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UEFA Champions League First knockout round 2ndLeg レアル・マドリー対リヨン

2010 年 3 月 11 日 木曜日

■Real Madrid 1 – 1 Lyon
第一戦で先勝したリヨンが優位な環境で試合がスタートしたんですが、開始早々のカカのシュートに代表されるように、マドリーが先のセビリア戦の勢いそのままに挑んできたことが大きく試合を動かしていました。

奇襲のような部分こそシュートにまで持っていけましたが、それ以外ではマドリーは低い位置で横に動かすことが多くありました。クリスチアーノ・ロナウドも下がって受けて横に動く。ですが、それはある程度リヨンの思っている守り方であって、低く陣形を整えて待ち構えるブロック形勢をしてしまえば、そう簡単には左右に揺さぶられない。クリスチアーノ・ロナウドが下がって受けるように高い位置に起点が無く、相手の前で受けるばかりで、リヨンのブロック形勢によって殆どの選手が動かずに掴まえられている。サイドの高い位置に起点が作れていないから左右へ寄せる効果が薄く中央に集まっているわけで、リヨンが人数をかけて守れる位置に入っていき、ファウルで止められても怖くない位置で受けている状態が続くかと思っていました。

先制点はそういった部分を払拭するプレイで、それまで手前で受けていたものから一転して相手のサイドバックの裏側へ出てボールを受けることで、守備ブロックの外に出てしまった。先手を取られた上で競争になってしまえば、明確に体を寄せることすら難しくこの得点はグティとクリスチアーノ・ロナウド二人の素晴らしいプレイによるものでした。

このイメージがしばらくリヨンに残っていたようで、それまでサイドに起点を見いだせなかったマドリーはクリスチアーノ・ロナウドを多く流れさせるようにしたことで、先制点のイメージから相手をサイドへと引っ張り出しておけるようになっていました。タッチライン際を深くえぐるドリブルに飛び込んで奪う素振りも見せられず、併走するばかりでスピードも落とせず中のコースを切るので精一杯。そうやって深く入られていくうちにラインを下げさせられて、ブロック構築を意味のないものにされていました。

中盤のプレスの部分でも、グティが球離れを早くして寄せられるよりも早くパスを出してしまう。加えてポジションの修正を頻繁にして、いつでも受けられる位置に存在して安定して預けられる存在になる。近い距離のパスであってもそうやってマークを外す動きを連続することで相手の徹底したプレッシング意識を削っていき、前を向けるようにしていました。

そうやっていくつかの修正が積み重なっていくことで、サイドから逆サイドへボールを動かせるほどになり、ワイドに使うことで相手のラインを押し下げていけるようになり、深くに相手を押し込めるようになってきていました。支配率を高めていくことは出来ていたんですが、それがマドリーの形だとはいえず、ある程度の起点を作れてはいたんですが、サイドからサイドへのものであって、相手のマークをずらしたりプレッシングの意識を削ぐ役に立つかもしれないんですが、中央を縦に利用することは殆どありません。ひやりとさせるようなプレイをゴールの近い位置ですることが難しく、崩しきる形を用意できていませんでした。

ただそれでもリヨンが戻らなければならない距離を大きくする分には役立っているわけで、カウンターの距離を長くしてリサンドロ・ロペスを孤立させることには成功していた。縦の運動量を増加させておくことでダイアゴナルな動きをしづらくさせていましたし、カウンターに人数をかけられず、まずリサンドロ・ロペスへと預けてからの展開をしなければならず、マドリーは抑える一点を見つけるのは容易い。
マドリーの守備もきちんと戦う姿勢を見せていて、相手の人数が少なく、動きも直線的。それを利用してきっちり掴まえておけていましたし、激しく当たってコントロールさせず、カウンターに上がってくるのを躊躇させてもいました。

前半は完全にマドリーペースになっていたんですが、徐々に使えていなかった縦を利用できるようになってきことで、リヨンのセンターバックに窮屈なプレイを強いることも出来るようになっていましたが、サイドに起点が作れていたことから相手を押し込めていたのに、縦が利用できるようになってからフォワード二人が中央に集まってしまうことが多く、フォワード二人が固まらなくてもそれ以外の選手が中央に集まってしまい、人数が増えた。中央を利用する回数が増えすぎてワイドに展開しなくなり、相手をペナルティエリア内に閉じ込めておくことが出来ず、一定のラインを保つところまで持ち直す要因になっていました。いってのラインまで押し上げられてしまうと今度は効率のいい裏へ飛び出す動きばかりを選択しがちで、繋いで崩そうとしていない。深くまで入らずアーリークロスも増えてしまいましたし、陣形を整えさせる手助けをしているようにしか見えなくなってきていました。

後半の修正はリヨンの方が大きく、マドリーは若干スローダウンした印象でした。
前半はリサンドロ・ロペスへ預けることでしか展開できないほど前後が分離してしまっていたリヨンですが、ラインの高さを保つようにしたことと中盤を下がりすぎないように留めておくようになったことで、彼を裏へ飛び出させてそこへボールを出すことが出来るようになっていた。長い距離のパスで裏を狙うのではなく比較的高い位置から出せていたのは、修正が出来ていた証拠でしょう。

ラインをある程度高く保つためにも、クリスチアーノ・ロナウドがサイドに流れたところで自由にさせていた部分が前半はあったんですが、それをフリーにしておかず掴まえておくようになっていました。なるべく前を向きながら受けることをさせず、ディフェンダーの前で受けさせて、それからアクションを起こさせるようにしている。
他にも低い位置でボールを持たれているときにプレスがかかっていなかったのを、中盤が高く保てるようになったためにプレスが出来るようになり、マドリーのセンターバック、ガライとアルビオルが時間をたっぷり使って狙いを絞ってから出せる環境を減らした。それによってフィードの精度を落とさせ、ディフェンスラインで処理できるようにした。
それらによってカウンターに距離を必要としなくなり攻撃に厚みは出たものの、その分守備の厚みが無くなり対応に難しさができていましたが、要所を押さえておくことで何とか処理できる範囲で収めていました。

マドリーは攻撃を受けることでずるずると下がり、バイタルエリアが出来てそこを利用され始めていました。カウンターを警戒することからラインが下がったのもありますし、間延びし始めた。中盤の後方がボールを持つと、パスでこれまでは展開できていたものが、距離が長くスペースが空いているようになってしまったために、パスをカットされる可能性やコースを消されているためにドリブルで前へ持ち上がることが増えた。その分時間的な余裕を相手に与え、展開の幅を作れないでいる。

支配率こそマドリーが大きく上回っていたかもしれませんが、ペースはリヨンの方に傾いていました。それを取り戻すためか、グラネロに代えてファン・デル・ファールトを投入してより攻撃的な姿勢を見せようとしていました。ただ状況はセビリア戦のように一方的に押し続けられるような要素が無く、相手にはスピードがあり、カウンターの脅威があり、人数をかけられ、中盤の底に展開する力もあった。
一時的にリヨンを押し込む効果は得られたましたが、得点の可能性は高くともまた戦う姿勢があるようには見えない、ショートパスによるクロスを選択するようになった。

得点を取りたい焦りからか、フィジカルコンタクトから逃げてはいないものの、体をぶつけられることに苛立っている場面が目立ったり、上手く相手にやられている場面が目立つようになっていました。ファウルを要求する倒れ方を連続してするようになり、スタジアムもそれに乗っかって騒ぐ。どこか冷静さを欠いているような部分があり、その時間帯は選手の距離が近すぎて前を向けるスペースを自分たちで潰していました。

