‘Football 09/10’ カテゴリーのアーカイブ

UEFA Champions League Final バイエルン・ミュンヘン対インテル

2010 年 5 月 23 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 0 – 2 Inter
バイエルン・ミュンヘンは立ち上がりから試合の流れを自ら手放してしまったようでした。浮き足立っているかのように落ち着きが無く、足下のボールコントロールをミスしてしまい、最初にスローインやフリーキックを与えてしまった。それがインテルに落ち着きを与えてしまい、安定した守備とカウンターによってゲームを組み立てさせるきっかけになっていたかのようでした。

バイエルンも最初の攻撃をしのいだ以降は精神的な落ち着きを取り戻していったように見え、ボールをキープして左右に動かすことも可能になっていっていました。ただボールをキープされることはインテルにとって重要なことではなく、カウンターのきっかけを作る上で好都合でした。バルサと対戦したときもそうでしたが、サイドバックがプレッシングのために前に出てくる、あるいはオーバーラップをしてウイングを助けに出てくる、そのスペースを利用してカウンターの一歩目を作る。主にディエゴ・ミリートがその役割を担い、この試合ではラームのポジションを狙っていく。最初のカウンターこそヴァン・ブイテンが上がっていたためにデミケリスがカバーに入り防ぎましたが、本来はここへヴァン・ブイテンがケアに入るようになっていて、ディエゴ・ミリートとのスピードのミスマッチ、あるいは足下のテクニックに対応する細やかな守備ができないミスマッチを利用していました。
デミケリスやヴァン・ブイテンもディエゴ・ミリートへボールを収めさせないように後方から圧力をかけて掴まえておいたり、自分たちの手前でプレイさせてしまおうとしている向きもありましたが、それでもそれに対応するのがセンターバックだけでしなければならない。中盤と挟めていないためにボールを収められてから後手の対応を踏むことが多く、またインテルの出されるパスの距離が長いために中盤が前へ出ても抑えきれない。スナイデルやパンデフと連携した動きに前へ吊り出されて裏を狙われたり、開始数分から常にインテルの術中に嵌ってしまっていました。

守備でもインテルの思惑に乗っかってしまっており、引いて守るラインの手前でボールを動かされるはめになった。非常に適切な距離で中盤とディフェンスラインの間隔を設定しているために、隙間に入り込んで前を向くことが出来ず、ディフェンスラインの裏側もキーパーの守備範囲の中にあることが多い。サイドから中へ切れ込もうとしても守備的な中盤の選手がスイッチをしながら最後までついていける環境にある。ロッベンの対策をしながらも、バイエルンが回すパスの縦へ収めるボールを出させず、延々と横に動かすように仕向けていく。
特にロッベンには厳しいマークをつけて、まずは縦を利用させないようにした。最初に縦への突破を狙われてスピードにやられてしまった。それを教訓として縦を切ること、厳しく当たって振り向かせないようにしておくことを徹底しているようでした。そうやって単独での縦の突破の意識を削っていくことで、速攻から中のクロスを選択する可能性を減らし、インテルが中に人数を溜めておく時間を得ていく。

バイエルンは本来であれば縦パスやポジションを取り直して展開をするはずの中盤、シュバインシュタイガーとファン・ボメルのところで全く前への展開をさせてもらえませんでした。ボールを受ける回数はそれなりに得られていたものの、ボールを受ける際には後ろ向きで受ける回数が多く前を向くにはマークがあり、ボールロストよりも安全にバックパスを選択してしまっていた。サイドバックの二人に出してみたり、センターバックへ戻してみたり、そこから受け直すことをしようとしても横や後方からボールが戻ってくるだけで前を向くためのパスが出てこない。そのどちらのポジションの選手にしてもバイエルンには展開力を持つ選手はいませんし、中盤を飛ばしてフォワードまでボールを運んだり逆サイドへ一足飛びに出せるだけの力もない。ファン・ハールがやりたがっているサッカーと選手の不一致を利用されているようで、流れを生み出せないまま緩やかなプレッシャーにすら抵抗できずにボールをキーパーにまで戻す回数を多くしてしまっていました。

そういった中でロッベンはボールを収めることは出来ていたんですが、タッチライン際にまで開かなければマークを引き剥がしておくことは難しかった。それでも中でボールを収められないことからそこに頼るしか無く、ロッベンへ多くパスを出していかなければなりませんでした。ロッベンが縦の動きから裏を狙っていても、収めてもらわなければ困る、という意識から足下へのパスが多くなり、スピードに乗れずパスで展開しなければならない。サイドから中への展開をするために横パスであり、カットされやすく、縦の選択を得られない。インテルはそこまで散々縦のコースを塞いでいたものから、中へ切れ込むドリブルとパスを警戒するために横のコースを切るようになり、よりサイドへ押し出してパスの起点とすら利用しづらくしていっていました。

インテルが守備で主導権を握る中、先制点が生まれたわけですが、そのための条件はいくつかその中に含まれていました。ジュリオ・セザールからのロングフィードをディエゴ・ミリートがハイボールの競り合いをヴァン・ブイテンとせずにデミケリスとした。相手を抑えきるよりもカバーに能力を発揮するデミケリスに引っ付き競り合い、マークが得意なヴァン・ブイテンにカバーをさせる。その状況を作り、ボールを落としてスナイデルに渡すことでヴァン・ブイテンにチェックとカバーの二つの可能性を強く意識させて動かせなかった。それが簡単に裏へ抜けさせる要因となり、もう一つの弱点であるセンターバックのスピードの無さを利用して裏へ抜け出しての得点になっていました。

その後もバイエルンはインテルに主導権を握られて横パスを繰り返すことが多く、縦パスを入れられる回数は非常に少なく、逆サイドを意識したパスも多く出せていなかった。ロッベンがチームのためにパスを出すのではなく、縦の動きをするように意識を戻せてきていましたが、それにはラームが右のスペースをオーバーラップしてサポートすることが必須条件で、それがマークのズレと飛び込ませず寄せられない環境を作り、縦のスピードを使えるようにしていました。それが上手くいくようになれば、縦の意識を持った相手にそれをフェイクとして横に動いてシュートも狙えるようになっていましたが、どれも苦し紛れの要素が強く相手を引き剥がしたものではなく、他の選手も同じくミートすらしないシュートを打たされているばかりでした。
そしてラームが上がってしまえばそこにスペースが出来、またディエゴ・ミリートが引き出すきっかけを与えてしまう。ブットが試合を引き締めてくれていなければ、もっと多くの失点をしていたかもしれませんし、早い段階で試合が決まっていたかもしれません。

