‘Football 08/09’ カテゴリーのアーカイブ

DFB-Pokal Finale レバークーゼン対ヴェルダー・ブレーメン

2009 年 5 月 31 日 日曜日

■Bayer Leverkusen 0 – 1 Werder Bremen
開始早々は両者共に高いラインを形成し、それによって中盤でプレッシャーを与えようというのが基本姿勢ですが、一時的にレバークーゼンが押し込み、その形はすぐに崩れました。レナト・アウグストとバルネッタという二人のサイドアタッカーがいるお陰で、高い位置からサイドをえぐることが出来、ディフェンスラインを押し下げる効果も期待できた。ブレーメンは、それによってサイドのエリアを一手に担うサイドバックを上がらせることが出来なくなり、ヂエゴに付いたマークを分散させることも、中央を抜けようとするアウメイダとピサロの二人への集中力を削ぐことも難しくなった。サイドバックをある程度守備に専念させることで、サイドバックの攻撃を抑え、ラインを押し留めることには成功しましたが、攻撃面では影響が出るのは必至。

ブレーメンは、ヂエゴが前後左右に動きマークを引き連れて動くことでスペースを作り、エジルが入り込み、フォワードとの関係を近く維持しておくことを重視していました。それによって裏へ抜けようとするアウメイダやピサロの動きを実らせようとしていましたが、残念なことにこの試合の副審の判断はオフサイドにとても厳しく、それらが実ることはなかなかありませんでした。
中央からの攻撃はそれによって行き詰まることも多く、アウメイダを中心としてサイドに開く選手が増え、エジルらとセットでスペースを利用し始めたものの、中にいる選手を犠牲にして外へ開いているために、早い段階でクロスを入れることも難しく、深くまでえぐったとしても中の選手が増えるわけではありませんから、可能性の低いものしか送り込むことはできませんでした。それぞれがサポートを得ながら展開して、中に人数を溜めていくことが出来ればよかったんですが、フリングスにしろヂエゴにしろ、そういう動きの得意な選手ではなく、体を張らなければならないアウメイダが開かなければならにのは致命的でもありました。が、エジルとヂエゴ、フリングスの三枚が効果的にポジションを取り直しボールを引き出す動きを多用することで、マークをずらしボールをスムーズに動かせるだけの余裕を全体に与えていましたから、攻撃全体はスムーズで、フォワードとの距離が開きすぎず、いい関係のように思えました。UEFA Cupでもヂエゴがいれば、こういった形が見られたかもしれないと思うと、勿体なかったですね、本当に。

レバークーゼンの序盤こそ上手くいっていた攻撃が、ブレーメンのサイドバックが守備に専念するようになりうまくいかなくなり、サイドを起点に構築することが出来なくなり、どんどんと攻撃の手段を失っていきました。サイドにボールが渡り縦のドリブルを仕掛けることが出来る環境が出来上がれば、中を犠牲にすることなく攻めていることからクロスを早い段階で上げても中に人数がおり、変わった形を作ってもエルメスの抜群のポジショニングからチャンスを作ることは出来る。でも、そこまでボールが渡ってこなければ何もなりません。
ブレーメンの守備は、高い位置からチェックを仕掛けず、ハーフウェーラインを越えるまでは傍観者のようにしているんですが、それと連動してディフェンスラインを下げるようなことをせず、高いラインを保っているお陰で中盤にはスペースを埋めた状況を作り出せていて、抑えられている。そうなってしまうとセンターバックがボールを触る機会が非常に多くなるんですが、フリードリッヒにもシンキエビッツにしても展開力があるわけではなく、ロングフィードでフォワードへボールを一気に渡せるわけではない。もちろんマークの厳しい中央に鋭いパスを出せるはずもなく、センターバック同士、あるいはサイドバックとのパス交換をするしかなく、その間にマークがずれるのを待っているようでした。でもそれを行っている間に中の選手や前がいくらか動いて相手を掻き回す姿勢を見せなければ、ただ単調に回しているだけに過ぎなくなり、いくらボールを動かしても打開策が見つからないままでした。本来なら、ロルフェスとヴィダルはボールを引き出しにいかなければならないのにまったく動かない。キースリンクの運動量もあまり発揮されているとは言えず、エルメスの運動量の無さは相変わらずだから、ロングフィードの精度がなく走っても無駄走りになりがちで、前も動かないからボールを出せるわけがなく、相互の不信によって機能不全に陥っていましたね。

後半になってからは、レバークーゼンは失っていた「何か」を取り戻したかのように積極的に動くようにもなりましたし、相手に当たることも多くなった。攻撃に人数をかけるようにもなったしスピードも増して、ボールを引き出すための動きを、中盤より前の選手たちがし始めた。特にキースリンクがサイドに開いてサイドバックからのボールを受けられるようになったのは大きく、非常に良い傾向にありました。それと同時に、ブレーメンのそれまでのボールの動きを封じる結果にもなり、得点が動くまではブレーメンが前半のレバークーゼンのようにボールが前に出ないままディフェンスラインで苦労してしまうようになり、あまり引き出す動きが無くなりました。そしてせっかく相手を封じ込めるいい守備になっていたハーフウェーラインまで手を出さない守備も辞めてしまい、しびれを切らしたように前からチェックをするようになってしまった。それによって少しずつ守備にずれが生じてレバークーゼンのボールが前へ移動していくのを助けてしまっていましたし、サイドバックが前に上がれるだけのキープとスペースをもさせていた。そうなると中央も活きてくるのだから、一歩間違っていれば逆の可能性もありましたね。

