2011 年 1 月 のアーカイブ

Liga Espanola Jornadas 20. バルセロナ対ラシン・サンタンデール

2011 年 1 月 23 日 日曜日

■FC Barcelona 3 – 0 Racing Santander
バルセロナは世論は敗戦の影響をあまり感じさせず安定して試合へ入っていました。ラシンがどういった戦い方をするのか見て判断するよりも早く、バルサが得点を取ってしまいましたし、まったく国王杯の敗戦は影響していないようでした。
ラシンはセンターバックにまではプレッシングをしないものの、フォワードは注意深くセンターバックから出されるボールを見ていて、パスコースを探して先に展開させず外へ押し出そうとする意識が見られているようでしたが、バルサはラシンが人数を増やし待ち構えている中央を選択せず、タッチライン際を広く縦に使うことで最初の形を作っていました。限定して押し出せているはずのサイドでしたが、ラシンはチェックを徹底しているほどではありませんでした。バルサが寄せられる前に離し、素早いリズムでボールを動かしたことで体をぶつけさせませんでしたし、ボールを早く動かすことで視線を動かし、死角を作ってそこへ走り込むことでボールを受けようとしていました。

ラシンはシャビや下がってきたメッシとイニエスタを掴まえようとプレッシングを行ってはいましたが、寄せるところまではいっているものの、バルサのセンターバックが自由になっていることから余裕を持って動き直す時間を与えてしまっていましたし、サイドへボールを出して中央の厳しいエリアへわざわざ出さないようにもされてしまっていました。そのボールに対してもラシンは素直にゾーンを狭めてスペースを消そうとしてしまっていましたから、ボールサイドへ集められてゾーンを左右に振られてしまう。かといってボールを持つ選手に対して強くぶつかっていくわけでもなく、チェックとカバーで抜かれないような体勢を作りつつ挑戦する守備もしていない。ただエリアを狭めつつ足を出さずに距離を保って囲い込んでいるだけでしたから厳しさはなく、バルサはボールを回し、キープもし続けていられました。フォワードに対してのみ一気に寄せて人数をかけて掴まえられていましたが、それに集中をしてディフェンスラインのゾーンを中央へ寄せてしまうあまり、中央のバイタルエリアこそ上手く塞げて厳しさをもたらせていましたが、逆にサイドの人数を減らしてバルサにそこの利用を進めてしまっていました。全体的にはボールを自分たちの前に置いて見ていられることで安心してしまっているかのような印象を受けました。

ラシンはボールを奪ってから裏へ走らせることくらいしか攻撃の手段が無く、あるいはローゼンベリに収めてもらう必要がありました。裏へのボールに関してはビクトル・バルデスの的確な飛び出しによって安定して処理できていましたからバルサにとっては怖くなく、彼が処理できなくともアビダルが持ち味のスピードを活かして処理してくれるお陰で、躊躇せずに高いラインを保てましたし、アビダルとビクトル・バルデスの守備エリアの広さが安定をもたらしてラシンに攻めさせていませんでした。サイドを切り崩したり裏へのスペースへでて利用される怖さはありましたが、試合の主導権はバルサが握っていましたから彼らにチャンスは少なく、その場面も前半序盤と終盤のいくつかだけだったでしょうか。

何度もオフサイドになるほどバルサはディフェンスラインの裏を意識して飛び出していて、相手のゾーンが中へ絞られていることを効果的に利用していました。ラシンはボールを見ることが多く足を止めやすいことがそれを楽にしていて、ディフェンスラインを高く保って縦パスを入れづらいようスペースを消してきていましたが、中に絞った守備は外を空けたままでしたから、バルサのそこの利用でスペースをフラットにされてしまうだけでしたし、縦をコンパクトにしてもバルサの選手がそれぞれの選手間に簡単に入り込めているのをきっちり掴まえようとしていないことも、それを楽にさせてくれる要因になっていました。
ただラシンがセンターバックが中心となって、それまでは緩く囲い込むばかりだった守備がそれぞれの選手へ当たるようになったことや、距離をより縮めることなど、積極的な動きを一部の選手がし始めたことで、バルサの選手たちは相手を自分たちで動かすことを考えなければならなくなってきていました。ただコンディションや動きで問題はなく、それらをかいくぐれるほどバルサの選手たちは動いてパスコースを作っていましたし、掴まれたとしても簡単に奪われるようなことは少なく、ファウルにして試合が止まる程度でしたが格段に自由が減っていました。しかし素早く、激しく寄せようとすることはバルサの動きに合わせることでもあり、早く動かされればそれまでよりもゾーンを揺り動かされて崩される原因になるわけで、バルサは相手のディフェンスラインを動かして最後尾にスペースを作り出した後で裏を使っていました。ラシンは修正をして5バックにして逆サイドのスペースが空きづらくなるよう最後尾を横に広げることで対応しようとしていまして、一定の成果は収めたようでした。

ただ最後尾に人数を増やすと、奪えたとしても前へ出て行く推進力には欠けてしまうようになり、バルサはフォアチェックを徹底して労力を消費するだけでなく、コースを限定してパスカットを狙うように切り替えるなど、それらにもしっかりと対応をしていました。そのパスカットからのカウンターも出来ていましたし、スピードダウンもせずにやりきれていました。そしてPKを得て、2点目。

後半になるとラシンも前半より守備を積極的に行うようになり、崩されないように待ち構えるだけだったものがフォアチェックもするようになっていました。ディフェンスラインの5バックは崩したがらないようでしたが、ラインをある程度高く保つことでフォアチェックをする前線との分離をしないように出来ていました。バルサは最後尾と中盤にプレスがかかるようになったことから一時的に前へ出られなくなり、相手陣内でプレイし続けることは出来ませんでしたし、サイドへボールを出したとしてもラシンはゾーンを寄せすぎず逆サイドへも人数を残していましたからギャップを作れなかった。まず外に広がった守備がバルサの縦のコースを切っていることで詰まり気味でしたし、足を止められてしまうことで裏へ飛び出せず、選手の距離も広がってパスのリズムが単調になっていました。状況によっては6バックに見えるほど下がって広い守備をされることで、前半のよう無い手を絞らせてサイドバックの外側にスペースを作れないことでサイドバックもウイングも飛び出せませんでしたし、相手の前でボールをいったん受けてから展開しようとする意識が強すぎたのかもしれません。

3点目の場面のように、相手のサイドが中に絞り気味であり、早めにそこを使って裏へ出てさらに引き出してしまえば、リズムの変化を前半のように作れるわけで、その場面ではディフェンスラインに人数を入れて幅広く守ろうとしていたラシンはバイタルエリアの厚みを犠牲にしてしまっており、そこが失点の原因でもありました。そこのスペースへのメッシのドリブルによって中央に意識を寄せられたことが大きく影響しているのかもしれません。

3点目から試合としては落ち着いてしまった印象で、運動量が両者とも落ちたようでした。バルサは守備面でこそフォアチェックをしてラシンには繋がせず、攻守の切り替えも素早いまま相手陣内で多くのプレイを出来ていましたが、攻撃面ではラシンのチェックやコースを限定する動きが曖昧にはなっているものの、バルサは押し上げて相手にギャップを作るほどオーバーラップをかけなくなりましたし、相手の隙間に入り続けるほどポジションも動かさなくなっていました。スローダウンしているもののアイデアとパスで点は取ろうとしていましたから、ラシンが厳しく掴んで抑えることもできなくなっている事も相まってチャンスを作ることは出来ていました。ただラシンはローゼンベリを下げたことで起点が無くなりましたし、バルサはそれ以上の無理をしないようにスローダウンをしていましたから、余程チャンスになるような隙間が見えなければ得点を取る動きにはならず、危なげない終わり方をするのみでした。

アジアカップ 準々決勝 日本対カタール

2011 年 1 月 22 日 土曜日

■Japan 3 – 2 Qatar
日本はキーパーを出場停止明けの川島が復帰し、内田が累積警告で出場停止になっている右サイドバックには先日のサウジアラビア戦で途中から同じポジションに入った伊野波が入っていました。それ以外の変化では怪我から復帰した本田が出場し、右サイドには岡崎が引き続き出場しています。カタールとは対戦成績で分が悪く苦手な相手でしたし、開催国だということもあって戦前から有利な状態にあるのではないかと不安視されるほどでしたから、日本が苦しむ試合展開になるだろうというのは予想されていました。

