2011 年 8 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornada 2. バルセロナ対ビジャレアル

2011 年 8 月 30 日 火曜日

■FC Barcelona 5 – 0 Villarreal CF
開幕戦がストライキのため延期されて、第二戦からのスタートになったため、日程的には少し余裕があったものの、バルセロナはディフェンダーの多くのディフェンダーを欠き、ピケ、プジョル、ダニエウ・アウベス、アドリアーノが出られなかった。フォンタスやバルトラ、ジョナタンを招集していたことからマスケラーノとブスケツをセンターバックとして起用して右サイドバックにジョナタンを起用してくるかと思っていたが、従来の4バックのシステムを取らず新しく3バックで試合に挑んできた。シャビこそベンチスタートになったものの、3-4-3のシステムになれば、イニエスタ、チアゴ、セスクの共存が可能になっていた。

日本代表で同じく3-4-3を試されることがあるものの、それと決定的に違うのは中盤のサイドに位置する選手が中央を担当する選手であることで、外を縦に利用し続けるのではなく、ウイングに外を任せて中を利用回数が多いこと、それと左右のセンターバックが目へのサポートのために大きく張り出していくことだろうか。特に左のアビダルはサイドバックの時のように積極的で、ウイングを追い越しこそしないが、しっかりとハーフウェーラインを越えてバックパスを受けて再構築をスムーズに出来る距離を保っている。その位置は守備時にはビジャレアルの一本目の縦パスを抑えるための動きになり、ロッシやニウマールが収めようと前へ出て行くそれを抑え、あるいはカットしてしまえるポジションになる。ビジャレアルが二枚のフォワードをそのまま残して、センターバックの間を使うように裏へ走らせられないのはバルサが押し込んでいるためで、パスで相手を押し下げた上で前にいる多くの選手たちが中央で攻守の切り替えからフォアチェックへとスムーズに移行することでパサーに自由を与えず長距離を一気に裏へフィードさせていない。

ウイングバックに相当する選手がいないことで、タッチライン際を縦に使われると前を塞ぐことが出来ないが、アンカーが上手くサイドへ流れて一気にカットを狙って止めているし、何よりもセンターバックと中盤が中のコースを切りながら縦へ走らせることで孤立させたままプレイさせていることで、守備の不安を消していた。これまでのバルサであればサイドから攻撃を受けたときにサイドバックとウイングが対処することで多くの消耗をウイングへと強いることになっていたものの、この戦い方であればウイングの戻る距離は短く前へ向かう守備に集中していられたし、中盤の選手が背後へサポートに戻ることで距離も時間も必要としなかった。

ただサイドバックがいないことが序盤は構築の面で影響が出ていて、ディフェンスラインからボールを出す先が、外にいったん預けて横に動かしてアンカーを経由させられず、前への見限定されてワイドな位置から攻撃をスタートさせられない苦しさがあった。バックパスをして戻そうとしても、相手のフォワードらがバックパス先にいることが多く、それを選択できないことも多かった。
それ以外にもウイングがバランスを利ながら外に張っていないと全体が中へより気味になってしまって相手が守るゾーンを狭めてスペースを消す手助けをしてしまう。サイドバックがいればウイングを追い越すことで相手の注意を引きつけてくれるため問題ないが、この試合ではイニエスタやチアゴが後が外に出て行くことでバランスをとっているものの、ポジションを近づけたり入れ替わるだけで、二枚で崩す形は作れていない。

徐々にビジャレアルが修正をしてきて、前へ人数を残し、バルサのポゼッションに押し下げられないように攻撃の選手を残しておくようになった。バルサの攻撃の人数が多くともオーバーラップによる後からの変化がないため、前へ予め人数を残しておけば、それが引っ張られて下がってくることはなく、ニウマールやロッシを開かせて起点にしようとする。それによってバルサのセンターバックを外へ引きつけて対応させ、そのさらに外側を追い越していくことで、バルサが対応できない状況を作ろうとしている。通常であればサイドバックの対応にセンターバックがカバーにでてアンカーが中央を埋める形でそれらに対応することができていても、このシステムではセンターバックのサポートに来られるのは中盤くらいなものでマークのスイッチが難しく、背後へ抜けられる動きに中盤が対応するほど戻るのも難しく、フリーにしてしまいやすい。それに外へ出たセンターバックが対応しようとすると、センターバック間にある隙間に入り込まれる危険性が高くなる。
それを継続されていれば危険だったものの、バルサがフォワードと中盤に人数を揃え、攻守の切り替えからボールを引っかけてオーバーラップを出来ないように後ろへ留め続けていたし、特にチアゴやイニエスタのところで中へ一度収めさせないようにコースを限定できているのが大きかった。

チアゴが先制点を決めてから状況に対する余裕が出てきたバルサは、システムにも慣れてきたのか左右のバランスがよくなってきていた。ウイングが中へ入っていけば中盤のいずれかがしっかりと外に張り出して、逆サイドへの振り分けが出来るようにしているし、一枚にその動きを任せてしまわず、サポートもしっかりと用意して行えている。むしろボールサイドへ人を集めず相手だけを集め、反対側に充実させているように思えるほどだった。
中央に人が少ないのは相変わらずだったものの、メッシがピボーテの裏側へはいって得相手にとって掴まえづらいエリアを維持しているから、マークに付こうとすればイニエスタやセスクを自由にしてしまい、彼らに気を取られればメッシがフリースペースへ入ってしまう。チアゴもイニエスタも上がることで、ピボーテの位置を左右へと動かし、中央を埋め続けられないようにして、セスクやメッシの動きを助けている。

パサーばかりを揃えて前だけで動かしているのではなく、バルサはきっちりと飛び出しを行っている。ペドロやアレクシス・サンチェスの二人のタイミングは早くスピードもある。センターバックとサイドバックの隙間を狙って飛び出し、中央ではセスクもそれを狙っている。バルサの攻撃は5枚が横に並んで上がっていき、一定のラインまで上がるとそれを崩して距離を縮めたり広げて変化を与える。ビジャレアルはそれを嫌がってリトリートし、ドリブルのスピードを出しやすくさせてくれていた。サポートの距離を縮めてパスを繋ぎやすくさせてくれることもあったが、それは距離が近いために相手のマークを集めて中央で相手の足にかかりやすくすることでもあり、そういった場面での奪われ方はカウンターに繋げられやすかった。攻守の切り替えがしっかりと出来ていたとしても、前へかかる攻撃陣のところで奪われてしまうと、相手の攻撃になった瞬間には奪い返しに行けず追いかけなければならずフォアチェックがかからない。序盤は飛び出しや前のスペースを埋めないよう自重していたこともあってフォアチェックから奪い返せていたものの、前へ向かいすぎて背後を取られやすくなってフォアチェックが追いかける形になってしまっていた。ただダイレクトに近いカウンターをされる場合にのみ危険なだけで、少しでも時間がかかればウイングと中盤でパスコースを与えずカットしてしまえる。そして奪ってからのショート以下ウンターでセスクが相手の背後を取って二点目のゴールをあげた。
これまでであればウイングが裏を飛び出すのに合わせるしか無く、あるいはイニエスタが一歩遅れて上がってくるのに合わせる必要があったメッシのパスへ、スムーズに飛び出して合わせてくれる存在が中央に出来たのは大きく、中から中へ素早くゴールに迫れるのは得点機を増やし、その役割を二人が交換できるのもとても大きかった。

後半はビジャレアルが戦い方を変え、バルサにボールを持たせないようにディフェンスラインを高く設定し、中盤との距離を縮めてフォアチェックからボールを下げさせて、バルサのディフェンスラインにボールを扱わせようとしていたが、不十分な変更が失点に繋がってしまった。フォアチェックを行うのなら徹底して時間を与えないよう追い続けなければならなかったし、中盤はディフェンスラインと距離を縮めてスペースを埋めるのではなく、数多くいるパサーを誰一人フリーにしないほどの運動量が必要だった。だがビジャレアルがやったのはディフェンスラインを大きく上げてその前に中盤を溜めているだけで、非常に関係を近づけすぎたまま不用意に上がっただけだった。その結果チアゴにマークがつかず自由にパスを出せる環境のまま、飛び出していくアレクシス・サンチェスにも対応できておらず、バルサにとっては縦に圧縮されているお陰でパスの距離も必要以上に伸びず精度の高いものを送ることが出来た。

