■Athletic Bilbao 1 – 3 FC Barcelona
この日は前節からボヤンとマクスウェルが外れてペドロとアドリアーノのスタートでした。その二人の動きは前節の状態からするとよく、特にアドリアーノの部分はビルバオが縦を切る動きをしても中へとボールを動かすことでバックパスを避けられていましたし、それによって全体をペースダウンせずに済んでいました。
ビルバオは前からプレッシャーをかけて最後尾に下がったセルヒオ・ブスケツとピケにもプレッシャーを与えて前へボールを運ばせずに大きくポジションを下げたままプレイさせようとする部分を持っていました。主にボールの扱いに長けたその二人に近いポジションを保ってマークし、プジョルには右足のコースを切る事で左足でのパスを出させてカットを狙おうとしているようでしたが、それが常に成功していたわけではなく多くの場合はすり抜けられていました。一度チェックを抜けてキープの体勢に入ってしまえば、最後尾をハーフウェーラインにまで持ってこられるほどビルバオは引いて守ろうとし、セルヒオ・ブスケツもスリーバックとしてプレイするよりも中盤としてボールのコントロールに参加出来るほど前にポジションを移せていました。
序盤は大きく下がったビルバオも中央に位置していたイニエスタが戻って受けようとしてもぴったりとマークについてポストプレイをさせなかったり、全体を通して勢いよく寄せているためにコントロールをさせずに奪ってしまえる場面もありました。ただ全体を押し下げてしまう守り方はその継続をするには縦の距離が開いてしまい、中盤を自由にさせてしまうことにも繋がっていました。ペナルティエリアに入るほど下がってしまっていることでバルサはシャビもイニエスタもフリーでボールを扱えましたし、中央を固めている影響からサイドバックも高いポジションを取ることを苦労しなかった。キープが安定して出来ることでアンカーも後方のケアの為に下がらず、シャビやケイタと同列のように組み立てに参加できましたし、中盤を自由にしてくれることでバルサは攻撃に大きな可能性を持っていました。自由にパスを出す時間を与えてもらっていることでビジャの飛び出しにも対応してパスを出せましたし、ケイタの飛び出しも利用できた。そうやって強く当たってくるビルバオの前向きな守備も含めて裏を使いやすい環境にあったことで、ビジャとケイタが背後を突いてシュートまで持っていくことが出来た。残念なことにキーパーのイライソスやゴールポストに阻まれてしまったことで得点には至りませんでしたが、楽にボールを動かせてもらえたことで主導権を握ることには成功をしていました。
前節課題だったサイドバックと中央とのパスが少なかったのも改善されて、比較的前目の中盤からダニエウ・アウベスにパスを出せていて、少なくともセンターバックからパスを出されてスピードダウンをして、その間に縦を塞がれてしまうようなものを見ることはありませんでした。それとあと一つの問題だったフォワードとの距離も問題が無く、サイドバックが上がっていられることでウイングを大きく開いておく必要が無く、中に絞り気味のペドロとビジャを一列下がり気味にプレイするイニエスタがサポートする形を取れ、シャビやケイタのポジションも高く、前後に分離する姿は見られませんでした。ただビルバオも守備の修正をしてきてシャビをなるべくフリーにさせないようにマークを近づけたことで、中から縦へパスが出ず、外へ出すパスが増えていました。マークの距離を近づけられてしまったために前をゆっくり向くチャンスが減り、ポジションが下がったことで縦パスをカットされやすい環境を整えられてしまったためで、サイドバックからのクロスが全体として増えていました。代わりにケイタがバイタルエリアに入っても積極的に前を向いてスルーパスやシュートを狙わずサイドに流していたこともそれに影響をしていたのかもしれません。
アモレビエタが一発退場をしたのはこの試合では非常に大きく、ファウルは勢いに乗ったままの接触でイニエスタが先に触っている。そしてアモレビエタが足の裏を見せていて危険ではありましたし怪我の危険の高いプレイだったようには見えました。メッシの件があったからレッドカードのように見え、本来は選手を怪我から守るためにはこういった判定の方がいいのかもしれないんですが、この試合の中で危険な、荒れる要因となるようなファウルとしては一度目だったように思えましたから、イエローで止めておくべきだったのかもしれません。アトレチコ戦とは状況が違いましたから。
一人減ってもビルバオのプランは変わらず、前からのプレスとリトリート。スペースの出来る割合が増えたぐらいで、切り替えもチェックも行っていて、フェルナンド・ジョレンテを中心としたポストプレイとカウンターもある。バルサは裏へパスは相手が意識してしまったことから利用できなくなり、高い位置でキープを出来たとしても裏へ出すパスが無くなって足下のパスが増えてしまって停滞してしまうようになった。待ちかまえている相手に対してその手前でパスを回すだけでは相手のゾーンを崩せず、ドリブルで仕掛けたり裏への飛び出しを積極的にして相手のギャップを誘い崩せる要素を増やしたいところでしたが、それが出来ていない。ミドルシュートもなく、崩すための方法がパスしか利用できていないところに苦しさがあり、サイドでペドロとダニエウ・アウベスが連携したときもどちらもが相手に掴まえられて飛び出せず、手前で回しているだけで脅威を与えられずスピードアップもできていませんでした。
