2011 年 10 月 のアーカイブ

Bundesliga 11. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対ニュルンベルク

2011 年 10 月 30 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 4 – 0 1.FC Nurnberg
あっという間の先制点を取ったのはバイエルン。ニュルンベルクはプレイがはっきりとしておらず、中盤はある程度の高さを保ちながらボランチの二枚にプレッシャーを与えにいくわけでもなく、一つ前のクロースをマークするのみ。フォワードの一枚のみが、センターバックはボランチに対してチェックに行っているものの、それだけで他が連動をしていない。ディフェンスラインは高く保とうとしているわけでもなく、中盤は自分のポジションを守るだけでリトリートするのか、それともプレッシングを基本とするのか、どちらにするのか明確な姿勢が見えない。
失点をしてからようやくサイドバックやボランチへの距離を縮めて積極的に出て行くようになったものの、全体の押し上げと個人のチェックとは別で、長い距離を走ってチェックに行っているだめ、奪えたとしても他との距離が開いてすぐに攻撃へと切り替えるには不十分なまま。ある程度中盤が引いていることでバイエルンの攻撃陣がバイタルエリアに入る頃にはニュルンベルクは素早くチェックと、二枚目のマークが来て、自由を与えずにバックパスを選択させている。ただどのバックパスが全体を押し上げて次を繋げさせないよう連続した守備に繋がっていないことで、バイエルンはいくらでも作り直して縦パスを入れていける。

対するバイエルンはセンターバックが処理しなければならない場面を減らすべく積極的に前へ出て相手へ縦パスを出させないようにプレッシャーを与えていて、それが自分の背後にスペースを作って縦パスを入れられることに繋がっているものの、安定した支配はさせていない。ただセンターバックの二人がスピードに不安を抱えていることでポジションは高くなく、攻撃時にもハーフウェーライン付近を保つようなことはしない。そのお陰でプレッシャーを受けずに処理できているものの、前線との距離が伸びてロングボールや縦パスにしても距離が伸びてしまい、カットされやすく、前線から引いてボールを受けなければならない。ボランチが主導権を握ってボールを動かしている間は上手くバイエルンはボールを動かせているものの、センターバックに展開を任せているときには相手を揺さぶれるパスを出せていない。ドリブルで前へ持ち上がることで自ら距離を縮めてパスを出せる環境を作り変化を出せているのはいい傾向。

シュバインシュタイガーの二点目が早い段階で入ったことで、一時的にニュルンベルクの前線が追いかけ回さなくなり、ボールサイドで積極的に守備をするグループと、ファーサイドで緩い動きをする二つに分裂しかけているように見えていたものの、その後の接触プレイのいくつかで、多少ラフになってしまったものの、球際の激しさが出ることでそれぞれがマークすべき相手をしっかり見てプレッシングの速度が速くなり、バイエルンもフィジカルコンタクトを警戒して判断を早めなければならなくなってミスも増えた。そのぶんファウルも増えてカードも出され、バイエルンがセットプレイのチャンスを得ることになるものの、流れの中で余裕を持てる時間は減った。しかしニュルンベルクは攻撃面まで改善することが出来ず、それぞれがパスを出す先を探す時間を必要として、バイエルンのチェックによってよりコースを失う。そしてバイエルンが陣形が整うまで時間を稼いでから縦パスが入っているだけで、ノイアーにボールを触らせるほどのプレイが出来ず、バイエルンが反対に相手のゴールを脅かし、フリーランから中央にスペースを作ってリベリーがゴール。

ハーフタイムを挟んでもニュルンベルクはラフさを抑えられたとは言い難く、球際のファウルもそのまま継続されている。ただチェックに関して張る程度組織的に行われるようになり、一人がチェックに向かえば次のコースにも向かっていくようになり、一つのパスで交わせなくなっている。バイタルエリアではセンターバックが積極的にアプローチに来て、ボールサイドにゾーンをスライドさせていることから人数がかかって簡単には利用できなくなっている。タッチライン際でボールを運んでも中へのコースを得づらく、サイドバックとサイドアタッカーを連携させて糸口を掴もうとするバイエルンの縦へのコースも塞がれ、ゴールへ迫るにはカウンターを利用しなければならない。

バイエルンがある程度抑えられるようになったことでニュルンベルクのディフェンスラインが高くなり、フォアチェックを行いやすい環境になり、攻撃に移ったときに人数をかけられるようになっている。バイエルンの低かったセンターバックの二枚がより低くポジションを取るようになったことで、バイエルンが攻守の切り替えからフォアチェックで相手のボールを奪えていたのが、前へプレッシャーをかけづらくなり、奪うポイントが下がっていく。センターバックの所から攻撃へ再スタートするようになっては攻撃へ移るまでの距離が広がりすぎて相手を揺さぶれない。前半のようにセンターバックが自ら持ち上がることもなかなか許してもらえず、変化はあまり生み出せていない。

ニュルンベルクの運動量が落ちてマークの距離が伸び、プレッシャーのスピードと激しさを与えられなくなってくると、中央を埋めていたブロックの形成と修正が遅れるようになり、バイエルンはタッチラインに頼らず中央へと縦パスを送れるようになり、高い位置からから左右へ展開を図れるようになった。そうなれば次々とオーバーラップをして前へ選手を送り込めるようになり、ニュルンベルクのラインを高く保たせなくなり、攻守のバランスが再びバイエルンに傾く。4点目を決めたことでそれが決定的になった。

終盤にはミスからカウンターを受け、セットプレイからゴールへ迫られる、セカンドボールを拾われるようになったものの、ノイアーがその実力を発揮してゴールを割らせず、終了間際には間延びした中盤を利用してバイエルンが主導権を握り、深くまで攻め込まれる回数を大幅に減らして無事に試合を終えた。

