‘Football 09/10’ カテゴリーのアーカイブ

UEFA Champions League Quarter final 2ndLeg マンチェスター・ユナイテッド対バイエルン・ミュンヘン

2010 年 4 月 8 日 木曜日

■Manchester United 3 – 2(Agg-Win) FC Bayern Munchen
事前の記者会見でファーガソン監督はルーニーを出場させないことを前提としていたにも関わらずスターティングメンバーには彼の名前があり、驚異的な回復によって出場できたのか、あるいは嘘だったのか。どちらにせよルーニーの先発出場が試合を大きく動かす要素になったことだけは確かで、バイエルンは出場を想定していなかったのか彼を掴まえていられなかった。

バイエルンは第一戦でも勢いを持ったプレッシングによってマンチェスター・ユナイテッドの勢いを削ごうとし、それをしていましたが、この試合のユナイテッドにとってはあまり効果がありませんでした。プレッシングに寄ってセンターバックからキーパーにまで戻させることが出来ているんですが、ファン・デル・サールは足下の技術がありそれを苦にしないため効果を実感できることはなく、第一戦とは違いユナイテッドのディフェンスラインの位置が高く、プレスをかけやすい位置にあるものの、キーパーまでの距離が遠く、そこまで向かえないのもある。後方に戻させても、タッチライン際まできっちりと開いてワイドに展開されてしまい、簡単に外でボールを受けさせてしまっています。
横に広く動かされることで、前は奪いに行こうとプレッシングをしているものの、サイドバックの裏側を利用されないためにディフェンスラインは押し上げられない。連動できずに中盤とセンターバックの間にスペースが出来てしまい、フォワードを抑える対応も裏へ抜けられないようなポジショニングでした。それがスペースを大きく広げる結果になり、ルーニーのポストプレイを容易にしてしまった。
一点目はそういった形からされてしまい、ヴァン・ブイテンは距離を広げすぎたために受けに戻ったルーニーに間に合わず、ただ吊り出された格好になってしまった。裏にはスペースが出来てしまい、ルーニーが動き直すスピードにヴァン・ブイテンでは間に合いそうになく、デミケリスはそちらにも気を遣う必要があり、得点を決めたギブソンに当たりに行けなかった。

ナニが挙げた二点目も今度もまたルーニーが縦パスを簡単に受けたところから始まっており、ヴァン・ブイテンは再び間に合わなかった。周囲にバイエルンの選手は誰もおらず、サイドへの大きな展開を許し、バドシュトゥバーの外側を利用された、彼は対応をするために焦ってしまって先に動きすぎ、バレンシアに逆に落ち着きを与えてフェイントや数多くの選択肢を提供した。奪いに行くのかコースを切るのかはっきりしておらず、中の守備はタイミングが掴めず、ボールを見るだけしかできず、相手を掴まえられませんでした。シャルケとの大一番の影響が残っているのかと思うほど低調なスタートでした。

バイエルンがまったくセンターバックの前で相手を掴まえられていないのに対して、ユナイテッドはバイエルンのボールを収めるパスをきっちりと掴まえておくようになっている。二点を取り押し込んでいることもあって、ミュラーを抑えて前へ繋がせないようにさせ、リベリーやロッベンに対しても掴まえて後方から激しくマークをし、足下へ多く出されるパスを止めてしまう。ファン・ボメルやシュバインシュタイガーといったパスを出す側に対してはあまり密着していなかったもののそこには緩く囲むことで多くボールが収まらず、ディフェンスラインから直接パスが出てくる所はきっちりと掴まえていました。

二点を連続して入れられたことで、バイエルンのチェックに勢いが失われ、キーパーにまで戻させていたものが出来なくなり、ユナイテッドはラインを押し上げてコンパクトに保つ必要が無く、危険を回避するために守る意識を強く持ち始め一定の以上に上げずに済ますように全体のゾーンを引き下げにかかっていました。
お陰でバイエルンが多少のキープも出来るようになり、リベリーらも徹底したマークを受けることなく受けに戻れ、ボールを受け、前を向けるようになっていきました。ボールを受けられたとしてもパスミスが非常に多く、サイドに展開しても、パスコースがない。ユナイテッドがワイドに開いてウイングの二人を警戒する守備体系をとっているためにサイドを利用するスペースが足りず、タッチライン際ぎりぎりへ出さなければならない。同点山田得点が動いていない状況ならそれでも合うのかもしれませんが、噛み合わずラインを割る回数が多く、守備の改善もなかなかできませんでした。センターバックの前を利用されすぎて、ケアのためにサイドバックが押し上げられず、バドシュトゥバーはミスを連続してボールロストもする。裏も使われてデミケリスへの負担を増大させてしまっていたり、攻撃に出ようとして奪われセンターバックがサイドのケアをしなければならない。

状況が少し変わってきたのは、ルーニーが状態を悪化させてしまい一時的に走れずボールを受けられなくなってからでしょう。弱点として存在して利用されてしまっていた部分を利用する選手が居なくなり、ユナイテッドは後方から押し上げる手段を失い、バイエルンが徐々に圧縮してペナルティエリア前に押し込んでいくようになる。それはユナイテッドが守備を固めるためで、シュバインシュタイガーやファン・ボメルとの距離が開き、ボールを触れているから。二人が持ち、ウイングが受けに戻り、マークから離れる。縦の連動が少し出来るようになったのもあるんですが、ロッベンが徐々にドリブルで中へと動き相手を引きつける動き見せ始め、可能性は少しずつ見えていました。

ですが、残念なことにまたバドシュトゥバーがバレンシアに裏を取られてデミケリスが引き出されてしまう。左サイドバックの対応が悪すぎてセンターバックが犠牲になり、遅れたために簡単にかわされた。左に引き出されたことで全体がスライドして中に入ってしまいファーサイドのナニをフリーにしてしまった。ゴールパフォーマンスは圧巻でしたね。
これで三点差にされてしまったわけで、そのまま前半を終えてしまっていたら勝負は決まっていたかもしれませんが、オリッチがバイエルンがそのまま点らしくてしまうのを踏みとどまらせていました。
得点を決めるまでの唯一あったチャンスがカウンターからミュラー、オリッチと渡ってシュートまでボールコントロール一つという場面だったものだけでしたが、得点を取った場面もシュバインシュタイガーからミュラーへのフィード、それを落としてオリッチが踏ん張りながら難しい角度のシュートを決め、後一点でアウェーゴール差で勝ち上がれる希望を残してくれました。
この得点によってバイエルンは大きく息を吹き返し、序盤の少しの時間にあったような勢いを産み出す役に立ち、それまで全く使えていなかったペナルティエリア横のゾーンにまで進出することを許してもらえるようになり、オリッチとリベリーがそこを利用できた。そしてその縦を意識させることで、ロッベンがドリブルで相手を押し下げながら中へ向かえるようになった。それまでは踏みとどまって対応させてしまっていたのが、戻りながらの対応をさせることができるようになり、ドリブラーに主導権が移っていました。

後半になるとユナイテッドは自分たちの形を保って戦うスタイルを忘れたのか、守りを固めるあまりにルーニーに効果的なボールの受け方をさせなくなっていました。それまではセンターバックの前で戻りながら受けることで相手を引き出せていましたし、自由に収めることが出来ていた。それを裏へボールを出して抜け出させようとするなどバイエルンのセンターバックにとっては楽な対応へと変化したことで、苦労することなくマイボールへと出来るようになっていました。