ロッベンはいくつかの時間帯でポジションを動かしていたものの基本的にはマークが緩くボールが受けられる右へ定着していました。ただラームが上がってサポートこそしてくれるものの、常にその環境を作るにはリスクが高く、単独で勝負をしなければならない場面も少なからずありました。しかしながら右から動くのは二枚で中のコースを抑え込まれる要素を自分で作ってしまうようなもので、ドリブルのコースもパスのコースも得られなかった。バックパスをしてラームとの連携を図っている間にインテルがラインをコントロールして陣形を整えて縦パスのコースを消してしまう。
後半はバックパスで戻された後の展開として左右に動かして逆サイドまで中盤を経由して展開するようになっていましたが、位置が低くインテルの守備のゾーンを動かしてしまえず、フォワードにチェイシングから疲労を増やしていけるかもしれない、という程度。守備陣形に乱れを生むようなものではなく縦を利用できるコースも作れていない。この試合で唯一縦を利用できていたのはアルティントップぐらいでしょうか。マイコンの対応も慎重で飛び込まなかっただけに半身だけでも先に進むことが出来てクロスやシュートを選択できていた。しかし反応する選手を中に入れられておらず、バイエルンのチャンスにするには難しい状態でした。

そのアルティントップを下げてしまったことでより一層縦の利用が難しくはなりましたが、クローゼを投入したことでサイドバックが深くまで入り込まなくとも、アーリークロスを選択できるようになり、縦パスを多く入れなければチャンスにならなかった環境からの脱却を図れるようになっていました。早めに入れられるクロスであってもクローゼの動き出しとポイントを絞った動きに合わせることが出来れば相手を脅かすことは出来ていた。インテルもそれに脅威を感じなければならず、ルシオとサムエルの屈強な二人が待ち構えていたとしても戻りながらの対応は難しく、可能性は高まっていました。そのアーリークロスの選択が、ロッベンがドリブルで仕掛けるしかなかった環境でも選択肢となり、キヴはドリブルを警戒してロッベンにスペースを与えてクロスのタイミングでのシュートを許してくれた。そのまま継続できていれば、クロスからの得点が見られていたのかもしれませんが、すぐに交代によってサネッティが左サイドバックに入ったことでそれも期待できなくなってしまってしまいました。

それでもまだチャンスをそこから作る可能性はあったんですが、作れたチャンスの直後にカウンターを受けてしまい、ディエゴ・ミリートとエトーの二人しかいない中で得点を許してしまった。カウンターとはいえ、上がるスピードを上げていかなかったインテルに合わせてバイエルンは戻るスピードを落としてしまっていたのかもしれません。サイドバックや中盤のケアが遅く、ヴァン・ブイテンの中途半端な対応もデミケリスのどっちつかずなポジションを生むきっかけになり、あっさりと抜き去られた後のサポートは出来なかった。

この失点の後にバイエルンはマリオ・ゴメスを投入して高さをさらに追加したんですが、チームのスタイルとしてそれを利用していこうと変化を促すことは出来ていませんでした。二点差になったことから大事にボールを扱って一点を確実に取りたい意識が強く、クロスやパスを通すことよりも失わないことの方が優先されて判断がチャンスになっても一つ遅れていた。インテルがボールを奪うチャンスを多く得られる手助けをして、クロスを上げる距離が近くなってしまい、相手の体に当ててしまう回数の増加にも繋がった。そしてバイエルンも高いボールで空中戦を仕掛ければいいものを、低いクロスを出してしまい体に当ててしまったり、グラウンダーのパスで繋ごうとしてしまう。せっかくアーリークロスを狙える環境が出来上がり、それを利用できる環境を整えつつあったのに、無駄に左右に動かして崩れない守備を崩そうとしてみたり、無理矢理縦を利用しようとしてカットされる。深くまで入ってからクロスを狙いすぎて間合いを詰められる。ヴァン・ブイテンが前に残っている時間でもそれを出来ず、ファーサイドにすらボールを出せないのではチャンスを作りようがありませんでした。

もし後半開始早々あった大きなチャンスをバイエルンが決めていれば試合の行方は解らなくなっていたかもしれませんが、ブットが試合を引き締めているようにインテルのジュリオ・セザールも好セーブから試合を引き締めていましたし、インテルの守備の集中力と全体の完成度には大きな差がありましたから、同点に持ち込めていてもその後に差が出ていたかもしれませんね。

Liga Espanola Jornadas 38. バルセロナ対バジャドリー

2010 年 5 月 17 日 月曜日

■FC Barcelona 4 – 0 Valladolid
シャビやイニエスタを欠いて試合に臨まなければならず、組み立てに関しては不安を感じる中盤構成でスタートせざるを得ませんでした。セルヒオ・ブスケツがアンカーを務め、ケイタとトゥーレ・ヤヤが一枚前に近い役割を担う。守備時にはそれらがフラットになるほど下がってしまうことも試合開始当初は見られ、前後の分離のようにも見えましたし、それぞれがボールを持ち上がって前線へと顔を出しても、使われる側のプレイをするためにラストパスを出せる存在がおらず、カットされてカウンターを受けてしまう、という場面も見られました。

そういった上手く攻撃を終われていない中で、早々に大きなミスがあったのは全体の流れを考えれば大きなマイナスになるところでした。ピケから出されたバックパスをビクトル・バルデスがコントロールミスから大きな失点の危機を迎えたものの、プジョルのお陰で失点には至らなかった。シュートコースに入った奇跡的なブロックがもしなければ、相当なプレッシャーを抱えた中で組み立てを改善していかなければならず、最低でも二点が必要という状況に焦りを募らせて、拙攻からカウンターを何度も喰らう結果になっていたかもしれません。

最初のピンチ以後もカウンターから裏へ抜けられて不安定なプレイを強いられてしまう回数もそれなりにありましたし、攻撃もまだ上手くいっていませんでした。左側はケイタが左に流れて納める動きは上手くいっていましたし、アビダルのオーバーラップを含めて三枚で左の主導権を握れる状態にあるものの、中央で受けるべき選手がおらず、メッシが下がって受けようとしても中央でセンターバックを引きつけておくべき選手を失ってしまうため、パスカットを狙われやすい環境になってしまう。そのことからサイドから中央への展開が選択できず、左からそのまま窮屈なプレイを強いられていました。
右サイドも順調であるとは言えず、ダニエウ・アウベスが中に入って縦に動くことが多く、その分ペドロが開いて起点になろうとしているものの、パスだけではなくランニングでも横の動きが少なく、縦の展開をダニエウ・アウベスが急いでしまう。中央の上がりを待つ時間も得られないままに縦パスを選択してしまっていることから、バジャドリーの守備にカットされやすく、それがカウンターを生んで上がった右サイドのスペースを突かれてしまう原因になっていました。
サイドに流れながらバジャドリーは前のジエゴ・コスタがボールを納めておくことで流れを持ったまま攻撃へと移ることが出来ていました。あるいはマヌーショがフィードに対応して収める。そのどちらにしてもバルサが動いた後のスペースを利用しているために、二人はバルサのセンターバックが対応に来る手前でボールを受けられていましたし、アンカーに挟み込まれることなくボールを収め、それからバルサのチェックを受ける。後手を踏むバルサにとってはファウルを貰われることを嫌ってか強く当たらないためにスピードを殺せていませんでした。もっとも、それによって流れを切らなかったことが、バジャドリーがセットプレイを繰り返して自分たちの流れに引き込もうとしているのを邪魔し、その後の展開を助ける結果になっていました。

