‘2010WC’ カテゴリーのアーカイブ

2010 FIFA World Cup Quarter final ウルグアイ対ガーナ

2010 年 7 月 3 日 土曜日

■Uruguay(PK Win 4-2) 1 – 1 Ghana
序盤こそウルグアイはボールを縦と横に動かして様子を見るようにキープをしてガーナの出方をうかがっているようでした。それに対してガーナはディフェンスラインを高く保って中盤にスペースを作らず、その部分でのプレッシングを狙っている様子はありましたが、ウルグアイがセンターバック間でボールを動かしても奪いに来るほどのフォアチェックをしようとはしていませんでした。しあkし中盤のスペースの無さはウルグアイにとってやりづらさを与えているようで、裏を狙うことで押し下げてしまおうとするロングボールや奪ってから速攻を裏に出す姿が何度か見られ、素早いスアレスの抜け出しは見事でした。

トップ下を置かないウルグアイはボランチでボールを奪っても、そこから先にボールを運ぶのは本来難しいはずでサポートは遠いんですが、きっちりとヘディングやパスで前へと繋げてしまう技術は素晴らしく、それを受けるフォルランにしてもスアレスにしても、ボールを受けてから前を向く意識が非常に強くあり、実際にそれを実現できる技術を持っていて、ガーナが後方から抑えてはいましたが、密着し切れておらず体を半身しか押さえられていなかったり不完全なものが多く、それほど大きな影響を与えるところまではいっていませんでした。

両者が最後尾で相手の攻撃を受け止めて中盤へと繋ぐ、どちらも構築をするための一歩目を抑えられておらず、それが縦へのスピードを増加させる要因にもなっていました。ガーナはそれを掴むことも囲うことも出来ておらず、飛び出しとパスを許してしまっているて、ウルグアイは引いた状態が中盤へのパスを出しやすくさせてしまい、サイドバックが激しく当たる以外に強く当たれる部分を作れていませんでした。

徐々にガーナは飛び出しをされて試合を作られる要因になっていたスアレスに対して密着してマークが出来るようになった。ボールを受けさせず、前を向かせないようにしようとし始め、裏を単純に狙われないことでガーナはウルグアイの後方に多少のプレッシャーを与え始めていいました。安定して前へ出させないことを狙えていましたが、ウルグアイは中盤で奪ってカウンターを主軸として移行し始めていましたから、ガーナのプレッシングもあまり出番は得られませんでした。

ウルグアイは中盤で奪いカウンターの形が整い始めたことで、中盤のいくつかの選手がフォワードと連動してそれを追い越していけるようになりましたが、ガーナは人数を戻らせずに対応してしまう。中盤の攻撃がウルグアイのバイタルエリアに穴を作ってしまい、中盤が積極的に囲い込もうとするようになった。それがボールを奪われてからの縦の速攻に影響していましたし、中盤の裏へ飛び出されてしまうとディフェンスラインが対応に出なければならず、スピードに乗ったそれを止めることは難しく危ない場面を作るようになってしまいました。ディフェンスラインがそれを嫌がることで後方に下がってしまい、前後に分離してよりバイタルエリアを空けてしまうようになった。その後はギャンに収めるボールに激しくぶつかることで、コントロールを不正確にさせて縦のスピードを持続させないようにしていましたが、危険な状態でした。

前半ロスタイムにシュートを決められた形は、バイタルエリアを利用され続けたことでウルグアイはそこを利用されて落とされると、中盤が引き戻されてしまうようになっていた。この時も一度使われて中盤を圧縮されてしまってから、その手前からムンタリのミドルシュートで先制点を決められてしまった。

後半になってもウルグアイは中盤が積極的に囲い込もうとしているのは変わらず、改善された部分はある程度当たることが出来るようになったことでしょうか。前半は囲い込めても当たるところまで持っていけていなかったものが、不完全ながら当たれるようになった。それでもガーナは縦に急ぐ必要がなくなったお陰で、掴まえられていないときは前へ、そうでなければサイドや後方へ逃げる事が出来ていた。

その時間が長く続けばウルグアイを消耗させることが出来ていたのかもしれませんが、早い時間でウルグアイはフォルランがフリーキックを鮮やかに決めて追いついてしまった。ガーナは先ほどまでの戦い方は使えなくなり、展開を狙わなければならなくなってしまいました。

ウルグアイは主に裏へのボールを多用していて、いくつかボールを追い越している動きもあるんですが、キープして相手を引きつけながら追い越して裏を狙い使うのではなく、直接裏へ抜けるだけでガーナとしては対応しやすいものでした。バイタルエリアのような高い位置で受けてから利用するのではなく、その手前で受けてから長いボールで狙うものが多く、戻るフォルランに預けて、そこからドリブルやパスで展開を狙えるようになるまで単調な攻撃に終始していました。

ガーナは上手くギャンが受けてから全体が追い越していく連動性を持っていましたが、徐々に運動量が落ちて追い越していく動きが物足りなくなって、掴まえて対応されていくようになっていました。押し込まれてしまわず、対応が楽になったウルグアイが人数をかけてペースを握るようになっていました。

途中交代で入ったアブレウがディフェンスラインと戦うことで、体を張って押し下げてしまおうとしている。それによってバイタルエリアにスペースを用意しては入れるようにもしていましたし、ポストプレイの形を作ることで相手に収めるボールを警戒させてスアレスが裏への狙いが出来るようになる。相手のセンターバックに前後の選択肢を考えさせることでパスを通しやすくなっていましたし、フォワードの距離が近くなったことでサポートが近くパスでの崩しも狙えるようになっていました。カウンター時もその三人が残ることでどんどんと流れを引き寄せてはいましたが、得点には至りませんでした。

延長後半、終了間際まで両者共にシュートまで持っていけているもののミスが多くどちらも決定的な形を作れていませんでしたが、最後の最後で勝負を決めてしまえるような状況になっていました。フリーキックからガーナのシュートが続き、いくつか防ぐことはできたものの最後はスアレスが手でゴールになるボールを止めてしまい、退場。もしそれを止めていなければガーナが勝負を決めて勝ち上がっていましたし、止めたとしてもPKとなってそれを決めれば残り時間もなく、ベスト4に入るのはガーナのはずでした。
しかしながらそれを決められず、直後に笛が鳴ってPK戦へ。ガーナは直前のPKを引きずっているかのようにいくつかミスがありましたし、ウルグアイのキーパー、ムスレラが落ち着き払っていました。