カタールは予想されていたよりも攻撃的な守備をして立ち上がりを向かえていました。前へのプレッシングからカウンターへ繋げるオーバーラップに加えてディフェンスラインも高く、引いて守る気配はありませんでした。コンパクトに保った中盤のプレッシングに寄って攻撃を封じようとする意識が強かったものの、フォワード二枚は積極的に参加してきておらず、中央でボールを待つ姿が見られ、日本のセンターバックがボールを持つのを抑えようとはしていませんでしたし、そこからのパスをも抑えようとしていませんでした。お陰で日本は中盤こそ抑えられがちでしたが、ボランチへボールを渡す時間をもセンターバックで得られましたし、パスを出すことに苦労はしませんでした。

日本は岡崎の素早い動き出しに対してロングボールを入れて走らせ、高いディフェンスラインの背後を突く。相手のラインが高く保たれていることもそれを狙わせた要因になっていましたが、それ以上に素早く寄せられているため中盤でキープが出来ないからこそ、裏に起点を求めようとしているかのようでしたが、岡崎と前田の二人がそれぞれ動いているだけで、二人目のサポートがないためにボールを得ることは難しく、相手に拾われてカウンターに繋げられてしまっていました。ただ日本もフィードを入れられないようにディフェンスラインを上げてプレッシングをしていましたから、ポストプレイを使用とするセバスチャンを背後から密着して抑えられていましたし、自由にさせないことでカタールに攻撃の起点を作らせにくくしていました。

ただ残念なことに、常にフィードの出所を抑えられるわけでもフォワードを掴まえていられるわけでもありませんでしたし、フィードを跳ね返されたものに関してはより掴まえづらいものでしたから、裏へ抜けられる可能性も考えた守備をしていかなければいけませんでしたし、無理にオフサイドを取るよりはラインを崩す勇気も必要でした。高く保っていた裏側を一気に使われて振り切られ、先制ゴールを許した場面はある意味では仕方が無く、ある意味では迂闊でした。

日本は攻撃の形をなかなか見つけられず、早めにロングボールを入れることや裏を使おうと継続していましたが、それだけでは上手くいかず支配することができていませんでした。ショートパスを繋いで相手のゾーンを動かしてプレッシングをかいくぐりたいところでしたが、カタールは継続してそれをしていましたし、再三していた裏へのフィードに関しても相手を戻らせる効果はあっても、それを強く意識付け手前への守備をさせないようにするほどには脅威を与えていませんでしたから引っ張ってはいけなかった。本田や香川の動きにはマークがつきやすく、立ち上がりは守備をしていなかったフォワードも日本のボランチをフリーにしないように守備をし始めていましたから、遠藤が前を向く自由を減らされてしまいましたし、フォワードの飛び出しも間延びさせて日本のショートパスで繋ぐスタイルをしづらくさせてパスカットを許すきっかけになってしまっているようでもありました。それだけ中盤にポジションの変化がありませんでしたし、足下でボールを欲しがっている要素が強くでていました。ようやく本田が引き出しに動き始め、長谷部が上下動で近く保てるようになったことでサポートを得られるようになっていました。守備に引き戻されたときに預けるポイントが前田しかなく、そこを狙われて背中を抑えられることで前を向けずボールを失ってしまってもいましたが、横に動いたりサイドバックをあげていくことで、カタールの守備を外に広げて中央を埋めていた相手のボランチを引き出してバイタルエリアにフリーなスペースを作り、そして逆サイドには中へ絞った守りをさせる。外から中へのサポートがサイドバックを含めて上がれることでコンパクトに保ち、ボランチをあげられるほどキープできる状態になっていましたから、人数の増加に繋がって横に動かして相手の足を止めさせた上で裏を使うことが出来た。そして岡崎の同点ゴールに繋がった。

日本はこれでペースを取り戻してパススピードをあげられるようになっていました。縦パスを入れられるほど中盤の選手たちがポジションを変えながら相手を引き出し、ゾーンをずらしてスペースを作り始めていましたし、相手のフォワードが日本のボランチを抑えられない状態が続き、そして守備をしなくなったこともそれを楽にさせる要因になっていました。縦パスを入れやすいほど、前後の距離を縮められるようになりましたし、それだけ早く動いて縦パスを入れ替わり立ち替わり引き出せるようになったことでカタールの守備組織が前へのチェックやマークを徹底できず、マークが動くことで出来たスペースを長谷部なり遠藤が使う。一度相手を混乱させてスペースを作ることが出来るようになると、日本のサイドバックも積極的に上がっていけるようになりますし、ボランチも出て行ける。攻撃に人数を割いてオーバーラップが出来るようになると相手を押し下げてしまってカウンターに出させず、裏へ直接出させない。センターバックは再び相手のフォワードにマークにぴったり付いて、奪いやすく、抑えやすくなるわけで安定をもたらせていました。

後半もそのペースで試合を続けたいところでしたが、最初にロングボールを入れられたところで吉田が累積警告で次節出場停止となるイエローカードを提示されたあたりから状況は変わってしまっていました。前半は多少相手に有利な笛があったものの、そこまで神経を尖らせるほどのものはありませんでしたが、ここから基準が変わったかのようなジャッジになっていました。

カタールは守備への集中を取り戻して、積極性と緩くなっていた中盤の守備を再開させてきていましたから、日本がサイドバックをあげてタッチライン際でのプレイから中へ繋いで横の展開を狙っていても、しっかりと中を閉じられてマークに付かれることでサイドからボール後動かせず、厳しいマークと人数のかかるプレッシャーによって全体を押し上げられず不安定な状況を作ってしまっていました。日本のボールの起点となっている前田の所も厳しく後方からぶつかることでミスを誘っていましたし、岡崎に対してもそうでした。動き出しの早い二人の背後を抑えておくことで飛び出させず、受けに戻らせていく。中盤が自由に持てていないから飛び出せないこともあり、足下に収めるしかないところへのプレッシャーでしたから、それがまた中盤をあげられない要因にもなり悪循環でした。ポゼッションも出来ないまま相手の攻撃を受けて、裏へボールを入れられて下げられる。ペースを握るまでミスを減らしたい試合展開でしたが、中へ無理に繋ごうとして、ミスになって奪われて押し下げられて、さらに強い悪循環になっていました。奪われたところから即裏へ出されて下げられ、守備の起点となっていたローレンスが上がってくることで、奪われてからすぐに起点にされてプレッシングがかかりませんでしたし、さらには遠藤らを自由にさせてもらえないことで、前へ上がっていかせてもらえませんでした。

ただ前田がサイドに流れてボールを引き出していく動きにカタールの守備が徹底できなくなり、起点に出来るようになってきてはいました。前を向いてボールを収めることで長友が上がれる環境は出来上がっていましたし、そこが上がってマークを引っ張ることが出来ればさらに他の中盤の選手たちが距離を近づけつつ上がっていける。攻撃の起点が出来てこれからというところで吉田を退場させられて数的不利を作られてしまったことで日本は不利な状況を作られてしまいましたし、そのフリーキックからニアサイドをそのまま決められたことで窮地に立たされてしまいました。追いかけなければならない点差でフォワードを下げなければならない苦しさがあり、特に起点になっていた前田だけにそのポイントを失ったのは大きいはずでした。