後半からはそのペドロとダニエウ・アウベスの連携もより明確に出来るようになり、ペドロは前半よりもサイドにポジションを取るようになっていました。二人でボールを交換しつつ一枚しか居ない相手の裏へ飛び出して使おうとしていましたし、ビジャも裏への狙いを復活させて中央で裏へ飛び出そうとしていました。イニエスタもそれをサポートする形は変わらず、上手く動けるようになっていました。それと前半に崩せなくなってからすることの多かった中からサイドへボールを出し、外から再び中へ戻す形も未だありましたが、それが全体の足を止めて足下だけに繰り返されるのではなく、誰かが裏への狙いを持っていたり追い越していく動きをプラスしていくことで、上手く相手の目線を動かしてマークに付かせず飛び出す役割を果たしていました。ケイタのゴールはその中から生まれ、パスだけでしたがリズムの変化をビジャのダイレクトのパスが出して、相手に守備のポイントを絞らせずフリーにしていました。
その後もペドロの飛び出しが一対一の状況を作っていましたが、イライソスが止めて追加点にさせてもらえなかった。しかしながらダニエウ・アウベスも相手の背後に飛び出して受けようとし始めたりペドロとの連携で相手を引きつけてその裏へ飛び出させている良さは継続をしていて、縦への勢いを止めてしまうことは減っていました。ドリブルで相手を引きつけられるようにもなっていましたし、そういった部分は待ちかまえられる前に向かっていけるようになっていました。ビルバオが攻撃に出るために前で踏みとどまろうとしたり出て行こうとするためにスペースができはじめていたこともありましたし、サイドバックの所は元々ケアしていなかったんですが、ダニエウ・アウベスをあまりにもフリーにしてしまい、ペドロとの連携で崩されすぎてビルバオは気にするあまり、上がってきたイニエスタをフリーにすることもありました。両サイドをフリーにしても守れていたものが失点をしたことで気にするようになってしまい、中央で受けるだけのスペースを作ってしまっていました。
ビルバオは攻撃する手段をなかなか見つけられず、バルサがそれぞれを予め掴まえて後方からプレッシャーを与えられるほど運動量が少なく、中盤からパスを出していくことは出来ておらず、カウンターで走ることは出来ても預けられずに奪われていました。交代で中盤の人数を増やしても、守備で追いかける位置は低いままで、カウンターになっても前が減ったために預けるポイントが少なく起点とできない。サポートしようにも距離が開いているために、全体的に押し込まれてボールを回されて消耗している印象が強くありました。そしてバルサが相手を消耗させつつ左右にボールを動かしつつ相手のゾーンを動かし、シャビのマーカーを外してフリーにしたことでミドルシュートからの二点目になっていました。
バルサは交代選手を入れて全体的にスピードを落としてしまっていましたが、それらの選手が悪いわけではなく、試合終了に向けての準備のようなものでした。問題なくそのまま終わることが出来ていれば得点を追加するよりも次に繋がったのかもしれませんが、ビジャが不必要な退場をしたことで状況を大きく変えてしまっていました。激しくボールを奪うためのチェックをされていたのは確かでしたが、残り時間やスコアを考えれば全く意味がない退場であって、スコアがどうであったとしてもプレイが切れた後の報復行為で意味のないものでした。この試合だけならともかく次の試合にも影響をする非常に問題のある退場でいくら責められたとしてもおかしくないものだと思っています。
退場で少し流れが変わり、ビルバオに攻撃のチャンスを与えてしまいました。それまでも多くプジョルが相手が最初に預ける縦パスを抑えるために出て行くことが多かったんですが、失点の場面ではサイドに引き出されてしまい、多くの場面ではそれで上手く抑えられていたんですが、この場面ではこぼれ球を拾われてしまい、ディフェンスライン中央に人数の足りていない状態を作ってしまった。クロスに対して全てを掴まえられなくなり、ヘディングを許したのはその影響でしょうが、ビクトル・バルデスは上手く防いでくれました。ただその後のこぼれ球を拾えなかったことも押し込まれてしまったこも状況からすれば仕方が無く、この失点がその後の危険な時間を作ってしまいました。
ただ相手が嵩にかかって攻めてきてくれたお陰でカウンターのチャンスを得ることが出来、ペドロがオフサイドをクリアしつつ諦めず走ったこと、セルヒオ・ブスケツが長い距離を上がってきたこと、ファーサイドでボヤンも走っていた。それらのお陰で三点目を奪い、同点に追いつかれてしまいそうな異様な雰囲気を振り払ってくれ、なんとか勝ちをものにすることが出来ました。