2011 年 7 月 のアーカイブ

Friendly Match マンチェスター・ユナイテッド対バルセロナ

2011 年 7 月 31 日 日曜日

■Manchester United 2 – 1 FC Barcelona
バルサの出場メンバーは先日のアウディ・カップと大きな変化はありませんでした。
基本的にはアンカーのケイタが下がってセンターバックと距離を保ちつつ、イニエスタが下がって試合を作る。ペドロやアフェライが下がって前後の距離を整えている辺りに、それまでの試合とは違うポジションの柔軟さを感じることができましたし、それに合わせてユナイテッドがラインを押し上げられないように、ビジャがバイタルエリアで受け、残ったもう片方のウイングが相手を引っ張る。このやり方で縦の関係を保ちつつボールを動かしていましたが、ペドロもアフェライも中に集まりやすく、パスの距離が狭まりすぎてマーカーの足に届きやすくなってしまうのがマイナス要素でした。ただ中に複数のコースを用意し、ユナイテッドの守備陣形を絞らせた上で右のジョナタンを使うことが出来ていましたから、中の人数と共に横幅を保って攻撃の幅が狭まるということはなく、最前線を広げて揺さぶれていました。それらが足下のボールを連続しているわけでもありませんでしたし、きっちりとアフェライやビジャが裏へと飛び出し立ての変化も加えられて、イニエスタとチアゴもポジションを上げ、センターバックからフォワードまでをコンパクトに保てていました。

しかし守備はケイタがセンターバックのカバーリングへと下がることが少なく、二枚のセンターバックが二枚のフォワードを相手にしなければならないことも多くありましたし、タッチライン際を多く使われ、ジョナタンの裏を取られる回数の大佐から戻りながらの処理を強いられ、ブスケツが引っ張られていました。
両者とも公式戦ほどの激しさと徹底したものはありませんでしたが、プレッシングを行い、切り替えもスムーズに行っていることで、それほど多くの時間をそれぞれが得られていたわけではありませんでした。バルサは人数を中央にかけていることもあって、攻守の切り替えからプレスをかける際にも有効にその人数が働き囲い込めていましたが、一度それをワンツーで抜けられると常に追いかける関係になってしまい、スピードアップする相手に陣形を整えることが出来ずクロスをペナルティエリア内に入れられてしまいましたし、特にニアへのケアが十分に出来ていませんでした。
失点をした場面はコーナーキックからの流れでしたから、十分な人数と体勢を整える事が出来ませんでしたが、流れの中でも同じような状況になっていたでしょうし、無理にオフサイドを取ろうとすることでしか対応できなかったのは問題のある部分でした。

失点をしてからは、バルサのフォワードがディフェンスラインを引っ張っても効果が現れなくなっていきました。中盤と最後尾に二つのラインを形成したユナイテッドに対し、バルサは相手中盤の背後へ入っていくことが出来ず、バイタルエリアを全く使えていませんでした。カウンターを恐れているかのようにユナイテッドの中盤の前でボールを動かすだけになり、相手に脅威を与えるような動かし方ではなく、例え裏を狙ったとしても、距離が遠くカットされやすく、カットされた後のこぼれ球を拾う体勢も作れていませんでした。その時間帯に使えたのはディフェンダーの外側、ゴールの遠い位置でしかなく、それぞれがサポートを得られず孤立をして、流れが見えないようなボール回しでした。そこから徐々に修正していき、ウイングの中への動きや中盤が上がってくることで、もとのバランスを取り戻せるようになってきましたが、個人の力に頼るところが大きく、アフェライが運ぶ必要がありました。サイドバックとの縦の連携も含めて出来るようになり、いくつかコースができはじめていたんですが、不運なことに負傷退場をしてしまい、後半しばらく経ってもなかなか状況を取り戻すことは出来ませんでした。

