■Club America 0 – 2 FC Barcelona
先発メンバーはカンテラを除く選手たちで構成されていて、これまでとは違い、一軍メンバーに近い構成になってきていました。スーペル・コパへ向けて南米選手権へ参加していたアドリアーノも右サイドバックとして出場していましたが、オフの間に横に膨らんだように見えるのが少し気がかりですね。
クラブ・アメリカは積極的で、フォアチェックから抑えにかかってきていましたが、この試合のバルセロナの構成には大きな問題が無く、運動量も多くそれらをかわしていられました。キーパーもビクトル・バルデスでバックパスを処理させることに問題はありませんでしたし、ブスケツとピケのコンビはボールの扱いに長けていましたから、プレッシャーを受けても焦ることはなく、十分に前へ運ぶことが可能でした。
この試合の前線の構成はこれまでと比べると変則的で、イニエスタが左右どちらかのウイングに入るのかと思っていたんですが、どちらにも入らず中盤として終始プレイし、フォワードに入ったのはチアゴの方でした。左右のウイングとしてプレイさせるのではなく、中央引き気味の位置に彼を置き、メッシに担わせていた役割に近いものを彼へ求めているようでした。自分は彼をゴールに近い位置でプレイさせた方が、より持ち味を発揮すると思っていたので、この起用は歓迎するものでした。
中盤の高い位置に三枚を置き、プレッシャーを受けても三角形を作って逃げられるのが強みで、相手を中央へ集めつつ、左右へ展開してウイングを使えましたし、引き気味に回せば相手のディフェンシブ・ミッドフィールダーを引き出し、ペドロとビジャを中央へ呼び込める、あるいはパスを動かし、動き直して受ける一連の動きの間に三枚のうちのいずれかがバイタルエリアへ入れていて、メッシがいるときの形に近く出来ていたように思いました。ただフォワードがそのぶん中へ絞り気味にいる時間が長く、左右どちらにも高い位置に収め所を用意できず、左は特にアビダルのオーバーラップに助けられなければならなくなることもありました。アドリアーノは序盤こそ運動量が少なく、駆け上がってくれず、ドリブルでも変化をつけられませんでしたが、左のアビダルが積極的に駆け上がり、パスで変化をつけていくことが中心になっている中、ダイナミックな動きで相手を引きつけましたし、中へ入っていくことでゾーンを崩していき、クラブ・アメリカの意識を左に引きつけることが出来たためか、アドリアーノのポジションも高くなり、アシストになるクロスまで入れることができていました。
相手の得意な戦い方は解りませんが、バルサの守備はきっちりと背後を抑えて前を向かせず、攻守の切り替えを早く、コースを限定しながら寄せて、ロングボールも後ろが狙いを絞って守れる形を作れていました。アンカーの部分で若干の緩さが残るのは仕方がなく、寄せきれずに裏へ抜けられる場面もありましたし、センターバックの間に入ってくる相手に対して、誰がマークに付くのか、陣形を崩してでも付くのか、という点で不明確でした。それ以外にもドリブルで仕掛けられた際にボールへ注意が向かいすぎて、ファーサイドのマークが甘くなって前へ入られてしまっていましたし、マークも不十分なままでした。サイドを使われたときにセンターバック前のスペースを埋められているとは言い難く、ボールサイドに人が集まりすぎて、スペースを別の場所に作ってしまっていました。センターバックのブスケツが前へ引き出される形で対応をすることも多く、その分よりファーサイドは中へ絞るぶん空きやすくなっているようで、イニエスタとシャビがきっちりと戻れるようになったことで時間の経過と共に改善され、ケイタが中央に専念できるだけになりましたが、序盤は不安定さがありました。