Liga Espanola Jornada 11. バルセロナ対マジョルカ

2011 年 10 月 30 日 日曜日

■FC Barcelona 5 – 0 RCD Mallorca
バルサはペドロが怪我をしていることもあってクエンカが先発をし、シャビやイニエスタも出場させず、中盤をケイタとチアゴ・アルカンタラに任せている。システムは3-4-3で構築し、クエンカを右に、アドリアーノを左に置いてビジャを中央に置くこれまでとは少し違う前線を作り、メッシをこれまでセスクが担当していた一列後ろのポジションへと配置した。
ここの所バルセロナの戦い方で問題になっていたように見えていた、最前線の中央に誰もおらず、相手のピボーテとセンターバックを脅かすことなくブロックを構築させてしまっていた問題を、ビジャを中央に配しておくことで解消を狙っているように見える。ディフェンスラインに対して飛び出しを狙って牽制をし、後方へと押し下げ、中盤との距離を広げさせる。メッシが左右に流れなくともピボーテの背後へ入りやすいようにし、密着したマークをされないようにしてボールへ触る回数を増やそうとしている。ただマジョルカもバイタルエリアからさらに下がってボールを扱おうとするメッシに対してはピボーテが密着して追いかけ回し、前を向かせないようにして厳しく対応している。しかしバイタルエリアに入ってしまうとセンターバックが前へ対応しなければならなくなり、ピボーテがディフェンスラインに吸収されるほどのマークは出来ずに、ビジャと並んで二枚が中央に来るのを防げなかった。
マジョルカのピボーテに背後への意識をそれで植え付け、さらにセンターバックの二枚に中央へ意識を振り向けさせ他のカバーへでられないようにする。中央のブロックを構築しているもののそれが他に対してでられない状態にした上で、バルサがチアゴやケイタが飛び出してきて最前線に入る。サイドバックの隙間を狙うことでセンターバックがそちらをケアしなければならなくなり、ピボーテがそのカバーを行わなければならなくなる。メッシの動きを囮とするかのような動きに釣られて、メッシが下がってもマークをつけられなくなる。中盤が積極的に飛び出していくことでマジョルカがカウンターの為の人数を残せなくなり、右のセンターバックを担当しているダニエウ・アウベスがオーバーラップできるほどになり、アドリアーノの飛び出しからPKを得ることが出来た。

シャビもイニエスタもいないためボールのコントロールを一人に頼ることが無く、起点やキープをしてリズムの変化を大きく産み出すことはないものの、それでもボールスピードの速さや球離れの良さによってボールはスムーズに回っていて、加えて中央の動きの変化もあることで相手を押し下げて足を止めさせてしまう。中央にマークを集めさせて外へとボールを動かし、縦に使い、クエンカのクロスから二点目。

マジョルカの序盤の攻撃はいくつか効果的なものがあって、バルサのゴールを脅かしもした。3バックの外側に起点を多く求めてきて、センターバックを引き出し、その隙間に飛び出し、あるいはファーサイドを狙おうとしているのかもしれない。ウイングバックも置かない守備によってスペースのあるそこを使うことでスピードアップしようとしているものの、バルサはブスケツが上手くセンターバックの間に入って4バック気味にスペースを埋めることで幅広い攻撃に対しても対応し、ケイタも中盤に入っていることからアンカーがいたポジションも埋められる。後方だけでも問題なく埋められるものの、その形を作るには少し時間が必要で、フォアチェックによってその時間を稼ぐ必要があるものの、それは中央から外へと押し出すように守ることでパスやドリブルに時間をかけさえ、縦へのスピードアップをさせずに自分たちのリズムで上手くバルサは守れている。

バルサはボールをコントロールする位置を3バックのセンターバックに頼ることなくブスケツのラインで行えている。チアゴやケイタが相手を積極的に引きつけようと動くことでメッシがそこまで下がることも出来、ドリブルでの変化も出せる。この試合の中では相手の前で停滞することはなく、外からも中からも裏へ抜け出す動きがあることで、相手に待ち構えさせていないし、パスもそれに連動して出せている。裏への動きがあることでマジョルカはブロックを踏み留めておくことが出来ず、無理に上げようとすれば裏へとボールを入れられる。メッシはアーリークロスからハットトリックとなる三点目。

後半にはアビダルに代えてピケが出場をしたことで4バックへとシステムを変更させた。それまでは一つ前のラインでボールを動かして構築することが多かったものの、4バックになってからは構築のポイントが下がり、センターバックがボールを扱う回数が増えた。メッシが中央に入ったことも関係あるのかもしれず、ケイタやチアゴが盛んに上がり、相手のマークを引きつけて裏を取ろうとしたり、最前線人数を溜めようとすることなく、若干バランスを取ろうとする動きが増えたように見える。

マジョルカも後半開始時に二枚の交代をして、フォワードをバルサのセンターバックとサイドバックの隙間に入らせ、そこから背後を狙っているように見える。ポジションの取り方は上手くセンターバックをサイドバックと近づけさせ、中央にスペースを作りかけているものの、そこへのパスをマスケラーノの素早い動き出しによってさせてもらえず、さらにバルサに押し込められることによってさらに出来なくなる。

前後左右にボールを動かし、自身も動いて相手のマークの隙間や手前だけではなく、相手を背負いながらもプレイをして、外へ開いて、外から中への動きもある。入れ替わり立ち替わりポジションを取る。マジョルカもしっかりとプレスをしてチェックも行っている。体をぶつけることも足を出すこともして、きちんと守備をしている。ただそれ以上にバルサの球離れが早く、きちんと繋げるだけのポジションをそれぞれが取っているからこそダイレクト繋ぎ動けているよう。それをバックパスや横パスのみに留めておかず、ワイドに開きながらもきちんと縦を意識しているからこそ、マジョルカに前へと出てこさせず、後ろへの意識を持たせて思い切った守備をさせていない。

時間の経過と共にバルサのプレッシャーが緩んだことでマジョルカもある程度後ろではパスを繋いでボールをコントロールできるようになり、ドリブルである程度運べるようになり、サイドへボールを出してクロスからの展開を狙えるようになった。ただ押し込まれ続けていることから運動量や勢いを出すことは難しく、チャンスらしいチャンスを作るほどは出来なかった。