しかし日本はそれほど時間がかかることなく香川のゴールで追いつけましたから、なんとか救われていました。このゴールで日本は落ち着きを取り戻すことができたのかもしれません。ただ攻撃にはなかなか出られませんでしたし、引いて守りを固めなければならないことからパスの出所を抑えられず、ディフェンスラインに対してフィードを入れ続けられてしまいました。裏へ走られてしまったり、ペナルティエリア内で競り合う状況を作られる。審判の問題から避けたい部分を連続で使われてしまう。何とか前へ出て多少のプレッシャーをかけられるようになりましたが、フィード自体を止めることは出来ませんから日本はなかなか押し上げてコンパクトに保てず、フォワードには自陣深くまで戻りつつ駆け上がる攻守両面での運動量を必要とされるようになってしまいました。それでも走り続けたお陰で一時的にでもセンターバックをあげられましたし、プレスを再び受けていた遠藤からそれを引き剥がすことも出来ました。
ただ攻撃の形は明確な物がなく、カタールはボランチも押し上げて全員で攻撃をして厚みを攻撃に持たせていましたから日本はカウンター要員を残せず、跳ね返しても受け取る選手がいないことから連続して放り込まれてしまいました。攻撃にようやく出られたとしても本田と香川へのフィードかクロスを入れるぐらいしか無く、その二枚が相手を引き下げた手前にあるバイタルエリアを使う選手はいませんでしたしオーバーラップも出来なかった。ただここぞという場面でリスクを負う姿勢のお陰で、逆転することが出来た。サイドバックを含めて上がってきていましたしボランチも上がっていて、理想的に距離を縮めてはいましたがカウンターを考えれば危険そのものでした。ただそのお陰でマークが分散して香川への縦パスを入れられましたし、詰めていたのが伊野波だったことも象徴的でした。

Copa del Rey Cuartos de Final 2ndLeg ベティス対バルセロナ

2011 年 1 月 20 日 木曜日

■Real Betis 3 – 1 FC Barcelona (agg-win)
バルセロナは第一戦を大差で勝利していることから大きなアドバンテージがあり、第二戦に大きくメンバーを落としてカンテラの選手を起用してくるかと思ったんですが、起用されたのはトップチームのメンバーばかりでした。一部のローテーションこそありましたが、メッシやシャビといった試合をコントロールする選手は残し、試合を勝ちに来ていました。移籍が噂されていたガブリエル・ミリートも残留を決め、この試合でも起用されることになり、センターバックの層が薄くなってしまうことも避けられました。

ベティスはとても強く積極性を持っていて、高いディフェンスラインを保ちつつ、バルセロナの後方に対して一斉にプレッシャーをかけていく。第一戦よりも力強く勢いのあるものでしたから、バルセロナは安定したポゼッションから試合に入ることができませんでしたし、前へ人数を上げられず攻守の切り替えとフォアチェックを行うことが出来ませんでした。そしてベティスは守備だけではなくカウンターに対してもアクションが早く、センターバックとサイドバックの隙間から飛び出して裏を狙い、そこでボールを受けようとした。そこでの競争からガブリエル・ミリートが止めきれずファウルにしてしまい、そのフリーキックからニアサイドで先に触られて決められてしまった。攻守両面でバルサの立ち上がりを見事に狙っていましたし、セットプレイでも上手く変化をつけられてしまっていました。

ベティスも得点後は試合開始早々のような猛烈なプレッシングをせず、ディフェンスラインも高く保ちすぎず、ピボーテはきちんとディフェンスラインとの距離を保って隙間にはいられないようにする。中盤もフラットなラインを形成して、サイドでボールを受けられないように開いて対処することもありますし、バルサの攻撃陣が入ってこられないようにスペースを消して自由を奪っていました。
バルサはも高いラインを保ち、その二つのラインを引き出せるほど相手陣内でボールを回していられればよかったんですが、サイドに起点を設けられず、シャビが引いてコントロールすることは出来ても彼がアンカーではありませんし、前線で預けられるのがメッシだけで、縦パスを入れることも難しく変化に乏しい状態にありました。そこでボールを奪われてしまうとバルサはコースを限定しきれず、また高いラインを保てていないことからスペースが多くある。そして二失点目の場面ではマスケラーノが起点となりそうな歩インを抑えにでたものの抜かれてしまい、ただでさえ大きくあったスペースがより広がってしまい、センターバック二枚はドリブルと裏へ抜ける動きの両面を意識しなければならず、モリーナを掴まえられず走らせてしまいました。
その後もディフェンスラインがカウンターと裏へ走られることと合わせて大きく下がってしまい、中盤との距離を広げてスペースを作ってしまっていましたし、それが余計にカウンターで駆け上がられたときにチェックに向かう選手との分離に繋がり、誰もチェックに行けないままセンターバック前の広大なスペースを駆け上がられてずるずると下がることにも繋がっていました。ベティスには徹底してアンカーを引き出され、その裏側を利用されることでドリブルと飛び出しを何度もされてしまっていました。

バルセロナはその後も試合を作り直すことに苦労をしていて、ボールを受けに戻ってくる選手にはぴったりとマークに付かれ、一つ飛ばしてパスを出さなければそのままカットされる危険性を常に持っていましたし、その一つ先に関してもきっちりマークされていた。積極的に追い回されることと足下へ収められないことが加わり、さらにはアフェライがいる右サイドで特にポジションが定まらず、彼のサポートと連携のために近くポジションを保てず、パスを繋いで揺さぶることが出来ていませんでした。
メッシが下がってシャビとの距離を近づけることでなんとかパスを繋いで相手を集めることが出来ていましたし、片側や中央に集めてから逆サイドを利用することで、ボヤンやアフェライに中へ切れ込みながらシュートを選択させることも出来ていましたが、それでも相手の背後を使ったものではなく、相手の手前でシュートを打たされていましたからそれほどの脅威になく、ビジャがいないことでどの選手も相手の背後を突こうとする飛び出しに乏しく、変化をつけられませんでした。もちろんパサーを抑えられがちな状態で、飛び出してパスを得られることは少なく、まずはそこの改善をする必要がありましたが、カウンターに押し下げられて上下動を激しくさせられてしまい、なかなか選手同士の距離を縮めてベティスのプレッシングを揺さぶって消耗させることが出来ませんでした。少数でサポートすることは出来ても少なければベティスも人数を集めて対処できましたし、激しく素早いチェックを意識づけていることでバルサの選手がバックパスを選択しやすい環境を作っていることもあって、前へボールも人も留められていませんでした。

メッシが一点をカウンターから裏へ飛び出して一点を返せたことのは大きな事でした。それまではその早い展開は作れていませんでしたし、作れたとしてもサイドで孤立した状態でした。裏への飛び出しも何度か出来るようにはなっていましたが、オフサイドになることが殆どで、さらに近い距離から裏へ出されるものはなく、中長距離からではぴたりと合わせることは難しくチャンスに仕切れる状態にはありませんでした。それを早い展開でありながらシャビと近い距離でパスを交換できましたし、裏へ出されるパスも近距離だったからこそ高い精度で送ることが出来ていました。
このプレイのお陰でベティスのディフェンスラインに対して裏への意識を持たせられ、ポジションを下げさせ中盤との距離を広げ、バルサの方がより多く中盤に選手を送り込んで高い位置でボールを奪い返せるようにもなりましたし、ベティスの出足も消耗から鈍っていかせることができた。前半をその流れ、そのスコアのまま終えられていれば後半に向けて追いつく可能性を大きくできていたんですが、ロスタイムにセットプレイから追加点を許してしまったことで後半の試合展開を難しくしてしまいました。

後半開始時からバルサは一段ギアを上げたかのように運動量を増加させ、選手同士の距離を縮めて、ベティスのプレッシャーの中でもパスを繋げるようになっていましたし、ベティスが出足よく奪おうとしてくる部分に関しても上手く体を入れて奪わせないようになっていました。バイタルエリアにこそ誰も入れていませんでしたが、裏を何度も狙い始めていましたから、相手にそれを印象づけた上で別の選手がそれを囮にして受ける事も出来るようになっていました。多くの選手が前へ動きながらプレイできるようになったことでフォアチェックでコースを限定できるようになり、センターバックが下がるだけでなく、前へ出てきちんと掴まえられるようにもなりましたし、相手陣内でプレイできる時間が大きく増えていました。
相手に戻りながら処理させることが出来れば、積極的なプレッシングのような前向きの守備はできなくなり、前向きに守備が出来なければカウンターへスピードもでない。上手く攻められていました。もしメッシがPKを決めていれば流れとしてもスコアとしてもより良い状態になっていたんですが、軸足を滑らせてしまい得点ならず。