徐々に中盤のポジションは修正をされていき、左に張ってサイドで窮屈にプレイしていたケイタが中央へと流れる回数を増やし、サイドから中へ展開するポイントとなったり、後方のケアのために下がり気味だったトゥーレ・ヤヤがトップ下のように高く上がることでフィジカルを活かした収め所にもなった。二人共が中央に入ることで強烈なミドルシュートを打てましたし、それが流れを変えるきっかけにもなっていました。
特に右サイドのダニエウ・アウベスが縦に急ぎすぎている状態から中へ収める先を見つけたことと、自身が突っ込んでいくスペースを失ったことでいったん預けて再展開の動きを狙うようになりましたし、それを利用してメッシやペドロも動けるようになったのは全体にとって大きなプラスでした。それまでメッシの周囲にサポートを得られず、ボールを受ける瞬間に素早いプレスを受けて前を向くことすらままならなかった状況の改善に大きく役立っていましたし、それがドリブルからシュートまで持っていく流れを作り、縦の展開を急ぎすぎず自分たちのリズムで行えるようになり、縦の突破をフェイントに使い、横の展開で揺さぶれるようになっていった。シャビがいる時のように中央を経由しながら何度も相手を動かして隙間を見つけるようなことはできませんが、中央からサイドへ、そしてファーサイドまで大きな展開を高い位置で送り込む、大きな一つの動きで相手の振れ幅を大きくしていました。

先制点はオウンゴールによるもので、得点の匂いのする状況ではない部分で得点を取れたのは非常に幸運なものでしたが、流れの改善を見る限りではそれが無くてもそのうち得点は取れていたでしょう。それでも先制点を得たことでバルサは落ち着きと活気を得たのは間違いなく、より左右のバランスと縦へ急ぐ意識の改善がされていきました。横への意識の増加はポジションの修正や選手の距離感を保つ役割を果たし、パスの選択肢の多さからパススピードが早くなり、判断も速くなった。判断が速くなれば、寄せられるよりも早く展開が出来るようになり、主導権を守備に取られなくなる。
二点目はメッシのキープ力とドリブルがあってこそでしたが、トゥーレ・ヤヤが中央の高い位置のスペースに入り込み、それ以前にはダニエウ・アウベスとの関係も良くなっていた。それらで相手を引きつける効果が得られたからこそ。だからこそあのドリブルが出来、そしてメッシに注目が集まったからこそのペドロのゴールでした。

攻撃の改善は守備にも効果をもたらしていて、バジャドリーにカウンターに移るきっかけを失わせていました。それまではジエゴ・コスタがボールをセンターバックの手前で受けて再展開をすることでスピードアップを図っていたのが、セルヒオ・ブスケツが上手く挟み込む形を取り、彼の手前でパスカットを狙えるようになった。ファウルをしないように慎重に後方から抑え込む必要が無く、サイドに押しながらずるずると下がっていく必要がない。ただ後半になるとアンカーが掴まえておけなくなり、バジャドリーが再びその部分、ジエゴ・コスタにボールを収められるようになって展開するきっかけを得るようになっていましたが、その頃にはバルサが相手を押し込み、縦を急いでパスカットされてからのカウンターではなく、シュートで終わっていたり、スローインやゴールキックなどプレイを切った後の切り替えであるためにバジャドリーが後方から押し上げる勢いを出せず、問題のないものになっていました。

前半の終了間際にはバルサのセンターバックがボールを持った後の展開に、中盤がやサイドバックがマークに付かれていても動き直してボールを引き出そうとしなかったり、足を止めて待つ場面が多く見られていましたが、後半はそういったものがありませんでした。バジャドリーがプレッシングを強めてもそれらからパスコースを作るために各ポジションが動いていましたし、パスを出すのに困るような場面は見られませんでした。
三点目を得た後にはバジャドリーが攻勢に出るために一枚ミッドフィールダーを増やした事もあって、中盤が圧縮されてファルが増えたりばたつく場面がいくつかありましたが、それでも前半終了間際のように集中を切らして足を止めてしまうようなことはなく、ボールを引き出すための動き直しと奪われないための動き直しは集中して続けられていて、四点目を決めたことが最も重要でした。

その後も全体に油断はなく見え、ビクトル・バルデスも試合開始のミスを払拭するようなセーブを見せましたし、ジエゴ・コスタに対するボールに対してもセンターバックに下がったトゥーレ・ヤヤがパスカットを狙って前で押さえるように対応の変化をして成功していましたし、試合終了の笛が吹かれるまで優勝に相応しい試合運びでした。

Liga Espanola Jornadas 37. セビリア対バルセロナ

2010 年 5 月 9 日 日曜日

■Sevilla 2 – 3 FC Barcelona
試合開始当初のセビリアのマークはタイトでセンターバックのプジョルにこそ時間とボールを持たせていましたが、それ以外の選手には安定してボールを扱わせないだけの距離で相手を掴まえていました。特にパスを選択させないようにコースを切ることと収め先になるフォワードには明確に抑え込む意識ぴったりとついておく。受けに戻る動きにも対応するため全体をコンパクトに保っており、それがバルサのアンカーにすらボールを受けさせない守備を可能にしていました。

ただパスを中心とした攻撃に対応するための守り方で、パスを素早く動かせずゾーンを崩させない意図を含んでいましたが、その分ドリブルに対応するにはボールの出し手に対するプレッシャーとコースの切り方が甘く、パスをフェイントに使われてしまえば寄せていけなかった。それがマクスウェルの得意なドリブルでの中への切り込みをさせてしまい、フリーのまま誰が対応をすることもなくボールを出させてしまった。もちろn右からのサイドチェンジがその以前にあったからこそゾーンが崩れていたんですが、それでもパスだけを警戒していなければあれだけの余裕を与えることはなかったはず。

一度ドリブルで崩されたことからパスに対応する守備を主にしていたセビリアは、ドリブルに対しても対応をしなければならなくなり、それを必要以上に気にし始めてパスでの展開を抑えられていた厳しく当たれていた守備の距離を広げてしまい、一歩で掴まえてパスを出させない守備が出来ていたのが、シャビに前を向けるだけのスペースを与えてしまい、ウイングにもボールを受けてすぐ戻す選択肢しか与えていなかったものが、それ以外の可能性を選択できる余裕を与えてしまっていました。ドリブルの対応も縦のコースこそ切れているものの、横のコースを切れていないためにそれほど明確に抑えられていませんでしたし、余計にパスコースを作るだけになってしまった。
ケイタのフリーランニングによって縦に引っ張られるようにもなりましたし、ワイドに開いたボヤンへのサイドチェンジをも通してしまうようになった。ドリブルだけではなくそういった大きな展開を許してしまうようにもなったことから、細かく横に動かすパスにもセビリアは後手を踏むようになり、ゾーンを左右に動かされるようにもなった。バルサは横に動かしながらもきっちりと裏を狙う姿勢を持っていましたから、横の動きに対して前に出て潰そうとすれば裏に出られてしまうために前へ出られず、相手を後方に押し留めておけるようになり、それまでカウンターでサイドバックの裏側を利用されていた部分をも防いでしまえるようになった。