2010 FIFA World Cup Quarter final オランダ対ブラジル

2010 年 7 月 3 日 土曜日

■Netherlands 2 – 1 Brazil
どちらも中盤で奪う意識が高く、プレッシャーを与えて囲い込み奪おうとしていました。オランダはそれをかいくぐろうと両ウイングを積極的に利用する意識が高く、タッチライン際に開いている二人が中央で奪うための人数を揃えている守備を避けて受ける。ここを高く位置取りをさせないことでサイドバックから強くプレスを受けないようにすることでキープする時間は得ていました。それに加えてディフェンシブ・ミッドフィールダーを後方に下げて、フィードで一気に中盤を省略したプレイをして、プレッシングから逃れることを中心に考えているようでした。それがブラジルの高さによって通じず、フィードを何度も失敗をしたことからオランダは中央を利用しようとし始めていました。これがこの時点では失敗で、守備時にポジションを埋める役割を担っているナイジェル・デ・ヨングが余計に持ち上がってしまい、そこから横パス。角度のないパスをカットされてカウンターを受けてしまったり、スナイデルに渡そうとしたボールやファン・ペルシーへ預けようとしているのも、ブラジルに競り負けたり跳ね返され、カットされてどうにも攻撃の形を作れていませんでした。

ブラジルはきっちりとした守備でペースを握り、早い段階での得点を得ることが出来た。ブラジルの選手が戻る動きをしたことでセンターバックは掴まえておくべきブラジルの選手がいなくなり、、誰もマークできない状態になって少し安心をしてその選手へついてマークに向かってしまった。後方にブロックを構築して待ち構える守備をしなければならないのに、ブロックの構築よりも誰もいなくなったことでのマークを優先してしまった。それがサイドからダイアゴナルに飛び出したロビーニョの入るスペースになって得点を生む結果になっていました。

オランダは失点以後、無理に縦を使おうとする回数が増えてブラジルにカットを容易にしていました。ウイングの展開力がロッベンしか無く、左に回したカイトはそのサイドのプレイになれておらず、ドリブルでの突破にしてもポジションにしても不安定でした。突破力があればタッチライン際にポジションを取る彼を利用しているのかもしれませんが、それが期待できずに右のロッベンを頼る機会が増えていた。そのロッベンもサイドに張って収める役割よりも中に入ってボールを受けようとすることで、後方からぶつかられる範囲でプレイしてしまうようになり止められてしまいやすくなった。
ブラジルはきっちりと初期ポジションでボランチがディフェンスラインと近づいてスペースを消してブロックを構築しているため、中央に寄ってもらうのは有り難かったでしょうし、オランダ失敗したような引いて受けようとする動きも釣られず、飛び出していくものもスペースを消している。オランダがワイドに使っても、サイドバックが追い越していくだけで単純な縦の連携をサイドの二人だけで行わなければならないだけで、中央のスナイデルやファン・ボメルらが絡んでもう一度サイドへの展開をすることは殆ど見られませんでした。ロッベンが中へスライドしてドリブルをしてもパスの選択肢が何処にもなく、奪われる。カイトが持っても同じ事で、そのためボランチが上がってサポートをしなければならず、中央で囲い込まれる要因にもなっていましたし、こういった横の変化がなければ、守備がきちんと構築できて抜かれても後方に味方がいる安心から足を出して止めようとすることも出来る。

もしカイトが不必要に開いてしまわずに、右からの展開に中へ絞ってクロスのターゲットになろうとする動きをすることが出来れば、それに押されるようにしてスナイデルをサイドのサポートに向かわせてしまうことも出来ていたかもしれません。中央を経由して左に回すときもサイドバックの外側にいるだけで、相手のサイドバックとセンターバックの間から飛び出していこうともしない。守備であったり、ボールを最初に収める意味では重要な役割を担っているんですが、あまり効果的な動きを流れの中ではしていませんでした。

ブラジルはその点ではサイドバックの裏を目指して飛び出す動きもしていましたし、サイドでのボールを展開させていく時も中央との連動をしっかりと持っていた。カカやルイス・ファビアーノが上手く受けられるポジションにいて、ボールを受けて中への展開も狙える。いつもよりブラジルはサイドバックを上げることで中央のブロックをそのままに攻撃の幅を持たせてマークを外に広げさせ、上手くサイドと中央の連動をしていました。
サイドを多く使われてしまうことからナイジェル・デ・ヨングのポジションがサイドへ動かされてしまって中央をも埋められていなかった。フォアチェックで抑えようとオランダが動いてもスナイデルが追いかけるだけで他は失点などしていないかのように待ち構えているだけで積極的に奪おうとする姿勢もみられませんでした、
動かす。

後半になって流れを変えるきっかけを作ったのは最初のミスかもしれません。ダニエウ・アウベスのバックパスを迂闊にフェリペ・メロがミスにして最初のピンチを作ってしまった。オランダは後半になって硬直をしていたような前半からポジションを動かしていくことで、全体に動きをもたらそうとしていましたから、縦への勢いやチャンスを作れる意識を相手に開始直後に与えてしまったのは大きかったのかもしれません。
左に張り続け効果的な動きの出来ていなかったカイトに自由を与えて、中央へ多く動けるようにした。特にその効果は右から展開したときに大きく影響を与えていて、外から中にドリブルをした先に出し所を失ってカットされるのではなく、繋げるようになりましたし縦パスを落とす先も近くになって後方からぶつけられてもある程度繋げる目処がたっていきました。

そしてロッベンへのファウルからクイックリスタートをされて失点をしてしまうのも時間が早すぎた。アーリークロスでゴールへ向かうボールを入れられましたが、ジュリオ・セザールとフェリペ・メロが交錯をしてしまって招き入れてしまった。フェリペ・メロが触るならもっときちんと触るべきでしたし、ジュリオ・セザールも出るからには手に当てることはしなければならなかった。どちらの対応も仕方ないとはいえ非常に悪かった。

