■Japan(PK Win 3-0) 2 – 2 South Korea
日本は選手が変更された部分は右のサイドバックの内田が戻ってきたことと、センターバックの吉田が出場停止のため岩政が出場した程度の違いしかなく、キーパーを含めて選手の変更はなされませんでした。
フィジカルコンタクトは激しく寄せてくるものの、韓国のそれは日本もあまりかわらないものでした。むしろ思いっきり前線からのプレッシングに寄って日本の自由を奪いに来るかと思っていたんですが、それをしようとはしておらず、中盤に入ったボールをどう抑えるかというのを見ているようでした。それぞれの選手の距離を近く保っていませんでしたし、日本のボールの動きに合わせてマークをつけてきている印象が強く、後手を踏みながらもパスコースとポイントを絞られてしまうと寄せられて囲まれ、体をぶつけられてしまっていました。特に本田へ寄せようとする意識は強く、ボールを受けに戻ったり、収めて起点になろうとするところへ囲い込んでファウルになるほど足を出してきていましたが、全体的には動きが鈍く、日本が韓国の選手たちの間に入り込んでボールを受けられていました。パスを韓国の不安定なポジショニングの裏へ出すことも出来ていましたし、韓国のディフェンスラインはそれほど高く保っていないうえに、中盤が予め寄せていませんから、その背後には岡崎も本田も香川も入れていますし、サイドに流れた前田や岡崎が相手のサイドバックと対峙するのみでボールを触れていました。中盤を含めた複数で縦と横の両方のコースを切られているわけではないので、コーナーキックも奪えるほど縦に仕掛けられていました。
日本の守備組織の方が早く形成できていて、特にフォアチェックからセンターバックやサイドバックに自由を与えていなかったお陰で相手に繋がせておらず、不安定なフィードを相手にさせるばかりで繋がせていませんでした。一発のボールで裏へ走らせないようにディフェンスラインも縦のコースを切っていますし、サイドバックとセンターバックが抜けようとするフォワードを前後で挟み込んで安定した処理をさせませんでした。ボールを持たれてからの処理も、韓国相手に縦のコースを切って中に入られるような、スピードやクイックネスを活かされてしまう展開を許しておらず、しっかり中のコースを切って縦に走らせることで選択肢を限定して自分たちの守りやすい形を作れていました。それによってコーナーフラッグ付近にまで追い込んでクロスも満足に入れさせませんでしたし、中へ切れ込むような縦のドリブルも許しませんでした。問題があったのはサイドバック前にあるスペースから中央のフォワードへ、早い段階から裏へロブパスを入れられていたことで、それによってセンターバックが前後に揺さぶられてしまいましたし、裏への処理をしなければならないことでセンターバック前にあるエリアを使われてしまっていました。
日本はそれまで相手センターバックの前にあるスペースを使い続けていましたが、韓国はそこを修正し切れておらず、日本にそこの利用を許し続けていました。日本が相手ディフェンスラインの前で多くボールを受けられることは、韓国の中盤が戻りながらの守備を強いられることでもあり、前後で挟む形にこそなりますが、前向きなプレッシャーにはなりませんでした。日本は韓国中盤の背後を使うことで後ろ向きの処理をさせて攻撃に出られなくしていましたし、それにサイドバックが参加しなければならない状況を作ることでそこも押し留められました。日本のアタッカーは比較的高い位置を取っているためパスの距離は伸びてしまっていましたが、パススピードを早く維持できていましたし、ポジションも問題なく、予め相手が掴んでいないお陰でパスカットをされる心配もなく収められていました。
攻撃の安定から日本は守備の安定を取り戻し、自分たちの時間に出来ていました。サイドバックの前にあったスペースもボランチと連携して使わせないように動けるようになっていましたし、ウイングが押し留めていることで使われにくく出来ていました。攻守の切り替えとフォアチェックによってオーバーラップもさせない試合作りをしていましたから、韓国には裏へ一本のフィードしか選択する余地を与えていませんでした。ただその一本のフィードに対して今野のプレイがファウルを取られてPKになったのは不運としかないほどでした。それによって先制点を与えてしまいましたが、単純な裏へのボールを出されるのはフォアチェックが順調にいっていることで予測できることでしたから、後方へのケアは十分にしておかなければならなかった。ただそれを気にしすぎるあまりディフェンスラインを下げてしまうと、フォアチェックすら機能しなくなり押し込まれる要因になってしまいますから、そのイメージを引きずってはいけませんでしたし、日本は上手く切り替えて、その後は韓国にはサイドバックの外側にしか飛び出させていませんし、そこから中への展開をさせないようにきっちりとコースを閉じていられました。早いタイミングで浮き球をフォワードに出されることもなく、順調に守備は立て直せていました。