UEFA Champions League Final バルセロナ対マンチェスター・ユナイテッド

2009 年 5 月 28 日 木曜日

■FC Barcelona 2 – 0 Manchester United
マンチェスター・ユナイテッドはフレッチャーを欠き、バルセロナはダニエウ・アウベス、マルケス、アビダルを欠いていた。でもイニエスタとアンリはぎりぎりで間に合い二人とも無事に出場をすることが出来た。それが非常に大きな要素でした。

最序盤では序盤から勢いを持って試合を動かしていたのはユナイテッドでした。バルサが守備陣形を整え、高い位置からプレッシャーをかけられる環境を作るためにポゼッションを開始する、その前に全体を連動させて勢いをぶつけてきていました。バルサは浮き足立っているかのようなミスをしてフリーキックを与え、失点をしそうな場面をも作り出してしまった。失点こそしなかったものの、出足としては最悪でした。ただ、直後から攻撃の形を作れなくともサイドバックを高い位置に上げプレッシャーをかける意志を見せ、ずるずると下がらないのを明確化したのは非常に良いことでした。
そのお陰でどちらも主導権を持ってパスを回すことが出来ず、シャビの位置は下がり、セルヒオ・ブスケツとイニエスタの位置も低かった。その影響からシャビとイニエスタのマークに付いていたアンデルソンとキャリックの二人が引っ張られるようにして前へとポジションを移していた。ユナイテッドの攻撃の厚みを増す意味ではその前へ出てくる動きはいい働きをしたとしても、裏や前へ狙いを定められないときの戻しがディフェンスラインにまで戻す羽目になってしまうのは善し悪しといったところでしょうか。個人的にはその部分は中盤を埋め続けるのだと思っていただけに意外で、可能性を感じさせてくれました。

クリスチアーノ・ロナウドが幾つかのシュートを放ち、さらに流れを確固たるものにするかと思われたものを、徐々に中盤中央のポジションが変化をしていって、アンデルソンが前目のポジションを取るようになり、キャリックが低くポジションを取るようになった。横に並びスペースを埋めていたものが縦に並び、イニエスタ、シャビの両方にかかっていたマークが、シャビとメッシへと変化をしていき、イニエスタがセンターハーフのマークを受けなくなったのが全てでした。メッシが軽く落としたボールがマークを分散させ、一瞬足を止めさせた。それだけで十分でイニエスタは前を向いてプレイを出来る環境をもらい、決定的なパスを出すには十分だった。あとは国内で空回りをしたエトーがこのためのものだったと言わんばかりに、きっちり決めて先制点。流れを構築し切らなくても得点を決められるようになったのが今季のバルサが強い要素なんでしょうね。

この得点が全ての流れを決定づけてしまったよう。浮き足だったように、らしくないプレイをユナイテッドが連発するようになり、コーナーキックからバルサはボールを前で回せるようになり、ポゼッションを高められるようになった。それまではそれほど高い位置からプレッシャーをかけられなかったけれど、高い位置で動きながらパスを回せることで、動きながら切り替えられるようになり、高い位置かプレッシャーをかけられるようになった。そうなるとイニエスタやシャビ、セルヒオ・ブスケツが前を向いてボールを扱えるようになり、中盤にメッシが下がってくることで、二枚のセンターハーフでは対応しきれない環境になっていく。中に集中するバルサの選手たちを止めるために意識が中へ向き、サイドの選手はフリーになる。連続したパスからのポゼッションは、ペナルティエリア内へ飛び込む選手がおらずそこを狙うことはできないし裏側を狙えないが、そしてエトーとアンリはサイドに開いて密集した局面を作らせないようにしていた。ディフェンスライン前で回すことだけでも、十分に相手を押し込め、ユナイテッドの枚数をかけてスピードを活かした攻撃をさせないようにした。

ただ、バルサのスピードのないセンターバックの裏側を狙う攻撃は多く、それらに対応するには厳しいものがありました。後ろへ向かう対応をさせられると主導権を完全に失うために、前で止めようとする意識を強く持つようになり、トゥーレ・ヤヤはアンカーのように、前へいくことでパスを出させないようにし、中央へのカバーをプジョルが行う。でも、そうなっていると相手に裏を狙われやすくなり、パク・チソンとルーニーの豊富な運動量とスピードによっていくつも裏へ入れられ形が決まりかけていたものの、精度を欠くボールが多く、明確にそれを継続できなかったのは助かりましたね。
それとバルサのアンカーがブスケツで、前に出がちな部分を利用してこないのも大きく助かった部分でした。彼のポジションが、いつものものよりも後ろのスペースを意識したものになっていたとしても、その裏側、つまりディフェンスラインの一つ前にスペースが空いてしまうことが多く、もしそこをボールの収め所として利用することが出来ていれば、裏への展開を容易にすることができていたのかもしれませんが、最初から最後までサイドに固執して、中央の利用可能な部分を利用しないのも、バルサを助けていました。