追いつかれたことでブラジルは前から積極的に走り回って奪いに行こうとしているものの、オランダがパス回しを早くして球離れをよくするきっかけに過ぎませんでした。オランダは停滞気味でボールを繋ぐことが出来ていなかったセンターバックまでもがボールを受ける運動量を出すようになり全体が動くようになっていった。ブラジルが積極的に出ていることでより動き、両者が動くことスペースも空いて動いていました。サイドバックが積極的に攻撃に出て奪いに出ることでフェリペ・メロ、ジウベルト・シウバの中央を埋めておくべき二人がサイドバックが上がった後をケアしなければならない場面が増えていましたし、それ以外の場面でサイドバックが待ち構えていてもサイドに守備に出てしまう場面が増えて中央がスライドしてしまうようになった。さらにブラジルはオランダがサイドへの展開をしてくると想像をして動いてしまうようになったために縦へ振り向ける要素をプレゼントしてしまい、タイトなマークが後方からぶつかって止めることができなくなってしまいました。そうなってしまうと縦のドリブルをされることも増え、ブラジルはボランチがずれていなくなったことでセンターバックが最後の勝負をしなければならない場面が増えた。

切り替えがどんどん遅くなっていったブラジルとは違い、オランダは様々な場面で集中をしていた。コーナーキックからスナイデルが頭で決めて逆転をしましたが、ブラジルの多くの選手は足が止まっていて、抜けていくカイトに誰もついていかず、ルイス・ファビアーノに任せてしまった。あれでは自由にコントロールされても仕方がありません。

逆転をされてしまったことでブラジルは無理に前に抑えにいくようになっていました。奪える、奪えないを関係なく向かっていくことで簡単にかわされてしまうようになってよりオランダにペースを握られて試合のスピードを上げられてしまう。ブラジルには苛立ちが募ってオランダはそれを利用しようと様々な場面で仕掛けていました。そしてフェリペ・メロがロッベンを踏みつけて退場となり、大きな失態を彼はし続けてピッチを去ることになってしまいました。

一人少なくなったところへオランダは積極的に前から奪いに行きブラジルに構築をさせないようにし、前後の分離をしてしまいましたが、その中盤のぽっかりと空いた部分をブラジルは利用することが殆ど無く、その先のディフェンスラインにいる選手にまでボールを渡そうとしていた。そこまで一気にボールを出してもらえればオランダにとっては激しくぶつかることも出来るわけで、容易に収めさせず守らせてもらえました。時間の経過と共にブラジルは焦って裏へばかりボールを放り込むようになり、スルーパスも全て裏へと出してしまって、状況を見られないぐらい焦っているようでした。

オランダは目一杯運動量を出して、キープをして、仕掛けて、ファウルをもらう。ブラジルはなるべく守備に人数をかけないようにしているためあまり止められなくなっていましたし、焦りから簡単に足を出してしまって抜かれて、ドリブルを許して悪循環でした。

前半は圧倒的にブラジルペースであったように見えたんですが、つまらないミスが試合を分けてしまったようです。

2010 FIFA World Cup Round of 16 スペイン対ポルトガル

2010 年 6 月 30 日 水曜日

■Spain 1 – 0 Portugal
スペインはいつも通りにポゼッションを高めてボールをキープしながら左右へと動かし、相手のゾーンを動かしながら前へと進めていく。立ち上がりのポルトガルの守備は甘く、受ける姿勢だけが出てしまい、選手と選手の間に招き入れてしまっていました。それほどスペインが運動量を多く活発に動いているわけではないんですが、ゾーンの形勢を優先してマークよりもポジションの維持をしているかのように不安定なものでした。

ただ攻撃面ではスペインのフォアチェックをかいくぐるためのプレイはいくつかしていた。フィードを中心としてウーゴ・アウメイダやクリスチアーノ・ロナウドといったところを走らせようとするもので、裏へ抜けさせてプレッシングにかからないように走らせていた。センターバックの所から出されるそれを掴みきることは難しく、その後はダイレクトでパスを動かされてかいくぐられてカウンターをプレッシングによって出来た裏側のスペースへの利用を通じてしてくる。その一連のプレイはスピードを活かそうとしたもので、前へ向かう守備から受け止めることが出来ず、後ろに下がった選手がそれでも戻りながら対応しなければならないほど前へ仕掛けられていましたし、クロスも多く入れられてしまった。サイドを多く使われてサイドバックが高い位置を取りづらくさせられていましたが、まだそれほど危険なプレイはされていなかった。

スペインは押し込まれてもそこから一気にクリアしてしまうようなことはせず、パスを繋いで全体をどんどんと押し上げて元の位置にまで戻ってしまえていた。パスだけで足が止まってしまうようなことはなく、キープの時間が長くても仕掛けをしながらパスのタイミングを探していたり、パスを出して前へ動き直して人数を溜めていく。パスとドリブルの二つと、それと中への人数があるお陰でいくつかのシュートを打つことまで持っていけていましたし、バランスとしては良い状態でした。
ポゼッションから前へ運ぶ場合には、左のタッチライン際にビジャが開くことで、高くワイドな位置に起点を作って相手を広げようとしていました。中央でパスを回してしまうだけになることが多かったグループリーグとは違う展開で、相手に中央を固めさせず、引き出そうとすることで中央にスペースを作って切れ込んでの展開を狙えるようにしていました。

しかしポルトガルも緩やかな守備をいつまでも続けているわけではなく、徐々に中のイニエスタやチャビに対してマークに行くようになり、守備がポジションを重視したものから人を掴まえようとするように動き、ポルトガルからはエンジンがかかったような印象を受けましたが、囲い込んで奪い、カウンターをするにはいたらず、スペインの上手さが上回っているようでもありました。

ポルトガルが積極的な守備から攻撃に出ようとしてくれたお陰で、スペインのボールの奪われる位置がプレスをかけられる一になりましたし、フィード一つ出浦へ抜けようとする回数を減らして、中央に一度収めてからサイドや縦の展開を狙うようになったことでスペインのプレスの網にかかる回数が増えていった。ポルトガルは中央に一回当てて置くことでスペインの守備がサイドに出ようとしているところを中央に集め、そしてまたサイドを利用しようとしているかのようでありましたが、サイドを警戒するあまり中央を使わせてしまい、その点ではポルトガルの思い通りでした。

