2011 年 11 月 のアーカイブ

Bundesliga 12. Spieltag アウグスブルク対バイエルン・ミュンヘン

2011 年 11 月 7 日 月曜日

■FC Augsburg 1 – 2 FC Bayern Munchen
シュバインシュタイガーが先日のチャンピオンズリーグで負傷したため、中央にクロースを一列下げるのではなく、ティモシュチュクとアラバを並べ、アラバにシュバインシュタイガーがしていたように、前後のサポートを求めている様子。

アウグスブルクのフォアチェックに前へボールを出せない場面が目立ち、中盤が引く出していく能力に低く、センターバックとサイドバックの間でボールを動かしていく回数が多い。クロースが下がって引き出すことでようやく変化をつけられる。それでもアラバにはダイナミックな動きがないことでマークを引き剥がすことが出来ず、前へ上がっても隙間にはいってスペースで受けられず、パスの選択肢として使えていない。アウグスブルクが細貝をアンカーのように扱い、中盤の間を前へプレッシャーに向けられるようにしていくことでそういった守備を可能にして、バイエルンは外側にウイングとサイドバックで起点を作ろうとして外側に選手が偏ってしまっているが、外から中へと動き直すことで中盤の背後、アンカーの左右へ入り込むことが出来、スペースのあるそこへ入ってしまえば、アウグスブルクはセンターバックを前へ出せず、細貝もボールへ足を出すというよりも距離を置いてまた手を塞ぐ、あるいは無理にパスカットを狙いに出て行くのみで、変化をバイタルエリアでつけられる。横に揺さぶれば相手はより出てこられなくなり、ディフェンスラインの幅が狭まって外側を使いやすくなる。

バイエルンの先制点はコーナーキックのこぼれ球をマリオ・ゴメスが押し込んだもの。

アウグスブルクは横にボールを動かしてバイエルンのチェックから逃れて繋ぎつつ崩すことを目的としておらず、縦パスをとにかく選択しがち。フィードを左右のアタッカーへと預けたりフォワードに当てる。その間に中盤を押し上げてプレッシャーの体勢を整えつつ、バイエルンのセンターバックの背後を伺うパスを出していることで押し下げられる。一定の効果は見られるものの、それ以上に崩せる気配は見えてこない。

クロースが下がることでバイエルンはボールを引き出せるようになり、マークがある程度分散されてアラバやティモシュチュクも前へ動いてボールを引き出せるようになったものの、それでもフォワードとの距離は遠く、一枚前線から下げて展開しているため、間に一つ挟むことが出来ていない。距離が長いままパスを繋げたとしても、少ない人数で今度は攻めなければならず、横へボールを動かしても相手の守備の方が数が揃って厚みを持っている。さらに時間をかけてタッチライン際をコーナーエリアまで深く侵入すれば、アウグスブルクの中盤がディフェンスラインに吸収されて厚みを失う。手数をかければ陣形を崩せる可能性があったものの、バイエルンはロングボールをマリオ・ゴメスに当て、アウグスブルクの中盤を飛び越すことで少ない人数を相手に三枚のカウンターを決め、リベリーがゴール。

その後のプレイの中でも、相手中盤が抑えに出てくるところをワンツーで抜けて一気にスピードアップするなど、バイエルンはアンカーの横を多く狙い、アウグスブルクもセンターバックが待ち構え、リトリートを選択するのではなく、チェックをすることでそれに対応し始める。中盤もポジションを少し下げてフォアチェックにはならなくなり、攻撃に移るまでに時間を必要とするようになり、縦パスを選択することが難しくなったものの、時間がかかることでサイドバックのオーバーラップを得られるようになった。ただ攻撃の選択肢としてそれが上手く働いているとは言い難く、むしろ奪われてから上がったサイドバックの背後をカウンターで突かれ、センターバックが前へ出て抑えようとするのも、背後へ動き直されるとついていけず、ピンチを広げることにしかなっていない。