ビジャレアルはその失点からすぐに高いラインは維持できなくなり、今度は前へ上がったセスクと下がったメッシ、イニエスタがそれに合わせて横に動いたことで時計回りにポジションが変わっていた三人を捉えられず、メッシが背後を突く動きに対応できずに4点目となるゴールを決めた。

シャビが入ってからは無理をせずに横並びを低い位置で作ってボールを横に動かし、ウイングで相手のラインを引きつける。そこパスの連続をして相手の足を止めた後に、そのうちの一人が動き直して前へ出て行く。それでも横パスは維持できるため相手は動き出した相手にマークをつけることもままならず、バルサはウイングや中央を下げることなく横パスを使えるため、ビジャレアルに前へ出る勇敢さを与えることもなかった。バルサは大きく横にと置く動かすことで相手に強く外側を意識させ、反対サイドへの注意を欠かせ無くさせる。外に意識が向かえば、それだけニアが空くことでもあって、横パスに反応して出てくればピボーテを引き出すことにもなり、ピボーテを引き出せればメッシがバイタルエリアに入り込みやすくなる。

途中でジョナタンが投入されたタイミングで彼を右サイドバックに入れて4バックへ移行するのかと思ったものの、3バックのままを維持していた。その分チアゴへそれまでセスクが担っていた役割を与えゴールに近づけた。チアゴはそれにこれまでセスクがしていたようにタイミングの早い飛び出しから相手の背後を中央で取りつつ、メッシへとパスをしてこの日5点目。ゆったりとしたペースで試合の流れを止めて、相手の足も止めた上での飛び出しだったため、より効果的だった。

5点を取った後は人に当たる守備をしなくなり、若干緩くなってパスコースばかりを埋めようとして、カウンターを喰らうこともあったしセットプレイからもコースを気にしすぎてミドルシュートを許してしまった。前半にあったビッグセーブを含め、ビクトル・バルデスは集中していたからこそこそ無失点で終えられた試合かもしれない。多くの場面で攻守の切り替えもチェックも人に向かって集中していたものの、浮き球や確実に体同士の接触がありダイレクトで動かされてしまう場面では、それを回避して次のコースへ先に動いてしまう傾向があり、それによって相手がミスをせずに繋いで、先にボールを進ませる要因になっている。点差が大きく開いてからの守備の緩さなので特に問題視すべきものではないんでしょう。

Bundesliga 4. Spieltag カイザースラウテルン対バイエルン・ミュンヘン

2011 年 8 月 28 日 日曜日

■1.FC Kaiserslautern 0 – 3 FC Bayern Munchen
バイエルンはスピードアップせずに後ろからパスを繋ごうとしている。ティモシュチュクが後ろからのボールを引き出そうと動き、シュバインシュタイガーは左や前へ動いて、リベリーらが下がった後のスペースでボールを受ける。だがティモシュチュクがアンカーのように振る舞っているわけではなく、フィードに対して彼が競りセンターバックがケアをする場面はあまり見られず、フィードに対応するのはヴァン・ブイテンが前へ張り出して行う。ティモシュチュクが出てきたヴァン・ブイテンのいたポジションへカバーへ入らないぶんディフェンスラインの構築に怖さがあるものの、相手の攻撃にかける人数の少なさと、縦関係に裏を直接取ろうとしない姿勢から、上手く跳ね返せている。ドリブルで仕掛けてくる場合には、しっかりとティモシュチュクが先にチェックに行き、そのケアをヴァン・ブイテンが出来ているため、フィードの処理よりはずっと安定しているように見える。ただサイドから仕掛けられた時にセンターバックが引き出された後を彼が十分に埋められているかを見ていると遅れる場面が多々あり、足を止めてマークすべき相手も居ない中で見ているだけになっている事も多く、それを多用される、あるいはクロスを早い段階で放り込まれるような状況を作られれば危険かもしれない。

上手く前は連動をしていて、ミュラーとマリオ・ゴメスの関係が非常に近く左右へのポジションの取り方も被ることはない。そこへリベリーとシュバインシュタイガーが中から外へと動きながらサポートをし、上がってくるラームがカットインをする。右がアラバとボアテングで上手く縦関係の連動が得られず、突破力もキープ力も心許ない。特にボアテングは右に張りだしたセンターバックという印象でしか無く、左のラームが思い切ってオーバーラップできるのも、ここが安定して左へと三枚のセンターバックがスライドできるからではあるものの、攻撃の偏りが、カイザースラウテルンにゾーンを寄せて守れるようにしてしまい、狭い範囲に密集して守られるのを自ら選択してしまっているように見える。さらに見る方向を限定されてしまっているため、ラウテルンにオフサイドトラップをかけられるときにもその一方向だけをケアすればいいだけで勇敢に上げられ、何度もかかってしまう原因になっている。
前半途中から偏ったゾーンの反対側にボアテングがオーバーラップをして、サイドチェンジから縦の突破をしたり、大きく振ってからもう一度構築し直せるほど左右の大きな展開が見られるようになったのは好材料で、停滞してももう一度揺り動かすことが出来るようになった。それでも右から作り直そうとしても、ラウテルンに対応されてしまうと、アラバではドリブルを使って中へスライドしつつ相手を集められないし、ボアテングも同様にドリブルでの切り崩しを狙えず、左から狙えるスピードアップの半分も狙えない。

幸運にもセットプレイから相手がペナルティエリア内でハンドを犯しPKを得たことで先制点を得られたものの、その後のミュラーの倒れ方でファウルを貰おうとしていたら、反対にシミュレーションでカードを出されていたかもしれない。
このファウル以後ラウテルンの空気は一気に悪くなってしまったようで、チーム内での不和が所々に見えた事に加え、攻撃に出なければならなくなったことで、それまでのように片側にゾーンを寄せて人数をかけた守備からシステムそのままの人数で守備をするようになり、さらには攻撃に出た分だけ一人を複数で囲むことが出来ず、バイエルンにはスピードアップするだけのスペース与え、シュバインシュタイガーやリベリーが仕掛けやすく、飛び出しやすい。そしてファウルを得やすい環境になっていった。

ラウテルンの攻撃には近くでサポートを行いながらパスを繋ぐ意識が少なく、縦へ出そうとはするものの、横へのコースと共に縦へ狙うわけではなく、縦の受ける動きと飛び出しの二つを用意しながらではなく、バイエルンは一つの選択肢をきっちりと抑えて潰していけばよく、混乱させられるような動きはなかった。

前半失点してから集中を失っていたラウテルンの守備も、後半になってからは安定を取り戻して、中央に人を集めて厳しく守れるようになってきているものの、前半左に偏る要因になっていたシュバインシュタイガーのポジショニングが一つ下がり、バランスとスペースをもたらすようになったお陰で、横に幅広い攻撃をしてラウテルンに狙いを絞らせていない。もちろん飛び出したり攻撃参加をするものの、ラームやリベリーに横への選択肢を与えてもいて、より横の連携を促し、左のタッチライン際でのみ展開した前半から変わって、ゴール前で横の変化を作れるようになった。

追加点を得たのがまたしても正当なものとは思えない倒れ方で得たPKだったというのが残念で、バイエルンにとってよくあることだとはいえ、相手にとって納得のいくジャッジでないのは確か。二点が二点ともそうであり、試合が決まるスコアに近いものだったから、余計に面白みを削いでしまった。

バイエルンは上手くラウテルンの選択肢をフォアチェックによって削って時間を与えていないものの、レンジの広い展開をし始めていたラウテルンにとって、フォアチェックを受ける位置で近いパスコースを消されても大きな影響はなく、サイドチェンジを含めて、縦パスも通せている。ただチェックによって精度を落とせているのもある上に、後ろの選手たちの足を止め、攻撃に参加する人数を増やさせないようにできているのはとても大きく、例えラウテルンのパスが前へ収まったとしても、それを追い越していく選手を用意できず、一人一人が突破していくほか無い状況では、バイエルンは対処しやすかった。一人が背後から抑えて挟み込んで奪う理想的な形で守らせてくれていた。

三点目以後はボールに対してチェックに出て行くる事も少なく、組織立って複数で囲もうとする意識もなくなったラウテルン相手にバイエルンは個人でもパスでもボールを動かして楽に試合を進められるようになり、雑なプレッシャーを受けても前へボールを運べるようになった。ラウテルンのディフェンスラインはドリブルやランニングに対して足を止めて踏みとどまろうとはしなくなり、簡単にリトリートしては前線との距離を遠ざけ、攻撃も散発的なものにしてしまった。バイエルンも気を抜いてボールを何度も失っていたが、助けを得られない中でボールを前へ運んでいくのはとても難しく、ファウルを得ることすらままならず、ゴールへ迫れないまま試合を終えた。

