■FC St. Pauli 1 – 8 FC Bayern Munchen
ザンクト・パウリはカウンターを狙っておらず、パスを繋いで構築することを目指していました。そのパスがセンターバックからスムーズに出されればもう少しバイエルンを崩すためのスピードを手に入れられたのかもしれませんが、パススピードも展開もそれほど早くなく、揺さぶる効果も薄く、バイエルンの陣形を崩すほどではありませんでした。縦パスに関してはアサモアが起点となろうとしているようでしたが、ヴァン・ブイテンを中心としてバイエルンは背後から激しく当たり、前を向かせないようにコントロールしていましたから、繋ぐこともままならない様子でした。他の選手もパスを後ろ向きでコントロールしなければならない状況が続いていましたから、プレッシャーを感じたり、実際には受けていなくとも前を向こうとせずに処理しようとしていましたから、より手数をかける結果になっていました。ただ徐々にそれに慣れていったことで、ダイレクトで落とし再展開を狙う、サポートを近い距離で得られるようになっていましたから、勢いを持続させられるようには徐々になっていました。
バイエルンの中盤もザンクト・パウリに積極的に寄せられることで使えず、フィードを中心としなければなりませんでした。セントラル・ミッドフィールダーの二人は前後で挟まれて前を向くためのスペースをもらえませんでしたし、そこへ縦パスが入る以外にパスコースを用意できていませんでしたから、パスのタイミングを見計らって寄せられることで予め近づかれていなくとも、勢いよく寄せられるだけで封じられてしまっていましたから、ウイングへの斜めのフィードを入れ、彼らに頼まなければなりませんでした。ただ一度収めてしまえば相手は踏みとどまって囲もうとはせずに、ディフェンスラインを下げてドリブルするスペースをくれましたし、背後に抜けられないことを意識するあまりリトリートしすぎてマイナスのパスをもゴール前で許してくれていましたから、バイエルンとしては封じられている印象はそれほど受けませんでした。ただバイエルンは中盤からの構成が全くありませんでしたから、攻撃としては単調でしたし、崩せていたわけではありませんでした。
ザンクト・パウリのお粗末なミスがなければもう少し苦しんでいたのかもしれませんが、このキーパーのケスラーは背後を使われ続けながらも前へ出る勇気に乏しく、その後も含めてゴールに張り付くことしか考えていませんでしたから、ディフェンダーにのみ責任を負わせるのは酷な失点でした。
ザンクト・パウリは攻撃に出なければならず、縦パスを入れて繋いで試合を構築することよりもフィードを入れる回数を増やし、裏へ抜けるフォワードにフィードを合わせ、こぼれ球を得ようとする戦い方へ変化していました。ただフォワード一枚のみが裏へ抜けるのみで、こぼれ球を拾うための中盤との距離が遠すぎるために拾えず、単発の攻撃になってしまっていました。しかし多少の効果はあり、それまではバイエルンのディフェンダーが前へ向かって相手を掴まえることで試合をコントロールしていましたが、後ろへ走らされることでコンパクトに保てなくなりましたし、前へ出続けることも出来なくなり、フィードでの点kないいごは、手前でパスを繋ぐことが容易になってきていました。ヴァン・ブイテンもルイス・グスタボも掴まえられていないのに無理に出てきてしまい、簡単に背後を取られる場面が目立つようになり、ウイングが積極的に下がって守備をしなければならなくなっていました。
バイエルンは少しばかり押し込まれたことでカウンターを中心として展開しなければならなくなってしまいましたが、シュバインシュタイガーもマークやプレッシャーをあまり受けなくなり、ボールを触れるようになっていましたし、前も向けるようになっていました。守備に下がったリベリーやロッベンがカウンターに出るスピードと勢いをもたらしてくれるようになっていた効果はしっかりと出ていましたが、それらもそれ以外もドリブルで仕掛けるか、裏へ直線的に飛び出すのみで、誰かが相手を引きつけるための囮になっておらず、スペースを作るための動きをしようとしていませんでしたから、相手の守備を中央に集めてしまい、外側が大きく空いていても誰も開こうとしませんでした。スペースを作り出せていないことで崩せたように見えてもぎりぎりで対応されてしまいましたし、得点に至らなかったのもその盛況を受けていました。