そして得点はリヨンへ。
マドリーが攻勢に出ても、リヨンは前半のように下がり、後方に守備ブロックを形成しようとはしませんでした。バイタルエリアを空けてしまう危険を冒しながらも人数を高く置いておく。フィードを裏へ出してそれを競らせ、こぼれ球に対応できる人数を十分に揃えていた。マドリーにも十分に人数はいたんですが、この試合にはシャビ・アロンソのようにディフェンスラインの前を埋める仕事する選手がおらず、グラネロを下げたことで、ラサナ・ディアラ一枚が担当しているようなものでした。ファン・デル・ファールトは一応戻ってはいましたが、それでもラサナ・ディアラがボールサイドへ流れてしまったために中央へスペースを作る要因になっていた。あとはリサンドロ・ロペスの非常に上手いプレイと、ピアニッチの素晴らしいゴールですね。

二試合通じてのリードを得たことで引いて守るようになったリヨン相手にキープすることは容易くなっていました。中盤の手前で横に動かして陣形を崩そうとしても、チャレンジするポイントがなく崩れていかない。パスを縦に出しても、受けに戻ってくる選手へ出しているだけで、裏へ出すパスもなければ、裏へ動き出す選手もいない。足が止まってボールが来るのを待つか、ゴールから遠ざかりながら受ける動きをするだけで、相手へ窮屈な対応をさせていたのはラウールぐらい。

そんな状況になってアルベロアに代えてマアマドゥ・ディアラを投入したとしても効果が得られるはずがなく、もしかすると順序が逆だったかもしれない。彼のようにきちんとディフェンスラインの手前を抑えられる選手を用意してからであれば、セビリアと戦ったときのように攻撃偏重の交代をしてもきっちりと縦の厚みを用意して守れていたかもしれない。
焦るマドリーはフォワードの位置に四枚が並んでしまって攻撃にも厚みを失ってしまって、パワープレイのようにアーリークロスを連続して入れるばかり。あるいはこれだけの人数を入れながら、味方に渡る可能性が高いショートパスを利用して得点を取ろうとする。人数を入れているのだから、守備も人数が多く入り渋滞をしているのに確率を考えて安全なものを選択していては可能性は高くなっていきません。セビリア戦で逆転できたのは安全なものを選ばず戦うプレイを選択したからこそ、でしたから。

UEFA Champions League First knockout round 2ndLeg フィオレンティーナ対バイエルン

2010 年 3 月 10 日 水曜日

■ACF Fiorentina 3 – 2 FC Bayern Munchen
先日のブンデスリーガで出場したアラバがサイドバックに入った状態でバイエルンはスタートをしていました。それ以外の部分ではロッベンとリベリーも先発に復帰し、フォワードにはミュラーが起用されてマリオ・ゴメスとコンビを組んでいるぐらいでしょうか。

序盤は経験の浅いアラバの裏に何度もボールを出されて、ファーストレグでコンテントが不安定な動きをして狙われたようにこの試合でも左サイドバックの裏側を狙われていたんですが、強風が吹き浮き球の制度が整わない環境でピッチも滑りやすく球が止まらなかったこともあって助かっていました。ゴールラインを割って実際に利用される場面こそありませんでしたが、中へ絞り気味で外側にスペースがある、守備の出足が一歩遅い、チェックに意識がいってカバーは得意ではないかもしれない、と何度も利用されそうな気配はあったものの、あからさまには狙ってこなかったお陰で助かっているようでした。
アラバは確か本来は中盤の選手だったはずですから、守備面に難があってもタッチが非常に柔らかくボールコントロールに優れている。視野も広く落ち着いていましたから、攻撃面での貢献は期待できそうでした。

試合全体の流れでいえば、フィオレンティーナはオーバーペースであるかのように非常に早いプレッシングで主導権を握っていました。特にブンデスリーガであれば、リベリやロッベンの存在からフリーで利用させてもらえることが多いサイドバックへのマークも行われていて、ロッベンが下がってきたところへラームが上がっていこうとしても、すぐに寄せられて縦のコースを使えていませんでした。
バックパスやサイドチェンジは繋げているんですが、ウイングの二人には密着されていて、受けに戻っても背中から強烈に圧力を受けて前を振り向くどころではない。それ以外のところでもマークはポジションの変化が少ないこともあって密着した状態で掴まえられていて、前方向にショートパスで繋いで構築していくのが難しく、ロングボールを出すことが精一杯でした。それに競り合わせてなんとか前を向いてボールを得ようとしている部分がありましたが、風でフィードが押し流されていて、裏で受けたり、選手の受けやすい位置に狙えていないのもありました。きちんと体を寄せられていることからボールを落とす位置も正確ではありませんでしたし、ファウルになる回数も増えて、プレイが止まりがち。

どちらもが密着したマークをしていて相手を掴まえておける環境になっていました。攻撃しているサイドに守備側も攻撃側も人数を集めていましたから、片側で試合が進められていた。両者共にフィジカルコンタクトを避けていませんでしたから、繋ぎの正確さが出てこず、両者共にパスカットやパスミスも多かった。天候などの条件の難しさもあるんですが、フィードもショートパスも通りませんでした。

バイエルンはプレッシャーを多く受ける高い位置で組み立てられないので、セントラル・ミッドフィールダーの位置で組み立てられなかったんですが、そこでも時間をかけてボールを持たせてもらえていませんでした。縦へ入れてフォワードへ預けることも、ウイングの二人にボールを出してキープをして押し上げることも出来ず、むしろ狙い目とされているようでもありました。そのため自分たちが持つリズムよりも速いテンポでボールを離さなければならないことが多く、ミスが増える原因にもなっていましたし、マークに付かれている選手が多いことから足下で受けないように裏側へ出そうとしているんですが、受け手は足下で受けたがっているため、ギャップからミスになってしまうことが多かったですね。

バイエルンはアラバが集中的に狙われなかったとしても、サイドを中心に使われていることに変わりがなく、それを最後尾で抑えようとはせずに中盤で抑えようとしていた。選択はいいんですが、アラバが不用意に相手のサイドアタッカーにマークに出てしまって裏を取られていましたし、最初から裏を取られることを考慮してバドシュトゥバーが左に流れてケアする形を取っていました。これは中央の人数を犠牲にしているわけで、一枚がサイドに流れるとニアサイドへ大きなスペースが出来てしまうため、残ったヴァン・ブイテンが左のセンターバックの位置にまで来てラームが中へ絞っている。中盤の誰かがラインに吸収される形を取れれば高さのないラームを中に入れる危険な選択をしなくても済むんですが、シュバインシュタイガーとファン・ボメルには期待が出来ない。

先制点を奪われた時はラームが右サイドで行き交うボールの処理をするために前へ出ていたこともあって、ケアのためにセンターバックが右へスライドしていた。両チーム共に片側に全体が寄っていたので問題ない部分はありましたが、中盤の二枚共が右へいってしまっていた。センターバックも中盤もがラームの上がったスペースのケアのために寄ってしまっていて肝心の中央に人数がおらず、ミドルシュートを打たせるだけのスペースを大きく与えてしまっていた。そしてこぼれ球を鈍足のヴァン・ブイテンとバルガスの競争にさせてしまい、コースを消すところにも持っていけなかった。ゴールを決めたバルガスが素晴らしかったし、ブットが弾いた方向も不味かった。

アウェーゴールの差から得点が必須になってしまったバイエルンは何が何でも攻勢に出なければならなかったんですが、狭い地域でのパス回しをさせられていて、相手に追いかけ回されて急かされている状況は変わらず、自分たちのタイミングよりも早く回されポジションの修正やマークを外す動きが間に合っていない。相手を外せているのはリベリーやロッベンの横のドリブルやキープしてマイナス気味に横へ出すときぐらいで縦のコースは第一戦と同じく切られていました。特にペナルティエリアの横を使う機会を与えないようにされているようで、利用させてもらえるのは浅い位置ばかりでサイドの深い位置に進出することは非常に希でした。前半にペナルティエリア横を使えた、という印象を与えられたのはロスタイムの一回ぐらいでしょうか。

