2011 年 3 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 27. バルセロナ対レアル・サラゴサ

2011 年 3 月 6 日 日曜日

■FC Barcelona 1 – 0 Real Zaragoza
バルセロナは怪我からビクトル・バルデスが復帰し、ピントも無事にベンチ入りしていましたから、出場の可能性が噂されていたミニョの出番はありませんでした。腰を痛めて入院していたグァルディオラ監督もベンチに入っていましたし、不安視されていた部分解消して試合に臨めていました。それに加え、イニエスタやセルヒオ・ブスケツ、ビジャ、アビダルらを休ませてスタートしていましたから、ミッドウィークのチャンピオンズリーグを考慮したメンバー構成になっていたのかもしれません。

立ち上がりのバルサはいくつかパスミスが続き、それほどチェックを受けていたわけでもありませんでしたが、上手くボールを動かせていませんでした。サラゴサは5バックに三人のピボーテをおいていましたから守備に厚みがあり、しかも高く保っていましたから中盤の自由がないかに思えていましたが、高く保ち人数も十分にいるにもかかわらずプレッシングのように連動した守備を行わずにそれぞれの距離を保って、相手に合わせて動くだけでしたから、徐々にバルセロナはパスミスを修正して繋げるようになって、横へ動かしてけるようになりました。前節はウイングがおらず横への展開を苦労していましたが、この試合はしっかりいましたし、サイドバックも高い位置を保っているため、ウイングのボヤンが中へポジションを移しても左側の人数が減って相手をワイドに開かせておけない、という状況にはなりませんでした。バルサがそうやってポジションを動かして高い位置を保てるほどサラゴサが守備面での積極性を持っておらず待ち構えるばかりでしたから、バルサのボールの動きと中央での飛び出しに対応すべくディフェンスラインはすぐに下がってしまい、最終的にはペナルティエリア内にまで簡単に入ってしまうようになり、常に低く押し下げられてしまうようになりました。ドリブルで仕掛けたり飛び出さなくても、中のフリーランだけで押し下げられましたし、足も余りだしてきませんでしたから、メッシのワンツーの連続で中へ入っていく動き求められず、ダニエウ・アウベスにも進入を許していました。

サラゴサはカウンター以外に攻撃方法を見いだせず、高くラインを保てていれば、シナマ=ポンゴルのスピードを活かして直接裏へボールを出して競争させることが出来ていたのかもしれませんが、距離が伸びたことで裏へ出すことが難しく、バルサに前へ人数の増加を許してしまっていましたから、フォアチェックを受けて奪い返されないために早くボールを離す必要があり、シナマ=ポンゴルにポストプレイをしてもらわなければなりませんでした。ただそこにしかポイントがありませんでしたから、一度がぶりエル・ミリートのミスから裏へ抜けられてしまいましたが、そこに狙いを絞って対応できましたから収めさせることも殆どありませんでした。

徐々にサラゴサも一部の選手がシャビらに向かって守備をするようになったものの散発的で、連動したものではなく個人で行っていました。バルサはそのチェックを利用してバイタルエリアに入りたいところでしたが、その動きに対してはきっちりと余っているセンターバックが対応に出てきていましたから自由に使わせてもらえませんでした。ただ中央こそ人数の豊富さで対応していたものの、サイドではまったくサラゴサは対応できておらず、ウイングのランニングに釣られて中に絞りがちになってしまっていましたし、その後上がってくるサイドバックの前を塞ぐことも十分に出来ておらず、距離を空けてしまっていましたから、クロスやパスも許していました。外から中へのコースを限定するように動けていませんでしたから、何度も外から中への動きを許してしまい、その結果としてサイドバックが中へ絞って守らざるを得なくなり、5バックにもかかわらずバルサにサイドを多く利用させていました。