スペインは一時的に押し込まれることになって全体が下がってしまっていましたが、あまりこれが攻撃に響くことはなく、問題でもありませんでした。ボールをピボーテが受けてサイドバックと連動して横に動かしながら逆サイドへ運んび、スペースが作られていたそこを縦に利用する。縦のドリブルが相手を押し下げて前を塞がれてしまうと、中でパスを受ける。中央とサイドのポジションのバランスがよく、ボールをよく動かせていましたし、チャビやイニエスタがバイタルエリアで受けようとして、利用も出来ていました。
ただドリブルだけがスペインには足りておらず、ポルトガルが引いて守ってカウンターのスタイルを徹底し始めたことで崩しきることが難しくなり、徐々にブロックの外側や手前を利用しなければならなくなっていましたし、バイタルエリアも消されて利用できなかった。バルセロナのやり方に近くするのであれば、停滞してきた状況ではどこかでメッシがするようなドリブルでの変化と相手を引きつける動きを期待しなければなりませんでしたが、セルヒオ・ラモスやフェルナンド・トーレス、ビジャも縦への突破を狙おうとするものの、横へスライドして相手の視線を引きつけるような動きを出来る選手はいませんでしたし、奪われやすくカウンターの原因になりかねないそれを抑え気味にしているようでもありました。

後半になるとカプデビラがオーバーラップをして、左側も積極的に利用できるようになっていました。それまではビジャが起点となるだけでしたが、連携をすることでサイドでの縦の利用がクロスを入れられる可能性を広げていました。クロス自体に合わせるにはフェルナンド・トーレス一人では難しさがありましたが、サイドへ意識をつくよくさせることで中央にチャビやイニエスタが入って利用をできるだけの余裕を与えていました。

状況が変わったのはフェルナンド・ジョレンテが投入されてからで、ジョレンテの高さと中央でのポジション、最初のアーリークロスを合わせたプレイが強い印象となって残っているようで、クロスを警戒させるようになり、サイドから中への切れ込みへの反応を遅らせていけるようにもなっていました。サイドからのボールだけではなく、中央に縦パスを入れるときでも裏へ直接狙わなければならないのではなく、センターバックと競りながら体を張って収めてくれる。お陰でディフェンダーはカットに向かえず、体で押さえていることもあってポストプレイをしなくても中盤の選手がセンターバックからのチェックにさらされずにプレイをできる。得点の時のイニエスタとの連携も同じようなもので、あの体を張る姿勢があるからこそ展開の変化をつけられる。いいポストプレイでした。

得点を取ってしまえばあとはスペインは自分たちのボール回しをすることで十分な展開にすることが出来、ポルトガルが待ち構えるのではなく追いかけまわさなければならなくなっていましたが、押し込まれてしまってもスペインは最後にはジョレンテへのフィードで逃げる選択肢を得たことで楽に逃げられるようになっていました。センターバックやピボーテにもポルトガルのチェックを受けるようになっていましたが、ミスは多くなっているものの支配していることに変わりはありませんでした。逆サイドのサイドバックの上がりは少なくなって展開の幅は狭まりましたが、チャビが前後左右に動いてボールを引き出して回ることでポルトガルは全く奪えませんでしたし、スペインが体勢を整えていくことが出来た。

ポルトガルは奪いに行けばファウルにされてしまい、奪うことが出来ず再びスペインボールにしてしまう。奪いに行けば奪った後のスペースを利用される。ミスを誘ってもなかなかミスはせず、仕掛けていかなければ奪えない。苛立ったプレイが多くなってチェックは単調になってより奪いづらくさせていましたが、終了間際にはようやくポルトガルの時間を作ることが出来ていた。アーリークロスから何度もペナルティエリア内でのプレイの可能性があり、多くのチャンスをこの形から作れそうな気配がありましたが、リカルド・コスタが肘打ちをしたらしくレッドカードで退場になってしまったことで、その勢いも途切れてしまいました。

2010 FIFA World Cup Round of 16 パラグアイ対日本

2010 年 6 月 30 日 水曜日

■Paraguay(PK Win 5-3) 0 – 0 Japan
日本はフォアチェックから守備へと入っていましたが、すぐにそれは一定のラインまで引いて待ち構えるものへと変わっていきました。パラグアイが速攻だけを狙っているのではなく、きっちりとボールを保持してパスコースを探す時間もあった。それだけの余裕を持って持たれてしまうと徒労に終わる守備を選択することは難しく、ハーフウェーラインの手前で待ちかまるようになった。それよりパラグアイが持ち上がってくれば積極的にプレスに向かい、パスコースを塞いでいく。フォワードやサイドで受けようとする選手には体を預けて自由にさせず、スピードに乗らせないようにしている。

日本の攻撃はフィードを中心としたもので後方から本田を狙ったボールを出し、そのこぼれ球を拾ってから攻撃に繋いでいく。守備の位置があまり高くなく、ショートカウンターもそれほど狙える環境ではなかった。本来なら繋いで運んでいきたいところでしたが、パラグアイはボールサイドに人数を集めて守備をしようとする。スペースがあまり多くなく、奪ったあとに素早い切り替えからフォワードに後ろから追いかけられ時間を得られず、繋ぐことでカットされるリスクを背負ってしまうためにフィードを選択しなければならない部分もありました。

守備は徐々に安定をしていき、ボールに向かっていく意識と共に厳しく当たれるようになっていった。日本はボールに多く向かっていくのではなく、ゾーンとして一人が一人を掴まえておいて前へ運ばせにくい環境を作る。ゾーンがきっちりと構築されているお陰でパラグアイも攻撃の手段を後方からのフィードぐらいしか見つけられず、パスを出した後に動き出してもう一度パスを受けられるように、とはなっていない。サイドバックの裏を狙うパスを何度か出していこうとしていましたが、それは中のブロックを日本が抑えているために跳ね返される回数が多く、身長差のある外側を利用することでボールを受けて、そこからの展開を狙っていました。ただそれは日本の守備に引っかかることを嫌がっていて、こぼれ球をパラグアイが拾えていないことがよりパスを長くさせてタッチラインを割らせる回数を増やしていました。