後半になると全体のバランスに多少の変化が現れてきていました。バイエルンは少しだけワイドに、相手サイドバックの裏を利用しようとする動きを見せ始めていましたし、フィオレンティーナの高いラインとセットになった中盤のプレッシング、相手を掴まえておくものが少し修正速度が遅くなりフリーの状況が作れたり、前を向けるようになってきていた。例えばロッベンが中央に流れてきて受けた場面では、誰もマークしておらずフリーの状態を作っていた。ラインを前に出して奪いに行くには一枚だけで厚みが無く、裏を取られかねない危険から下がり、綺麗に整っていたラインにはギャップが出来ていました。状況に応じて前後の位置で圧縮できていたバイタルエリアが開き始めた瞬間でした。

ただそこを突いて同点にするよりも先に二点目を決められてしまいました。サイドバックの外を一度利用されて、そこから中へグラウンダーの早いクロス。ジラルディーノはオフサイドのポジションのようでしたが、ヴァン・ブイテンの二つのハンドを(フィオレンティーナがアピールしていたけど)見逃してもらいPKを取られなかったのだから、これが見逃されても不満は言えませんね。問題は中央に厚みのない守備でファン・ボメルは何故全力で戻らずスペースを埋めようとしていないのか。自分が掴まえておくべき相手がいないように思っていたのかもしれませんが、ニアサイドのケアにバドシュトゥバーが引き出されているのは前半通り。そしてヴァン・ブイテンがジラルディーノについてニアへ動く。そうするとラームしかいなくなり、ヨヴェティッチをマークしておく選手がいない。もう一人バルガスまでフリーだったのだから、またキーパーが弾いて――ということすら考えられるのだから。

ただフィオレンティーナがラインを保ったり人を掴まえておく部分が少し緩くなったのは確かで、クローゼがセンターバックとサイドバックの間に入り込んで飛び出す動きをしても、動き始める以前から見ておらず、掴まえていませんでしたし、前半のオーバーペースによる疲労なのかは解りませんが、縦を利用できるようになっていました。
リベリーやロッベンにも前向きでドリブルさせてくれるようになり、深くまで進入させてもらえるようになっていました。リベリーが前向きでスピードに乗り、ペナルティエリア横にまで入り込めたことで、相手を引きつけてラインも下げさせ、中央にスペースを作った。ペナルティエリア横付近、サイドの深い位置を利用したからこそファン・ボメルが上がる位置にスペースが出来たわけですね。シュートも見事でした。

二試合合計で同点に追いついたことで精神的な余裕が出たのか、フィオレンティーナのプレスはまだ素早かったんですが、それでもバイエルンは自分たちのタイミングでパスを回せるようになっていました。サイドを縦に使える要素が出てきたお陰で中盤で密集地帯を作られにくくなったのもありますし、片側に寄ったあと逆サイドを利用できるようになっていた。

これならもう一点取って逆転することも可能だろうと思っていたんですが、カウンターで失点したのは非常に痛かった。これは相手が上手かったとしかいいようがなく、どこかで致命的なミスをしていたとは言い難く、ヨヴェティッチをシュバインシュタイガーとヴァン・ブイテンで挟み込んでいましたし、奪えていてもおかしくなかった。
勢いを削がれる一点になるかと思っていたんですが、直後にロッベンが素晴らしいゴールを決めて今度は二試合合計でリードを奪えたわけで、この時間帯の二得点はどちらのミスでもなく、ただただいいゴールだっただけ。

こうやってリード奪ってしまえば、今季のバイエルンは優位に試合を進めることが出来る。縦へ急がなくてもいいお陰で多く利用していたバックパスをそのまま利用できますし、フィジカルコンタクトを利用してファウルを貰うこともできる。守備に回ればクローゼも戻ってプレッシングをしてロッベンとリベリーの二枚を近い関係で残しておく。この二人のスピードとテクニックが相手に与える脅威は大きく、一方的に押し込み続ける試合展開にはさせませんし、キープ力もあるため高い位置にまで運んでくれて攻撃までできる。
理想的な展開を作りつつ、さらにバイエルンのプレッシングスピードが上がっていたかもしれません。時間を与えない片側に密集した守備や中盤とディフェンスラインの距離を縮めてバイタルエリアを利用させないものは、前半にフィオレンティーナがしていたものの裏返しのように機能していましたし、サイドからクロスを上げられる場面でも、センターバックがサイドのケアのために出て行っておらず、中央に十分な人数をおいて処理でき、安定して守れるようになっていました。

最後の集中力は流石としかいいようがありませんでしたが、バイエルンがペナルティエリア内にまで入ってシュートを打った場面はそれほどなく、そこまで崩しきったという印象を受ける場面も殆どありませんでした。

Bundesliga 25. Spieltag ケルン対バイエルン・ミュンヘン

2010 年 3 月 8 日 月曜日

■1.FC Koln 1 – 1 FC Bayern Munchen
バイエルンはデミケリスが国際親善試合で負傷してしまったことから、ここまで固定されていたディフェンスラインを維持することが出来なくなり、バドシュトゥバーを本来のポジションであるセンターバックへと移し、左サイドバックには経験の浅いコンテントを起用することになっていました。本来先発で使われていたリベリはこの日はベンチから、ロッベンは風邪の影響からベンチ入りもしていませんでした。

ウイングの二人がいない試合となると、今季はオリッチがサイドバックの裏へと早めに飛び出してボールを引き出してカウンター気味に試合を展開する姿が多く見られていたんですが、この試合ではその場面はあまり見られませんでした。序盤は特にマリオ・ゴメスがボールを引き出すためにサイドに流れる回数が多く、左側ではミュラーがタッチライン際にポジションを取って受け、ワイドに開かせる役割を二人が担っているようでした。ただ、二人ともボールを受けて縦へとスピードアップする選手ではないことから、ボールを受けたら中へと動き、オリッチらと連動を目指していましたが、ボランチの二人とフォワードの一枚、あるいは逆サイドの一枚程度しか連動する相手がおらず、中央にぽっかりと空いたスペースにパスを出せるはずもなく、ケルンの網に捕まる回数が非常に多くありました。

バイエルンの前後の分断はケルンの低いライン設定に寄る部分が強くありました。ケルンのフォワード二人はバイエルンのセンターバックへのチェックをすることもありますし、前へ簡単に出させない工夫はしているものの、最後尾はフォワードを前に捉えておこうという意識があって下がっていきやすく、踏みとどまらない。サイドからバイエルンが多くの展開を目指していることもあって、中央から攻め手もらえれば踏みとどまれるだけのブロックの形勢が出来ていたんですが、サイドバックの外側を多く空けている守り方になっていたので、多くの回数そこへ入り込まれ、ラインを下げざるを得ない要素がありました。

ただそれはケルンにとっては好材料と呼べる部分が多くありました。
バイエルンはパスの距離が長く、止まっている時間が長くなってしまうため、パスカットされやすい環境になっていました。ケルンがラインの設定を低くしているだけではなく、フォワードの二人が、そのラインを押し下げる動きこそしてもボールを引き出すために下がる動きを繰り返してくれない。ミュラーとアルティントップがバランスを取ってボランチとの間に入ってくれればいいんですが、それをしていない。ワイドに開いてボールを受け、それから中へドリブルで切れ込むことはしても、ボールのない状態で中に入って起点となる動きはしていない。ミュラーは何度か中へポジションを移していましたが、それもフォワードと同列になる動きをしているだけで、中央で縦の関係を作る動きではなく横に広がって選択肢を広げるだけでした。