バルサは外から多く崩すことを狙っていましたが、あまりにも多い中の人数を引き出せていませんでしたから、クロスもパスも足を出されて上手く通すことは出来ていませんでしたし、シュートもディフェンダーの足に当ててしまうことも多々ありました。ドリブルをして相手の視線を集めて、背後への集中を切らせたいところでしたが、それを担当できるのはメッシ一人のような状況でしたから、そこで止められてしまうことも多くありましたし、ドリブルと連動して飛び出すような動きをしても、5バックの豊富なセンターバックのいずれかが対応してフリーにもなかなかさせてもらえませんでした。ダニエウ・アウベスが中の足下でボールを受けたがるようになったことで、外へ相手を引き出していけなくなったのも少し問題でしたが、その分ケイタがランニングをしてボールを追い越したり飛び出す、あるいは相手を中へ絞らせてマクスウェルのオーバーラップを助けるランニングをしていたお陰で左右両翼が停滞することはありませんでした。

崩しきる場面こそなかなか作れませんでしたが、バルサのパススピードには問題ありませんでしたし、相手を動かせていましたし、自らも動いてそれぞれの隙間には入れてボールを受けられていました。問題は前を向きながらボールを受けられる動きとパスが足りなかったことでしょうし、バイタルエリア内でそれをして、直接裏へ出せるほど中央でボヤンとそれ以外が連動できていなかったことでしょうか。リズムを変えられるような鋭い縦パスを入れられなかったのも、そこの連携がなかったからでしょうし、ボヤンを中央にポジションチェンジさせてメッシやシャビがポジションをあげても明確な連携は見られませんでした。そのため、ボヤンは縦パスを受ける際にはセンターバック二枚を背負わなければならないことも多く、近くにサポートを得て反転できる状況にもありませんでしたから、カットされてしまうケースも増えて、徐々に利用されなくなってしまいました。

メッシとシャビが上がることで相手のピボーテはそれに引きずられるようにして下がってしまい、より中央に人数を増やすことになってしまっていましたから、崩すチャンスをなかなか得られませんでした。マスケラーノはカウンターの一歩目を抑えていましたし、十分な働きをしていましたから文句はつけられませんが、シャビ、メッシ、ボヤンの縦の関係をもっと厚みを持って行うことが出来れば、ピボーテを多少なりとも引き出して中央にスペースを作れていたのかもしれませんが、ポゼッションの際も横並びでしたし、状況によっては近すぎるなど、十分ではありませんでした。前半終了間際にこそ、メッシのドリブルからケイタがゴールを奪えましたが、相手のプレッシャーの無さとも相まって得点を取るための必死さは感じられない動きでした。

後半はサラゴサを引き出すためにバルサはコントロール位置が低くスタートして、相手のピボーテやサイドバックを引き出そうとして始めたようでしたが、それをサラゴサは追うものの、引き出されるほど積極的に追うわけではなく、ポジションへすぐに戻ってしまうため、結局バルサのポゼッションを高める以外に効果はありませんでした。多少は足を出してボールに奪いにきたり、背後から抑えようとするようになったものの、それほど変化が出ているというほどではありませんでした。ただカウンターの機会の増加には繋がり、二枚が積極的に当たり、選手交代が行われてからは三枚で行われるようになりました。前半は一人を抑えてカバーをしていればよかったため、崩されてしまうような場面は殆ど無かったんですが、後半になってからはセンターバックが同数を相手にしなければならなくなったため、マークとカバーリングの役割分担が出来ませんでした。一度決定的な形を作られてしまったこともあって、より裏へ抜けられないよう慎重にプレイするようになり、それが相手にカウンターの一歩目を収めさせる要因になっていました。その状態はアビダルが投入されるまで続きましたが、それまでの時間帯はマスケラーノが起点となる部分を潰してセンターバックが裏へ抜ける動きをケアすることで何とか対応していましたし、アビダルが投入されてからは、3バックにすることで二枚がマークに付き、一枚を余らせるようにしたことで再び前へ向かって押さえに抱えるようになりましたし、安定をしていきました。