前半のバルサの動きは非常によく、動き直しとダイレクトパスを併せて多用できるほどでしたし、ポジションの修正をサボらずに徹底できていました。相手が陣形を整え、きっちりとマークをする以前に動かしてしまえるようになり、それぞれが前を向いて受け、様々な選択肢を得ながらパスを使えるようになってきていましたし、アドリアーノもそれらの動きによって相手の陣形が崩れ、スペースが出来たところへ飛び出していけるようになっていました。ダイレクトで左右に幅広く動かせることで、相手のマークは徹底できず、反応が遅れてラフになりがちでしたし、手前で回されるパスに注意が行き、ビジャの早い飛び出しのように後ろ向きの対応を強いられるものを捉えられず、何度も通してもらえていました。相手のチェックはそれでも素早く、局面での激しさも前半終了までありましたが、ポゼッションを保つだけに下げ続けることも、最後尾で横に回し続けることもありませんでしたし、チアゴを含めた三枚が囮となってウイングまで飛ばせられましたし、縦へのパスを常に意識した処理の仕方をしていましたから、公式戦でも通用するような戦い方でした。
後半はいくつか選手交代をしつつ試合に入り、全体的に運動量が落ち、ポジションの取り直しの面で相手の隙間に入ろうとしなくなり、力を抜いているように見えるようになっていました。その結果、修正されていないセンターバックの間を抜けられそうになりましたし、選手同士の隙間に入られたときに誰がマークをするのかはっきりとしないまま推移し、不用意なバックパスで失点しかけるなどピンチの演出もありました。集中していたアビダルによって何度も助けられましたが、裏への対応に甘さが残るのは次の試合を考えると不安になある要素でした。
攻撃面のポジションの取り直しが遅れているのは善戦だけではなく、キーパーへバックパスをした後の処理にも現れ、ビクトル・バルデスが何度も浮き球を使ってサイドへ出さなければならなくなっていましたし、ダイレクトでボールを反対側へ持っていけなかった面でも現れているようでした。
シャビが下がり、フォワードの構成がここまでのプレシーズンと同じものになったこともあって、中央を空けた上で入ってきていた前半とは違い、最初から相手のマークに付かれた状態で中央を利用しなければならず、マークに付かれたままで先手を取ることが難しくなってしまいましたし、ポジションチェンジの幅も狭まってしまい、中に人がいて、そこを利用することを前提として攻めなければならず、左右からパスを入れるだけになってしまっていました。
それでもケイタやアビダルを含め、イニエスタとチアゴが横に動かし、徐々に前へと進出していくことはできていましたし、その横への動かし方でマークを外し、前を向きながら受けられるようになっていました。前を向きながら展開をすることで左右への押し上げも出来るようになり、徐々に攻撃のバリエーションを増やし修正していけました。
チアゴのボールキープも十二分に効果がありましたが、彼のボールの持ち方はボールを晒して相手の足を出させてかわしていく、ドリブラーがするような意味でのキープ力であって、中盤では少しリスクがありファウルを貰うことができても、判定に見放されれば危険でしたから、やはり前でプレイさせたいと思うような部分がありました。自分の懐へボールを入れて、相手に触らせない持ち方、体を使って相手の届かない所に起き続ける意味でのキープができるのであれば、低い位置でコントロールさせられるのかもしれませんが、少し厳しいのかもしれません。ただ、特徴のある持ち方だからこそ、相手のチェックをかわして前を向くことを意識し続けられますし、押し下げられているような窮屈な空間でも前を向けますから、嵌れば大きな強みとなるのかもしれません。
試合は時間の経過と共に、動き直して相手の隙間に入り込む回数が減り、そういった所に運動量や労力を割かなくなっていました。よりクイックな試合展開を両者の思惑により多用されるようになっていましたし、相手選手も多くが入れ替わっていることでプレッシャーを維持し続けてきていましたから、キープする難しさもあって、それを選択しているようでした。バルサは裏を狙われ、通されていることがそれまではありましたが、途中で投入されたゴメスは、裏へ抜けられないよう十分に距離を取った守備位置にいて、直接裏へ出されないようにしていましたし、それだけではなくマーク対象の選手へのチェックも行い、判断もいいものでした。高さにも対応できているため、素早い展開になっても安定が増したように見えていました。
いくつか裏を取られることはありましたが、全員が集中してペナルティエリア内でも仕事をしていましたし、前の試合のような緩さはそれほど見られませんでした。
最後はジェラール・デウロフェウの突破からケイタが決め、二点目を得て試合終了。