時間が経つにつれてバイエルンの攻撃パターンが硬化して決まってしまい、サイドへ渡してから中へを繰り返すばかりになっていました。ミュラーのその動きは読まれつつあり、その広報から上がってきて、比較的フリーで受けられるコンテントにしても、中へ入ってしまう。ペナルティエリア横のスペースを使うときだけ、そこからのクロスの可能性が強く印象づけられているものの、それより手前であればドリブルで中へ入ってくるというイメージしか無く、中央との距離感が悪いため、サポートを得られず、変化をつけられる恐れがないため、安心してケルンは対応をしている。右のアルティントップもそれほど変わらず、より横の動きが少ないために予め近いポジションを取られて縦のコースを切られたり、囲い込まれて縦や中の選択肢を奪われている場面もありました。
ラインが低いことでそこからでも裏へ出されて走らされる場面はありましたが、それほどの精度がないために脅威となるのは難しく、ケルンとしてはもう少し踏みとどまり高い位置を保つ勇気が欲しいところでしたが、バイエルンが縦を切られたことで中へ入っていってくれる、空いたスペースをサイドバックのラームやコンテントが使いに来ても、その活用が上手くないおかげで、追い越していくスピードを維持したままボールを受けられず、止まって受けてバックパス。手詰まりになるのが見えている中へパスをするばかり。

ケルンも引いて守る弊害から前に人がおらずカンターがままならなくなっていっていましたが、ポドルスキのゴールによって先制しているため、守りきれるその選択でよく、徐々に意思統一から守りは堅くなっていっていました。

後半になると前半は少なかったオリッチのサイドへ流れてボールを受ける動きが少し見られるようになりましたし、マリオ・ゴメスもボールを受けに下がる場面が少し見られるようになってきていましたが、どちらも中央の手薄さの改善には繋がらない精度で、サイドに位置する二人のアタッカーも前半同様に早めに前のコースを切られていて、縦へのチャレンジして突破することも選択しなくなって、ある程度フリーであっても中央や逆サイドへボールを預けてしまおうとする消極的な姿勢が増えていました。

そういった中でリベリとクローゼの投入はいい選択に見えました。クローゼはボールを引き出す動きの上手い選手ですから、縦の厚みを作る役割を果たしてくれますし、高い位置でのキープも期待できる。リベリーは消極的な選択をしがちなサイドにあって縦への仕掛けが期待できる。

それらの変化が実際に現れるよりも早く、シュバインシュタイガーの得点によって追いつけたため、実際にどうだったかという部分に関してはわかりませんが、内容自体は得点以後は劇的に改善されていました。距離があまりにも離れていてパスの展開をすることが難しかったファン・ボメルの位置を一列前と表現していいほど高くしたことで中盤中央にボールを収めるところが出来るようになり、フォワードとの距離も縮まり、安定した供給が出来るようになった。
ミュラーやラームも安易に中や戻したりしなくなり、チャレンジすしてクロスまで狙うようになった。クローゼが少し下がった位置でボールを触り、そこから前へ出て行くために、中央が平らに並んでいるだけだったのが、きちんと厚みのある状態が作れるようになった。クローゼのランニングはマリオ・ゴメスとミュラーらのサイドに位置する選手との隙間に入っていく。相手のサイドバックとセンターバックの間ですね。そのマークに付かれにくく、裏のスペースを利用しやすい場所へスムーズに出て行く。全体の流れを作っていたかもしれません。

気がかりな部分はコンテントが怪我をした部分でしょうか。この日のパフォーマンスは不安定なものではなく、計算のできるものだった。欠けた部分を彼が埋めてチャンピオンズリーグに臨めるかもしれないと思っていたんですが、デミケリスが不在となって人がいる場所がまた欠けてしまう。流れを持ち、逆転を狙う展開でしたからプラニッチを出場させるのかと思っていたんですが、余程信頼を失っているようでこれでも出場させてもらえませんでしたね。代わりに出たのは若手のデヴィッド・アラバ。恐らくデビュー戦のはずで、不慣れなポジショニングをしてあまりボールにからめず、次やその次を考えると少し不安になりますね。

この試合のスコアはどちらもが得点のチャンスを得ながらこれ以上動かずに引き分け。

Liga Espanola Jornadas 25. レアル・マドリー対セビリア

2010 年 3 月 7 日 日曜日

■Real Madrid 3 – 2 Sevilla
直前の試合でバルセロナがアルメリア相手に引き分けたため、最終的には直接対決の結果が優先されるとはいえ勝てば同率で首位に立つわけで、開始当初からスタジアムが異様な雰囲気に包まれて、特にマドリーの選手たちは入れ込んでいるかのように雰囲気に飲まれているような印象がありました。

先手を取ったのはセビリアで、よくポジション修正を繰り返しながらバイタルエリアにヘスス・ナバスが多く入り込んでいました。左に多き開いて仕事をするディエゴ・カペルが出場していることもあって、ワイドに使う分にはいいんですが、絞った攻撃をするときにはそこが孤立してしまいかねない。この日はレナトもいませんでしたから余計にそのケアを考えてかヘスス・ナバスのポジションがよく動いていました。
ディエゴ・カペルは序盤は特に縦のコースを切られてしまい、左足でプレイするスペースを与えてもらえないことから縦の突破があまり見られませんでした。それだけはなく、中央や右サイドでもボールをよく動かして主導権を握っているように見えたセビリアですが、主に動かされる横パスは相手を効果的に動かしていましたが、縦のコースを切られていて、縦への仕掛けやそれを選択するパスも出来ていなかった。得意なサイドバックとサイドアタッカーの連携も縦の勢いを持ったまま出来ておらず、一度アルベロアやセルヒオ・ラモスに抑えられて勢いが止まってから、サイドバックが上がってきて連携をしようとしてしまっているため、単純に裏側へ進出することが出来ず、ワンツーやパスの交換をしつつサイドを変えるぐらいしかできませんでした。

ただ、先制点は手詰まりになっているかに思えていたそのサイドの部分からで、サイドアタッカーに先にボールを渡してそれをサイドバックが追い越していく形の連携ではなく、ボールを持ったコンコからアルベロアの裏側へヘスス・ナバスが出る動きに合わせたものでした。最終的にはクロスが逆サイドに流れて折り返したボールがオウンゴールになったものでしたが、得意としているサイドからの攻撃で得点を取れたのは大きかった。

失点をしたマドリーでしたが、あのディフェンスラインの中にきっちりとシャビ・アロンソが戻っていたことはこれまでの守備のバランスを考えればとてもいいことで、以前はディフェンスラインの前を埋められなかったり、クロスの際に中へ入れずワイドに使われた際に中央を引き出されて手薄になっていたんですが、そこを埋められていた。結果こそオウンゴールでしたが、その後もクロスの処理などできっちりとディフェンスラインの中にあるスペースへと入って処理をしていましたし、もう少し前で活きるタイプだとしても、そこをケアしなければならない布陣ですから彼のやっていたことは正しいのではないでしょうか。

失点をして以後のマドリーの攻撃には鋭さが無く、ボールを引き出す動きも足りていませんでした。センターバックからボールを出す場所が遠く、サイドバックやピボーテへとボールを展開してからフォワードへとボールが渡る。カカやマルセロらに早い段階でボールを渡せれば、ドリブルで対面する相手を引きつけつつその裏側にイグアインやクリスチアーノ・ロナウドを出させて引き出せることが出来ますが、その形かカウンター時に流れたフォワードが一枚がボールを引き出すだけで、クロスも可能性の高いマイナスのボールを出すぐらいで中央に人数が足りずニアサイドで潰れる役割をする選手もおらず、ディフェンダーから逃げた位置で触ろうとする意識が強く出ていました。
カウンターも鋭さが無く、ボールを前に出した後にゆとりを持ってしまって、カウンターを仕掛ける場面でカウンターを選択せず、ポゼッションをしようとするかのように時間をかけてしまう。セビリアは陣形を整える時間をもらえ、サイドからのクロスに対しても戻りながらの守備をする場面は非常に少なかった。

