバイエルンは再びラームを中心としてサイドバックの押し上げとオーバーラップを使い、ワイドさを用意できるようになった。チェルシーもボールを繋いで攻撃に出ようとするようになっているものの、カウンターに出られなくなったからこそ繋ぐようになった印象が強く、それだけ前後に伸びてしまうほどバイエルンが人数をかけて攻撃に出ている。オーバーラップをして、中のカットインも含める。ディフェンスラインからボランチへと繋ぐところにプレッシャーがかからず、ボランチも自由に動いてポジションが上がったことでコンパクトになってセカンドボールを拾って連続して攻撃に繋げられる。ただそれでもチェルシーの守備の集中と人数、ペナルティエリア内のスペースの無さを克服して崩すことには繋げられておらず、引かれているため、裏を取るように前へ動きながらボールを引き出すことが出来ず、展開が止まりがちになってしまう。シュバインシュタイガーとクロースが飛び出したり押し上げることで変化はつけられているものの、ロッベンやリベリーのカットインに関しては、チェルシーに絞らせて中のスペースを潰すことにしかなっていない。縦パスを入れることも、マリオ・ゴメスへのそれはチェルシーの両センターバックが徹底してタイミングを計ってカットを狙いにきているために使いづらく、相手を下げる意味にもなってしまうため、ただでさえ引かれて困っている中で相手を下げさせる効果は必要なく、むしろそれよりは相手を広げようとサイドを使っているように見える。その外へミュラーが右に開いたことでロッベンが中央に移って自由に動かせるようになり、ミュラーは右で縦の突破を含めた勢いを出せるようになった。中央でのパスのずれを生む要因になっていた部分が減り、クロスに対してゴールに飛び込む形に参加できるようになり、マリオ・ゴメス以外の選択肢をペナルティエリア内に作ることが出来るようになった。それが左からのクロスに合わせられるようになって、先制ゴールになった。
積極的に奪いに行かなければならなくなったチェルシーはそれまでのようにしっかりと待って形を作ってからボールを奪うのではなく、はじめから向かって奪いに足を出したことで一つかわせばチャンスになり、繋ぐことでそれを焦らせることが出来るようになっていた。ただバイエルンは守備に人数をかけて守り抜くためにヴァン・ブイテンを投入して守備を固め、ティモシュチュクを一列前に出してランパードを掴まえるようにした。ただフェルナンド・トーレスにサイドで起点を作られて最初のコーナーキックを取られ、そこからドログバの同点ゴールに繋がった。
後一点を取る必要が出てきたバイエルンは守備を固める布陣にかえてしまったことで、バランスが崩れてしまい、それぞれが守るエリアを決めきれずに守備が横に動かされる時間が増えて、戻りながら体をぶつけなければならなくなった。さらにフェルナンド・トーレスとドログバが中央と右でポジションを動かしながらプレイしていることで両者の動きに注意をしながら捉えなければならず、サイドバックの所でポストプレイされるため、センターバックがサポートしなければならず、中央の枚数が減ってしまう。
延長戦でもその形は変わらず危険な要素は多かったものの、リベリーのドリブルに対してペナルティエリア内でドログバがリベリーの足に接触をしてPK。その勝負を決められる決定的なPKをロッベンが決められず、チェフに止められて勝ち越すには至らなかった。そしてそのファウルの所でリベリーが負傷してオリッチと交代をしなければならなくなった。
バイエルンはマリオ・ゴメスにフィードを当てようとしてそこに収まらず、オリッチになって左側で納めてドリブルで運んでいくことができず、右のロッベンに頼らなければならないことで狙いを絞って守られやすく、彼がワイドに開いてはボールを渡せないため中へ絞ってプレイする時間が長い。そうなるとチェルシーのゾーンの中でボールを受けることに繋がり、囲まれてしまう。それにPK失敗の影響から得点を取りに走ってしまうところも加わって、あとは疲労もあってずれに対応できなくなっている。ティモシュチュクが上がったことでも攻撃の部分にはプラスの影響を与えず、むしろミスが増えて前へより運べなくなっている。オリッチは動いて納めて、縦に仕掛けて、クロスのために中へ入って体を張る。それらをやれていてもあとがついてこない。マリオ・ゴメスは中央で待つだけで引き出していけず、ゴール前の変化としても使えない。オリッチも中へ入ってしまっているため、ロッベンが運んでも逆サイドに選択肢がない。そして無理にシュートを狙ってしまって決定機にすることが出来ない。攻撃のオプションとなる交代選手を持たないバイエルンはそれ以上の変化をつけることが出来ず、消耗したまま試合を進めなければならない。チェルシーのブロックの外側でボールを動かしながら、そのただ中に入っていかなければならない。足下のボールかも取りながら受けるほかなく、前へ向かすスピードを維持したりスピードアップするような変化をつけられない。ロッベンのドリブルも個人に頼るだけで単調になってしまってマルダとアシュリー・コールの二枚の対応に阻まれて何も得られない。
チェルシーは急がずフィードを中心として時間を使いながらチャンスをうかがい、両者共に動き無くPK戦へ。
先攻はバイエルン。ラームが決めたもののチェフには読まれ、触られていた。チェルシーの一本目はマタ。そのシュートはノイアーが読んで止め、バイエルンが一本目にしてリードを奪った。二本目はマリオ・ゴメスが決め、ダビド・ルイスも決めた。三本目はまさかのキーパー、ノイアーが蹴り、決め、ランパードも決めた。四本目になってそれまでコースを全て読んできたチェフがオリッチのシュートを止めて同点に。後攻のアシュリー・コールは問題なく決めた。
五本目のシュバインシュタイガーがフェイントを入れたことが裏目に出てコースをチェフに読まれていたことが影響をしてポストに当てて決められなかった。最後のキックをドログバが決めてチェルシーがチャンピオンズリーグ初タイトルを獲得した。バイエルンはこのタイトルも逃して今季は国内のリーグ、カップを含めて全て二位で終えた。