後半も前半と同じくバイエルンはパスを繋いで主導権を握ろうとし、アウグスブルクは同じように前からある程度抑えにかかる。バイエルンがサイドから攻めればアンカーの細貝が外に流れて中へのコースを塞げるようになっているものの、本来アンカーがいたポジションを他の中盤の選手たちが埋めるわけではないため、押し出されたサイドから中へ再展開を出来てしまえばバイエルンは背後を狙えるだけの余裕を手に入れてしまえる。サイドの攻防にしても、リベリーやミュラーとサイドバックが相対してもスピードを落とせるわけでもなく、サポートに来たセンターバックと二枚で同時にプレッシャーを与えるのでもない。どちらかがチェックに行けば片方が引いてしまい、コースを限定しきれず、ワンツーで簡単に背後を取られてしまう。選手間の距離も遠く、個人の頑張りによって防げている印象が強く組織としての守備は感じさせない。

コーナーキックのこぼれ球を細貝が決めて一点差。アラバがカバーリングに入っていたものの触った時点でゴールラインを割っていたため、当然のことながらゴール。
縦へ急ぐ傾向のあるアウグスブルクの中にあって細貝は上手く相手のスペースへ入ってボールを受けようとし、パスの幅も広く行えていて、守備面よりも攻撃面での攻撃の方があるのかもしれない。

一点差になって息を吹き返したように見えるアウグスブルクに対してバイエルンは前後の距離が伸びてしまっている状況を改善しきれず、アウグスブルクが手間取っている構築部分にフォアチェックをかけながらもディフェンスラインは上がれない。下がった状態から攻撃に移りフォワードとディフェンスラインを繋ぐ選手の不在から長い距離のパスに頼らなければならず、前へ出る意識の強い相手にカットされ、掴まえられやすくなっている。ただ連動した守備自体ができるようになったわけではないため、動きの逆を突けば簡単に裏を取ることはできるが、バイエルンも選手間の距離が開いているために連携して抜くことが出来ず、裏を取れたとしてもチャンスになりづらくなっている。むしろ簡単に裏を取れるためにボールを受ける側の動きが単調になって、今度は手前で受けることを中心とし始め、勢いよく出てくる守備に飲まれるようになってしまった。パスで揺さぶろうにもその中心となるポジションのアラバのパススピードの遅さとミスによって揺さぶり切れず、カットされてカウンターを受けてしまう。ノイアーでなければ同点になっていてもおかしくない場面まで作られた。

パスの距離の長さが接触の多さに繋がってファウルの多い試合になって荒れてきたものの、バイエルンの攻め方を後ろ向きにする効果はあってもアウグスブルクがそれによって萎縮することはなく、勢いを強めてくる。バイエルンは上手くボールを動かしながら時間を使い、オーバーラップも控え、守備的な選手交代を含めて相手のプレスをいなし、ファウルを誘いながら耐え抜く必要に迫られた。選手交代で守るための方針へ切り替えながらも、パワープレイのフィードを抑えるのは重要なことだとはいえ、相手の勢いに飲まれて無理に前へ出てしまった結果、ティモシュチュクが不必要な退場。