UEFA Super Cup 2011 バルセロナ対ポルト

2011 年 8 月 27 日 土曜日

■FC Barcelona 2 – 0 FC Porto
バルサはリーガ開幕戦の延期があったお陰で、ガンペール杯を戦っても一週間に三試合という過密日程は避けられ、コンディションを落とすことなくこの試合を迎えられたものの、週明けにビジャレアル戦が控えているため、この後の日程は詰まっていて厳しさはあるかもしれない。ポルトはファルカオも監督のビラス・ボアスもいなくなってしまったため戦力低下は否めそうにもない。

ポルトの守備は組織立っていて、積極的なフォアチェックに全体が連動をしていた。バルセロナのパスコースを抑えるべく、フォアーどの動きに後が連動し、左右へのスライドも行い横パスを一つ入れられても崩れることなく、引いて受けようとすればよりプレッシャーを強める。高いディフェンスラインを保つ必要のある守り方であるものの、十分にそれをしつつ、バルサを後ろへ押し込むことでカウンターの危険を減らし、バルサにキープされれば一転して下がり、ディフェンスラインと中盤の間を狭めてブロックを作る。それぞれの距離が近くサポートを得つつも、叔母ーらーっぷにしっかりとマークについて戻るため、バルサのサイドバックの動きに惑わされることもなく、外へ起点を作られ外から崩されることもない。バルサがパスコースを失って逡巡している間に、横パスを選択させるようにコースを空け、あるいはセンターバックに長時間持たせて、展開力の低いセンターバックとアンカーの所へ横パスを選択させてカットを狙う。ショートカウンターからの狙いはスピードを活かした裏への突破で、守備の勢いを攻撃にスムーズに移行しやすかった。バルサはセンターバック、アンカー、キーパーへと狙いを絞られて何度も奪われそうになったり、ボールを外へ蹴り出さなければならず、あるいはチェックを恐れてパスが不正確になって、ボールコントロールをいい体勢で出来ずさらにチェックに要因を作ってしまう。大きなサイドチェンジのパスにしても逃げる意識が強すぎ、精度を保てず繋がらず、ゾーンから抜け出すことすらままならない。

ただバルサが一本そのチェックを外し、シャビがボールを扱い縦パスを通し、イニエスタがマークを外して前へ出て行くと状況を簡単に変えられる。ポルトはフォアチェックに出ているだけにディフェンスラインの前にアンカー以外が埋めなければならないエリアがぽっかりと空いていて、そこを使わせないためにサイドバックを中へ絞って守備ゾーンを中央に寄せて守る。イニエスタが前へ出てメッシと距離を縮めることでゾーンが自然とより中央に寄りやすくなり、外側にいるペドロやビジャへとパスを通して縦へフリーのまま使えるようになる。それまで守備で先手を取っていたポルトに対して、縦パスを通すことでバルサが先手を取れるようになり、メッシは相手ボランチの横でボールを受け、反転することでドリブルをして、ディフェンスラインを押し下げられる。相手がパスの出所を抑えようと前がかりに出てくれば来るほど、裏側や横に人数を割けなくなり、一つチェックをかいくぐったときに、ドリブルで一気にスペースが出来るようになった。

ポルトのチェックは連動こそしているものの、全員に次々と向かっていき常に動き続けているのではなく、しっかりとボールホルダーのコースを限定した後に向かっていくものだから、限定できていない余裕を持たれている状況であれば、遠巻きに囲んでいるだけに過ぎない。隙を見せるとすぐに寄せられるだけの集中を持っているが、それまでの時間があり、そのコースを限定できていない間、あるいはチェックに動いた瞬間にはまだ次の選手にはマークは来ていない。チェックに来る、動かす、チェックに来る。その連続であってマーカーよりも先にバルサはボールを動かすことを徹底できれば、相手よりも先に攻撃の形を作れる。そういった意味では、連続して修正されてしまう横パスよりも、相手のゾーンから一気に抜けられる縦パスが効果的だった。

ポルトの鋭い攻撃をバルサはセンターバックが受け止めるしか無く、密着して後ろ向きに受けさせてアンカーを中心とした中盤で受け止める、という相手のスピードを殺す自分たちの守り方をさせてもらえていない。縦パスを入れられるだけではなく裏へ競争になっても相手の脅威は変わらず、毎回のように後ろ向きに走らされ、スピードやフィジカルの勝負を強いられ、ペナルティエリア内部で勝負をする必要に迫られる。マスケラーノやアビダルのスピードのある二人が対応するにしてもそれだけに任せられないためサイドバックの二人も後ろへ引っ張られて攻撃参加のタイミングをなかなか取れない。ただポルトの攻撃は縦の連携を基本としたもので、ボールホルダーを追い越していく選手を使い続けるだけで横への揺さぶりは非常に少なく、それぞれがきちんとマークしていればフリーのままシュートを打たれることはなく、人数がばらけてしまうこともない。

メッシがファウルを受けてムキになってドリブルで仕掛けた場面で顕著になったように、ポルトの守り方はそれぞれの人を掴まえ、見ているのではなく、ボールを中心に全ての選手が見ていた。バルサが最後尾で逡巡するようなことがなくなり、シャビとイニエスタが上手く前へ繋いでいけるようになり、サイドバックが中盤の外側につけるようになる。密集したゾーンを抜け出し左右へボールを動かし、縦パスを入れられるようになれば相手を揺さぶれるようになり、裏を取れるようになっていく。審判やパサーとのタイミングで何度もオフサイドになり続けていたものの、横に動かされたときにポルトの守備はボールに対しての集中こそ素晴らしいものの、背後で動く選手に対して注意をそれほど払っていなかった。バルサが外から中へと動き、相手の守備を中へ絞らせることでより外側を空けさせ、相手の見ていない背後の利用を進めている。

先制点はポルトのバックパスがメッシへのスルーパスになってしまった。それをさせたのはイニエスタ、シャビ、ペドロのチェックがあり、相手の攻撃にさせず、ボールホルダーの余裕を削り、パスコースを確認する暇を与えないままバックパスを選択させたことに全てがあるわけで、メッシは戻るのをサボっていたからこそボールを得られただけ。でも落ち着いたいいゴールでした。

得点を得たバルセロナは、バックパスをしても混乱せず、しっかりとボールを繋げるようになり、後ろでボールを動かしている間にサイドバックがフリーになり、ボールを受けて中盤に渡してフォワードへと展開する。一連の流れがよりスムーズになった。ポルトが徹底を欠いていくようになったのもあって、二つ三つとコースは防げなくなっている。

後半に入っても、ポルトは守備組織の作り方を重視しなくなり、フォアチェックの連動もそれほどなくなった。その分攻撃に人数をかけようとしているようで、縦パスから裏へを強く意識していたものから横への振り分けをしようともしたし、アンカーが埋められていないセンターバック前で受けて起点にしようとするようになった。ただ横パスで揺さぶるようなものは多用せず、カウンターは追い越す縦の動きを利用してきていたし、シンプルなクロスも狙っていく。
そこからバルサボールになったときにフォアチェックへと一斉に移行することが無くなったため、バルサはダニエウ・アウベスがオーバーラップの判断をするまでの間隔が短くなり、ペドロと逆の関係にしてしまえたし、アンカーからシャビやイニエスタのへボールがチェックを受けないことでスムーズに出るようになり、センターバックが距離を縮めて攻撃のパスを出せるようにもなった。それからあとは相手の視線がボールに偏るのを変えられておらず、ビジャを何度もフリーにしてあと一歩の所まで何度も作った。

連動していないフォアチェックはバルサの面々にとってはそれほど苦にならないようで、背後からプレッシャーをかけられてもそれをかわして前を向ける様になったし、遅れてくる間にしっかりと前を向くためのコントロールを出来るようになって、焦って逃げるようなことはしなくなった。それに加え、ブスケツが投入されたことで後ろからの展開力が加わったことと、シャビが無理に前へ出ず、低い位置でコントロールして、前を向いてボールを扱う環境を増やした事も影響している。その分イニエスタが高く保って相手を引きつけていながら前で、縦の二つのポイントで収めつつ試合を作る。