攻撃面ではビジャを投入したことで素早い飛び出しと、バイタルエリアでキープしなくてもそのタイミングで飛び出してくれる彼のお陰で縦パスを入れて一気に裏を使えるようになりましたし、左右へボールを動かしてからでなければ展開できていなかった状況から、サイドを使わなくてもシュートまで持っていけるようになったのは大きな改善でした。その攻撃によって中央を相手に意識させることによって、サイドバックを含めてフリーにし、外を利用することで選手を動かす。相手のゾーンを広げ、クロスへ対応するディフェンダーを減らすことに成功していました。前半から揺さぶり続けた効果もあったでしょうし、サラゴサの足が止まりつつありましたが、ドリブルに対しては相変わらず人数で対応されてしまっていました。バルサも徐々に運動量を落としていましたし、3バックにしたことでサイドを二枚で使えず、それぞれ一人で担当しなければならなくなりましたから、縦へ突破をしてからクロスをいれられず、サポートも遠いことからショートパスを繋げずマイナスのパスか、その場からのクロスしか展開できませんでした。受けに戻る動きにもついてこられるようになって、多少はサラゴサも奪ってからの攻撃を意識しているようでしたが、そのギャップを利用してバルサが飛びだしていければ、追加点を狙えていたのかもしれませんが、縦に入れ替わるような連動もありませんでした。

終了間際になってようやくラインを上げようとしたサラゴサも、その段階になっても5バックから4バックへと変更させようともしませんでしたし、後方は足を止めたままで、前へ出てチェイシングからカウンターへ繋げようとする意識も希薄でしたから、スピードアップも出来ず、目立ったチャンスを作れないまま終わるしかありませんでした。

DFB Pokal Halbfinale バイエルン・ミュンヘン対シャルケ04

2011 年 3 月 3 日 木曜日

■FC Bayern Munchen 0 – 1 FC Schalke 04
試合開始直後のシャルケの守備は非常に停滞していて、中盤に大きなスペースを用意していました。フォアチェックも殆ど無く、予め決められたポジションをただ閉じているだけのようでした。そのためバイエルンは自由にボールを持たせてもらっていましたから、フォワードが裏へ飛び出すタイミングを見計らってプレッシャーのかからない位置からフィードを入れることも出来ていましたし、サイドバックのオーバーラップに合わせてウイングが飛び出すのも利用することが出来ていました。ウイングの飛び出しにはシャルケは神経を使っているようでしたから、ディフェンスラインが裏を取られないように背走しなければならず、全体の間延びとスペースの増加を加速させていました。いくつか裏を使われた後、徐々にボールに対してチェックに行くようになり、シャルケはバイエルンに対して自由を与える時間を減らし始めていました。
バイエルンは最後尾からサイドバックへは簡単にボールを渡せていたものの、そこから先へボールを渡すことがなかなか出来ていませんでした。特にウイングに関してはシャルケがサイドバックと3ボランチの外側とで挟み込むような守備をしていましたから、キープをさせることすらままなりませんでした。これまでの試合と同様にミュラーが左右のボールを引き出す動きがありませんでしたから、ウイングへ預けたところから中へ展開するにはウイングが切れ込む必要があったんですが、中のコースを切られているためミュラーがボールに関与することはなく、ウイングが外へ押し出されるだけでした。
中央もスムーズに言っているとはいいがたく、ルイス・グスタボが中盤に入っていましたが、彼はボールを上手く引き出せていませんでしたし、シュバインシュタイガーも後方を意識しながら終盤を埋めなければならないため高いポジションを取れない。彼がマークを受けていてもルイス・グスタボがサポートをするわけでもありませんでしたし、センターバックからボールを受けるときも、マークに付かれているかの判断すら怪しく簡単に奪われていました。シュバインシュタイガーも軽率なミスをしていましたが、ルイス・グスタボの守備の軽率さも問題で、ファウルをしなくてもいい場面でファウルをし、深い位置でのセットプレイを与えたことが、いくつかの展開の後失点に繋がってしまっていました。