Liga Espanola Jornada 12. アスレチック・ビルバオ対バルセロナ

2011 年 11 月 7 日 月曜日

■Athletic Bilbao 2 – 2 FC Barcelona
ビルバオの守備姿勢は前がかりで、バルサの後方に対して追いかけ回し、深くまで入り込もうとしている。ディフェンスラインも高く保ち、サイドバックをより押し上げることでバルサのウイングに対してのプレッシャーにもしている。ただバルサはタッチライン際にまで大きくサイドバックを開かせてボールを動かし、相手のゾーンを広げようと動いている。ビルバオが積極的に追うことがより広げられる要因になり、バルサの中のポジションチェンジに対して反応を鈍くしている。
バルサはポジションチェンジを盛んに行い、特に相手の中盤が前へ出て来ることを利用して、バイタルエリアではなく、相手の中盤の手前で横に動き、ゾーンを左右へ揺さぶっている。それでもビルバオは中央にブロックを構築して、そこの入ってくる相手を掴まえて守るのではなく、マークの距離を縮めて前を向いて受けさせないよう、接近した守備をしている。ブロックを作ってゾーンで守るのとは違い、マークの受け渡しをあまりせず、マーカーがそのまま付いてくることが多いため、ポジションチェンジに対して大きく陣形を崩してしまう。特にドリブルは、個人にそのまま付いているマーカーを外してしまえば、他のマークを外してまでサポートしにいかなければならないため、バルサとしてはフリーな選手を作る効果を得ると共に、マンマーク気味の守備と反対側を利用することでもあるから、向かってくる守備をさせず、戻らせる効果があり、機能している。バルサもビルバオと同じくフォアチェックによる守備を徹底しているため、ショートカウンターからフリーランで裏を取ろうとするのも効果的で、ビルバオが前へ重心をかけづらい環境を作っていく。
ただマークの距離を縮めて守られているため、足下への鋭いパスもカットされやすく、前を向いて連続して繋いでいくことは難しい。ピッチ状態もそれに影響をして、パススピードを保ちきれず、ボールコントロールを自分の範囲に収められないことも多くかわしきれていない。上手く動きによって揺さぶれていなければ、次々に来る守備によって防がれてしまう。

ビルバオもタッチ数が少なく早いリズムで繋いでくる。フォアチェックの運動量がそのまま攻撃にも現れ、ジョレンテへのパスを軸としている。ピケとジョレンテの距離は比較的遠く、ロングボールにしても足下へのパスにしてもマークの距離がそれほど近くなく、足下へ納めさせている。そしてサイドアタッカーを利用してバルサのサイドバックの外側を突く。中央と外側に起点を持ちつつ二列目からの変化も加え、厚みのある攻撃をしてきている。ただジョレンテの高さを最優先にケアしなければならない場面をサイドからの攻撃では作られやすく、そこへのクロスを警戒するあまり二列目からの飛び出しに対しての反応が薄く、ゴール前へ人数を集めて警戒しなければならなくなっている。前から攻守の切り替えはしっかりできているものの、一気に押し下げられたときにアンカーこそ戻れても、サイドバックが引き出されているために中の人数が相手を抑えるには十分であるとは言えず、厚みも用意できない。そのためマイナスのボールへ対応しきることが出来ず、ビルバオに先制点を奪われてしまった。幸運だったのはすぐにアビダルのクロスからセスクが難しいヘディングを決めて同点に追いつけたこと。

同点に追いついてからしばらくはメッシがフリーになり、その間に善戦の他の選手が動いてマークをずらしている。マンマーク気味に推移するということはドリブルに対応するためには自分のマークを放棄しなければならず、判断を難しくさせている。反応の遅れはメッシのドリブルを止めるために前へ出なければならないタイミングを逸することでもあり、スピードアップできている。その後のチェックに出てくる選手は誰かしらのマーカーであり、背後にスペースを作って出てくるためスルーパスを通すチャンスを得られる。この試合のアドリアーノは多くの横への動きをして変化を生みだし、フォワードの横の動きとポジションチェンジはマーカーを左右へ引っ張ることにもなり陣形を保たせない。ダニエウ・アウベスも高いポジションを保っているため、ビルバオはフォアチェックと相まって上下動を相当にしなければならなくなっている。マンマークを基本としていればサイドバックのオーバーラップに対応するためには攻撃の選手を下がらせなければならず、ジョレンテをも下げてバルサのセンターバックに余裕を持たせる場面が増えた。徐々に個人が個人を抑えられなくなり、カバーリングをする必要に迫られてきているものの、バルサのフォワードのいずれもがセンターバックに対して向かっておらず、得点のマーク対象をビルバオの二枚のセンターバック共に持っていないため、カバーリングをして守備の距離を大きく広げられてはいない。

