■Sevilla 2 – 4 Real Madrid
クラシコ前だからというのがあって、マドリーの試合を見たんですが、それ以上に大きな要素を占めていたのは、バルサが前日に引き分けて、マドリーとしては差を縮めるためには何としても勝たなければならない、という部分。個人的には、セビリアに勝って欲しく、その願望に満ちあふれた見方をしているのを(いつものこととはいえ)予め白状しておきます。そしてそのことをご了承ください。
両者共に出足は、ボールを収めるところを潰す意識を出していて、特に中盤のつぶし合いから前へ展開する、というよりも、まず潰すだけというようでした。セビリア側は多少攻撃のことを意識こそしていましたが、守備自体のスタイルは前で如何に相手にプレスをしボールを前に出させないかに終始して、ポストプレイこそ封じていましたが裏へ抜けられることに関しては全く注意を払っていないと思えるほどに薄いものでした。オフサイドになったものの、最初にイグアインに抜けられたところで意識の変化をして修正をしていくかと思いきや、その後も姿勢としては変わりませんでした。ただ、マドリー側が高い位置でボールを収められず、近い距離からディフェンスラインの裏側へスルーパスを出せないでいたのも変わりませんでしたから大きな問題にはならないようでした。主に攻撃はセルヒオ・ラモスの右サイドのオーバーラップから縦へ向かおうとするもの(それもうまくいっているとは思えず中途半端なポジショニングで終わっていた)や、後方からのクリアをロングフィードにして一発で相手の裏を狙う、リスクを大幅に軽減した攻め方だけで、繋ぐことをせずに収めることも出来ず、攻撃のスタイルとしては単調で、裏のケアが出来ていないセビリアであっても、それだけの滞空時間のあるものであれば対応は問題なく、得点の匂いは全くしなかった。
セビリアの攻撃は、レナトとカヌーテが左右に動きつつもボールを中央で収めるもので、中盤のつぶし合いの一歩先にボールを収めることで、ある程度スペースのあるところでボールを受けられる状況になることが多く、前がかりになっている中盤の守備と後方で待ちかまえなければならないディフェンスラインとのギャップから、受けられるだけのスペースが出来ていたのも事実でした。オーバーラップするセルヒオ・ラモスの裏側や、スピードで圧倒されているミゲル・トーレスの裏側をカバーするためにもセンターバックは裏の意識を持っていなければならなかったために、ポストプレイに対して強く当たることが出来ず、それらが左右に展開される要素にもなっていて、ラサナ・ディアラが動き回ってサイドのケアまで走り回って対応していましたが、それらも中央から引きずり出されて居る側面の方が強く出ており、上手く立ち回っているとは言いがたいものでした。それに両センターバックの特徴が、対人能力よりもカバーリングの人たちでしたからスピードに難があることもあって、そう守る姿勢になるだろうというのは見えていました。ですから、セビリアの攻撃のやり方は非常によかった。先制点の場面を含めてよかった。ただもう少し何かしらの要素があれば、追加点を奪えて流れを決めるだけの要素になれたのかもしれませんね。
マドリーの攻撃は、本当に裏を狙うスルーパスが中心になったもので、どの位置からでもスルーパスを狙い続ける、ともすれば単調で退屈なサッカーだったんですが、セビリアの守備も攻撃も前への意識を強くしているために、セビリアのボールを高い位置で奪ったときや、妙なエアポケットが出来てしまった瞬間などは裏一本であっても十分に得点できるだけのチャンスを演出できていましたし、実際に得点を得るだけの場面を作り出していた。どれもセビリアの不注意によるものでしたが、マドリーの選手たちがする同一の動きは、得点に焦りすぎているからのもので、個々に多様性がないためにパスコースが限定されていたり、裏へ抜けた後の展開にもバリエーションを付けられませんでした。それ以上に得点を取らなければならない焦りが、いくつも正確性のないプレイを生んでしまい、なかなか得点には結びつきませんでしたね。セビリアのように味方を信じて動き続けていれば、もう少し違ったバリエーションがあったのかもしれませんが、同点のゴール自体は、常に裏を狙い続けたからこそ生まれたもので、状況の修正から打開していくものではなかったのでがっかり。
そしてセビリアも守備の修正をしなければならないのを無視続けた結果の失点で、ある種ミスといえる失点で、その後の失点も、状況が決していた4点目以外は、ほぼ全てミスによるもので、セビリアのここ最近の不調をうかがい知ることが出来るような自滅っぷり。
マドリーは得点前後にはしっかりと中盤の高い位置でボールを受けられるようになっていましたし、近い距離のパスも出せるようになり、こぼれ球のサポートも得られるようになっていた。単調な中に改善があったのも事実で、マドリーの勝利は試合の推移を見れば妥当なもの。
クラシコの持つ意味合いが大きくなったことを考えると、リーガ全体としてはいいことであっても、バルサを応援する身からすると冷や汗もの。日程の厳しさが同じなら大きくアドバンテージがありそうな内容でも、そうではないので地獄ですよ。本当に。