■FC Barcelona 5 – 0 Real Madrid
試合へはバルサが常に先手を取って入っていました。まずはプレッシングで押し込んでいましたし、サイドからの攻撃でアタッカーを押し下げてしまっていました。
マドリーはクリスチアーノ・ロナウドが左にポジションを取ってスタートすることが多いんですが、この試合のスタートは彼を右に回して左にはディ・マリアを置いて、バルサの右サイドにいるダニエウ・アウベスと場合によってはメッシの攻撃力を警戒して守備には奔走しないクリスチアーノ・ロナウドを右に回したようでしたが、結果としてはそれは逆効果になっていました。バルサはアビダルにバランスを取らせて中央にスライドさせて守らせる形を取ることでダニエウ・アウベスのポジションをあげられるよう対策を取っていましたが、それは相手がクリスチアーノ・ロナウドなら数的有利を作れる攻撃でしたし、そうでなければそちら側に回ったサイドアタッカーを下げられる攻撃でした。
ディ・マリアはバルサがボールを持っているときにはダニエウ・アウベスをフリーにしないようについていくよう指示をされていたようで徹底してマークをして下がってしまったためにディフェンスラインに吸収される事態になってしまい、いくつかのクラブがしてくるような、カウンターでダニエウ・アウベスの裏を利用することで上がらせない方法をとっていませんでした。そのため、ディ・マリアとマルセロ、そしてピボーテがそこで守らなければならず、人数をかけるはめになっていましたし、そこで奪えたとしても縦にボールを出せる選択肢が無く、カウンターには移れていませんでした。
マドリーはバルサに中央でボールを回させないようにしっかりとバイタルエリアを閉じて中央を固め、ディフェンスラインをワイドに広げずサイドアタッカーを下げることでサイド攻撃に対応しようとしていました。それは後手に回った守備だったんですが、中央で自由を与えないようにするためにはラインを高く保たなければ中盤までエリアをカバーできないため、ディフェンスラインと中盤の間隔は狭めながらも予想以上にラインを高く保って試合へと入っていました。そのためバルサは試合開始直後から数本の中長距離のパスで裏を狙いラインを下げさせようとし、効果を上げてディフェンダーとミッドフィールダーの距離を広げてそこへ入れるスペースを作り出していました。
何度かバイタルエリアに入ってボールを受けて展開を目指そうとバルサがしたために、マドリーは本来中へ入ってくる選手を抑える役目のピボーテがそれを行えず、センターバックが対応にでなければならなくなっていました。それが受けるときだけであれば問題なかったものの、ボールを受けるために下がっていく動きに対してもマークの受け渡しが出来ておらず、センターバックがそのままついて行ってしまっていた。それが先制点の時にはギャップを作ることとスペースを作って入られることにも繋がっていました。シャビの飛び出しはオンサイドであっという間の先制点を取ることが出来た。
バルサは安定して守っていて、ロングボールを直接ディフェンスラインの所へ入れられたときも、一人が対応して、残ったもう一枚のセンターバックとサイドバックがさらに後方に下がってケアをする。そらされたり裏へ抜けたときの対応も出来ていました。マドリーが人数をかけてフィードから裏を狙ってもいませんでしたし、片方のサイドはバルサの攻撃によって大きく下げられてしまっていましたから、いつものような人数をそこへ用意できずフィードをそらせたとしてもチャンスになるほどではありませんでした。それに加え、カウンターへのスピードを上手く殺していてドリブルをされても中へ入らせないように徹底してコースを切り続けクリスチアーノ・ロナウドを停滞したドリブルにまで追い込み、揺さぶられていませんでした。もしイグアインが出場していれば二人のスピードが脅威になたのかもしれませんが、ベンゼマでしたし、何よりも他に意識を取られるような選手のオーバーラップがありませんでしたから、停滞させることが出来、中の人数を揃えて守ることが出来た。マドリーの連携は出来たとしても横の連携であって縦ではなく、複数の連動した動きではなく個々の頑張りでした。
