■Real Madrid 0 – 2 FC Barcelona
バルセロナは怪我人が多く、特に左サイドバックに出場を本職とする選手がいなくなっていましたから、誰が出場するのか懸念されていましたが、プジョルがこの試合に間に合わせたことでここに入り、マスケラーノをセンターバックに入れることでディフェンスラインを構成していました。イニエスタが欠場したポジションにはケイタが入り、ここは順当なものでした。マドリーも出場停止でリカルド・カルバーリョを欠いていましたから、センターバックにはアルビオルとセルヒオ・ラモス、怪我のため離脱したケディラのポジションにはラサナ・ディアラを入れて運動量をより高めていました。
マドリーの中盤はラサナ・ディアラとペペを前に、シャビ・アロンソを三枚の中央で後方に残すような形と言ってもいいようでした。運動量があり、対人線に強い二枚が前でプレッシングをし、積極的に体を寄せて奪いに来ていることでマドリーはディフェンスラインを高く保ちやすく、コンパクト二試合を運ぼうとしていました。特にラサナ・ディアラのチェックは素早く、ファーストディフェンダーとしても機能していましたし、ケイタやチャビなどを的確に捉えて、これまでペペが一人で担っていたような役割を分散することでより強固になっていました。シャビ・アロンソはメッシを主に見ているようで、左右に流れる彼についていくことも多くありましたが、徹底したマンマークではなく、左右へ引っ張られ続けることはありませんでした。
マドリーの中盤に豊富な運動量とフィジカルがあることでボールを運ぶ難しさは変わりませんでした。バルサのディフェンスラインとアンカーには一定の猶予を与えてくれているものの、そこから持ち上がろうとしたr、受けに戻る中盤に対してはしっかりとマークがついていて、チェックも受ける。バルサはフィードでペドロに渡すことでアルベロアの横を使おうとしていましたが、左サイドバックがプジョルで、オーバーラップも控えていましたから、ウイング一枚で勝負しなければならず、サイドバック一枚で対応されてしまっていました。バルサは左だけではなく、右のダニエウ・アウベスにもオーバーラップをさせずに自重させていましたから、左右両方でウイングがタッチライン際に開いて相手のゾーンを広げようとしているかのようにいるばかりでした。ただマルセロもアルベロアも無理にはそこへ開いてゾーンを広げてしまいませんでしたし、バルサのパスコースがそこにしかない以上、タイミングを見計らって寄せるだけで限定できましたから、バルサもそこを起点にして収めようとすることはありませんでした。
バルサがサイドバックをあげて二枚で切り崩しにかかっていないことで、ディ・マリアもそれほど戻りませんでしたし、マドリーのピボーテもディフェンスラインと距離を縮めて二枚で対応するような場面が少なく、中のコースを切りきれずにビジャにカットインを許すなど、バルサは自重することに寄ってできるスペースを利用する目的があったようでした。
バルサは徹底して無理に上がらず、ケイタ、チャビ、メッシに相手のピボーテ三枚のマークを集中させながらも、後方でボールを扱う回数と時間を増やして、効果的ではないパス回しをすることによってフォアチェックの労力を相手に与えて左右へ揺り動かしていました。特に中盤のマークは厳しくフィジカルコンタクトも生まれていましたから、チャビが下がることで相手を引っ張れる状況でしたし、それを利用してブスケツが出てきたピボーテの背後を取る素振りもあり、ゾーンではあるもののマンマーク気味に掴まえようとするそれと、近い距離を保とうとしているからこそ徹底しなければならない守備を、パスを繋ぎ続けることで不徹底にまで持ち込もうとしているようでした。この試合のバルサのパススピードは素早く問題のないもので、カットを狙われるようなものではありませんでしたし、無理に縦へ入れようともしていませんでしたからポイントも絞られなかった。無理にコントロールしようとせず、ダイレクトでも動かしていましたから、徐々に苛立ちを与えていました。特にクリスチアーノ・ロナウドはチェックをパスで逃げられることを露骨に嫌がっていましたから、一人が徹底しなくなれば、そこを中心に動かすことで自由な時間を増やせますし、自由な時間が増えれば、ここまでの二戦よりも自由にポジションチェンジをしているメッシがサイドバックの前であったり、ピボーテの裏、あるいは横にポジションを取れるようになっていく。