時間の経過と共にせっかく足を動かしてスピードアップできていた部分が減ってしまい、徐々に運動量が落ちてしまっているようでした。ボールに絡むいくつかの選手だけが動き、それ以外の選手が積極的にコースを作る動きをしない。カウンターになったときにもポゼッションの時にも一人がマークを外して飛び出そうとしていても、他がそれの囮になるような動きをしてくれないことからパスをそこへ出せずに徒労に終わってしまうことも珍しくありませんし、相手陣内での展開も減って囲まれてしまうようになった。囲まれる事が多くなると他は信頼してオーバーラップできませんからより前に行きづらく押し込まれてしまうようになってしまいますし、それがベティスに前へ向かわせるきっかけになってしまう。

選手交代から勝つためには何としても、というのであればベンチ入りしていたイニエスタやビジャを起用していたのかもしれませんが、それらを起用せずに休養させられたのも第一戦の大量リードがあったからこそ。選手交代からシステムを変えましたが、奪われないことで何とか試合をコントロールしていたシャビを下げたことで、ボールが収まるポイントがより少なくなってしまい、主導権を握るのがより難しくなってしまいました。特に中盤で誰が引き出して左右へ振り分けるのか、誰が受けに戻ってその後の展開を助けるのかがはっきりとしませんでした。3バックにしてアドリアーノを前に上げたことで人数が足りていなかった最前線に幅広い選択肢ができるようになったのは好材料ですし、開く必要がなくなったことで中央にようやくフォワードがいるようになり、クロスなどのサイドアタックからペナルティエリア内を使う可能性が出てきたのはいいことでしたが、中盤の支配力を高める動きがない以上、前へ人数を溜めたとしてもそこまでボールが渡りづらいことを考えると効果的ではなく、結局はバランスを取るためにアドリアーノやマクスウェルは消極的な姿勢でしたし、中のサポートがないこともあってバックパスを選択肢がちでした。

負けないことが最善なのは当然ですが、負けても構わないタイミングで負けたのは不幸中の幸いということでしょうか。負けたとしても勝ち抜けはできるスコアでしたから、それを意識していた戦い方を途中からしていたのかもしれません。

アジアカップ Group -B- サウジ・アラビア対日本

2011 年 1 月 18 日 火曜日

■Saudi Arabia 0 – 5 Japan
立ち上がりの日本の問題は、中盤の裏側へボールを出されて、そこでボールを受けられてしまうことでした。サウジアラビアは2トップで試合に挑んでいましたから、センターバックがそれらを抑えなければならず、ディフェンスラインを上げてそれに対応することは難しい状態でした。フォワードのどちらかが下がって受けたとしてももう一枚がそれと合わせて裏にでようとされてしまえば、カバーのために走らなければなりませんでしたし、サウジフォワードを下げるよりも中盤の一枚がフォワードとの距離を近く保ち、連携をする動きを見せていましたからなおさらセンターバックは前へ出られませんでした。そうならないために日本はフォアチェックをし、高い位置でボールを奪うことで相手の攻撃の芽を摘みチャンスを作り、裏を意識した攻撃にしていましたし、何より序盤のサウジアラビアの攻撃がフォワード二枚がセンターバックと対峙しながらも横の距離が非常に遠く、お互いがサポートしあえる状態にはなく、前後の動きで連動されることはありませんでしたし、問題があるとすれば日本が高く上げようとしていたサイドバックの裏を使われることやサイドから攻撃を抜かれてセンターバックが複数枚を相手にしなければならない状況でしょうか。幸いにもそういった場面は殆どありませんでしたから、失点の危険性はそれほどありませんでした。

日本は攻撃の際に素早くボールを動かしてチャンスを作って主導権を握れているようでした。縦パスを入れて相手のマークを引き出してギャップを作ることにも成功していましたが、サウジの守備がそれを容易にしてくれるほど緩く、スペースを埋める動きであったり、マークについて自由を奪うようなものがない。ボールを受けに戻る動きにはついてくるものの、最初のコンタクトがあった直後には離してポジションに戻ろうとしてくれていましたから、自由を奪われてパスコースを探せない、プレッシャーによってミスをするほどではありませんでした。さらにサウジの選手たちの隙間に入っても、誰かが向かってくるわけではなく、特にサウジの中盤はバイタルエリアを埋める意識を持っていませんでしたし、前へ一定の守備こそしても後方に入られるとセンターバックに任せきりのようでしたから、そのセンターバックと中盤との隙間に日本の中盤が多く入り、よく縦パスを受けて相手の陣形を乱す役割を果たしていました。そしてサウジはスペースを自由に使われながらも高いラインを保っていたことで、日本はその裏を狙っていけるようになっていましたから、相手のセンターアックをパスによって引き出し、そして岡崎の先制点を演出することに繋がっていました。

日本は得点後は自陣の裏に抜けられることを意識しなければならないほど、それまで連動できていなかったサウジのフォワード二枚が近い距離を保つようになってしまったため、センターバックがそれぞれを掴まえておかなければならなくなりました。そこへ絡む一枚に対してより前へ出られなくなってしまい、その上、ボランチの裏側へ一枚入られて三枚で常に狙いを持つようになってしまったようでした。日本はマークをつけているものの、ボランチが背後に入られている関係上そこで収められるとボールへ足を出すよりも追いかける展開になりがちでしたから、起点とされてしまうには十分で、日本はラインを大きく下げてその処理をしなければなりませんでした。体は寄せられていたもののヘディングは上手く競り勝たれてしまってボールに触られていましたが、足下のボールに関しては出足よくカットできていましたから、意識が後ろ向きになっていたわけではなく、きっちりと状況は見えているようで大きなピンチには結びついてはいませんでした。

岡崎の二点目のゴールに象徴されるように、サウジの守備は中盤の選手もセンターバックも前を見て、ボールに注意を払っているばかりでした。特にボランチはパスカットも狙うわけでも掴まえようとしているわけでもない。遅らせたところを囲い込もうとすることはあっても、その一つ目を誰が担うのかがはっきりとしていませんでしたし、攻撃に出ようとする意識しか殆どありませんでした。センターバックも背後のことを考えるよりも受けに戻ろうとする動きへの対処だとかパスカットを念頭に置いて動いているようで、ボールの方を向き、自分の近くにいる選手をマークしておこう、意識してみておこうとする意識に乏しい、全体を通して淡泊な処理ばかりでした。だからこその岡崎の二点目でしたし、得点の場面ほど深く入っていなくても常に同じ事でしたから、日本は相手の前でプレイすることよりも積極的に背後を利用することで受けているようでした。

サウジは三点目が入ったことで攻撃に出るスピードがなくなり、守備時のディフェンスラインが下がっても中盤がそれと連動して下がらず、ライン一枚で守るようになっていました。ただ日本がそこを利用するにはサイドアタックでは時間をかけすぎていて、サウジに雑ながらも戻ってバイタルエリアを埋められてしまっていましたし、いったん下がってから寄せてくることもさせてしまっていました。ただそうやって高かったラインが大きく下がったことで日本はこの試合の序盤からフリーであることが多かった遠藤や長谷部がよりフリーでボールを扱えるようになっていて、低い位置から左右にボールを振り分けてしまえるようにもなっていました。さらに日本はサウジが裏を勢いよく狙ってこなくなったこともあってディフェンスラインを高く保てるようになり、ボランチとセンターバックの距離が縮み、相手に利用されていたエリアを閉じてしまえるようになりましたし、相手の三枚の起点となっていた部分をしっかりと掴まえて前を向かせずパスを出させないようにしてしまえるようになっていました。
ただサウジが人数を増やして攻撃に出てきていることもあって、マークに付ききることが難しく、若干マークの緩さを感じさせるプレイが日本に出てしまい、いくつか気になる状態を作ってしまっていました。特にサウジの選手が戻る動きをしたときにマークに付ききっておらず、自由に受けさせてしまっている。プレッシングをしても囲い込めていませんでしたし、相手が振り向こうとしていないから助かっているものの選手同士の距離が開いてしまっていました。最も不安定だったのは、内田が中へ絞ってマークをするのか、それとも外に開いている選手へチェックに行くのか、その辺がはっきりとしておらず、その影響から吉田のポジショニングも不安定になっているように見え裏を使われたこともありました。