セビリアはフォワードのカヌーテやルイス・ファビアーノが収めてディエゴ・カペルを多く走らせて、攻撃に再三出てくるダニエウ・アウベスの裏側を利用しようとしていました。圧倒的なスピードで駆け上がるためにダニエウ・アウベスが後追いの環境で戻っても簡単には追いつけないためにピケが大きくサイドへケアをしに出てこなければならない。しかし中央には優秀なストライカーを二人置いてしまっているためにケアに流れることでスペースが出来てしまい、対応に難しさがった。それに加えてピケの対応がスピードの問題から予測に基づいているために早めに動きすぎてスペースを相手に用意してしまっている部分があった。それを押し込んで危険を感じなくなるほど封じられるようになったのは非常にいいことでした。

セビリアは左右に揺さぶられることとサイドに起点を作られてしまうことから、特にゾコラがサイドへ引き出されて中盤中央に誰もいないエリアを作り出す回数が増えてしまった。ゾコラはkびいしくめっしにマークをしにいく回数が多かったんですが、自分の本来いるべきエリアを外れてもマークをスイッチせずに自分でついて行ってしまっていた。それがセンターバック前のスペースを作るきっかけになり、シャビが多くは入れるようになっていましたし、シャビに注意をしてしまえばメッシがそこはいる回数を増やしてしまい、そして高い位置から裏へのパスが出せるようになる。
二点目は正に右へ相手を引き出しておいたことが生みだしたゴールで、ダニエウ・アウベスが中央に出来たスペースに入っているシャビへ出し、そしてボヤンは飛び出してゴールを奪った。

二点目が決定的となり、そこまで何とか保っていたラインをセビリアは下げてしまい、バルサのセンターバックがハーフウェーラインを越えていく回数を増やしていき、アンカーのセルヒオ・ブスケツも安定して受けられるようになり、ダニエウ・アウベスも遠慮無くオーバーラップを出来るようになった。セビリアは対おするために全体が下がってしまい、ボールを奪ってからカウンターに使えていたボールをフォワードが収めるのが難しくなり、収めたとしてもウイングが近く保てず長い距離を走らなければならず、時間がかかるようになった。その間にバルサが囲い込むだけの切り替えは出来ており、下げさせられる。そうするとさらにバルサのフォアチェックが下げたボールに対してパスコースを探すよりも先に向かってきてしまうため、さらにボールが下げられる。それだけ時間がかかってしまっていては、攻撃の中心となっていたサイドバックの裏を使う攻撃も見せることは出来ず、セビリアは攻撃に出ることすらかなわなくなってラインを押し上げて守備の再構築の時間を得ることもできなくなっていきました。

ただルイス・ファビアーノの決定的なシュートからセビリアが調子を一時的に取り戻して、カウンターからディエゴ・カペルを裏へ走らせることが出来るようになりましたが、それでも前後の分離が招く人数の低下から恐怖を与えるほどではありませんでした。後半に入って修正された守備によってフォアチェックからラインを押し上げて、守備の距離感を縮めて試合開始当初のように粘り強い守備をするようになり、攻撃も前半よりは機能する兆しがありましたが、バルサは上手くカヌーテやルイス・ファビアーノにボールを納めさせずポストプレイを許さず、セビリアの展開を遅くすることでウイングへ直接出させないように守れていましたし、裏へも出させないように出来ていた。そういった時間をかけさせる守備によってセビリアは一気に駆け上がりすぎてアタッカーがディフェンスラインに吸収されてしまい、厚みのないものになって効果的ではなくなってしまいました。

コンコが二枚目のイエローで退場になってからもセビリアはプレッシャーとリトリートを切り替えつつ上手く守っていたんでアスが、ボールを左右に動かし起点を作った後の中央のスペースは埋め切れていませんでした。前半よりは大きく改善された部分ではアリアmしたが、それでもバルサはバイタルエリアでボールを受けてそこからサイドバックの裏へスルーパスを出して走らせたり、あるいは直接シュートに向かえるように裏へ出してしまえる。距離が近いために精度の高いものが多く出せチャンスになるんですがパロップが当たっていたために追加点をその形で奪うことは出来ませんでした。ただ三点目を防ぐことまでは出来ず、そのゴールで本来なら勝負が決まっていたはずでした。あるいは決めきれなかったいくつかのシュートによって決めておくべき試合でした。

流れが一気に変わってしまったのは不注意によるカウンターを許して失点をしてからでした。それまできっちりと抑えられ、攻撃をされてしまうことも少なかったために油断があったのかもしれませんが、センターバックの前に広大なスペースが空いていた。アンカーがきっちりと埋めておくべきスペースにアンカーがおらず、ピケが後手を踏んで前に出なければならなくなり、遅れて向かうそれがスピードのある選手なら大きなプレッシャーになったのかもしれませんが、万全の状態でなく脅威になることはないまま前を向かせてしまった。それがディフェンスラインのギャップを生む結果になり、裏へ抜け出させる要因になってしまった。きっちりとセルヒオ・ブスケツが予め抑えておかなければならない部分でした。

この一点がセビリア勢いを出させてしまい、バルサは完全に浮き足立って全体が見えなくなってしまっていました。ファウルかクイックリスタートで二点目を決められてしまった場面でも、怖い選手であるルイス・ファビアーノを誰も見ておらず完全に出し抜かれてしまった。前半にもビクトル・バルデスが怒っていたように一瞬の切り替えで集中を切らせてしまっていて、それが非常に危険な状態を作り出してしまっていました。もし引き分けでもしたら首位が入れ替わってしまい、最終節は降格争いをしているようなクラブ相手でマドリーが転ける期待は出来ない。さらに全体に動揺が走ったようでもありました。

セビリアは得点から中央をしっかりと埋めるようになり、バイタルエリアを閉じてしまえるようになり、バルサは全体のバランスが取れなくなり、アンカーはまだスペースを埋められず、センターバックがサイドのケアに出るのをスムーズに行い得ないくらいに厚みのない守備をしなければならなくなっていた。押し込まれてカウンターで少ない人数で攻める以外に方法はなく、崩すよりも時間を使うことぐらいでした。それでもフォワードの三枚とダニエウ・アウベスが相手を押し下げて時間を稼いでくれるお陰でいくつか時間が取れるようになり、失点直後のような慌てふためいていた様子から立ち直っていき、セルヒオ・ブスケツはスペースを埋められるようになり、ケイタが下がってバランスを取り、二枚で中盤の底を担当するようにもなって安定した。
逃げ切りの体勢を整えられたバルサには浮き足だった様子は殆ど無くなり、時間を稼ぐプレイを中心とした一点を守りきるための戦術を徹底し始め、上手く相手を封じて試合を終える事に成功しました。

Liga Espanola Jornadas 36. マジョルカ対レアル・マドリー

2010 年 5 月 6 日 木曜日

■RCD Mallorca 1 – 4 Real Madrid
レアル・マドリーは組み立てに苦労していて、1トップに近いシステムを採用したことで左右に位置することになったクリスチアーノ・ロナウドやグラネロのどちらかにボールを預けて縦に展開しようとする意図が見えていました。カカやイグアインにはコースを切られていて直接ボールを入れることが難しく、ウイングの二人に預けることを選択せざるを得ないようでした。マジョルカは試合開始直後は特にその二人に厳しく当たることで、前と横に出すパスを封じてボールを下げさせ、その後のサイドバックからの展開とピボーテからの展開に対してもラインを保って前からプレッシングすることで安定した展開をさせていませんでした。