バルサはダニエウ・アウベスがウイングのように多く上がることでクエンカと横関係になってフォワードとしてプレイするようなことも多く、中央のメッシが下がり気味であったりデウロフェウが左に張り続けてプレイにあまり関与できていなくとも、中央に選手を残していられることで相手が攻撃のためにセンターバックまでも押し上げられないようにしていく。

最後にメッシがスライディングで飛ばされたシーンはヒヤリとさせられたものの、無事のようで一安心。そしてダニエウ・アウベスのミドルシュートで唖然とさせられ試合を終えた。

Liga Espanola Jornada 10. グラナダ対バルセロナ

2011 年 10 月 26 日 水曜日

■Granada CF 0 – 1 FC Barcelona
グラナダの設定した守備ラインは高く、ディフェンスラインも同じく高く保たれている。中盤もフラットに設定してあり、二枚のラインをブロックとして守備を構築している。その前へ置いていある二枚のフォワードがしっかりとセンターバックに対してもプレッシャーを与え、前を向かせず時間を与えないことで、バルサに構築のための縦パスを出させず、ラインを維持する手助けをしている。中盤のラインもワイドに開いてダニエウ・アウベスとマクスウェルへのプレッシャーを小なっていたり、シャビ、セスク、ブスケツにも向かっていく。一度相手をそのプレスをさせ引き出したとしても、戻って修正するスピードが速く、引き出した背後へ入っても時間を得ることは難しく、グラナダはそこへ入られてもゾーンを高く保とうとしているためスペースが生まれにくい。
しかし徹底してプレスをかけ続けるのではなく、後方の二つのラインを維持することが守備の主目的のようで、フォアチェックを徹底して追い回すことはせず、ドリブルで一人かわされればすぐに切り替え、パスを通されても同様にゾーンの構築に全力を傾ける。そのため何度かメッシやクエンカが相手ピボーテの背後にポジションを取れたとしても、効果的に前を向いてプレイできるほどのスペースを得られなかった。

グラナダは守備のみをするだけではなくカウンターも狙っていて、ディフェンスラインの背後や左右を狙ってくる。フォワードの二枚だけではなくチェックを含めて行う中盤の左右が飛び出し、4-2-4に近い形を作ることも多く、人数は多い。それだけ前線から後方までの距離を縮めているということでもあり、その流れのまま奪われればフォアチェックへと切り替えてプレッシャーに変えてくる。フォワードのみのカウンターであればマスケラーノがしっかりと止めているものの、4枚を横に並べてカウンターをされればバルサも守備人数を残しておかなければならなく、サイドバックのオーバーラップをいくらか抑えられている。バルサはフォワードに左右の動きを取らせることによって相手のサイドバックを中へ絞らせ、中盤から逆サイドを意識したパスを出すことでポゼッションからサイドバックのオーバーラップをさせ、いくらかは以後が危険になるものの、攻撃に出ていた。

攻守両面に負担を強いられていたグラナダの左右を務める中盤は、徐々に守備への切り替えが遅くなり、フォアチェックに向かえずプレッシャーも与えられなくなってきている。背後を取られてもサイドバックの外側を埋められなくなり、バルサはタッチライン際で優位に立つことが多くなった。ただ中央では優位に立つ場面は見られず、セスクがバイタルエリアへ進入していくようになった頃にはメッシが外へとポジションを移した後で、バイタルエリア内でワンツーを使えるほどの距離ではなくなっている。両者の距離が広がりすぎて相手の前で機転を作れないことで飛び出すタイミングが無く、クエンカも足下でボールを受けるべく下がってくるため、相手のラインを押し下げたり、前へ出てこられないよう意識を後ろへ振り向けることが出来ていない。それもセンターバック前で形を作れない要因になっている。

ようやくいくつかのドリブルでパスによって停滞していた流れを乱し、後方からスピードに乗ってそれを行うことでファウルを得て、そしてシャビがフリーキックから直接ゴールを決めて先制点。

得点後のバルサは再びバイタルエリアには入っていけなくなり、ドリブルで進入していくこともあまりしなくなった。シャビがサイドに流れ、セスクは前へ入ろうとしているものの、グラナダの中盤と後方の距離が縮まってバイタルエリアが狭くなっていることも影響して、より使いづらくなっている。外に構築のポイントを探しているようにバルサの面々が外に出てしまって、よりバイタルエリアに誰も入ろうとしていなくなっている。クエンカがもう少しスムーズに外から中へスライドできればいいが、それが少なく、メッシが外で受けて中へのスライドした時に中の選択肢が足りず、メッシへマークが集中する要因になっている。
後半になっても大きくそれらが変わることはなく、セスクは前へ入り、シャビ一人が試合のコントロールを行っている。セスクがゴール前で変化をつけられるとしても個人では難しく、パスの出所をシャビ一枚に頼ってしまうことで、横への変化に乏しく相手の集中を一点に集めてしまう。セスクが使われる側になるばかりではなく、下がって試合を動かし使う側に回ることが出来れば、横へボールを動かし続けて相手のゾーンを揺さぶり、消耗させることで中央を突くことができていたかもしれないものの、それを狙うことが出来ていない。

ハイメ・ロメロが退場になったことでグラナダはフォアチェックを継続していくことは難しく、最初の一つのみに絞らなければならなくなった。そこで限定できなければリトリートし、バルサの後方へ時間とスペースを与えてくれるようになる。しかしバルサは低い位置でも横へボールを動かそうとしておらず、大きくサイドへフィードを行う程度で、中央に集めた上でサイドを使うことはあっても、揺り動かして消耗させるほどの動きはない。ただメッシとセスクの距離がようやく近くなり、バイタルエリア内でパス交換が出来るようにはなってきた。横に動かした上であれば相手のマークも少なく、背後を取れる可能性があったものの、そうではないために狭い場所で少ない選択肢の中行われるだけに潰されやすく、シュートにまで結びつけることが難しかった。

