2011 年 2 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 23. スポルティング・ヒホン対バルセロナ

2011 年 2 月 13 日 日曜日

■Sporting de Gijon 1 – 1 FC Barcelona
バルセロナは代表戦を挟んだ後の試合はコンディションを落とす傾向にありますが、この試合も変わらずスローダウンした状態で試合に入ってしまいました。スローなテンパから足下へのパスを連続させて安定したパスを供給しようとしているようでしたが、ヒホンが特に中央に人数をかけて素早いマークとチェックを基本としていましたから、相手の狙い通りの形を作らせてしまっていました。
バルサは相手の攻撃を受け止めるために押し下げられることもありましたし、そういった際にはフォアチェックをして前へと簡単に出させてもらえず、足下へのフィードを狙われてしまう。バルサが支配しているときには中央のブロックが素早く中の選手へと寄せてコースを限定して横パスを選択させる。中だと囲まれてしまうため、バルサの選手たちはサイドへとポジションを移すことで中のゾーンを外へ引き出そうとしていましたが、中央から外へ逃げるだけでアンカーや逆サイドがスライドして中に出来るスペースを利用しようとするものではありませんでしたから、相手ゾーンの手前からサイドへ、タッチライン際から中へのドリブルといった単発の横の変化はつけられていましたが、連続して横の変化を加えて相手を揺さぶることは出来ていませんでした。そのためプレッシャーに晒される環境から抜け出せませんでしたし、バイタルエリアの利用を進められず安定してパサーがボールを持てないことで裏を使えるチャンスはなかなか得られませんでした。特にメッシとイニエスタがバイタルエリアに入れず、入っても囲まれて受けられないことでヒホンの視線を集めるポイントを作れず、それぞれに集中させてしまいました。

ヒホンは横へと動かしながらもバルサの背後を狙う攻撃が多く、特にパスは徹底していました。競争させるようなフィードもありましたし、アーリークロスで背後を突こうとする場面もありました。バルサの攻守の切り替えもそれなりにありましたが、ディフェンスラインをそれらによって押し下げられてしまっていることや攻撃時に効果的にポゼッションを高められていないことでフォアチェックが機能しづらくかいくぐられてしまっていました。特にサイドバックの背後へボールを出し、センターバックを引き出してしまおうとする意識が強く、マスケラーノが攻撃面での貢献もあって前へポジションを取ろうとしていることもあってセンターバックが背走する場面で埋め切れていなかったこともそれを難しくしていたのかもしれません。それ以外でもセットプレイ時にはファーサイドを狙われ続けながらも対応する選手がおらず、厚みのない逆サイドへ何度もボールを入れられてしまっていました。あるいはドリブルでセンターバックへ向かって仕掛け、足を止めて対応に出てくるところの背後へパスを出したり、とにかくバルサの背後を意識した攻撃をし、対応に苦慮していました。

バルサは裏へ走らされることで前へ人数を溜めることが出来ず、横パスを利用して徐々に進入していくことしかできず、縦パスを入れてスピードアップをするタイミングを得られていませんでした。それを無理にしようとしたところでカットされてカウンターになり、バラルに先制点を決められてしまったのは非常に悪い展開でした。ボールをそこへ集められてドリブルで仕掛けられることも多く、アンカーとセンターバックの間で受けられる、あるいはパスミスから仕掛けられるためにマスケラーノでも追いかける展開にしかできず、センターバックは裏と突破を警戒して下がって対応をしてしまわなければならない。そのため余計にアンカーが埋められないことが増えてしまい、ガブリエル・ミリートが危険なチャレンジをして背後へのパスを止めなければなりませんでした。

バルサのパススピードは時間が経過しても上がらず、それぞれの距離も遠いままでした。パススピードが上がらないピッチであれば選手の距離を縮めることでサポートを得られるようにし、パスの距離を縮めることでカットされにくい状態を作りたいところでしたが、この日のバルサはそれぞれの距離が開いてしまったままボールを受けようとする動きに乏しく、マークに掴まえられたまま足を止めているばかりで、スペースを作ることもパスを呼び込むこともありませんでした。足下へのパスが増えてしまい、囲まれやすく寄せられやすい。サイドバックから中のイニエスタらへの距離が遠く、そこからウイングへの距離もまた遠いままでした。せめて中でキープできる状態でサイドバックをオーバーラップさせ、トップスピードのまま利用できていれば問題も少なかったのかもしれませんが、サイドバックが足を止めた状態でしかパスを渡せていませんでしたから、余計にそれが目立ってしまいました。
ヒホンは先制点を得たことでがむしゃらに向かってこずにブロックを構築してそれぞれを掴まえようとしていましたが、バルサの運動量の無さからそれを容易にしてもらえていましたし、ミスを誘えてもいました。ミスが多くなるとそれを気にして裏へ走っても行けなくなりますし、走らないことでマークが外れず、個人での打開を期待するほかありませんでした。3バック気味にしてサイドバックを押し上げてもそれほど状況を変えられず、パスを出した後も足を止めてしまっていて、パスを出したその足で動き出しておらず、相手を引っ張ってゾーンを動かすこともワンツーを要求することもありませんでした。これだけボールを持っていない選手が動いていなければ、パスの出し手は探すばかりでリズムを作ることは出来そうにありませんでした。