後半に入っても状況は好転せず、守備も裏を取られないように距離を取りすぎ、センターバック前を利用されてから裏を使われるなど、相手の得意とする攻撃をいいようにやらせてしまっていました。
ユナイテッドの守備エリアは得点直後に比べると上がっていましたが、バルサは二つのラインが形成する中央のブロックを上手く使えていませんでした。バイタルエリアに入ることがあるものの、サイドに人を集めきった後でようやく使えるだけで多くの時間を必要としました。ウイングがタッチラインに開き続けていることで、相手はマーカーを常にそこへ付け続けていましたから、ゾーンを広げ、隙間を作れていましたが、だからといって利用できているわけではありませんでした。ウイングを中に入れることでサイドバックが上がれるスペースを作れましたが、それはユナイテッドのサイドアタッカーが下がってマークに付くことでサイドバックをフリーにしないよう徹底していましたから崩れる要素は殆どありませんでした。バルサはパスで状況を打開できないことでドリブルを利用した切り崩しを始めていましたが、それを得意とする選手が少なく、イニエスタも試合を動かす必要がありましたから、それをできず効果的には上手く出来ていませんでした。

ビジャが下がってからはカルモナをダイアゴナルに走らせ、外に張り続けて縦のコースを塞がないようになりましたが、それによってポゼッションのバランスが崩れ提示しづらく、ボールを失う場面は増えていましたが、ポジションのズレはユナイテッド側にも現れていて、中央からの崩しが少しずつ見られるようになっていました。
バルサには全体的に疲労の色が濃く、イニエスタもチアゴもそれほど運動量を出さずに縦パスを入れては戻させることに終始していましたが、それまでの変化をもたらそうとする動きによって引っ張られていたユナイテッドは、変化が無くなったことで守備時に足が止まり、集中も失ってしまったようで、チアゴの見事なゴールを許したように見えました。

同点になったことで守りを固めるだけではなくなったユナイテッドによって、プレッシャーが厳しくなり、失う場面が増え、勢いを持った攻撃を抑える必要に迫られるようになっていました。スタミナやスピードの面では、後方の選手を交代したため問題が無く、安定したポゼッションを再開するのは時間の問題のはずでした。しかしブスケツのミス、あるいはケイタの判断ミスから必要のない失点をしてしまい、引き分けで終える準備をし始めていたバルサは予定を狂わされてしまいました。

その後は攻撃の連動性を欠き、飛び出しのこぼれ球を拾おうとすることもなくなり、パスコースが限定され、足が動かなくなっていました。パスカットも狙われているままに実行されて成功される場面が目立つようになりましたし、守備も奪い所を定められず、攻守の切り替えも消耗から遅れてしまっていました。残り時間が少なくなってからは、相手よりも早く反応できてマイボールにする回数が増えていましたが、それだけでしかありませんでした。

Audi Cup 2011 Final バイエルン・ミュンヘン対バルセロナ

2011 年 7 月 28 日 木曜日

■FC Bayern Munchen 0 – 2 FC Barcelona
バイエルンはリベリーとロッベンを怪我で欠いたこともあってか宇佐美が先発出場を果たしたほか、バドシュトゥバー、ラフィーニャを除く全ての選手を入れ替えてきていました。バルサもいくつかメンバー変更を行い、昨季も見られたジョナタンの右サイドバック起用を行いましたし、ソリアーノとビジャの同時起用も試していました。

バイエルンの守備はバルサのディフェンスラインに十分にボールを持たせ、がむしゃらにプレッシャーからミスを誘い、ペースを掴もうとはせず、ハーフウェーラインより後ろにコンパクトな陣形を保っていました。精力的なチェックを行うオリッチもハーフウェーラインを越えるまではシステムを保つことに務めていましたし、ディフェンスラインを一定に保つつつ中央へのプレッシングで相手を押し下げようとする意識が強いようでした。そのため、バルサは中央での縦パスを前向きで受けることが出来ませんでしたが、外に開いて起点を作ることでそれから逃れようとしましたし、プレッシャーを受けることでチアゴはパスを横に出すことに頼らず、自分の力でボールを運ぼうとするなどいい傾向も見られていました。プレッシャーを受ける機会の多かったアンカーのケイタにしてもセンターバックの間に入ることで解消していましたし、バルサにとって大きな障害になっているようには見えませんでした。
ビジャとソリアーノの二人の動き出しも早く、プレスやマークを受けていましたが、二人がポストプレイのために受けに戻る動きを行い、二人とも動き出しが早いため、マークを受け続けることなく、狭いゾーンであっても縦パスを入れ、受けられていました。前を向けるほどの余裕は与えてくれていませんでしたが、縦パスを入れることでディフェンスラインで延々と回し続けるような展開にはなりませんでした。