日本はしかしながら支配率を落としてしまうようになって、一時的にペースを落としてしまうことになりました。それまで全くなかった韓国のプレッシングが日本のディフェンスラインやボランチにかかるようになり、運動量を上げてそれぞれに素早く寄せてくるようになった。センターバックは時間的な余裕を持てないことからパスコースを探せなくなっていましたし、素早く動かそうとしても選手の距離が近いわけではなく、近すぎるサポートは継続してプレッシャーを受けてしまいましたから効果的ではありませんでした。ただ前線はそんな中でも有効に動けていて、香川と本田が縦の関係を作りつつキープをしたり、相手のゾーンをポジションチェンジによって動かすことでスペースを作っていました。同点に追いつけたゴールはそういったポジションの縦の変化から出来たスペースを長友がオーバーラップをして切れ込んだことで得たゴールでした。本田のキープによって相手の足を止めた腕トップスピードの長友に出してしまえば追いつかれるはずもなく、いい崩しでした。
同点になったことで一時は運動量を出してプレッシングできていた韓国も、再び足を止めて自由に扱わせてくれるようになっていました。キープを香川や本田が出来るようになったことで、ボランチの二人も安定してパスコースを探せ、より攻撃の形を作りやすくしていました。中央でボールを持てることで内田も長友も上がっていくタイミングを見つけやすく、中盤より前の選手たちもポジションチェンジをして横の変化を産み出しやすくなる。マンマーク気味の対応はそれによって厳しさを失いましたし、ポジションを相手同士で被らせて、日本の選手たちはコンビネーションで裏を使う。中で相手を引き出しつつ、相手の背後にポジションを取ることで、韓国のサイドバックを中に絞らせて、サイドにスペースを作ってしまえていて、韓国は何とか早く動くことで対応しようとしているものの、日本の運動量と動きによってそれぞれが背後を使われて視線を前後に動かしての対応をしなければならなず、防ぎ切れていませんでした。その間に日本はドリブルやパスでさらに左右への揺さぶりをかけていられますし、横の変化からギャップを作り縦パスを入れることが出来る。相手に運動量を強いることで、韓国はロングボールすらなかなか入れられなくなりましたし、繋ぐことも出来ていませんでした。理想的な崩しを期待できる状態にありましたから、前半のうちに逆転を出来ていれば楽に展開できていたのかもしれません。
後半になるとサイドバックが上がるべきスペースはウイングへの徹底したマークによって潰されてしまいましたし、中で起点を作ることで外のスペースを作っていた日本も韓国の守備組織が変わったことで中でプレイできずサイドへボールを求めに出てきてしまうことでサイドバックの上がるスペースを埋めてもしまっていました。日本の縦パスを収める位置がサイドへ移ってしまったことで韓国はそこへ重心をかけて守ってくるようになりました。オーバーラップをするサイドバックにもマークがついていましたし、サイドバックがきっちりと縦のコースを切った上で中盤と連携して守ることから縦への突破も狙えませんでしたし、中へパスを出して切り崩すことも狙わせてくれませんでした。中へ出せなければ横への揺さぶりが出来ず、ポジションチェンジも動きの変化もサイドバックの飛び出しも期待できない。タッチライン際からのみクロスを入れなければならず、タイミングもコースも限定されたそれでは効果的ではありませんでした。
前半は相手中盤の裏側でボールを受けることで安定して起点にすることが出来ていたんですが、後半に入ってからはそこの修正をされていました。韓国のディフェンスラインが高く保つと同時に中盤が不用意に前へ出すぎないような体勢を取ることでバイタルエリアを空けないように距離を縮められてしまいました。縦パスを収められない環境はそれで出来上がってしまい、さらには本田と香川にマンマーク気味にされてしまうことで、より起点を設けにくくなりました。
日本は前から守備を行って、韓国がボールを受けに後方へ戻ったり、足下での受けさせて後ろ向きの処理をさせて再びセンターバックへ戻させることも多く、前を向いてボールを扱わせない点では日本はある程度成功をしていました。サイドバックを含めてワイドな展開をさせないようにすることも継続できていましたが、いくつかの問題も出てきていて、ボールを奪う意識が強まったことと韓国の攻撃が中へ絞りつつあることから中へのコースを切って縦に走らせて安全に処理することが出来なくなり、縦のコースを切ってしまい、中へのパスやドリブルからのシュートを許してしまうようになりました。センターバックはそれの処理をしなければなりませんでしたし、裏へのボールも警戒しなければならない。ロングボールの処理もあってディフェンスラインを高く保つことが出来なくなり、フォアチェックの機能をどんどんと低下させてしまいました。フォアチェックが機能しなくなっていくとフィードだけでなく縦パスを入れさせるようになってしまい、センターバックがフォワードへのボールは裏へを第一に警戒していることから、受けに戻られてしまうと離してしまい、足下でボールを収められてしまう。ボランチの裏側で受けられて、そこから寄せるような後手を踏む展開が増えてしまったことから韓国にはオーバーラップをするチャンスを与え、それを呼び込むようになってしまいました。そのため、センターバックはオーバーラップしてくるそれらにも裏を取られるわけにはいかず、より後ろのケアをしなければならず、ディフェンスラインは下がっていく一方でした。