マドリーはその一歩目のパスこそ開いている選手へ出して外側で組み立てようとするかのように見えましたが、ボールを受けに戻る場合のみでそれ以上前に進行すると中へポジションを移してしまい、サイドバックがオーバーラップをしていかなければ外のスペースを誰も利用することが出来ておらず、中へ絞りすぎ、展開の幅を自ら狭めてしまい、中で一度スピードを落とされてしまった後の再展開、その選択肢を自分たちで無くしてしまっていました。
そのためマドリーはポゼッションから明確な形を作ることが難しく、カウンターを中心とした攻撃をすることしかできていませんでした。ハーフウェーラインよりも戻ってボールを受けようとするカカやクリスチアーノ・ロナウドを予め掴まえてカウンターの一歩目を受けさせないようにするにはマジョルカが前に人数をかけているために難しく、センターバックが後方から対応するのみでスペースを与えてしまっていた。スペースがあれば振り向いてドリブルを仕掛けることは難しくなく、危険ではありましたが、トリッキーなプレイを選択してより確実に勝負を仕掛けてこなかったために防げている節がありました。あるいはスピードを落とした後にサイドへ逃げるプレイを選択させ、停滞した状態からの展開をさせてしまう。

先制点はマジョルカが得て、セットプレイで足の止まっている事の多かったマドリーよりも、より集中していることを示したものでしたが、それが守備面では少しのルーズさを生みだしてもいました。縦のマークが少しずつズレ始め、マドリーに前を向かせてしまえるようになってしまいましたし、中央の縦パスも通るようになってしまった。まだマドリーが遅れているとはいえ、マークで掴まえられている状態の解消を目指す動きが少ないことからドリブルで持ち上がらなければならず、どうしても中に入ってきてくれるためにまだ問題は小さいものでした。裏へ出されるボールが増えて対応を少しミスしている場面もあったものの、長い距離でマドリーがパスを選択しているために余程の精度とタイミングでなければチャンスにするのは難しく、マジョルカにとってはまだ大丈夫だと思えていたのかもしれません。ただドリブルに対するケアを考えているために中央のスペースを埋めようとする、あるいはその前に受けさせないようにするという意識があるためにマドリーが出した一発のロングパスへの対応が遅れたのかもしれませんし、アワテが飛び出すのを少し躊躇ったのかもしれません。もちろんクリスチアーノ・ロナウドの足の速さもあったからでしょうが、抜け出されて同点へと追いつかれてしまった。

それでもマジョルカは攻勢に出ていて全体の流れ自体は失っていませんでした。マドリー網羅を狙う回数を増やしていましたが、マジョルカは試合開始当初から裏を中心に狙っていました。狙いこそ同じであってもマジョルカはフォワードが攻撃を受けた後のクリアボール、あるいはフィードをマドリーのセンターバックの手前でボールを収め、そこから裏へと狙いボールを出すために距離が短く、精度の高いものを送り込みやすい。また飛び出す人数も揃えやすく、センターバックがパスの出し手に対しても注意を払わなければならないために足が止まって裏への対応が遅れる。何度もそれらを利用してシュートにまでいたり、得点機を作れていたんですが、カシージャスによって止められてしまい、得点するには至りませんでした。

後半になってもマドリーはサイドの連携も足が止まったところで行う程度で、多少はクリスチアーノ・ロナウドがスピードに乗った状態でサイドに流れてボールを受け、中へと直接ボールを入れられるようになっていましたが、前後の距離は開いたままで効果的な形を作るのは少ないままになっていました。それでも逆転をしてしまうのがマドリーで、セルヒオ・ラモスが出したロングボールに対してファーサイドのクリスチアーノ・ロナウドが裏へ抜け出してゴール。マジョルカはウイングがサイドに開く動きや中へ入ってくる動きにこそ対応は出来ていましたが、後方から上がってくるセルヒオ・ラモスへ対するマークは前半からなされていませんでした。多くの時間を持って狙いを定められる環境でボールを出せれば、距離が長くとも精度を高く保てるわけで、マジョルカはその対応を誤ってしまっていました。

逆転したことからプレッシャーから解放されたのか、マドリーはドリブルに頼りがちだった展開からパス回しによってボールを動かせるようになっていました。グティの投入も影響しているんでしょうが、ドリブルで前に運ぶ時間をかけていたものから、人を高く維持してパスで相手よりも素早く動かして逆サイドのフリーの選手にまで運ぶことができるようになった。パスでの展開が作れるようになり揺さぶられても対応をしなければならなくなったことでそちらにも意識を振り向けなければならなくなり、よりドリブルが活きていくようになった。相手センターバック手前の早いパスで近い距離を作り、裏へ出されるパスの距離も大きく縮み、チャンスの形を作りやすくなっていました。さらにマドリーはリードしていることから前へ急ぐ必要もなくなり、攻めずに守りのパス回しをしても問題なくなり、マジョルカのチェックの意識を徐々に削いでいき、自分たちのペースへと引き込んでいきました。

マジョルカが流れを失った一因としてアルハッサン・ケイタが試合に全くなじめていなかったのが大きかったでしょう。それまで前でクリアボールやフィードを収められていたフォワードが彼が投入されて以後は全くボールを収められなくなり、連続してマドリーに攻撃を許してしまうようになった。それによって全体を押し上げるポイントを失ってしまい、運動量を上げられなくなってしまった。センターバックの前でボールを収めていたからこそ裏を利用して多くのチャンスを作れていたんですが、そこで収められなくアンって締まったことで長い距離で裏を狙わなければならなくなり、クリスチアーノ・ロナウドのような圧倒的な走力を持たないフォワードと相手の対応のミスを願わなければならない環境になった。これではチャンスを作るのは難しく、フォワードに預けるボールに対しても受けに戻ってディフェンダーよりも先に触るという意識も走らなければならない環境によって削られてしまいましたし、マドリーは三点目、四点目と追加点を挙げていくことで余裕を持てるようになり、リスクを冒してパスカットを狙いに出られるようになっていた。

交代選手が上手く機能せず流れを掴めなかった段階で勝負は決まっていたのかもしれません。

Liga Espanola Jornadas 36. バルセロナ対テネリフェ

2010 年 5 月 5 日 水曜日

■FC Barcelona 4 – 1 CD Tenerife
テネリフェは守備を固めてカウンター狙いであることを試合当初から明確にしていました。この日は共存することになったイブラヒモビッチとボヤンの二人には徹底したマークがつき、受けに戻る動きに対しても継続してマークを行いボールを出させないように牽制する。右サイドにポジションを取っているメッシに対してもマークは付いていて、それ以外にもシャビやケイタのように中盤の前のポジションに対してもチェックにつく。4-1-4-1のシステムであるが故に、中盤へチェックに向かってもセンターバックが引き出されてもアンカーがスペースを埋めてしまえる状況にあり、実際に上手くスペースを埋めていました。