ボールを多く保持できるようになったバイエルンは、相手が引いて守ることで出来たハーフウェーラインより前のスペースでボールを横に動かしながら全体を左右に揺さぶり始めていました。ウイングに縦を利用されないように幅広く守っていたゾーンを左右に揺さぶることで崩し、タッチライン際を縦に利用しやすくして、相手を中央に集めてしまえるようになった。バイエルンの横に動かすパスはサイドバックとセントラル・ミッドフィールダーを利用しながら横に幅広く動かされるために、引いて守るうちはカット出来る位置になく、横へスライドするドリブルでさらに中央に集められ縦へ意識を薄れさせられていく。そこへ裏へ一本のパスを出してしまって受けさせたり、足下で受ける一方だったパスにスペースへのものが増えて緩急をつけた展開をバイエルンが出来るようになった。

ラファエルが二枚目のカードで退場したことで、より鮮明に守り抜こうとするユナイテッドと一点を取るために攻めるバイエルンの構図が出来上がっていました。
ファン・ボメルは何度も戻ってくるパスを受け直すだけの拠点として存在し続け、何度も受け直すことでもプレッシャーを殆ど受けることなく、縦パスの選択を出来るようになっていました。どんどんと横に揺さぶってウイングを利用する。それらに脅威を感じるほどの選手が居るお陰で、きっちりと揺さぶれてくれる。散々揺さぶって中央にスペースが出来るまで待ち、そして縦パスを収めるためにマリオ・ゴメスが体を張ることが出来、その周りをオリッチやリベリーが動くことで、キープする時間は必要無く、ダイレクトで落としてワンタッチの展開も出来るようになっていく。

そうやって押し込んでいくうちに、コーナーキックやクロスを数多く入れられるようになり、いくつかは左右に揺さぶられてもコースを切られていましたが、それでも多くのクロスを入れる格好は、中央にいる高さと人数を意識させるには十分でした。ゴール前に集中する高さに意識を取られているうちにロッベンをフリーにしてしまった。コーナーキックからダイレクトボレーで最高のゴールを決めたロッベンと、そこにきっちりとボールを入れたリベリーのプレイが全てとはいえ、そのお膳立てをしたのは、それ以前からし続けていたクロスと中の高さかもしれません。

これでアウェーゴール差でバイエルンの勝ち上がりの状況になり、マンチェスター・ユナイテッドは攻めなければならなくなった。それでも横に揺さぶられたことと焦りから、縦パスを受けるリベリーとの距離が遠くなってしまい、ボールを受ける際にぶつかっていられず、ボールを受けてからぶつかるしか無くなっている。何とか奪って攻撃にしたいと後方で待ち構えているだけだった状態から出てきましたが、それでも選手との距離感が悪いままで掴まえられなく、受けて振り向いたり、展開するだけの余裕を与えてもらっていましたし、サイドを広く使うために寄せきれさせなかった。

バイエルンは前半のルーニーへの対応こそ出来ていませんでしたが、この点差になってからは、きっちりと受ける相手に最初から付き、受ける瞬間に当たれるようになっていいました。フィードに対してもセンターバックがギャップを作りづらいようにファン・ボメルが対応できるようになっているし、センターバックが対応すればケアに戻り、バランスも取れていた。
得点を決めるまでの多くの時間でユナイテッドを左右に動かし続けたお陰で縦へのスピードを彼らは出すことが困難になっているようでしたし、バイエルンは対戦相手のように下がってカウンターしか狙わなくなるのではなく、それまでのように左右へとボールを動かしながら、相手の奪いたがっている意識を削って消耗させ、焦らせながら徹底的に無理をせずに時間を稼ぐ。一人少なくなっているユナイテッドには酷な状況で、目立ったチャンスを得ることは出来ず、そのまま試合終了までバイエルンが一定の流れを保持したままで終われました。

UEFA Champions League Quarter final 2ndLeg バルセロナ対アーセナル

2010 年 4 月 7 日 水曜日

■FC Barcelona 4 – 1 Arsenal
バルセロナは第一戦のカードによってセンターバック二枚ともを欠くことになり、マルケスとガブリエル・ミリートが先発、左のサイドバックもアビダルがリーガ・エスパニョーラ同様に復帰しディフェンスラインの三枚を代えて挑むことになっていました。アーセナルも怪我人などから第一戦には出場していなかったいくつかの選手が先発。

メンバーは両者共に変化せざるを得ませんでしたが、アーセナルの試合への入り方は第一戦と同様にセンターバックに対してプレッシングを行わず、中盤へのプレッシャーを中心としてボールを奪うもので、それによってバルサは同様に楽に試合へ入ることが出来ていました。
守備のスイッチは明確に中盤の選手の所にあり、シャビやセルヒオ・ブスケツがディフェンスラインにまでボールを受けに戻ればディアビーやナスリがセンターバックと同列にまで追いかけていくものの、すぐ横でガブリエル・ミリートやマルケスが持っても明確にチェックには来ない。この切り替えの徹底が、センターバックからパスをコントロールすることの多いバルサにとっては非常にやりやすくさせてくれた要因でしょう。お陰でセンターバックの両名が持ち上がってボヤンへの縦パスを利用することが出来、密集している中盤を省略した展開をする手助けにもなっていました。特に序盤は第一戦で受ける動きに対してついて行ってしまったが為に失点したことを意識しているのか、ボヤンのポストプレイに対して厳しく当たられることなく、得意とは言えないプレイスタイルを自由にさせてもらえたのはその後の展開にもプレスでした。

バルサはそれとは対照的にフォワードがきちんとボールを追いかけ、アーセナルのディフェンダー、特にテクニックに優れているとは言えないシルベストルとヴェルマーレンへきっちりと圧力をかけて正確なパスを繋がせず、パスコースを限定させていました。それによってマルケスやガブリエル・ミリートが縦パスのカットを狙いやすく、セルヒオ・ブスケツも同様に相手の前にはいってカットを狙えるだけの環境をフォワードが作れていましたし、さらに後方のキーパーにまで戻させることで、キックの精度が悪いアルムニアへ蹴らせ、何度もラインを割らせることへ成功していました。

バルサの思い通りに試合が動き始めたことで、支配率を大きく高め、センターバックから左右への展開、あるいは縦に収めるパスの幅広い選択が出来るようになり、アーセナルは選手を掴まえてスペースを空けるのを避けるために密着したマークもしていなかった。そのために選手との距離が遠く、寄せてくるよりも早くボールを動かすことが出来、寄せられてもその間に交わせるだけの体勢を整えることができていました。

ただ先制点を奪ったのはアーセナルで、クイックリスタートをカットされてカウンター。一度はガブリエル・ミリートが奪ったんですが、それをディアビーのファウルまがいのプレイによって奪われてウォルコットに飛び出され、最後はベントナー。飛び出しに関してはオフサイドではなかったんですが、ガブリエル・ミリートから奪った部分に関してはこの試合のファウルを取っていた笛の基準からすれば笛が吹かれていても不思議ではなかっただけに不満は残りますが、比較的早い段階でメッシがシルベストルとワンツーから見事なシュートを決めて同点としてくれたお陰で、追いかける時間を多く作らなかったバルサに焦りが出ることはありませんでした。

