2010 年 9 月 のアーカイブ

UEFA Champions League -D- Matchday 2 ルビン・カザン対バルセロナ

2010 年 9 月 30 日 木曜日

■FC Rubin Kazan 1 – 1 FC Barcelona
ルビン・カザンのディフェンスラインは高く設定されて、パスを縦に送るのにも大きな苦労をしていました。センターバックとアンカーを同列に並べて交換するにもきっちりとチェックには来ているものの、押し下げるほどの積極さを序盤は持っているわけではなく、両者の高く保たれた最後尾のラインが中盤をコンパクトにしてしまい、マークに付きやすい環境を作らせてしまっていました。さらにバルサはアンカーを下げてスリーバックにしてしまうことでサイドバックのポジションをあげてウイングを中に入れ、前線に攻撃の枚数を増やしてパスコースを作ろうとしていましたが、ルビン・カザンは6枚をもディフェンスラインに入れ、横に並べることでワイドな攻撃にも縦を塞いでしまえるほど幅広く縦を塞いでいました。サイドバックの前を塞ぎそこへ出されてもドリブルやクロスを入れるためのプレイをさせず、本来開いているはずのウイングの二人も中央へ移したポジションで掴まえられて収めさせない。カウンターになるとルビン・カザンはサイドバックを抑えるべく下がっていた選手が一気に駆け上がり、バルサの手薄になっている外側を利用しようと仕掛け、サイドバックの裏へ走らせてバルサのディフェンスラインを一気に押し下げさせた上でクロス。戻りながらの処理をさせるほど徹底した個人での縦の仕掛けが印象的でした。

ルビン・カザンのマークは厳しく、それぞれの前をきっちり塞いだまま行われていました。センターバックから前に預けることが出来ず、預けてもすぐに縦を塞がれて寄せられる。イニエスタらが下がっても同じ事で受けに戻る選手にもきっちりとマークがつき、ゾーンを狭めていることから複数枚で囲い込んで前を向かせてもらえない。バルサは前後に人を出し入れしてゾーンを動かそうとしたり、ボールを横に動かしてルビン・カザンのゾーンを動かして中でボールを受けようとしているものの、運動量と修正、集中が途切れることはなく、相手の手前でのみプレイするのは難しい状況でした。ただボールを追い越して相手の背後へと飛び出していこうとする動きもこの日のバルサにはありましたが、受けに戻る動きに付いてくるマーク、その裏側に出来るギャップを利用しようとしてもディフェンスラインの枚数が多く間隔も狭いことからカバーに入られてしまってフリーになることは殆ど出来ていませんでした。

バルサはパスの距離を広げてしまうとカットされてしまったり寄せられて次のプレイをさせてもらえないことからそれぞれの距離を大きく縮めて至近距離でパスを出してボールを動かすことで崩そうとしている時間がありましたが、それやパススピードをかなり高めたもの無ければ囲い込まれてしまって、中盤も捕まってしまう。ルビン・カザンはボールを横やマイナスに動かせばディフェンスラインをしっかりと押し上げて修正をして、もとの高さにまで戻そうとするために、あまり前に人数をかけてしまうと中盤の選手すら最前線になってしまって攻撃に厚みをもたらせずパスコースを失ってしまう。統率された守備に対して、動きながらパスを受けて仕掛けることが出来ずに苦労をしていました。

恐れを知らずコースを塞いでもどんどん向かってくるルビン・カザンのカウンターは脅威で、他のクラブであれば、ある程度コースを塞いで奪える距離に寄せてしまえば、キープの姿勢にはいって上がりを待ったり、バックパスをして走ったりするんですが、そういった状況になってもさらに走力にものをいわせて仕掛けてくる。バルサはそれでラインを下げられてしまっていましたし、バックパスで下げようものならもの凄い勢いで向かってくる。そういったものが最後尾の処理を難しくさせていて、ビクトル・バルデスのクリアミスを誘われていました。それが相手に渡ってしまったことでPKに繋がり先制点を与えるようになってしまった。