バルサの守り方はビルバオとは対照的にマークには付かず、引いて守備に戻るジョレンテに対応するためにピケやマスケラーノが出て行くことはなかったし、攻め込まれた後にしても、ディフェンスラインの前で横に動かれてもそれに引っ張られることなく自分たちの担当するゾーンから離れていかなかった。ただ集中自体はジョレンテへと向けられているため、アンデル・エレーラやムニアインの動きに対して少し甘く、背後を取られる場面を何度も作られてしまった。
バルサがマークの距離を詰めてフォワードへのパスカットせず、その背後で待ち構える形を取っていることや、フォアチェックからドリブルも使われてしまうことで自陣深くまで押し込まれる場面も多く見られる。一度押し込まれてしまうと、フォワードまで戻って守らなければならないのは両者共に同じで、バルサも奪ってからクリアをするのみで繋げなくなっている。セカンドボールを拾われて構築されるほどピッチ状態がよくないため、連続してシュートチャンスを作るほどではないにしろ、連続して攻撃されて押し上げられない状況は早めに改善すべき状況に見える。

後半になるとピッチ状況はさらに悪化をして、水溜まりがボールの勢いを多く殺すようになってきた。パスはスピードが落ちだけではなく止まり、ドリブルにしても地面に掴まえられて前へ持っていけなくなってきている。特にバルサの左サイドはその影響が濃く、ハビ・マルチネスが最初の犠牲者になったものの、イニエスタのシュートミスから失点にまでは至らず、徐々にそこを避けようとする意図が見られるようになっている。

バルサの運動量に合わせてマンマークに付いているビルバオは少しずつ反応が遅れ、パスが止まりやすいこともあってドリブルとスピードを活かした攻撃の多くなっているバルサに多く走らされるようになっている。攻守両面での運動量の蓄積がマンマークの対象からポジションを離すことになる。裏を取りやすくパスが通りやすくなっているものの、ピッチ状態らそれを選択するには勇気が要り、あまり選択できていない。だがビルバオはそのぶん前へ人数をかけて攻撃のための組織として残しているため、ゴールキックにも前へ人数をため、バルサを押し込んで前へボールを正確に運ばせないことでビルバオの後ろの問題を前からの動きが覆い隠している。

アレクシス・サンチェスを投入したバルサは交代によって前へスピードをもたらしてフォアチェックとカウンターに移行しやすい環境を作る。止まる危険性のあるパスよりもドリブルを優先する場面も目立ち、ダイレクトパスでは動かせない。両者共にフィードをフォワードに当てようとすることも増え、全体をコンパクトにスピードアップするよりも、少しばかり間延びをするように縦に伸びた。バルサは前へ預けるにはそれを得意とする選手がいないために上手くいかず、ビルバオは問題なくそれが行える。個人が持つ時間の増加とボールコントロールが上手くいかないことも併せて接触プレイの増加がファウルになる。泥臭いプレイではバルサはペースを掴めず、マークを外すアレクシス・サンチェスの動きもパスを呼び込むほどにはなれず、ビジャも投入して裏へ抜けることを明確にしても、そこへパスを狙えるだけの状態が作れず、タイミングとしてそれが出来たとしても、接触プレイが邪魔をする。

上手くいかない流れの中、マスケラーノが無理に繋ごうとしたのが雨の影響をそれほど受けずにスピードが落ちずコーナーキックになり、アビダルのクリアがジョレンテに当たり、ピケも誰もクリアが出来ずにゴールに吸い込まれて勝ち越しゴールになる不運を呼び込んでしまった。

バルサはリードを許してから外へ押し出されて繋げず、繋ぐことよりも裏へ出す必要があってもそれを出せない。鋭いボールだとそのまま流れる危険性があり、緩やかなボールではカバーリングが間に合ってしまう。守備に人数をかけるビルバオを突き崩せず、足下の悪さがスピードアップが出来ないためにゴール前を埋めるスピードの方が早い。そんな中でもビジャをフリーにしてシュートまで持って行けたものの、コースが限定されていてはキーパーに止められてしまい、同点に追いつける気配はなかった。

アモレビエタが二枚目のイエローで退場となり、ジョレンテを下げてセンターバックを投入したときにビルバオには集中の途切れや焦りがあったのかもしれない。セットプレイからクイックに始め、ヒールパスは誰も反応できていなかったが、クイックであるが故にディフェンダーは誰も反応できていないのが見えておらず、キーパーと交錯をしてメッシの前にこぼれ、同点ゴールになった。