ポルトは前で収めて横ではなく、フッキを走らせて一気に裏を取るようになり、バルサはその対応をミスして、ゴールを無人にしてしまったこともあったものの失点はしなかった。裏へ走られると対応が難しく繋げなくなるものの、昨季終盤に何度かあったような無理に繋ごうとするあまり、クリアを選択すべき場面でクリアを選択せずにミスから失点してしまった形にはならなかった。バルサがセットプレイに弱点を抱えているといわれながらも、それを多く与えてしまったのはマイナスだったものの、ファルカオがいないことで大きく助けられていたかもしれない。

ポルトの守備の緩さはもう改善しようがないところまで来てしまっていて、バイタルエリアを埋めているソウザ一枚では、その横にポジションを取るメッシとイニエスタの両名を抑えることは出来ず、左右にポジションを取られてフィードや縦パスを受けさせてしまっているし、シャビがボールを前向きで扱っていることで容易にチェックに行けず、自由なパスから中央へと集中をあつめさせられてしまっている。フェルナンドを投入したとしても役割自体は変わらないため、ボールサイドに寄りすぎて反対側にスペースを作ってしまったり、ボールホルダーへと集中をし過ぎて背後への意識が抜け落ちたまま変えられなかった。

その後はポルトがついていくことが出来ず、カウンターになったメッシを止めたロランドが退場になり、一人少なくなったまま修正が効かないうちに、メッシのドリブルに対して全員がこの試合中ずっとそうであったようにボールホルダーの方向しか見ておらず、セスクの飛び出しに対応する選手をよう出来なかった。見事な飛び出しからシュートまでの一連の流れで綺麗なゴールだった。

その後のバルサはタッチ数を少なくボールを動かし続けることで安全に試合を終えようとしていたが、グアリンがアフタータックルからレッドカードを提示されて退場。
一つポルト側からすればPKを得られたと思った場面があったかもしれないものの、あの倒れ方と接触の仕方はボールを支配下に置いておらず、アビダルは接触する意志が少ないものだった。あの接触の仕方でファウルを貰えるとは思えない。

Torneig Joan Gamper 2011 バルセロナ対ナポリ

2011 年 8 月 23 日 火曜日

■FC Barcelona 5 – 0 SSC Napoli
バルセロナはメンバーを落としてカンテラを起用しながらも、セスク・ファブレガスを先発させ、イニエスタとチアゴとの共存を早速試している様子。中盤の構成としてはアンカーにケイタが入り、チアゴとイニエスタがその前を担当する。これまでメッシが担当していたフォワード中央、引き気味の位置にセスクが入る形に近い。メッシが中央に居続けることなく引いてボールを受けて展開しているのと同じく、セスクもフォワードとしての役割をやり続けることなく、中盤へ下がってプレイすることも多い。
イニエスタ、チアゴ、セスクの三枚がパスコースを作りつつ構築することが主な役割になっているようで、裏へ飛び出すことよりも中央でポゼッションを高めるために相手の前で受けて横へミスなぐ繋ぐ形を取ろうとすることも多い。密集地帯でそれらの選手が失わず、相手のプレスと人数にも影響をされないことで、これまでの試合よりも安定していた。
バルサのポゼッションが安定して出来ることで、これまでのプレシーズンマッチではコンディションやメンバーの問題からできていなかったサイドバックのポジションも上がり、特にアドリアーノは、中央のポゼッションによって集められたゾーンの外側を上手く使っている。攻撃参加のタイミングや運動量、スピードにしてもコンディションはよくアンっているようで、開いているビジャと近く、連携も見られ、中央のポゼッションで相手に狙いを絞られがちになる弱点をしっかりと改善するように外へ出すポイントになっている。
アンカーへ入っているケイタも序盤の形勢が安定するまでの間はセンターバックの間に入ることが多く、両サイドバックを押し上げる役に立っているし、パスによる展開を狙った際に、ディフェンダーと中盤を繋ぐアンカーとしてプレイしなくとも、展開力のある三枚を並べられているため、そのいずれかにボールを渡せればよく、彼がセンターバックの位置に入っても展開を苦労することはなく問題なかった。陣形が整い始めてからはしっかりとアンカーとしてのバランスも取れるようになっていて、アンカーとしての姿も様になってきたいように思う。

このポジションに入ったセスクの強みは、ボールをプレッシャーの中でも持てることとボールを下げずにサイドへ大きく展開できることや、体が強く当たりに対してそれほど影響を受けないこと。それに加え、動き出しの早いビジャをしっかり見て使おうとする意志があることが大きく、他のバルサのパサーであれば利用しないような状況でも優先してビジャのランニングを活かそうとするところで、この二人の相性はいいのかもしれない。

バルサの前線のポジションチェンジは多く、キコ・フェメニーアが中央に入りチアゴが外へ出る、ビジャが切れ込めばセスクが下がってきて、空いた中央へイニエスタが飛び出す。ディフェンスラインの位置も高く、手前で落ち着いて回せている。前へ人数をかけてポゼッションをしているため、攻守を切り替えた際の守備がはっきりして奪われてカウンターを受けることもなく、カウンターとなる縦パスを入れられても、一本目のそれをきっちりと背後から抑えて止めてしまえている。上手く守備面でもポゼッションが働き、攻撃面ではポジションチェンジが功を奏して、中央に入るチアゴやセスクを相手が掴まえ切れていないことが多くなってきていた。縦パスを密着マークやゾーンで囲まれる前にやれているのは大きく、バイタルエリアでするそれは、メッシが相手中盤の背後で受けるのと遜色ないのかもしれない。相手は中央に神経を尖らせて守らざるを得ず、外へゾーンを広げ続けることができず、サイドバックが高くポジションを保てていた効果が現れて、フリーになったアドリアーノからセスクのゴールが生まれ、先制点になった。

先制点後のバルサの距離は、それまでの中央に寄ってポジションチェンジなどを利用して相手を集めようとしていたものから一転して、大きく開いてそれぞれの距離を広げたところから始まった。横に動かしつつキープをして、そこからゴールに近づくにつれて一気に中へと絞っていく。相手のゾーン設定をボールサイドに合わせて横に動かし、その中でポジションチェンジを含めながら動かしたことで相手の足を止めさせ、ケイタの飛び出しに反応させずに二点目。
中盤が引いてボールを動かしている最中にはアドリアーノがウイングのように前へ出て行くことで、セスクが引いて人数が低下した最前線の3トップを維持する。モントーヤとキコ・フェメニーアの二枚で維持している二枚と相まって外維持し、イニエスタとセスクが外へと意識したパスを多く出していたのを活かしている。そこからビジャへのアシストになりかけたパスをアドリアーノが出したが、これはデ・サンクティスに止められ、ゴールならず。
セスクの受ける動きにナポリはついて行けていないことが多く、ビジャの裏側を取る動きもあってマークに付いていけないというのもあった。セスクが中盤に下がるのに合わせてセンターバックがでてしまえばラインを崩されてしまうため出来ず、バイタルエリアに入った選手に対して明確にマークがつかず、パサーがタイミングをいくつでも外していけるため、チェックに行くタイミングをセンターバックが計れず、結局はバイタルエリアの中パサーをフリーにして、裏へ通されて崩されていた。

後半に入って大きくメンバーを変えたため、前半よりも中盤の構成力は下がったものの、運動量が豊富で、縦への仕掛けに積極的、裏へ飛び出す意識の高い選手たちが揃ったことでプレイの質がクイックになった。中盤に人数がかかりすぎないことでそれぞれのサポートの距離が遠くなり、すぐ近くで味方を得ることは難しくなったものの、その分個人で動かせる範囲が広がり、横へ動かすことも、ワイドに出して裏を狙うこともできるようになった。動きながらプレイすることで縦へスムーズにドリブルできて相手をリトリートさせられる。

メッシとシャビが投入されてからは、さすがにメッシに対しては集中して守っていて、ナポリの守備が前半のようにディフェンスラインと中盤を空けず、バイタルエリアを閉じるようになっていた影響もあって、メッシが入っていくスペースが小さかった。ただメッシがそこでマークを引きつければナポリの中盤の位置が下がってしまい、シャビが前を無手ボールを扱えるスペースが増える。シャビがボールを持たせてもらっていることで縦パスを入れるチャンスが増えて密集地帯であっても通してしまえるし、ファウルで止めなければならなくなる。ファウルで止められた所からのフリーキックで、この試合で何度目かのゴールマウスを叩き、跳ね返りを今度はペドロがきっちりと押し込んでゴールを決めた。