セスクと交代したイニエスタは、同じくバイタルエリアに入ることはあるものの、シャビと同列に下がってボールのコントロールを基本としながら横へ動かすことも加えているため、グラナダの攻撃に出たがっている意識を削ぎ、奪ってからカウンターを狙う焦りと苛立ちを加えられたかもしれない。そのボールを横に動かす間にオーバーラップをさせ、イニエスタが前へ上がればブスケツがその役割を担うようになる。そこで横に動かし、相手を疲弊させ、押し下げ、飛び出しや仕掛けから守備姿勢を後ろ向きにさせることでカウンターに出させず、精度を落とさせてカウンターへ移行できなくする。上手くバルサが奪い返すことで、組織を作り直したり、ラインを押し上げる時間を与えず、グラナダの二つのラインを圧縮、あるいは陣形が整わないうちにカウンターを仕掛けてある程度のチャンスを作れるようになった。

追加点を取れなかったものの、厳しい日程で、素晴らしい守備とカウンターを持つ組織化された相手。難しい試合だったからこそチャンスを作れなくても仕方がないとするしかなく、最も重要な結果が得られただけでよしとすべきかもしれない。

Bundesliga 10. Spieltag ハノーファー96対バイエルン・ミュンヘン

2011 年 10 月 24 日 月曜日

■Hannover 96 2 – 1 FC Bayern Munchen
ハノーファーのチェックは素早く体をしっかりと寄せて密着させ、自由を奪おうとする守り方。そのため浮き球のように時間がかかるとフィジカルコンタクトが発生しやすくファウルも増える。ディフェンスラインを不用意に下げずコントロールをして、ボールホルダーにもある程度チェックをする。積極的に足を出して奪いにも来ているため、バイエルンとしては特に多くの時間を得られるわけではない。正確なポゼッションとはいかず、ドリブルやクイックな展開から縦へスピードアップをして打開しようとする姿が目立つ。特にリベリーへボールを預け、彼のドリブルに対してリトリートさせることで自らの形にしようとすることが多く、あまりにも多用していることでチェルンドロを中心として二枚でマークに付かれるようになり、センターバックをも加えてリベリーの動きに合わせて掴まえようと前へ出てこられるようにもなった。

バイエルンも守備は素早く前線からチェックを行い、しっかりとパスを繋ごうとしているハノーファーにそれをさせず、後方でボールを扱わせ、前線には前を向かせず下げさせる。そして後ろからのフィードや縦パスを再び入れさせ、距離の長いパスのカットを狙う。ただそればかりを意識して前へラインを上げ、前で押さえる意識を強めすぎたために、ボールコントロールと共に反転して裏へ抜けようとしたり、あるいは直接裏へ出されたときに逆を取られて抜け出されている。ただハノーファーは前へ人数をかけられず、バイエルンに対して手前で受けるのか、それとも裏へ抜けるのか、その二択を迫ることが全く出来ておらず、バイエルンの攻撃を警戒して押し上げも上手くいかなかった。ただラームの不用意なプレイによってPKをプレゼントされ、ハノーファーが先制。

先制点を取られたバイエルンには焦りが見え、単純なフィードを裏へ出したり、パスを出して動き直し再び受けられるポジションへ移動するようなことをせず、縦へボールを運ぶことを急ぎすぎている。焦りはファウルとその対応にも現れて、ピントが倒れたところへ詰め寄ってもみ合いにし、不必要なレッドカードをボアテングに出させた。
その後の守勢に回ったときもチェックが苛立ちを含めたもののように見え、自分のポジションや背後へ抜けられることを考えておらず、奪えるタイミングでないにもかかわらず奪いに行って背後を取られる。ハノーファーも揉み合いになって以降は動きが活性化して、リスクを負いながらサイドバックがオーバーラップ姿も増えてきているため、前へ出るのがよりリスクを伴うものになっている。勢いを持ったまま奪えれば、ショートカウンターへと移行して一気に裏を取れるチャンスが広がっているものの、縦のコースを塞ぎ切れておらず、中へのパスも警戒し切れていない。チェックも横パスで回避されやすいままで、他の箇所に同時にかけるには数的不利になっている状況では難しい。ハノーファーは中盤で奪われるくらいならロングボールをバイエルンの背後へ蹴り出すだけでも問題が無く、単純なクリアと共に裏を狙われ続け、特にラフィーニャの背後は何度も使われていた。

後半に入ってもバイエルンは比較的ラインの高いハノーファーの背後を取ろうとする意識は変わらないものの単純なフィードからマリオ・ゴメスを走らせるのではなく、相手センターバックの前で一度受けさせ、意識を前へ向かわせてから背後へ抜け出そうとするようになり、単純に走られるよりは可能性を感じられるプレイが増えてきた。ただラフィーニャのサイドに後半から入ったラウシュに縦のスピードで翻弄されている感は否めず、そのこぼれ球から一列後ろに下がったパンダーのミドルシュートがディフェンダーに当たってコースが変わり二点目。ゴール自体は不運なものの、それ以前から裏を取られてスピードによって崩されていた右側を修正できていないための失点。

ハノーファーにそれまで以上にラインを押し上げられ、背後に使えるスペースが広がりながらもバイエルンは少ない手数によって攻める手段を持ち合わせておらず、焦るあまりオフサイドにかかり続けてしまう。プレッシャーによって押し下げられることも少なからずあり、上手く前へ出られないにもかかわらず、守勢に回ったときにディフェンスラインを助ける選手がおらず、ハノーファーのオーバーラップによって数的不利な環境に置かれることもある。