バイエルンの守備は昨季までのような形の定まらないものではなく、ディフェンシブ・ミッドフィールダーの二人はしっかりとセンターバックの前を塞いでスペースを与えず使わせないようにしていましたし、スペースを埋めるだけではなくしっかりと相手も掴まえていました。左右へ揺さぶられても全体がしっかりと組織の作り直しを積極的に行い、センターバックがサイドにまで引き出されるのを防いぎ、仮に引き出されたとしても、中盤の二人がディフェンスラインに入ることで横に張り出せる守備陣形を作り、対応していました。前後のカバーリングもしっかりしているお陰でセンターバックがチェックにでても穴を空けずに済んでいましたし、コンパクトに保っているお陰でそれらの労力もそれほど必要としているようには思えませんでした。ただゾーンの隙間をドリブルでスピードアップされると追いかける守備になり、ファウルにしやすくしてしまっていましたし、直接ディフェンスラインの裏側へボールを運ばれた際に、カバーリングを優先するあまりディフェンスラインを整えきれずにギャップを利用されてオフサイドを取れずに独走もされかけ、その部分はまだ完成されていないようでした。

バイエルンの守備は確かに改善されていましたが、それをさせてしまったのはバルサの攻撃が緩かったためでしょう。コンパクトで予測も含めてしっかりと寄せてきていましたが、パスコースを探すことにも時間がかかっていましたし、パスを受けてコントロールし、それからパスを出す一連の動きにしても時間を必要とし、ボールタッチの回数がそれぞれ多くなっていました。ポジション修正をする時間を相手に与え、体をぶつけられる要因になっていましたから、ボールを受ける際に前を向ける体勢を整えつつコントロールし、あるいはダイレクトで動かすことが出来ていれば、そういった守備に苦しむ時間帯もなかったのかもしれません。

宇佐美は序盤こそ運動量が少なく目立ちませんでしたが、途中からボールを得てからは、単独でボールを前へ運ぼうとする姿勢を見せていましたし、マークにあっても簡単に下げてしまわないことでチャンスを演出するに至りましたし、スピードアップしたり、ファウルも貰えていました。ただ守備に必要な動きは曖昧で、貢献は限られたものでしたし、ボールの無いところでの動きが緩く、ボールがこぼれてくる可能性や、相手のパスをカットし攻撃に繋げられるかもしれない、という場面でボールへの執着心が見られず、そこがでてくればもっと奥のプレイに絡んで活躍の場を広げられるのかもしれませんが、ボールを持ったときの動きであれば十分に通用をしていました。

後半はバイエルンの方がタッチ数が少なく、スムーズにパスを出せていました。狙いのミスこそあり、繋がらずにカットされることも多くありましたが、バルサの陣形を崩せる揺さぶり方をしていました。バルサは前半中央でのプレッシングで掴まえられていたためか、中央に人数を割かず、両翼を大きく広げて外への大きな展開からの揺さぶりを中心として最後尾から配球をしていました。バイエルンがハーフウェーラインより自陣に待ち構えているのではなく、積極的に出てきてプレッシングをセンターバックやキーパーにもかけてきていることもそういった戦い方をする要因になっていましたし、ディフェンスラインを押し上げられず、パスの距離が伸びたことで、それも効果的に機能し得ているとは言い難く、特に中央は人数の低下によって囲まれやすく、左右に開いても距離が伸びたことでサポートを得づらく、個人での打開を強いられていました。
そういった中でのアフェライの投入はスピードでタッチライン際を駆け上がれましたし、ドリブルを利用していくことも出来、バイエルンが前へ前へと出てきていた守備を後ろ向きにさせる効果がありました。後方に人数を戻らせる事が出来れば、バルサは前線との距離を縮めて再びコンパクトに保てましたし、中央にも孤立をしない程度の人数を送り込めるようになっていきました。それでもソリアーノが退いてからはビジャが一枚で縦パスを収める必要がありましたから、センターバックに背後を捕まれて容易にはプレイさせてもらえず苦しさがありました。