メッシに対する集中はあるものの、メッシが下がってボールを受けてコントロールしたがっているものには付いていけず、そこからドリブルをすることも頭に入れなければならない。それに加えてメッシとシャビがボールを持てば次から次にクエンカ、セルジ・ロベルトらがバイタルエリアに入ってくる。それらの対処にも頭を悩ませながら、パスや入り込んでくる選手にもマークを付けなければならない。そしてメッシに集中して守っていたバイタルエリアの守りも視線を剥がされてしまってメッシのゴールを許してしまう。
前半のような中央でポゼッションをしながら横に動かし崩していくものから、中央に注意を引くターゲットを置きながら、後方からどんどんと中央へ入り裏を取っていく、前半が横の延長線上で点を取ったし流れを取ったのに対して、後半は縦の勢いによって相手の対応を引き剥がしてゴールを奪ったようだった。

4点目以後は相手の集中力が持たず、ボールサイドに人が寄りすぎてバイタルエリアを大きく空け、センターバックがメッシによって引き出され、アビダルやペドロの動きを自由に使わせているし、シャビも掴まえきれずに前を向かせ続けた。前に人数を溜めさせ、ナポリは守備で走らされ攻撃に足が出ず、奪い返したとしてもすぐに奪い返され、カウンターにも繋げられず自滅し、メッシの二点目に繋がった。

バルセロナは殆どのメンバーを交代させたが、力の落ちる二軍のようなチームを出すことなく、カンテラと主力を上手く融合させながらチームを作り、戦力を落とさずに内容を変化させながらクオリティーも保った。これは開幕戦の延期も相まって日程が詰まっていく今季にとって大きな収穫かもしれない。

Bundesliga 3. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対ハンブルガーSV

2011 年 8 月 21 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 5 – 0 Hamburger SV
バイエルンにとってロッベンとリベリーを共に先発させられたのは好材料で、効果的な働きが出来ていなかったルイス・グスタボに代わりティモシュチュクを先発させていたのも試合の流れを作る上で重要な要素になっていた。残念ながら宇佐美は前節のこともありベンチ入りすらしていない。

バイエルンは前二試合は上手くセンターバックから中盤へとボールを繋ぐことが出来ていなかったが、この試合はティモシュチュクが中盤の底を担当しているということもあってサボらず、勤勉に走ってボールを受けられるポジションを取ってくれる。これが縦パスを中盤に一度入れられる要因になって試合を楽にスタートさせることが出来た。ディフェンス利案で回す回数の多さは、そこへマークが近く、繰り返し利用できるほどではなかったためだったものの、ディフェンスラインにはHSVのフォワードはろくにプレッシャーを与えてこずに時間的な余裕を相当に与えてくれていたから、中盤に対するマークも、動き直させるだけの時間を与えていることで受けられるようになって、ティモシュチュクは何度もボールを受けては横に捌いて自身も前へとポジションを上げ、セカンドボールを拾う、あるいはセカンドボールへのプレッシャーとして高い位置からの守備に参加できていた。

HSVはマークの距離を縮めて縦を塞ぎ、ボールを受ける倍得るんんいたいして背後から密着しておこうとする意識が強く表れていた。特にロッベンに対してはアオゴがマンマークに近いほど徹底して付き、激しく体をぶつけてコントロールすらままならなくさせようとしていた。自由に受けられてしまわないように警戒していたまではよかったものの、それがあまりにも激しく汚いものも含んでいたため、すぐにカードを出されてしまい、プランに支障を来してしまったようだった。
ロッベン以外へのマークはそれほど密着しているとは言えず、一定の距離が空けられていて、ティモシュチュクへのマークに代表されるように徹底もされていなかった。一人一人が誰を見るかが決められているようでもあり、マンマーク気味に付かれていたロッベンも、ポジションを中に移してしまうと誰にも掴まえられずにボールを受けられたり、前を向いてしまうことや、ヘディングシュートまでで切るほどだった。それ以外にもHSVの守備はマークをつけて自分たちの前で受けられないようにしてしまおうとする意識が強すぎるため、ディフェンスラインや中盤の背後を取る動きやパスに対してついていけず、それを通させ先に触らせてくれているし、ミュラーやマリオ・ゴメス裏へを取る意識の強さからマークを上手く外してプレイできている。それらも距離が遠く散発的なものではなく、しっかりと押し上げて距離を縮めて連動できていたから、HSVのばらばらの守備では、そこにドリブルも加えられるとファウルで止めるしか無く、ゴールに近い位置で何度もファウルを得て、それを先制点へと繋げられた。
HSVが激しく当たってコントロールしようとしていた守備も、ウイングのロッベンやリベリーではなく、ティモシュチュクやシュバインシュタイガーを狙い、センターバックに時間を与えないようにフォアチェックとからめていれば効果を出していたのかもしれないが、それらを一際せずに、センターバックに時間を与えてウイングへとパスを一気に出させる。そしてウイングへのパスコースも塞いでいないからカットが出来ず、彼らを抑えるためだけに激しく当たってしまえば、リスクのある位置でフリーキックを与え続けることになり、先制点の場面のようなことになる。

先制点以後は背後を取られることを嫌がり、カードを持っていることもあってマークの距離が広がり、より簡単にボールを受けてコントロールできるようになっていく。マリオ・ゴメスも縦パスを受けて振り向けるだけの余裕があり、そこから横に動かせばロッベンも密着されておらず、前を向いて受け、仕掛けることも出来るようになっている。そうなれば、相手の対応が遅くなった場所からバイエルンは先手を取ることが出来るようになり、スローインからの流れだったものの追加点をリベリーが決めたのは当然の流れ。

HSVが変化を加えられるのはヤロリムの所ぐらいだったが、そこにはバイエルンの中盤がしっかりと寄せ、時間を与えていないから、ファウルを取られることはあっても自由に変化は加えられていない。ファウルを取られる位置もしっかりと前の方で留めているからセットプレイからピンチを作られることもない。縦パスに関してもきっちりと体を寄せているだけで振り向かせず、厳しくぶつかっていなくても十分にコントロールしている。攻守の切り替えからもしっかりと早めに潰していけて、HSVは前に全く起点を作れていなかった。トゥーレは多少仕掛ける意識を持っていたものの、ソンは全く仕掛けようとせずポジションを下げてバックパスばかりを選択するため、HSVとしては預けても押し上げることが出来ず、むしろバイエルンの攻守の切り替え、フォアチェックのまっただ中にボールを戻されるために何度もカットされるはめになっている。お陰でバイエルンは縦パスを恐れる必要なく、ディフェンスラインがそれらに対応するために大きく張り出すことすら出来ている。二点差が致命的だと思えるほどHSVには迫力もアイデアもなく、ヤロリムが上がってこないと左右へのボールの振り分けすら出来ないのだから、単調だった。

守備が緩んでからHSVはそれぞれの距離保てなくなって、遅れてチェックに行ってはアフターのファウルをするばかり。ファウルからのカードやセットプレイを怖がってしまうと、ポジションチェンジに対するマークの修正が未だ出来ていないこともあって、アオゴはロッベンへとぶつかれなくなり、簡単にドリブルからの突破を許して三点目。
バイエルンは相手のマークを殆ど気にする必要もなくなっていたから、相手の背後へ先に動き出すことが出来れば、相手はそれで追いかけられず、ディフェンスラインもリトリートするだけで誰かがカバーからチェックに来るわけでもない。後半に入ってもHSVの修正らしきものはなく、バイエルンのセントラル・ミッドフィールダー二枚に対してもきちんとしたマークやチェックすらなく、自由に最後尾と中盤でボールを動かし続けられるほどで、運動量も何もなかった。

少しの改善はヤロリムが高めのポジションを取ってボールに触る機会を増やしたことで、ファウルを貰うプレイには定評のある彼にバイエルンが前半のように奪いに行けばセットプレイに繋げられてしまうため気をつけなければならず、彼がボール前で受ければ横の変化に加えて縦へのリズムの変化も作れる。よりヤロリムへ注意を払わなければならなくなったものの、フォワードの仕掛けやサイドのリンコンやヤンゼンでさえ一歩遅く、カウンターから流れるような展開とはいかず、不必要に時間を費やしてからの展開しかできず、得点機を得るにはほど遠かった。チェックのスピードも多少サイドの二人のポジションで上がったものの、荒っぽさを含んだもので、中のコースも縦も防げず、連動していなかったためにバイタルエリアを埋めることも出来なかった。バイエルンは点差もあって精神的に余裕を持っている中で環境面でも余裕を与えてもらったことで四点目を決め、その後はHSVはより悪くなっていった。フォワードの一人はプレスに行ってかわされる、自分の目の前でパスがカットされてしまうと、やってられない、とでもいうような動きをして味方の士気すら落としてしまうパフォーマンスまでしてしまう。この状態でピリッとした試合展開を望めるわけもなく、HSVは攻撃に出る勢いも意欲もあまりなく、組織ではなくそれぞれ個人が動いているだけで、こぼれ球を拾うときでさえ、HSVは味方同士が競り合いうほどになっていた。