マドリーはディフェンスラインを前へ押し出すことが出来ておらず、タッチライン際に開いたウイング高さを合わせていましたから、フォアチェックに労力を傾けているピボーテとの間にはスペースがあり、セルヒオ・ラモスも距離が伸びているために出てこられず、バルサはそこを利用することでスピードアップすることが出来ていました。ただゴールに迫ろうとする気迫や、得点を取るために人数をかけているわけではありませんでしたから、チャビやケイタのボールを触る位置が上がったとしても、相手陣内で推移する時間が増えただけでした。無理にサイドバックらを含めて押し上げないことでスペースを埋めさせないようにして、4枚のディフェンスライン横にサイドアタッカーを戻らせて6枚、そしてピボーテ3枚がその前を埋めてパスもドリブルも出来ない環境を作ってしまわず、引き出しながらプレイしているようでもありました。
徹底して動かすことでダイレクトで離さなければならなかったチャビがコントロールして前を向ける様になってきていましたし、ペペやシャビ・アロンソ、ラサナ・ディアラも徹底してつくのではなく、少し距離を置いてパスを出された後に対処するように姿勢が変わってしまい、メッシの中へスライドするドリブルを許してくれるようになっていましたし、チャビがフォワードの位置にまで飛び出すのを許してくれるようにもなっていました。
セルヒオ・ブスケツに至っては歩いて持てるほどになっていましたし、チャビが戻って受けてもマークは付いておらず余裕になっていました。徹底して付いていけば引き出されること、アンカーらが持ち上がってくるものにチェックすれば背後を取られること、そういった状態が作れるようになっていましたから、背後を取らせてもらってパスやドリブルも出来るようになりましたし、スピードアップも出来る。ただそれを作るためにバルサは間へへ人数をかけず、全体を下げてプレイしていましたから、3トップで勝負してもらわなければならず、数的に依然として不利でしたから崩すのは難しいままでした。
マドリーはそれらとバルサのファウルの要求に苛立っていましたから、バルサがこれまでの試合で苦手としていたセットプレイをクイックに始めて処理をしやすくしてくれましたし、ボールを動かし続けられることで得カウンターに鋭さが無く、それぞれの縦を塞ぐことで抑えられましたし、弱点となっていたファーサイドのケアもプジョルがいることでしっかりと止められていました。
バルサはよりファウルを誘い、カードを審判に出させようとプレイしていましたから、その苛立ちがマドリーのプレイ精度を落とすことに繋がっていましたし、ボールを左右に動かし続けたことで修正の速度が落ち、マークもチェックも不徹底になり、ディフェンスラインもペナルティエリア付近に張り付き、コンパクトに保てなくなっていました。ディ・マリアもエジルも距離が遠く、マークすべき相手が上がってこないことでこれまでのように戻ってこられませんでしたからスペースは依然としてあるままでした。
ただファウルの要求と過剰な倒れ方、それに対する抗議や小さな報復も繰り返されていましたから、ハーフタイムには乱闘じみた状態になり、レッドカードも出てしまいました。
