■Borussia Dortmund 5 – 2 FC Bayern Munchen
立ち上がりからドルトムントは積極的に前へ出てプレッシャーをかける守備を行ってきている。レヴァンドフスキと香川の二人が最前線でディフェンダーにまで向かい、中盤の両サイドが中から外へとバイエルンのパスを押し出してくる。中央にブロックを作って中で繋がせず外へ出させようとすることでバイエルンにはゴールに近い位置でプレイさせず、シュバインシュタイガーやクロースといった活動範囲の広い選手を中央で閉じ込めようとする狙いがあるのかもしれない。
先制点を取ったのはドルトムントで、前へ積極的に体をぶつけて奪いに足を出していたことが功を奏して、守備から攻撃へと移る際にバイエルンは安定して繋ぐ意識がでてしまっていて足を止めてボールを待っていた。失点の場面ではルイス・グスタボとリベリーの意識が合わずに繋がらず、一度はカットしたものの、そのこぼれ球がブワシュチコフスキの前にこぼれ、ノイアーの飛び出しもパスによってかわされた香川のゴールになった。ミス以外にもアラバがマークすべき対面の選手を見ずに途中で離してしまったこともゴール前で崩される要因になっている。
ただドルトムントの前へと重心のかかる攻めと守りはカウンターになった瞬間に脆さを見せてしまい、縦へスピードアップしていけるメンバーを揃えているバイエルンに対して、足を止めさせるようポジションを取ることも、奪いに行くことも数的に無理な状況を作ってしまい、オーバーラップから裏を取らせてゴールに迫られてしまう。外に押し出すよう守れているのはある程度引いて形を作った状態から前へ向かっているためで、攻撃と守備が入れ替わりばらばらになった状態から向かってしまうと裏にスペースを作ってしまってスピードアップされてしまう。そうさせないために、ドルトムントは両サイドバックがバイエルンのウイングを掴まえて縦のコースを切りスピードに乗らせないよう距離を縮めてコースを切ろうとしている。時には中盤の両サイドを引き戻してその役割に当たらせ、外で縦を抑える。ただその守り方をしてしまうと中のブロックから外へ通しだしてバイエルンにタッチライン際で窮屈なプレイをさせることは出来ず、リベリーやロッベンの位置だけではなく、ラームやアラバといった一列下からでも中へとパスを出したりボールを動かして徐々に繋げるようになっている。
繋げるようになると誰か一人が向かっていってバイエルンのコースを限定していかなければならないが、きちんと収められて前を向かれてからそれを行っては簡単にかわされてしまうだけで、他の選手がチェックに合わせて動くのは難しくなってしまう。バイエルンは前を向くチャンスを得たことでディフェンスラインの裏への飛び出しとパスの狙いを繋げられるようになり、ロッベンやマリオ・ゴメスがそれを行えるようになった。ドルトムントは前で捉える意識を切り替えられておらず、飛び出す動きに対応もできず、ヴァイデンフェラーがマリオ・ゴメスを倒してPK。ロッベンが決めて同点にした。
どちらが明確にペースを掴んでいるわけではないものの、ドルトムントはサイドでリベリーとロッベンを掴まえておけなくなってきており、そこを中心として外に奪うポイントを作れなくなったことで、攻撃に移ったときにサイドから切り崩すことが出来ず、オーバーラップも期待できなくなってしまった。攻撃がゴール前に集まってしまい、バイエルンはセンターバックでレヴァンドフスキを挟み込み、ルイス・グスタボやシュバインシュタイガーが香川を見て、混乱を生じさせるような変化を作らせていない。
攻撃では縦パスがクロースに入り、バイタルエリアのそこに入ることで意識を後ろに向けさせ、中央に集めることで両サイドへ開いている守備を中に絞らせ、今度はウイングをフリーにする。縦パスが一本通ることで横の展開を助け、横に動かされることで縦パスや裏への動きに対して対応しきれなくなってきている。
ただ二点目のチャンスを先に得たのはドルトムントで、引いた香川がボールを横に動かすことで縦に急ぎ攻撃の幅が狭まっていたところに時間を与えて、人が多く参加できる状況を作った。それによって中に人を用意しながらもピシュチェクが上がってくるだけの時間を稼ぎ、中央と外の両方に選択肢を作ることが出来た。セカンドボールを拾えたのも押し上げる時間を得たからで最終的にはグロスクロイツがボアテングに倒されてPK。フンメルスが決めて再びドルトムントがリードを奪った。
