■FC Bayern Munchen 4 – 0 Hertha BSC Berlin
ヘルタにはレル、オットル、クラフトと多くのバイエルンの出身者がいる。他にもコビアシュビリやニーメイヤーなど、2部から復帰したばかりにしてはいい戦力が整っている。
開始早々から、ディフェンダーのミスをリベリーが奪い決定的な場面を得て、キーパーまでかわしたものの得点にはいたらず。集中してゴール前を塞いだディフェンスによってブロックされてしまった。しかしながら流れとしては決定的なもので、バイエルンが主導権を握り、それをヘルタが受け止める形になりつつある。ヘルタは左のコビアシュビリとベン=ハティラがサイドで起点を作り、キープをしてカウンターに繋げたいところだった。あるいはポゼッションでもよく、横へ動かして得点のチャンスを作るには十分だったはず。しかしながらそこをカットされてからのカウンターで一気にバイエルンが得点を取った。マリオ・ゴメスのシュートは十分なコースこそついていたものの威力は不十分で、クラフトの判断ミスの印象が強いゴール。
センターバックをハーフウェーラインに残すのみでバイエルンは全員で攻撃の形を作る。それをフォワード一枚を残してヘルタが守る。人数を残して守っているし、フォワードにはセンターバックがしっかりとついているものの、その一つ手前にあたるミッドフィールダーのポジションがボールサイドに大きく偏りやすく、さらに中央のセンターバック前を全く埋められていない。ボールをサイドに動かされるとバイタルエリアに侵入できるだけのスペースを得て、そしてボアテングのクロスから厚みのない中央でリベリーが得点を奪った。前へ入られてしまったレルのミスであるものの、サイドからのボールを中盤の誰もがケアに来ていない状況の方に問題がありそう。
三点目となる場面でも、サイドへボランチの二人ともが引き出されてしまい、狭い局面でボールを扱い奪われなかったバイエルンを褒めるべきだったとしても、4-2-3-1の要となる守備的ミッドフィールダーの二人が片側のサイドの為に中央のエリアを放棄すべきでなく、出るのであれば止める必要があった。リベリーのドリブルによって簡単に崩され、シュバインシュタイガーがバイタルエリアからシュートしてゴール。
ポゼッションを高めるバイエルンにヘルタの守備は混乱気味になっている。システムこそ保っているものの、フォアチェックは全く機能しておらず、フォワード一枚で向かっていってもセンターバックのもう一枚と中盤の二枚、そしてサイドバックのいずれもマークされておらず、連動してチェックを行っていない。その状態でフォワードが追いかけ回したとしても効果的ではなく、バイエルンはダイレクトパスで精度をそれほど必要とせずに簡単に逃れられる。せめてラファエルが戻りすぎずに前へ向かって守備をするべきで、彼は戻っても守備にまるで貢献できていない。エベルトやベン=ハティラは後方に引いて、サイドで数的有利の守備状況を作ろうとしているものの、ボランチがサイドのカバーへ簡単に出てきていることから必要性としては薄いものの、しっかりと埋めている。ただサイドバックと連携して縦と横を同時に閉じつつ、リベリーからボールを奪おうとする姿勢はなかなか見られず、限定しているのみに留まっているため、止め切れていない。
左サイドのベン=ハティラはしっかりと体をボアテングにつけて奪いに来ているものの、こちらはバイエルンがミュラーを中へ入れていることもあって一対一でしかないために数的有利は作れず、個人の頑張りだけでしか無くなっている。ただ彼の前へのチェックが他の選手の前へのチェックを促して、ある程度はフォアチェックの形になっているものの、ディフェンスラインがチェックの間に押し上げることが出来ず、結局後ろの持ち場に戻らなければならないため、一つ縦パスが入るだけで大きく縦に戻されてしまう。それでも守備が活性化した効果は大きく、それまでフリーだったバイタルエリアに入る選手たちが掴まえられるようになってしまい、オットルやニーメイヤーがしつこく追い回してくることで前を向いて扱いづらくなってしまった。
交代したエベルトが上手くいっていなかったのは確かなものの、前半終了間際まで前で二枚が守備をすることで上手くくいっていた守備組織を交代させ、4-1-4-1へと変更をしてきた。ディフェンスラインも押し上げて中盤との距離を縮め、そこの間をルステンベルガー繋ぐことで、囲んでも奪いに出られなかった守備を、囲んでぶつかれるまでに持ってこられた。攻撃から守備に移ったときにニーメイヤーも前へチャレンジできるようになり、バイエルンのプレイエリアを下げて、ボールを横へ動かす位置をハーフウェーライン上にまで押し下げられてしまった。
それまで空いていたバイタルエリアも比較的閉じ気味になったことで、ミュラーを始めとして外へ開いて相手を広げることよりも、中でゴールの近いポジションを取ることを優先しているバイエルンは縦パスを選択できるだけのコースを得られず、ヘルタにキープされる時間が増えてしまった。サイドを縦に使われ、サイドバックのオーバーラップを許すことでバイエルンの守備位置が下がり、フォアチェックで奪えず、ペナルティエリア内まで戻らなければならなくなり、攻撃に移るまでの時間が必要になった。
それでもディフェンスラインを前へ留めていることでバイエルンは相手の裏を使いやすく、バイタルエリアにさえ縦パスを入れることが出来れば、それと連動して下がっていかないディフェンスラインの前から裏へ精度の高いパスを送って、センターバックの背後を突いてゴールを脅かすことが出来る。長い距離であっても前へ向かってくる相手の逆を取れるため効果的で、それらを繰り返していくことで、ヘルタの守備位置を再び押し下げてバイエルンはプレイエリアを上げて、センターバックがハーフウェーライン上に位置するまでに戻すことが出来た。ヘルタのセンターバックも前で相手を掴まえるために動いているため、ディフェンスラインが不揃いで、より裏を使いやすくなってきている。そしてミスからリベリーにペナルティエリアへの侵入を許して、若干判定が甘いもののPKを得て4点目。
その後はミュラー、マリオ・ゴメス、ラームと続けざまに下げて、動きが落ちてきていたヘルタ相手に逃げ切るような戦い方を選択していたものの、バランスが変わって縦パスを入れられないことでヘルタを押し下げるには不十分になり、オリッチがサイドに流れることでゴール前に脅威を用意できないことで強くそれを意識させられなかった。いくつかフォアチェックを受けてカウンターにされることもあり、4点目によって落ちた相手の意識を利用しきれなかったのは残念なものの、チャンピオンズリーグを考えれば仕方のない範囲。