■Santos FC 0 – 4 FC Barcelona
バルセロナは準決勝でビジャ、アレクシス・サンチェス、マスケラーノと怪我をしたものの、後者二人は大事に至らなかった。ただビジャに関しては骨折という思いもので、今季終盤に復帰できればいい、というぐらいの思いものだったことが残念でならない。
この試合は準決勝で負傷したと見られる選手たちは出場しておらず、さらにウイングを一人も出場させていない。本来であれば中盤を構成する選手らをさらに加え、ダニエウ・アウベスをウイングへと上げた3バックのシステムを採用している。
バルサはポゼッションを行うための陣形を整え、ダニエウ・アウベスを右のウイング、左にイニエスタとチアゴ・アルカンタラを流動的に扱っている。フォワードとして相手のディフェンスラインを引っ張る役目を行ってきたビジャもおらず、ウイングを務めてきた選手もいないため、バイタルエリアには選手が入っておらず、サントスが構築するゾーンの外側を中心としてボールを扱い、ダニエウ・アウベスが積極的に飛び出しながら押し下げて自由に使えるスペースを増やそうとしている。その積極的な動きを序盤は多く使い、意識させることで前へ出ずに下がるようにし向け、バイタルエリアにメッシやセスクが入りやすい環境を作っていく。イニエスタやチアゴも積極的に飛び出すようになっていくと、よりバイタルエリアでの変化がつけやすい状況になり、相手センターバックの前でボールを受け、ワンツーから変化をつけてペナルティエリアに入ろうとする姿が見られるようになった。
バルサはネイマールにマンマーク気味には誰もつけず、自由に動かせている。ボールを持ってから抑えるのではなく、ボールの出所を抑えるべく攻守の切り替えを素早く、多くなっている中盤の人数を活かしたプレッシングをしている。それによって縦へのパスを許さず外へ押し出し、スピードアップさせずにカットを狙っている。特にカウンターとなる一本目のパスは厳しく当たることで止め、ネイマールの線の細さでは抑えられないピケやプジョルが背後から強く当たることでコントロールしている。
サントスもバルサのセンターバックにまでプレッシャーをかけることで自由なポゼッションを許さないような守備を狙っている。余裕を持って時間を使わせず、ディフェンスラインをハーフウェーラインにまで上げさせず、また、外へ出させてパスミスを誘うところまで持って行けている。中盤がそのサポートのために下がる時間が増えれば、前で変化をつけるチャンスの低下にも繋がる。バルサの縦パスを特にコースを切って選択させないことでスピードアップを許してもらえておらず、またバルサも縦パスを中央に入れられるだけの人数を用意していない。
バルサは横パスで相手の陣形を揺さぶりつつサントスの守備が外側を埋めるために中盤が下がり、厚みを失ってフラットになるまで待ち、バイタルエリアに入ったシャビがボールをコントロールしてからパスを出すまで相手のチェックにさらされなかった。そこからメッシへのスルーパスが通り、先制点に繋がった。
失点以後のサントスは前へ出て、守備のポジションが上がってフォアチェックにかける人数も増えた。ただバルサの選手たちにとっては、体に密着されず接触の少ないチェックは大きな脅威を受けるほどではなく、自由もそれほど奪われていなかった。パスコースをいくつか切られているのは事実なものの、それ以外にもしっかりとパスコースを用意して展開していく。序盤は中へ絞っていることの多かったウイングをワイドに開かせているのは、それらから逃れる先をしっかりと用意するためで、カウンター時にはブロックの外側から中へと切り崩し、ポゼッション時には相手を開かせる。二点目は大きく開いたダニエウ・アウベスから中へグラウンダーのクロスが相手に当たりながらも入り、見事なボールコントロールからシャビが決めた。
サントスのフィードが多くなってシンプルに前線へと運ぼうとするようになったことから、センターバックが背後へ走らされるようになって、前へ向かった守備から掴まえにくくなり、センターバックが押し下げられたことでバイタルエリアをアンカーが埋めきれずに使われるスペースも増えた。そのぶんをダニエウ・アウベスがバランスを取って下がって4バック気味に対応することで相手のフィードには対応をして、攻撃になればウイングへと戻っていく。バルサはフィードとパスの両方に対応しているものの、奪われた瞬間から攻守を切り替えて奪い返せていたものが、それら二択を迫られることで明確には抑えられなくなり、ある程度繋がれるようになった。特にパスと連動してオーバーラップを許すと、増加する人数へと対応しなければならなくなるため片側サイドに人が集まり、ファーサイドにフリーの選手を作ってしまっているが、ぎりぎりの所でそれは止められている。