そういった守備の緩さがサウジのカウンターに勢いを出させてしまい、縦入れられるボールにスピードが出てきてしまったし、再び裏へ飛び出そうとする意識を取り戻させてしまっていました。守備も緩やかながらプレッシングを行おうとする動きが出てしまったし、日本のセンターバックが縦パスを躊躇しなければならないほどマーカーと日本のボランチの距離が近づいてしまって、遠藤と長谷部のどちらもが上手く受けられない状況を作ってしまいがちでした。。戻ってきた香川らにも同様で、それほどサウジの選手たちが前に人数を割いていることで、かいくぐることができれば相手ディフェンスラインの前には広大なスペースがよういされていることでもありましたが、日本のパスを回す位置が下がってしまい、有効なポゼッションではありませんでしたし、攻撃に繋がるものでもありませんでした。

後半に何故かサウジが上手くいっていた部分を変えてしまい、前へボランチを自由にさせないよう掴まえておく動きを辞めてしまい、個人で向かってくることはあるものの連動していませんでしたし、マークの距離が開いて一人が抑えられても別のコースをすぐに探せるようにもなってしまった。何よりサウジの攻撃面で脅威だった三枚での連動の一枚を後方に下げてしまったことで日本のセンターバックが注意しなければならないポイントが減って守りやすくしてくれましたし、裏を使われることのみならず、収めるポイントを失ってくれたお陰でサウジの攻撃が連続しなくなった。一枚が単調に飛び出すだけで日本は大きくラインを崩してカバーリングで対応できるほどリズムも読みやすいものでした。もちろん高い位置の攻撃はそのまま日本へのプレスにも繋がっていたわけでしたから、再び遠藤らがボールを触りやすくなって左右へ動かせるようにもなっていました。

四点差がついたことでサウジはもうプレッシングも守備で囲い込んだり限定したりしなくなり、日本のポゼッションの位置が、前半終盤には自陣へ追い込まれてしまっていましたが、相手陣内で殆ど動かせるようになっていましたし、右に伊野波が入ったことでスライドして中央の守りを安定させることが出来ていましたから長友が大きく上がって左をワイドに使えるようになり、よりボールを前で展開しやすくもなってもいました。高い位置を取り続けることでサウジのサイドを封じていました。

日本は多少手を緩めて徐々に運動量が落ちて、相手の隙間でボールを受けるための動き、パスコースに入るための動きへ労力を使わなくなってしまい、相手がカットしようと動いているわけでもない状態でもミスをして、味方に通らずに相手に渡ってしまうことが多くなってしまいました。それを拾われてもカウンターにスピードがないことからから日本はそれでも守れてしまいピンチになりませんでした。だからこその緩さはありましたが、守備に回ったときの献身さは忘れておらず、きっちりとアタッカーも戻っていましたし、センターバックが前に引き出されないようにシュートを打たれそうなタイミングでも戻って足を出している。フォアチェックも行っていましたし、一時的な運動量の落ち込みからパスを繋げなかった時間帯はありましたが、そこも試合中に修正をしてミスを減らして相手陣内で繋げるように戻りましたし、チャンスを見つければスピードアップをするリズムの変化も上手くいっていました。そして岡崎がハットトリックとなる五点目を決め、日本のいくつかの選手がその後も得点を取りたそうな動きをしていましたが、サウジも諦めの色が濃く、スローダウンをして試合は終了。

Liga Espanola Jornadas 19. バルセロナ対マラガ

2011 年 1 月 17 日 月曜日

■FC Barcelona 4 – 1 Malaga CF
マラガは積極的な補強によって獲得した選手を一気に起用していることで、チームとしての完成度は低く、状態としてはいいようには見えていませんでした。積極的なプレッシングは控え、バルサのディフェンスラインやアンカーに対するプレッシングをせず、中盤がそれぞれマークについて自由を与えないことを目的としているようでした。ディフェンスラインは高くフラットに保つことを目的とし、中央とバイタルエリアを閉じておきたかったように見えましたが、バルサのコンディションが良く、ボールタッチを少なくしながらアンカーにプレッシャーがかかっていないこともあって、そこを利用して自由に動かせていましたし、ボールに足を出せないようなコントロールも出来ていた。それに加えて球離れの早さに対して対応できておらず体をぶつけてその後の動きをも限定できていませんでしたから、自由にサイドから中央を経由されてしまい、マラガはサイドへ開かずに中央を抑えようとして試合に臨んだものが早々に破綻してしまっていました。

なんとかそのポゼッションを抑えようとマラガは向かっていましたが、その影響からバイタルエリアが飽きやすく、ディフェンスラインを高く保っているものの、そこの手前を埋める選手が引き出されていなくなることが多くありました。バルサは特にメッシがピボーテの背後からそこへポジションを取り直すことで何度も利用していましたし、ドリブルで仕掛けてディフェンスラインをも下げさせてしまいました。そのスペースへ入られたときにはディフェンスラインはすっと下げていましたが、ライン自体はそこのスペースを気にしながらもフラットに高く保とうとしていましたが、連携不足からギャップを作ってしまっていましたし、ビジャがそうでなくても多く狙ってボールもでていましたからラインを崩して対処しなければならなくなっていました。中盤が背後を取られている状態でラインを高く保とうとするのは難しい。

先制点を早々にバルサは得ましたが、マラガの守備は裏を使われることとバイタルエリアを埋めるべきピボーテが引っ張り出されてしまうことの他にも、サイドを深くえぐられたときの処理に度々現れていて、それまではマークのために前への意識を強めていた中盤の選手たちが、横を向かされてしまうと途端にディフェンスラインに吸収されるほど戻りすぎてしまう。サイドバックこそ外に出て対処していましたが中の枚数は足りていましたし、バルサの選手がヘディングで得点を取る機会は多くない。それを考えると戻りすぎる必要はなく、マラガはただペナルティエリア内に厚みを作れず薄く広がった守備を用意してしまっただけでした。そのためバルサのマイナスのボールに全く対応できずにイニエスタへゴールを許してしまった。
ポゼッションされているときのピボーテとディフェンスラインの高さ、それとタッチライン際を深くを使われたときのあまりにも下がりすぎる姿の両者が極端で、バルサにとっては縦パスを入れながら押し下げたりランニングで変化をつけて、自分たちの使いやすい形に変化させていくことは難しくないようでした。

マラガの攻撃はカウンターからクインシー・オウス=アベイエを走らせドリブルさせるか、ジュリオ・バチスタに体を張ってもらってポストプレイ。それにマレスカらが絡んで近い距離を保ち、ダイレクトで動かしてバルサが寄せられないようにして、あるいは寄せた裏の利用をするものでした。選手個人の技術やアイデアは素晴らしかったですし、そういった連動も見られました。バルサにとっては素早く動かされることでプレッシングが機能せず、動きのギャップを使われてしまいそうになることで背後へパスを出されてしまっていましたが、ただ対応しやすかった点は、中央に寄せられた後に外を使われたり、外から中へというような横の動きが乏しく、サイドを切り崩されてしまったとしても中に人数が揃っておらずクロスの脅威がない。選択肢を幅広く用意できるほどの状態にないことが幸いしていました。

バルサが二点目を決めた後にもマラガはラインを整えてゾーンをスライドさせ、フォーメーションとしては綺麗に動けていましたが、システムを崩していくためのバルサの戦い方によってその状態を保てませんでしたし、綺麗に保っていただけであってそれぞれがチームになりきれていない印象でした。前からのプレッシングが出来ないほどサイドへ早く動かされてしまっていましたし、押し下げられた後は誰が受けに戻るビジャを始めとするフォワードについていくのかはっきりとしていませんでしたし、付いていく間にパスが出ないことで諦めてポジションに戻ったところでパスを出されて他が寄せられなかったり、徹底されないことで徒労に終わって自ら消耗させているようでした。