HSVが二人を同時交代をしたことで中盤のプレスに向かう動きは活性化されて、バイエルンの中盤に時間を与えず、クイックなパスを要求してダイレクトパスを増やさせた。そういった時間的な余裕を与えないことでパスやコントロールの精度を落としてプレイの精度を落として奪ってカウンターへの可能性を、前半から作れていればよかったものの、途中交代の二人だけで継続していくことは出来ず、動きが緩慢なままの他の選手たちはそれに参加せず、奪えたとしてもフォワードが裏へ飛び出す意識も突破する意識もないために活かす方法が無く、さらにバイエルンに追加点を献上するだけだった。

Supercopa de Espana 2nd-leg バルセロナ対レアル・マドリー

2011 年 8 月 18 日 木曜日

■FC Barcelona 3 – 2 Real Madrid
この試合の先発メンバーは先の第一戦と比べると、怪我からの復帰もあって考え得るベストメンバーと言っても過言ではないほどだった。ただ試合勘の問題から不安を抱えているメンバーもいるし、コンディション面で本調子からほど遠い選手もいる。そういった面を考えれば、スコアは別として、第一戦とコエントラン以外同じメンバーを組み、コンディション面での不安を感じさせなかったマドリーの方が有利にあるかもしれない。

バルサの立ち上がりは非常に悪く、マドリーは第一戦よりもより高い位置でプレッシャーをかけようとしてきていたが、同じ激しさと勢いを維持しているわけではなく、要所を押さえているような印象が強くある。センターバックにはコースを切る程度で対応し、チャビやメッシ、イニエスタを掴まえておく。バルサはボールを受けるために下がってプレイしつつも、そこへパスを出せずに全体が引き気味に推移して、キーパーから近い位置でボールを動かさなければならなかったし、ゴールに近いが故に奪われると即失点にも繋がりかねない。チャビやメッシにしても、本来ならボールを失わないようなプレッシャーであっても足にかけられて失うこともあり、そこから直接裏へ出されて失点の危機を迎えることもあった。バルサのボールをコントロールする位置が低くなれば、ウイングとの距離が開いて、そこにマークをつけられれば、縦パスをきちんと収めてキープし全体を押し上げる時間すら稼げずにバックパスを選択するしか無く、激しく当たられることでそれもコントロールできず、サポートも得られない。バックパスで戻してもマドリーのフォアチェックが陣形そのままに残っているから、簡単にカットされるようにもなっていて、より危険で悪循環が続いていた。

マドリーのチェックが激しいフィジカルコンタクトを中心とせず、プレッシャーを与える程度に留めてくれていたお陰で、バルサはそれを抜け出す要因に出来た。体を強くぶつけられないことでポジションの取り直しのような動きの面までもコントロールされてしまうことはなく、体を寄せられる前にボールを動かしてしまうことでそれらから逃れていくようになった。マークを外すために戻り、上がり、横に動けるようになるとボールの展開の幅も広くなり、マドリーのチェックよりも早く動かせるようになった。横やバックパスなど効果的ではないものも含めて、より体を寄せられないように注意して動かすことでバルサらしい早さをもたらせるようになってきている。縦パスに関してはまだウイングを抑えられ気味ではあるものの、戻るスピードについてこれらていないコエントランのところをより外しやすくなっていた。ただマドリーのチェックの位置を、その縦パスを効果的に使えず、ハーフウェーラインを越えて展開できないことで、押し下げることは出来ておらず、奪われてカウンターに繋げられる回数も多い。
バルサも前へ徐々にボールと人を動かせるようになったことで、フォアチェックでマドリーに試合を動かせないようにし、前へ繋がせないようにしていく。ドリブルに翻弄されないよう、体を寄せ前を向かせないようにして余裕を与えず、無理な体勢からパスを選択させる回数を増やしていた。マドリーが体勢が悪くてもクイックにサイド、あるいは裏へと出して直接ゴールに繋がるプレイのみを選択してくれているお陰で、単調になりやすくカバーリングやキーパーを含めた守り方でぎりぎり対処できていた。

バルサはメッシで相手を引きつけた上で横に動かし、イニエスタやチャビらが徐々に高い位置を取って左右へ振り分ける。マドリーのゾーンがそれらの動きに翻弄されて外側が空きやすくなって、収められるようになっていた。そして何よりもフォアチェックを中心として試合を動かそうとしているから、ディフェンス利案との連動が必要不可欠で、高く設定されたラインの裏には広大なスペースが広がっていた。ペドロが中心となってそのスペースを利用していくことでコエントランに裏の意識を植え付けて前へのマークを不十分してボールを受けやすくし、ディフェンスラインをフラットに保てなくさせる。その一方で、張る全体が前がかりになることはなく、相手が前へ人数をかけたまま継続してくれるようにしていたことも先制点の要素になったのかもしれない。前からの組織的なプレッシングで抑えようとするマドリーと、その背後を取った得点の取り方は昨季のクラシコ第一戦を思い出させた。

セットプレイを押し込んで同点にしたマドリーは、チャビやメッシからボールを奪うためにフォアチェックのポイントを絞ってマークを近く設定しているものの、ピボーテを前へあげているためにセンターバックのカルバーリョをあげて対応しなければならず、ディフェンスラインはより崩れていた。コエントランとペドロの関係も、始めからペドロがドリブルで翻弄し、コエントランが足を出せなかったことで関係が出来上がってしまい、飛び出しにしても主導権を握り、その二つを強く印象づけたことで距離を取って守ってくれていたから、パスを受けられるようになり、ディフェンスライン前のバイタルエリアにギャップとスペースが出来ていた。その中でこそバルサは前を向いてドリブルを仕掛けられるようになってきていたから、ポゼッションとしては不十分でも効果的に裏を取れて、ゴールに迫ることが出来ていた。

バルサにも同じ問題があり、マドリーに奪われてセンターバックの背後へボールを出される回数の多さから、それを意識してセンターバックが距離を取って裏を取られないように下げたことで、アビダルとマスケラーノの上手いカバーとスピードに助けられていたものの、その状態でラインを上げるのは無謀だったから仕方のない判断だったかもしれない。ただ上手く組織として下がれているのなら問題なかったものの、バルサが下がり気味に推移することでマドリーがポゼッションを高めている中で、全くディフェンスラインが整っておらず、オフサイドを取ることが出来ずにミスによって背後を何度も取られてしまった。失点してもおかしくないミスを繰り返していたのは開幕前だから、とするにはお粗末だった。

チャビがハーフウェーライン付近でボールを扱うことが出来れば、全体を押し上げてフォアチェックにできる。それを多用できるほど後ろから繋げておらず、クリアを多用しているし、前へ出せても下げる回数が多い。ボールを動かして全体が押し上げられていないからフォアチェックもかけられなくなっているものの、メッシやチャビを大きく下げてボールを集めることでプレッシャーのかからない位置で落ち着かせようとしたのが効果的に働き、前を向いて扱えていた。彼らのマーカーにセンターバックが対応することになっているマドリーのやり方もそれを助けていて、ボールキープの形を作れれば、クリスチアーノ・ロナウドを下げて守りに参加させることも出来る。ポジションチェンジも行われるようになって、左右へ大きくボールを振り分けながらも、中盤とサイドバックが距離を縮めてサポートできるようになり、ようやく連動した攻撃が出来るようになった。そうやって得たコーナーキックからメッシのゴールが生まれ、前半終了間際のいい時間帯にリードを得てハーフタイムを迎えられた。