悪いタイミングでそれを有利に持って行ける相手との対戦になり、ビルバオがバルサを上回ってしまった。しかしピッチ状態がどうであれ、この試合のビルバオの動きが明確にバルサを捉えられていた以上、天候がよく、ピッチ状態が良かったとして、果たしてバルサが勝てたかどうかとなると疑問符が付くほどだった。二点目はどちらにとっても不運なものだったものの、引き分けられたのが最善の結果だと思えるほどビルバオが良い試合をしていた。

UEFA Champions League 11/12 -A- Matchday 4 バイエルン・ミュンヘン対ナポリ

2011 年 11 月 3 日 木曜日

■FC Bayern Munchen 3 – 2 SSC Napoli
ナポリは積極的なフォアチェックによってバイエルンに余裕を与えず高い位置で奪いカウンターを仕掛ける。スピードに乗ったまま守備から攻撃へと移行することを狙っているようで、全体を間延びさせず、後方から連動して行っていることで攻撃時にもしっかりと人数を揃えている。バイエルンがセンターバックの位置を下げて安定してボールを横に動かしている間はそういった無理なプレッシングを中心とせず、ハーフウェーラインに踏みとどまって、コースを切りながら前へ運ばせないように押し下げていく。

バイエルンはなかなか前を向いてボールを扱わせてもらえず、自陣にクロースやリベリーといった選手まで下がってボールを受けに来なければ前へ運ぶのが難しくなっている。サイドに開いているミュラーや、左側にシュバインシュタイガーやクロースを入れてサイドに重心をかけ、3バックの外側を使おうとしているものの、ウイングバックを中心としてタッチライン際にまで十分に選手を配し、全体がスライドして外に起点を作らせてくれない。センターバックの三枚が外へ引っ張り出されることも少なく、中盤のみで外の対応をしてセンターバックは距離を取ったカバーリング、ファーサイドはきっちりとウイングバックが埋め、外へ人数を集めたからといって中央へスペースが出来るわけではない。

両者共にディフェンスラインは深く、バイエルンはナポリの3トップが守備のために下がるのに合わせてセンターバックを押し上げているため攻撃時こそある程度の高さがあるものの、カウンターのスピードを警戒して最初の縦パスを抑えにかかる以外は距離を取りがちでリトリートしている。ナポリのディフェンスラインは常に低く、ペナルティエリアの手前にまで下がっている。試合開始当初にあったフォアチェックを維持できなくなっていったのもそのラインが低すぎて前後の距離が伸びてしまっていたからで、それを解消しようと中盤とフォワードが下がり気味に位置するようになったことでカウンターに勢いをもたらせなくなり、バイエルンのプレイエリアを上げてしまった。ナポリが前後に適切な距離を保てている間はバイエルンの前線が前を向いてボールを扱うことは難しかったものの、奪いに行くのではなく、待つようになったためにそれぞれに距離が開き、バイエルンの選手たちは簡単に前を向ける様になった。一度前を向いてしまえば積極的に前へ出て奪う動きにはリスクがあり、ナポリの中盤が足を出しに行けずに下がることで、よりセンターバックとの距離が縮まり、バイエルンは外だけではなく中央で試合を作れるようになった。そしてマリオ・ゴメスへの縦パスから先制ゴール。

一度厚みを失わせてしまえば、適切な縦の距離をナポリは保つことが出来ず、十分に揃った中央の人数もきちんとしたマークに振り分けることが出来ず、誰が誰を掴まえるのかが明確でなくなっていく。それがカウンター時に顕著に表れ、マリオ・ゴメスの二点目になった。それ以外のカウンター時にも、マリオ・ゴメスに対して三枚のセンターバックがいながら、前後のチェックやパスカットとカバーリングの関係を作れず、簡単にボールを収めさせてくれている。フォワードを前に上げてフォアチェックを再開させても、ディフェンスラインが深く守りすぎている部分を解消できていないために、バイエルンは中盤の選手たちを次々とバイタルエリアに入れることで簡単にゴール前で前を向き、ミドルシュートも打て、縦パスを受けられ、プレッシャーを抜けてナポリを押し下げてしまえる。そしてバイタルエリアに入ってきた選手に対してナポリが対処に出ても、ボールが収まる選手に対して後手を踏みながら、一人、そしてまた一人と向かうだけで、背後へスペースを作っているだけでマリオ・ゴメスにハットトリックを許した。

