怪我でチャンピオンズリーグへの出場すら危ぶまれる報道がなされたメッシですが、その報道の後には練習にも参加していましたし、この試合にも出場をしていました。ただイニエスタやプジョルらは帯同をしませんでしたし、いくつものポジションで選手を温存していました。先発ではフォンタスとモントーヤ、チアゴ・アルカンタラが出場していましたし、ピケ、シャビ、メッシ以外は通常のメンバー構成ではありませんでした。
ケイタがアンカーに入るのかと思えるようなメンバー構成でしたが、実際にアンカーに張ったのはシャビで、慎重なボール回しをするディフェンスラインにポジションを近づけてボールを扱って試合に入っていました。ソシエダはシャビにマークをつけるつもりでいたようで、低く保っていても一定の距離を保とうとしていましたが、アンカーに入っていることでそれも徹底することは出来ず、何度もそこを経由することが出来ました。ただ構成上、モントーヤもフォンタスも攻撃的なサイドバックとしてプレイ出来る選手ではありませんでしたから、シャビを経由してワイドに展開することが出来ても、それだけでしかありませんでした。ウイングへボールを預けている間にサイドバックがオーバーラップをして追い越していられれば、大きく揺さぶるボールが効果的に働いていたのかもしれませんが、ウイングは先日のチャンピオンズリーグの試合のように大きく外に張り出して、中へ相手の守備を集めないようにしているかのようでしたから、サイドバックが上がるためのスペースを用意するどころか蓋をしてしまっていましたし、中との距離を広げてしまっていましたから、ポゼッションに参加することもままならず、ボールを受けてもバックパスを選択することしかできませんでした。
チアゴ・アルカンタラやケイタは徐々にポジションをあげて後方のボール回しから積極的に飛び出して相手のゾーンに変化を与えようと動くようになり、特にケイタが飛び出すことで中央に変化を与え、メッシがそのこぼれ球を狙ったり、引っ張ったディフェンスラインの前を利用できるようになりましたし、前後に伸ばすことでジェフレンがドリブルでカットインを選べるようになり、こちらもメッシとの距離を縮めて変化を与えられるようになっていました。チアゴも徐々にポジションをあげられるようになり、ジェフレンとボールを動かせるようになりましたし、ワイドに広がっただけの攻撃から横へボールを動かして、相手ピボーテの背後に三枚が入る姿も見られるようになりました。
バイタルエリアの利用は効果的にゴールへ迫る形を作れそうでしたが、何度かそこを利用してもウイングが中へ絞って中央の厚みと人数の増加を助けるわけではありませんでしたから、ソシエダはピボーテを下げてスペースを埋めることで簡単にそこを閉じられましたし、警戒をさせて中盤が前へチェックへで来なくなっていきました。バルサはフォアチェックやマークを簡単に外せるようになったことで後方で安定してボールを持てるようになり、ボールの支配率こそ上がっていきましたが、チアゴもケイタも縦にパスコースを得られませんでしたから変化を与えるようなパスを出すことが出来ず、ただボールを動かしているだけ、という時間が長くありました。
モントーヤが怪我をしたことでダニエウ・アウベスが予想外の早さで入らなければならなくなったのは、休ませる上では誤算でした。コンディションや運動量の面でもあまり良くありませんでしたから、この試合の中でもそれほど重要な役割を担えそうでもありませんでした。
メッシの方から左右に流れてウイングの両名と近い位置に動くことでパス交換できるようにし、変化を産み出そうとしていましたし、ジェフレンは自分のランニングでマークを外そうとし、アフェライはケイタの飛び出しに助けられて徐々にマークから解放され始め、ある程度前を向いてボールを扱えるようになっていました。チアゴとシャビが近く保つことで、センターバックに下げずにボールを前へ出せるようになりましたし、左右へ運べるようになりましたが、チアゴにはまだリズムを変える鋭いパスを期待できるほどではなく、慎重さは前を向く姿勢が足りませんでした。
ダニエウ・アウベスが後方にいることでジェフレンが中へ入り気味にプレイするようになりましたし、ソシエダも中盤が見ておくべき相手が増え、バルサも安定した支配率から見ておくべき相手が中央に増えていることで、ソシエダは中へ絞って守らなければならなくなっていました。中盤と最後尾の距離こそ縮めてスペースを消していましたから、中へ切れ込んでも複数を相手にしなければならず、ジェフレンもアフェライも外でボールを受けて仕掛けられるようになったとしても苦労をしていました。特に縦へ仕掛けて相手のディフェンスラインをゴール前へ押し下げようとする姿勢に乏しく、バックパスやマイナス方向のパスを多用していましたから、何度もディフェンスラインを整えて、押し上げさせてしまっていましたし、厚みのある中央にカットされてしまっていました。もっと縦を意識させてしまえば、ドリブル時に中央を切らずに縦を切らなければならず、それが中央に集まっている相手をのゾーンを広げることに繋がるはずなんですが、それはありませんでした。シャビのパスから先制点を得られたことは非常に良く、中盤でボールをもらう動きこそ十分に出来ていたチアゴでしたが、この得点のようなゴールへ直結する動きをしたのは珍しく、それがしっかりと出来、尚かつ得点にまで繋がったのは今後の彼のプレイスタイルにもいい影響を与えるのではないかと期待をしています。
得点から一定のリズムを得て、状況を楽に動かせるようになったことで、ジェフレンとメッシがポジションチェンジをしてみたり、メッシが右に移り、そこから中をイメージしたドリブルをしてみたり、前後に動きつつ連動をしたり、ボールを動かせるようになりましたが、ソシエダがバイタルエリアを閉じていましたから、その手前で展開することが多く、センターバックを引き出せていませんでしたから、パスの交換やドリブルでも切り崩しきる場面は見られず、手詰まりを感じさせていましたが、ソシエダにボールを扱わせていませんでしたから、それでもいいと思える内容でした。