ハノーファーにしても守備には厳しい状態が続きバイエルンが多くファウルのアピールを繰り返すことと、積極的に体をぶつけて進路を塞ぎ、苛立たせつつもしっかりと相手をコントロールすること。それらによってファウルの数自体は増えてチェルンドロが退場になる。数的に同数になれば、それ以前から縦に急ぎすぎずポゼッションの形を作り始めていたバイエルンは、横にボールを動かし、オーバーラップを待って攻撃を仕掛ける。マリオ・ゴメスを孤立させず、クロースやミュラーがサポートできるようになり、選択肢を裏以外にも用意できるようになった。ハノーファーがそれまでのようにラインを押し上げてプレッシャーを高い位置から与え続けなくなったこともそれの役に立ち、バイエルンが主導権を握る状況を作り始めていたが、選手交代によってそれを取り戻してきた上に、攻撃に出ていることで間延びしてきたバイエルンのバイタルエリアに入り込んで、背後へボールを出して押し下げることも忘れない。時間の経過と共にバイエルンが守勢に回る回数も多くなり、それ以上の状況の改善は見られなくなった。
一点を返した場面のように、もっと早くから多くを片側に引きつけ横の展開を中心とし、縦に急ぎすぎることなく試合の流れを作れていれば、同点に追いつけていただろう。フィジカルコンタクトに影響されて自分たちの形を放棄したバイエルンが自ら流れを失った試合のようにしか思えない。

Liga Espanola Jornada 9. バルセロナ対セビージャ

2011 年 10 月 23 日 日曜日

■FC Barcelona 0 – 0 Sevilla FC
チャンピオンズリーグからこの試合まで試合間隔が一日短かったものの、前節もカーサでチャンピオンズリーグも同じくカンプ・ノウで試合し、移動に時間を必要としなかったため疲労は少ないのかもしれない。ただ多少のメンバーの入れ替えは行い、チアゴ、シャビ、イニエスタの三人を共存させ、3バックを採用している。ダニエウ・アウベスが右のセンターバックに入り、アドリアーノが右のウイング。ここの所メッシといいコンビネーションから得点へ繋げているイニエスタを前へ置こうとしているのかもしれない。

バルサはセンターバックの左右を攻撃参加させてアンカーやシャビが下がってコントロールする同じラインにまで押し上げ、ボール横へ動かす役割を担っている。セビージャが一枚のフォワードを残してラインを形成しようとしていることで残しておくべきセンターバックの数を減らすことが出来るため、左右センターバックの攻撃参加は比較的積極的なように見える。メッシが右サイドに流れてボールを受けるのはここの所多く見られることだが、この試合はペドロではなくアドリアーノが先発していることで、彼の近くにポジションを取って受け、そこから中へとカットインするスタイルを多くし始めている。ただアドリアーノはペドロと違い、中央へとポジションを移してポジションチェンジを出来るほどではないため、メッシが右へ流れてしまうと中央に人が足りなくなるが、それを埋めるのがイニエスタの役割になる。ただセスクほど積極的に飛び出しやバイタルエリアの密集した地帯の中で受けようとしていないため、一度はチャンスを作ったものの、メッシがいないポジションを利用し、交互に侵入していくようには見られない。

バルサの布陣が3バックのため、セビージャは1トップのマヌを残しておくだけにせず、そこに左右のミッドフィールダー、そしてトロホウスキを早めに攻撃のために出ていかせるようにし、センターバックの外側を狙う様子が見られる。バルサが攻撃のために左右のセンターバックを前へ出すことが影響して裏を取られる危険性があるものの、マスケラーノの的確なカバーリングと戻りながらの処理もミスをしない技術によって防がれているため大きな問題には見えなかった。
セビージャは攻撃時には彩度を上げようとしているものの守備時にはしっかりと引かせて、4バックの前にしっかりとラインを敷く。バルサの縦パスに鋭く反応し、横パスに対しても斜め前へと出させないようにコースを塞ぐ。ラインを二つ形成して下がるだけではなく、しっかりとボールホルダーやパサーとなる選手に対してチェックを行って前を向かせず後ろへ下げさせる。中へのコースを的確に切りつつ守備組織を左右へスライドさせるため、センターバックの前にはスペースを用意せず、パスを入れさせず中へ人を入れさせないようにし、外でプレイさせられている印象が強い。きっちりとブロックを作って守りながらもバックパスや横パスを正面で受けさせず、コントロールから前を向くまでの時間を必要とさせることで、しっかりとケイタやシャビの所、さらにはセンターバックにもプレッシャーを与えて、縦パスをより出させず、ディフェンスラインを押し上げてコントロールする時間を得ている。

バルサは相手のブロックの中でプレイせず、外にポジションを置いて相手を横パスで揺さぶろうとしている。横へ走らせながらビジャを中心としてメッシ、イニエスタと飛び出していく選手を利用して、セビージャの統率の取れたディフェンスラインを前後左右へ乱そうとしている。背後へ走らせたり横へ引っ張ろうとしているのは見えるものの、バイタルエリアへと入ってしまわないため、特にセンターバックに二択を迫ることは出来ていない。だからこそセビージャはラインを形成することに囚われず、前へのチェックにでてバルサのパスの出所を抑えに来るほど中盤を前へ出せるわけで、ピボーテの背後を取るべくポジションを取れていれば、それらを軽減させられたのかもしれない。メッシが右に流れ、イニエスタが下がっていればそこに入る選手がいなくなる。

セビージャがトロホウスキのポジションを主に攻撃時に少し上げフォワードに近づけたことや、バルサの攻撃のバランスが相手のブロックへ入っていかない後方へと残ってしまっていたため、徐々にダニエウ・アウベスが前へと上がり、アドリアーノが左にポジションチェンジをしてビジャが中央に入るようになっていく。イニエスタが左に流れる場面が目立つようになり、ポジションが変化して見えた。マスケラーノがカウンターを抑えている間に、アドリアーノが下がり気味になり、ダニエウ・アウベスのポジションはどんどんと上がる。セビージャの攻撃を抑える頃には明確な4バックへとシステムが変更されていた。
このシステムの変更によって中央に誰も入らず空白が出来ていたところにビジャを入れ、目立たなかったチアゴのポジションも上がった。中へ選手がいることでセビージャのブロックを中央へと集め、サイドを空けさせた上でサイドバックのオーバーラップを使い、クロスを狙えるほどになる。ビジャが中央にいることでバイタルエリアにセンターバックの意識を引きつけ、飛び出しで動かし、フラットに保つ事へ集中させないようになった。守備面でも囲い込むスピードと奪うポイントを前へ上げて改善し、サイドを使われることも少なく安定するようになった。チャンスも多く作れるようになったものの、ハビ・バラスの素晴らしいセーブによって得点にはならず、そのセーブが出来るほど他が集中して守って限定をされていた。