押し下げられたナポリのカウンターはフォワードの三枚が連携できたとしても、ウイングバックの押し上げに時間がかり、その間に囲んでしまえる。奪える状況を作ってからウイングバックが上がってきたのでは遅く、バドシュトゥバーもヴァン・ブイテンも、それほど距離を取って裏を警戒しなくてもよくなっている。カウンターの枚数も少なく失点の危険がなかったにもかかわらず、ボアテングが不必要なファウルをしてしまったことで、フリーキックからヘディングであわされて失点。

ドッセーナが前半の終わりに投入されてから後半開始ににかけて4バックに近い形へ移行したことで再びフォアチェックできる体勢が整い、マリオ・ゴメス一人に三枚が張り付くような場面はなくなり、外の対応が楽になったように見える。ただディフェンスラインを上げたとはいえ、中盤と最後尾を繋ぐ役割を明確に与えているわけではないため、バイタルエリアに入りやすい環境自体は変わらず、バイエルンが主導権を握っている状態も変わらない。
ナポリがカウンターへと移行したとしても、バイエルンはすっとラインを下げて背後への飛び出しをさせない。ペナルティエリアにまで入ったとしても、背後を狙った飛び出しを多用してくるナポリにそれをさせないことで、ウイングバックやサイドバックの押し上げを得ても裏を取れないことで外へ押し出されるしかなく、時間をかければかけるほど選択肢が削られている。早めにセンターバックの背後へフィードを入れることで多少脅かせているものの、バドシュトゥバーとヴァン・ブイテンの二枚で縦の関係を作り、しっかりと後ろへそらされたときのケアをしているため、シュートにまでなることは少なく、無理に長い距離を通そうとするため精度が少しでも落ちれば繋がらず、崩しきる姿は見られない。

両者に疲労が見え始め、運動量が低下しミスが増えてくると、接触が増えてファウルが増えていく。リベリーとやり合っていたズニガは立て続けに二枚のカードを出されて退場。数的有利に立っている時間帯こそ、間延びに加えて数的有利に立ったことでスペースが多く、カウンターに移行しやすい環境を得ていたものの、ミスが多くチャンスを作りきれなかった。序盤に一枚カードをもらっていたバドシュトゥバーもカバーニに誘われるままに二枚目となるイエローを出されて退場をすると、その接触からファウルを取られる回数の増加にバイエルンは集中を欠いてしまい、ナポリがそれを利用し始めたように見える。バイエルンには多少の苛立ちがあったように見え、そしてフェルナンデスにこの試合二度目のフリーキックからのヘディングゴールを許して一点差まで迫られてしまった。

積極的に追い回し、パンデフを投入して攻撃に出るナポリは奪いにでるときの接触を利用してファウルも得つつ前へとボールを運んでいく。バイエルンは逃れることに精一杯で、マイボールにしても明確なポゼッションをすることが出来ず、パスの距離が伸びると精度を落としてミスにしてしまいがちで相手を押し下げることも満足に出来なくなっている。ただバックパスで下げられることの利点は大きく、フィードと混ぜて相手を前後に走らせてナポリに主導権を握られ続けないようにだけは上手くコントロールし、何とか逃げ切りを成功させた。

UEFA Champions League 11/12 -H- Matchday 4 ビクトリア・プルゼニ対バルセロナ

2011 年 11 月 2 日 水曜日

■FC Viktoria Plzen 0 – 4 FC Barcelona
バルセロナはセンターバックには怪我から復帰したピケとプジョルを、中盤にはセスク・ファブレガス、ウイングにはクエンカとアドリアーノを起用するなど、システムではなくメンバーに変化をつけて試合に臨んでいる。