ただ徐々に体を寄せられてファウルが増えてしまっていましたが、それはバルサの選手たちが二点を取ったことで運動量を落としているように見えましたし、マラガの選手たちがシステムを守るだけではなく、慣れもあったのかもしれませんが受けようとする選手に徹底して向かっていくようになったのもあるようでした。ボールを受けに戻る選手にはピボーテが徹底してついていくことでそこへ出されないようにしましたし、サイドを利用されたときにも同じようにすぐに離さないようにした。それぞれがポジションを守るよりも相手を掴まえようとしたことで上手くいくようになり、バルサにパスコースを多く与えず、ダイレクトで動かせないくらいには限定できるようになっていました。それがフィジカルコンタクトとファウルの増加に繋がっていましたが、状況としては改善に向かっているようでした。
しかしバルサの方が一枚上手だったようで、マークに付くことを利用して三点目を奪っていました。シャビがフォワードの位置に上がったことでデミケリスへそこに注目をさせ、受けに戻ろうとするタイミングに合わせてついて行かせた。実際はそこへパスが出ることはなく、ただイニエスタが飛び出すスペースを与えるだけになってしまって、三点目を呼び込んでいました。

後半になってバルサのディフェンスラインやアンカー、ピボーテの位置に対してマラガの前線がプレッシングするようになったことで前半よりはまともに機能するようになっていました。バルサは一時的にラインを下げて状態を整えざるを得ませんでしたし、追いかけ回されて前へ少し出しづらくなっていました。ただプレッシングが攻撃の時に選択肢の増加に繋がっていないのがマラガで、ボールを奪ってもそのままオーバーラップをして相手の背後を取ろうとしておらず、奪ったポジションで足を止めてしまうことで、せっかく囲い込んで奪っても出し所を失って奪い返されるばかりで、今度はフォアチェックではなく後ろに戻ってシステムを構築しなければならなくなり、二重に体力を消費してしまっていました。

ドゥダのフリーキックで一点を取られたことで、バルサにも出足を鋭くする意識が戻り、相手に持たせてしまっていた受け身の守備からカットに出て行けるようになっていました。マラガもパスカットを狙っていましたし、後半開始からのプレッシャーがようやく実ってきた印象もありました。バルサの方不用意なミスをして奪われることも増えていましたから、一点を返せたフリーキックもそういったミスからのものでしたからつけいる隙があったのはその部分でしたが、バルサがすぐに引き締められたことでミスがなくなり、マラガはそれ以上の得点を得られるチャンスはもらえませんでした。マラガも消耗しきっていましたから、四点目を取られてしまうと足が止まり、相手を掴まえておくための守備が出来なくなってしまい、出足よく掴まえて体をぶつけることで何とか抑えていた部分もなくなり、バルサの選手たちにそれぞれの選手間に入り込まれて受けられ、少ないタッチで動かされ寄せて限定することすら難しくなっていました。

あとはボヤンとアフェライが見せ場を作るために動いて、他もそこへボールを集めつつ試合を作り、足が止まっているマラガを相手に攻撃の形をアフェライに体験させているようですらありました。

Bundesliga 18. Spieltag ヴォルフスブルク対バイエルン・ミュンヘン

2011 年 1 月 16 日 日曜日

■VfL Wolfsburg 1 – 1 FC Bayern Munchen
バイエルン・ミュンヘンが補強をしたのはセントラル・ミッドフィールダー、あるいはサイドバックでのプレイが期待されるルイス・グスタボだけで、層の薄さを感じさせる部分の補強はなされていませんでした。特にセンターバックに関してはシーズン当初から起用する意志が薄かったとはいえデミケリスをレンタルで放出しただけで獲得はなく、ティモシュチュクがここを支えたとはいえ本職ではなく、怪我がちの選手が多い中で補強が必要なポジションでもありましたし、ウイングにしてもフォワードにしても同様でした。ただスターティングメンバーを固定したがるファン・ハール監督にとっては重要なことではないのかもしれません。唯一といってもいい変化は正ゴールキーパーへクラフトを任命したことくらいでしょうか。

バイエルンは自陣でボールを回す際のラインが低く、この日セントラル・ミッドフィールダーとして出場したファン・ボメルもティモシュチュクもボールの引き出しに関しては大きく戻らない二人でしたから、センターバックはそこからパスを出すのに躊躇している場面が多く見られていました。そのことが前線との距離を広げてよりパスを出しづらい環境を作ってし埋まっていましたし、躊躇している間に中盤の選手たちにマークがついてしまい、より出せない環境を作ることに繋がっていました。一見球際に激しさを持っていたように見えたヴォルフスブルクですが、この部分の判断の遅さによって寄せられていただけで、それほど素早いプレッシャーによって試合を支配しようとしているようには見えませんでした。
そのため、最初の部分さえクリアしてしまえばバイエルンはパスを使って相手のゾーンを揺さぶることが出来ましたし、ディフェンスラインも下げさせることが出来た。サイドバックも盛んにオーバーラップをしてウイングとの連携も出来ていましたし、より高い位置でそれが出来ることで相手を下げさせてクロスも深い位置から入れることが出来ていました。守備に回ったときにも攻撃に加わった人数が連動してフォアチェックを行いプレッシャーを与えて攻撃を抑えていました。ただヴォルフスブルクの攻撃も、バイエルンのサイドバックが積極的に上がる裏を利用していましたから、フォアチェックをかいくぐられてしまいとディフェンダーの外側を利用されてしまうケースがありました。

状況はまだ流動的で決まっていなかったものの、先制点が思わぬ形で入ってしまったことで変化してしまいました。キーパーのクラフトがしたフィードに相手のディフェンダーが処理を失敗し、キーパーのベナリオに任せてしまったのがそもそもの原因で、彼のクリアもお粗末でした。単純にクリアを目指せばよかったんですが、前線へと蹴り出そうとしてしまったことでミュラーに当たり、それが跳ね返ってゴールに吸い込まれてしまった。クリアすべき場面はきっちりとクリアするべきでした。その後も試合終了までベナリオのキックは安定せず、キーパーからのフィードが機能しないことでヴォルフスブルクは苦しめられることになってしまいました。

ただ先制点こそ取れたものの、セントラル・ミッドフィールダーがボールを引き出していく動きは相変わらず無く、事前にセンターバックと近く保ってボールをもらえるようにすると、今度はそこより一つ前の選手たちと分離してしまう。そのためサイドバックはセンターバックかセントラル・ミッドフィールダーとの交換が主になってしまう。ウイングに早く預けられればオーバーラップをして連携が目指せてチャンスを作ることが出来ていましたが、それを安定してするためにはディフェンスラインの高さと中盤との連携がまだ足りていませんでした。特にティモシュチュクは前を向けておらずバックパスにしてしまうことが多く、別段そこにかかるプレッシャーが強いわけではなく、前を向けるチャンスがあるにもかかわらずそれを意識できておらず、センターバックにしても縦パスを選べていないが、そこにかかる負担も少なく、縦パスを緩やかにコースを塞がれているだけでした。アタッカーにマークは付いていましたが、それでもリスクを負って縦パスを入れて縦の連動や変化を求めてもいいはずで、それをすることでマークをずらせてしまえることもあるんでしょうけれど、それをしようとしませんでした。何よりアタッカーがマークを外したりサポートをして連携をしたり、という横の連動がないことでそのマークを引きはがせていないのが原因なのかもしれません。時間が経つにつれ、中盤で繋ぐことを諦めてフィードを使ってフォワードの一枚まで飛ばしてプレイするようになってしまい、繋ぎに戻ってくれるロッベンの投入まで待たなければなりませんでした。

ヴォルフスブルクの守備は緩く、どうにもマークを外してしまいがちで、目の前にいる選手にこそ集中をできてはいましたが、それが足を出したり、掴まえておくとか、奪うとか、直接的な動きにこそ集中していられるものの、後方から上がってくる選手とか、今目の前でボールに関与しようとする選手以外に対する注意が甘く、クロスやサイドからのパスなどから多くのチャンスを作らせてしまっていました。ギャップを作る動きはバイエルンが上手くやっていましたが、人数が多かったわけではありませんでしたし、ここの守備はお粗末でした。ただPKをバイエルンが得た場面では足がかかっているものの甘いジャッジだとしかいえず、判定としてはバイエルンに有利な笛が吹かれていると観客が煽っていた通りだと思えるほどでした。