その後再び安定を取り戻したドルトムントの守備によって、中と外をバランスよく使えていたバイエルンの攻撃を止められてしまうようになった。特にリベリーとロッベンが縦に突破することが出来なくなり、ある程度引いた状態でブロックを作られるため、中へのパスも選べなくなった。先に中のクロースへとパスを入れる事が出来ていれば外を使えたのかもしれないものの、待ち構えられてしまってはその効果も薄くなってしまう。ポジションを入れ替えながらでても効果が薄く、戻して中盤を省略したフィードを入れて組み立てなければならなくなった。ただそれが前後を分離させてしまい、守備に回ったときにレヴァンドフスキと香川の二枚を見られていた関係をも崩してしまい、カウンターからその二枚への対応を誤ったことで三点目となるゴールを奪われてしまった。レヴァンドフスキをセンターバック二枚で挟み込めず、役割を明確に仕切れないまま二人共が裏を取られてしまっていた。
後半に入ってバイエルンはミュラーを投入し、縦パスを受ける選択肢になれなくなっていたクロースが一列下がった。ただそれでも中央に縦パスを入れてドルトムントを押し下げていくことは出来ておらず、サイドに流れてリベリーと横の関係を縮めて連携を取ろうとしたり、サイドバックに頼らない変化をサイドで作れるように動いていうように見える。ただドルトムントは無理に前で押さえようとしておらず、きちんと引いた形から前へと守るように安定した形を選んできている。ハーフウェーラインからドルトムント陣内に入ってもボールを持たせてくれるエリアは広がっているものの、裏を取ることでゴールに迫ってきたバイエルンにとって飛び出すスペースを減らされてしまい、手前で変化をつけなければならないが、バイタルエリアも閉じられてしまってウイングを中へ絞らせての変化も作ることが出来ない。待ち構えられている相手の前で繋ぎ、カットされてカウンターを受けたり、無理にシュートを狙って壁にブロックされて跳ね返ったところを前へ運ばれる悪い繰り返ししかなくなってしまっている。そのカウンターからグスタボがいなくなって広がったセンターバック前のスペースを香川に運ばれ、グロスクロイツを経由されて、最後は逆サイドのレヴァンドフスキに渡って4点目。
バイエルンは何とか縦パスを中央のミュラーに通そうとするようになったものの、ウイングへのコースを消されている中での縦パスでしか無く、センターバックが狙いを絞ってでやすく、そのリスクも小さい。そこで体をぶつけて前を向かせなければ揺さぶられることも少なく、裏を取られることにも繋がらない。バイエルンはボランチの位置で横に動かしてサイドバックを混ぜることは出来てもドルトムントが作るブロックの手前でしか動かせず、その中へと入っていけない。タッチライン際にも中を抑えられているためコースが無く、迷いからカットされてカウンターを受けることもしばしばで、その際にシュバインシュタイガーが残って守備できているのはリスクを考慮して残っているのではなく、攻撃に出られていないから残っているだけという印象でしかない。バイエルンはカウンターでしかチャンスを作れず、一度あったリベリーの突破からのクロスもマリオ・ゴメスのヘディングシュートはゴールマウスに阻まれて得点には至らなかった。
右サイドから再三縦に突破をしてクロスを入れることは出来るようになってきたものの、それらは全てドルトムントを後ろに引き戻しながらのプレイではなく、縦に突破こそしていても崩して慌てさせているわけではなく、中の守備が自陣ゴールに向かいながら守備をしているわけでもない。クロスにも対応されてしまって単調なそれでゴールを奪えるようには見えなかったものの、それが徐々に縦からクロスだけではなく、中へのカットインを増やしていき、パスを使ってワンツーを狙い始めたり、右の縦の突破を起点として、そこから中への変化を作り始めている。そしてリベリーがドリブルで変化をつけて個人技でゴールを奪って二点差。
僅かながら中央で崩す気配がその得点によって見られるようになってきたところで、守備の注意を失ってファーサイドをがら空きにしてしまい、ノイアーのミスも重なってレヴァンドフスキにハットトリックとなる追加点を許して勝負を完全に決められてしまった。
その後は優勝に向けて集中力を高めているドルトムントに対して、集中が切れて足も止まったバイエルンが散発的な攻撃を加え、時にラフなプレイで試合を荒らす程度でしかなく、何の抵抗も示すことは出来なかった。