前半途中から大勢は決まり始め、メッシが下がってボールを受けることで、シャビが下がって回すことの変化に対応できるようになり、イニエスタとメッシが同列のようになり、ユナイテッドの中央にいる守備の許容量を超えてパスを回し始め、シャビを含めた三人が中央で構築するようになる。ドリブルもあり、ボールコントロールの瞬間で抜かれてしまう、前を向かれてしまうことから激しく当たることが出来ず、ユナイテッドは人数が揃うまで耐えるしかなく、多くの局面で前を向いたままパスを回せる環境が出来ていっていました。傍観者のようなりながら狙い所を探っても、なかなかそれを見つけさせてもらえないらしく、それを探すことに集中しすぎていてトゥーレ・ヤヤやプジョルのオーバーラップをも許してしまうほど。サポートの位置が近く、寄せても苦にしないバルサに守備のポイントを見失っているようでした。

あとは、バルサは高く保てるお陰で、守備の切り替えの位置も高くなり、ボールを奪う位置も高くなった。相手に繋がせず、クリアがバルサの下へ来るほど相手に正確な繋ぎをさせず、押し込み、カウンターをさせない。クリスチアーノ・ロナウドには触らせなければ、カウンターに来られても、パスのレンジが長くなり、迫力のあるものが出来なくなった。バルサは高い位置をディフェンスラインが保てるようになり、パスを出させるスペースを塞ぎ、裏へ出されにくくなった。出所が抑えられれば、裏へ出されても、精度を落とすことが出来、可能性は限られる。

と、そんなところです。
バルサの優勝に浮かれて、試合中のメモを羅列する程度しかできません。

三冠達成にメッシの得点王。そしてカピタン・プジョルが大耳を掲げてもう言うことは何もない――かもしれない。

Liga Espanola Jornadas 37. ビジャレアル対バレンシア

2009 年 5 月 24 日 日曜日

■Villareal 3 – 1 Valencia
どちらかがチャンピオンズリーグ圏内を獲得し、どちらかがヨーロッパリーグ出場権をも逃してしまう可能性が出てくる試合。そしてダービーで、既に優勝が決まったリーガの中で情熱を失っていない二つのクラブの直接対決で、面白みがある試合だったので見たわけですが、その前に見たブンデスリーガの試合と同じように、他会場の結果が結果だったので変動は得られず。

ビジャレアルは、ここのところと同じようにイバガサとピレスのセットで試合を開始し、彼らのセットを使うようになってから上手くいくようになってますね。マルコス・セナの欠場を守備面では埋めづらく、失点こそし続けてしまっていますが、攻撃面のスムーズさはかなり出てきた。二人の持つ抜群のキープ力と、視野の広さとパス、リズム、そしてサポートをする適切な間隔にってビジャレアルの解く問するショートパスを繋ぐスタイルを大きく助けているのは確かですね。二人が繋げて上手く中盤が構築できることで、フォワードの二人が余計な仕事をせずに済むのは非常によかった。

マルチェナは当然それを感じていて抑えなければならない役目を与えられていた。だからこそ激しく当たりに行き、そこを抑えようとしていました。が、開始早々にイエローが出されてしまっても当然であるべきファウルをしただけでなく、その周辺の選手対しても激しく行きすぎるほどやっているわけで、荒れてしまう可能性を考慮して、早めに納めておくべきだったのかもしれません。抑えなければならない部分だったとしても、マルチェナはやり過ぎ、気合いはいりすぎで、不必要なプレイも幾つかしていましたから、試合終了まででなかったのは奇蹟にも近いものでした。それでもまぁ、審判は上手くコントロールしたのかもしれません。マルチェナに出さなかったからこそ、ここまで必要以上に荒れなかったと言えるのかもしれませんし。

ビジャレアルはイバガサが負傷退場をして、少しバランスを崩してしまう時間帯がありましたが、修正するまでに思ったほど時間を必要としなかったのは非常によかったですね。
それまで上手く周囲との連携を取り、ピレスが上下動するスペースをイバガサが補間していたんですが、それもできなくなった。ピレスがサイドに出て行かなければならなくなり、低い位置から構築するのが難しくなるんですが、ピボーテの二人、ブルーノとエグレンが構築能力に優れてれば彼らに任せてもいいんですがオフ・ザ・ボールの動きにしても、パスの繋ぎに関しても高いものを求められず、展開は難しいままでした。結局、ピレスが戻らなければならず、中央に三枚になってしまう場面が増えてしまった。そうなると前で受けるべき選手がカニしかいなくなり抑えやすく、それを避けるとすればピレスがパスを出す相手はフォワードの二人を含めなければならなくなる。それまではフォワードの二人に避けない仕事を押しつけなかったからこそのスムーズさだったので不安だったんですが、上手く修正し流れを変えましたね。
戻って受けることが必要になり、一つの手間をかけなければならず、直接裏には出づらい環境になってしまい、ポストプレイからサイドへ流しての展開が多くなってました。戻る時間を相手に与えがちになってしまうものの、カウンターを主体として守りの人数を崩さないバレンシアにとってはそれをやっても大きな問題はなく、それどころか片側のサイドでボールを回すことで守備の陣形を寄せてバランスを崩してしまうことが可能になった。二点目はその形で左に寄せておいて右側へ流して得点。非常に綺麗な流れでした。