バルサは懸念していたようなことにはならず、シャビ、イニエスタ、メッシが同列に並ぶ場面は少なく、そこでボールをコントロールしながらも誰かがバイタルエリアに入っていましたし、飛び出していく裏を強く意識したプレイを続けていました。それに加えて、マドリーが固めたブロックの外側、ピボーテの外側でサイドバックの手前であったり、あるいはサイドバックの外側の利用をしていた。お陰でマルセロは中央を固める役割に参加できませんでしたし、ディ・マリアもまるでディフェンスラインの一員かのように引っ張られていました。それぞれ距離を近く守っていましたが、メッシには特に厳しくマークをつけていて、それがシャビ・アロンソであったことが驚きでした。メッシがサイドにでれば彼も引き出されてついてきていましたし、前を向かせないように激しく当たろうとしている気配が強くありました。ただそれがバルサを抑えるためのもので後手に回って守備に忙殺されてしまっていることでもあるせいで、シャビ・アロンソが攻撃時にフリーでボールを持てる回数は非常に少なく、マドリーは自ら展開するための手段を削ってしまっているようでした。
バルサが徹底して裏を狙い続けたことがマドリーにとっては大きな負担になっているようで、ラインを高く保ってプレッシャーを与える守り方を選択してしまったことで、盛んに裏へ飛び出されてしまい、スルーパスもそれに合わせて何度も出されてしまった。ペペが何とかそれに対応して足を出していましたが、ぎりぎりのものが殆どで、それ以外の選手は対応し切れているとはいえないほど難しい処理を迫っていて、それがバルサの選手が裏へ抜けてくることを意識に擦り込まれることにもなり、先制点を決められた場面のように前へ出て守備をしようとしていたものがそれが出来なくなり、二点目のように、裏へ抜けるイニエスタの動きに釣られる結果にも繋がっていました。そして逆サイドのビジャをフリーにしてしまい、縦の突破からクロスをも許してしまった。
二失点をしたことからクリスチアーノ・ロナウドが左へとポジションを戻してディ・マリアが右へと動き本来のポジションにしていましたが、この方体ではダニエウ・アウベスの上がりを遮るものは無くなってしまい、メッシには特にセンターバックを引き出して守らなければならなくなっていましたし、アビダルもクリスチアーノ・ロナウドを見ておかなくてもよくなったことで高い位置まで上がってこられるようになっていました。守備の難しさはその分出てきてしまいますが、ピケがそのまま右へスライドするのではなく、相手の動きに合わせてプジョルが右に出て対応することでスピードや受ける動きへの対応をしていましたし、ダニエウ・アウベスに若干バランスを取らせることでスピードにも数的にも対応できる環境を作っていました。クリスチアーノ・ロナウドが序盤のように縦への仕掛けを最初に選択するのではなく、バックパスからシャビ・アロンソへボールを出してコントロールさせようとしたことで多少の構築は出来るようになって、一方的なポゼッションは出来なくなってきていましたが、それでも足があまり動いておらず繋げず、人数もかからず、それほど大きな脅威にはなっていませんでした。
バルサはボールを引き出してサイドバックも含めて大きく開いた展開をしている。マドリーはそれぞれに時間を持たせないように前線の選手たちにハードワークをさせてチェックをかけてきていましたが、初期位置が中央よりに位置してブロックを形成しているため、対応するためには外へ引き出されてしまうことになる。寄せたところでパスを出されて動かされ、戻ってチェックをしてまた動かされ、バルサのセンターバックにもチェックに来ていましたが、二枚同時に抑えようとしていませんでしたし、サイドバックを抑えられていませんでしたし、アンカーにも来ているわけではなく、徹底できていないために引き出されるばかりで奪える気配がありませんでした。
ただグァルディオラ監督とクリスチアーノ・ロナウドの接触で多少揉めたところからマドリーは全体の動きを活発化して厳しさを与えられてしまうようになってしまっていました。バルサは左側にスペースを見つけながらもマドリーに勢いが出てきたことを警戒してアビダルを上げずに攻撃をするようになり、多少ワイドさは失われてしまい、サイドバックの外側でキープをして相手を引き出して裏を狙う動きが減り、前線からのプレッシング、ハードワークをかわしつつ自由に回して相手の手前でボールを回しているだけになってしまいました。左のアビダルが上がれなかったのは、その時間帯からクリスチアーノ・ロナウドが中央にポジションを移して対応しなければならない選手が中に増えたために仕方のない処理でしから、残りの時間や多少荒れ気味になりかけていたことを考えればいい前半の終わり方だったのかもしれません。
