■FC Barcelona 5 – 0 Villarreal CF
開幕戦がストライキのため延期されて、第二戦からのスタートになったため、日程的には少し余裕があったものの、バルセロナはディフェンダーの多くのディフェンダーを欠き、ピケ、プジョル、ダニエウ・アウベス、アドリアーノが出られなかった。フォンタスやバルトラ、ジョナタンを招集していたことからマスケラーノとブスケツをセンターバックとして起用して右サイドバックにジョナタンを起用してくるかと思っていたが、従来の4バックのシステムを取らず新しく3バックで試合に挑んできた。シャビこそベンチスタートになったものの、3-4-3のシステムになれば、イニエスタ、チアゴ、セスクの共存が可能になっていた。
日本代表で同じく3-4-3を試されることがあるものの、それと決定的に違うのは中盤のサイドに位置する選手が中央を担当する選手であることで、外を縦に利用し続けるのではなく、ウイングに外を任せて中を利用回数が多いこと、それと左右のセンターバックが目へのサポートのために大きく張り出していくことだろうか。特に左のアビダルはサイドバックの時のように積極的で、ウイングを追い越しこそしないが、しっかりとハーフウェーラインを越えてバックパスを受けて再構築をスムーズに出来る距離を保っている。その位置は守備時にはビジャレアルの一本目の縦パスを抑えるための動きになり、ロッシやニウマールが収めようと前へ出て行くそれを抑え、あるいはカットしてしまえるポジションになる。ビジャレアルが二枚のフォワードをそのまま残して、センターバックの間を使うように裏へ走らせられないのはバルサが押し込んでいるためで、パスで相手を押し下げた上で前にいる多くの選手たちが中央で攻守の切り替えからフォアチェックへとスムーズに移行することでパサーに自由を与えず長距離を一気に裏へフィードさせていない。
ウイングバックに相当する選手がいないことで、タッチライン際を縦に使われると前を塞ぐことが出来ないが、アンカーが上手くサイドへ流れて一気にカットを狙って止めているし、何よりもセンターバックと中盤が中のコースを切りながら縦へ走らせることで孤立させたままプレイさせていることで、守備の不安を消していた。これまでのバルサであればサイドから攻撃を受けたときにサイドバックとウイングが対処することで多くの消耗をウイングへと強いることになっていたものの、この戦い方であればウイングの戻る距離は短く前へ向かう守備に集中していられたし、中盤の選手が背後へサポートに戻ることで距離も時間も必要としなかった。
ただサイドバックがいないことが序盤は構築の面で影響が出ていて、ディフェンスラインからボールを出す先が、外にいったん預けて横に動かしてアンカーを経由させられず、前への見限定されてワイドな位置から攻撃をスタートさせられない苦しさがあった。バックパスをして戻そうとしても、相手のフォワードらがバックパス先にいることが多く、それを選択できないことも多かった。
それ以外にもウイングがバランスを利ながら外に張っていないと全体が中へより気味になってしまって相手が守るゾーンを狭めてスペースを消す手助けをしてしまう。サイドバックがいればウイングを追い越すことで相手の注意を引きつけてくれるため問題ないが、この試合ではイニエスタやチアゴが後が外に出て行くことでバランスをとっているものの、ポジションを近づけたり入れ替わるだけで、二枚で崩す形は作れていない。
徐々にビジャレアルが修正をしてきて、前へ人数を残し、バルサのポゼッションに押し下げられないように攻撃の選手を残しておくようになった。バルサの攻撃の人数が多くともオーバーラップによる後からの変化がないため、前へ予め人数を残しておけば、それが引っ張られて下がってくることはなく、ニウマールやロッシを開かせて起点にしようとする。それによってバルサのセンターバックを外へ引きつけて対応させ、そのさらに外側を追い越していくことで、バルサが対応できない状況を作ろうとしている。通常であればサイドバックの対応にセンターバックがカバーにでてアンカーが中央を埋める形でそれらに対応することができていても、このシステムではセンターバックのサポートに来られるのは中盤くらいなものでマークのスイッチが難しく、背後へ抜けられる動きに中盤が対応するほど戻るのも難しく、フリーにしてしまいやすい。それに外へ出たセンターバックが対応しようとすると、センターバック間にある隙間に入り込まれる危険性が高くなる。
それを継続されていれば危険だったものの、バルサがフォワードと中盤に人数を揃え、攻守の切り替えからボールを引っかけてオーバーラップを出来ないように後ろへ留め続けていたし、特にチアゴやイニエスタのところで中へ一度収めさせないようにコースを限定できているのが大きかった。
チアゴが先制点を決めてから状況に対する余裕が出てきたバルサは、システムにも慣れてきたのか左右のバランスがよくなってきていた。ウイングが中へ入っていけば中盤のいずれかがしっかりと外に張り出して、逆サイドへの振り分けが出来るようにしているし、一枚にその動きを任せてしまわず、サポートもしっかりと用意して行えている。むしろボールサイドへ人を集めず相手だけを集め、反対側に充実させているように思えるほどだった。
