■Real Sociedad 2 – 2 FC Barcelona
バルサのメンバーは代表戦とチャンピオンズリーグの谷間に当たる試合だからかいくつか落としている部分が見られ、セントなーバックにはフォンタス、左にアドリアーノ、メッシとビジャも出場させていなかった。セスク加入前であれば、代表戦後のメッシを休ませることも少なく、休ませたとすれば大きくクオリティが落ちて試合を作れなかったが、セスクがプレシーズンで同じポジションを十二分にこなしていたことから、こういった先発起用が出来るのは大きいのかもしれない。
序盤からソシエダの守備ブロックの構築は堅くラインが高く設定されていた。シャビは相手ゾーンの中に入っていこうとはせず、ケイタと並列に並び中盤の底でボールを動かしつつ、チアゴがそのぶん多く前へと出て行き、セスクと並びながら変化を与えようとしていた。ただその中央の二人に上手くボールが回っておらず、サイドバックもウイングを助けられるほどの高さに上がれていない。シャビやケイタからのボールをサイドバックが受けてスムーズに前を向いて扱えておらず、ウイングの二枚もタッチライン際に立つことよりも中へ入ってしまっているため、そこへのパスも上手く出せずにいる。パスを受ける際にマークに付かれたままプレイする必要があり、中央の高い位置に起点が出来ていないこともあって低い位置から斜めのパスを通す必要がある。ただそれはソシエダのゾーンを通す必要があるために、相手がしっかりと中盤でコースを塞いでくると通すことが出来ず、サイドバックにチェックを与えられるとウイングへのコースしか残されておらず、カットやチェックを明確に受けてしまうために出せず、パススピードも上がらないことから、無理をしてそこを使うことも出来なかった。
ソシエダの守備としては中盤とディフェンスラインの距離を縮め、フラットな二枚のラインを中心にきっちりと高く保ち、パスコースを塞ごうとするものだった。バルサの縦パスを中心に防げていたことから成功しているように見えていたものの、アレクシス・サンチェスの度重なる飛び出しと、セスク、チアゴと次々に飛び出して高く保たれたディフェンスラインを使い始めたことで上手く防げなくなってきていた。バイタルエリアを利用されないように塞いでいた守備によってそこに人を入れられることこそ無かったものの、コンパクトに保ちすぎたが故にそれより一列下がったシャビから直接裏へボール出しても精度が落ちず、十分にゴールを狙える飛び出しをさせてしまっていた。
バルサは上手く相手の視線を中央に戻ってきたセスクであったりシャビに集中させ、ボールへの意識を増やしていた。ウイングは中央にブロックを作るソシエダの外からゴールへ向かってダイアゴナルに飛び出すことで、相手の視界の外から飛び出してマークを受けずに飛び出せていた。ソシエダも前へ集中してラインを整えていたものの、横をしっかりと見ていられなかったことでオフサイドラインを整えられず、バルサの飛び出しを助けていて、先制点と二点目を立て続けに許した。
ソシエダはブロックの構築と維持をメインに考えすぎ、自分たちの前でのみ相手を掴まえようとする意識が強すぎたために、外に出ている選手への意識が甘く、通常時でも対応をサイドバック一人に任せていたことで、中央へ寄せられてしまうと彼らをフリーにしてしまっていた。
三点目を奪える場面もあったものの、バルサはそれを決めきることが出来なかった。二点を取ってしっかりとパスを回せるようになっていったものの、細かい中央でのパス回しが出来ず、ポジションを常に動かしながら相手の隙間に入っていくことも出来ていなかった。ソシエダの構築したブロックは二点を失っても崩れておらず、バルサの運動量が少ないことと相まってピボーテの横や裏を取れず、ボールを戻すことが中心になってしまい、フィードによってそれらを一気に飛ばしてウイングに渡して構築していかなければならなかった。中央で回そうとすれば激しいチェックと体の寄せ方によって動きを限定されてものの、サイドへボールを展開した後もバイタルエリアに入っていこうとしていないのは流れを作る上でよくなく、ウイングから中へとスムーズに動かせないことでワンツーから裏を取るような展開を見ることもなく、中へのドリブルから相手のゾーンを崩して固めてしまうことも見られなかった。
それまで飛び出しとドリブルで流れを作っていたアレクシス・サンチェスが負傷退場をしたのは大きく、途中投入されたビジャではその流れの中で有効な働きは期待できなかった。ビジャはよりタッチライン際に立ってボールを引き出すことは出来ても、サポートを必要としながら裏を取る動きをする選手で、中へカットインするにも中盤のサポートがあった方がより活きる。バイタルエリアに入るチアゴやセスクが彼と近いポジションを取っていられれば、もっと変化を作ることが出来ていたかもしれないが、全体が右側に寄っている中でそれは難しい。ビジャの飛び出しは縦へ出られてもアレクシス・サンチェスのようにスピードとドリブルによって個人で運べるわけではなく、何よりソシエダが飛び出しを警戒していることもあって以前よりも難しくなっていた。上手く預けられたとしても孤立させてしまうために判断が難しく、有効にビジャを使えなかった。