ただ実際にボールをサイドで受けられてしまうと、日本の守備は数を向かわせることが出来なかった。中央を固めてフィードに対応することからサイドバックを中に絞らせて対応するケースが増えていき、中央の厚みとブロックはきっちりと出来ていましたが、サイドはその分大きなスペースを空けてしまっている。そこを埋めるためにサイドアタッカーの大久保や松井が戻らざるを得ず、全体を押し下げてしまう事にも繋がっていました。それでもクロスを上げさせずカットしてしまうことは出来ておらず、戻ってきて守備をするために一歩遅れてしまうこともある。そうなってしまうと身長の低いサイドバックがクロスに対応しなければならず危険でもありました。

サイドが下がってしまえば、攻撃が犠牲になってロングボールを出していくだけでしかない。本田がきっちりと収めてキープをしなければ押し上げていく時間は得られず、収めようとするとすぐに囲い込みに入られてしまう。日本が積極的な守備が出来ている段階ではこぼれ球への反応はとても早く、囲まれてしまってもセカンドボールを拾ったりパスを受けることも出来ていた。チェックはパラグアイのコントロールミスを誘い、奪いに出ることもできていましたし、パラグアイはディフェンダーがボールを奪われることを恐れてそこでボールを動かす回数を増やす事ができなくなっていましたが、パス自体の精度を落とすことは難しく、継続してそれを繰り返すことは出来ず、一進一退の状態で状況は常に繰り返されていました。

パラグアイは後半開始の前後から得点を取れない焦りからか縦パスを多く入れてくるようになっていました。後半になると日本は前へ積極的に人数をかけることで守備一辺倒にはならないことを示そうとしていましたが、それが日本のディフェンスラインと前との間を空けさせてしまって縦パスを通される原因にもなっていました。それでもサイドバックとアンカーはよく踏ん張って守っていましたが、パラグアイに何度かボールを拾われてミスをした。それがパラグアイに飛び出しをさせてピンチになりラインがそれによって恐れてしまってさらに下がり、パラグアイが持つとすっと下がってしまうようになった。それが守備全体の位置を低くしてしまって、全体のポジションが前半のように元に戻ってしまい、勢いは出せなくなってしまった。元に戻そうと遠藤や松井が本田と近い位置で守備をするようにしたことで、セカンドボールへの反応も増えていましたが、パラグアイの奪われた直後に囲い込んでしまう守備にかかっていることもあって、それでも効果的であり続けることは出来ませんでした。

日本は徐々に反応が遅れていってディフェンスラインが下がってしまうようになった。ルーズボールへの反応が遅くなり、ギアのチェンジができずに触れない場面が増えた。阿志賀でないことで近くの味方に頼むプレイが増えてしまい、それがボールを触っていない空白の時間を作ってしまい、相手に奪われてしまいそうな危険な場面を作ってしまうようになった。悪い傾向が出始め、クロスを多く入れられてしまうようになっていました。セットプレイやスローインのようなものであっても、サイドを深くから利用されるようになったことでボールをペナルティエリア内に運ばせてしまっていましたし、中央を固めていてもボールに触らせてしまうようにもなっていました。

選手交代から中央に人を残して本田が下がったりサイドに流れても中への選択肢を残せるようになっていましたし、中村憲剛からのパスがそれまで片側のサイドでの展開を続けてしまうことが多かった攻撃に逆サイドの選択肢を与えましたし、縦へのパスを積極的に入れることでスピードを得ようともしていた。

延長に入ると日本もパラグアイも前に出て動こうとするようになり、特にパラグアイはそれまでよりも日本が前に動いていたこともあって、追い越していく動きを見せていくようになった。フォワードをディフェンスラインと戦わせて裏を狙わせ、バリオスとアエド・バルデスを走らせて運動量で日本の最後尾を引っ張って間延びをさせていく。その手前で途中投入されたカルドーソらが触って裏へ出す。連動も出ていましたし、そこからサイドへ出されるボールに対して反応が遅れてしまう。中央を固める人数の他に余分はなく、サイドのケアに出て中央を薄くするよりも中できちんと触らせないことを目指しているようでした。何度も繰り返されてしまえばきっちりと固めていても、相手に触られてしまうようになるのは仕方が無く、シュートを何度も打たれ、サイドから中へのドリブルも許してしまい、決定的なパスを通してしまうこともあった。それでも全員が集中をして、体を張ってコースに入ってゴールを決めさせることはありませんでしたし、足が止まりかけている選手のサポートを他の選手が行い、全体のバランスを見ていられる選手もいた。パラグアイはファウルを貰いたがっているような様子もありましたが、それをファウルにさせずに止め、パラグアイ側に日本がファウルをさせるようにもなっていました。特に延長後半はパラグアイにとっては逃げ切るための戦い方でしか無く、時間を稼いで蹴らせないようなプレイも増えていましたし、ファウルの数はより多くなった。

ただ直接狙うフリーキックを日本は最後まで選択することはなく、得点も奪えずにPK戦へと突入し、そこでついに敗退をしてしまいました。
試合を通してどちらかに流れが傾くことはなく、一進一退の状況からどちらも決定的な形を作った。それをどちらも決めきれず、シュートを打てなかった場面もいくつかあった。

2010 FIFA World Cup Round of 16 ブラジル対チリ

2010 年 6 月 29 日 火曜日

■Brazil 3 – 0 Chili
ブラジルはフェリペ・メロとエラーノが怪我をしている影響からボランチにはラミレス、ミッドフィールダーにはダニエウ・アウベスを第三戦と同じく起用をしてきていました。カカとロビーニョが先発をしているお陰でシステムは元に戻り、攻撃に入ったときにサイドバックがオーバーラップを躊躇してしまい、サイドから攻撃が出来ない、というような場面は少なくなっていました。

ただ試合はチリの攻撃から入り、フォワードへボールを預けるのではなく、前へ仕掛けさせるためのパスを出し、ポストプレイのようにいったんスピードを止めてしまう危険のあるプレイは選択せずに、勢いを保ったまま前へ向かうことを選択しているようでした。中央とサイド両方でそのスタイルを使い、特に右サイドバックのマイコンの裏を狙うパスが多かった。マイコンがオーバーラップをして攻撃に参加していたためでもあるんですが、そこを利用しようとする意図がチリにはあったんですが、スペース自体は