ビジャレアルが非常に手数をかける一方で、バレンシアは非常にシンプルに裏を狙うばかりが目につきました。シルバがいなくて変化はつけられないけれど、それでもビジャを中心とした飛び出しやスピードは大きな武器になりますし、リスクも減らしたまま攻撃が出来るのだから、別に違和感のあるものではなかった。しかしながらピボーテのラインからでも、一発のパスを裏へ出し、それからシュートを狙っていくのは単純すぎる嫌いがあり、単調になりがちなところを、それぞれの選手のアイデアで解消していくことはあったとしても、戦術として乏しいように感じられたわけです。

バレンシアが手数をかけられないのは、中央で納められる選手がいないのも一つの影響でしょう。ビジャは受けようとするよりも、裏を狙い、ディフェンスライン引っ張っていくことが中心であったり、サイドに流れて起点になろうとする動きがあったとしても、他のパブロ・エルナンデスやマタ、ホアキンのいずれも中央で受けて納められる選手ではない。ビジャレアルが手数をかけて押し込んできたときに、何か一つを納めて、そこから全体を押し上げていくことができない。常に前を向きながらではないと難しく、スピードや個人の技術を活かして進出していくことは可能だとしても全体が追いつかないから、ピンポイントで合わせなければ得点にはならず、可能性としては小さなものに留まってしまいました。

モリエンテス投入後も、バレンシアの攻撃の起点がサイドでしかできなかったのは、ビジャレアルが自陣に綺麗な二つのラインを構築して守りに集中していたからに他ならず、バラハのいるラインまではボールを自由に持ててもそこから先に躊躇していたのがそれを顕著に表していたでしょう。ディフェンスラインの前に、あと一つのラインがもう一つ前にあり、前後に動き、相当な負担のかかっているピレスでさえラインに参加して二つのラインを適切な間隔で構築している。その中央の部分はイバガサがいなくなった影響から守備の得意な二人であり、より中央では受けづらく、スペースも消されてしまってポストプレイのボールが収まらなくなっている。だからこそサイドに起点を求めようとしていましたが、それをしたところで、ビジャレアルのラインが適切に保たれていることで、どちらかのサイドに守備の人数を固めてしまうことをせずに守れ、逆サイドを利用しようとしても陣形が崩れない。本当に集中していていい守備だったと思います。

バレンシアもいいチームなんだけど、環境や監督の差かもしれませんね。できることなら、ビジャレアルにはもう一度チャンピオンズリーグの出場権を獲得して欲しい。アトレチコにも出場権を取って欲しいんですが、両方に望むことは難しく――。

Bundesliga 34. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対シュツットガルト

2009 年 5 月 24 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 2 – 1 VfB Stuttgart
勝てば優勝の可能性が多少あり、負ければ一気にチャンピオンズリーグ出場権すら失う可能性がある試合だったんですが、結果を書くとすると、順位の変動こそあっても以上でもそれ以外でもない試合に途中からなってしまっていましたね。ヴォルフスブルクは早い段階で得点を重ねて勝負を決めてしまい、もう優勝の可能性が全く見えなくなってしまっていた。ヘルタ・ベルリンも前半のうちに二失点をしてしまい、上下に動く可能性は極端に低くなってしまった。となると、この試合に関係してくるのは来季の日程ぐらいなものでした。

この試合はまた右にソサとルシオを置いた布陣でしたが、以前の試合よりはルシオの動きは改善されて見え、前の試合のような失態はしませんでした。準備をするだけの時間があったお陰でしょうけど、ディフェンスラインを整えることもある程度出来ているようになっていたものの、サイドバックの動きではなく、センターバックがリベロの真似事をしているだけに過ぎないもので、裏のケアであるとか、横のスペースのケアはいまいちでした。
それが露呈しなかったのは、シュツットガルトが積極的に左サイドからの攻撃を仕掛けることをせず、カカウが右、マリオ・ゴメスが中央にいたぐらいなもので、ワイドな攻めがそれほど無かったことが影響しているんでしょう。
バイエルンの攻撃も同じ事がいえ、全くワイドに使えていませんでした。攻撃は単発でフォワードに頼り、その影響から中央に集まりがち。得点も似たようなものでしたね。頼った相手がリベリーだったというだけで、ドリブルからポドルスキとワンツーで裏へ抜け出し、クロスかシュートか。形を見る限りではクロスを入れようとしたものが、ディフェンダーのブーラルーズにあたってオウンゴール。今のバイエルンにはあの手の形しか残されていなくて、左サイドでスピードに乗ったままパスを繋いで裏へ抜け出すだけ。それだけのタレントが左にそろっているということでもありますが、右が全く使い物にならなかったから仕方ないというか何というか。

序盤のバイエルンの守備は、高い位置からプレスをすることで後方の脆弱さを隠そうとしているようでした。サイドから攻められたとき、特にディフェンスラインが思いっきり下がってしまう。簡単にクロスがゴール前まで飛んでいく環境になっていて、相手を押し下げる努力をまったくしていない。それでいて、高い位置からプレスをしているのに、サイドでボールを保持されると誰も当たりに行かずに、簡単にクロスを入れさせる。クロスを入れられると危険な環境を作りながら、クロスを入れさせてしまう守りかたになってしまうから、一気に高い位置で奪ってしまおうとしているようにさえ見えました。ただ、そういったある程度組織化されたフォアチェックは、シュツットガルトの選手たちには効果的で、慌てさせ、的確な繋ぎをさせないのには十分役立っていた。ヒツルスベルガーに応えられる選手が、カカウ、マリオ・ゴメスだけだとして、それらの選手にキープ力があるわけではありませんから、上手く形を作れない。もちろんプレイスタイルが違いますしね。
ただし、ディフェンスラインが下がってしまうのはよくないことで、下がりすぎた影響から、マリオ・ゴメスにポストプレイを出来る環境を与えてしまい、それまで形が作れなかったのをある程度解消させる要因になってしまっていました。そして、ポストプレイで落としたものや、セカンドボールを拾われるようになり、下がりすぎたラインの前からミドルシュートを打てる環境をも与えてしまっていた。さらにゴメスが落とさなくても、別の選手が落としたものをゴメスが受けて前を向いたまま仕掛けることもあり、一本のパスを落とせれば、自由に前を向けるスペースが出来上がってしまう。ディフェンスラインの当たり方と、構築の仕方に問題があり、下がりすぎることと、その前を埋められる選手が未だに居ないから、そういった攻めを許してしまう。