プルゼニは前の試合とは違い、試合開始から積極的な姿勢で挑んできている。一度ボールを持ってしまえばセンターバックもハーフウェーライン付近に迫るほど押し上げ、そこから左右へと大きく振り分けながらサイドバックの裏にあるスペースを突こうとしてくる。ショートパスを繋ぎタッチライン際から崩そうとしてくるものの、バルサのフォアチェックによって乱されその成功率は低く、チェックをかいくぐって中距離の浮き球をフォワードへ当て、あるいは裏へ出すことで勢いをもたらそうとしている。
加えてバルサのボールキープに対してのプレスも積極的で、フォワード二枚がセンターバックへチェイシングをし、中盤の左右がサイドバックへ持たせる時間を削る。ウイングにはサイドバックが付き、パスカットからショートカウンターを狙えるほど、足を止めず前へと動きながら守備をしている。そのうえ攻守にわたって体の接触嫌がっておらず、それが球際の強さとして表面に出ている。守備時にはもちろんのこと攻撃時にもあまりに接近してくるためバルサはクリアへ大きく足を振ることが出来ず、繋がなければならなくさせられている。それでもミスになることは少ないが、十分な距離のパスやクリアが出来ないことで、繋ぎきれず次のプレイへも移行しづらく、相手にプレッシングの機会を増やしていた。

バルサはプルゼニのプレッシングにプレイエリアを上げるのが難しく、ボールを動かす位置がディフェンスラインを中心にしている。そこから前へ押し上げるためにはメッシが下がる、あるいはセスクやチアゴがバイタルエリアに入っていくことで、プレッシングに出てくる選手を抑え、後方がボールを扱いやすい環境を作る。そして距離が長くとも縦パスを入れることでプレッシングに出てきている背後を使い、プルゼニの中盤を戻らせる。相手を押し下げ自らのプレイエリアを上げることが出来れば、押し込むエリアを増やし、プレスから解放される。ただポゼッションの形を十分に作れておらず、相手に体を掴まれ、ぶつけられ、フォワードのいずれもが相手ディフェンスラインを下げさせる飛び出しを多用しないことで、ディフェンスラインそのものを大きく下げることが出来ていない。それでもセスクとチアゴの二人共がポジションを高く保てているお陰で、メッシとの距離が近く中央で変化をつけやすく相手を集めやすくなっている。大きく開いているアドリアーノとクエンカが中へ絞らなくても中央に人数を失うことがないのはいい傾向。

先制点はバルセロナで、ショートカウンターからメッシがペナルティエリア内で倒されPKを得てのゴール。このプレイで相手は退場になったものの、確かに得点機会の阻止で、軸足に対して足をぶつけていたためPKの判断は間違っていないと思うものの、それに加えてレッドカードは厳しかったのかもしれない。ただ同時にあの状況であればレッドカードでも仕方ないと思えてしまう。

数的不利になったプルゼニはフォワードを下げてセンターバックの代わりを投入。それまでのように積極的なプレッシングをバルサの後方に対してかけることが出来ず、ラインを下げてブロックの距離を狭めて守りを固めるようになった。そしてマークの距離を縮めて体をぶつける激しさが増し、激しさがラフになり、足を削る素振りすら見られるようになった。ただマークの距離を狭めて体をぶつけることで、バルサに満足なコントロールをさせず、ミスを誘ったり、あるいは相手の前へ出てパスを奪いカウンターに出る勢いは持続させている。問題はいくつかあり、人への意識が強すぎるためにボールに向かっておらず、奪えるタイミングであってもボールを触れずに体にぶつけるのみに終わることも多く、ファウルも増えていく。ブロックこそ下がったものの積極的な姿勢自体は変わらず、一度カウンターの状態になれば一気に人数をかけて出てくるため、バルサが一方的な試合展開へと持っていける状態ではない。