韓国はバイタルエリアを埋めながら攻撃を両立させるためにアンカーを入れてきていましたから、サイドバックの攻撃参加が増えてそれを日本は抑えなければなりませんでしたし、起点を作る宇野に苦労するようになっていました。
日本は何とか岡崎と前田がポジションを近く横の関係を狭めていくことで、サイドのスペース埋められていたサイドバックを中へ呼び込み、組み立ての段階で中央を利用するのではなくフィニッシュの段階でそこを利用しようとすることで、外に起点を求められるようになりました。ようやく攻撃に出られるようになったものの、ディフェンスラインを上げるほどのポゼッションを保てずミスも多くありましたから、中盤をコンパクトに保てず間延びをしてしまいがちでしたから、ファウルになる回数も多く、ペースを持続させることが出来ませんでした。前後で分離している状態ではドリブルで仕掛けることの多い韓国が有利に相手をより押し下げられましたから、日本は厚みを失ってしまい、セカンドボールを拾われて二次攻撃も許してしまい、一枚のラインでしのいでいるような場面が多く見られました。香川も交代で下げてしまったことでより、前後の分離が響いてしまうようになり、攻撃に出ようとしてもサイドバックは距離があまりにも長いためにオーバーラップを期待できる状態ではありませんでしたし、善戦でキープできたとしても停滞しがちで、攻撃の形は満足に作れないまま延長へ移らなければなりませんでした。
延長でも日本は消耗しきってしまった影響からディフェンスラインは高く保てなくなっていましたし、フォアチェックをすることで辛うじて踏みとどまっていたものの、ミスも多くカウンターを入れられるきっかけを多く作ってしまうことでロングボールの対策のために下がらざるを得ず、それ以後はその形が決まってしまいました。
攻撃面ではパスも満足に出せないほどパサーも受ける側も動けていませんでしたし、厳しさこそ減っていましたがプレッシングをされることもあって、それをかいくぐれるほどでもありませんでした。
運がよかったのは日本は前半に奪われたPKの裏返しのようなジャッジを審判にしてもらえたことで、岡崎がチャレンジしたからこそではありますが、PKをもらってなんとか逆転のゴールを決めることが出来ました。ただ審判の判断としてはこれもお粗末なものでした。
日本はリードをしたことで方針が固まり、フォワードが限界を感じさせていましたが、前へ簡単に出させないプレッシャーを与え、ロングボールを蹴るしかない状態にさせ、それを封じ込める。二列目に関してはきっちりと中盤が掴まえていられていましたし、日本は悪い時間帯のようにディフェンスラインに中盤が吸収されて厚みを失ってしまうような場面はなく、きっちりと二枚のラインを作りつつ相手の前に立ち、簡単にはボールを入れさせていませんでしたし、サイドバックの横にも中盤を入れて、サイドバックの横を縦に使われることも防いでいました。相手はどんどんとロングボールを入れるだけになり、日本もカウンターに出る場合は本田や岡崎、それと流れの中から出られる選手だけで、ゴールを脅かすことは難しいほど消耗していました。
問題は日本が相手の前に立つことが出来なくなり、フィードも縦パスも入れられてしまうようになっていたことと、中盤とディフェンスラインが一枚になってしまいがちになってしまい、厚みを失ってディフェンスライン前を使われてセカンドボールを拾われることはもちろん、縦パスからミドルシュートを打たれるようになったことでしょう。裏へ出されることも増えましたし、ロングボールを入れ続けられてしまうことで、足が止まって、足が出なくなり、クリアミスも増えて連続して攻撃を受けるようになっていました。本田と長友で時間を稼ぎ、相手の勢いを削げたのが大きく、そのまま逃げ切ることができれば最善だったんですが、パワープレイのこぼれ球を押し込まれて土壇場で同点に追いつかれてしまいました。
驚異的だったのはむしろここからで、精神的に落ち込んでしまいそうな時間帯での失点にも関わらず、選手たちは集中を切らしていませんでしたし、落ち込みも見られませんでした。PK戦になってからもキッカーには疲れが見えましたが、キーパーの川島は非常に集中をして、二本も止めてしまいましたし、ベンチを含めて勝ちしか見えていないかのようでした。