戦犯とするならブーラルーズで、オウンゴールは仕方がないとしても、前半終了間際にあったミスは致命的なもので、上下のクラブがそれぞれこの試合を楽にしてくれていなければ、非常に大きなバッシングを受けることになっていたでしょう。単純なクロスをクリアミスし、トニにプレゼントボールを渡すなんて……。ただ、「急にボールが来たので」とでも言うべき外し方をトニがしてくれたお陰でなんとかなりましたが、非常にお粗末。

あとはバイエルンの三点目が取り消された場面も、前半にあったシュツットガルトへの不可解なオフサイドの判定からすると妥当なもので、あの副審の判断としては一貫していて問題なかった。
で、その不満が消えないうちに決められたゴメスのゴールは素晴らしく、とてつもないものでしたね。チームの流れを作り、バイエルンに精神的な落ち込みからリズムを崩させるには十分すぎるものでしたが、それまで。

なんというか、もっと大幅な変動が起こる可能性を考えていただけに、がっかりもしたけど安心もした。残りは選手の放出と獲得、そしてファン・ハールがどれだけバイエルンをぶち壊すか、といった程度でしょうか。個人的には来季には期待を持てる要素が今のところ無く、チャンピオンズリーグで恥をかかなければいいと思っているくらい。他のブンデスリーガの各クラブにしても、チャンピオンズリーグで戦えるかどうか。

UEFA Cup Final シャフタール・ドネツク対ヴェルダー・ブレーメン

2009 年 5 月 21 日 木曜日

■Shakhtar Donetsk 2 – 1 Werder Bremen
国内ではさっぱりなブレーメンがよくぞここまで残ったものだと思ったんですが、最後の最後でヂエゴがおらず、主要な選手の幾つかも怪我や出場停止で欠いている。その苦しさがにじみ出ていましたね。

今季いまいちなローゼンベリはボールに触りづらく、いいポジションを取ることが出来なかった。ピサロはマークされていて、ボールを受けて前を向くことが出来ず、収めることすらままならず、足下にボールがつかない。
ハントがフルタイム出場できる状態なら先発をさせて、エジルと二枚で構築していけばある程度やれたのかもしれませんが、この試合ではその状態にはなく、中盤はいつものようにダイヤモンド型に似たシステムは作れないまま。ボックス型に近いけれど、エジルが一枚で攻撃に動き回り、右側はあまり攻撃が盛んではなく、フリッツが上がれるときに利用するのみ。エジルのプレイエリアが左に偏っていて、ピサロもどちらかといえばそちらに進出することも多い。
ニーメイヤーがもっと動き、中央を活性化させられればいいんだけど、特定のポジションからあまり動かず、いいポジションを取るのが上手くないので、二枚のディフェンシブ・ミッドフィールダーでやっているのに、その良さが出てこず、フリングスを攻撃に専念させることも、彼が早いチェックと的確な潰し、あるいは攻撃に進出していって活性化させることもできず、いまいちでしたね。

前半は特に左から攻められることが多く、相手のドリブラーに上手く対応できないボーニッシュは翻弄されていました。それをカバーするためにナウドが左に引っ張られることが多く、それらは”いつもの”ブレーメンであったとしても、彼の素早く的確なカバーリングがあるからこそ助かっているけれど、左をやられ、中央も埋められていないとなると守備の不安定さは増すばかり。ロングボールへの対応もナウドが中心だけど、中にいるのはメルテザッカーではなくプレドル。ぎりぎりの守備に見えました。

攻撃は前述の通り、ボールの収め所がないことから展開しづらく、ピサロは厳しくマークされていて、エジル一枚でどうにか出来るほどではない。ヂエゴがいるからこそ、彼がゲームを組み立てたり勝負を決めるプレイが出来たわけで、そういった囮がない中を一枚で担うにはやはり無理があるわけです。
フリングスが中に入ってきたり、ピサロが引いて受けてみたり、色々工夫はしていけど、このレベルまで来る相手を一枚+αでコントロールするのは無理でしょう。もっと攻撃をワイドに使えれば、相手の守備を分散させて中央で受けやすい環境を作れるんでしょうが、エジルが左に引っ張ってしまうと、中央で構築をする選手がおらず、代わりにピサロがやらなければならなくなる。そうするとローゼンベリしかいなくなり、手詰まりになる。
せめてニーメイヤーがもっと的確な繋ぎなりなんなりができればいいんですが、一人だけリズムが違うだけで、上手く特徴が出ないまま。うまくいけばリズムを替えられる選手になるかもしれないのに、発揮できたのはリーチの長さだけ。