アーセナルは少しずつ修正をしてきて、それまではボヤンへ出されるセンターバックからの縦パス一本に対して自由に扱わせてもらっていたのがしっかりと強く当たられるようになっていきました。それ以外の部分でも選手との距離を縮めて強く当たってくるようになり、ボールを収める役割を担っていたボヤンが容易にプレイできなくなっていました。ペドロに対しても同じように振り向かせないような努力をしつつ強く当たるようになって多少抑えられるようになっていきました。
それ以外の部分にも中盤を抑えたい意識を強く残しながらもセンターバックへも遅まきながら向かうようになっていましたが、それは最初に抑えなかったことから余裕を持って扱われてしまって効果が殆ど現れず、むしろアーセナルの側にプレスに行ったところで奪えない、と意識づけられてしまっているようでもありました。繋がせたくない、フォワードには受けさせたくないとして前へ向かう部分が強くあるんですが、全体をコンパクトに保てておらず、ディフェンスラインと中盤のラインの二つが綺麗に形成されることは殆ど無く、ワイドに使われて中の人数を増やされるために中の人数を増やして対応せざるを得ず、まっすぐに保てていないことも、厚みを失ってしまうこともありました。

そうして得点できたのが二点目で、ビルバオ戦でも見られた形でしたね。足を止めなければならない位置に相手を押し込み飛び出しやすい環境を作り、サイドバックの外側、そして裏側へアビダルが飛び出して利用する。今回はクロスは途中でカットされたものの、厚みを失ってメッシを掴まえられていませんでしたし、こぼれ球を拾えるだけの位置にポジションを取れていなかった。ペドロの反応が驚くべき早さだったことも大きく影響していましたけど。

三点目はヴェルマーレンが過剰にフィードに対応しようと前へ出すぎたのが原因でしょう。こぼれたボールをそのまま裏へ抜けるメッシへと出され、ヴェルマーレンが対応に出て行ったために出来たギャップによってオフサイドを取ることすら出来なかった。デニウソンが追いかけながらの対応をするほか無く、序盤のように自由にさせすぎてもいけませんでしたが、ここまで無理をして自分の手前で処理しようバランスを崩す必要もなかった。このメッシのハットトリックで殆ど試合は決まってしまいました。

後半に入ってからはそれほどバルサが大きく攻撃に出ることはなく、それほど大きな試合の展開は行われなくなりました。アーセナルの守備のスタイルが少し変わり、バルサの中盤を中央で抑えるための動きからサイドへ押し出す守り方をするようになり、360度の選択肢を与えず、180度の選択肢の限定してパスコースを減らしたがっているようでした。その部分では上手く守られてしまい、パスカットをされる回数を増やす結果になっていましたが、試合展開を変えてしまうほどの大きな結果はもたらしませんでした。
バルサは奪われた後の守備の切り替えで、きっちりと相手の一歩目のパスを出させず、可能なら下げさせてキーパーへまで、というのも変わらない。そうやって奪われた直後からのチェックによってどんどんとスタート位置を下げさせてコースを限定させ、パスカットを多く狙い、実際にカットしていく。パスサッカーを抑えるにはセンターバックまで戻させなければならない。必要ならキーパーにまで。それで精度を落とさせて、高い位置で裏を狙わせてはならない。そうやってリーガの多くの対戦相手にもやられていることを実践したかのようでした。ウォルコットも第一戦で見せた得点の形のように裏へ飛び出してボールを受けさせず、第一戦の得点以後のように、ディフェンダーの前でボールを受けさせるようにし、掴まえておける環境を作り、それほどの脅威とならないようにしておけていました。

アーセナルが失敗したフィードへの対応にしても、バルサはセンターバックが処理にいかなければならない場面ではダニエウ・アウベスがきっちりとセンターバックの位置に入り、裏へ抜ける可能性をケアしていていましたし、多くの部分で問題なく守れていましたが、アビダルの負傷によって多少状況は変わっていきつつありました。マクスウェルにはその意識が薄くガブリエル・ミリートとの距離が遠くサポートしあえない。

ボヤンとトゥーレ・ヤヤの交代はさらに状況を変化させるものでした。前の人数を一枚削ったとしてもプレッシングは減ることなく行われている。むしろピボーテが二枚になったことで中央に人数が増え、センターバックが安心してサイドバックの裏をケアするために出て行けるようになった。主にダニエウ・アウベスの側を縦に利用される回数が増えつつありましたから、カバーリングに長けているマルケスがその方向に出られるのは大きく、守備には安定を産み出すことが出来ていたんですが、攻撃には幅が作れなくなってしまった。特にボヤンが潰れながらも縦パスの収め所として機能してくれていたのが、ペドロをサイドに出して守備に戻らせることから高い位置に起点となることが難しく、メッシもボールを受けるために下がってしまうため、左にケイタがいるぐらいの不安定なバランスになってしまっていました。その影響から縦パスを相手に意識させることが出来ず、横パスが増えていき、思い切ったパスカットのための飛び出しを許してしまうようにもなり、何度も奪われてしまう結果になってしまっていました。
あるいはメッシが受けに戻るところへヴェルマーレンがついてくるのは二試合通じて継続されていて、その裏側を利用するのもパターンとしてあったんですが、それを利用できる選手が居なくなったために、せっかく相手がディフェンスラインを崩しても効果的に利用できない。相手の手前でパスを回しているだけで展開の幅を作り切れておらず、ペナルティエリア横などを利用する回数も殆ど無く、無難にリードを守る意識が強く出ているようでした。

フォアチェックに関してもセンターバックに戻させることは出来ているままでしたが、フォワードの枚数が減ったことでキーパーにまで戻させる回数は減っていました。ピボーテまでもを押し上げさせて相手の中盤にプレッシングをして下げさせることは出来ていても、それだけでは横に動かされてかわされてしまうことも多く、パスを封じ切れていない。繋がれて攻撃を受ける回数を増やされてしまいましたし、危険だと思える場面も作られてしまった。それでも最後にもまたメッシが決めてしまったことで、完全に決まってしまいましたね。ケイタが囮となる走りをしていたからこそではありますが、相手がまったくラインを整えられていないのにオフサイドを取りに行き、裏を使えた。裏へ出られたといっても得点を取ることは非常に難しい場面だったわけで、メッシの凄まじさが目立つばかりでした。

Bundesliga 29. Spieltag シャルケ04対バイエルン・ミュンヘン

2010 年 4 月 4 日 日曜日

■FC Schalke 04 1 – 2 FC Bayern Munchen
バイエルン・ミュンヘンはチャンピオンズリーグとほぼ同じメンバーで、この首位決戦に臨んでいます。対戦相手や状況によってはメンバーを落としてチャンピオンズリーグの第二戦に備えたい所でしたが、それを許せない状況ですから仕方が無く、何よりもここの所ブンデスリーガで結果が出ていないために必要な選手起用でした。もし対戦相手が下位に沈んでいる相手であっても、ファン・ハール監督のこれまでの方針を見る限りでは戦力を落として戦えていたかどうか疑問ではありますが。

序盤からシャルケはサイドを強く意識したボール運びをしていて、ウイングの位置をワイドにして中央でボールを受けて逆三角形を作るようにボールを送っていました。非常に幅広く意識して使うことで、バイエルンがマンチェスター・ユナイテッドと対戦したときのようながむしゃらなプレッシングをさせず、通常のプレッシングも機能しづらくさせられてしまっていました。シャルケはその形をいくつか作り出すことでバイエルンのチェックの意識を削り、センターバックが多くボールを持てるようにするだけの時間を稼げていましたし、そこから縦にフィードを使うことで、ワイドに意識させる中盤とは違い、裏を意識させる攻撃も見せて、バイエルンを間延びさせ、よりプレッシングさせないようにして中盤でボールを保持できる環境を作りつつありました。