一時的に素早い展開はあったものの、概して体をぶつけられる守備を嫌がっているようで、ファウルをもらうためのプレイが増えて倒れたり、それよりも先にボールを離して逃げの印象が強いプレイも選択していた。受ける動きをすれば当たられるために、裏を狙う動きが一時的に増えたり、マークをずらす動きが足りない中で効果的ではない直線的な動きでした。
素早い展開が一段落をしてくると、マドリーの運動量少ないこともあってセビリアがそれぞれをきっちり掴まえているようになりました。フォワードから中盤のアタッカーの所までマークできていて、抑えられていないのは一箇所ぐらいでしょうか。そこからチャンスを作ることがマドリーには出来ていましたが、ボールを動かす先が足下であってスペースへと出せていないことが多く、特にバイタルエリアに入るとその傾向が強くなってしまう。セビリアはバイタルエリアを空けていることが多く狙い目であるように思えていたんですが、利用しようと足下へ出すボールを明確に狙っていて、収まった後を抑えに出るのではなく、収まる前にセンターバックが狙いすましたカットをして奪う。裏へ抜ける動きをセットで行ったとしても動く以前のポジションを掴まえられているため、きっちりとマークに付かれているため利用することも難しく、またパロップが止め続けていたこともマドリーが確実さを求める要因にもなっていたのかもしれません。

後半になって変化が見られたのは、セビリアがディエゴ・カペルからカヌーテへと交代したことが大きな要素でした。前線からのある程度のチェイスが効果的だったんですが、守備に力を発揮するとはいえないネグレドとカヌーテでは機動力が減って出所にプレッシャーをかけることが難しくなっていました。広報がそれに合わせて下がってしまい、コンパクトに保つのが困難になり、中盤のプレッシングを減少させる結果になっていたようにも見えました。
攻撃面ではセビリアは戦える選手が前に増えたことで、ロングボールの対応や狙いが簡単になり、マドリーは何故かマークを離してしまっていてヘディングで容易に落とさせてしまったり、何でもない場所でクリアが不正確になっていたり、と依然として飲まれているように見え、ドラグティノビッチのフリーキックが直接入ってしまった部分にしても、いったい誰の責任なのか明確に出来ていませんでしたし、その時点まではボロボロでした。
動きが止まったマドリーは、相手に捕まれて体を寄せられて、それを嫌がってボールを受けたがっていない様にも見えましたし、パスで動かして相手の陣形を崩していけておらず近い関係も保てていない。
選手交代をしてそれらパスの得意な二人を入れましたが、それでもパスを連続して入れられず、一つパスが前に入ると後はドリブルのような個人での打開が必要になっていました。セビリアの疲労から緩くなったマークによって、高い位置で前を向ける状態であったり、フリーであってもドリブルで前へ仕掛けていく様子が無く、パスで解消しようとしたり、横のパスを選択して縦のチャレンジが少ない。
せっかくの交代が活きていなかったんですが、相手の足に当たってクリスチアーノ・ロナウドまで届いたボール、それで一点返したおかげで、それまでの何もかもが上手くいっていない部分を突き抜けたようでしたね。

マドリーは前後の分離が激しく、長い距離のパスを選択しなければならずカットできるチャンスをセビリアは多く得られていたにもかかわらず、相手に体をぶつけていたり、掴まえたり戦えていたセビリアの中盤とディフェンスラインが上手く相手を掴まえられなくなってしまっていました。ファウルによってディフェンスラインの多くがカードを持っていたことも激しさを失ってしまった要因なのかもしれませんが、ずるずると下がってしまってカットしに前へ出られなくなった。バイタルエリアで受けようとする選手へのカットを狙った出足のいい守備も消え、防戦一方になってしまっていた。一点を入れられた同様があったのかもしれませんし、スタジアムの雰囲気も手伝ったのかもしれませんが、そういった修正をする前にコーナーキックから失点してしまったのが全てを決めてしまいましたね。

勢いを得たマドリーはクロスを多く放り込むようになり、選択されるクロスの種類もマイナスに出されるものや確実さを狙った短いものではなくなり、ある程度の長さであったりディフェンダーと体をぶつけながら狙うような戦う姿勢を出したものを多く選択するようになった。
カカがサイドに流れる回数を増やした事もあって、中央に二枚いるフォワードの二人がきちんとペナルティエリアに残っていることもそれをさせている要因にもなっていますし、そういったクロスで相手に脅威を与えられるようになったことで、ディフェンダーの意識をサイドに向けて追ういて中央へとスルーパスで利用していけるようになる。さらにラウールが投入されたことで、イグアインやクリスチアーノ・ロナウドのどちらかがサイドに流れられる環境も増え、より相手に多くの可能性を考えさせることが出来ていましたね。

普段であれば考えられないような後方の人数を削った交代でしたが、セビリアにその時点でもう攻め手が無くなっていたことも、そういった交代をさせやすくした要因でしょうね。カヌーテはクロスやフィードを収めてよくキープしていましたが、時間稼ぎ以上のプレイは出来ず、単独での突破も難しくタッチライン際でスローインを得る程度。キープしている間に追い抜いていくリスクの高いプレイはなく、ペロッティとヘスス・ナバスの二人がドリブルで仕掛けていくか、彼ら三人が頑張ってキープをして、他は徹底して守りきる姿勢をするばかり。相手に攻撃へ全力を出させないだけのカウンターが出来ていませんでした。

もう少しマドリーは横の選択ではなく、縦の選択を選ぶことが出来ていればよかったんですが、人数が大量に入り込んでいるが故にコースを作る動きができなくなって待っているだけの場面も多くありましたし、引いて守られているために裏を利用しづらい環境でしたから仕方ないのかもしれませんが、結果的にその中でもクロスに戦って逆転ゴールできたのだから褒めるべきなんでしょうか。バルサを応援している身としては辛い一点でした。

Liga Espanola Jornadas 25. アルメリア対バルセロナ

2010 年 3 月 7 日 日曜日

■UD Almeria 2 – 2 FC Barcelona
バルサのシステムは、この試合も前節でも見られた4-2-3-1の傾向が強く出たものでした。イニエスタが左に張り出し、ペドロが右に入り、メッシが中央にポジションを取る。これまでの試合の中であっても流動的にこの形になることはあっても基本ポジションとしてこれを取るようになったのは前節からといってもいいんじゃないでしょうか。

ただこの形を取り、メッシを中央におくからといって、前線で起点となるために孤立しがちなイブラヒモビッチの近くにポジションを取らせ、近い関係を保ち衛星のように動かすのではないようです。少し下がった位置に入り、以前の形であればシャビやイニエスタがいた位置ぐらいまで下がっている印象ですね。
前節はセルヒオ・ブスケツと近い関係を保ってしまっていたシャビの位置は少し高くなり、場合によってはメッシと同列にまで上がることもあり、そこは改善されているようでもありました。また、メッシもウイングに入るペドロらと中央にいるイブラヒモビッチの間に出来るスペースへと向かう動きをするようになっていましたから、そこも改善されているようで、加えてダニエウ・アウベスも同じスペースへと入る動きをしている。アルメリアはセンターバックやピボーテの位置に対して積極的なプレッシングで構築させなくしている反面、一度前方でキープされてしまうとペナルティエリアに入ることもいとわないほどのリトリートをしてくる。人に向かう守備をしているために厳しさはあるものの、ウイングとフォワードの間にあるスペースへ飛び込むには最適な守り方をしてくれているため、前節の停滞感は少し軽減されているようでした。