シャルケは攻撃の構築に問題を抱えていて、それほど効果的な展開を作ることが出来ていませんでした。センターバックにボールを持たせると誰も引き出しに戻ってこないのはバイエルンと似ている問題でしたし、そこから展開する先も見当たりませんでした。バイエルンが序盤こそ積極的なフォアチェックによって奪いにでていましたから、奪いに向かうことで出来るマークのズレがパスコースになってシャルケはパスを繋げていましたが、それをバイエルンがしなくなったことで、パスコースを作る必要があったんですが、運動量もそういった動きもありませんでしたから、シャルケの後方は一つ飛ばすようなフィードを出す以外に展開方法を持ちませんでした。
ただバイエルンの守備がその際にボールへ触りやすくしてしまっていたことで、自分たちで難しくしてしまっていました。センターバックの二人は、バイタルエリアに入ったフォワード、ラウールらに対して密着しないことでヘディングをさせないようにするどころか、簡単に胸や足下でコントロールさせて、それを引いてみてるだけでした。セントラル・ミッドフィールダーの二人にしても背後のフォワードを意識しているわけではなく、繋いでくることの少ない中盤にばかり意識を割いていてバイタルエリアを埋めようとしないことでフィードを背後に落とすことに繋げてしまっていました。

シャルケは徐々にフォアチェックをして動きがでるようになっていましたし、バイエルンがしてくるサイドバックとウイングの連携にもしっかりと対処していられるようになりました。それまではサイドバックのオーバーラップとウイングがポジションを下げてボールを受けようとする動きが連動すると、どちらかをフリーにしてしまっていましたが、マークの受け渡しもスムーズになってフリーにしなくなっていました。横のパスで揺さぶられることもありませんでしたし、あったとしてもミュラーを加えて縦の狭いエリアで飛び出しているだけでしたから、密着マークをするのが難しくなく、リベリーに対して内田が密着マークをして自由を与えず、苛立たせるには十分でした。
徐々にルイス・グスタボがセンターバックからボールを引き出していられるようになりましたが、センターバックとルイス・グスタボからボールを引き出そうとする選手がおらず、マリオ・ゴメスもミュラーも相手の裏を狙うばかりで手前でボールを収めることを考えていないようでしたし、ボールホルダーの状況にかかわらず飛び出してしまうため、非常にバランスが悪いままでした。リベリーもサイドに固執するばかりで、飛び出したり足下へボールを要求することはあってもシャルケにとっては引いて守るままで対応できましたから、変化というほどではなく、ロッベンのアーリークロスくらいが前半の変化だったでしょうか。

後半になるとバイエルンはディフェンスラインを高くしてコンパクトに保とうとし始めましたし、ロッベンのアーリークロスへ対応する人数を増やして中央で競り勝てるようにもなってきていました。右のロッベンは中央へポジションを移すことでゴール前へ顔を出したり、フォワードの下に入ってスペースを利用するようになっていました。前半のようにサイドだけで終始する停滞した状況からは改善されましたが、左のリベリーは左に固執してあまり変化を未だ生み出せませんでした。内田の守備範囲から出ようとせず、足下のパスを要求してカットされるのを繰り返しているばかりで、戻って受け、持ち上がろうとする意識もありませんでした。シュバインシュタイガーが左のサポートに多くでることで何とか攻撃に出ようとしたり、右に空けたスペースへラームがオーバーラップしてクロスへ中で合わせたり、中の攻撃もようやく厚みを増してきていましたが、横の変化は左が硬直しているため難しいままでした。

徐々にそのリベリーもロッベン同様に中へのドリブルが出来るようになったのは、シャルケのマークが、前半のようにサイドバックと中盤の二枚で挟み込んで中のコースを切れなくなったことで、シュバインシュタイガーが再三上がって攻撃に絡むようになったこともマークの減少に影響していましたし、ルイス・グスタボが前半とはうって変わってよくなり、前後に動いてボールを引き出して前へ運べるようになっていたことも外のマークの減少に役立っていました。ウイングの中への動きと合わせることで、ようやくパスを逆サイドまで運ぶことも出来るようになっていましたし、横の距離が縮んで変化が出来ていました。
その状況がよくなった段階でルイス・グスタボのポジションを下げたのは残念で、クロースの投入からしばらく間は中盤二人の関係がはっきりとせず、少し停滞してしまいました。ロッベンが中へ入ってくる機会が増えていたことも、二人が中央に上がって行きづらい要因になっていたのかもしれませんが、ロッベンがドリブルで切れ込んだ際のパスコースになれておらず、サポートも出来ず、バックパスを何度もしてしまっていましたから、状況の改善には役立っていませんでした。