ただバイエルンはセンターバックをサイドのケアに多く出すようにすることで、シャルケの中心となっているサイドアタックを抑えようとしていました。まずそこに出るパスコースを限定してカットを狙う。カット出来なかったとしても、その裏をセンターバックがケアして詰めてそれ以上の展開を許さない。そうやって縦のコースを削っていくことで徐々に深く入り込まれてのクロスをされることもなくなり、縦の連携もされなくなり、アーリークロスを使わせて跳ね返すことも可能になっていきました。
ただヴァン・ブイテンがファルファンとの接触で負傷して以降はラームの裏側を何度も利用されてしまい、ヴァン・ブイテンが怪我をしていることもあってケアに出られない。ラームがバランスを取って後方のスペースをケアしてパスカットを狙ったり、飛び出されないようにマークに付いておくべきだったんですが、それも出来ておらずピンチを拡大させるばかりで、それはヴァン・ブイテンがデミケリスと交代するまで続き、その後はセンターバックが再びケアに出てこられるようになった関係から修正されていきました。

この試合は多くの時間戦術的な部分よりも気持ちの面が目立った試合で、フィジカルコンタクトも非常に多く、審判の判断が試合を大きく左右するような状態でした。得点も上手く形を作ったからこそ生まれたのではなく、先制点はコーナーキックから大きく戻してアーリークロスをして、そのこぼれ球が幸運にもリベリーの所へこぼれただけで、形としては防がれてもおかしくないものでした。クロスに対してきっちりと体を寄せて競り合って潰れたからこそ、リベリーの場所にこぼれてきた訳ですが、どちらもが主導権を握れていなかった中で幸運なゴールでした。

直後に取った二点目はラフィーニャのミスが主な要因だとはいえ、こちらはいいゴールでした。アルティントップが奪った勢いのままドリブルをしてボルドンの飛び込みを誘い、それによって出来たギャップに飛び出したオリッチへのスルーパスはオンサイド。ヘーヴェデスが残っていたのも、あの位置で奪われてしまえば整えることは難しく、飛び込まずリトリートしてキーパーを含めた守備をすべきでお粗末。

二点を奪われたものの一点を返したことで勢いを取り戻しつつあるシャルケのプレッシングによって、バイエルンは後方で時間を持って動かせずバックパスを利用しながら構築をしていく場面が増えていっていました。ディフェンスラインを押し込まれて上げられないことから前との距離が開き、中盤もサポートのために下がっていく。前との距離が開いてしまいフィードによる展開や長い距離のグラウンダーのパスが増える。精度の高いものをその状態で送るのは難しく、フォワードになんとかして収めてもらわなければならないんですが、ボルドンらの激しいぶつかり方もあって収められず、それをファウルだとアピールしなければならない状態でした。フリーで受けられず競り合わなければならない浮き球か、後ろを向きながら受けて振り向かなければならないパスしか来ていない。この状態でフォワードに仕事を期待するのは酷ですね。

全体が観客の煽り方も含めて激しくなってしまい、ラフなプレイも増えていき、40分にはアルティントップが二枚目のカードで退場。シャルケ側にもカードを出されて然るべきプレイがいくつか見られていたんですが、アルティントップに関しては審判に対して問題のある行動を取った一つ目の場面が心象を悪くしていたのかもしれません。
ともかく一枚少なくなったことでシャルケとしては攻撃的にいきたかったんでしょうが、サイドを多く使えていた序盤から変わり、もう既にサイドの深い位置をドリブルで使うことが出来ず、裏に飛び出す動きをするには下がって守備をしていたために距離が長くなってしまい、飛び出すまでの時間を得られなくなってしまっていた。いくつかチャンスに繋げられていたパターンを封じられてしまい、後方で回すパスにしても勢いを強くし過ぎてぶつけるようなパスになってしまい、コントロールミスが多くありましたし、それによってバイエルンが行っているプレス以上にシャルケの後方の面々は焦ってパスを出そうとして、より自分たちのペースに出来ていませんでした。

後半になってもあまり試合自体に変化はなく、激しさを保ったままでした。バイエルンは左サイドを中心に縦を利用しようとする意識を持っていましたが、シャルケも激しく当たりどんどんとサイドへ押し出していく。中のコースを中心に切りながら縦も切る。それを二枚で行い当たり方も激しく奪いに行くため、リベリーといえども苦労していましたし、なかなかチャンスにすることは難しかった。それでも相手が奪いに追いかけ回すことを利用してボールを回すチャンスを得ることは出来、リベリー、シュバインシュタイガー、コンテントが近い距離でプレイできていれば、頻繁なポジション修正と共にボールを連続して動かして相手も連続して動かす。積極的に攻めるのではなく、ボールを動かして相手に触らせず動かすことは出来ていましたし、苛立たせたり消耗させることも距離が適切ならばできていた。

シャルケはサイドバックの相手の手前で受けることが多くなった影響から縦のコースを切られ、マークに付かれていることが多く、縦よりも横のドリブルをして陣形を崩すことが増えてきた。アーリークロスを選択することも多く、パワープレイのような印象を受けることもあったんですが、後半途中までは緩やかなボールが中心でチャンスにするのは難しく、時間の経過によって鋭くなってきたとしても中の人数が少なく、途中投入される選手たちも、そういったプレイで力を発揮する選手たちではないために殆どのクロスが効果的ではなく、跳ね返されるばかり。深い位置に押し込んでからボールを受けられるようになっても横に動かすばかりで、サイドの裏側を利用する動きもなく、相手に戻りながらの処理をさせるようなクロスも入れられず、縦に勢いも出せない。パワープレイで体を張る選手がいくらか中央にいればバイエルンは脅威に感じたかもしれませんが、シャルケは勢いこそ持っていたものの、それを解決するためのアイデアも戦術もなく、一枚少ない相手に要所を押さえられて攻めあぐねることしかできませんでした。

Liga Espanola Jornadas 30. バルセロナ対アスレチック・ビルバオ

2010 年 4 月 4 日 日曜日

■FC Barcelona 4 – 1 Athletic Bilbao
チャンピオンズリーグを睨んでの選手起用となっていて、多くのポジションで通常とは違う起用が成されていました。本来はイブラヒモビッチにも出場するはずだったんですが、直前の怪我のために欠場することになり、よりその傾向が強く出ていました。反対にアビダルが怪我から復帰し、替えの効かなかったサイドバックの部分へ選択肢が戻ったのは好材料でした。

中盤の構成でシャビがいないことからスタート時はメッシが中央にポジションを取り、ピボーテ二枚の前でキープと構築を行うようにしていました。一人が中央に入ることでマークを引きつける効果もあるために、メッシが持って左右へボールを配給すればスペースへ出せますし、パスを警戒されればドリブルで侵入していける。それを助けていたのはセルヒオ・ブスケツとトゥーレ・ヤヤで、二人が押し込む形を取りつつメッシとの距離を縮めてパスを多く預けられる環境を作る。それによって多くを利用させて序盤の流れを作れていました。ただそれには守勢に回った瞬間にピボーテの裏側にスペースが出来てしまうマイナスの要素も持ち合わせていて、そこへ入られてしまえばセンターバックの対応に頼らなければなりませんでした。いつものピケとプジョルのコンビであればそういった対応もバランスが取れていて問題がないのかもしれませんが、久しぶりの出場となったチグリンスキには難しい対応だったようです。ピボーテの裏に出たボールに対して不用意に奪いにいってボールに触れずかわされ、シュートまで持っていかれてしまっていました。