後半開始時にアデバヨールを投入したマドリーは、カウンターには依然として鋭さを出せていませんでしたが、明確なポイントを与えることで、そこにフィードを出させて落とさせていましたし、少ない手数でバルサのセンターバックを慌てさせようとしていました。バルサも狙いを絞って守らなければならなくなっていましたから、他にスペースが空きやすく、クリスチアーノ・ロナウド相手には不徹底になりがちでしたが、プジョルがいることで三枚できっちりと守れましたし、ダニエウ・アウベスも上がっていないことで裏を取られてもすぐにカバーできて問題は大きくなりませんでした。ただペペもそのフィードを落とすべく高い位置を取り、アデバヨールと二枚で高さの勝負を仕掛けることで難しくされてしまいましたが、それはマドリーにとっては守備のコンパクトさを失うことでもあり、マルセロも攻撃に出てこようとしていましたから飛び出しやすい環境を作ってくれていました。ただフォアチェックに勢いと徹底、それと人数が加わったことでバルサが安定して利用できていた最後尾でのボール回しにミスが伴うようになったことのみが不安材料でした。
バルサのポゼッションへの対応はあまりされておらず、マドリーは嫌がってチェックに出てきていましたが、ディフェンスラインは連動してあげられていませんでしたし、ピボーテとセンターバックの高さが曖昧になり、メッシがバイタルエリアで受ける手助けをしてくれていましたし、そこで受けることが出来れば戻りながらの処理をして、チェックとカバーの明確な関係も作り切れていませんでした。メッシはピボーテの背後でボールを受け、前向きでプレイする回数を増やしていましたし、すぐにチェックに来られないことでパスとドリブルの選択肢を得ながらプレイできていました。無尽蔵に動けるかのようなディ・マリアはチェックに出られても、他の選手は消耗が激しく、バルサの縦のスピードに対応できなくなってきていましたから、ゾーンがずれて選手間も距離を保てずばらばらになっていました。
その中でペペが退場になり、モウリーニョも退席処分になったことで一気にマドリーのバランスは崩れてしまいました。ペペがそれまで参加していたフォアチェックにまるで勢いが無くなり、中盤の構成も一枚減ったことでピボーテの横に広大なスペースが存在するようになった。チャビに寄せにくるのはラサナ・ディアラだけになっていましたし、一人だけでは、近くにいるケイタやセルヒオ・ブスケツとの細かなパス交換だけで簡単に外されて追いかけることすらさせてもらえなくなっていました。むしろピボーテの背後に入られるスペースを空けてくれるだけで、ドリブルの持ち上がりに対してもスピードを落とすべく動き選手が少なくなり、ずるずると下がっていくようになっていました。下がってブロックを構築し、待ち構えようとするだけでしたから、バルサは全体を押し上げて連動することすらできるようになっていました。
やはりマドリーにとって致命的になったのはピボーテの横にあるスペースで三枚であれば何とか対応できていましたが、二枚になったことでメッシを掴まえておくにはあまりにも距離を空けすぎてしまうようになり、ドリブルを簡単に許してしまいました。一度は中を切りつつ寄せたことでなんとか守ることが出来ましたが、スピードに乗られてしまったことでセンターバックとは別の動きをしなければなりませんでしたし、サイドバックのマルセロも中へ引っ張られてしまい、アフェライをフリーにしなければならなくなっていました。一度は止められたものの、アフェライの突破からメッシが中で合わせて先制点。
バルサは一枚少ない相手を揺さぶり続け、左右を幅広く保ち、パススピードも落とさず、相手の出てこれないようにタッチライン際いっぱいまで使い、中央を経由してサイドチェンジをする。出てくればその背後を使ってボールを扱い、押し戻す。走って寄せるのが無駄になるように延々とボールを動かす。寄せては外し、戻らせて、戻す。相手を消耗させるための戦い方に専念しているようでした。
消耗して足が止まったところへメッシが仕掛けたドリブルには対応しきれず二点目。
バルサは効果的ではないポゼッションを効果的に動かし続けることによってマドリーに消耗を強い、自重することによってスペースを作りだし、忍耐強く、長いスパンを見てチャンスを得ようとしていたのかもしれません。待ち構えてカウンターを狙うマドリーに、待ち構えるだけでは試合を動かせず、出てくる必要性があることを示しているかのようでもありました。