中央に人が少ないのは相変わらずだったものの、メッシがピボーテの裏側へはいって得相手にとって掴まえづらいエリアを維持しているから、マークに付こうとすればイニエスタやセスクを自由にしてしまい、彼らに気を取られればメッシがフリースペースへ入ってしまう。チアゴもイニエスタも上がることで、ピボーテの位置を左右へと動かし、中央を埋め続けられないようにして、セスクやメッシの動きを助けている。
パサーばかりを揃えて前だけで動かしているのではなく、バルサはきっちりと飛び出しを行っている。ペドロやアレクシス・サンチェスの二人のタイミングは早くスピードもある。センターバックとサイドバックの隙間を狙って飛び出し、中央ではセスクもそれを狙っている。バルサの攻撃は5枚が横に並んで上がっていき、一定のラインまで上がるとそれを崩して距離を縮めたり広げて変化を与える。ビジャレアルはそれを嫌がってリトリートし、ドリブルのスピードを出しやすくさせてくれていた。サポートの距離を縮めてパスを繋ぎやすくさせてくれることもあったが、それは距離が近いために相手のマークを集めて中央で相手の足にかかりやすくすることでもあり、そういった場面での奪われ方はカウンターに繋げられやすかった。攻守の切り替えがしっかりと出来ていたとしても、前へかかる攻撃陣のところで奪われてしまうと、相手の攻撃になった瞬間には奪い返しに行けず追いかけなければならずフォアチェックがかからない。序盤は飛び出しや前のスペースを埋めないよう自重していたこともあってフォアチェックから奪い返せていたものの、前へ向かいすぎて背後を取られやすくなってフォアチェックが追いかける形になってしまっていた。ただダイレクトに近いカウンターをされる場合にのみ危険なだけで、少しでも時間がかかればウイングと中盤でパスコースを与えずカットしてしまえる。そして奪ってからのショート以下ウンターでセスクが相手の背後を取って二点目のゴールをあげた。
これまでであればウイングが裏を飛び出すのに合わせるしか無く、あるいはイニエスタが一歩遅れて上がってくるのに合わせる必要があったメッシのパスへ、スムーズに飛び出して合わせてくれる存在が中央に出来たのは大きく、中から中へ素早くゴールに迫れるのは得点機を増やし、その役割を二人が交換できるのもとても大きかった。
後半はビジャレアルが戦い方を変え、バルサにボールを持たせないようにディフェンスラインを高く設定し、中盤との距離を縮めてフォアチェックからボールを下げさせて、バルサのディフェンスラインにボールを扱わせようとしていたが、不十分な変更が失点に繋がってしまった。フォアチェックを行うのなら徹底して時間を与えないよう追い続けなければならなかったし、中盤はディフェンスラインと距離を縮めてスペースを埋めるのではなく、数多くいるパサーを誰一人フリーにしないほどの運動量が必要だった。だがビジャレアルがやったのはディフェンスラインを大きく上げてその前に中盤を溜めているだけで、非常に関係を近づけすぎたまま不用意に上がっただけだった。その結果チアゴにマークがつかず自由にパスを出せる環境のまま、飛び出していくアレクシス・サンチェスにも対応できておらず、バルサにとっては縦に圧縮されているお陰でパスの距離も必要以上に伸びず精度の高いものを送ることが出来た。
ビジャレアルはその失点からすぐに高いラインは維持できなくなり、今度は前へ上がったセスクと下がったメッシ、イニエスタがそれに合わせて横に動いたことで時計回りにポジションが変わっていた三人を捉えられず、メッシが背後を突く動きに対応できずに4点目となるゴールを決めた。
シャビが入ってからは無理をせずに横並びを低い位置で作ってボールを横に動かし、ウイングで相手のラインを引きつける。そこパスの連続をして相手の足を止めた後に、そのうちの一人が動き直して前へ出て行く。それでも横パスは維持できるため相手は動き出した相手にマークをつけることもままならず、バルサはウイングや中央を下げることなく横パスを使えるため、ビジャレアルに前へ出る勇敢さを与えることもなかった。バルサは大きく横にと置く動かすことで相手に強く外側を意識させ、反対サイドへの注意を欠かせ無くさせる。外に意識が向かえば、それだけニアが空くことでもあって、横パスに反応して出てくればピボーテを引き出すことにもなり、ピボーテを引き出せればメッシがバイタルエリアに入り込みやすくなる。
途中でジョナタンが投入されたタイミングで彼を右サイドバックに入れて4バックへ移行するのかと思ったものの、3バックのままを維持していた。その分チアゴへそれまでセスクが担っていた役割を与えゴールに近づけた。チアゴはそれにこれまでセスクがしていたようにタイミングの早い飛び出しから相手の背後を中央で取りつつ、メッシへとパスをしてこの日5点目。ゆったりとしたペースで試合の流れを止めて、相手の足も止めた上での飛び出しだったため、より効果的だった。
5点を取った後は人に当たる守備をしなくなり、若干緩くなってパスコースばかりを埋めようとして、カウンターを喰らうこともあったしセットプレイからもコースを気にしすぎてミドルシュートを許してしまった。前半にあったビッグセーブを含め、ビクトル・バルデスは集中していたからこそこそ無失点で終えられた試合かもしれない。多くの場面で攻守の切り替えもチェックも人に向かって集中していたものの、浮き球や確実に体同士の接触がありダイレクトで動かされてしまう場面では、それを回避して次のコースへ先に動いてしまう傾向があり、それによって相手がミスをせずに繋いで、先にボールを進ませる要因になっている。点差が大きく開いてからの守備の緩さなので特に問題視すべきものではないんでしょう。