後半は前半途中から4バックに変えたままの状態を維持し、中央にビジャを置き、その左右にイニエスタとメッシ。バルサがボールを横に動かすプレイエリアを若干上げ、二つのラインの距離を縮めさせ、後ろに押し留めてチェックへ出てこられないようにしているかのよう。ボールをサイドから中へと動かして圧縮しつつ、横に動かし、縦にもドリブルを仕掛ける。そうやって中央に人数を集めさせつつ、サイドチェンジやパスによって空いた外側をサイドバックに駆け上がらせて使う。ただそこからのパスの選択肢があまりにも少なく、中へブロックを構築されていることで高さでは勝負できず、相手を集めてから使っているためにバルサも前への勢いを持続できていないために飛び込んでニアサイドでボールを触れない。マイナスのボールしか利用できる選択肢を用意できず、セビージャはそれを予め考慮してブロックの外側を配置しているため、きっちりとカットしてくる。

外から中への崩しが単調で上手くいかないことに加え、あまりもハビ・バラスに止められることで、彼のポジショニングの準備が出来るよりも早く仕掛け、チャンスを作ろうとしてボールを回すことよりも、飛び出しや早めにゴール前から仕掛けて勝負をしようとする傾向が強まって、外へボールを動かしながらも寄っていって中へのスムーズな移行を促せなくなってきている。外へボールを出した後中で待ち構えへいるばかりで、ゴールを狙えるポジションにいるものの、それはセビージャの囲いの中にいるわけで、マークに付かれやすく、フリーになれず不完全なシュートになってより止められやすい環境を自分たちで作ってしまっていた。

ボールを左右へ動かし低相手を走らせることよりも、バルサの方により運動量が低下して見え、セビージャのチェックに対してバルサが後手に回ることが多くなり、パススピードも足りずに足下へ来るボールを受け取りにいかず、待っている間にカットされる回数も増えた。微妙なずれに対して集中して出てこられてチェックを受け、前を自由に使わせてもらえず、プレッシャーを与えられてコントロールを正確にさせない。バルサはサイドを縦に使って相手のブロックを押し下げ、自分たちが使えるスペースを広げようとしているものの、サイドをえぐったとしても使えるパスが限られていてマイナスのボールを中心としなければならないことで効果が薄くなっている。読まれてパスカットを狙われ、パスコースに出るのも相手の方が早い。少しのずれで繋げきれず、ミスから次のチェックを誘発させてしまう。それにかからないようにすると下げすぎてしまって次が効果的に動かせない。中へのパスを中心としてコースも切られているために横にも動かし切れず、相手を揺さぶる効果もどんどん薄くなってきている。
セスクを投入したものの、ポジションの縦の変化が生まれず、セスク自体も後方へ残ってしまって密集地帯に人を入れられない。焦りからよりミスが生まれるようになってしまい、ゴール前へ侵攻しても、そこから裏や横への変化がきっちりと収まらない。外で納めてもそこから変化を生むほどの距離を保てず、中央に集まって細かく繋いでいるものの、そこは相手のブロックのためにチェックを受けるだけ。

ロスタイムでイニエスタがファシオに倒されてPKを得た判断に関しては自分には問題があるようには見えず、ボールに向かわず足へ向かっていた。そして最後に足をかけるために足を上げていたことを考えればPKになっても仕方がないプレイだった。そこまでの集中した守備から考えればそこまでよく耐えていたものの、PKはPKと受け止めなければならず、その後のカヌーテの妨害行為から一連の流れは非常によくなかった。せっかく芸術的な守備によって賞賛されるべき対象だった守備が評価の対象から外れ、あそこまで妨害をされてしまえば、メッシが決められなかったことも責めることは出来ない。その後のフェルナンド・ナバーロの退場も含めて、最高の試合を台無しにされてしまった。

UEFA Champions League 11/12 -H- Matchday 3 バルセロナ対ビクトリア・プルゼニ

2011 年 10 月 20 日 木曜日

■FC Barcelona 2 – 0 FC Viktoria Plzen
バルサは疲労を考慮してメンバーを大きく変更することはなかったものの、運動量に問題を抱えているようには見えない。フリーランもパスを出した直後の動き出しも次のコースを探して取り、停滞した足下へのパスが連続してしまうようなことにはなっていない。プルゼニがディフェンスラインを低く設定し、中盤もそれに合わせて下げる。距離を縮めてバイタルエリアを閉じようとしているため、縦パスを入れるタイミングこそ慎重になっているものの、ウイングを中心にメッシも右へでるなどして、バイタルエリアから外側へと重心をかけている。それでもディフェンダーの前でボールを受けることになるものの、相手の手前で受けることを連続させることで守備の足を止め、追い越していく選手がその裏側を突く。引くクラインが設定され裏のスペースが少なくとも、足が止まった状態であれば十分にチャンスを作れる。

プルゼニも外側に起点を作られていることを理解していて、サイドバックや中盤のチェックを早めてウイングへのマークを厳しく、きちんとした形で収めさせないようにし始めている。前を向けば足を出せる位置にまで近づき、他は綺麗に二列のラインを作る。アンカーに時間を持たせずチェックに行っているものの、バルサは二列のラインの間に選手を入れようとはしておらず、フォワードの一枚がそこへ入る程度。もう片側のウイングは大きく開き、メッシもマークを受けるポジションから少しずつ動いて、ペドロの動きを利用してマークから外れた後にボールを受ける。もしくはドリブルをしてくるイニエスタやブスケツ、シャビにチェックに出た後ろを使う。先制点はイニエスタとメッシの素晴らしいプレイによってもたらされたものだった。