ただ、先制点を取られてしまったことで流れを保持し続けて突き崩すことが出来ませんでした。アルメリアの引いて守る守備によってバルサは全体を押し上げていく。サイドバックを含めて飛び込んでいくからこそ形が作れるようになっているため、本来そこにいるべき選手がいないためカウンターを受ければスペースが相手にはある。センターバックも押し上げて圧縮しているからこそ、トゥーレ・ヤヤがきっちりとカウンターの一歩目を押さえて遅らせてしまえていたのだから、全体としては問題はありませんでした。ただそれ以上に相手にスピードがあっただけですね。バルサはカウンターを受ければ相手のスピードを活かした攻撃が裏に出されることから戻りながらの守備を強いられるようになり、奪った後も繋ぐための距離が遠く安定して繋げず、クリアを選択しなければならないほど後ろ向きの処理を強いられてしまった。結局失点の原因となったのはそういった戻りながらの処理から与えたコーナーキックでした。
その後もディフェンスラインの裏へとボールを出されてしまい、ビクトル・バルデスが飛び出してクリアを狙わなければならない場面も多くあり、バルサの弱点を上手く突かれている印象でした。

失点以後に顕著だったのはペドロが抑えられている部分でした。右に張りだしているペドロは前を向いて受けられず受けた後も振り向くことが出来ずに戻すばかり。シャビも前を向くチャンスをなかなか得られず戻したり左右へ動かす部分が目立っていました。マンマークではないもののきっちりと掴まえられていて苦しさが見えました。
ただ修正はそれなりに出来ていて、抑えられていたペドロを左に移すことで前を向いて受けられる環境を与え、難しい対応を強いられるイニエスタを右にしてキープをしてもらう。両サイドをきっちりと前向きに受けられるようにできるようになってからはマークや視線をそれらに分散できることからメッシが密集しているとはいえドリブルで仕掛けられる場面も増えていきました。

監督の退席処分もそれほどチームに大きな影響を与えなかったようで、左に戻ったイニエスタとマクスウェルは連動して縦の連携からサイドを支配し始めていましたし、アルメリアが中央を硬めに入ったことからそういったスペースの利用は簡単になってきていた。クロスも右のダニエウ・アウベスから多く入れることも出来ていましたし、左右どちらからでも放り込むことは出来ていた。ただ中央でそれに対応できるのはイブラヒモビッチただ一人で、メッシがクロスに対して入っても高さがありませんし、対応も上手ではない。シャビが一枚前でプレイしているときであれば後方から彼が飛び込んでくることがあったんですが、一列というほど後ろではないにしろ普段よりも少し後ろにポジションを取っているためにそこに飛び込むタイミングは得られない。サイドに位置するイニエスタやペドロも中へ絞って対応するのは上手くなく、こういうときにそのバランスに優れたアンリがいればピンポイントでイブラヒモビッチ一枚にクロスを合わせなければならない苦しさは軽減されるのでは、と思ってしまいます。

運良く得られたファウルからフリーキックによって同点に追いつき、後半に臨めたのは好材料でしたが、バランスの改善が出来ていたとしても以前の形の方がまだスムーズさを与えて、中央の人数を増加させることの役に立っていたのでは、と思わせる内容でした。

後半になるとアルメリアの守備には少しの変化があり、それまで積極的に抑えにかかっていたセンターバックやピボーテへの圧力が減り、後方が連動せず、最初から引いて守る陣形を取り始めていた。サイドのケアを殆どしなくなり、バルサのサイドバックの上がりを簡単に利用させてもらえる状況になっていた。それだけではなく、中央のスペースを埋める動きをアルメリアは中心とし始めていて、人へ向かって抑える動きが減ってきていた。振り向かせないように厳しく体をぶつけておくこともなくなり、ある程度高い位置であってもメッシやシャビが前を向いてボールを扱えるようになっていましたし、イブラヒモビッチも体を預けられて入れ替わるようにしなければならなかったものから、少し距離を置いたまま触ることが出来ていた。
相手がスペースを与えてくれて時間の余裕をくれたことからバルサが自由にボールを回してポジションを変えつつプレイし初めていました。イニエスタが中央に入りつつ、右サイドを利用したり、メッシとのポジションを変えつつ、4-2-3-1と通常の4-3-3の間を行ったりきたりしているようになり、相手をポジションチェンジで揺さぶりつつあり、得点できるかもしれないという期待を持たせるには十分でした。

ただ、そこでもまた失点をしてしまった。カウンターからだったとはいえ、ディフェンスラインの裏を取られまいと下げてしまったことからトゥーレ・ヤヤが出所を抑え切れておらず、ダニエウ・アウベスもギジェルメを掴まえ切れておらず、ずるずると戻りながらの守備をしてしまった。どこかで相手のスピードを殺すことが出来ていれば対応が変わっていたのかもしれませんが、どこの部分でも相手の前へ向かう勢いを削げなかった。
あのクロスをプジョルが触らなかったとしてもピアッティにガブリエル・ミリートの前に入られていることからオウンゴールから通常のゴールになっていただけでしょう。ビクトル・バルデスが間に合っていたかどうかは別として。

そしてまた追いかけなければならなくなったところで、イブラヒモビッチが退場。ここまでの間に散々競り合ってきた部分がありましたが、ボールのないところでの問題から一発レッドカード。その部分の詳細な映像がなかったので解りませんが、これでバルサが辛くなったのは確かでした。

必死に抑えにかかるアルメリアは中央を固めてほぼ全員が引いて守る。それを人数が少なくなったバルサはそれでも揺さぶろうとしている。イニエスタも中央に入りましたし、メッシとシャビでボールを動かして早いリズムでボールを動かしていく。人に当たられて動きを止められてしまわないように動かしていたんですが、カウンターをケアしなければならないから後方の人数は削れず、前の人数が足りないために崩し切れそうにはなかった。アルメリアもリードを再び得たことで人に向かえていなかった部分が、人に向かえるように戻り、集中してスペースを与えないようになっていた。
バルサが追いつけたのは運でしょう。ペドロの突破があってこそですが、相手がクリアをせずに中へヘディングで折り返してくれた。からこそのゴールでしたから。

そこからアルメリアはゴイトムとカルー・ウチェの二人を投入して前線の活性化を図り、次の得点を狙うと同時にカウンターを継続してバルサの交代を容易にさせないようにしてきていました。バルサはその対応がなければ後方の枚数を削っても問題なかったのかもしれませんが、交代をしたのはトゥーレ・ヤヤとセルヒオ・ブスケツという後方同士。途中から消えていて効果的な働きを攻撃面で出来ていなかったペドロを交代させて中央に人数を入れる選択も取らず、アンカーを削ってしまうことも、あるいはガブリエル・ミリートを外してトゥーレ・ヤヤを後方に下げてしまう選択肢もあったんですが、対応が消極的でしたし遅かった。監督がベンチにいなかったとはいえ、もうちょっと変化をつけられる交代を選ぶべきだったのでは、と思ってしまいますね。

Liga Espanola Jornadas 24. バルセロナ対マラガ

2010 年 2 月 28 日 日曜日

■FC Barcelona 2 – 1 Malaga CF
懸念していたサイドバックの部分はダニエウ・アウベスが復帰をして多少解決されたように見えますが、そこに関連するもう一つの懸念材料のウイングはアンリが起用されず、この日はペドロが起用されていました。
メンバー構成からするとペドロとメッシがウイングとなるべき所でしたが、試合当初からメッシが中へポジションを移してイブラヒモビッチと縦の関係に近い形を取っていました。ペドロが右へと回り、大きくポジションを空けてしまうのかと思った左側にはイニエスタがウイングのように張り出していました。メッシが低くポジションを取る関係からシャビが本来上がっていくはずのバイタルエリアに相手が集まってしまうためスペースが無く、シャビはセルヒオ・ブスケツと近い位置を保っていて、見方によっては4-2-3-1であるかのようでもありました。