中央にメッシを置いてコントロールしようとしているために中盤を抑えにかかられていしまい、渋滞ができはじめていました。メッシはボールを受けるためにジェフレンが右から中央へ動いたり引いて受けるタイミングに合わせて相手のマークが動いた場所に入るなど、受けやすいところをそれぞれが作り利用していましたし、受けるための動きをしているそれらと連動してボヤンが得意なサイドバックの裏側へ飛び出しもできていましたし、フォワードの連携は問題ありませんでした。
メッシへのファウルを中心とした止めるための守備をされていたのもありますが、最初は相手のピボーテの前でボールを受けて試合をコントロールしようとしていたものを、そこに掴まえられないように、ピボーテの裏側、ディフェンスラインよりも前にポジションを取り受けようとすることで振り向くスペースを作るようになっていました。相手のピボーテの注意はバルサのピボーテが引きつけておくことでバイタルエリアを空けられていましたし、メッシを掴まえようとセンターバックが積極的に当たりに来ることでギャップも出来ていました。

バルサのプレッシングはマクスウェルが高いポジションにいることで、前からのチェックを怠る選手が少なく、相手にきっちりとボールを下げさせることが出来ていました。ただ前半の途中まではディフェンスラインが低く設定されてしまっているために中盤とのスペースが出来てしまい、距離が長いために下げさせるだけで奪いきるところまで持っていけないのが残念でした。中盤とのスペースにはジョレンテに入り込まれていまい、後方からのボールを安定して収めさせていましたし、ドリブルもされてしまっていた。きっちりとセンターバックが一枚のフォワードを掴まえ切れておらず、少し危険な状態に見えましたが、それは先制点を得た後ですぐに解消されて掴まえていられるようになりましたし、ラインを押し上げておくことも出来るようになり、チェックと連動して精度を落とし収めさせず連続した攻撃が出来るようになっていました。

先制点はマクスウェルの判断力に寄るところが大きく、中の状態によってきっちりとゴール前に詰めてフォワードとしての役割を果たそうとしてくれている。体を張れる位置にいて、引いてボールを受けようとするのではなくラインに入り込んでくれるお陰で、この得点の時には、ビルバオのディフェンスラインをフラットにしてしまう効果があり、厚みの無くなったところへ素早いクロスを入れることが出来た。三点目になった部分でもマクスウェルは中が薄くなってしまいがちな状況でフォワードとしてプレイをしていました。ボヤン一枚であればマイナスに戻る動きをしたときに対応されていたのかもしれませんが、二枚いたことで一点目のイメージを残してフリーにすることが出来ていました。もっとも、ボヤンもマクスウェルの二人共が同じ動きをしてしまっていたので、ビルバオのミスの印象の方が強くあるわけですが。

得点以前はビルバオがバルサのセンターバックにきっちりとプレッシャーをかけて前へボールを出させてくれなかった。アーセナル戦のように余裕を持って前へ送れないことから、すぐに他の選択肢を見つけられるようなパスを送れていませんでしたが、得点以後からはプレッシャーが緩くなり、ビルバオが全体的に下がり中盤のスペースを埋める動きに専念するようになっていたようでした。お陰でゆったりとボールが回せるようになっていましたし、センターバックが持ち上がれるようになって中盤との距離を縮めて、より相手を押し込めるようになっていきました。メッシがそれまでは中盤に近い位置でプレイしなければならなかったものを、フォワードの位置にまで押し上げることが出来たのもそこが大きな役割を果たしていたのでしょう。

二点目は理想的な連続した攻撃で、パスカットをしたプジョルも見事でしたし、抜け出したボヤンも見事でした。そのゴール以前にもプジョルはボヤンの抜け出しにきっちりと合わせたパスを出していましたし、この時もそうでした。

後半になるとトケーロが投入されたことでセンターバックが掴まえておかなければならないフォワードが二人になったことで少しバランスを崩してしまっていました。それまではある程度高く保てていたプジョルが左に流れてくる回数が多いトケーロを見ておかなければならないためにポジションを低く、中へ絞り気味に保つようになってしまっていました。
縦のフィードにもセンターバックが対応してしまうとギャップから裏へ抜け出されてしまう可能性が高くなってしまうのでトゥーレ・ヤヤが対応する回数を増やしていましたが、徹底は出来ておらず、利用されてしまうこともありました。前半にあったように後半もまたチグリンスキが簡単に出過ぎて裏を使われて、ハビ・マルティネスにシュートを打たれてしまった場面は特に軽率なプレイでした。プレッシャーがボールホルダーにかかっておらず、中央を利用しやすい環境が出来ているのに、後方のケアを考えずにボールに向かい、かわされてしまう。ディフェンスラインを整えられず飛び出されたいくつかのプレイに関してはピケの問題も多少あるので大きな問題ではないんですが、この奪いに行く判断に関しては今後の起用を不安視させるものでした。

追加点を二つあげられたものの、ジェフレンが怪我から交代をしたり、得点差から気の緩みが多少出来ていたりと、全力でプレイできていないところにトケーロのプレッシングがセンターバックへとかかるようになり、バルサは余裕を持って動かせていたセンターバックの所で時間を得られなくなり、多少難しく正確性のある繋ぎを出来なくなってしまっていました。その後トゥーレ・ヤヤも怪我をしてしまったためによりその傾向が強くなってしまい、ジョナタンのアンカーのような役割と共に後方の安定は減っていました。
それが失点に繋がってしまうわけで、プジョルとピケの関係があまりにも近すぎたのが原因かもしれません。後方のケアをしておきたいプジョルが上がりきっておらず、マークを引きつけてしまっているところへ、ピケはパスを出してしまってミスに繋がってしまった。その後もピケが十分に右サイドバックとしてスペースを埋められているプジョルのサポートのために右に流れてしまってピンチを招いてしまっていました。中央のアンカーにトゥーレ・ヤヤやセルヒオ・ブスケツのような選手が居るならともかく、そうではなかったためセンターバックが流れてしまうと中央には人数が足りなくなり、相手に入り込まれやすくなってしまう。ビクトル・バルデスが二本目を止めてくれたお陰で浮き足立って連続してピンチを作り続けるような事態にはなりませんでしたが、危険でした。
それも最後にはピケがある程度中央に残るようになったお陰で安定を取り戻せましたから、なんとかなりました。

UEFA Champions League Quarter final 1stLeg アーセナル対バルセロナ

2010 年 4 月 1 日 木曜日

■Arsenal 2 – 2 FC Barcelona
事前情報ではセスク・ファブレガスが出られるかどうか解らない、という話だったんですが、試合開始時にはスターティングメンバーに名前を連ねていました。バルサはイニエスタが怪我によって出られない以外はこれといった変化はないメンバーでした。

試合開始直後からバルサは試合を自分たちのものにしてペースを掴んでいました。アーセナルはプレッシングを素早く仕掛けてきてボールを奪うための方法を使いつつ試合をコントロールしようとしていましたが、バルサはそれよりも早くボールを動かし、球離れを非常に早くしていられるほどのポジション修正を行い、相手を走らせながらコントロールをしていました。センターバックまでバックパスをすることはあっても、それが相手のプレッシング負けて仕方なく下げたものではなく、戦術的なバックパスなのは、センターバックが持った直後には前方にパスコースが出来ており、ダイレクトに近い形で再び中盤へとボールを戻せていることからも解るとおり、どこかのポジションで停滞することが無く、非常に幅広くボールを動かせていました。アーセナルはそういったバルサのボールポゼッションに対してプレッシングを行っていたんですが、無駄に走らされるばかりでボールを奪うことが難しく、継続していくことも難しいものでした。