試合はバイエルンの猛攻をシャルケがひたすら跳ね返してカウンターを狙うだけになりつつありましたが、バイエルンの右サイドが中へ中へと動いている中、左は一時の改善のみで左に固執し続けて、あとはフィードを当てるだけでした。右のロッベンはドリブルで変化をもたらそうとしていましたし、守備に戻ることで低い位置でボールに触ることでドリブルとパスのコースを幅広く得られましたが、彼一人では状況を変えられず、再びシャルケに二枚で対応されるようにもなったことで中へ入りづらくなってしまいました。ただその分ラームが中に出来るスペースへオーバーラップしてはいるようになりましたし、途中投入されたクローゼが開いてサイドバックの裏を狙うことで、ダイアゴナルな変化が見られるようになりましたが、監督が選択した攻撃方法はヴァン・ブイテンを投入してまでのパワープレイでした。何度かチャンスを作れましたし、シャルケの対応の不明確さによってフリーの選手が出ることもありましたが、ノイアーが再三にわたり素晴らしいセーブを見せたことによってバイエルンは得点することは出来ませんでした。

Liga Espanola Jornadas 26. バレンシア対バルセロナ

2011 年 3 月 3 日 木曜日

■Valencia CF 0 – 1 FC Barcelona
バルセロナは前節の欠場者から出場停止だったダニエウ・アウベスと怪我からシャビが復帰をしたお陰である程度、この試合へのバランスを取り戻していましたが、代わりにペドロを下げて休ませざるを得ませんでしたから、システムを維持することが出来なくなっていました。好材料としてはもう一つ、一時は帯同をも危ぶまれていたグァルディオラ監督も無事にベンチ入りできたことでしょうか。

バレンシアはメンバーの中にストライカーを入れず、スピードとテクニックのある攻撃陣を揃えながら挑んできていました。高いラインと共に行われる積極果敢なプレッシングはアタッカーも全てが手を抜かず行われるために非常に効果的で、素早い攻守の切り替えから奪い返してショートカウンターを狙うなど、持ち味を活かした攻撃になっていました。守備でも全体が前へ向かいすぎてバランスを崩してしまうことがないよう、バルサのディフェンスラインに対して向かいすぎることはなく、縦パスをしっかりと囲い込めるように行っていましたし、フォワードへ収めるボールに関してはセンターバックがでてギャップを作ってしまわないようピボーテが行っていましたから、ピボーテが動きを限定したところで囲い込み奪う。
バレンシアの攻撃ではストライカー不在でしたから、バルサは様子見の様子が強く、積極的に当たりに行っていませんでした。特にセンターバックの前に入られた際に、本来であればピケがマークについて受けさせない、あるいは自由に前を向かせないように抑え込むべきでしたが、スピードで抜けられる恐れがあるためにそれが出来ていませんでしたし、セルヒオ・ブスケツがセンターバックに入っていることでカバーリングにそれほどの期待も出来ないこともあって、前へ出て処理しようとしておらず後方に留まっているためにバイタルエリアを使われがちでした。さらにポジションを押し下げられてしまう要素として、バレンシアのアタッカーがサイドでのプレイを得意とする選手ばかりでしたから、縦に切り崩されてからのクロスを最も警戒しなければならず、序盤はそれでも深く入り込まれてから戻りながらの処理を強いられていましたから、ディフェンスラインを保てず、コーナーキックを相当数与えるほどのクリアしかできませんでした。