後半開始時の交代としてアフェライが下げられましたが、これは仕方のないものでした。アフェライはバランスを取ろうとする意識が強すぎるためにダニエウ・アウベスと横関係にはならず縦関係で彼の方が後方に位置してしまうことも多くありましたし、中への動きや仕掛けにしても変化を産み出すほど勢いのあるものではありませんでした。パスが足下へこない状態での変化が必要でしたから、それに優れたペドロが投入されるのも納得でした。

後半スタート時から交代とハーフタイムの修正が上手くでたのか、パススピードは物足りないままでしたが、動きに変化は見られていました。ビジャが最初に裏へ飛び出す姿勢を見せ、そこへしっかりとパスが出ましたし、それが二度連続して出来ていました。どちらも裏への飛び出す動きに対してパスを出されていましたから、ボールのないところでの動きによってスムーズに展開できる要素がそこに見えました。中の距離も前半から比べると近くなり、パスを短い距離で動かし続けることでリズムを作り始めていましたし、相手のマークを一人に集中させず、複数を見させることで動かせるようにもなっていました。相手を裏へ引っ張ってくれるビジャの動きのお陰でメッシがドリブルで仕掛けられるようになりましたし、ボールを持っていない選手の動きが活発化したことで、出し手が散々迷いながらパスを出すような様子は見られなくなり、選べるようになっているようでした。
ヒホンはその状況に対応しなければならなくなったため、中へと動きに合わせて守ろうとしたことで外が空きやすく揺り動かされてしまうようになっていました。横と後ろへと運動量を使わなければならず、パスカットにはでられなくなってきましたし、ドリブルにも下がってしまうようにもなったことでカウンターにもでられなくなってきていました。そうなるとバルサは全体を押し上げて前へ人数をかけ続けていられましたから、攻守の切り替えもスムーズに出来てフォアチェックから奪い返せるようにもなり、パススピードも上がっていきました。
ただバイタルエリアをもっと多く使えればよかったんですが、そこをきっちりと閉じられていたことでメッシは多くのマークを受け続けましたし、バイタルエリアを横断するようなパスもドリブルも見られませんでした。

同サイドで近く保ってボールを動かし続けることが中心となって、マークを受けて難しさもありましたが、バルサは外から中への有効な展開先を見つけられず、中のパスコースは特に切られていましたから、縦への仕掛けが中心となっていました。ヒホンはペナルティエリア横へ入られるのは許しているようでしたが、そこからのクロスやパスに対しては二枚が常に対応して集中して防いでいましたからなかなか得点のチャンスには結びつきませんでした。投入されたケイタはクロスや流れの中でも効果的に強さを発揮するようなポジションは取れていませんでしたし、流れの中でピケが上がってくるほどの意表を突けるわけでもなく難しさがありました。もっとイニエスタがミスをせず、体を寄せられても交わせるほどサイドで起点が作れていればよかったんですが、この試合通じて彼のミスが多く、状態は思わしくありませんでした。

そこの交代の前に同点にできたのは非常に大きなものでした。メッシは中央で何度も体をぶつけられてボールを失っていましたが、得点の場面ではようやく失わずに持てましたし、ビジャはきっちりとそれを見てパスを引き出すために飛び出していました。ビジャがボールを引き出す動きをしたからこそのゴールでしょうし、最初から予測していたからこそクエージャルの飛び出しに対応してループシュートを打てたのかもしれません。

その後、イニエスタに代わって入ったボヤンが2トップに近いポジションを取り、裏へ抜ける動きを意識させるビジャが相手のセンターバックを引きつけ、ボヤンが戻りながらバイタルエリアを利用していくことでギャップを作り出せているようでしたが、同点に追いついてからは運動量が落ちてしまっていましたから、サイドバックから中へのパスコースを再び用意できず、それぞれが足止めて、パスを呼び込む動きも減ってしまい、逆転できるだけの流れは作り出せませんでした。