多くの場合においてバルサの選手たちのボールコントロールには隙が無く、前を向いて受けられるパスを中心として、プレッシャーを背中から受けて窮屈なプレイを選択しなくてもいいようになっていましたし、後ろ向きで受けてもセンターバックにいつでも戻せるために危険を冒す必要がありませんでした。
アーセナルはそれとは違い、バルサのプレッシングによってミスを誘われ、多くのパスミスをしていましたし、パスカットもされていた。圧力を受けているために後ろ向きにボールを受けることが多く、振り向くための時間が必要で、その間に囲まれてしまい、ボールをロストすることも多かった。

序盤の攻撃からメッシは中央に入り、相手の中盤、ソングとディアビーの裏にポジションを多く取るようにしていました。イブラヒモビッチとの関係も近くなりますし、ギャラスやヴェルマーレンの手前で受けて前を向くスペースを得られるポジション。ドリブルも選択できますしパスも出来る。最初のチャンスをドリブルで作り出せたのも、ソングの背後でボールを受けられたからこそで、何度か見られたこの形で常にソングがメッシの背後から体を寄せなければならなかったのも、ここのポジション取りが非常に上手くいっていたからでしょう。

アーセナルはバルサの球離れの早さを掴まえることが出来なくなったことから、勢いを持って仕掛けていたプレッシングが減ってしまい、時間を与えてくれるようになった。アーセナルには守備時に歩いている選手も増えて、選手それぞれを掴まえていられなくなっていました。バルサは意図的にバックパスから全体を間延びさせ、相手を簡単に前後を分離させ、ドリブルのスペースを作ってしまえましたし、距離を縮めれば、中盤がディフェンスラインと近づきすぎ、手前でプレイする選手を抑えられず、どんどんとペナルティエリアに入ってしまう。あるいはサイドから攻めれば片側に寄ってしまって中央と逆サイドにスペースが大きく空き、ディフェンスラインも中盤のラインも形を保てず、ギャップが出来、利用しやすい環境を作り出せていました。
非常に多くのチャンスをそれらの形から作ることに成功して、多くのシュートを放って、前半の15分までに試合を決められるだけの得点機を得ていたんですが、最後の部分、アルムニアの相当な頑張りによって得点を得られませんでした。

アーセナルは猛攻をしのぎ攻撃に移る際には、非常に少ないパターンの中から攻めなければなりませんでした。攻め込まれているが為に前方に残る選手は主にベントナーぐらいなもので、アルシャヒンやナスリもいますが、中央を利用することは難しかった。主にサイドバックとウイングの二人の連携によって縦の連携から展開を選ばなければならないほど、バルサの攻守の切り替えとプレッシングから中央を利用することは難しく、セスク・ファブレガスに頼る部分のあるパスコースを読まれてカットされる回数も非常に多く、チャンスもあまり得られていませんでした。
形としては、ベントナーを裏へ飛び出させたり、フィードをそらせて裏へ、というぐらいで、それもキーパーやプジョルのカバーリングの範囲内で終わっていました。
アーセナルにとって不運だったのは、アルシャヒンとギャラスの怪我によって二つの重要な選手を失ったことと交代枠を使ってしまったことでしょう。

後半開始早々に、それまではオフサイドにかかることの多かったイブラヒモビッチが、ディフェンスラインのギャップを利用して飛び出し先制ゴールを決めた場面は、前半からのいくつかのパターンの継続が実った部分でした。メッシがディフェンスラインと中盤の間にポジションを取って前半の間受け続けたことで、その瞬間も受ける動きをしたことでヴェルマーレンが前に動いてギャップを作ってしまった。他にもペドロが受けに戻る動きをしたことで視線が集中して、イブラヒモビッチを掴まえて置けていませんでした。それらによってできたスペースをイブラヒモビッチが利用した訳で、彼を活かすにはこういったスペースを作る動きが必要だったんですが、見事にそれが出来ていました。

二点も非常に似た形でヴェルマーレンはソングにイブラヒモビッチを掴まえておくように指示を出していましたが、全く掴まえておらず、ヴェルマーレンが不用意に動いた裏側を使われてしまって二点目を決めるきっかけになっていました。メッシが受けようとしているところにマークに行く必要があったとしても、パスの出所に対して全くのプレッシャーがかかっていない環境の中で、裏への動き出しを簡単にさせてしまえば精度の高いボールを送り込むことは難しくなく、珍しくイブラヒモビッチの思った通りの展開が出来ていました。

アーセナルは片側のサイドで展開することが多く、バルサのように最後尾から左右を利用するような展開の幅を作れていませんでした。それによって左右に揺さぶられて運動量を必要とするようなことが無く、バルサは人数を集めて守ることが出来ていました。サイドバックの裏を使われても、センターバックのケアが躊躇なく向かえますし、それをやっても中央の人数の低下が致命的にならなかった。
ただ、それが問題になっていったのは、ウォルコット投入されたから。展開の幅だとか、前方に任ずが足りていないことを無視できるスピードが前方に出来てしまったことで、一気にアーセナルは状況を突き抜けてしまいました。状況関係なくトップスピードの時に裏へ出してしまえば、それだけで抜け出せる環境を作られてしまっていました。最初のプレイで、マクスウェルが軽く追い抜かれて置いて行かれそうになったことで効果的だと全員が認識したでしょうし、二回目にそれを行ったときにもまだプジョルがベントナーを抑える役割を担っていて、マクスウェルのカバーに向かう陣形にはなっていなかった。最初のプレイで利用できることを認識させてしまったのが不味く、あれをされてしまえば前もって動いてスペースを埋めようとしてもラインを崩してしまうことになってギャップができてしまう。となれば他の部分でオフサイドをかいくぐられてしまうため、それにそれができない。
失点以後、この試合でバルサが初めて守勢を中心にしてペナルティエリア内に人数を入れなければならなくなりました。ディフェンスラインを下げなければならなくなり、裏へ飛び出されないように警戒をしなければならなかったんですが、その間に布陣を整えて、ある程度守備の形を構築し直せたのはいい修正でした。

二度連続でマクスウェルの裏を使われたことから、プジョルがケアする形を取り、ウォルコットの抜け出しを抑えるのではなく、彼へのパスカットを狙う形にした。セルヒオ・ブスケツやケイタも近くポジションを取ってスピードを活かせないように環境を整えておくようにもしましたし、裏でボールを持たせるのではなく、ボールを先に持たせてドリブルをさせれば抑える方法はいくらでもあり、それをさせるようにしたり、パスコースを限定してポジションを下げさせマークに付いておく。そういったことをしておくことでウォルコットがタッチライン際から中へポジションを移してくれたお陰で掴まえやすくなって防ぐ目処は立っていました。

ただ、同点に追いつかれるPKの場面では、守備の軽いマクスウェルがウォルコットにまるで寄せ切れておらず、簡単にクロスを許してしまった。プジョルの足に当たって不運な場所にボールが動いたのが最も大きな要因でしたが、中に人数がいることを考えればクロスをもうちょっと遅らせるために詰めておく必要があったかもしれません。

PKの判断は妥当だとは思いますが、次節はプジョルとピケを欠くことになり、アーセナルもセスク・ファブレガスも欠くでしょうし、怪我人が何処まで戻ってくるか解らない。何よりも、バルサは前半の圧倒的な試合内容と、後半にきっちりとアウェーゴールを二つも取り、最高の結果を持って試合を追われるはずの試合運びをしていたのを無駄にしてしまったのが痛いですね。

UEFA Champions League Quarter final 1stLeg バイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・ユナイテッド