失点した場面はそれまでやられていた左サイドからではなく、右サイドから。中央の引いた位置にいた一枚はきっちりディフェンシブ・ミッドフィールダーの二人が抑えてたけれど、二人で挟み込む必要はなかったかもしれない。結局、そこにはボールは行かず、フリッツの抑えていた相手にも行かなかった。ルイス・アドリアーノがプレドルの不安定なポジショニングの裏を突いて抜け出し、ナウドはスタートが遅れたためにシュートを打たれたものの、ルイス・アドリアーノの落ち着き払ったループシュートは見事でした。

が、若干のミスがあったナウドはミスを帳消しにする弾丸フリーキック。馬鹿みたいに凄く、あのスピードで巻きながら飛んでいくのだから、キーパーのミスも仕方ないと思えるほど。止められる可能性はあったとしても、シュートの方が素晴らしいんで、なんとも。
ここまでの二点はいいものでした。

追いついてブレーメンはフォアチェックが機能するようになった。だけどそれはディフェンスラインとの間にスペースが出来てしまうことを意味し、そこを使われる可能性が増えた。ニーメイヤーがどちらかをできれば、そういう可能性を減らせられたんですが、そこまでは望めず。そうなると途中から減りつつあったサイドからの攻撃も戻ってくるようになり、サイドを使われるとディフェンスラインを下げられ、中央が押し下げられ、スペースが出来る。相変わらず左から攻められることが多かったため、ナウドが奔走し、フリッツが中へ絞ることでなんとか失点しなかったものの、前の守備がよくなった分、後方にしわ寄せがきて危険になるのはチームとしてのバランスが悪い証拠のように見えました。

ただ、後半の途中からは、シャフタールはバランスよく攻めていたものの、サイドアタッカーのスピードやドリブルで相手を崩す場面が全く見られなくなり、ブレーメンはパスのテンポを多少速くし、利用できなかったいくつかの部分を除いて距離感はよくなり、一つのミスで攻撃が頓挫しづらくなった。そうなれば押し上げも出てくるし、守備も高い位置から行え、攻撃も高い位置から始まる。ブレーメンの攻撃が良い状態になりつつあったんですが、如何せん消耗しきった後だったのが運の尽き。ガクッと運動量が落ちる前に得点を決められていれば、そのまま押し切れるような流れを作り出せていたものの、”ここぞ”という所を決められる選手が居ないのは大きく、掴みかけていた流れは失われていってしまいました。

最後に決められたのはやはり左サイドでしたね。ボーニッシュが中へ絞りすぎ、ナウドは中に入っている人数の多さから、対応しきれず、エジルがカバーしに向かったが間に合わなかった。ボーニッシュがワイドに対処できていればよかったんですが、サイドチェンジ後の攻撃だから、それを完璧に出来るのは難しく、エジルのカバーにしてもあれだけ攻撃をやっておいて、あの位置まで戻らなければならないのが問題であって、色々と限界が見えました。

最後に書いておかなければならないのは、延長後半14分にピサロが触るかと思われたゴールもファウルによってなかったものになってしまった。運がなかったと言いたいところで、あれはファウルの笛を吹かなくてもよかったんじゃないかと思ってます。微妙なところではありますが、運がなかったと言うよりも、メディナ・カンタレホだった、と言った方が伝わりやすい事例だったかもしれない。

何はともあれ、ブレーメンはいいサッカーが出来ず、ヂエゴ移籍後に優秀な選手を獲得しない限りは再建は難しいでしょう。それ以上に、各ポジションの選手たちの質にも問題があって、幾つかの優秀な選手たちがそれらの犠牲になっているようにも見える。駄目かなぁ、やっぱり。

Liga Espanola Jornadas 36. マジョルカ対バルセロナ

2009 年 5 月 18 日 月曜日

■RCD Mallorca 2 – 1 FC Barcelona
前日にレアル・マドリーが審判に二点目を与えてもらいながらも、不甲斐なく負けてしまったために、戦わずして優勝が決まってしまったバルセロナ。どういうモチベーション、テンションで挑むのか。もしかするとチャンピオンズリーグへの集中が途切れないように、メンバーを殆ど落とさず継続した戦いをするのかと思っていたら、唖然とするほどメンバーを落としてきましたね。さすがにマジョルカも順位の変動こそあっても、欧州の舞台に立てる可能性もなく、降格の可能性もない。どちらにとっても気合いの入る試合ではなかったのは確かです。

エトーがカピタンで、その他はカンテラから上げた選手が多く出場していましたね。プジョル、メッシ、シャビら休みが必要だと思われる選手たちはベンチにすら入らず、サモラ賞を確実なものにするために、ビクトル・バルデスはベンチに入るだけ。対戦相手に敬意を払う云々よりも、今は怪我が怖く、選手には休息が必要ということでしょう。

戦術的なものも意味はなく、この試合にも意味はないので書くかどうするか悩んだんですが、とりあえずざっと。もちろん、選手の動きに関しても状況が状況だから、まるであてにはなりませんが。