Bundesliga 21. Spieltag ケルン対バイエルン・ミュンヘン

2011 年 2 月 6 日 日曜日

■1.FC Koln 3 – 2 FC Bayern Munchen
バイエルンはロッベンが再び出られなくなってしまったことで、人材的に苦しくなってしまいました。まだアルティントップは出場できますし、リベリーもベンチに戻ってきたことで一通り選手は揃っていますが、ここまでの試合ではロッベンの存在が他の動きや展開の停滞をカバーしているところがありましたから、彼がいなくなると攻撃がスムーズに出来るのか、誰が変化をつけるのかを考えたときに、それが出来る人材がいないのではないかと不安になってしまいます。

ケルンが狙って来ているのは特に左サイドバックの裏側にあるスペースで、プラニッチが担当していたときも、緩さから自由に使われてしまうこともありましたが、ルイス・グスタボがここへ入ってからはプラニッチよりも守備面で粘り強さがありませんし、背走するときの対応が甘く体を寄せられてもいないことが多く、スタート時は特にタッチライン際や裏を利用されていましたが、バドシュトゥバーが左に張り出す形を取ったことでそこの利用はすぐになくなりました。
ケルンの攻撃にスムーズさや繋ぎの確実さがあるわけではありませんでしたが、全体が前へ向かっていこうとする意識が強く、守備でも積極的に前へ出て行くことでフォアチェックになり、バイエルンの各選手を掴まえて長い距離の縦パスも背後から掴まえてしまっていましたから、攻守の切り替えから攻撃に出ようとする意識に繋がっていました。ただケルンの方も長い縦パスやフィードをフォワードに当てて戻し、その間に中盤の選手が追い越し、それに縦パスをもう一度預けるというような、縦の連動による攻撃でしたし、距離も開き気味でしたからバイエルンはボールが移動している間に掴まえてしまえましたから、自由にはさせていませんでした。センターバックに対してもプレッシャーを連動して書けていることでフィードも連続して出させていませんでしたから、ケルンはオーバーラップのタイミングを逃して繋がらずにミスになる姿が見られていました。

バイエルンにとって幸運だったのは、カウンターから抜け出したノバコビッチをバドシュトゥバーが倒してしまったにもかかわらずイエローカードで済んだことでしょうか。倒さなければキーパーと一対一になっている状況でしたし、右にもう一枚が余っていましたから明らかな得点機でした。故意に倒しているわけではありませんでしたが、それでも審判によっては決定的な場面の阻止でレッドカードを出されていたかもしれませんから、早い時間に数的不利にならず失点もせずに済んだことは幸運でした。そして直後にアーリークロスからマリオ・ゴメスが先制点を決めたことを考えると、審判の判断が大きく試合を動かしたといってもいいのかもしれません。

ケルンはその失点に気落ちすることなく攻撃を続けて、それまでよりも積極的になったようでした。ディフェンスラインは非常に高くハーフウェー付近を維持してマリオ・ゴメスやシュバインシュタイガーに出されるボールを跳ね返していましたし、サイドバックが積極的にオーバーラップを仕掛けていく姿も見られましたしプレッシングもしていました。ただバイエルンのプレッシャーを受けて、テクニックがあるとは言えないセンターバックは大きく引いた位置でボールを扱いたがってしまい、守備時よりもボールを保持しているときにラインが下がる傾向が強かったのが残念で、そのため、間延びしてしまって縦パスを奪われやすくなっていたり、守勢に回ったときにディフェンスラインの前にあるスペースを利用されて、最後尾の少ない枚数で対処しなければならなくなってしまっていました。

バイエルンはロッベンが出場していないことで、シュートパスだけの展開になり、変化がつけられなくなるのではないかと思っていましたが、代わりに出場しているアルティントップが始めこそ積極的に仕掛ける姿勢を見せていましたが、ドリブルが変化をつけたりスピードアップをする手段になっておらず、フィジカルコンタクトを避けるために動かしているだけでしか利用されいませんでした。相手が積極的にゾーンを動かしてコースをふさぎに来ていたとはいえ、それをさらに揺り動かすほどの効果はありませんでしたし、自陣深くまで戻ってからワンツーを使いつつスピードに乗る場面も見られず、飛び出しやオーバーラップは停滞したキープに合わせてサイドバックが追い越していくくらいでした。コースを塞がれなければそれを利用して相手を押し下げることが出来ましたが、パスでもドリブルでも相手を押し下げられないことで陣形を崩せず、体を寄せられてしまっていましたから、フィードやサイドチェンジで逃れようとしていました。ただそれもケルンが中央に絞って守っているとか、ゾーンを方がに寄せなければならないほどバイエルンがサイドに脅威を作っているわけでもありませんでしたから、徐々にそれも出来ないほど幅広くゾーンを保ったまま守られてしまうようになりました。ファウルの多さだけがケルンのいただけない部分でしたが、一人一人がきっちり集中して相手を掴まえているからこそゾーンを崩さずに守れ、状態を維持できているいい守りでした。カウンターの処理をミスしてしまい、アルティントップにゴールを決められさえしなければ、攻撃面でも縦の長い連携だけでなく横のパスで徐々に相手陣内に入っていけるようにもなっていましたから、後半に向けていい終わり方が出来ていたのかもしれません。欲を言えば、レンジンクが止めておくべきシュートでした。