2010 年 3 月 31 日 水曜日

■FC Bayern Munchen 2 – 1 Manchester United
ここの所、DFB Pokalでは勝ち上がれたもののブンデスリーガでは二連敗中のバイエルン・ミュンヘンはシュバインシュタイガーが出場停止、ロッベンを怪我で欠く苦しい布陣で、その代役としてプラニッチとアルティントップが出場をしていました。

試合が動いたのはキックオフ直後の最初のプレイでした。フィードに対してこぼれたボールをデミケリスがケア。スピードで負けてファウルにしてしまったのがきっかけでした。失点自体は壁に入ったファン・ボメルがそらしてしまう形になった不運なもので、ルーニーのマークをデミケリスが外してしまっていましたが、あの状態では仕方のないものでした。むしろ、あれにきっちりと反応できたルーニーが素晴らしいだけで、最初のファウルさえなければ誰の責任も問えないものでしょう。

マンチェスター・ユナイテッドはこれによって急がなくてもよくなり、バックパスを利用してキーパーまで戻しつつ、バイエルンが前からがむしゃらに向かってチェイシングをしようとしているのをいなしてしまっていました。あるいはダイレクトで繋ぎ、ボールを先に動かして人をかわしてしまう。守勢でボールを持っている際は逃げのプレイが多いわけですが、守備に回ってしまえば積極的なプレッシングからバイエルンが苦手とする素早いボール回しをさせて時間を持ってキープできない環境を作り、パスコースを増やせないようにしてミスを誘う。サイドバックのみフリーにさせていましたが、そこに明確な攻撃参加のパターンが出来ていませんでしたから、ユナイテッドにとっては大きな問題にはなっていませんでした。

ユナイテッドの攻撃は、サイドを早い段階で使いウイングのナニやパク・チソンを前へ走らせて飛び出させるロングボールが多く、バイエルンはそれに対して、これまでのブンデスリーガらの試合同様にセンターバックがケアに出なければならない状態になっていました。その状態が続けば、薄くなった中を虎視眈々と狙っているルーニーに利用されかねないものでしたが、徐々に修正が出来るようになり、特に左サイドバックのバドシュトゥバーは、ナニが少し中にポジションを動かした時間帯から明確に掴まえておけるようになり、ロングボールを安定して受けさせないようにしましたし、センターバックがケアしに出てくる回数を減らすことも出来るようになっていました。これによってカウンターを中心にして攻めることしかしないユナイテッドの攻撃の大部分は封じることができたようなもので、あとは足の遅いセンターバックの裏へ飛び出されることがあるルーニーへの対処ぐらい。ここへフィードを出すことが唯一の方法のようでルーニーが収めてそのまま自分で向かう、あるいはサイドへ流してファーサイドへとクロスをさせてセンターバックの頭を越える位置にポジションを取る。効率のいい戦い方ではありますが、パターン化したものでした。

守備は改善されてもバイエルンの攻撃は手詰まりで、前で抑えられてしまう。フォワードの位置ではユナイテッドの組織的なチェックによって受けることがままならず、それ以前にパスカットを多くされてしまう。そのため受けるために戻ってくる選手が多く、高い位置に人数を保てず、パスコースも維持できていませんでした。後方へポストプレイで戻されても出し所が無く、再三にわたりヴァン・ブイテンが持ち上がらなければならない状態になってしまって、彼から精度のないクロスが多く入れられる結果になりました。それ以外にもアルティントップやラームにしても、アーリークロスばかりを多用して、深く入り込んでクロスが出来いませんでした。まるで調子が悪かったシーズン当初のような状態になってしまっているようでした。
サイドバックとアタッカーの連携が殆ど無く、ワイドな展開から縦の突破を狙い、そしてクロスを入れる。そういった意識が無く、得点を急いでいるのか、中へ中へとドリブルも切れ込んでしまい、相手のゾーンへと入ってしまう。試合のテンポ同様に急ぎすぎているようでした。このテンポに入り切れていないいくつかの選手はバックパスを多用したり、前へ出せずにうろうろとしてしまう。あるいはマークされてしまったミュラーはボールを触れず試合から消えている。状況は思わしくありませんでした。

状況が改善されたのは前半27分頃にリベリーがギャリー・ネヴィルをかわして深くまで入り込んでクロスを入れられた辺りからでしょうか。それまで速いテンポの中でパスを中心として構築するばかりで、ドリブルを使ったりチャレンジをする場面が殆ど見られなかったのが、それを洗濯する回数が少しずつ増えていっていました。まだ後方から押し上げる形が多いままでしたが、それでもスピードに載ったドリブルをユナイテッドの中盤は奪いに向かわず、踏みとどまらず、一緒に下がってしまい、シュートやラストパスを選択させてくれることで、よりチャレンジしやすい環境を作ってくれたのかもしれません。
ただ、明確に仕掛ける姿勢を出していくには時間が必要で、前半は多くの回数、安全な位置にポジションを取り直しているファン・ボメルへ何度も戻して、パスで組み立て直そうとしているものが多く見られました。

後半最初のチャンスでドリブルを再び止めようとされなかったのは非常に大きく、そこから裏も使えてシュートまで持っていけたのは大きな収穫でした。リベリーはドリブルでサイドを駆け上がる回数が増え、バドシュトゥバーとの連携が出来ないことは仕方が無いとしても、独力で二枚を相手に中のコースを切られても縦へと突破できていけるようになり、相手の注意を左サイドに向けて、中央を固めていたゾーンを緩めてしまえるようになっていました。前半は中央にスペースが無く受けられずカットされるばかりだったミュラーがボールを受けられるだけのスペースが出来ましたし、徐々にボールに触れるようになり、試合の流れの中に顔を出せるようになったのもリベリーが奮闘した効果でしょう。

オリッチを中心としてがむしゃらに追いかけ回すバイエルンに、ユナイテッドはどのポジションでもボールを収めることが難しく、ルーニーを裏へ走らせられなくなっていっていました。前半はキーパーまで戻してしまえばチェイシングを辞めていたものが、後半はそこにも継続して行うことで精神的な余裕を奪えていましたし、前方へのフィードの精度を落とせていた。精度を落とすことが出来れば、ナニはバドシュトゥバーがきっちりと見ていて競り合いでは勝てますし、ルーニーを走らせてもセンターバックの守備範囲の中で収められるようにもなる。特にオリッチのチェイシングは効果的で何度も奪い返していました。

途中からラームがサイドバックより一枚高くポジションを取るようになって、左に偏りがちだった攻撃に右側の選択肢を作るようにしていましたが、オーバーラップのタイミングも縦の連動もない中である程度の動きは出来ていましたが、多くのパスはエヴラにやられてカットされてしまっていたし、ドリブルのチャレンジも出来ないままでした。

中盤にもスペースができはじめていましたが、まだユナイテッドの守備には集中力があり、フォワードはきっちり掴まえられていて背中から当たられるために収めることが困難でした。それはマリオ・ゴメスが投入されても大きな変化を得ることが出来ず、苦しい状態は続いていたんですが、ギャリー・ネヴィルの不用意なハンドによって得たフリーキックからによって同点ゴールを得られて状況はさらにバイエルンに有利なように変化していっていました。

同点になってもユナイテッドにはカウンターしか無く、ルーニーをセンターバックの裏へ走らせるだけ。ウイングにボールを出してもサイドバックが抑えているし、裏へ抜けられてもデミケリスがカバーリングをできる範囲で収めていて、ぶつかるの必要がある場合はヴァン・ブイテンが役割を果たし、それぞれのバイエルンが決めた役割の中でしか攻撃を出来ていませんでした。唯一の可能性はセットプレイだったかもしれませんが、その回数もそれほど得られなかった。