後半にマドリーはエジルを下げ、ラサナ・ディアラを入れてきていましたが、その効果はシャビ・アロンソが守備に忙殺されていたのを助けていましたし、サイドバックのオーバーラップを助ける効果もあったようで、マルセロが高い位置まで躊躇なくオーバーラップしてこられるようになっていました。バルサは左のアビダルが中へ絞ってセンターバックのような振る舞いをさせていましたからファーサイドにスペースが出来気味で、そこへのクロスを狙っていたようでしたが、バルサのプレッシャーや、単なるミスによってパスが繋がらずにクロスを入れ続けることが出来ていませんでした。
ただバルサもサイドバックに上がられてしまえばペドロやビジャも下がらなければならず、その分高くポジションを保って、ダニエウ・アウベスもあげて盛んにワイドな攻撃を出来なくなって彼がバランスを取らなければならなくなっていましたが、その分アビダルが攻撃的にオーバーラップをして左のアクセントになっていましたし、右のセルヒオ・ラモスをあげさせずに留めておく役割を果たしていました。
マドリーがピボーテを三枚にして縦のコースを切るべく対応をしてきたことも、メッシにとってはあまり効果が無く、むしろ好都合なようでした。それまでのように中にブロックを作られるのではなく、後方に並べてくれているだけであって、中へ切れ込むドリブルに対しても前へ出てこられず横へスライドするばかり。これまでモウリーニョが指揮していたインテルとチェルシーではもっと時間が経過してからの対戦であったために、この横へのドリブルを防ぐために人数をかけて縦と横を同時に防げていましたが、まだ徹底できておらず余裕を与えてくれていました。そのため横に釣られてスペースを与え、視線を集めてしまって裏への飛び出しをバルサに許してしまう。バルサは前半の終盤こそ裏を狙わなくなってしまっていましたが、後半に入ってからはきっちりとまた狙うようになっており、ビジャの抜け出しからの三点目もそれから生まれました。そして四点目はカウンターから。
バルサのプレッシングは機能していて、相手が上手くコントロールできていない最後尾へチェックをしてそこでも奪えていましたし、シャビ・アロンソがコントロールするところも全く自由にさせておらず、マドリーとは寄せる速度が違っていました。ボールがでてから反応しているように見えるマドリーは後手を分で寄せられるところまで体を持っていけず、アフターで当たるかファウルにされてしまう。バルサは持たれたところに当たるのではなく、出るであろう場所に寄せていることも大きく違っていました。チェイシングがコースを塞げていましたし、それと連動して抑えられていた。マドリーも運動量が落ちてマークを引きはがせておらず足下でもらおうとしていましたから、バルサは何度も高い位置で奪えて、カウンターを受けることもなくなっていました。
マドリーは終盤になると全くラインの統率が取れておらず、特にセルヒオ・ラモスなどはボールを見ているばかりで自分がマークすべき選手も見ていませんでしたし、カルバーリョが強く当たるために出て行き、他がそれに合わせてラインを上げているにもかかわらず歩く、あるいは足を止めて立ってギャップを作っていました。バルサの選手たちがそれに気付いていなかったお陰で裏へ抜けられることはありませんでしたが、左へバルサが重心をかけられる要因にもなっていました。
マドリーは前後の分離をして間延びしてしまい、前に預けられずカウンターも出来ず、戻って守備をしてもさわれず、上下動をひたすら強いられているだけでした。ラインもバラバラになり、中盤のブロック形勢も形を成していない。シャビ・アロンソがディフェンスラインに吸収されることでようやく人数をそろえて守っていましたが、カードが増え、荒れ気味の試合を作る要素にもなっていました。
プジョルの徹底したロナウド封じは、何処にでもついて行ってしまうため彼を囮に使われてしまうと危険なものでしたが、それをマドリーが彼を囮にしてプジョルの出た後を利用しようとしていない。というよりも人数をそろえていないからバルサが絞ってその穴を埋める方が早いため、利用したくとも利用できていない様子でした。
そのままの点差で終わるかと思ったんですが、最後に集中力が完全に切れていたセルヒオ・ラモスの裏側からジェフレンが入ってゴールを決め、5点目。その後のセルヒオ・ラモスへ出されたレッドカードの原因はここでしょうし、さらに暴力行為もそこが影響しているようです。終わり方としては後味がよくなかったものの、試合内容としてはこれ以上なく圧倒して完勝。試合前に危惧していたのは何だったのかと思うほどカウンターもさせていませんでした。
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