Liga Espanola Jornada 8. バルセロナ対ラシン・サンタンデール

■FC Barcelona 3 – 0 Racing Santander
バルセロナは苦手としている代表戦明けの試合ながら、アンカーを本職とする選手を置かないまま4-3-3を採用してチアゴ・アルカンタラにその役割を任せていた。ただ守備機会自体がそれほど多くなることは試合序盤からなく、ボールの引き出し方もシャビがいつものように下がってサイドへ動かすことから彼に大きな負担がかかることはない。立ち上がりは外へのボールを大きく使い、センターバックのピケからウイングへのフィードを多用し、ウイングに預けてからの展開に頼ることが多い。縦パスのコースも多く維持できているとは言い難く、足下へのボールを要求することが多く、スペースへ動きながら受ける姿は多くない。足下のボールを多用してダイレクトで動かそうとしているものの、相手は足下のパスではコースを読みやすく、マークについてパスカットを狙って来ている。

いくつかのミスから難しい対応を強いられていた場面はあったものの、フィードやパスによって試合を大きく助けていたピケが早々に怪我から交代し、アビダルが投入された。それまでも選手のパス精度が少しずつズレ、足下へぴたりと収まらず、少しのずれが体勢を悪くして、コントロールから次のパスへ移行するまでの時間を増やし、チェックによるプレッシャーからさらに少しずつミスを誘われてしまう。バルサの最後尾でのパスミスがいくつか続き、ラシンにチャンスらしきものを作られてしまったのも、そういった細かなミスの影響から。その状態を脱するためにメッシが外へ出てクリアボールの収め所となろうとしていたかのように見えたものの、そこからイニエスタと二人で得点を取って先制点にしてしまった。

失点以後のラシンの守備はそれまでのような統制の取れたものから悪くなり、センターバックとサイドバックの間から裏を取られ、二度もキーパーのニアサイドへ迫られる飛び出しから決定的な形を作られてしまったことから、ディフェンスラインが低くなり、前後の距離が少し伸びてしまった。その前をアンカーが埋めて中盤のラインがそれを支え、バルサの選手たちが中盤のラインよりも手前に入られないように押し下げておくことでプレイエリアを下げさせて守りを固めていたものの、後ろ向きに意識が守りに入ってしまったことで前へ向かうプレッシャーがかからず、中盤中央にもスペースが出来やすくアンカーが支えられなくなっている。バルサがそのバイタルエリアでボールを受けられることで、相手の中盤を押し下げられるようになり、プレイエリアをあげることに成功していく。ただ相手を押し下げるだけではせっかく出来ているスペースを潰すことになってしまうため、一時的に裏やバイタルエリアからの連携を目指せなくなった。それでも意図的に大きくバルサの選手が開いたポジションを取ってから動かし始めることによって、ラシンの中を固めようとする選手たちを広げて外へおびき出し、中との距離を広げてスペースを作り、横に動かしてから中へと進入することでマーカーが待ち構えられず追いかけなければならなくなる。そういった左右への揺さぶりを中心に外から中への動きを連続させたことで、ラシンの意識にそれが擦り込まれたように、ペドロのアシストを生んだ。中盤と二枚でコースを切りに向かっても外から中へボールを動かされることを嫌がるポジショニングになっていたし、センターバックのケアが期待できないほどにサイドへ引き出していた。

メッシが右サイドにポジションを取ってボールを収めてから相手のサイドバックの背後へと仕掛けていく。クリスティアン・フェルナンデスは迂闊に前へ出すぎて裏を何度も取らせてくれて、ドリブルからも利用できていた。ムニティスがカバーのために下がらざるを得ず、彼を下げることでカウンターの可能性を減らし、ラシンが彼の負担を考えればセンターバックを中央から引き出す、あるいはピボーテを外へ引き出せることに繋がり、中へ飛び込む選手を助けられる。何度も繰り返すうちにサイドバックのクリスティアン・フェルナンデスは出て行かなくなり、中央を固めるように残ってプレイするようになったものの、そうなれば中盤が外へ出て行かなければならず、縦のコースをより塞げなくなり、何よりそこへ向かってこられてからメッシへパスを出されるとどっちつかずに守らなければならなくなる。中途半端な守備位置では誰にもマークに向かえず、予め掴まえておくことが出来なくなり、ディフェンスラインと中盤との間にスペースが出来ている。そこで受けられるようになると相手の意識が前へ向かってしまってセンターバックの背後へスルーパスを通せるようになる。

ラシンの守備組織が崩壊してしまってからは、バルサの中盤へのマークも徹底されなくなり、フォワードのコネもアンカーをマークするために下がってしまってセンターバックへのチェックに来ない。十分にアンカーやシャビらをマークする人数がいながらも一枚しかいないフォワードがそれをやってしまうためにラシンはディフェンスラインを押し上げるタイミングを得られず、中盤もチェックのタイミングを得られずじりじりと下がる原因になっている。

後半スタート時には、センターバックへきっちりとマークに付こうとしているし、前線はチェックをしようとして前へ向かっていく。少し修正されたように見えたものの、それぞれがボールの動いた先に向かうだけで、マークの距離を縮めているわけではない。距離が開いてから向かうのでは遅く、他が連動性を欠く要因になり、一つ逃れるためのパスを出しただけでラシンは寄せてこられなくなる。バックパスのタイミングをフォアチェックへ切り替えるスイッチにも出来ておらず、バルサの後方を焦らせるほどではない。そして中盤が前へポジションをあげてもセンターバックがそれについてこず、裏を警戒するあまりに押し上げが不十分でスペースを作ったままにしてしまっている。そのため前半から継続して、ピボーテの裏側にスペースがあることには変わりがなく、アンカーがどっしりと構えているわけではないから余計に目立ち、繋ぐ役割を担えていない。

そしてセンターバックがボールを持って縦パスを狙っても全くプレスに来ず、バルサとしては余裕を持って扱えている。アンカーの所へ代わる代わる入ってくるシャビとチアゴにしてもプレスを受けない。ボールをラシンが持てば、いくらかサイドバックの裏を使ってカウンターを仕掛けようとするようになったものの、その分バルサは相手が攻撃に出ていなくなったスペースを突くことが可能になった。ラシンが選手を交代させてフォワードを投入したことでバルサのセンターバック二人にある程度プレスがかかるようになったものの、それもすぐにチアゴがセンターバックの間に入ってボールを受け、そのプレッシャーから逃れられるようにして、ボールを動かしたことで解消してしまった。

イニエスタの素晴らしいコントロールから三点目が入ると、ラシンはプレスにも出てこられず、足が止まりかけ、バルサがきっちりとボールを動かしつつ、所々で足を止め、特にサイドで相手の足を止めさせてしまう。

そしてフォワードに対してラシンのセンターバックが出て行くような守り方をようやくするようになり、縦パスを背後から抑えようとするようになった。パスカットを狙えるだけの動きをしてカウンターを少し出せるようになったものの、バルサはダイレクトで動かし、ワンタッチで抜いていく。向かってくることが解ってくれば、それを外すための動きをする。少しラフになった守備を受けながらも大きな問題が起こることなく、ピンチも作らなかった。

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