バイエルンが攻めていても、深くサイドを使えないのはそれほど多くの改善が見られず、使えたとしても縦の勢いがなかったり、クロスがあまりにも精度を欠いたものであったり、チャンスとするには遠いものでしたが、ドリブルで仕掛ける姿勢を多く出せるようになってからゴールを脅かすシュートは増えていました。アルティントップもマリオ・ゴメスもオリッチも枠の中に飛ばしていましたが、最後の砦のファン・デル・サールが防ぎ続け、こじ開けられないかと思っていました。
最後の最後でそれをこじ開けたのはオリッチで、試合中ずっと諦めずチェイシングをし続け、驚異的な運動量で追いかけ回してチームを活性化していた彼が、最後にボールを奪い、ゴールを呼び込んでくれました。直前の部分でマリオ・ゴメスがドリブルで仕掛けていたからこそ奪われてもチャンスになったわけで、あれがもしパスで逃げていたものならこんなものは生まれなかったでしょうね。

Liga Espanola Jornadas 29. レアル・マドリー対アトレティコ・マドリー

2010 年 3 月 29 日 月曜日

■Real Madrid 3 – 2 Atletico Madrid
アトレチコはこれまでのように過度に熱く試合に入ってしまい、球際の激しさを前面に出しすぎていなされて失点してしまういつもの形ではなく、集中して要所々々で体をぶつけることはあっても、がむしゃらに発揮しているわけではなく、相手を目の前に捉えて対処するいい入り方でした。問題はシャビ・アロンソやガゴが高い位置を保てるほど、アトレチコの全体が下がってしまい、守りを固める姿勢を見せてしまっていたことでしょう。パスの出し手が高い位置を保てることでクリスチアーノ・ロナウドやイグアインにへのパスを収めやすくさせてしまい、その二人を抑えなければならなくなってしまっており、距離が近いことで裏を狙われる危険もあり、余計にケアをしなければならなくなる。そちらに気を遣うばかりにクリスチアーノ・ロナウドがボールを受けに下がってポストプレイをする際にも誰もマークにつけず自由にさせてしまったり、前を向かせてミドルシュートを打たせたり、ドリブルやパスで組み立てることもさせてしまっていました。イグアインにも同様のことを許してしまっており、試合開始当初のバランスとしては中盤への圧力があまりありませんでした。

アトレチコはアグエロやフォルランにボールを収められず、縦のパスで構築することも難しい状態でした。フォワードの二枚にはセンターバックとピボーテが接近してスペースを与えてもらっておらず、コントロールミスを誘われてしまって、カウンターの起点となることも難しい状態でした。ただそんな中でもスローインから得点することはできてしまうわけで、最後のレジェスはコントロールミスをしながらも綺麗に決めて先制。

状況はアトレチコの先制ゴールによって多少変化して、レアル・マドリーのプレイが単調になってしまっていました。クリスチアーノ・ロナウドはそれまでと同じように下がってボールを受ける頻度を多くしていましたが、好調時であればサイドに流れてボールを引き出し、サイドの高い所に起点を置き、相手を広げる役割になっていたのを中央に集めることにしてしまい、窮屈さを生みだしてしまっていました。サイドからの攻撃はフォワードがサイドに流れないことからサイドバックの上がりに頼らなければならないことが多く、右がセルヒオ・ラモスではなくアルベロアだということもあって、タイミングが遅くフォワードと同列にまで並べず、中央を使わざるを得ない状況になっていました。それらを作り出していたのはシモンやレジェスの積極的な守備によってスペースが消されていたこともありますし、ドリブルに対しての対応をメインにされてしまってボールを持っても仕掛けられなかったのもあります。

アトレチコは守備面でこそいい形を作り出して、シュートの本数は多かったもののディフェンスラインの手前からシュートを打たせることが殆どで、裏に抜け出されたり間に入り込まれる回数は少なかった。目の前でシュートを打たれるだけなら体を張って止められていましたし、中央に寄っていく部分で人数をかけられていた。
それが攻撃面になると、全体が下がり気味のためにカウンターに人数が足りておらず、フォワードの二人は掴まえられがちで収めづらい。ウイングの二人は上下動をしているものの、それぐらいしか明確な参加が期待できず、あとはチアゴがバランスを取ったり、キープ力を発揮してパスを上手く繋ぐぐらいでしょうか。フォルランのボールを受けるための動き直しを利用できるほどの正確な繋ぎも期待できず、アトレチコに得点の匂いはありませんでした。

レアル・マドリーは前半の残りの時間で変化を与えることが出来ず、サイドバックの外側も裏側もあまり利用できていませんでしたが、徐々にアトレチコの守り方の特徴には気が付いてきているようでした。サイドから攻撃を開始したときにサイドバックの処理がドリブルで中に入る動きを警戒したりサイドバックとの連携を気にする守り方をするばかりで、クロスに対して上げさせないために間合いを詰めて体を張ることをせず、あくまで中のコースを切るばかりで簡単にクロスを入れさせてくれる。徐々にその形をレアル・マドリーは作るようになってサイドからのクロスの回数を増やし、中央で苦しいクリアを迫れるようになり、コーナーキックも増えていました。イグアインが決定的な形を作ったように、実際にチャンスにもなりましたし、ペレアが出場してからは、中に入る傾向が強く、クロスを上げられていなかったマルセロの部分にしても、裏を多少狙えるようになりましたし、クロスも出来るようになってきていました。

後半になるとアトレチコはよりラインを下げてしまい、中盤にプレッシャーがかからなくなり、最後尾にかかる負担が増えていってしまっていました。中盤にはスペースが出来、ドリブルで進出されてしまう。始めこそ冷静に受け止められていましたし、遅らせることにも成功していましたが、すぐにドリブルにスピードが出てしまい、戻りながらの処理をさせられるようになり、踏みとどまって処理をすることが出来ずずるずると下がるようになってしまった。プレッシャーもかけられず一緒の速度で下がってしまってスペースをプレゼントしながら後手々々の守り方をするばかり。
そして前半から問題があったコーナーの処理からシャビ・アロンソが決めて同点にされてしまう。

この頃からアトレチコには攻撃に糸口が見えなくなり、フォルランもアグエロもボールを収められず、状況が見えず自分で仕掛ける姿勢もあまり見られませんでした。前でボールが収められないことと、後方からの正確なボールが出てこなかったのも大きかった。下がりすぎて相手の猛攻を受け続け、クリアを外に蹴り出すだけで精一杯になってしまってフォワードの位置へと蹴れなくなってしまって、流れは切れているものの波状攻撃のように連続して攻撃を受け続け、状況の改善が望めなくなってしまっていました。

そういった中でディフェンスライン外側の裏をアルベロアに抜け出されて逆転を許してしまうと、三点目はアトレチコのお得意なパスミスを最後尾でしてしまい、相手に得点を献上して流れを決してしまいました。その後にシャビ・アロンソのハンドからPKを得て一点差に迫りましたが、レアル・マドリーが多少守備時の積極性を失い、囲い込んだり激しいプレッシャーによって前へ運ばせない部分が減りましたが、アトレチコの勢いが復活することはなく、足が止まり始めて試合全体が停滞をしてきていました。

アトレチコにはバルサと戦ったときのような激しさや勢いを期待していたんですが、まるで別のチームであるかのように覇気が無く激しさもありませんでした。日程的な疲労があるのかもしれませんが、アグエロとフォルランのフォワードの動きも物足りなく、仕掛ける姿勢もなく、残念でした。