チリの攻撃から入り、チリはフォワードに受けさせずに前へ仕掛けながら中に入れて、ブラジルのサイドバックとの勝負になる。手前でボールを持っている間にブラジルのサイドバック、そこの裏を狙ってクロスも。サイドバックのケアの為にジウベルト・シウバが中央からサイドバックのカバーのために動いているために利用できるほどのスペースはなく、ルシオを右に流れさせないことで中央のブロックは崩れず、サイドから中への展開も許していませんでした。ボランチが本来いるべきポジションは、フェリペ・メロほどではないもののラミレスがスライドしながら埋めているためにチリとしてはマイナスのボールを出して中央を利用することも出来てませんでした。

チリは積極的にボールを奪いに行っていましたが、奪い切るにはブラジルの体の使い方が上手くぶつかるだけでは奪わせてもらえませんでした。それに加えてカカら攻撃陣に対しても体をぶつけてバランスを崩させたい守備をしていましたが、それをさせてもらえなかった。それらの選手は他の味方が掴まえられているところにわざと入って、それを囮にしたりスクリーンにして守備を寄せさせないようにしてボールを受けて前へドリブルを仕掛ける。スペースは少ないものの、個人の判断と技術に優れた攻撃を何度か見せていました。
他にも積極的な守備と戻ってスペースを埋めようとする守備を利用して、戻りながらボールを受けたりプレイをすることで相手に囲ませるような形を作る。そうするとチリは前へと引き出されてしまって中盤の裏を使われてしまう。それでもチリは中央をセンターバックが固めているためにそれ以降には侵入を許さずミドルシュートを打つ程度で収めさせていましたが、ブラジルが中央の攻撃を中心にしてくれているお陰のようでもありました。

ブラジルは徐々にサイドバックを上げずあまり縦を崩そうとはしなくなっていきました。右もダニエウ・アウベスが外に出てこず、ボランチの前でプレイする機会が多くなり、カカやロビーニョの下で両者を繋ぐ役割にも似ていました。悪くいえば前後のポジションが縦に動く範囲を狭めているかのようなポジションで、サイドでボールを受けてマイコンとの連動も目指せませんでしたし、誰かをサイドに押し出して、そこのキープから自分が飛び出していく得意なプレイもしていなかった。中央に偏りすぎた攻撃がチリの囲い込もうとする守備を助けていましたし、シュートもあまり打てそうな気配はありませんでした。

そうやって停滞しているように見えたんですが、得点のきっかけになったのはマイコンのオーバーラップからでした。その頃にはサイドバックが上がってクロスを狙うようになっていましたし、ドリブルでの仕掛けも見られていました。ようやくサイドを使う意識が出たかのようで、そのクロスは跳ね返されてしまいましたが、それで得たコーナーキックから得点が生まれ、ブラジルはより堅く守ることができるようになっていきましたし、チリは攻撃に出なければならなくなっていた。状況は間延びしたカウンターの応酬のようでもあり、それでもチリは攻撃出てしまっていた。それがブラジルにスペースを与える結果になり、それまで固めていた中央を使わせてしまい、スピードに乗ったままプレイをさせてしまった。人数でそれを掴まえきれず、後方ではパスコースも塞ぎきれず、スルーパスを許してしまって失点をしてしまった。

ブラジルは二点のリードから攻撃にかけるバランスが変わり、サイドに流れながらボールを引き出していくことでチリの中央の守備をサイドに引き出していけるようになり、後ろから飛び出していく選手が中央に出来たそのスペースへと進入していき、チリが数的有利な環境を作って守れなくなった。

チリは後半から選手を入れ替えて攻撃に出ようとして、サイドバックの横を使い、相手を引き出してしまおうとするようになりました。前に人数を増やしたことでチェックを再び前から行えるようになっていましたし、ミスも誘えるようになっていった。サイドを多く使うようになったことから鋭いクロスを入れて、ブラジルに戻りながらの処理をさせようとする意図はありましたが、ブラジルの中央のブロックは非常に堅いまま壊していけませんでした。サイドの処理はサイドバックと中盤に任せられていて、ルシオやフアンはあまりポジションの変更をしてスペースを作ってしまわない。中盤のジウベルト・シウバやラミレスらが少しだけ前に出る、あるいは後ろに下がってスペースをより塞いで中央を圧縮してしまうことで、そのブロックの手前でボールを持たれる回数は増えましたが、徹底的なまでのスペースを消して固めるブロック構築を崩すことは出来ず、得点を決めるどころか追加点を許してしまうだけでした。

その後もチリは人数を入れてより攻撃をしようとしていましたが、どれだけ人数を入れてもルシオらのブロックを崩せず、間に入ることも揺さぶってスペースを作ることも難しく、その手前でシュートを打つしかありませんでした。サイドからクロスを入れても飛び出しても崩すことが出来ず、ボランチがその前できっちりと相手を止めて、スペースを埋めてマイナスのクロスやパスも許さず、ブラジルはブロックの外側を散々利用させるだけで確実な潰しをして、いくらかのこぼれ球を相手に与える程度でした。

2010 FIFA World Cup Round of 16 オランダ対スロバキア

2010 年 6 月 29 日 火曜日

■Netherlands 2 – 1 Slovakia
試合開始当初はスロバキアのボールキープ技術が目立つことから入っていました。パスを回して持ち続けるのではなく、一人一人が奪われないようにコントロールしながら前へ向かっていくことでキープをし、オランダがそのドリブルへの対応に出て行くこと出来る裏へのスペースへ入って、受けてシュートをする。オランダが囲い込んで奪おうとする意識を持っているため、キープしてそれを引きつけることができれば裏にスペースが出来、上手く利用でできそうな雰囲気を感じることはできていました。

守備でもスロバキアはロッベンに持たれる単純に飛び込まず、ディフェンスラインの前に中盤の選手を並べて、ロッベンがドリブルで中へ、縦へと進入していけないように厚く守っていました。その手前をスライドするようにドリブルさせているだけであれば脅威ではなく、限られたコースからミドルシュートをさせる程度でした。ただロッベンに対応するために厚みを作り中央へ集めるためサイドを使う余地はあり、オランダはサイドバックの外側を利用できれば、クロスを入れることは難しくなさそうでしたが、ロッベンが右に、カイトが左と利き足がサイドと逆であることからそういった利用は少なく、スペースを突くことは出来ていませんでした。

