■Borussia Dortmund 2 – 0 FC Bayern Munchen
バイエルン・ミュンヘンは布陣を変更してこの試合に臨んでいました。フォワードにはクローゼではなく、途中出場の多いマリオ・ゴメスを先発させ、左のサイドバックにはブラーフハイト、中盤ではプラニッチを配してシュバインシュタイガーを一列前で起用させるなど、あまり試合ごとの起用に変化をつけないファン・ハール監督にしては大きな変化をつけているように見えました。
バイエルンはメンバーは変わってもプレイスタイルの変更はしないようでショートパスによって試合を構築したがっているように見えましたが、ドルトムントが積極的に中盤を囲い込もうとしてポジション修正をしていることから前へ運ぶことが難しく、サイドバックを経由してそこからなんとか前へパスを出そうとしていましたが、それも上手くいっているとは言えませんでした。ドルトムントはフォワードのバリオスも含めて、後方から追いかけるようなスタイルを作らず、それぞれが相手の前に入ってコースを塞ぎ、一人が時間を稼いでいる間に他の選手も寄せて別のコースも次々に塞いでいく。そのためセンターバック同士のパス交換もあまりさせておらず、キーパーに多く戻させることに成功をしていました。バイエルンはこれまでと同じく、センターバックがそういった状況へ追い込まれてもアタッカーが大きく戻ることが少ないために前後に分離しがちで、センターバックから直接アタッカーまで縦パスを選択するにはリスクが大きく、ロングボールを蹴る回数を増やしていました。
バイエルンも前から積極的に奪いに向かっていて、ボールを持っている選手に対するアプローチも早く勢いはありました。ただコースを塞いで限定して次を呼び込む動きというよりも、その場所で奪ってショートカウンターを狙うかのような守備でしかないためにドルトムントに横に動かして逃れられてしまい、ドルトムントにされているような時間をかけさせるプレイは選べていませんでした。ただドルトムントのセンターバックたちはそれを嫌がっている様子はあり、ショートパスで繋いで前へ運ぶよりもフィードを中心としてバリオスへと当てようとしているようでした。
バイエルンはそのフィードを跳ね返し、ボールを拾うことでドルトムントが守備組織を整えるよりも早く攻撃に移ってキープできることで、序盤のようなセンターバックからボールを出せないほどコースを切られてしまうような状況からは開放されたものの、パスを繋ぐには難しく、個人のドリブルを中心とした仕掛けによってディフェンスラインを大きく引っ張って下げさせるか、あるいはフィードを裏へ出して不用意に高く保っているドルトムントの背後を突く、そういった選択肢しか用意できていませんでした。フィードをセリアいうにはドルトムントの面々は守備的ミッドフィールダーがしっかりと先に競り合っているためにディフェンスラインは乱れにくくギャップが出来にくいため、最初から裏を狙った方が抜け出せる可能性がありましたし、ドリブルにしても仕掛ければリトリートしてくれるためにペナルティエリア内での勝負にまで持ち込めましたから、ある程度相手に危険な守備を強いることが出来た。
バイエルンの守備には多少の修正の跡が見られていました。センターバックのみがハイボールに対応してそれをそらされたときやこぼれ球のケアを得られていないことが多かったんですが、この試合は多くフィードを入れられたためか、プラニッチやファン・ボメルがセンターバックの前を埋めようとする動きをしていましたし、裏のケアもしているようでした。サイドバックのラームの位置を使われそうになれば、彼らもサポートのためにサイドに出て対応しようとするほどでしたし、若干は改善していました。ただ香川についていたり、それ以外の選手についてそうやってサイドへサポートに出てしまうと、これまで通りヴァン・ブイテンもサイドバックのケアの為にサイドに出てしまっていることから右に過剰なまでの守備の人数が存在してしまうことがありましたが、とりあえずスペースを与えずに止めることには成功をしていました。
徐々にボールが回るようになってきたバイエルンはシュバインシュタイガーが一列前でプレイしている影響が大きく出てきていました。これまでの試合ではフォワードと両サイドのアタッカーとの距離が開きすぎてサポートを得られず、それぞれが孤立している場面が多かったんですが、シュバインシュタイガーがその間に入るように飛び出し、ハードワークをしてくれるために、間を取り持ちパスを繋がせたり、それぞれに持たせたり、大きな役割を果たしていました。中盤のプラニッチも高い位置を保ってシュバインシュタイガーが上がったスペースを利用しようとしていましたし、縦を抑えられたクロースも同じく中へ入れるスペース利用しようとしていました。ミュラーがもう少し中への意識を持っていれば、攻撃に厚みをもたらせたのかもしれませんが、ともかく孤立やマリオ・ゴメスが流れた後のスペースを埋める動きもしているためにポジション面で問題を感じることはありませんでした。そして収め所にもなって、不用意に高くラインを保っているドルトムントの裏へスルーパスを出せていましたし、ドルトムントの前から囲い込もうとする守備と後方で待つディフェンスラインの間で上手くプレイしているように見えました。