チアゴの見事なゴールもあり、リードを二点と広げたバルサは、メンバーも大きく変えたこともあってその後は上手く試合を動かせず、ミスが増えてシュートを打たれる回数も増えましたが、終わり方としては失点もなく問題のないものでした。守備面の寄せの早さや集中は切らさず、個人技を許す場面は殆ど無いまま、前を向かせることもしませんでした。大きな展開をサイドに入れられたときに問題がありましたが、人数をかけたプレッシングをしている以上仕方のないものでしょう。

Audi Cup 2011 バルセロナ対インテルナシオナル

2011 年 7 月 27 日 水曜日

■FC Barcelona(PK 4-2 Win) 2 – 2 SC Internacional
先日のスプリトではあまりよくなかったチアゴでしたが、この試合のポジションは高く安定をしていました。同時に出場をしていたイニエスタが構築と前へ運ぶ仕事をしてくれていましたし、ケイタがアンカーとして出場しているため守備負担を減らせられたのもその要員かもしれません。リベロラがサイドバックとして出場し、センターバックにブスケツがいて展開力を最後尾に求めることが出来るというのも、チアゴが前へ飛び出してしまえる要因にもなっているようでした。ソリアーノが縦パスを受けて構築するために下がってできるスペースへ飛び出し、フォワードへ入ることも多々ありましたし、ボールを持ってからの仕掛けやパスにしても得点を意識した動きをしていました。ディフェンスラインが高く保たれて前を圧縮できているからこそのプレイではありましたが、ドリブルで前へ運ぶ姿は前の試合ではなかなか見られませんでしたし、サイドバックやウイングに近づき、サポートを十分に用意するのもそうでした。スプリト戦に比べると一列ポジションが上がった印象を受けるほどでしたが、一列下でコントロールするよりも、彼にはこの役割の方が合っているように思えました。

先制以後はインテルナシオナルの縦への鋭い攻撃が出始め、いくつか難しい処理を強いられ始めていました。アンカーのケイタは初期ポジションこそセンターバックの前に立ち、バイタルエリアを利用されないように埋められていましたが、ボールへのアプローチが早く、イニエスタやチアゴに任せずに自身が止めにいってしまうため、センターバック前のスペースを広げてしまうことも多くありました。中央に相手が固執してくれればそれでも十分に守れていたのかもしれませんが、インテルナシオナルはしかkりとサイドを使い、二枚で崩しにかかることもしてきていましたから、アンカーが居ない中央を埋めるために中へディフェンスラインがよってしまう状況では外を利用されやすくなってしまう。サイドバックのリベロラが高いポジションを取っていることもあってブスケツが右へ引っ張られ気味でしたし、バランスとしてはよくありませんでした。
ただ徐々にロングボールでディフェンスラインを押し下げられるものの、ケイタは引っ張り出されず後ろに残って安定をもたらしてくれるようになりましたし、アンカーがしっかりとすることでサイドバックのオーバーラップはより行えるようにならい、マクスウェルが上がり、アフェライをサポートできるようにもなっていました。アフェライはポジションチェンジをして、自由に中へ入れる右に移ってからはプレイにからめるようになりましたし、チアゴとバランスを取って中央で共存できていたように見えました。しかし相手のプレッシングが厳しくなって繋がせてもらえず、余裕を持って扱う時間減ってからはバルサの全体が下がり、ディフェンスラインを押し上げてコンパクトには保てなくなって、最後尾でボールを持たされる時間が増えていました。

後半失点もしてしまいましたが、多くの選手が交代したことが影響しているようでした。ケイタはアンカーのまま出場をしていましたが、前半序盤のように前へと出て抑えにかかるような動きをしてアンカーとしてのポジションを空けてしまっていましたし、途中出場をしたジョナタンが代わりにそこを埋められていれば失点はしなかったのかもしれませんが、アビダルが埋めるかに見えたバイタルエリアを埋めることはせず、失点の要因になっていました。