カセレスにはもっとリーダーシップを取ってラインをコントロールする意識を出して貰いたかったんですが、いつも通りにスピードがありカバーはある程度出来るが、ラインの形成に対する意識と飛び出しに対する注意が少なく、モチベーションの高い相手であればあっという間に失点をしていたことでしょう。それ以外の場面でも、ペナルティエリア付近で正対し、相手をマークしてパスを出されないように、あるいはドリブルで抜かれないようにしなければならない場面でも、不用意なまでに距離が広く空いてしまい、簡単にキックの種類を変えてクロスを中へ入れられてしまう。殆どプレッシャーにすらなっていないのは残念で、この様子であれば、チャンピオンズリーグ決勝に使うのはギャンブルかもしれません。

せっかく中盤で使って貰ったフレブも、スペースへ動き、ボールを受けて捌いていくことができず、自分の持ち味を発揮しようとする意識が強すぎてドリブルに固執し引っかかるばかり。もっと視野を広げてパスを選択することが出来ればよかったんですが、シャビのポジションをするには無理がありましたね。できれば、イニエスタの方でやるべきでした。プレイスタイルに幅を持たせられる選手のはずなので、残念でした。まさかダニエウ・アウベスにゲームメイクの大半を持っていかれるとは……。

ボヤンとペドロに関してはいつもの通り。いつもよりは若干開き気味であったり下がり気味で、エトーを戻らず、守備をしなくてもいい環境に置いておくために動いていたので、システムは若干4-1-4-1に近くなっていましたね。

そのアンカーを務めていたシャビ・トーレスは体格も良く、少ないタッチ数ながら安定したボール回しが出来ていました。アンカーとしての後方のポジションもしっかり取れていて、サイドから攻められたときには、ディフェンスラインの一枚前のスペースや、ラインの中に入ってカバーをするなど、バルサのアンカーらしい仕事が出来ていましたし、ライバルとされているセルヒオ・ブスケツ、つまりセルジ・ブスケツよりは今のバルサが必要とするアンカーに向いていて、後方で円滑に進めるだけの能力はあるようです。ただ守備はスピードがそれほどないようで押さえ込むのは難しい。激しく当たるなどモチベーションは見られんですが、もっと経験を積まないと自信を持つには難しく、本来の彼の良さを見るのは難しそうです。ポジションの取り直しやフリーになるためのポジショニングはまだまだ。

あとはオイエールは落ち着いてプレイしていましたね。二失点こそしましたが、一つ目は仕方のないもので、あれを反応だけで防ぐことができていれば、あっという間に2ndキーパーになれるでしょう。できることなら壁の構築などにもっと怒鳴り散らすぐらいのことをしていれば防げていたのかもしれませんが、無茶すぎる要求はしません。ただ、二点目を与えた場面のきっかけとなった、ダニエウ・アウベスの不必要なクリアは、状況を見られるキーパーが止めなければならず、そこから失点してしまったのだから、間接的な責任は彼にあるのでしょう。ディフェンスラインとのコミュニケーションや飛び出しのタイミングとかまだまだ課題はありますけど、幾つか見てきたキーパーのデビュー戦の中ではかなり落ち着いている方だったはず。いいキーパーになって欲しいものです。

それ以外ではほぼ全員が得点王を目指すエトーへ取らせようとパスを集めてましたね。いつかのシーズンでもフォルランにピチチを取られた記憶がありますが、あのころもエトーにボールを集めまくり、そして外しまくり、結果的に取れなかったわけで、その記憶を呼び起こすには十分な外しっぷりでした。もういくらシュートを放ったとしても得点を決められそうになく、途中からエトーが何本外すかのほうに興味が行きそうなほどでした。
最後の最後に審判からPKをもらい、それでも外して同点に出来なかったあたりがエトーの真骨頂ってところでしょうか。あのPKの判断からすると、決めなくて正解だったとは思いますが。

ともかく、この試合は勝敗は殆ど関係しない余分でしかありません。

Bundesliga 33. Spieltag ホッフェンハイム対バイエルン・ミュンヘン

2009 年 5 月 17 日 日曜日

■TSG Hoffenheim 2 – 2 FC Bayern Munchen
この段階でも4つのクラブに優勝の可能性が残されているのは良いことなのか悪いことなのか。自分は良いことだとは思っておらず、取りこぼしをするクラブの多さや、内容を含めて問題のあるクラブが残っていたり、状況を考えればここで大混戦になっておくべきではなかった。もちろん、混戦になったお陰で見る側としての楽しみは出たわけですけど、王者としての戦い方をできるクラブがいないのに、来季のチャンピオンズリーグに出場してしまうと思うとぞっとしますね。また大失態を晒すだけになるのではないかと今から心配してしまいます。

バイエルンは次の監督が決まりましたが、あの忌まわしきファン・ハールだというのがバルセロナも応援するものとしては残念な限りです。彼自身の経歴には問題なく、むしろ素晴らしいものであるとしても、幾つか存在する致命的なミスが自分の中で彼の評価を下げています。もしかするとバルセロナの当時の会長の影響が自分の中で色濃く残って、それを誇張したがっているだけかもしれませんが、好意的に見られないのは確か。また言動においても、バイエルン・ミュンヘンを率いて何も問題を起こさず勤め上げることが可能なのかどうかも疑問ですね。選手の揃え方と補強次第ではうまくいくのかもしれませんが、バイエルン・ミュンヘンとしてのアイデンティティをさらに崩壊されてしまうかもしれない戦術や戦い方をしてしまう可能性も考えてます。