メッシには特に集中してマークに付かれてしまっていましたから、バルサは縦パスを収めるポイントを見つけられませんでした。基本形としてアドリアーノを高く保ち3トップに近くしたかったのかもしれませんし、イニエスタが上がることを求めていたのかもしれませんが、それらはどちらもできず2トップとしてプレイしなければなりませんでした。そのためビジャもメッシもマークに苦しめられて、バレンシアには狙いを絞って囲ませてしまいましたし、イニエスタは後方からのボールを受けることや中盤でのプレッシャーに晒されて安定してボールを扱えませんでした。アドリアーノもサイドを度々利用されることからアビダルを中へスライドさせ、左サイドバックの位置やその外側まで戻ることが多く、攻撃の時の選択肢になれませんでした。
時間の経過と共に3バックを基本形とした布陣が固まり、マスケラーノがその手前を埋め、プレッシャーのあるなかでよく処理をし、徐々にダニエウ・アウベスとアドリアーノのポジションをウイングバックに上げて、ボールを渡せるようになってからも、ウイングがいないことで縦へボールを出せずに中へいったん預けなければなりませんでしたから、プレッシャーを中央に強くかけているバレンシアの戦い方とは非常に相性が悪い状態から脱することが出来ませんでした。メッシが外に出ることでプレッシャーから逃れようとしていましたが、コンパクトに保たれていることからスペースがあまりなく、中へのコースを得られませんでした。中へ切れ込みながらのパスにしてもバレンシアの足が常に動いていましたから、パスに対して足を出されるために繋げず、通常のワンツーで抜け出そうとするものに対しても先に触られる。ボールを奪われるとカウンターでそのまま押し下げられてしまうほどフォアチェックが機能しているとは言い難く、寄せてもそれをかわされてしまっていました。

バルサのウイングがおらず、サイドの利用がウイングバックの二人だけの時間が多くありましたから、バレンシアのサイドバックが前へ出てきがちになり、それらが前で押さえようとすることでバレンシアのプレッシングは機能していましたが、徐々に上がった後のスペースへビジャが飛び出すことで、少しだけ攻撃の形が作れるようになってきていました。ただ狭められているセンターバック間での飛び出しではなく、外へ押し出されながら飛び出しているためゴールへ直結させることが難しく、飛び出しからゴールへ迫るときにもメッシくらいしか近くにいませんでしたから選択肢に乏しく、カットされてから奪い返すだけの人材を前へ用意できませんでしたし、厚みのない攻撃をするしかありませんでした。前半の終盤にさしかかってくる頃には、イニエスタやシャビのポジションがフォワードの二人と近づき、マークを押し下げてプレッシングを緩めさせるようになってきていましたし、フォアチェックから何度か奪えるようにもなってきていました。相手を押し下げることで、バレンシアのカウンターに対しても狙いを絞って前へ出られるようになり、バルサが押し下げられる場面は減っていました。そしてボールを奪った後の展開では、複数に囲まれてボールコントロールの瞬間を狙われることが減り、一対一だけで前を向いてスペースを作れるようになりましたし、そうやって中央に人を集めた上でアドリアーノの上がってくるスペースを空けて何度もそこへパスを出せるようになっていました。

後半になるとバレンシアはソルダードを投入しましたが、起点としてそこを使うことが明確になったお陰でバルサとしては掴まえやすく、裏へ抜けるスピードやドリブル、運動量もそれほど多くありませんでしたから、狙いを絞りやすくなっていました。ただフィニッシュの部分で関与されてしまうと非常に危険でしたし、そこへの注意を利用して逆サイドにまでボールを運ばれたり中央に集められた上でサイドを突破されるなどバレンシアとしてもソルダードを入れたお陰で出来るスペースからの攻撃も出来ていました。ダニエウ・アウベスが高いポジションを取り続けていることもあって、その裏を利用しやすくもありましたから、何度かそこからピンチを作られてしまっていました。