インテルナシオナルはスピードアップした仕掛けからチャンスを作っていましたが、対照的にバルサは仕掛けの面でスピードアップすることが出来ていませんでした。前線に残るビジャやペドロは起点となる動きをしようとしていましたが、ジェフレンは前の試合と変わらずスピードアップを自分の力でしようとはせず、状況に頼るばかりになってしまっていました。マーカーとの距離が十分にあり、前を向いて仕掛けることで縦へ敵陣深くへ入り込むことも可能でも、それを選択しようとしませんし、中へドリブルで変化をつけて相手の陣形を崩そうともしない。ただ足を止めて受けてパスをその場で戻すだけでしたから、相手を引きつけてタッチライン際まで広げることも出来ませんし、相手を押し戻すことも期待できない。状況が整ったときのみ動きのでは計算しづらく、カルモナがサポートに近づいたり、エスピノサがサポートを十分にしてあげる必要がありました。
エスピノサは下がってから受け、前へ運んで自分も動く、行動範囲の広さは魅力で、十分に次の行動を考えたポジショニングをとってパスを出来ていました。サイドバックのサポートにしても最前線へでる動きにしても良く、イニエスタ二世と呼ばれているのを納得させるクレバーな選手でした。

途中からアンカーへと入ったジョナタンは、前の試合でもそうだったように、フォワードの位置にまで上がって、ビジャが受けに戻るために空けたスペースを上手く利用していました。守備に戻る労力が十分ではなかった場面もありましたが、得点を決めたときにしたようなフォワードのポジションをきっちりと利用する動きはいいものでした。得点以後のアンカーとしては攻撃参加の頻度は少なくなりましたが、ファーストディフェンダーとして遅らせることができているものの、後方を埋める動きに重点を置くことはなく、センターバックが前へ出ることで対処しなければならなくなっていましたが、外へのカバーは十分に出来ていました。

この試合で最も問題があったのはピントで、アビダルがゴールマウスで防いだから直接ゴールを奪われることはありませんでしたが、ピントの足下の技術がお粗末なのはバルサの戦い方をする上では弱点でしかありません。彼が出る試合ではそれに対応できるだけの布陣と状況を常に作り続けなければなりませんし、それに失敗をするとコーナーキックから失点をしたようにセットプレイを取られることでピンチを広げてしまう、あるいは直接奪われて失点に繋げられてしまうかもしれない。足下の技術だけではなく、バルサの広大なディフェンスラインの裏側を埋める飛び出しのスピードや勇敢さも持ち合わせていませんから、カンテラのミーニョやオイエルを起用してみたいところですね。

Friendly Match ハイデュク・スプリト対バルセロナ

2011 年 7 月 27 日 水曜日

■HNK Hajduk Split 0 – 0 FC Barcelona
ジョナタン・ドス・サントスは昨季もアンカーとして試合へ出場していましたが、この試合も啓太に任せず彼がアンカーを担当していました。センターバックからボールを引き出す動きや、前から戻されるものにしても十分にスペースへと動いて受けられる体勢を常に作り続けていましたし、よくボールに絡んでコンディションの良さを感じさせていました。縦へパスを入れたあと自らも向かっていき、ボールの流れを止めないスムーズさを感じさせましたし、高い位置から攻守の切り替えを行うことでファーストディフェンダーとしてのプレイも出来て、アンカーとしての可能性を感じさせるには十分でした。
一列までプレイしたチアゴの出来はよくなく、ジョナタンと比べるにはパスコースの多さが違うために酷ではありましたが、チアゴは横パスやバックパスの割合が多く、相手を横に動かしているものの、その距離は短く細かな修正で済ませられてしまいましたし、自分自身のポジションを取り直すことに終始している印象が強くありました。ビジャも組み立てのために下がってくることはありましたが、チアゴがポジションを下げてより安全なパスを中心にボールを動かそうとしているため、それを使えませんでしたしフォワードとの距離が開いてしまってバイタルエリア内でボールを動かして崩すような変化を加えることが出来ませんでした。ボールをもらいに戻ってくることは悪いことではありませんが、もらった後にパスをし、そこから縦へのスピードアップをするパスとランニングが無いためにサポートに徹しているような印象しか受けず、相手が警戒しなければならないパスも出せていませんでした。
縦の動きに乏しいチアゴをよくジョナタンが追い越し、彼の縦の運動量が試合に変化を与えていることが攻撃のアクセントにはなっており、パスを出した後のランニングへの切り替えも、前で受ける動きにしても十分に効果的で、ビジャを追い越してフォワードのポジションに入ることもありましたし、彼がそういった動きをしなければフォワードとミッドフィールダーが分離をしている状況はよくありませんでした。
チアゴが一列上がれば、前半終了間際にあったドリブルからのシュートのように得点へ絡むことが出来るはずなんですが、実際にそれを出来るようになるまでに多くの時間を必要とし過ぎましたし、それが出来るようになってからは運動量が極端に低下してボールをもらうための動きが雑になって、関与する回数を減らしてしまっていました。動かなくなればスピードアップすることは難しくなりますし、ジョナタンのような縦へ動きの変化を使えれば彼のラストパスの精度やアイデアももっと活かせるようになるのでは、と期待しています。
中に入ってくることの多かったカルモナとの連携も一列高く保っていれば見られたはずでしょうし、左で孤立気味になっていたアフェライにしても、サイドに流れてあげることが出来れば、彼のマークを外して中へのカットインや縦への突破をしやすくできていたのかもしれません。ただアフェライに関してはマークが厳しく中への動きが難しかったとはいえ、ビジャが左へボールを持っていっても、飛び出しを狙うだけでダイアゴナルな動きでディフェンダーの背後を取ろうともしませんでしたし、シュートコースを作るために中へ入っていくこともありませんでしたから、そういった面でもまだまだかなと思わせるプレイもありました。ただロバトのオーバーラップ無く、中へ絞ると左サイドに起点を設けられなかった側面もありましたから、仕方がないのかもしれません。