スロバキアは前から守備もしていたんですが、オランダのように激しく囲い込む事はしておらず、縦へ出すのを遅らせてセンターバックやディフェンシブ・ミッドフィールダーから前へ運ぶのを遅くさせる。ただ後方に人数を置いて備えているためにオランダが一度そこを通り抜けてしまうと、スロバキアの中央に絞った守備の前で受けられてしまう、あるいはボールサイドへ寄せた守備の前で受けられてしまうことになる。そこで受けられてしまうとディフェンダーはラインを高く保っていることから裏へのスペースがあり、飛び出しを狙われてしまいましたし、中央に寄った守備の外側にもその位置からなら利用をされてしまう。

そこまでは上手くロッベンを抑えておくための布陣が出来上がっていたんですが、カウンターとなるとそれを継続しておくのは難しかった。予め掴まえていてもスピードによって振り切られてしまい、ディフェンダーを縦関係にして抜かれた後のカバーでコースを限定して奪っていく動きが出来ずに横に並んで同じ動きをしてしまった。見事にロッベンのキレについて行けていけず失点をしてしまいましたが、その後は人数がいる状態では突破させていませんでしたし、勝負のドリブルもさせず、守り方は間違っていないことを証明していました。

先制点を得たオランダは後方に残る選手と前でボールを追い越す選手と分離をし始め、キープを完全なものにしていなければオーバーラップをしない、リスクを負わない攻撃へと変え、安定した守備の為の攻撃を目指し始めていました。後方でゆったりとキープしながらタッチライン際を使いながら前へ運んでいく。守備プランの変更をオランダはさせようとしているようでした。
スロバキアは焦らされていくことで早くボールを奪いたく、待ち構えて受け止める守備ブロックの構築を崩してしまい、オランダの選手が受けに戻る動きについて行ってしまっていました。オランダがその時間帯にしていたような、縦パスを収める選手に対して密着して体を預け、前向きの攻撃をさせずに抑え込んでしまおうとしたものではなく、一歩遅れて追いかけるもので効果的なものではありませんでした。オランダはそれだけではなく、スロバキアのセンターバックら、比較的テクニックの無い選手たちにはプレッシャーを与えてミスを誘う守備もしていて、上手く守れている印象がありましたが、受けさせないように強く当たる守備が連続してファウルになり、セットプレイから押し込まれる環境を作ってしまい、攻撃に出られなくしてしまっていました。

いくつか押し込んだことでスロバキアも前からの守備が出来るようになったものの、チェックをしてもオランダはセンターバックにも一定のテクニックがあって大崩れはせず、前へフィードできるためにあまり効果的ではありませんでしたが、オランダはフィードを受けるほど前に出ておらず、相手センターバックのへプレスも辞めてしまって、じっくりとスロバキアに持たせるようになっていました。後半に入ってもそういった相手に持たせて待ち構える状態からの変化はなく、一定の成功を収めていたスロバキアのセンターバックに対してのプレッシャーにもいかず、縦へのパスに対して密着して前を向かせなかったものも、少しセンターバックが距離を置いて守るようになってしまい、前を向くチャンスこそなかなか得られませんでしたが、真後ろを向きながら受けるしかなかった状況の改善はできていました。

オランダはスロバキアが攻勢に出ると同じく攻勢に出て一方的な展開を作らせないようにしたたかな変化をもたらしていて、こぼれ球からロッベンがチャンス作ったことをきっかけにペースを取り戻して、ボールをキープできるようになっていました。タッチライン際を多く使いながら前へとボールを運んでいく。パスに対して追い越していく選手も出てくるようになっていましたし、もう一点を取る意識が出てきているようでした。押し込まれてしまうことで、スロバキアはサイドを使って勝負を仕掛けようとしても、サイドバックとの連携は目指せず、一枚がオランダの二枚を相手に勝負をしなければならない。上手く一人をかわすことが出来ても次で捉えられてしまい、ファウルをも奪えない。

ロッベンに代えてエリアが入ったことで、オランダはカイトが右に回り、よりサイドを縦に使えるようになっていきました。攻めに転じようとしていたスロバキアを戻らせて、クロスを入れるようになった。これでスロバキアは引いて中を固めて跳ね返さなければならず、大きく戻ってスタミナを消費してしまう。運動量の増加から足が止まり始め、カウンターになっても上がって行けず、オランダの囲い込む守りを突破できず、パスで逃げるコースも用意できなくなった。そんな中でも裏へパスを出して決定的な形を作ることは出来ていたんですが、この日のスロバキアは枠にボールを飛ばすことが出来ず、決定力を欠いていました。

そして最後は自滅のようなものでした。判定に不満を持つことで守備への切り替えが遅くなり集中を欠いてしまった。オランダの抜け目ないクイックリスタートを許してしまい、追加点を決めさせてしまった。一点であれば追いつける可能性はまだあったんですが、二点差はあの時間では大きなものでした。

オランダは終了間際にはまた収めさせないように積極的な守備へと切り替え、スロバキアが何とか点を取るために出てこようとするタイミングで、オランダが積極的な守備から攻撃をしてスロバキアの前への意識を削る。試合の流れをコントロールしたオランダにスロバキアはパワープレイすら出来ず、人数も増やせなかった。
最後にPKを得て一矢報いることができましたが、それ以上の時間は残されていませんでした。

2010 FIFA World Cup Round of 16 アルゼンチン対メキシコ

2010 年 6 月 28 日 月曜日

■Argentina 3 – 1 Mexico
序盤は審判がファウルを取らないケースが多く、体の接触自体は多く倒れている姿も多く見かけられていたんですが、審判はファウルを取らずに試合を続けさせていました。アルゼンチン、メキシコ双方が体の使い方が上手く、ファウルにならない程度の奪い方をしていたこともありますし、ボールへ足を出す技術も持っていた。それ以上に審判が倒れる技術を警戒してのファウルの判断だったのかもしれません。