バイエルンの守備の状況もよくなく、デミケリスを放出した意図がわからないほど同じ状況でした。サイドバックのプラニッチが相手のマークに付くところまではよくても、その選手がボールを受けに戻る動きを見せてしまった際に彼がついて行ってしまう。中盤の底やサイドの選手へと受け渡しが出来ておらず、そのままついていかなければならないことでセンターバックがサイドのケアの為に引き出されてしまう。この左にバドシュトゥバーが引き出されたからといって中央の人数が減ったところへファン・ボメルやティモシュチュクが戻ってくるわけでもなく、身長の低いラームがクロスへ対応しなければならない厳しさまで抱えたまま、中での対応を少ない人数で行わなければならなくしていました。特にサイドバックの前とサイドアタッカーの背後の中間へ相手に入られたときに誰が対応するのかという部分で曖昧なために引き出されてしまっているようでした。そしてそれらをプラニッチが止められるわけではなく、縦への突破を許してしまうためどうしてもセンターバックのカバーが必要になる。デミケリスが出場していたときも同じ事が繰り返されていたわけで、そこの解決がされなければ何回センターバックを入れ替えたとしても安定しないのではないかと思うほどでした。

グラフィッチがバイエルンのディフェンスラインが下がりすぎ、受けに戻る動きに対しても、あるいは前へ向かいながら受けようとする動きに対しても密着出来ておらず、背後から掴まえ切れていないことで前を向いて受けられるようになり、いくつかチャンスを得たことでヴォルフスブルクが途中から勢いを出してペースを握るようになっていました。バイエルンの後方がプレッシャーに弱く、それをかいくぐれないことも影響して攻撃の勢いそのままのプレッシャーで押し込まれてボールを前に運べず、バイエルンのパスミスもあって奪われる機会が増えて何度も繰り返して攻められることになっていました。
バイエルンはそのプレッシャーをいなせずファウルを増やしてしまい、審判に助けられなければヂエゴのフリーキックからシセロが押し込んだゴールで追いつかれているとこでした。ただ審判が助けたのはバイエルンだけではなくヴォルフスブルク側にもPKに値しないプレイにも笛を吹いてPKを与えてくれましたが、これはクラフトが止めて同点にはいたらず。レベルの低い審判が下手にバランスを取った結果、不信感を両者とサポーターに与えるだけなってしまったようでした。

後半は前半に比べセンターバックが縦パスを入れていけるようになっていましたが、前半終盤のヴォルフスブルクの勢いが継続しているかのようで、それに気押されて試合に入ってしまいました。バイエルンの守備は序盤のようなフォアチェックからのプレッシングで主導権を握れるものではなく、裏へのフィードを怖がってラインが下がり、中盤のエリアが伸びて連動したプレッシングが出来るほど前線に人数を溜められなくなっていました。後方で処理しなければならなくなったことで、攻撃に回ったときにも変化をつけられるほど上がっていけず、散発的な攻撃と個人の突破に頼らざるを得なくなっていました。センターバックのグラフィッチへのマークも甘いままなのは変わらず、走らせてしまっているから下がらなければならず、動きにバリエーションをもたらせてしまっている。背後からきっちりと掴まえてしまえばいいがそれが出来ず、グラフィッチとマンジュキッチ、あるいはヂエゴらが連動できているわけではないのだから、もっと密着してもいいはずなんですが、それも見られませんでした。

ヴォルフスブルクは攻撃にこそ勢いを出せていましたが、守備はゾーンが常に開いていて連動も出来ていませんでした。それぞれが自分の掴まえる相手に注意を払ってウイングへのマークに開いた結果、ディフェンスラインは選手間の距離をどんどんと広げてしまい、バイエルンと同じく中盤の選手がそれを埋めに戻らない。バイタルエリアを閉じられないまま開いてしまうため、ロッベンへ中にドリブルで入る余裕を与えたり、オーバーラップを許したりして、サイドへ上手く押し出すことが出来ればバイエルンの人数もかかっていませんでしたから抑えられましたが、あまりにも緩いものでした。バイエルンがディフェンスラインに多くの人数を入れようとしておらず、マイナスのパスでスペースを使おうとしていたから助かってましたが、中央に多く入り込んでクロスで勝負をされていれば数的に対応できなかったかもしれないほどでした。

ヴォルフスブルクは終盤にさしかかると、自陣のディフェンスラインの低さとバイエルンのディフェンスラインの低さもあって中盤にスペースができているものの、消耗からスピードアップできなくなり、カウンターにもプレッシングにも迫力が無くなってしまいました。ディフェンスラインはペナルティエリア付近へばりついて、プレッシャーをかける選手に連動せず、バイエルンは安全にボールを回していられました。ただ効果的な崩しに繋がるパスはなく、前へ出てこようとする意志を挫けていればよしとする程度でした。ヴォルフスブルクがラインを上げようとしてくれれば裏を狙うことも出来ていたのかもしれません、それがなかったために前で回し続けるだけで変化を与えられませんでした。そういったことが徐々にヴォルフスブルクのラインを上げる事に繋がり、ラインが上がればサイドに人数がかけられサイドバックから中央へ上げられるクロスにも中の人数が増加してチャンスを増やし、バイエルンは危険な処理を何度も強いられることになりました。バイエルンは、セントラル・ミッドフィールダーのファン・ボメルが相変わらず戻ってスペースを埋めなかったことで各選手を掴まえ切れておらず、数的に不利の状態を作ってしまいましたし、そこにシュバインシュタイガーのミスが加わったことで失点してしまいました。勝てる試合を落とした原因を彼だけに求めるべきではないんでしょうが、これまで多くの試合で同じ事を繰り返しながら修正されない部分ですから、この形での失点は諦めなければならないのかもしれません。

終了間際にロッベンのシュートからミュラーが押し込んだように見えたものがオフサイドで認められなかったのは、ヴォルフスブルクのゴールが認められなかったことを考えると不思議ではありませんでした。審判の判断は細かな部分ではバイエルン寄りではあったようでしたが、肝心なところではしっかりとどちらにとっても不利になるようなバランスが取られていて、満足のいくジャッジではなかったにしろ、ある意味では公平だったのかもしれません。

アジアカップ Group -B- シリア対日本

2011 年 1 月 14 日 金曜日

■Syria 1 – 2 Japan
シリアの守備は早く、それぞれを掴まえようとしている点では前節のヨルダン戦とそれほど大きな違いはありませんでしたが、フィジカルコンタクトに関しては緩く、ディフェンスラインも低くはなく、一定の高さを保とうとしているようでした。サイドの守備を中盤に任せるほど後方への運動量を必要とさせず、サイドバックが中央のブロックから外へ張り出して対処することを主に狙っているようでした。その分、中盤中央の選手が後方に下がってスペースをケアする必要がありましたし、なによりシリアは日本のディフェンスラインやボランチに対してのプレッシャーのかけ方がヨルダンと比べると格段に緩く、自由を与えてくれていました。シリアのフォワード一枚も積極的なチェイシングを見せるわけではありませんでしたから、日本は余裕を持ってボールを扱え、ディフェンスライン間でのパスで時間を浪費しているような場面は見られず、ボランチへ縦パスを入れてスムーズなスタートを切ることが出来ていました。それ以外にもセンターバックがボールを自由に扱えることでサイドバックの位置をあげられましたから、そこへマークを寄せさせた上でウイングまでフィードで飛ばして展開できましたし、ウイングとサイドバックの距離を縮めて連動させることも出来るようになっていました。フィードやサイドチェンジこそパススピードが足りず寄せられるような場面が見られましたが、グラウンダーのパスに関してはこの試合のパススピードは上がっているように見えました。