しかし後半開始時からはバルサのボール支配はポゼッションとしても不十分なほど緩んでしまって、ボールを受けるための動き直しが減り、タイミングも遅くスピードも足りなくなってしまっていましたし、ソシエダが引いてスペースを埋めるのではなく、前から奪うために出てくるように変わったことで、二つの要因からバルサには明確に支配することが出来なくなりつつありました。特にセンターバックがスムーズに前へボールを動かせなくなり、焦りを伴った処理をするようになり、シャビがマークを外していましたし、マークを受けていたとしても奪われませんでしたから、そこへ預けてしまえば自由に動かせましたが、後方から前へボールを動かすことに手間取ることでスムーズに攻撃へ移行できなくなってしまいましたし、ウイングへ預けるにしても、それまでであればボールを受けてから対峙する形だったものが、ボールを受けるときにチェックを受けられるようになってしまいましたし、足を出されて奪われるようにもなってしまいました。
ソシエダが前へ向かいながら守備をし、高い位置から奪い返そうとすることで、奪ってからすぐにカウンターをされ、スムーズにそれらをやられるようになりましたし、バルサは緩慢な動きでそれを後ろから追うしかありませんでした。攻守の切り替えも曖昧でしたし、足が止まっている状態で奪われていましたから、守勢に回ったときにどうしても先手を取られ、ドリブルもされましたし、それを見るばかりで背後も取られてしまいました。シャビがきちんとセンターバックが動いた後を埋めてくれていましたから問題を大きくしていませんでしたが、サイドバックが簡単に裏を取られ、センターバックが引き出されてしまっていました。
一度はキーパーにまで戻すことで安全にボールを動かすことでソシエダのチェックに対する意識を削る事が出来ましたが、バルサもどんどんとボールを受けるための動きをしなくなって緩んだ動きしかしませんでしたから、背後へ抜けられてもしっかり追いかけず、スペースを埋めてクロスを未然に防ぐことも出来ていませんでしたし、マーカーが抜かれた後の対応をできる形にもなっていませんでしたから、足を止めた状態のまま全力で向かってくる相手に対応できるわけもなく、ファウルにしてしまい、セットプレイから同点に追いつかれてしまいました。一度リードしたことでペースを落としてしまって、そこから自分たちの形を失い、相手の勢いに押し負けて失点をする。今季に何度も見たミスをこの試合でも繰り返してしまいました。
バルサは同点にされてからようやく動きに緊張感を取り戻してきたかに見えましたが、十分ではありませんでした。同点にい追いついたことで仕切り直しでソシエダが一時的にゾーンを構築してくれたからこそ、そう見えただけで、一度緩んでしまったことでパススピードも不十分でしたし、ポジションの取り直しもまだまだ足りていませんでした。ただ中盤の飛び出しから攻撃に何とか繋げようとしていましたし、ウイングとサイドバックの距離を縮めて連動を目指していましたから、その時間帯に得点を取れていれば立て直せていたかもしれませんでした。実際にフリーキックからガブリエル・ミリートのゴールが認められていれば、そうなったのかもしれませんが、オフサイドの判定を取られたことでリードできませんでした。
メッシを頼んでボールをそこに集めようとしていましたが、本来は温存されるべきコンディションですから、瞬間的にスピードアップすることが出来ず、ドリブルのスピードもキレも本来のものではありませんでしたから、他のパススピードの遅さや、ダイレクトで与える変化、リズムの変化もないことで助けにならず、ゴールに迫ったとしてもそれ以上を彼一人に頼ることは出来ず、守備を引きつけたとしてもアフェライは縦を意識せずに中へ入りすぎていましたから、せっかく相手を引きつけてもそこへ突っ込んでしまっていました。
そして守備陣の気の緩みも問題で、フォアチェックを受け、バルサの選手たちがそれを受けるためのポジションの取り直しに時間がかかるにもかかわらず、後ろで無理に繋ごうとしてしまっていましたし、ピントの足下の技術ではそれも困難だったんですが、それでもしようとしてしまっていました。それが深い位置で奪われることに繋がり、PKを与えることにもつながり、逆転を許してしまいました。
その後もバルサは選手交代を後方の選手たちのために使い切ってしまっていましたから、攻撃にかかる交代が出来ず、変化も与えられませんでした。アフェライは終始ドリブルから戻す、あるいは中へカットインしてスペースのないところへばかり向かってしまっていましたし、右はメッシと絡んだとしてもそこへゾーンを集められていましたからスペースがなく、サイドバックがウイングを追い越していく姿がなかったことに象徴されるように致命的なまでに縦への仕掛けがありませんでした。まるでチャンピオンズリーグ第二戦への予行演習でもしているかのように崩す気迫を感じられない試合でした。
幸運だったのはこの試合で勝ち点を落としたにもかかわらず勝ち点差が縮まらなかったことで、もしかするとこの試合の前にそれが行われていたことでバルサの選手たちに油断が出来ていたからこそ、この試合展開になったのかもしれません。ですが勝ち点が縮まらなかったとしても、リーガの行方が決まっていたとしても、それで仕方ないと出来るほどの内容ではなく、相手がバルサを上回って防ぎようのない敗北ではなく、同じミスの繰り返しでの自滅でしたから、そこだけは何とかしていないといけないと思える試合内容でした。