後半もケルンは縦の勢いこそあるんですが、ディフェンスラインの背後を突くラストパスや、得点に直結するタイミングのパスの精度が高くなく、バイタルエリアを埋められていたことでコースを消されてしまってラストパスを難しくさせていました。バイエルンの寄せが積極的なことも鋭いフィードを出せない要因にもなっていて崩す難しさにも繋がっていましたが、相手の勢いを止めるほどではありませんでしたし、前半に比べると選手同士の距離は縮まって、縦の長いパスに頼らなくてもサイドバックを含めた横の展開が出来ていましたし、サイドが高い位置を保っていることでサイドバックのオーバーラップを減らしてもいました。一点を返せた場面では、ラームはそれについていなければなりませんでしたし、さらに背後を使う動きをしたことでティモシュチュクもカバーのために右サイドへでなければならなかった。バドシュトゥバーもスライドして右に移らなければならなくなったことでスペースが出来、ようやく飛び出しを実らせるだけのスペースを作ることが出来ました。

バイエルンはケルンの攻撃が横パスによって構築され始めたことで、それを気にしなければならなくなりフォアチェックで体を寄せて縦の限定から連動してプレッシングをして奪ってしまえなくなり、むしろケルンが前半からしていた縦のドリブルを許してしまうようになってしまいました。横パスを警戒して縦に侵入され裏へ出される。同点に追いつかれる原因になったコーナーキックはそれによって得られましたし、失点事態は多少の偶然が重なったとはいえ、左右に揺り動かされて対応しきれませんでした。

二点差を一気に追いつかれてしまったことでバイエルンは焦りにも似た攻撃をするようになり、パスミスが増え、相手の陣形を崩すことよりもパスでクイックに展開したがってしまいましたし、守備も無理に前で抑えるために出てしまうようになってギャップを作り始めていました。フィジカルコンタクトの苛立ちもあったのかもしれませんが、ボールを動かして反対側を見ていられた部分もなく、後方からの追い越しも直線的で対応されてついて行かれていましたし、ドリブルもない。簡単に追い越してゴールに近づこうとした結果、ポゼッションのために戻す場所を失って前へ向かうしか無くしてしまいましたから、余計に自ら選択肢を削ってしまいましたし、攻守の切り替えで連動したプレッシングにもならなくなっていました。途中投入されたリベリがドリブルで多少仕掛けていく場面も見られましたが、中央からゴール前を狙っただけでしたから、センターバックは横へ揺さぶられることなくきっちりと相手を見て対応して防げましたし、もう一つ外側に選択肢を用意できていませんでしたから、他を気にする必要もりませんでした。チャンスがあったとすれば、カウンターからサイドのミュラーが駆け上がり、中のマリオ・ゴメスやリベリーへのパスを出してスピードに乗ったまま横の変化を加える事が出来ていたくらいでしょうか。

三点目が決まった場面では、フィードの対応をセンターバックが無理に出てし続けていたことの影響が出てしまい、セットプレイ後のフィードでしたから、セントラル・ミッドフィールダーがせっかく対応できる状態にあったにもかかわらずティモシュチュクが不用意にでてしまい、自分がマークすべきノバコビッチをフリーにしてしまった。通常の縦パスにもこのギャップの作り方を多くしてしまっていましたから、狙われていても仕方が無く、縦関係を作られたときのセンターバックの動きとしても二人共が不十分でした。

バイエルンはサイドバックも押し上げてワイドな攻撃を連続してするようになり、クロスも送り込み続けていましたが、ワイドな展開からのクロスを意識しすぎるあまり、横への展開へ絞られるばかりで、縦をなかなか意識させられませんでした。リベリーが裏へ飛び出したり、引いて守るセンターバックと、クロスを防ぎに出てくる選手の隙間、ペナルティエリア横への飛び出しは何度もしていましたし、そこからの鋭いクロスは効果的にゴール前まで起こり込めていました。徐々にアーリークロスから跳ね返されてカウンターで押し下げられてそれも利用できなくなりましたし、運動量が落ちてくる時間帯ではバリエーションに乏しく狙いを絞らせがち、惜しいボールがいくつもありましたが、ピンポイントで合わせなければゴールにならないものばかりで、引いて守られてしまったときの厚みや選択肢の少なさは致命的なほどで、シュバインシュタイガーが引いて展開しなければ横へ振り分けることも出来ませんでしたし、シーズン序盤もヴァン・ブイテンを上げてのパワープレイで何とか勝ち点を拾ったり勝ちを得た試合もありましたから、やはりロッベンの不在は大きく響いたのかもしれません。