接触の多さがファウルの増加に繋がり、選手それぞれに苛立ちをもたらしている。怪我を恐れなければならないバルサの方が、より球際では苦しんでいるものの、バルサは熱くなりがちな状態の中でもしっかりと状況を見て、中央に固めているブロックの外側を多く利用している。特にクエンカとアドリアーノは序盤からそうだったようにサイドバックの外へ大きく開き、フリーの彼らを使って大きく開かせて起点にして中へと進出していく。外から横への動きに対しては縦パスをほど密着して出てこられない。それを警戒していくようになれば、ゾーンを広げて守るために中央の寄せ方が不十分になり、メッシらに対して自由を与えることに繋がる。ただゾーンが下がっていることで裏を使わせてもらえず、横へ広げても十分なカバーリングがある。ただ大きくサイドチェンジを使って左右両方へ大きくゾーンを広げさせてしまえば、中央のマークやカバーリングに十分に人数を割くことが出来ず、ワンツーで上がってくるメッシへ対応しきれず2点目を許した。

ハーフタイムを挟んでプルゼニの張り詰めていたテンションが落ちたように見え、縦パスへの反応とマークの距離が遠くなって、開始早々にセスクとメッシのコンビネーションを許した。カウンターにしても個人のスピードを活かした突破はあるが、前半のような多くの人数をかけたものは無くなって、サイドを二枚が駆け上がるような姿は見られない。数が少なければスピードアップをされたとしてもコースを絞りやすく、減速させれば少ない選択肢を塞ぐことも十分に出来、バルサは守備でばたつかず囲い込んで奪える確率を増やしている。ただプルゼニも攻め込んだ後のフォアチェック自体は前半と同様に行っていて集中自体は切れておらず、奪った後の繋ぎ方に危険を感じることもあった。

プルゼニのブロック構築は前半よりもフォワード分を下げてディフェンスラインの前へ広さと厚みを置いている。ブロックの外側へ出されるボールへの対処を早めて、起点を作らせないようにという意識があるようで、クエンカやアドリアーノへのパスカットやマークを十分にするようになった。ただそれは中央のブロックを構築する人数の低下でもあり、縦パスを通させ、チェックを甘くしている。バルサは体の接触を減らすために球離れを早くすることで変化をつけられ、後方から進入することを加えて、ポゼッションを安定させていく。プルゼニがチェックに出てくるスイッチは縦パスと横パス。横にボールを動かす時に担当をする選手が前へと出てきてプレッシャーを与える。センターバックにまではさすがに向かってこられないがサイドバックには抑えにかかり、アンカーに対しても同様に行う。そのため、バルサはボールを支配しているものの、プレイエリアはさほど上がらなかった。後から見ればその状態はバルサの思うつぼだったのかもしれず、プルゼニがその状態に満足をしてしまい、フォアチェックを継続してかけることで、後方に構築していたブロックが縦へと伸びてしまい、スペースを作ってまで前で抑えにかかってしまった。後ろに十分な人数を用意できなくなったことでサイドバックの外側を埋められなくなり、ブロックも中央に用意できていない中途半端な状態になっていた。そこをクエンカが縦に使いクロスをあげ、中でセスクが頭で合わせてゴール。

三点目が入るとプルゼニのチェックの勢いもオーバーラップの勢いも衰え、守備にかける運動量や激しさもなくなってきた。バルサのポゼッションを防ぐためのチェックも殆どなくなり、パスミスからショートカウンターへ向かえたとしてもサポートは得られない。バルサはボールを自由に持つことが出来、アンカーやセンターバックが相手陣内深くでボール横に動かすことも増えた。クエンカは自由にポジションを取れて、中央を固めているはずのプルゼニも背後へ抜ける動きに対してついていけなくなっている。中にばかり意識がいっているところへ外へボールを出され、そのまま背後へとボールが動くようになった。バルサはバイタルエリアでボールを受けることは出来るが、ラフなプレイに対して耐えようとはせず、少ないタッチで他を使うことで回避しながらプレイをしていた。
そしてロスタイムにもメッシが4点目を決めてハットトリック達成。

これでバルセロナはグループステージ突破を決めた。