バルサは依然としてサイドバックが持った後の展開先を用意できず、バレンシアにコースを塞がれていましたから、スピードアップを全く出来ていませんでした。本来であれば、中にいるシャビやイニエスタに預けてオーバーラップしたいところでしたが、しっかりと中をマークされていましたから出せず、むしろ外に追いやられてバレンシアの狙い通りに進められている印象が強いものでした。ウイングがいないことで最前線こそ中へ絞らせてしまっていましたが、それでも前半よりは縦パスを入れられるようになっていましたし、イニエスタとシャビも高い位置を維持できるようになり、前半途中までとは大きく状態は変わっていました。
ペドロを投入し、システムを通常の4-3-3へと戻すことが出来たことで、より状態は良くなり、流れもバルサに傾いていきました。ボールを奪った一本目のパスをウイングのビジャやペドロへ預けることで、高い位置に起点を設けて相手のプレッシャーのかかる位置から逃れられましたし、そこから中へ預けて中央のメッシから逆サイドまでボールを動かせるようにもなり、前線でのボールの動かしカタッが左右へスムーズに動かせるようになっていきました。下がったマスケラーノもよくプレッシャーの中で下げずに前へ運ぼうとしていましたし奪われる回数も多くありませんでしたが、ワイドな展開を得られる状態でセルヒオ・ブスケツが一枚上がれば、よりボールをスムーズに動かせましたし、シャビとイニエスタとの関係も近く保てましたから、プレッシャーから逃れるのも楽に行えるようになっていました。ウイングとサイドバックもタッチライン際で連携が出来るようになったことで、バレンシアのゾーンを広げて利用できるスペースを増やしましたし、守備に回ったときにもバレンシアの攻撃をサイドに押し込んでスピードを発揮させない。4バックになったことでウイングバックの裏を利用されなくなり、クロスを簡単に入れさせませんでしたし、中央もアビダルのカバーリングがあるお陰でピケが前へ出られましたし、安定していきました。

横に広げることは出来ましたが、課題として縦の厚みが無く、ドリブルやパスで仕掛けられたとしてもあれだけ素早く集中して守っている相手に奪われずにシュートに持っていくことは難しく、どこかで足にかかってしまう。それを中盤が押し上げてフォワードと近く保てていれば奪い返して二次攻撃に出来るんですが、そのこぼれ球を拾えるほど縦に圧縮できず伸びてしまっていました。縮めていられることもありましたが、バレンシアに縦の勢いを削がれて停滞したからその状態になっていることが多く、一度勢いが止まったところからもう一度スピードアップをするのは非常に難しく、崩しづらい時間が続いていました。
ゴールが決まった場面では、アドリアーノのオーバーラップをそのまま利用できたからこその突破でしたし、フォワードとイニエスタが近く保てていたことでバレンシアに狙いを絞らせず、スルーしたボールに触らせなかった。ビジャらも含めて距離が近く、縦への勢いを維持したままプレイしたことでメッシが入ってこられるだけのコースを作り出せたからこそのゴールでしたし、その流れを作り出せたのはマテューの怪我があったからこそかもしれません。

バレンシアは失点後はそれまでのようにプレッシングに勢いを出せず、足が止まりがちで囲い込むのが遅れてファウルになる回数も増えましたし、バルサのポジションチェンジに選手が釣られてスペースを作ってしまうようになってしまいました。選手間を広げて進入する要素を作ってしまったことで、バルサは相手陣内深くで試合を動かせるようにもなりました。
守備ではいくつかバレンシアが中央の選手を投入しましたが、その頃にはバルサが縦をきっちり切って外側を縦に利用させず、中へドリブルをさせることで攻撃のバリエーションを減らしていましたし、サイドバックをウイングが抑えていることで中へマークを引きつけてから外へ再展開もさせませんでした。クロスを選択させないことでセンターバックと中盤はきっちりと前へ向かう守備が出来ていましたし、そこに人数を入れて守ることが出来ていました。奪った後はカウンターで押し下げて連続して攻撃を許しませんでしたし、フォアチェックもしていましたから素早い展開を許さず、バレンシアは飛ばしすぎたこともあってか攻撃に出る勢いも失っていましたから、その後の時間はバルサが上手く時間を稼いで終える事が出来ました。