遅ればせながらサントスはメッシを中心に見ておく選手がつき、ボールへのタッチこそ許しても前を向かせないようにマークを受け渡しながら制限するようになった。ただメッシへのマークに付いていても、それ以外の選手が突っかけてくればチェックに行かなければならず、瞬間的にマークを受け渡せるわけではない。そのため、メッシの近くへシャビやセスクらがポジションを取ることでダイレクトパスの連携に組み込めている。それ以外の中盤に対してもスペースを減らすべくマークの距離を狭めたことでバルサの一方的なポゼッションや横パスを中心とした揺さぶりを止められ、密集した狭い地域でプレイさせることに成功をして、前半終盤はゴールへ迫られる回数を減らしていた。ただサイドを変えられてしまうとそのマークが追いつかず、ダニエウ・アウベスをフリーにしてしまって三点目のきっかけを作ってしまった。
後半に入ってもサントスの守備はタイトなまま保たれていて、バルサのウイングに合わせてディフェンスラインは押し下げられているものの、中盤に対してはマークの距離を狭めて中盤のポゼッションを明確にさせないようになっている。バルサはウイング二枚を大きく開かせてゾーンを広げようと試みているものの、ボールの出所をセンターバックに頼らなければならないため、ポジションを下げてバイタルエリアへ入りきれず、中盤のチェックがあるポジションでボールを扱わなければならなくなっており、メッシも下がってそこでボールを触ろうとしている。個人へのマークとチェックを目的としているため、メッシのドリブルに対して複数でコースを切り囲い込むような場面が見られず、ドリブルのスピードアップに一人一人向かってかわされてしまう。
時間の経過と共にサントスは守備の徹底をし続けられなくなり、中盤の選手たちのマークの距離が伸び、縦のコースを切り続けられないほどバルサがきっちりとダイアゴナルの動きをするようになっている。そうなると中盤でのポゼッションを防げなくなり、バイタルエリアへの進入も再開できる。サントスの攻撃もフィードとパスの両面を使うほどオーバーラップの勢いも頻度ももたらせなくなっており、バルサは守備を攻守の切り替えからフォアチェックへ絞ることが出来、背後へ走らされる回数も減った。フィードから決定的な形をネイマールに作られたものの、直接裏へ走られるそれと、ミスからのカウンターのみを気をつければよく、それ以外の流れではネイマールにもドリブルを選択させておらず、コースを限定して、ゴールから遠い外を縦に使われるのみ。それも最終的にはペナルティエリアの中をしっかりと閉じて対応し、シュートやクロスのコースを消しているため、ゴールへ直結するようなプレイは選択できていない。
さらに消耗をしてきたサントスはマークを近づけてパスコースを限定していくことすら出来なくなり、ペナルティエリア前まで下がって張り付き、そこで中央のブロックへ人を集めて待ちかまえることしかできなくなってきた。バルサのポゼッションにも運動量が必要なくなり、流動的なポジションチェンジや、接近してのサポート、スピードアップの気配も少なくなってきた。メッシがボールを持てばマークが厳しくないこともあってスピードアップし、ドリブルでの切り崩しを狙っているが、中盤のポゼッションかあら飛び出しを含めた変化は少なく、守備にも運動量の少なさは影響し始め、センターバックの出番が増え、コースの限定が不十分なこともあって縦パスや先に触られる場面も増えた。サントスの中盤がボールを持って前を向くだけの余裕も与えてしまい、ディフェンスラインは下がってリスクマネージメントをして攻撃への参加は控えている。ゴール前ではしっかりと選手間の隙間を閉じて、受け止める体制を整え、ドリブルによる変化にも揺さぶられてはいない。
リトリートで空いてしまった中盤と最後尾のギャップをダニエウ・アウベスが突き、メッシの得点をお膳立てして4点目。サントスはチェックに前へ出ることも足を出すことも少なくなり、バルサへボールを下げさせることこそ出来ても、奪ってからのカウンターはできそうにもなく、スローダウンをして試合を終える体制に入ったバルセロナを攻守両面で脅かすことなく試合を終えた。