前後半で全ての選手が入れ替えられたため、別の試合のようになりましたが試合を動かしていたのはイニエスタでした。彼が序盤は特に左サイドでボールに触る回数が多かったため、左からの組み立てが豊富になっていました。前半と違うのは彼がサイドへ流れることでウイングのジェフレンとサイドバックのマクスウェルとの距離を縮め、その三人でボールを回して高い位置に起点を作れる事でした。前半はパスのみを警戒させるに留まっていたチアゴとは違い、イニエスタはボールを持った際にドリブルで持ち上がり、縦以外の斜めの動きとパスを警戒させることでマークを集中させ、他にスペースを作っていましたし、僅かなスペースでもスピードアップして動かせること、そのスピードアップを味方にも促せることでより存在を際立たせて効果的にしていました。
コンビを組んだリベロラも縦への動きの豊富さもあって、ウイングが下がったところへ進出したり、ソリアーノとの距離を縮めて2トップのように並ぶなど、空いていて必要とされているポジションへ入る判断は非常にいいものでした。
フォワードに入ったソリアーノも、受ける動きにしても飛び出すにしても、判断がとても速く、パサーが合わせられればどちらも期待できるタイプのように見えました。個人での突破力を期待することは出来そうにありませんが、味方を上手に使い味方に上手に使われる。その判断の速さがあるから相手のマークを外して前を向けていましたし、裏を取れて余裕を得ていました。
ソリアーノが引き気味に縦パスを収めようとしていたことも影響していましたが、イニエスタとリベロラの二人が前半の二人とは異なり、前との距離を注意深く見て、しっかりと距離を縮めて孤立しないよう努めていましたから、プレイエリアが若干上がり、高い位置で横の連携を得てワンツーで崩そうとする回数も増えて可能性を感じさせるようになっていました。
ただジェフレンは持ち味のスピードを活かした場面もあったものの、イニエスタが近づきマークを引きつけてくれたり、マクスウェルが上がっていくのに合わせてこそスピードを活かせていただけでした。前半から左ウイングは相手の集中した守備もあって厳しいポジションだったとはいえ、ドリブルで相手を引きつけることもなく、縦の突破も狙わず、相手のマークを広げる効果もないままに外へ開き続けてしまっているだけでした。プレイに関与しない範囲でずっとタッチライン際にいる以上、殆ど貢献はなく、ボールを受けてもただバックパスで戻すだけでドリブルを意識づけられていませんでしたから、横パスすら出せず、終盤にペナルティエリア内に入ったことが唯一の変化と呼べるものだったのかもしれません。