■FC Barcelona 3 – 0 Racing Santander
バルセロナは世論は敗戦の影響をあまり感じさせず安定して試合へ入っていました。ラシンがどういった戦い方をするのか見て判断するよりも早く、バルサが得点を取ってしまいましたし、まったく国王杯の敗戦は影響していないようでした。
ラシンはセンターバックにまではプレッシングをしないものの、フォワードは注意深くセンターバックから出されるボールを見ていて、パスコースを探して先に展開させず外へ押し出そうとする意識が見られているようでしたが、バルサはラシンが人数を増やし待ち構えている中央を選択せず、タッチライン際を広く縦に使うことで最初の形を作っていました。限定して押し出せているはずのサイドでしたが、ラシンはチェックを徹底しているほどではありませんでした。バルサが寄せられる前に離し、素早いリズムでボールを動かしたことで体をぶつけさせませんでしたし、ボールを早く動かすことで視線を動かし、死角を作ってそこへ走り込むことでボールを受けようとしていました。
ラシンはシャビや下がってきたメッシとイニエスタを掴まえようとプレッシングを行ってはいましたが、寄せるところまではいっているものの、バルサのセンターバックが自由になっていることから余裕を持って動き直す時間を与えてしまっていましたし、サイドへボールを出して中央の厳しいエリアへわざわざ出さないようにもされてしまっていました。そのボールに対してもラシンは素直にゾーンを狭めてスペースを消そうとしてしまっていましたから、ボールサイドへ集められてゾーンを左右に振られてしまう。かといってボールを持つ選手に対して強くぶつかっていくわけでもなく、チェックとカバーで抜かれないような体勢を作りつつ挑戦する守備もしていない。ただエリアを狭めつつ足を出さずに距離を保って囲い込んでいるだけでしたから厳しさはなく、バルサはボールを回し、キープもし続けていられました。フォワードに対してのみ一気に寄せて人数をかけて掴まえられていましたが、それに集中をしてディフェンスラインのゾーンを中央へ寄せてしまうあまり、中央のバイタルエリアこそ上手く塞げて厳しさをもたらせていましたが、逆にサイドの人数を減らしてバルサにそこの利用を進めてしまっていました。全体的にはボールを自分たちの前に置いて見ていられることで安心してしまっているかのような印象を受けました。
ラシンはボールを奪ってから裏へ走らせることくらいしか攻撃の手段が無く、あるいはローゼンベリに収めてもらう必要がありました。裏へのボールに関してはビクトル・バルデスの的確な飛び出しによって安定して処理できていましたからバルサにとっては怖くなく、彼が処理できなくともアビダルが持ち味のスピードを活かして処理してくれるお陰で、躊躇せずに高いラインを保てましたし、アビダルとビクトル・バルデスの守備エリアの広さが安定をもたらしてラシンに攻めさせていませんでした。サイドを切り崩したり裏へのスペースへでて利用される怖さはありましたが、試合の主導権はバルサが握っていましたから彼らにチャンスは少なく、その場面も前半序盤と終盤のいくつかだけだったでしょうか。
何度もオフサイドになるほどバルサはディフェンスラインの裏を意識して飛び出していて、相手のゾーンが中へ絞られていることを効果的に利用していました。ラシンはボールを見ることが多く足を止めやすいことがそれを楽にしていて、ディフェンスラインを高く保って縦パスを入れづらいようスペースを消してきていましたが、中に絞った守備は外を空けたままでしたから、バルサのそこの利用でスペースをフラットにされてしまうだけでしたし、縦をコンパクトにしてもバルサの選手がそれぞれの選手間に簡単に入り込めているのをきっちり掴まえようとしていないことも、それを楽にさせてくれる要因になっていました。
ただラシンがセンターバックが中心となって、それまでは緩く囲い込むばかりだった守備がそれぞれの選手へ当たるようになったことや、距離をより縮めることなど、積極的な動きを一部の選手がし始めたことで、バルサの選手たちは相手を自分たちで動かすことを考えなければならなくなってきていました。ただコンディションや動きで問題はなく、それらをかいくぐれるほどバルサの選手たちは動いてパスコースを作っていましたし、掴まれたとしても簡単に奪われるようなことは少なく、ファウルにして試合が止まる程度でしたが格段に自由が減っていました。しかし素早く、激しく寄せようとすることはバルサの動きに合わせることでもあり、早く動かされればそれまでよりもゾーンを揺り動かされて崩される原因になるわけで、バルサは相手のディフェンスラインを動かして最後尾にスペースを作り出した後で裏を使っていました。ラシンは修正をして5バックにして逆サイドのスペースが空きづらくなるよう最後尾を横に広げることで対応しようとしていまして、一定の成果は収めたようでした。
ただ最後尾に人数を増やすと、奪えたとしても前へ出て行く推進力には欠けてしまうようになり、バルサはフォアチェックを徹底して労力を消費するだけでなく、コースを限定してパスカットを狙うように切り替えるなど、それらにもしっかりと対応をしていました。そのパスカットからのカウンターも出来ていましたし、スピードダウンもせずにやりきれていました。そしてPKを得て、2点目。
後半になるとラシンも前半より守備を積極的に行うようになり、崩されないように待ち構えるだけだったものがフォアチェックもするようになっていました。ディフェンスラインの5バックは崩したがらないようでしたが、ラインをある程度高く保つことでフォアチェックをする前線との分離をしないように出来ていました。バルサは最後尾と中盤にプレスがかかるようになったことから一時的に前へ出られなくなり、相手陣内でプレイし続けることは出来ませんでしたし、サイドへボールを出したとしてもラシンはゾーンを寄せすぎず逆サイドへも人数を残していましたからギャップを作れなかった。まず外に広がった守備がバルサの縦のコースを切っていることで詰まり気味でしたし、足を止められてしまうことで裏へ飛び出せず、選手の距離も広がってパスのリズムが単調になっていました。状況によっては6バックに見えるほど下がって広い守備をされることで、前半のよう無い手を絞らせてサイドバックの外側にスペースを作れないことでサイドバックもウイングも飛び出せませんでしたし、相手の前でボールをいったん受けてから展開しようとする意識が強すぎたのかもしれません。
3点目の場面のように、相手のサイドが中に絞り気味であり、早めにそこを使って裏へ出てさらに引き出してしまえば、リズムの変化を前半のように作れるわけで、その場面ではディフェンスラインに人数を入れて幅広く守ろうとしていたラシンはバイタルエリアの厚みを犠牲にしてしまっており、そこが失点の原因でもありました。そこのスペースへのメッシのドリブルによって中央に意識を寄せられたことが大きく影響しているのかもしれません。
3点目から試合としては落ち着いてしまった印象で、運動量が両者とも落ちたようでした。バルサは守備面でこそフォアチェックをしてラシンには繋がせず、攻守の切り替えも素早いまま相手陣内で多くのプレイを出来ていましたが、攻撃面ではラシンのチェックやコースを限定する動きが曖昧にはなっているものの、バルサは押し上げて相手にギャップを作るほどオーバーラップをかけなくなりましたし、相手の隙間に入り続けるほどポジションも動かさなくなっていました。スローダウンしているもののアイデアとパスで点は取ろうとしていましたから、ラシンが厳しく掴んで抑えることもできなくなっている事も相まってチャンスを作ることは出来ていました。ただラシンはローゼンベリを下げたことで起点が無くなりましたし、バルサはそれ以上の無理をしないようにスローダウンをしていましたから、余程チャンスになるような隙間が見えなければ得点を取る動きにはならず、危なげない終わり方をするのみでした。