ただバルセロナの調子は先日のビジャレアル戦の前半のように良く、メッシがワイドに開いていることから左右に収め所が用意されていてボールを左右に動かせていける。ポジション修正も早く、チェックよりも球離れが早く、テネリフェは効果的にスペースを消しに来ていたものの全員が引いて守り、より後方でスペースを消す形を取らなければならず、バルサがサイドバックを含めた攻撃をするようになるまでに時間は大きく必要としていませんでした。
ただ全体が上手く受けられているわけではなく、ボヤンとイブラヒモビッチに対するマークは厳しく、特にイブラヒモビッチに対しては激しく当たられるためにきちんとボールを収めることすら難しかった。左右へと流れながら受けようとしていたり、受けに戻る姿勢を見せてはいたものの、彼の動きの質よりもパスの出し手の問題としてポストプレイを要求するパスが多いために、より窮屈なプレイを強いる結果になっていましたし、奪われる回数を増やしてしまっていました。

フォワードへの厳しいマークを受けていることを利用してギャップを作り裏へ抜け出す形を作り、あるいはウイングが収めサイドバックがオーバーラップをする縦の連携から崩すのが難しい環境であったためにウイングが中へ相手を引きつけて空いたスペースをサイドバックが上がる形を作るなどして厳しいマークを利用した攻撃もできていました。ここのウイングの動きに対するマークの受け渡しをせず、そのまま徹底してついていくことで、テネリフェはインテルのようにスペースを埋め続けることが出来なくなり、ダニエウ・アウベスの飛び出しからチャンスを作られ、その後には得点のきっかけとなるクロスを上げさせるに至りました。

テネリフェは先制点から全体に少し激しさを持たせ、中盤の位置を上げて引き気味になってしまっていた全体のバランスを修正しようとしていましたが、バルサのセンターバックにまではプレスに来ずにフォワードを抑えるためのマークを中心としているままでした。ただメッシが受ける動きに対しては、戻った瞬間に対してパスは出されずタイミングをずらされてしまうためにゾーンが崩れるのを嫌がり、不徹底になりつつありました。振り向ける場面も増えましたし、ボールを受けてから判断する余裕も現れ始め、ボヤンへのマークに対してもその傾向が徐々に見られるようになっていきました。
ただイブラヒモビッチに対してはバルサの面々が裏へ抜けることや大きく戻ってくることを期待しておらず、相手のディフェンスラインと戦うことを期待していた。そういった収めるボールを多くだそうとしているところに強く当たられ、奪われてカウンターをされる回数が多く、ピケとプジョルがコメを抑えて止めなければならなかったんですが、雨で足下が滑りやすい環境であることや全体を押し上げているためにパスコースに人が入りづらい状態であることもあってある程度ボールを運ばせてしまっていました。あるいは雨でパスのズレが大きくなりミスパスの回数が増えているところへカウンターで向かってこられるようになる。ダニエウ・アウベスが上がる回数を増やしていることもありましたが、その裏を積極的に利用されるためにピケが右に張りだしてケアをしなければならず、カウンターを抑えるためにトゥーレ・ヤヤもしっかりとサイドを意識した守備をする。そういった全体でカバーしようとし過ぎるあまりに右側へバランスを崩し、渋滞気味に守り、マークとカバーの関係が曖昧なまま守備をしなければならない場面が目立ち始めていました。
実際に失点した場面はそういった守備のバランスを欠いたことが原因ではありませんでしたが、危険なエリアで軽率なパスを出してしまったことがミスになり失点へと繋がったものでした。それまでもシュートこそ打たれていなかったもののその形は何度か作ってしまっていて、そこに修正する意識を持っていれば未然に防げていたはずのものでした。

前半の途中にしたピケの怪我からペドロが投入され事実上の4トップに近い形を作り同点にされた状態を解消しようとしていましたが、フォアチェックを強めるテネリフェはバルサのパスミスの多さを利用してカウンターの回数の増加を目指していましたし、そのために前に人数をかけることをいとわなくなっていました。
バルサはメッシを中盤中央に入れて後方に下がったシャビとの間をつなぐ役割を担わせたかったはずですが、相手のアンカーがメッシが入るはずのスペースを潰し、その一つ前の選手たちがさらに戻ったとしてもマークに付くために、ピボーテとフォワードを繋ぐ役割からウイングに近いポジションを多く取るようになり、中盤中央にバルサの選手が誰もいない環境を作ってしまっていました。
この試合は雨の影響が強く、パスが伸びてしまうために長距離のパスでは効果的なチャンスを演出できず、シャビが持ち上がる、あるいは他とのコンビネーションからポジションを上げなければラストパスを選択できませんでした。メッシが中央に入れない代わりにペドロやボヤンがその役割を担うべく戻って受けようとしていましたが、プレッシャーの強い環境でのキープ力は劣りますし、展開力や左右への散らし方や裏へのパスも精度では劣る。受ける動きに足して強くマークされているために裏へ抜ける動きを多く選択するようになってきていましたが、それにパスがついてこられないためにチャンスになるものはあまりありませんでした。
それでもフォワードと近い環境でパスが出せればチャンスにすることは可能で、二点目を演出したパスはダニエウ・アウベスがコントロールをしてボヤンと非常に近い環境を保ってのものでした。

その後イブラヒモビッチがセルヒオ・ブスケツと交代をさせられ下げられましたが、彼の出来が悪かったわけではなく、それよりも中盤とフォワードの間が空きすぎて効果的なパスが出せないでいる状況の方が問題で、その解消を目指すためにはメッシが中央に入れない環境を改善しなければならなかった。あるいはシャビのポジションを上げてフォワードと近く保てるようにして、多く繰り返されている裏への動き出しをもっと利用して継続させる意味合いもあったんでしょう。
受ける動きにこそマークは厳しかったものの、テネリフェの守り方は裏へ抜ける動きに対する処理は曖昧でした。三点目のようにドリブルで仕掛けているときにはドリブラーへと視線が集中してしまって受けら抜け出すペドロへ払う意識がかなり少なかった。ドリブルをしていたのがメッシだから、というのもあるのかもしれませんが、後方への意識が少ないために、難しい対応を強いられていましたが、これを止められませんでした。

その後四点目を挙げて、翌日に試合を控えるマドリーへとプレッシャーをかける勝利を収めましたが、勝ち点の記録を両クラブが塗り替える勢い、というのは異常なシーズンですよねぇ。

Liga Espanola Jornadas 35. ビジャレアル対バルセロナ

2010 年 5 月 2 日 日曜日

■Villarreal 1 – 4 FC Barcelona
立ち上がりはエル・マドリガルの中盤に人が溜まっていて、バルサは後方から前へ出すパスにスムーズさを生み出せずに苦労をしていました。ビジャレアルはライン設定を高くして中盤に人数を溜めていたものの、バルサのセンターバックにはプレッシャーをかけようとしておらず、その人数すらも中盤のプレッシャーへと利用しようとしていたために通常よりも多くの密集が作られていました。それに加えてバルサのプレイが何処か軽く、ボールを失うことは仕方ないとしても、奪われた瞬間の守備への切り替えが遅く、奪い返すことよりも相手を背中から追いかける場面が目立っていました。もちろんビジャレアルのパス回しが早かったり、縦パスを早い段階で入れてニウマールかロッシへ当てようとしているプレイスタイルも影響しているとはいえ、守備への切り替えと修正が遅いことから守勢に回ったときの選手との距離が遠く、かわされやすい環境になっていました。
ビジャレアルは縦に早く入れることと、そこからボールを落として展開を狙う、あるいは裏へ、と多彩な選択肢を用意していました。まず収めたところで人を集め、その間に裏を狙わせるキープも出来ていましたし、中盤から直接パスでフォワードを裏へ走らせる選択も出来ていた。その時間にはチャンスがあり、そこで先制点を奪えていれば違う展開があったのかもしれませんが、時間が経つにつれて状況は変化をしていき、チャンスは失われていった。