後半開始時にマドリーはマルセロを投入し、ペドロとのマークの距離に問題を抱えていたコエントランをピボーテへ上げ、攻撃面でも前へ絡んで左のサポートをし、マルセロと二枚で切り崩しを図り中の枚数を増やそうとする意図があるのかもしれない。他にもエジルやシャビ・アロンソにかかっていた構築の負担を分散させていこうとしているのかもしれない。流れの中では彼が左側の攻撃に参加する事が多く、マルセロのオーバーラップとからめて、左側に数的有利を作りだし、バルサのゾーンを集めた上で、中へのパスから裏を狙ったり、逆サイドへ大きく展開して左右への振り分ける横への変化を加え、カウンターを中心としたものよりも、しっかり繋ぐことを考えているように見えた。

そのままマドリーが人数をかけて流れを維持していればどうなっていたか解らないが、とにかくよくなかった。マルセロを牽制するために運動量のメッシを右に移したのはあまりい判断だとは思えず、運動量が通常通りであれば背後を狙うためにマルセロを牽制できていたかもしれないが、あの運動量では押し下げられるとは思わなかった。そこまではマドリーに有利に働いていたはずなのに、浮き球の処理を誤ったマルセロがメッシを蹴ったことでメッシに苛立ちを与え、両チームにストレスを加えて荒れる要因を作ってしまった。冷静に試合を動かせばマドリーが有利な環境の中でそうする必要性がないところでそれをしてしまったことがこの試合の一番の分岐点で、その後にあったペペの肘を使った二つのプレイと含めて、悪質なプレイで自らの首を絞めたようだった。

マドリーが左からの攻撃を中心に外に攻撃のバランスを移している中、バルサも構築の一歩目をプレッシャーのあまりかからない外側に設けようとし始め、イニエスタが左タッチライン際に張り出して収め、メッシが右で収めて起点にする。マドリーの攻撃が外側に寄っていれば、中央は二つのラインからブロックを構成して守備の形を作って待ち構える。外でボールを収めることでそれらに守備機会を与えずキープし、それまでセンターバックが縦に出てくることで遅れずチェックできていたのを横へ引っ張り出すことで遅れさせ、散発的に奪いに出てきたところをかわして、中に入り、相手に戻りながら守備を強いてバイタルエリアを空けさせようとしていた。

マドリーはイグアインを投入し、彼を中央に、エジル、ベンゼマ、ロナウドが外から中へ入りながらポジションを動かして、バルサのディフェンスラインを外から中へと絞らせてドリブルに対応させ、その間にポジションチェンジをして外へ再進出してフリーになりつつパスから逆サイドまで流れる作業を繰り返していく。横の動きと入れ替わり立ち替わり中へ入っていくことでマークを外して注意を分散させ、縦を狙う。次々にバイタルエリアに入っている印象が強く植え付けられながらもマルセロやコエントランによって外側も狙われていることでバルサは守備のポイントを絞れず引いて守るしかなく、サイドバックが中へ引き寄せられて外側が空いてしまいそうになっていたものの、ビジャがしっかりと埋めてくれていたお陰で、マドリーのストロングポイントになっていた左からの攻撃を自由にさせることはなかった。それでもバリエーションは多く、フィードで裏を意識させられ、跳ね返すと外から中へ、ドリブルからパスやワンツーで裏もあり、注意しなければならない点は多かったものの、前半はスピードに乗って仕掛けられていたクリスチアーノ・ロナウドのドリブルも、右や中央にポジションを移してからそれをするだけのスペースを得られず、カットインからのシュートの危険が一つ減ったこともあって、バルサとしては少し楽に対応できていた。マドリーの起点が一つ減ったというだけではなく、代わりに左に入っているベンゼマの突破や運動量、パスセンスにしてももの足りず、中央からコエントランが上がってくるが、その分エジルも下がってバランスを取らざるを得なくなっているし、前へかかる人数とは逆に変化を与える位置が低くなって、意表を突いてバルサのゴールへ迫れなくなってきていた。
カカの投入は下がっていた変化の位置をあげようとする意味ではよかったものの、左側の前はマルセロ、コエントラン、ベンゼマが居て、そこにカカを加えても飽和状態でスペースが無く、持ち味のドリブルを活かせるだけのスピードも渋滞とポジションが被って出せなかった。

バルサが運が悪かったのはコーナーキックの処理を誤ったことで、それまでされていたようなニアからのそらしを決められたのではなく、クリアミスが相手に渡ったことで、セットプレイの守備が必要なのは確かだったものの、この失点に関しては運だけ。

その後セスク・ファブレガスが投入され、加入後すぐに試合へ出ることになったものの、彼のボールの受け方や視野の広さ、スペースへ向かっていく機動力も含めて非常に効果的に働いていて、安定して相手の隙間に入り、収め、横へと大きく振り分ける展開が増えた。アドリアーノが入っていることもあって、右に大きく開いたところにポイントがあり、中へ絞って守るマドリーの外側を利用できていたし、ドリブルやマークを受けながらのキープとは違うため、ダニエウ・アウベスのオーバーラップもしやすく、横への振り分けから縦の連動を呼び込むことが出来、右で二枚の連動が見られるようになった。マドリーの守備はマルセロとセンターバックのカルバーリョがそれに当たらなければならず、ベンゼマの戻りには期待できないため中を犠牲にしなければならない。アドリアーノのクロスからメッシのゴールが生まれたのも、全てがしっかりと絡んだお陰。

その後のマドリーは放り込みとパワープレイ、強引な仕掛けだけで終わっていればよかったんですが、試合終了間際になって一番する必要のないプレイをマルセロがして、試合そのものをぶち壊してしまった。セスクにしたあの蟹挟みは、ファウルの中でも相手を怪我させる意志が強く表れた危険なプレイだと認識していて、セスクがきちんと倒れなければ骨折をする可能性の高いものだと思う。焦る状況にあったとしても絶対にやってはいけないもので、ベンチで見ている目の前であれをやれば乱闘になるのは当然で、あれを擁護する人の気持ちは理解したくない。

Supercopa de Espana 1st-leg レアル・マドリー対バルセロナ

2011 年 8 月 15 日 月曜日

■Real Madrid 2 – 2 FC Barcelona
レアル・マドリーは新戦力こそ起用しなかったものの、昨季のようにペペを中盤で起用するような変則的な布陣を敷かず、バルセロナはアレクシス・サンチェスを先発させ、さらにプレシーズンマッチで出場をしていないマスケラーノやダニエウ・アウベス、メッシといったコパ・アメリカ出場組を先発起用させていた。セルヒオ・ブスケツやピケをセンターバックに起用してきていないのは不安材料でもあり、シャビもペドロも先発させられなかったことでパスの出し所を担う選手がことごとく欠場して、試合の構築を考えると不安な先発メンバーでした。

試合開始直後からバルサがボールをキープし、マドリーは奪ってカウンターを仕掛ける狙いが強く見られたものの、バルサのポゼッションはいつものレベルになく、低い水準でしかなかった。連動をしておらず、センターバックからボールを引き出す動きが中盤になく、センターバック自ら持ち上がってパスコースを探さなければならないことも多々あったが、引き出すべき中盤だけではなく、フォワードもマークを引き剥がして受けるためのポジションを取れていないためパスが出せず、バックパスを選択しなければならなかった。マドリーはきっちりとそれぞれを掴まえていられていることで、そのバックパスに狙いを絞ってバルサの後方に人数を残したままいられ、カットをして前への勢いを持ったまま守備からカウンターへと繋げようとしている。フィジカルコンタクトを厭わないボールの奪い堅やマークの仕方は昨季とは何も変わらず、そのお陰でマドリーはチェックのスピードを速めていられる。予め掴まえて受ける旬簡易体をぶつけることこそあまりできていなかったものの、ダイレクトで動かさず、ボールをコントロールしようとすれば激しくぶつかられてバランスを崩されるため、バルサはダイレクトパスを中心としてパスコースや状況を探りながら逃げている印象が強い。メッシを使って押し下げようとしても、メッシのコンディションは合流後初試合だということもあって最悪に近く、何度も利用できるものではなかった。バルサがキープできるのはイニエスタが前を向くためにするぐらいのもので、それも密着されているため、パスを預けたとしてもリターンのパスをもらうことが出来ず、もらおうとすればカットされてカウンターに繋げられる。バルサの陣形は守備にも攻撃にも中途半端な高さにある中で推移していて、奪われた時に攻守の切り替えも早くない上にチェックもかけられずディフェンスラインが止めなければならなくなっていて、遅らせる効果すらなかった。