Liga Espanola Jornadas 22. バルセロナ対アトレチコ・マドリー

2011 年 2 月 6 日 日曜日

■FC Barcelona 3 – 0 Atletico Madrid
アトレチコ・マドリーはこの試合に臨むに当たって不調のフォルランを下げてメリダを先発起用して4-4-1-1のようなシステムへと変更をしていました。最後尾と中盤に二つのフラットなラインを形成して、それらが距離を縮めてスペースを与えないようにしながらも二枚のアタッカーでプレッシャーをかけようとする守備的な意識が現れていました。ただコンパクトに保たれたセンターバックとピボーテの間をバルサは利用しようとはしておらず、ミッドフィールダーとフォワードの間にあるスペースへとシャビやイニエスタを下げて利用を進めていくことで試合を動かそうとしていました。そのためアトレチコは二枚のラインを動かせないまま待ち構えるのみに留まり、アタッカー二枚がプレッシャーをかけるだけになってしまいました。そのプレッシャーも相手の背後からかけるだけでしたから奪いきることもコースの限定にもなかなかなりませんでしたから、バルサにとっては自由なエリアになっていました。
アトレチコは自分たちの手前でボールを動かされてしまっていることから、そこから出されるであろう縦パスには警戒をして、中に入っているペドロやメッシに対して背後からきっちりと掴まえて自由を与えず受けさせないようにしているものの、バルサはそこへ縦パスを出してパスカットをされるようなことはしませんでしたし、そこをポストにも使っていませんでした。積極的に短いパスを出してパスカットを狙わせませんでしたし、その間に一つ手前にいたイニエスタやシャビがフォワードが押し下げて空けたり、ボールを奪いに出てくるピボーテの裏側へはいってボールを受けてしまう。特にイニエスタが盛んにその動きを行っていて、ビジャやメッシと連携しながらバイタルエリアには行って裏へパスを出していましたし、フォワードも裏への動き出して勝負を仕掛ける回数も多く、センターバックを前への処理に専念させないことでバイタルエリアへ進入した選手に対応に出させていませんでした。ボールを受けるポイントも中央だけに絞らず、サイドでのキープや仕掛けから相手ピボーテをサイドへ引き出して全体のゾーンを外側へスライドさせてしまっていましたし、フォワードもセンターバックに自ら引っ付くことで、パウロ・アスンソンとティアゴの二人のピボーテを宙ぶらりんにして役割を与えさせないことでコントロールしているようでした。
ゴールを奪えた場面も、ランニングをダイアゴナルに中央からサイドへ行ったことで中のゾーンが外へ引き出されてしまいましたし、ボールを持ったメッシがサイドにいたこともそれを助けていました。それ以前から行われていたようにピボーテに役割を与えずフリーにさせていることから中央を埋めておく意識を薄れさせて外へ誘い出せたことで、全体がサイドへ引っ張り出されてメッシのドリブルとシュートのコースを作れていました。
その後もバルサは右はダニエウ・アウベスが絞り気味で横に動かして視線を動かして縦の飛び出しを誘発させていましたし、左はビジャの外をマクスウェルがオーバーラップすることで引きつけて中への切れ込みからシュートできる要素に繋がっていました。それらも高いディフェンスラインからコンパクトに保てているからこそでもありましたし、相手が閉じる手前のスペースからキープし続けていられるからこそでもありました。

アトレチコはアグエロとメリダが起点となって高いディフェンスラインの裏を狙っている部分と、フィードや縦パスでその手前で競って起点にしようとする縦関係での攻め方をメインにしていましたが、バルサは背後へのボールに関してはオフサイドを取りに動き、ビクトル・バルデスも連動して飛び出してクリアできていましたし、アビダルのスピードで競争になっても大きく負けてしまうことはありませんでした。手前で受けられるものに関してはきっちりとマークをして自由にコントロールさせず、サポートを得て抑えられていましたから問題になるほどではありませんでした。
失点以後はアトレチコがブロックの構築にのみ動いていたのが向かってくるようにもなり、特に引いてバイタルエリアを埋めておく存在だったピボーテのパウロ・アスンソンがどんどん出ることで変化が生まれて来つつありました。バルサはそこの利用をせずに宙ぶらりんにさせていましたから積極的に上がってプレッシャーを与えに来る余裕を持たせてしまっていましたが、特にシャビに対するそのプレッシャーは背後にスペースを作ることに繋がり、メッシが特にパウロ・アスンソンの背後にはいって受けられるようにしてしまいましたし、センターバックがそこのケアに向かおうとすればペドロやビジャがギャップを利用して飛び出そうとするため、彼らとしては難しくしてしまっていました。センターバックは背後を気にして厳しく当たれず、それがバイタルエリアを使わせる要因になり、元々は裏のケアの為にセンターバックがでられなかったはずがバイタルエリアを使われることでそこに視線を向けられてしまい飛び出す選手を見ていられなくなり、裏を使われることに繋がりました。