守備の面でもシリアは比較的やりやすい相手でもあるようで、縦の突破を抑えることできちんと守れていました。タッチライン際をドリブルで駆け上がられるのではなく、中央に寄り気味でドリブルを仕掛けられていましたから、縦のコースを切ることでまず一歩の目の対応をしやすい状況でしたし、抑えれば横に動くのもわかりやすかった。横パスの連動や駆け上がって受けるようなパターン化された攻撃もありませんでしたから、虚を突かれるようなこともなく、ドリブルから裏へのパスもそれほど見られませんでした。一本のロングボールによって裏を狙われることはあって、シリアの攻守の切り替えの早さ、人数の増加などもあって徐々に対応を難しくしてしまい、サイドバックがバランスを取って下がらなければならない場面は増えていました。ただセンターバックが引き出された上で裏へ入れられている訳ではありませんでしたから、こぼれ球に対しても反応できていましたし、中央にスペースを作っているわけでもなく、体を寄せきることが出来ずにシュートを打たれることはあっても崩されてしまう心配は殆どありませんでした。
裏ではなく手前へ出されるパスに関しても、ヨルダン戦は中盤の裏側で受けられて起点にされてしまっていたんですが、この試合は吉田がマークについて上がり、それに対応することでスペースを与えず前を向かせていませんでした。カウンターに残っているフォワードが一枚であることで戻った相手についていっても今野が残っていればカバーは出来て十分にケアを出来た上での守備でした。その形が出来上がることによってグラウンダーを防いで、日本のディフェンスラインは高く保てるようになりましたが、出所を抑えられないフィードに関しては下げられてしまうのは仕方がないのかもしれません。前線もプレッシングは行っていましたが、クイックに動かされてしまうことでプレッシャーをかけきれずフィードされてしまっていました。

前節はポジションを固定してしまって停滞気味の攻撃でしたが、この試合は攻撃時にアタッカーの選手たちが受けに戻りボールを引き出そうとすることで、相手の守備陣形をマークのために引き出して崩せていましたし、前後の分離を軽減する効果ももたらせていました。そこへ縦パスを入れながら他が上がっていく時間を得ることで、こぼれ球を拾えるだけの厚みに出来ていましたし、クロスの際にペナルティエリア内に人数を入れたり、サイドからの攻撃に厚みをもたらしていました。それに加え、ポジションチェンジもしていましたから、その課程で選手同士の距離が近くなり、横のサポートを得やすい環境が出来上がり、孤立してしまう場面は多くありませんでした。シリアのフィードによって押し下げられることで前後の距離を広げられてペースを掴めない時間帯もありましたし、後方からは浮き球が多く送り込まれることで、コントロールしてからパスをするまでに時間が必要になり、その間に寄せられて遅らされたところへサポートを加えて二枚で囲い込まれるような守り方をされるようになってしまいましたが、相手が前へ出て抑えようとする動きの逆を突いて、本田が相手の裏や縦への飛び出しでボールを引き出すことで変化をつけて、そのプレッシャーから逃れましたし、得点にまでその動きを繋げられていました。

先制点以後は二本は多少よくなり、前後の距離はまだ開いていましたが、本田は先制点から継続して裏への飛び出しを多くしてボールを引き出し、相手のプレッシャーを前へ向かわせないようにしていましたし、それ以外の選手もダイレクトであったりタッチ数の少ないプレイでシリアに寄せるだけに時間を与えていませんでした。ボールをす百動かすだけでなくポジションも動かしてそれぞれの隙間に入り込んで引き出していましたから、シリアはそれに寄せられず、複数で囲い込めるような状況を得られないことで混乱しているようでもありました。
日本は支配率を高めていましたが、持たされているというよりは、主導権を持って回せていて、横パスよりも早いリズムで縦パスを入れて変化も加えていましたし、縦パスが効果的に入れられるように前田と本田が動いていました。序盤はサイドの展開ばかりで使えていなかった中央での裏への変化も出ていましたから、よりサイドへ飛び出す動きを利用できるようになっていました。支配率を高められたことでシリアに攻撃をさせず、コンパクトに保てるようになり、攻守の切り替えからプレッシングで奪い返してしまえていました。

ただ後半の主な流れはシリア側にあって、交代でフォワードが投入されて二枚になったことで、後方へ引っ張られやすくなったことが原因のようでした。それまではプレッシャーがかからなかったディフェンスラインとボランチにチェックをされてしまうようになり、変化について行けておらず奪われてしまう場面が多く見られてショートカウンターを受けてしまっていました。何度かそれを繰り返してしまったことでシリアを勢いづかせて、さらにフォワードが二枚いることで、それまでは中盤裏のスペースを吉田が出て行くことでケアできていたものが、それらの対応にかかりっきりにならなければならず出て行けなくなった。他の選手がそこをケアしなければならなくなったんですが、流れを譲ってしまたことでサイドを高く保たれてサイドバックが絞ることもなかなか出来ませんでしたし、センターバックがサイドへでる必要も増えていました。裏へ抜けられないようにセンターバック二枚が下がってしまうことでディフェンスラインが低くなってしまって距離が開き、ボールを奪っても攻撃に繋がりませんでしたし、プレッシャーを受けることで前半のように逆サイドまでフィードすることも出来ませんから、コースを限定されて、受け手は背後から抑えられて満足に前を向けませんでした。それをかいくぐって攻撃に出たとしてもシリアは前半よりも大きくラインを下げて裏へ抜けられないように布陣を整えていましたから選択肢を限定されて、前半途中からあったような飛び出しからの組み立てを封じられてしまいましたし、シリアへ守備の狙いを前一本へ絞らせてしまっていました。足を出して強く当たれるようになったことも含めて、日本は時間をもらえず常に体を寄せられて足を出されて窮屈なプレイを続けられている時間が続いていました。

川島が退場にさせられPKを取られた場面も審判の判断が非常に悪かったとはいえ、日本の判断ミスからバックパスを選択させ、それをキーパーに任せてしまったのもミスからの出来事でした。シリアが前へのプレッシャーを強めている中でのバックパスであったり、キーパーへの危険な処理を強いることなく、どこかできっちりとクリアをしていればあんな事態にはなりませんでしたから、半分以上は自ら招いた失態でした。ただ判定は非常に悪く、明らかなオフサイドポジションと副審の判断を無視した主審の判断によってPKにされてしまい、川島も退場にさせられてしまった。

同点に追いつかれた後の攻撃はフォワードを一枚減らしてしまっていることから攻撃にかけられる人数が少なく、ペナルティエリア内に入り込める選手が少なく苦しいものでした。攻撃に出たときにも三枚でのプレイが中心で、走って変化をつけようとしてもシリアは引いて守っているからそれらに裏へのスペースがない。たった三枚でプレイするには難しく、前後を分離させられているためにサポートも期待できず、という状態でしたが、岡崎が倒れたプレイをPKにしてもらえたことで日本は救われました。あのPKの判断もファウルではないプレイに対して笛を吹いてPKにしてもらえただけで、どちらのPKにしても正当なものであるとは思えませんでした。主審が主役になって振り回されてしまっただけで、両者に一回ずつPKを与える必要はどこにもありませんでした。

その後は逃げ切るような試合展開にするしかなく、本田にしても松井にしても動き続けるには難しく運動量は低下していましたから、岡崎が動いても孤立してしまうために一人が動き続けることも出来ず、フィードを本田に競ってもらうことぐらいでした。そのこぼれ球を拾う、あるいはシリアがラインを上げて攻撃に出ていることもあって裏へそらせて抜け出す、これぐらいしか可能性としてありませんでした。殆どの時間でそれは成功せずにドリブルで仕掛けられてどんどんとエリア内に入られ、ファウルを求めるような展開とスローインとクロスの連続で勝負されて後方は押し上げられない状態を作られて堪え忍ぶばかりでした。そのためディフェンスラインは常に低く、相手に手前でボールを持たれてしまうほどでしたし、下がりすぎて距離を広げられ、当たりにいけなくなってシュートを打たれてしまう。何とかしのぎきり勝ちを得ましたが、審判の判定やファウルを貰いに来る姿勢を含めてアジアカップですから、迂闊なミスをせずにきっちりと一試合通して守りきりたいところです。