後半になってもその部分のドルトムントの守備は改善されておらず、バイエルンの後方からのフィードを簡単にセンターバックの手前で収めさせていました。センターバックはラインを整えているばかりでついていこうとしていませんでしたし、ラインをアゲルでもなかった。ディフェンスラインと重なるようなポジションさえ取らなければきっちりと収められる状況で、ドルトムントは前半に何度も裏への抜け出しに成功されたことで、一発のパスでそれをされることを恐れてしまっているようで、前で見ておこうとしているようでした。ドリブルに対しても同じようにリトリートしてしまい、誰もぶつからずに下がったあげくペナルティエリア内でチャレンジして止めなければならない、となることもありました。
ただ先制をしたのはドルトムントで、バイエルンは上手くボールを回す方法を再び失ってしまっていました。シュバインシュタイガーが高い位置で上手く動き、それぞれのサポートをしているものの、中盤からのパスやそこから再び展開するためのテンポが一つ遅いためにスペースがあったところを埋められてからパスを出すはめになることが多く、余計な横パスやコントロールが一つ入っているために守備の修正の方が早く対応できていました。そのためもう一つ低いエリア、ファン・ボメルからサイドへ鋭角に出されていましたが、先にニアに入られてしまうことから強く蹴りすぎてミスになることも多く、それが実ることはありませんでした。
センターバックがヴァン・ブイテンから久しぶりにデミケリスになっていることでバランスが変わり、右のラームがあまり上がらないことでヴァン・ブイテンのような無茶なサイドへのケアをしないようにしていました。フィードに対する処理もバドシュトゥバーの後方に出来るスペースのケアをするため下がってポジションを取っていましたし、セカンドボールから裏へ抜ける動きを防ごうとしていました。ただフリーキックで二点目を取られた場面は、上手く防げていたものの運悪くハンドでファウルを取られてしまっただけで、彼が下がってケアをしていなければブラーフハイトは戻り切れておらずディフェンスラインを乱してしまっていましたから、抜けられてしまっていたかもしれず仕方のないものでした。ただヌリ・サヒンのフリーキックが上手かっただけでしょう。
ブラーフハイトがこの失点の後に下がりましたが、ここは攻撃でも上手くからめず守備でも不安定なポジションを取っていることが多かったため、もっと早く交代の決断が出来ていれば二失点目は防げていたはずでした。
その後は追いかけていることもあってバイエルンは中盤と最後尾のバランスが崩れてしまい、センターバックのサポートを出来ていた中盤の姿はなく、フィードにもデミケリスが対応しなければならなくなり、そのカバーをサイドバックともう一枚のセンターバックのみで行っていました。その二人にもドルトムントの選手が張り付いてしまっていることが多く、裏へそらされればカバーを得られない状態でのプレイを強いられてしまうところでした。
それ以外にも長い距離の縦パスをデミケリスが入れようとし、ミュラーが後方から抑えられて収められずカウンター、という形も、以前の試合から多く見られた現象で、中盤に収める選手おらず仕方なく長い距離のパスを選択してしまったからこその失敗で、カウンターを抑えるためにデミケリスはサイドに引き出されてファウルをしなければならなくなっており、前半は改善されたかに見えた部分も元通りになってしまい、攻撃面でシュバインシュタイガーが一列前にいることでのメリットも、オリッチが投入されてシュバインシュタイガーが一列下がってしまったことから受けられなくなってしまい、それぞれが孤立、あるいはフォワード二枚とサイドアタッカーの二枚がドルトムントの最後尾に吸収されてフラットになってしまい、それぞれが掴まえられて厚みが無くなってしまうなど、問題を多く抱えてしまいました。そうなるとバイエルンは単調な攻撃ばかりになってしまい、中が整っていなくてもサイドからアーリークロス、マークに付かれているのを外そうとそれぞれが努力をしても単独での動きしかないため、マークを引き剥がすほどの混乱をもたらせず後ろから当たられて前を向かせてもらえない。ボールを持ててもマンマークを許すくらいの動きしかできていないために寄せられてコースを限定され、スピードを落とされて囲まれて奪われてしまう。そしてカウンターを防ぐためにファウルをする。
ようやく終了間際でバイタルエリアで受けられるようになって、全員が同じラインにいるようなものは解消されていましたが、あまりにも遅すぎました。バイタルエリアにあるスペースを利用したり、サイドが中へ絞って二列になったり、やっと変化をもたらしてフリーでミドルシュートは打て、それ以外にも一点を返せそうになったんですが、もっと早い時間からそれが出来るだけのチャンスがあったのにそれができていれば。その後はドルトムントは交代によってバイタルを埋められる選手を入れたために問題なくなってしまい、一点も返せませんでした。