コーナーキックからヴァン・ブイテンが決めて二点目としたことでザンクト・パウリのバランスはさらに崩れ、一方的な試合展開になりつつありました。中盤にこそまだボールを預けるには彼らが動いてプレッシャーを与えてきていましたが、直接裏へフィードをすればスピード勝負で有利にたち続けられましたし、ケアするディフェンダーが少ないことでぎりぎりの処理を強いることが出来ました。相手キーパーはこの時ばかりは飛び出して処理する勇気を持ってプレイしていましたが、守り方としてはぎりぎりでした。
後半はザンクト・パウリが大きなサイドチェンジを利用しつつ、バイエルンのサイドの埋め方が中途半端になっているところを狙って来ていました。前半のように繋ぎすぎず少ない手数で横へ大きく振ることを意識していることで、バイエルンは左右へ動いてもサイドバックの所へ複数を用意することまではできませんでしたから、中央を埋めるべく陣形を整えるだけになってしまっていました。背後へ抜ける動きを同時にされてしまうことでリトリートしてしまい、それまでのように、前で相手を全く掴まえられなくなってしまいました。それが余計に相手の横パスをスムーズにさせてしまい、流れを持っていかれてしまいそうでした。
しかし流れが相手へ移りきる前に、マリオ・ゴメスが裏へ抜けて三点目を挙げ、一気に引き戻しました。相手キーパーは前半は一時的に出来ていた飛び出しを忘れてしまったかのように、飛び出しに全く反応せずにゴールに張り付くばかりでこのゴールを許してしまいました。彼に飛び出す勇気とスムーズさがあれば防げている失点でした。
そして四点目もすぐに入り、勝負は完全に決まってしまいました。
ザンクト・パウリはバイエルンの中盤を掴まえられなくなりましたし、何より運動量が落ちたことでチェックも遅れてしまい、ファウルを取られやすくなりました。そしてバイエルンには前を向く精神的な余裕が出来ていましたから、中途半端なチェックでは効果が無く、ある程度近づかれていても振り向いてプレイできましたからザンクト・パウリの守備は全く機能しなくなっていました。
守備だけに留まらず、ザンクト・パウリはパスミスが非常に多くなり、サイドチェンジや浮き球はタッチラインをわり続け、少しプレッシャーを受ければ逃げる姿勢になってしまい、向かっていかず、パスを出した後に前へ動き直すことで何度も形を作れていましたが、それすらもなくなり、消極的な姿勢がよりボールを奪われやすくして、バイエルンのカウンターが何度も行われるようになりました。ロッベンにすら全くマークがつかずフリーのまま右から中央を自由に使わせていましたし、そこにボールが入って初めてセンターバックが向かうため、マリオ・ゴメスはすぐに裏を取れました。裏へフィードを入れられて背走させられているため前へ出るのが遅れるのは理解できますが、さらに多くの追加点を許す環境はこの時出来上がっていました。
5点目もキーパーのミスでしたが、その少し前にはシュートを打てるまでに彼らはある程度攻められていたわけですし、バイエルンの中盤が緩くなったことである程度繋げてもいました。この試合中何度も流れを得られるようなプレイはあったんですが、その度にバイエルンが得点することによって流れを断ち切ってきたところに自力の差があるのかもしれず、その後はザンクト・パウリが中途半端に得点を狙い、チェイシングをしつつも簡単に諦めてしまう緩さや緩慢さが有り、裏へ抜けられないように、ということのみを考えたディフェンスラインによって、バイエルンにはどのポジションにもスペースがあり、殆どを余裕を持って狙わせてくれましたから、最終的に8点というスコアにまでなってしまいました。
前節には順位が入れ替わっていましたし、今節のこの大勝とハノーファーの敗北によってバイエルンは三位以内が確定しました。二位のレバークーゼンが引き分けたことで、次節の結果によってはチャンピオンズリーグ本戦に直接入れる可能性も得られましたが、それは最終節に興味を繋ぐおまけのようなものでしょう。