プルゼニの全員を自陣に押し込んで、バルサのセンターバックは相手陣内に入るほど上げる。縦パスやサイドを使って相手を押し下げ、ワイドに開かせた上で縦パスを中央に通す。その間にプルゼニは下げさせられたディフェンスラインをあげてフラットに戻そうとし、中盤がそれに吸収されないように前へ出る。距離を整えようとするために二つのラインの間にスペースが出来てバイタルエリアに選手が入る隙間ができる。外から崩しにかからなくても中盤の三枚がドリブルをしても相手は積極的に足を出しに来ない。一定の間隔までは寄せてきてもそこから先はリトリートしてしまうため、前へボールを運んでもパスコースをワイドに保てる。相手の前でパスを出して、そして自分が中へと入っていく。それまではディフェンダーの前でボールを受け、足を止めさせ裏へパスを通せていたが、それを読んでパスコースに体を入れられるようになってきたため、パスを出し、自ら動いて変化を加えなければ裏へのパスが通らなくなってきている。

徐々にプルゼニもマークの距離を狭めて足を出せるほどに近づき、チェックにかける位置を前へ持ってくるようになった。中盤より前がフォアチェックを行い、カウンターに出ようとする回数も増えている。左右両側に人を置いてオーバーラップもさせ、中央にも人数を残している。バルサは前からの守備によって外に相手を押し出し、縦パスにはマスケラーノの鋭い読みでパスカットを狙い、アビダルがカバーリングを行う。フォアチェックはある程度かかっているものの、それほど労力をかけていないように見え、深くまで入り込まれる場面が目立つ。サイドからボールを入れられた際に、ファーサイドを埋める選手がおらず、そこまでボールが正確に飛んでいないからいいものの、長い距離の上下動によって、後方の埋め方が少し足りていないかもしれない。

前半半ばからバルサの運動量が落ち、ボール持っている選手以外が動きで変化をつけ、相手のゾーンを揺さぶるような動きが無くなってきた。マークを引きつけてパスを受けられるスペースを作ったり、動き直して密着されたマークを外そうとする動きが減り、プルゼニの守備の形が乱れなくなってきた。その分の労力をプルゼニは攻撃に使えていたが、バルサの運動量の低下も一時的なもので、少ない人数の動きで変化がつけられない場合には、後ろから選手をあげて多くの人数を前へ用意し、使える範囲を広げる。相手の意識が一人に集中しない状況を作れば、背後から掴まれる心配は少なくなり、序盤と同じように背後を意識したパスを通せるようになる。チャンスはそれなりに得られているものの、追加点を決められないのはいい傾向だとは言えず、終了間際のフリーキックもポストを叩いたものの決まらなかった。

後半もバルサは二枚のラインの手前でボールを回し続け、その間にウイングが中へと動いて守備の幅を狭め、外にスペースを空けさせサイドバックのオーバーラップを意識させる。その後に痺れを切らせて出てきたところへ縦パスをバイタルエリアに入れる。横パスで相手の意識を横に向けさせた上で手前へのパスを使って相手を引き出し、縦パスや裏への動きを使う。ドリブルで動きをつけながらボールを動かすことが出来れば、ワンツーを使う。メッシのキレもよく、ドリブルは効果的に相手をかわしてペナルティエリア内へと入り、シュートまで持っていけているものの、肝心のシュートのみが決まらない。

バルサは大きく左右に揺さぶることを重点的に行い始め、イニエスタを左に持ってくる回数も増えた。相手の前で横の動きからゾーンを揺さぶるのではなく、相手の外にまで明確にボールを運び、サイドバックの外側から中へのカットインを狙う。それをもっと多く使えれば、相手が前を横切るドリブルに対して集中して出てこられているのを押し留められるのかもしれないが、コーナーエリア付近からのドリブルは、これほど多く攻めているにもかかわらず少なく、戻りながら守備を強いることが少ない。裏に飛び出すことでその形を作っていたものの、それが無くなってはマイナスのパスを使う場面も、戻りながらも図香椎処理を強いることも出来ない。外に開いてボールを受けても、相手のマークを外にずらし、バイタルエリアに飛び込むことばかり。
実際にそれでチャンスは作れているものの、メッシのドリブルが相手をかわすことは出来ても、最後の集中に体を寄せられゴールに結びつかないのは、それが相手の意識を動かせていないからではないか。イニエスタのドリブルも中へ切り返すことが前提の動きをしていて読まれるようになってしまっていて、ボールの運びに関してもスムーズさが減った印象を受ける。
プルゼニはバルサの横のボールに対して積極的に体をぶつけてくるようになり、チェイシングも積極的になった。それでもフォワードも下がりディフェンスラインからの距離が開いていないことで間延びした印象は薄く、集中した守りに見える。時間を与えてくれなくなったことで、より横パスから縦への変化を生み出しにくくなっているようで、メッシが怪我をして左サイドに回ったときに停滞したように、ドリブルを中心として相手を戻らせながらスピードアップしなければ崩すことは難しい。二点目を入れたビジャのカウンターからのドリブルのように、相手を引きつけて、戻りながらの処理を何度もさせておく必要があったのかもしれない。