時間の経過と共にバルサは中盤を抑えられていた密集をかいくぐれるようになってきた。ビジャレアルのアプローチの仕方はボールに対するもので、予め人を掴まえておこうとしたり、引いてスペースを埋めてしまうものでもない。選手一人一人がそれぞれのマークに付いているわけではなく、それぞれのゾーンに入ったときに囲い込む形を取っている。それだけにバルサがボールをいったん中盤へ出し、そのゾーンに入り込めばプレッシングのためにビジャレアルのゾーンは崩れる。予め寄せていないためにボールを受けた瞬間にはまだ奪われる要素は少なく、連動してビジャレアルが動いている間にはたいて動き直せばスペースが出来上がる。ワイドに開いた選手に対しても、きっちりとビジャレアルはケアをしてボールを自由に持たせないように、対応をする。予め掴まえておくのではなく、対応をするためにスペースが出来やすく、バルサのポゼッションを上げる手助けをしてしまい、押し込まれる展開になった。フォワードに対しても徹底して掴まえておく意識は少なく、裏を気にしているかのように受けに少し戻ってもそれについていき抑えようともしていない。受けた後に寄せて囲い込もうとしても、フォワードにボールが収まるようになってからはバルサのパススピードは上がっていましたし、受ける動きやポジション修正が豊かになっていることもあってパスコースを探す時間が少なく、すぐにボールを動かせる。ビジャレアルの守備は多くの時間で後手を踏んで、先制点を簡単に献上してしまった。

メッシはこの試合では上手くポジションを取っていて、相手の中盤の裏側へと入り込み、センターバックの手前に位置している。センターバックが受ける動きに対しても密着してこようとしていないこともあって、インテル戦で抑えられたような二つのラインを相手にする場面は殆ど無く、ディフェンスラインの一枚を相手にするだけに集中していられる。ポストプレイをするにも窮屈さはありませんし、受けてからパスの展開も選べる。他の選手が作り出したスペースへと上手く入り込めていましたし、上手く必要なところで運動量を発揮していましたし、これまで抑えられていた、活躍できなかったいくつかの試合とは違い、いい動きでした。

バルサが二点目を取る以前からビジャレアルの縦パスを中心とした攻撃の組み立てにバルサが対応できるようになっていました。奪いきってしまうにはビジャレアルの球離れは早く難しいんですが、攻撃時に運動量が増えたことで守備への切り替えがスムーズになりプレッシャーを上手くかけられるようになった。コースをそれによって切ることが出来るようになり、縦パスに足を出して対応することが出来るようになった。
バルサのフォワードがビジャレアルの裏を狙う姿勢を出していることが相手をコンパクトに保たせない要素にもなり、サイドバックを含めた上がりを躊躇させ厚み失わせて、縦パスを入れられたとしてもキープから上がってきた選手が裏へ抜け出す場面は作れなくなった。フォワードに当てても独力で抜け出すしか無く、直接裏へ出されるボールもなくなり、バルサのセンターバックの手前で受ける回数が非常に多くなった。
バルサが二点目を取って以降はビジャレアルも人数をかけて攻められるようになったものの、サイドから展開した際にフォワードが裏へ飛び出す動きをしておらず、手前に戻って受ける動きをする。それによってバルサは選択を絞ることが出来、マークをしやすくコントロールの一歩目を捉えやすくなって、序盤ほどの苦労は強いられませんでした。

後半になってビジャレアルが3トップにしたことは大きく試合を変化させる要素になっていましたが、バルサが前半のうちに三点目を取ってしまったことで、後半に集中力を欠いていたのも流れを継続できない要素でもありました。
ジョレンテがセンターバックやピボーテを追いかけ回して自由に持たせる時間を減らし、他のフォワードも追いかけ始め、それまでは自由に持たせていた部分に対しても全体が高い位置からプレッシングをしてバルサに余裕を与えなくなった。バルサは前半のそのままであれば中盤が動いてパスコースを作り、寄せられるよりも早くボールを捌けていたんですが、特にセルヒオ・ブスケツが足を止めている場面が目立ち、サイドに出されたボールに対するサポートに向かわなくなり、コースを切られる要因にもなっていましたし、窮屈さを感じる要因にもなっていた。
そして前の人数の増加から、手前で受けるだけだったった縦パスを再び裏を狙うようになり、ピケやプジョルを後方に走らせるようになった。ポジションを下げさせ、そしてまたプレッシングをすることでバルサが全体を押し上げていくことを難しくしていましたし、プレイエリアを低くしてバルサのフォワードが孤立していく展開を作れていました。ビジャレアルの低い位置でマルコス・セナがボールをキープしてくれていることが上がりやすい環境を作る要素になっていましたし、それが裏へ飛び出してもボールが出る安心感に繋がっているようでしたし、要所を彼が抑えていたのも大きかったのかもしれません。

バルサが失点をした場面は、その以前にボヤンが倒れていてもビジャレアルが外へボールを出さなかった事への抵抗からかもしれませんが、ビジャレアルの選手が倒れていてもボールを外に出してプレイを切らなかったのが原因でしょう。多くのバルサの選手たちは攻撃に出ようとしておらず、セルヒオ・ブスケツが外へ出さずに持ち上がって奪われたのが主な原因といっていいでしょう。アンカーの彼が上がったことで守備に厚みが無くなり、センターバックの手前を埋める選手が居なくなった。ピケとプジョルは前後の二つの選択肢を考えなければならなくなり、裏へ抜ける動きへの対応の遅れに繋がった。非常に軽率なプレイでしたね。

その後のセルヒオ・ブスケツの交代のタイミングでの出来事もいったい何が起きたのか解りませんでしたが、一枚カードをもらっている環境で時間稼ぎをする判断の悪さはいただけず、もしあのカードが出されていて退場処分になっていたとしても文句は言えませんでした。あの審判の不安定なジャッジによって助けられてしまった感が否めず、理解に苦しむ出来事でした。いったい何があったんでしょう。

それでもトゥーレ・ヤヤが問題なく試合へ入れたことは大きく、セルヒオ・ブスケツが不安定なポジショニングからセンターバックの前を埋められなくなっていた部分をトゥーレ・ヤヤがきっちりとスペースを埋める動きをしてくれるようになり、守備にきっちりと厚みが出来た。センターバックが裏へ出されるパスへの対処をするのも楽になりましたし、相手の選択肢を減らせるためにそれぞれの役割が明確になりサイドへのケアにしても安定するようになった。それが四点目のゴールへと繋がったのかもしれません。