後半になるとよりソシエダの守備は飛び出しに対して修正を行って対応してくるようになり、しっかりと飛び出す動きをしている選手を見て、ブロックを崩してでも徹底してついていくようになった。ボールを受けるウイングにしてもサイドバックが大きく張り出したり、戻る動きにもついていくようになったことで、ブロックの構築を最優先にするのではなく、動きの変化に対してついていくことを優先させるようになった印象だった。ただペドロの動きにそれだけ翻弄されてサイドが空くことでもあるから、バルサはダニエウ・アウベスのポジションを上げて、ペドロを追い越すように彼を飛び出させ、パスの収め所としても使って前へと向かうプレイをさせられるようになった。
前半はソシエダの中盤がフラットなラインを形成してディフェンスラインとの距離を狭めて中央にブロックを作っていたが、後半は中盤がディフェンスラインとの距離を狭めず、より前へチェックに向かう意識を強めていて、ディフェンスラインは裏を警戒して前半よりもラインを下げていた。バイタルエリアには入り込んで受けられるスペースが増えて、セスクやチアゴが入って、サイドからのボールを受けて反対側まで回せるようになってきていた。流れ自体は出てきていたものの、ソシエダのパスコースの切り方はしっかりと対応するもので、サイドに動かしつつ飛び出しを使うパスを出せるほどではなかった。
アギレチェには苦労をさせられて、ペナルティエリア内でボールを持たれてしまえば、背後を抑えることは出来ても、それ以上に挟み込むことが出来ておらず、バルサは縦に厚みのある守備が出来ていなかった。そこへボールを渡される要因になっていたサイドからの攻撃に関しても、積極的に前へ出てくる相手の守備からその勢いのまま上がられることで、素早く使われ方側に少ない人数を集めて守らなければならず、逆サイドをフリーにしてしまうことも多かった。積極的に上がるダニエウ・アウベスの裏側を取られることも増えていたし、ケイタも前へ攻守両面で出ることが中心となってセンターバックの前を埋められていなかった。クロスからアギレチェに決められたときもセンターバックと相手フォワードが同数で誰も余っておらず、カバーを必要としていたが、誰もカバーに行けなかったことで得点を許してしまった。
さらに悪いことにその直後のバックパスミスから同点ゴールを決められ、二点のリードがあっという間に消えてしまった。不用意なパスで同点に追いつかれてしまったものの、その最中にしたセルヒオ・ブスケツのハンドが審判に見られていなかったのは幸運でしか無く、同点に追いつかれた上に一人少なくなってしまうことだけは避けられた。しかしブスケツがした行為は当然のことながらPKに相当するもので、あのままゴールが認められたとしても得点機会の阻止で退場になるのが当然の悪質なプレイだった。
同点に追いつかれたことでメッシを投入したが、人の多い中央に起点を求めるのは難しかった。まず外のビジャにボールを預けて起点にしようとしているものの、ソシエダは前半とは違い、そこに人数をかけ、サイドバック一枚ではなく複数枚で寄せてコースを奪って下げさせる、あるいは奪ってしまうほどになっていて、中央だけではなく外の守りも堅固になっていた。唯一預けられていたポイントを楽に使えなくなったこともあって、バルサは攻め手を失いがちではあるものの、バイタルエリアの少し横にスペースがあり、メッシがそこで受けようとしているし、セスクも同じようにゴールへ近づこうとしていた。ただそこに入ったとしても上手くスピードアップできず、メッシのドリブルがスピードに乗りそうになれば体を掴まれてファウルで止められてしまい、センターバックが一気に寄せて中央のコースを消されてしまう。左のビジャと連動することが未だままならず、メッシも足下で受けようとすることが多く、相手のマークにさらされる中のそれでは安定しない。飛び出しから得点を狙っても前半のように足を止めてくれないためにフリーになることはなく、足が動いておらず、飛び出しに対して誰もサポートをしないことでこぼれ球を拾えず、二次攻撃も出来なかった。パスミスも多く、一方的に動かし続けるには至らず、ビクトル・バルデスがボールを見ていなかった場面に代表されるような、集中を欠いている印象を受けるプレイの方が多く見られた。
イニエスタを投入し、メッシが受けに戻る回数が増えたことで、横や縦でしっかりと足下に納められるようになったが、相手の勢いを持った守備によってぶつかられてしまうために上手く作れず、ラインも下げられているため裏を使えない。足下へのパスが中心になるためソシエダの出足のいい守備によってフリーにはしてもらえず、むしろ体の強さで先手を取られてしまっている。変化を生み出せそうなものはなく、むしろ守備でも足が止まっていて、相手に攻められてビッグチャンスも作られてしまう。カウンターへ移行しようとしても出所を相手に潰されてスピードアップすることもままならず、前へ人数を用意することも追い越していく人数も増やせなかった。