アルゼンチンはフォワードのそれぞれがマークを受けていて安定して受けさせてもらえませんでした。ゾーンに入った選手をメキシコはきっちりと掴まえていて、複数で囲い込むよりも一人に一人がつき、前へ動かせないようにしているようでした。アルゼンチンはフォワードのテベスこそ少しの運動量を発揮していましたが、後方の選手がボールを持った際に動き出してパスを要求するような動きは殆ど無く、足が止まっていてメキシコのマークを容易にさせていました。
メキシコは動きの少ないそこで奪ってからカウンターで縦へと一気にボールを運ぶ。アルゼンチンは足が止まってから守ることが多く積極的には奪いに入っておらず、緩やかにコースを切って縦のフィードをさせる程度ぐらいでしかありませんでした。前は一応防げていましたが、奪いに行くほどの積極性を持ったものではなく、その手前から二度ミドルシュートを打たれてゴールを脅かされてしまった。どちらも実際に得点になってもおかしくないもので、修正が必要な状況でした。

メキシコのきっちりとしたマークによってアルゼンチンは縦のボールを収めても、戻りながら受けるしか無く、勢いのあるチェックに対してかわす手段がそれほどありませんでした。周囲が動いていないことでサポートがすぐに受けられる状態ではなく、それぞれにマークがついているために、チェックを受けたからといって瞬間的に渡せる場所ができていない。メッシが受けてしまえば、これまでは動き出す姿が見られていましたが、この試合ではそれも見られず、ファウルやそれに似たプレイによって止められるばかりで、メッシは高いポジションを保つことが出来ずに試合を作るためにも中盤に下がってプレイする時間が大半を占めることになっていました。下がっていることで密着したマークは受けていないものの寄せは早く、ドリブルに入ることが出来れば止めることは難しいものの、周囲との連動が出来ておらず、パスコースも切られながら足手を押し込んでしまうために味方にパスを出せず、自分でシュートを打っていくぐらいしかありませんでした。強引なプレイですし、アルゼンチンはフォワード二人にメッシが中央に入っていってしまうために、中央に人数が集まってしまって、ドリブルでの仕掛けが中央に寄ってしまって、相手の守備に人数を増やしてしまっているだけ。メッシが下がって受けることで、相手の守備を引きつけて、バイタルエリアを空ける効果はあるんですが、サイドの利用は少なく、そこの利用もあまりありませんでした。

攻撃のバリエーションを用意できない中で得点できたのは幸運で、審判の誤審も含めて幸運とするしかないものでした。メキシコがフィードを跳ね返したボールがバイタルエリアのメッシへ渡ってしまい、裏へ抜けるテベスへのスルーパスになり、キーパーに跳ね返されたボールが再びメッシへ渡った。これをシュートをして直接決めてしまえばその後の問題は起こらなかったかもしれませんが、テベスが触らなければメキシコの選手に防がれていたかもしれない。そのテベスのポジションはオフサイドで、触っていたのなら笛を吹かれてゴールは無効になるべきだったんですが、主審も副審もゴールを認めてしまってこの試合の流れを変えてしまいました。副審の位置が不安定で判断できなかったのか、メキシコがきっちりと戻りすぎたためにブラインドになったのかは解りませんが、判断を間違ったのは確かでしょう。

それ以後はメキシコに苛立ちを増やしてしまい、当たりをファウルの寸前で止めることなくファウルになるようにもなった。しゅしんがそれまで笛を吹かなかった程度でも笛を吹いて試合を止めるようになりましたし、そこまで転げる選手は多くてもファウルの少ない試合だったものが一転して笛を多く吹かなければならない試合へ変化してしまいました。

アルゼンチンは得点をとっても動きを活発化する様子は見られず、メキシコにメッシへのマークをより一層つけられてしまうだけでした。多少フォワードが追う姿勢を見せてチェックをするようにはなっていましたが、完全ではありませんでしたし、焦るほどのものではないようにみえました。しかしオソリオが、コントロールかパスミスかは解りませんが、極めて単純な部分でミスをして、イグアインにアシストをしてしまい、自滅をしてしました。

アルゼンチンは後半から多少運動量が出てきて、立ってボールが来るのを待っているだけだったものが少しだけ動くようになった。メキシコがタイトなマークによって受けさせなかったものが、攻撃に出ようとする意識から緩めてしまったのかもしれませんが、アルゼンチンがボールを受けるためのスペースを作るようになっていました。それがテベスにバイタルエリアでボールを受けさせ、弾丸のシュートを決めさせる要因になっていて、変化が早くも結果に結びついて勝負を決めてしまいました。

メキシコは中央からサイドへ、サイドから中央へ。そうやってアルゼンチンの守備を横に動かし中に集めておいて、そこからサイドを利用する。アルゼンチンの守備が中盤のマスケラーノを中心にバイタルエリアを埋めていて、ドリブルで進入することを難しくさせているのも、その戦い方を選択している一つの要因でしょう。その外側からミドルシュートや、ドリブルでの仕掛け、クロス。変化はメキシコの方が多いように見えましたが、徐々に得点をしなければならい焦りから、メキシコは中央を使ってからサイドを使うようなバランスの良さが無くなっていき、サイドからサイドの利用をしてしまうようになり、アルゼンチンが対応に出られるようにしてしまっていました。チェックに向かう選手で中盤一見すると空いているように見えるものの、マスケラーノはしっかりとセンターバックの前に立ちはだかることでメキシコはそこへ進入することができずに、マスケラーノをなんとか回避したがっているような攻めをしてました。引っかからないように少し軸をずらして縦パスを通す。横に揺さぶりながらミドルシュートを打つ。変化はいくつかありましたが、得点に繋がったのはマスケラーノの側を通した縦パスからエルナンデスがコントロール一つで抜いてゴールを決めた場面のみでした。

ベロンが投入されたことでメッシのポジションを一つ上げたものの、パスの安定供給はなされずに、中央で受けて直接ゴールを狙えるような受け方は出来ておらず、サイドに流れてから受けなければならなかった。そこからドリブルで入っていってもコースは塞がれていて左足側を切られながらカットインしてもシュートまでは持っていけず、多少のアクセントにはなっているもののそれ止まりでしかなく、メッシはコントロールをミスするなど持ち味を出しきることはできていませんでした。ロスタイムにドリブルからシュートまで持っていきましたが、やはりゴールにはならず、この日もメッシはゴールに恵まれていませんでした。