UEFA Champions League 11/12 -A- Matchday 3 ナポリ対バイエルン・ミュンヘン

2011 年 10 月 19 日 水曜日

■SSC Napoli 1 – 1 FC Bayern Munchen
最初に主導権を握ったのはバイエルン。ディフェンスラインでボールを動かしながら、ボランチとクロースがボールを引き出す。ナポリはディフェンスラインを高く設定せず、フォワード追いかけ回そうとはしていないため、バイエルンには余裕を持ってボールを動かす時間が与えられていた。先制点の場面でもあまりにバイエルンの後方に対して時間を与えすぎてサイドバックのボアテングにまで高い位置へと上がらせてしまっていた。そのチェックをナポリはミッドフィールダーが行って縦のコースを切れていれば、全体の勢いを止められていたものの、パスカットとセンターバックが外へ引き出され切らないよう距離の遠いマークだったためにがら空きの中央を使われた。

先制点後はナポリの守備はポジションを上げ、バイエルンの後方に対して過剰に時間を与えることはなくなった。追い回しているわけではないものの、距離を縮めてパスコースを切り、前へ運ばせないようにするだけでも余裕は減り、単純な縦パスやサイドへ大きく開かせて3バックの外側を突こうとするような狙いをさせてくれなくなった。それでも個々人でチェイシングを始めれば、それぞれが担当していたエリアにスペースが出来、それを埋めるためにポジションを少し修正する。その繰り返しでナポリはディフェンスラインを始めとして、フラットに保つ場面が少なくなり、バックパスを含めてボールをいくつか動かすことで、バイエルンはそのスペースへと入って使うことが出来ていた。個人がチェックに出て行ったポジションを修正するために大きくシステムを崩そうとはしていない。

徐々にチェックやチェイシングに連動性が出てきたことで、そういった穴というものは目立たなくなってきたようで、バイエルンがパスコースを得られずにミスをするようになってきている。ワイドに使われてもそこから中へのコースと共に縦へスピードアップできないように距離を縮めてくるようになってきて、バイエルンが深くまで進入することは少なくなった。そしてマークとの距離を得られないことで、サイドチェンジのロングパスを出せなくなり、両者が片側のゾーンに集まって渋滞を作りながらも、そこから大きな展開で抜け出すことが難しくなってきている。

ナポリは奪ってからのカウンターに勢いを持たせ、中盤のサイドアタッカーがドリブルを仕掛ける、そこに注意を引きつけさせつつフォワードの三枚のいずれかが裏を伺う。特に浮き球を使われて組み立てをされるときには苦労をしているようで、ナポリのフォワードは三枚を近づけてそれぞれがサポートを得られるようにしてある。外を狙うのはあくまで中盤の役割のようで、フィードに対して正面と裏側の二つの狙いがあり、跳ね返してもセカンドボールを先に拾われる。先に拾えたとしてもボールコントロールを正確に止められなければ、もたついているうちにチェックを受けて再び相手にボールを渡してしまう。守備時のチェックが組織的に連動するようになったことで、攻撃時、あるいは攻撃から守備に切り替わるときのセカンドボールへの反応もよくなってきている。

バイエルンが同点に追いつかれた場面では、何度も攻め続けられていたことでカウンター時にラインを押し上げられておらず、バイエルンがフォアチェックを出来るほど前線を押し上げられていなかった。前へ向かうことよりも後ろのポジションを埋めようとしたことで厚みが減り、中から外への長い距離のパスを通せるだけのスペースが外へ出来てしまっていた。マッジョのランニングから中へ切れ込む動きは理想的なもので、あれからキーパーとディフェンダーの間にボールを入れられてしまえば、誰かが触ってしまえばゴールになりやすく、バドシュトゥバーがオウンゴールにしてしまったのも仕方のないもの。

同点に追いつかれる以前から、セカンドボールを拾われ、連続してチェックを受けていることでバイエルンはボールをキープして支配できず、焦りにも見えるようなクイックなプレイを連発するようになり、自ら単調な攻撃を選択してしまうようになった。攻撃の人数が限られるまま縦へと向かう。スピードとテクニックがあるため十分にそれでもファウルを誘えるものの、崩して得点まで持っていくにはあまりに人数が少なく単調で、セカンドボールを拾うことも期待できず、攻守の切り替えから連続して攻撃もできない。

後半になってバイエルンはようやく横パスを使えるほどボールをキープし、チェックもある程度かわしてダイレクトで逃れ続けようとはしなくなった。ドリブルを織り交ぜつつ、オーバーラップも利用してマークに付いている選手を引っ張って新たにスペースを作る。選手同士の距離が縮まったからこそそういった展開が狙え、シュートまで持っていけた。そしてカンナバーロのハンドからPKを得たものの、デ・サンクティスに完璧に止められてリードを奪うことは出来なかった。

ナポリが浮き球を使う回数を減らしてきたことに加え、バイエルンがディフェンスラインを下げて対応したとしても中盤を下げずに一定の高さを保つようになったことで、バイエルンはセカンドボールをナポリに拾われ続けることなく、跳ね返したボールからそのままカウンターへと移行できる回数を増やしている。前半の単調なものとは違い、横パスを一つ入れられれば後方からの押し上げを得られるようにもなっていて、前へ人を増やせれば、その分セカンドボールからフォアチェックの可能性も高まり、連続して攻撃が出来るようになる。

ナポリは徐々に戻りにもオーバーラップにもスピードが無くなり鈍くなってきている。チェックにかける労力の低下がバイエルンに自由なポゼッションを許しながらもポジションは前へ残ったままのため、守備に対応する人数の低下と戻らなければならなくなる距離の増加に繋がっている。その上下動が、攻撃に移ったときのスピードと迫力を奪い、フォワードが近い距離を保ちつつセカンドボールを拾って直接裏へ抜けようとするような姿が見られなくなって、バイエルンのディフェンダーが守りやすくなっている。

終盤は両者共に疲れが見えて二人目、三人目の動きが減って足下へのパスが多くなった。特にナポリはセンターバックの前でボールを受け、そこから左右であったり裏を狙うパスを出そうとするため、センターバックが事前に掴まえておけばよく、バイエルンもこれといって預ける先を見つけられず、ボールを動かすことは出来てもリスクを冒して相手の中へと入っていこうとしていない。どちらにも引き分けでも仕方がないとするような雰囲気があったのかもしれない。