マラガはここの所対戦した相手とは少し違い、厳しいプレッシングを中心としてアンカーやその一つ前で安定してボールをキープさせないようにしたり、センターバックにまでプレッシングをしてフィードを蹴らせてしまおうとするものではありませんでした。だからといってリトリートして中央を固めるのでもなく、ワイドに開いて守る部分がある。特にウイングに密着したマークを用意して安定して受けさせず、前を向かせないことを目的としているようでした。左に開いたイニエスタと右に位置取りをするペドロには明確にマークが付き、中央へポジションを移しているメッシにもその傾向が少しありました。

本来であれば、相手がウイングの対処のためにワイドに開いて守ろうと方針を定めてくれると、サイドバックとセンターバックとの間にスペースが出来、ウイングとサイドバックの連携、あるいはシャビや本来の場所にいればイニエスタがその隙間に入り込んで仕事をするんですが、左はイニエスタはウイングで相手を開かせる役割になっていて隙間に入ってくる選手がおらず、右はメッシが蓋をしていることからシャビが上がれず、ダニエウ・アウベスもペドロのキープ力とポジション的な問題からオーバーラップして利用するタイミングを上手く作れていませんでした。
徐々にダニエウ・アウベスとペドロの縦の関係は改善されていき、高い位置まで進出してクロスを何度も入れることが出来るようになりましたし、その際の中の人数は三人以上入り込み、揃ってはいましたが引いて守られているためにペナルティエリア内の相手の数も多く、ピンポイントをで上げなければ得点は難しく、そこから得点を取る気配は薄いものでした。

イニエスタはマークに付かれてワイドに開かせているのは出来ているんですが、中盤に別の選手、例えばケイタが怪我から復帰して起用されているのならサポートを得られてチャンスを数多く作れていたのかもしれませんが、機能的には死んでいる状態でした。カウンター時のようにマークが少し離れているときにしか利用できておらず、ボールを持ってもドリブルなどで相手を押し下げていく効果も薄いものでしたし、パスの選択肢が近くにないために戻す回数も多かった。ポジションが固定されているために相手を引き剥がすことも出来ず、バイタルエリアを利用するのは難しかった。ただ、中央でキープをして対面するサイドバックをセルヒオ・ブスケツやシャビ、マクスウェルらが引きつけてくれていれば裏を狙うことも出来ましたが、限定的な条件でした。が、時間の経過と共に中へ徐々にポジションを移すようになり、メッシとイニエスタの二人で多少は中央のスペースを利用するようになり、キープも期待できるようになってサイドバックの上がりを促せるようになった。シャビとイニエスタが近い関係を保てていればもっと早い段階でそれをすることが出来たのかもしれません。あるいはシャビとセルヒオ・ブスケツが縦の近い位置で被ってしまって適切な距離が取れていなかった。その部分の解消が早ければこれを待たなくてもよかったのかもしれません。
そこでキープが出来るようになったことから、両サイドバックを高く上げておくことが出来るようになり展開の幅が広がった。サイドバックのクロスの頻度が増えれば精度やタイミングが徐々に合わせられるようになっていくため、マラガとしては放置しておく訳にはいかず、たまらずサイドバックマークに付くようになりました。

サイドバックの位置が高くなり、それに注意を払わなければならなくなるとウイングが高い位置についても前を向けないようなマンマークをすることが難しくなり、全体を引かせて人数を揃えなければ抑えられなくなっていく。それでも人についていれば動かされるためスペースを埋める動きを中心とするようになり、個人で個人を抑えていたものから人数をかけてスペースを埋めるようになったために、サイドに人を寄せてスペースを埋めようとすると中央にスペースが出来てしまい、バルサはそこから中へボールを動かして裏を突ける回数も少しずつ増えてきた。もっとサイドを動かしていけばよかったんですが、バルサの攻撃がサイドからサイド、あるいは中央から中央に固まっている部分があり、相手を左右に揺さぶる要素が薄いためにバイタルエリアを埋めるだけの時間を与えて引いて守らせるようになってしまった。中盤にはスペースが要されていて、前を向いて常にプレイする余裕をもらえていたんですが、崩すことに集中しすぎたために脅威を与えるようなシュートがなく集中を持続させてしまっているようでした。

後半に入るとマラガは前半の守備一辺倒の状況から少し変化させパスで繋ぐようになった。安定したボールコントロールをさせないためにマラガのライン設定が上がり、中盤がプレスに行こうとしているようでしたが、それがバルサのボール回しの位置に大きく影響されていて一定の位置にまで下げると足が止まり、キーパーへ戻した後センターバックへ戻させないための修正をすることもしなかったので、非常に中途半端でした。ディフェンスラインをある程度上げられたとしても、その中途半端に出てくる裏、バイタルエリアのスペースが大きく空いてしまうので、そこへ入り込むことが出来るようになった。最後尾も上げているため、なんとか防げていましたが、本来であれば縦に伸びるきっかけになるんですが、この日のバルサはそれを利用できませんでした。

バルサは相手のスペースを見つけて入り込む動きが少なく、利用できておらず、崩す場所を探し続けていようでした。クロス、バイタルエリア、ウイングと中の関係は前半と変わらず、相手に後ろ向きの守備をさせる要素といえば、メッシのドリブルぐらい。ただそれも人数の揃っている場所に突っ込んで行ってしまうので、ワイドに開くサポートを同時に用意しておくか、あるいは近い位置に何人か引き連れてマークを分散させなければならなかったんですが、それも出来ていなかった。
本来ならこういった流れを見ていれば得点を取れる気がしないんですが、ペドロのミドルシュートによって先制点を取れたことで多少マシになりました。マラガのスペースを埋め得るためにリトリート、それを崩すことに集中しているため、これまでは相手を押し下げることが出来ていてもミドルシュートは仕方なく打つ形が多く、振り抜いたものは少なかった。前半であれば人につくマークをしていたマラガだったんですが、前半途中から、そして後半からは特に顕著に相手に向かわずスペースを埋める守備をするようになっていた。となれば前を向く余裕を与えてもらえるわけで、ようやくそれを利用する形での攻撃を出来た、その結果ですね。その得点を呼び込んだのはイブラヒモビッチがいったん納めて相手の意識を後ろ向きにさせたことでしょうね。

得点前後からメッシが右にポジションを取るようになり、イニエスタが中の本来のポジションにいるようになった。左右のバランスが整うようになっていたのもありますし、そこから後の修正や二点目は非常に良い状態ででした。数人で囲い込んでおきながら裏へ出されてしまった失点の形は別として。

最後のイブラヒモビッチのゴールをが認められなかったのは非常に残念ですし、審判との相性の悪さを感じさせてくれますが、それ以上にバルサの内容がよくなかった。もっとシュートチャンスを作れるはずのマラガの守り方でしたし、スペースを利用できる状態にあったはず。相手を崩せず混乱させられず、得点を取れなかったからこそここまで苦しんだわけですから、審判の問題はおまけのようなものですね。