UEFA Champions League Semi final 2ndLeg バルセロナ対インテル

2010 年 4 月 29 日 木曜日

■FC Barcelona 1 – 0 Inter (agg-win)
バルセロナは第一戦の不安定な守備から失点したことを考慮してか、それともコンディションの問題か、左のサイドバックにガブリエル・ミリートを置いてのスタートになっていました。序盤はその形が明確ではなく、あるいはトゥーレ・ヤヤを右側に押し出して3バックになりケイタが左に張り出す形になるのかと思っていたんですが、ガブリエル・ミリートを左のサイドバックとして問題なさそうです。

ペドロは通常よりも左に大きく開いた状態でポジションを取ることが多く、これはサイドバックに攻撃力を求められないために、中に絞ってしまうと左をワイドに使う手段を失い、中を窮屈にさせかねないことからでしょう。メッシは右からスタートしているものの、いつものように自由にポジションを動かし、ダニエウ・アウベスが右を広く使い、両サイドに一応の起点を作れていましたし。第一戦とは違い、シャビが抑えられている場面は目立たず、前を塞がれて振り向けなかったり個人で持ち上がれはしませんでしたが、一度ボールをはたいた後に動き直すことは出来ていて、修正したポジションでもう一度受け直し徐々に前へポジションも移せるようになっていた。第一戦のように後方でボールを扱い続けなければならない、ということにはなっていないようです。

インテルはフィードを中心とした組み立て、というよりもバルサのディフェンスラインの裏側へロングボールを入れて後方へ走らせるのを目的としているようでした。ディエゴ・ミリートがボールを追いかけることでプレッシャーを与える。あるいは、クリアボールを拾える位置へと素早く動いて裏へ持ち込むドリブルを開始する。あまり大きな変化はないもののピケかトゥーレ・ヤヤが明確についておかなければならず、ディフェンスラインを高く保ち続けることが出来ず、ボールを奪われる度に下がって展開をしなければならない。攻守の切り替えによってフォアチェックをしてバルサも前から奪いに向かう姿勢は強く出していたんですが、ロングボールを蹴って逃げるだけで済ますことが出来るインテルは、それによってチェックの前に蹴って逃げることが出来、高い位置で奪わせてもらえなかった。それどころかセンターバックがその対応に下げられてしまうためにピボーテが受けるために下がらざるを得ず、全体を伸びさせて素早いパスワークをさせてもらえなかった。
インテルがまだ高いラインを保とうとしてくれていれば、押し下げられたとしても全体の距離を近づけてパスによってゾーンを動かすことが出来ていたのかもしれませんが、インテルの守備設定が低いために相手のエリアに大きく入り込めるものの、距離を伸ばされているために守備の陣形を整える時間を与えてしまっていましたし、パスを横に動かして相手のゾーンを動かそうとしても、最初から中央を固めておけばいいラインにまで下がってしまっているため、横パスで相手を動かすことはかないませんでした。

後方に人数を集められていることから中央を利用することは難しく、イブラヒモビッチは第一戦のように屈強なルシオとサムエルの二人にマークされないようにサイドバックとセンターバックの間にポジションを取る回数を増やし、ある程度ボールを受けられるようにはなっていましたが、前後左右にスペースが無く、連携を取るのも難しかった。本来居るべき中央にはケイタが後方から上がってはいる回数を増やしていたものの、ディフェンスラインの前に並べられた中盤の壁によって縦パスを利用することは難しく、バルサもロングボールで後方へ押し下げられるのを嫌がるかのようにチャレンジする回数を減らしてしまっていたために最後尾を相手に仕掛けることは出来ていませんでした。

状況がより決定的になったのはチアゴ・モッタが退場になってから。セルヒオ・ブスケツの演技ともいえる大げさな倒れ方の前に彼が退場になったことで、よりインテルは守りの姿勢を強くしてしまい、全員で引いて守りきる決意をさせてしまった。
バルサはディエゴ・ミリートの脅威から解放されたセンターバックまでもを上げて攻撃に加えることができるようになったものの、エトーがサイドの守備を担当し、より中央を固められてバイタルエリアを埋められてしまうことになってしまった。シャビのポジションも一段上げられるようになったものの、そのバイタルエリアを利用できないために、手前でパスを回すかダニエウ・アウベス、あるいはペドロのワイドな位置でしか展開を目指せず、相手中盤の背後でボールを受けられず、キーパーとの距離が近いディフェンスラインの裏を使うには距離が長く精度を出せず、相手にも予測をされて対応されてしまう。もっと多くドリブルを仕掛けて相手の注意を引きつけていられれば、そういった展開を狙えていたのかもしれませんが、メッシのドリブルは左足のコースを明確に切られて、中盤と最後尾の二つのラインで守られ、コースらしいコースを用意できていませんでした。他の選手に対しても縦のコースを緩く切り、それぞれの距離を縮めているために前へ向かってスピードに乗ることが難しく、サイドの選手にしてもそこで止められた後、足が止まってから利用するしか無く、停滞した状態からクロスや突破を求めても難しく、それをしたとしても中の変化が乏しく、掴まえられていて可能性を感じられませんでした。
後半に入ってからマクスウェルがガブリエル・ミリートに代わって投入されたことでペドロを中に入れられるようにはなりましたが、相手が最初から引いているために全体が前へ向かうスピードを持つことができず、大きな変化をもたらすことは出来ていませんでした。

相手の術中に嵌ったまま試合を進められ、裏へ出されるボールで後方へといったん下げられて連続して攻撃をさせてもらえなかったり、抜く意識を持たないドリブルで時間を稼がれファウルを犯してしまったり時間をインテルの思い通りに使われてしまうことで、より嫌がるようになり、なるべく確実にボールを失わず、自分たちの時間を保持しようとするかのように相手のバイタルエリアへ無理にでも入ってしまう動きはなく、センターバックとも戦わず、どこか、得点を何としても取る、という意識が足りないようにすら見えるほどでした。

唯一挙げられた得点は恐らくオフサイドだったでしょう。奥でムンタリがラインを崩しているために副審が旗を上げなかったんだとは思いますが、とりあえずオフサイドだとされてもおかしくなかった。だたそこが問題なのではなく、あの場面ではシャビとメッシが横パスを交換することで相手の中盤、バイタルエリアを埋めている三枚を上手く引き剥がしてしまうことが出来ていて、パスを出すときに存在するのはフラットなディフェンスラインだけになっていた。それまでは二つのラインを相手にパスを出さなければならずカットされていたのが、あの場面ではたった一つのラインを相手にするだけで済ませられていたからこそパスが通りチャンスになった。その少し前にあったボヤンの飛び出してのヘディングシュートも同じく、中盤を横に動かして前にいたのはディフェンスラインだけだった。
この形をあと何度か出来ていれば、もっと早い時間に出来ていれば、得点の可能性は広げられていたでしょうし、少なくともインテルのゴールを脅かす回数は大幅に増えていたでしょうね。
トゥーレ・ヤヤのハンドでボヤンのゴールが認められなかった場面も、審判が見ていた位置を考えると仕方が無く、二試合共に運がなかったというしかありませんね。