奪った後のマドリーは積極的で、ドリブルでの仕掛けを含めてタッチライン際から攻撃を始め、注意を引きつけてワンツーでの突破を試みるのはいつも通りといってもいいかもしれない。それに意識を集中させ、中へ入って自らシュートを狙ったり裏を取ったり、バルサのディフェンスラインを押し下げるには十分な効果があり、連動できていないバルサの最後尾はセンターバックの本職がおらず、踏みとどまることはおろか、クロスへの対応も甘くマークに付き切れてもいなかった。ビクトル・バルデスがきっちりと止めてくれているお陰でクロスから失点することはなかったものの、両サイドバックのコンディションがあまりに悪いまま起用していることもあって初速が遅くスピードに対応できず、マークの距離も悪い。
そしてサイドから崩され、ベンゼマのドリブルに対しセンターバックのアビダルが対応にでて、同じくセンターバックのマスケラーノがサポートに流れてしまった。中を埋めるべきセンターバックが一枚もいないまま、アンカーが下がって来られず、中央を埋める人を得られないままエジルをフリーにして先制点を献上してしまった。

マドリーのオーバーペースとも思えるプレッシングをかいくぐれていたのは、緩くかけられているだけだったアビダルくらいなもので、彼が持ち上がり、イニエスタが試合を作ろうとしてもファウルで潰されてしまい、チアゴはポジションを上げてこそ力を発揮する選手であって、低い位置では上手く試合を作れず、奪われないための安全なプレイに終始していて、イニエスタにマークが集中する要因になっていたし、キープして押し上げるポイントを作れない要因になっていた。押し上げられないからサイドバックからウイングの距離が遠く、ディフェンスラインが低いまま推移していく。そうなると攻守両面で連携が出来ず、パスの距離が伸び、距離が遠くなればなるほどパスカットをされるリスクは高くなり、慎重にプレイしなければならず、慎重になれば判断が遅くなってプレスをより受けてしまう。そのままの状態が続いていれば悪循環からより危険な状況になっていたかもしれない。

ただオーバーペースのマドリーのプレッシングが最後まで続くことはなく、中盤からどんどんとプレスに向かうスピードが遅くなり、選手同士の距離が開いて走る距離を増やしていた。増えることでより消耗するためマドリーのプレスがかからなくなったバルサの中盤には、それぞれがコントロールできる時間が出来、メッシも下がって前を向いてボールを受けられるようになってきていたし、起点ができはじめたことでサイドバックのポジションが上がった。マドリーの攻撃は単調になって、フィード一本からベンゼマを裏へ走らせるようになり、守備時の勢いがでないことで攻撃に変わった際に前へと駆け上がれなくなったのに比べ、バルサはエンジンが徐々にかかってきた印象で、イニエスタもマークを外すだけではなく、抜いてドリブルを出来るようになってきていた。ビジャらの受けに戻る動きに対してもマーカーが付いてこずフリーでいられるようになり、マークの距離がより伸び、フォワードがボールを受けてスピードに乗れるようになってきた。チェックを受けて囲い込まれることになったとしても、それにかかる間に前を向き、抜くかパスを出す判断が出来るほどになっていた。遅れて向かうためにより人数を必要として、ウイングへのマークが甘くなってカットが狙えず、ビジャを自由にしてゴラッソを呼び込んだ。

その後もマドリーが緩くなり、バルサの状態が改善されつつあったものの、バルサらしい形とは言えず、相手の攻撃を受け止めてはクリアを選択し、繋ごうとしては失敗をしてまた攻撃を受ける。収め所を見つけられず、耐え続ける時間が長く、耐える中でのミスも多い。それでも一度動け始めたウイングは効果的に機能していて、特にアレクシス・サンチェスはスピード、ドリブル、判断いずれもが存分に発揮されてきていて、初出場とは思えないほど大きな働きをしていた。逆転のゴールを決められたのも彼がファウルを得たことから始まり、メッシが決めた。コンディションと試合の流れも相当に悪い中、バルサが前半の内に逆転できたのは非常に大きい。

後半になるとバルサの改善が順調にいっているのが見え始め、センターバックからのフィードがウイングに出せた。それまではセンターバックがクリアをしていたプレッシャーの中にあるプレイでも繋いで中盤で収められるようになり、そこからさらに前を向ける様にもなっていく。体をぶつけられても下げることをファーストチョイスとせずに、前を向くことを考えて受ける。アレクシス・サンチェスはそれだけに留まらずドリブルで抜いていけるようになってきていたし、彼の運動量やポジションの取り方をバルサがチームとして利用できるようになり、クレバーな動きをより活かせるようになっていた。
チアゴを含め、バルサの中盤の構成も、それぞれの距離が縮まり、サポートを得ながら横に動かせるようになり、サポートの距離が前半と比べて縮まると、前半は多用されていたパスカットからのカウンターもされにくくなり、ダイレクトで動かして前へポジしょんっを取り直して変化を加えられるようになる。
好材料はいくつもあった。ただゴール自体は別物で、前への動き直しが盛んになり、意識が前へと向かっていたからこそ、クリスチアーノ・ロナウドにタッチライン際を縦に突破され、スピードで振り切られてしまった。直接シュートこそさせなかったものの、それがコーナーキックになり、シャビ・アロンソに同点ゴールを許してしまった。

ゴールこそ決めたものの、マドリーはそれぞれが持つ時間が長くなって、ダイレクトでワンツーを使って裏を取ろうとしたり、ドリブルで引きつけてパスを選択し、それを強く意識させていくことが出来なくなっていた。そうなるとドリブルで引きつけているように見えても判断が遅れ、時間がかかる間にマークが付き、チェックも受けてボールを奪われ、彼らはその遅れからパスの選択やワンツーで裏へ抜けるチャンスもなくなり、横の変化も作れなくなっていく。バルサの対応が遅れてしまうことはあってもシュートコースを塞げる、あるいは足を出せるようになった僅かな遅れが、大きくゴールを脅かすプレイに影響をしていた。バルサの集中も前半と比べて大きく改善されていて、ケイタの後ろへのカバーの意識がよりでていたことも決定的な形を防げていた要因になっていた。

バルサが上手くボールを動かせるようになったのは、横にチャビ、イニエスタ、メッシが並び、距離を近づけて収め所が出来、横に動かして相手のチェックを分散させられるようになったことが主な要因で、それぞれが持っている間にポジションを取り直し、預けられることも影響していた。パスコースが複数作れるようになるとマドリーが狙いを絞れず、人数をかけて守りづらくなってきていたのもあり、収め所ができると後ろからはボールを出しやすく、センターバックから中盤へとスムーズにボールが出るようになれば、フォワードもパスが来るタイミングを読みやすく動きやすい。緩急をチャビが作ってくれていることが大きく、マドリーも前後に伸びてドリブルをさせてくれるだけのスペースを与えてくれているから、攻撃はしやすく、ペドロとサンチェスは上手くやっていた。マドリーが前へ向かっていく守備が出来ず、追いかける形が多くなっていて、カジェホンが一人前へぶつかる守備をしていたものの大半がファウルで効果は薄く、ディフェンスラインを押し留められなかった。マドリーは中盤と最後尾の距離が開いてしまって、フォアチェックをかいくぐられたときにリトリートするばかりで自由に動かしてくれるようになり、無理に体をぶつけて止めようとすると、バルサはそれをかわすコントロールをするだけの余裕を既に手に入れているから、抜かれるか、あるいはファウルにされてしまうだけ。前半のように体をぶつけるだけでは試合をコントロールできず、十分な落ち着きを得ていた。

それでもバルサも間延びしている印象は強く、低い位置にアンカーを含めて人数をかけて守り、サイドバックは中に絞らせて中央に堅いブロックを作って守ろうとしているのが見ええ、マドリーの攻撃がイグアイン、クリスチアーノ・ロナウド、エジルの三枚でのカウンターに頼っていることもあって、大きく外を使われることは少なくなっていたし、横の変化をペナルティエリアの幅でしかできなくなっていたから、それで十分だった。

バルサは残りの時間を無理な攻めに使わず、パスを出して、引いて受けて、それを繰り返しながら、一定の仕掛けをしてボールを下げる。マドリーのブロックを引き出しながら様子をうかがい、ポゼッションを高めている印象だった。ゴールへ向かっていく勢いは全く足りないが、上手く隙間を見つけようとしているし、反対側まで大きく動かしてドリブルでの仕掛けを誘発するようもなっていて、人数をかけて片側によるマドリーの逆サイドを上手く突いていた。アウェーで二点を取っての引き分けは上出来だったし、第二戦へ向けての流れを作る上では問題なかったように思う。