ただアスンソンが守備を行うために前へ出て行くことは、そのまま攻撃に回られたときの人数の増加に繋がるわけで、勢いを多少もたらす結果になっていましたが、それ以外のメリダにしろフェリペ・ルイスにしろ、プレッシャーを与えるために人に向かうようになったとしてもファウルで試合が止まってしまっていましたから、一気にカウンターをすることにまでは繋がらず、それほど大きな影響にはなっていませんでした。アトレチコはバルサがフォアチェックに来る裏側、中盤の背後へボールを出して攻撃に出ようとしていましたが、バルサはバランスを取って一枚が必ずそこのエリアを埋めていましたから簡単には繋がせていませんでしたし、センターバックのマークも緩んでいませんでした。唯一ペナルティエリア付近でアグエロへ預けられて彼の体の強さやスピード、技術によってシュートまで強引に持っていかれそうになることのみが危険なプレイでした。ただ彼へサポートがあるわけでもありませんでしたから、そこへマークを集中させて満足に体勢を整えさせないことで防げていましたし、アグエロのサイドの突破にしてもクロスを許したとしても中へ人が誰もいませんでしたから、失点のピンチというほどの危険ではありませんでした。

後半にフォルランが入ったことで攻撃のスイッチを入れたようにアトレチコが攻撃に出るようになってからは、注意しなければならない場面は増えていました。サイドのレジェスのポジションがフラットなラインを作るために下がり続けていたものから、攻撃に出られるよう一枚あげたポジションになっていましたし、ピボーテのアスンソンは継続して積極的でした。二枚のフォワードが近い距離で連動することからセンターバックがあげきれず、その手前で触られず、ボールを持たれてしまう回数も増え、前半に比べて人数の多い攻撃を受けることになりました。フォワードが収めることが出来ればティアゴもしっかりと出てきていましたし、前半はフォワードとミッドフィールダーの間に入ってボールを受けていたシャビやイニエスタに対してもきっちりとついて防ごうとする意識が見られるようになり、バルサはコンパクトに保てていた縦の距離を伸ばされてしまい、変化をつけにくくなってしまいました。ただペドロを中へ入れたりメッシに入らせたり、シャビとイニエスタが縦関係に近く距離を縮めたままパスを動かしていくことで出てこられなくさせると同時にバイタルエリアの利用を進めることで改善していきましたし、レジェスのポジションが上がったことで相手ピボーテの横にスペースが空きやすくなっていましたから、そこへ入ってボールを受けてしまっていました。

ただ前半のような一方的な展開は望めなくなっていましたから、カウンターを狙うアトレチコに対してバルサはフォアチェックと共にきちんと戻って守備をすることで何とか防いでいました。アトレチコは中へ起点を設けられるようになっていましたから、最初の段階で中央に預けてバルサの守備を絞らせ、その後に外でアグエロやレジェスを活かして中へクロスを送り込む。あるいは外から中へドリブルをする動きとセットに一枚が外へ流れることで同じように外の利用をしてきていました。フォルランも入りましたしピボーテも上がってきていたことで、バルサは中へ人数を割いて守らなければならず、外へオープンスペースを作ってしまっていましたから、抑えるポイントを絞れず押し上げも許していました。ただ今のアトレチコの攻撃には迫力が無く、どこか得点を取るための必死さや体を張る意識が見えませんでしたから、バルサの守備を慌てさせるほどの勢いにも変化にもなりませんでしたから、失点の可能性は何度もあったとはいえ守り切れていました。