この試合もルシオが右を務めているんですが、やはりセンターバックの選手でしかなく、酷い守備を連発してしまっていました。序盤は、中へ絞りすぎていて左から攻めてくる相手の攻撃を受け止めることすら出来ずに、縦へのスペースを大きく与えてしまっていることが殆どでした。それなら右のミッドフィールダーに献身的な守備を行える人材を配置すべきなのだけれど、ラフな守りは出来ても献身的には守れないソサを置くだけで、シュバインシュタイガーですらなので、ルシオの守り方ではチーム全体のバランスを崩している以外になく、特にはセンターバックのヴァン・ブイテンがルシオよりも右に出ていく場面すら見られていました。
その影響から、右を深くえぐられてからマイナスのパスを出されるだけで、ディフェンスラインの前にスペースが相当に出来てしまっている。中盤もシュバインシュタイガーとファン・ボメルの二人共が攻撃の選手で、アンカーを務めることも出来なければ、ディフェンシブ・ミッドフィールダーとして振る舞えるわけでもない。ディフェンスラインの前にあるスペースを全く埋められない状況に戻ってしまって、失望に近いものがありました。
ただし中央の守備では、シュバインシュタイガーの方が、ゼ・ロベルトよりも手堅くきっちりと行うため、プレッシャーをかける位置を高く保つときには有効だけれど、ポジショニングを含めて彼が後ろ向きの守備を綺麗に行うのは難しい。それに経験も違い、フォアチェックの役には立っていましたが、前を向かせないための守備をすることは難しく、当たりに行ったつもりが簡単にいなされてしまうことも多くありましたし、カウンターの鋭いクラブを相手にする守り方ではなかった。

1-1にされたゴールは、それまでフォアチェックをして相手の攻撃を遅らせることが出来ていたのに、先制点を挙げて気が緩んだのか、まったくエドゥアルドにプレッシャーがかかっておらず、フリーだった。一度溜を作られてしまった後の守備を考えることが出来ておらず、全体が相手に合わせて動き出すのを待つ姿勢になってしまっていた。片側のサイドに寄せられてしまったまま。そして右サイドバックとして不慣れな守りをしていたルシオは、ラインを整えることも出来ておらず、中へのカットインも単純に許してしまった。ルシオが見ておかなければならないエリアには誰もいないのに不必要なまでにワイドにポジションを取っていたのだから、振り切られて当然。

そして二失点目も同じくルシオのミスが目立った結果になってしまってました。クリアボールを繋がれ、一気にオバジに抜けられてしまった。その時に裏のケアをすべき中盤の守備を行う選手は何処にもおらず、センターバックのデミケリスが対応しなければならなかった。中の一人にもセンターバックのヴァン・ブイテンが対応し、セオリーである一枚余らせる守備は出来ていなかった。そしてまたルシオは自分のエリアに誰も存在しないことを知りながら、全力で中に絞ってケアをすることをしなかった。歩きながら戻ってくるだけで、セントラル・ミッドフィールダーのファン・ボメルやシュバインシュタイガーのどちらも戻ってケアをする姿勢を見せていなかったのだからこの失点は当然のものでしょう。どれもが出来ていなかったのだから、エドゥアルドがフリーで、あれだけの時間を使ってシュートすることが出来た。きちんとどちらかが守ってさえいれば、意識さえ持っていれば、あそこであれだけの時間を得ることは出来なかったはず。

失点をした場面だけではなく、多くの場面で守備を担当しているのは、ラーム、デミケリス、ヴァン・ブイテンの三人だけ。ルシオの守備が不安定すぎるため、ヴァン・ブイテンまでもが右サイドのカバーをしなければならず、中央には大きなスペースが出来ている。後半になって多少の改善があり、ゼ・ロベルトが入ったことで安定を得ることは出来ましたが、それでも駄目な中でマシになったというだけ。カウンターチームに押し込まれてしまうほどの出来でしたから。

続々と入ってくるヴォルフスブルクの得点が、ピッチの中にまで伝わっているように酷い試合でした。得点を量産する相手に、バイエルンそれ以上の得点を求められているにもかかわらず、左のラーム、ポドルスキ、リベリにおんぶにだっこの攻撃しかできていない。頻繁にポジションを取り直しながら、ワイドに高く、そして前に飛び出しながらパスを交換していく左の連携は素晴らしかった。それらは少ないタッチ数で行われて相手のラインを乱しながら裏へと飛び出す。スピードに乗った状態で相手に対処できるものではなく、いくつものチャンスをそこから作っていました。けれどそれだけしかないために、最後に立ちはだかっていたヒルデブラントは、スペインで全く輝けなかったのが嘘のように、勇敢さを保ち、いい守備をして止めていました。
2-2に追いつけたゴールもリベリの個人技によりもので組織的な崩しは存在しませんでしたしね。

対戦相手が難しい二つだとしても、勝ちきることは最低限必要なはずだ。次のことを考えれば、それをすることで相手にプレッシャーを強く与えられるようになるのだから、バイエルンとしてはやらなければならなかった。ヴォルフスブルクほどの得点を取れなかったとしても、勝っておかなければならなかった。そのための戦い方ができなければならないクラブがそれを出来ず、下手をすればチャンピオンズリーグ圏内から落っこちる可能性を出してしまったのでは話にならない。

ホッフェンハイムは素晴らしく、バイエルンは最低の試合でした。