UEFA Champions League First knockout round 1stLeg シュツットガルト対バルセロナ

2010 年 2 月 24 日 水曜日

■VfB Stuttgart 1 – 1 FC Barcelona
バルサは最初から最後までフォワードへなかなかボールを収めることが出来ていませんでしたが、序盤は特にセンターバック間のパス交換が多く苦しんでいる様子がうかがえました。それでもラシン戦のようにフィードを利用してボールを送り込もうとはせず、ショートパスで繋ぐ姿勢が強く出ていました。さすがにイブラヒモビッチと一列前にセルヒオ・ブスケツが出場していると入ってもブンデスリーガの屈強な選手たちを相手に競り勝つのは困難でしたから当然の展開でしたが、シュツットガルトもそれは理解しているようで、センターバックへのチェックを強くして不安定なロングボールを蹴らせるのではなく、そこはフリーでボールを持たせたとしても、その一つ前、中盤で安定してボールを持たせないようにしていました。
シャビとセルヒオ・ブスケツには近く位置取りをして受けに戻ればマークに付いたまま戻る。特にシャビに関しては二枚でシャビを見る姿勢を取っており、常に厳しく引っ付いているわけではなく、緩く挟むような形で見ておく。上手くそれを囮に使えれば、受けに戻る時にバイタルエリアが空くんですが、メッシが入ればマークを引き連れてしまいスペースが潰れ、イニエスタは逆サイド、イブラヒモビッチにもセンターバック二枚が付き、ラインを上げさせないようにする程度しかできておらず、序盤はまるで形が作れていませんでした。

シャビが前を向けて受けられないマークを嫌がり、アンカーよりも低い位置で受けようとすればマークを外してもらえるものの、その形になればセルヒオ・ブスケツとトゥーレ・ヤヤに密着したマークが付いてパスを出す場所を失って、それ以上前に運びづらい環境を作られる。イニエスタはウイングの位置に入っているために受けに戻りすぎてしまえば、ただでさえ孤立気味のイブラヒモビッチをさらに孤立させてしまったり、全体のバランスを崩してしまうためにそれほど受けられず、セルヒオ・ブスケツは動き直しの頻度も高くない。全体にパスコースが少なく、積極的な守備と相まってパスミスとカットされる回数が多くなっていました。

シュツットガルトは奪ってからへ向かうのが早く、それもきっちりと前へボールを奪う守備をしているからこそでもあり、選手を抑えているからこそできるカウンターでした。バルサのセンターバック二枚が足の遅いために素直に裏側を突いてくるボールを出し、競争の形を取る。ピケはなんとか抑えていたんですが、裏へ出るパスに対応するのではなく、パスカットを狙って足を出して裏へ抜ける選手を放置しなければならないなどギャンブルの要素も強くありました。シュツットガルトにとってはそれでいいわけで、後方の広大なスペースを利用できればそれで一点。それを嫌がってバルサがラインを下げてしまえば中盤へのプレッシングをもっと強くできるわけですから。
その上、カウンターで裏を狙う単調な動きをするだけではなく、タッチライン際をきっちりと使われることもあり、メッシが中へ入った後のスペースを利用すべくプジョルが高い位置を利用し始めていたこともあって、その裏を利用されがちでした。そうなるとセンターバックからマルケスがカバーにサイドにまで引っ張り出されてしまう回数も増えるわけで、そのタイミングで中央を利用されてしまえば人数が足りずにペナルティエリアで受けられる可能性が出てくる。あるいは、サイドや裏を意識づけられた上でセンターバックの前で受けられ、そこからオーバーラップしてくる選手へと展開されてサイドの裏を改めて使われるなど、対応を研究されているようでもありましたね。

失点した部分はスローインからでしたが、中央に人数を集められて、フレブに対してマルケス、トゥーレ・ヤヤ、セルヒオ・ブスケツの三人が同じ対応をしてしまって裏やサイドのケアに人数を避けない環境を作ってしまった。十分に人数を引きつけたところでサイドへボールを出され、チェックに行く選手もいないままクロスを上げられて中でディフェンダーとキーパーの間に入れられて失点。フォワードの所こそ三人でクロスに対応できていましたが、それ以外の部分はすかすか。カカウに自由に動かれるだけのスペースがあり、人が中にいてもあれでは十分ではありません。

バルサは全くワイドに使えていませんでした。
メッシが外に出たとしても反対側のイニエスタが絞る場面が多く、逆の動きをしてもタッチライン際をイニエスタが利用できていなかった。セルヒオ・ブスケツは高い位置をとっても中で仕事をする選手ですし、シャビやトゥーレ・ヤヤはプレッシャーを受けているためそこまで高い位置を取ることが出来ない。
サイドバックの攻撃力という面ではダニエウ・アウベスがいないことで右の縦の動きは弱いし、マクスウェルとイニエスタの連動はいまいち出来ていない。ワイドに使えていないから中に絞る守備をさせることになっているし、バイタルエリアも閉じられてしまっている。人数がいる中ではさすがのシャビも動きが悪く、受けたとしてもキープしきれず、縦へ急ぐパスを選択してしまうことが多く、ウイングのポジションと相まって相手を横へ動かす作用は殆どありませんでした。イニエスタにしても、ボールを持ってから仕掛ける姿勢が無く、安易にイブラヒモビッチへ預けるパスを選択しがちで、彼が動き直すような時間を得られず、センターバック二枚でケアされているためカットされてカウンターを受けるばかり。イブラヒモビッチもディフェンスラインと戦いすぎていて、それ以外ではボールから遠ざかる動きで一点を狙うばかり。
失点をしてからは特に焦っている様子で、前へ急ぎすぎて横で相手を揺さぶって、守備の勢いを削いでしまう、という作戦すら取れなかった。

前半にあったチャンスといえば、メッシがいくつかしたドリブルからのシュートぐらいでしょうか。それも全てがディフェンダーの前から打っているものでドリブルで抜くことも出来ず、不用意に飛び込んでくれないおかげで、限定されたコースからシュートするばかりで相手に恐怖心を抱かせるものではありませんでした。後半に入ってからはその形からパスを選択する回数を多くしたため、シュートを警戒するあまりパスが通る回数は増え、相手を中央に集めることは出来ていましたが、そのもう一枚外側に選手がいないために崩しきる要素にはなれませんでした。

そんな非常に悪い中で同点に追いつけたのは心理的に大きかったのかもしれません。ゴール自体は縦への強引なフィードと相手の処理ミスによるものでした。全くいい形ではなく、ピケは最初のフィードの段階からオフサイドの可能性があったわけですが、それも取られなかったからこそのゴールでした。

得点の直後からトゥーレ・ヤヤに代えてアンリを投入してイニエスタを一つ下げたことも、多少内容をよくした要素だったのかもしれません。
徐々に少ないタッチでボールが回るようになりましたし、前へ急ぎすぎる回数も減り、バックパスや横パスの選択肢を用意しておくことができるようになってきた。シャビと同列にイニエスタがいることでマークを外す動きを連続して行い、アンリが相手を開かせておくことで中央に少しスペースが出来てくる。さらにそうやって横に動かすことで相手のマークを動かせるようになったのも受けやすくした要素かもしれません。前半のように厳しいチェックに来ようとしても、当たるよりも早く横パスやバックパスで逃げられてしまう。それを連続して追いかけ回せば消耗するだけで、バルサとしては何度もそういったパスを繰り返すことで相手のプレッシャーに来る気持ちを萎えさせることができる。
ある程度パスで左右へ動かせることになったことからマークの距離が遠くなり、ダイレクトでボールを捌ける場所も増え、キープも出来るようになった。そうなればイブラヒモビッチが動き直してボールを触ることもできるようになって、ポストプレイをするために戻る回数も増やせるようになる。

でも、修正できたのはそこまででフォワードへ多くボールを入れてしまうことだとか、バイタルエリアを積極的に利用して相手の裏側へ得点に直結するパスを出してしまうとか、ドリブルでチャレンジしていく回数もなかった。シュートの本数も多いとは言えず、オーバーペース気味だったシュツットガルトの運動量が徐々に落ちてきたのも大きな要素かもしれませんね。

バルサにとってはハンドやマルケスのプレイからPKを取られて二点目を入れられていれば一点を返すことも出来ていなかったかもしれないと思えるような酷い内容で、引き分けられたのが偶然に支えられているとしか思えませんでした。あとは審判の判断でしょうか。