疲労からかバルサのペースも落ちて繋ぎの部分でもミスが増えていましたし、ディフェンスラインを下げさせられてしまい、サイドバックが攻撃参加しづらい環境を作られてしまったこともあってサイドバックが上がって来られず、ワイドな選択しよう用意できないまま、中央でボールを受けてそのまま中央の裏を狙うような、相手のセンターバックに狙いを絞られやすい攻め方を続けてしまっていました。ポジションもパスを際に動かさずにスペースへ入る動きも少なくなり、フォアチェックにこそ全体の足は動いていましたが、止まりつつボールを処理することも多く、それが足下へのパスの増加になって動きとパスのギャップが出来た時に修正できなくなっている要因でした。パスコースを塞がれていたとしてもそのコース以外の選択肢を味方が用意してくれなくなっていましたから、アトレチコに流れを持っていかれても仕方のない状態でした。

ただペースの遅さや足も動いていませんでしたが、相手の足も同じように止まってきていましたから、キープは注意深く修正してからは出来るように戻りましたし、アトレチコもペースを上げて裏やサイドの利用を続けられず、フォアチェックも完全には出来ませんでしたから、アグエロを筆頭に動きは明らかに落ちていました。アトレチコの運動量が落ちて裏へ抜けられる心配が減るとバルサはディフェンスラインを再び高く出来るようになり、サイドバックがオーバーラップを出来る距離になっていきました。それまでは中から中への選択しかできずに防がれてしまっていましたが、外への選択肢が増えたことで、再びバルサはワイドに使えるようになり、アトレチコに狙いを絞らせなくなりました。外から中への距離も縮めてパスを繋いで交換できるようになっていましたし、流石に運動量が落ちたことから鋭い崩しはなくなったものの、パスを繋いで相手の足を止めさせていました。そうやって相手の意識を手前で回されるパスに集中させておいてからスピードアップした三点目は見事でした。

選手の交代の細かな隙から、集中し切れていなかったり、動き切れておらず、シュートを打たれたり、ペナルティエリア内でボールを持たれても寄せられず、コースも塞ぎきれなかったり、失点をする可能性があったのは、選手交代直後の時間帯で、特に問題のありましたが、幸運にも失点せずに済んだお陰でばたつかずに終わることが出来ました。最後は守備の集中を取り戻しましたし、ボールをキープすることで相手に攻撃のチャンスを与えませんでした。交代した選手に見せ場が殆ど無かったのは勿体なかったとは思いますが、失点して終えるよりはいいはずでしたから、仕方ない終わり方でした。

Copa del Rey Semi Final 2ndLeg アルメリア対バルセロナ

2011 年 2 月 3 日 木曜日

■UD Almeria 0 – 3 FC Barcelona
直後のリーガでは天敵とも呼べるアトレチコ・マドリーが相手ですし、チャンピオンズリーグも始まることからか、準々決勝のベティス戦のように一定のメンバーを残すのではなく、特に攻撃陣をベンチに残していましたが、メンバーを大きく変更して臨んでいました。

セルヒオ・ブスケツをセンターバックとして起用して、プレッシャーのある中よりも下がってボールを処理しようとするマスケラーノの部分をケアしようとしているようでしたが、その部分がボールを触る機会はそれほど多くなく、アフェライが下がってバランスを取ったりボヤンがサイドバックの裏を積極的に伺うことで比較的前のエリアで展開できていましたし、サイドバックを含めてサイドへ大きく振り分けることや、攻守の切り替えから高い位置で奪い返すことで相手陣内で試合を動かし続けていました。飛び出しや相手の背後を意識したプレイをボヤンがしていることで、効果的に相手のスペースを利用できていましたから、ここまでのような不調さを強く感じさせることはなく、足下のボールからドリブルを仕掛けるノリートと、少し引き気味で強引な突破よりもパスで活かそうとする印象のアフェライが中央。フォワードの三枚が同じ狙いの動きをしてしまわないことで、最前線に変化が生まれ、ケイタの再三にわたる飛び出しも含め、相手に狙いを絞らせていませんでした。

アルメリアの攻撃はフィードに頼ることが多く、そうでなくともゴイトムのパワーに頼る部分が大でした。ブスケツの起用は展開というよりもここの高さを期待してのものでもあるようで、フィードに対しては彼が競り合うことを考えているようでしたが、マンマークで処理しようというのではなく、左に流れた場合にはガブリエル・ミリートが処理することになっていましたから、その部分では競り負けて不安定なカバーリングをしなければならなくなっていましたが、アルメリアはわざと中央でゴイトムに競らせるのを避けているように左右にポジションを動かせて起点にしようとしていました。浮き球は何度も落とされてしまっていましたから、中盤がそれを拾うために上がってきていて、バルサは戻りながらの処理を強いられていましたが、マスケラーノがセンターバック前のスペースはきっちりと埋めてケアしているお陰でスピードに乗ったまま拾われて突破されるような状態にはありませんでした。ただサイドで一度キープされた後に中央へ上げられてしまうとセンターバックが対応できずにアドリアーノやダニエウ・アウベスが処理をしなければならなかくされていましたから、その外側からもう一枚が上がってきていれば拾われてシュートまで持っていかれることもあり、多少危険だと思える部分もありましたが、殆どは上手く両センターバックが防いでキープをさせなかったことで満足に攻撃をさせていませんでした。

チアゴ・アルカンタラは意識的にポジションを下げてボールをセンターバックから引き出そうとする場面が度々見られましたし、前線の流動的な動きに合わせて上がっていくことこそありましたが、相手のマークを考えていたり、守備のバランスを取るなど多くは引き気味に推移していましたし、攻撃時に流れをスムーズにするように考えているようでした。しかしボールに多く触ることが出来ずに逆にマークされて不安定な動きになってしまったり、パスやドリブルの見せ場もあまり作れていませんでしたし、不用意なミスからボールを失う回数も多くありました。彼が動くことで出来るスペースを上手くボヤンが下がって利用していましたから、一番マークを受けるポジションだったことを考えれば、効果的に相手を引きつけていたとも言えるのかもしれません。中央でアフェライとチアゴが下がっていることで全体のバランスは取れていましたから、サイドバックは高く上がって、特にアドリアーノは何度もクロスを入れられていましたし、それがウイングへのマークを厳しくさせず、ノリートを活かすことにも繋がっているようでした。ボールを奪ってからの流れだとはいえ、積極的な動きが先制点にも繋がっていました。

アフェライは積極的なドリブル突破を狙おうとせずに安全なマイナス方向のパスを多用したり、飛び出すケイタらが上がったスペースへ残ることも多くありましたから、消極的な印象を受けるには十分でしたが、彼は引いた位置で一度触ってから状況を見極めて動き出しているかのようでしたから、ノリートらにボールを渡した後に相手の背後へ飛び出していく、積極的に動いてシュートまで持っていこうとする姿勢も見られていましたし、自分の前にスペースがあるときにはボールを要求するアピールを多くしていましたから、決して消極的だというのではなく、横の間隔や縦への勢いが周囲にあるかどうかを重要視して自分の動きを選んでいるようでした。

後半になるとようやくチアゴも動きを安定して出来るようになったのか、サイドバックやウイングとの距離を縮めたり、アフェライとポジションを入れ替えてマークを外してボールを受けようと出来るようになりましたし、簡単にボールを失う回数も減ったようでした。ただ縦パスをフォワードへ入れることは相変わらず出来ていませんでしたし、マークに付かれた状況からの脱出も一人では出来ておらず、センターバックにはいってピケが大きくサイドへ張り出して相手を引っ張ってくれることでようやく受けられていたり、ゲームを作る仕事に関しては難しさを感じさせていましたが、二点目の場面のように、オーバーラップしてくるダニエウ・アウベスを使うパスは見事でしたし、その後の動きとゴールも見事でした。そのゴールの後はアルメリアが前への守備が雑になったこともあって、ボールを運ぶ仕事や長い距離のパスも出せていましたし、守備にも粘り強さが出るなど、より状態がよくなったように見えるようになりました。低くピボーテに近いポジションを未だ多く取っていましたが、ポジションをあげれば視野の広さから効果的なパスを出せていました。

アフェライも相手のミスからのボールだったとはいえ、角度のないところからゴールを決めて、確かこれがバルサ移籍後初ゴール。この試合はゴールを奪いたいという意志が強く表れているように思えましたから、これまでのようにバランスを取っているように見えることこそあっても遠慮をしてのものではないようで、ゴール後はカウンターからドリブルをして一人で持ち込む姿も見られましたし、プレッシャーを受けながらもマイナス方向の選択をするのではなく、自分でキープしつつ競り合いながらも前を向いていくようにもなりましたから、徐々にバルサのやり方に合ってきているのかもしれません。

あとはボヤンがゴールへの感覚を取り戻してくれればよかったんですが、前後半通していくつかあった中央でのゴールチャンスも、焦りからかシュートを打てずにカットされたり、タイミングを伺いすぎて時間をかけてしまったり、力を入れすぎてふかしてしまうなど苛立ちも見られましたし、まだまだこちらは状況の改善に時間がかかりそうです。前半は右のウイングとしてプレイしていましたからゴールの近くよりもサイドバックの裏へボールを引き出す仕事の方が多くありましたからチャンスが少なかったのは解りますが、リードが多くなってからは中央でプレイする機会も増えていましたし、ボールを集めてくれているようでしたが、それも決められない。自分の思い通りのゴールを一つ決められれば一気に突き抜けられるのかもしれませんが、それでも今の状況はかなり悪いというしかなさそうです。