その得点以後ルビン・カザンのディフェンスラインが多少下がった印象を受けるようになり、イニエスタが下がったラインと中盤との間に出来たスペースでボールを受けられる場面があり、そういったギャップがバルサのフォアチェックによってボールを奪い返せる場面の増加にも繋がり、連続した攻撃によりカザンが前に出てこられない環境を作り、横パスやバックパスに対してプレッシャーをかけられにくくしていました。後半はより顕著にルビン・カザンが中盤へのチェックに勢いをださずに落ち着いてプレイするようになったお陰で、バルサが前を向いてボールを受けられるようになっていました。前を向いてコントロールして、裏へ飛び出そうとする選手へタイミングを見計らってパスを出せるようになる。横に動かしてもゾーンを動かしてボールサイドに寄せようとする動きも減っていて、それまでは通らなかったある程度距離のあるパスであってもカットされることが減り、カザンの出足が遅れているようでした。マークの取り方もより後方に留まってついてくることが少なくなり、ギャップを作らないように注意しているような印象で、ラインも高く保つのではなく、下がった位置に留まる時間が増えていました。バルサも高く保ちすぎて掴まえられていたサイドバックの二人を上げすぎることなく一定の高さで留めておくようにしたことで縦のコースを切られにくくなっていましたし、そこの利用を目指そうとしているようでもありました。

ただドリブルで仕掛けるには人数が多すぎることもあって見られず、細かいコントロールで相手をかわそうとしているのは見られるものの抜いてしまおうとするものは殆ど見られませんでした。それがコントロールミスから始まったとはいえイニエスタの仕掛けがPKを呼び込んだのは確かで、判断もボールにいかず足にぶつかってしまったことによるものでしたからある程度妥当なもの。先にカザンにPKが与えられていたことを考えればそう判断されてもおかしくなく、ビジャがキーパーに読まれながらも何とか決めて同点に追いつけたのは好材料でした。

メッシの投入によって相手にドリブルを警戒させることでより中央に守備を集中させてしまってサイドのスペースを広げさせることができるようになったようで、前半のように6バックのような形は見られませんでした。ウイングに直接ボールを送ることも出来るようになりましたし、ウイングとサイドバックの連携も多少見られるようになった。メッシとイニエスタが近い距離を保ち、ドリブルで仕掛けながらボールを動かすことで、一人に対してドリブルを止めようと二枚が対応をする。そうすれば他へのマークが緩くなりボールを渡しやすくなる。足下をより警戒するようになるために裏への飛び出しも効果的になる。あるいはメッシを残しておいてカウンターで仕掛けることも可能性としてある。怪我明けでしたから本来であれば起用せずにいられればよかったんですが、しっかりとブロックを構築して固めている相手にはパスだけで崩そうとしても崩せるものではなく、動きながら受けて、動きながら仕掛けてしまう必要があり、そういった足下ではないプレイによって動き続けることで守備への切り替えをしたときにも奪われた瞬間に足を出してもう一度自分のボールへとし直せる。そういう必要がもっと多くの場面と選手に必要だったのかもしれません。あの堅い守備を崩すことは非常に難しいことだとは思いますが。

UEFA Champions League -E- Matchday 2 バーゼル対バイエルン・ミュンヘン

2010 年 9 月 29 日 水曜日

■FC Barsel 1893 1 – 2 FC Bayern Munchen
バイエルンのセンターバックはこれまで失点した形から変化をしておらず、相手のフォワード、フライとシュトレラーが後方からのボールを受けに戻る際についていき、サイドに流れて受けようとするものに対してもついていく。その徹底がされておらず、ボールを受ける瞬間に体をぶつけてコントロールできないようにするどころか、反転してドリブルを出来るほどのスペースを与えて楽にコントロールをさせてしまっていました。そうなった場合、すぐに体を寄せられる状況にないだけに、相手が先にスタートしてから体を寄せることになり、相手よりもスピードに優れているのなら問題はないのかもしれませんが、バドシュトゥバーにしろヴァン・ブイテンにしろそうではない。相手について出て行ってしまいながら置いて行かれそうになってしまうため危険な寄せ方をしなければなりませんでしたし、不用意に出て行く片方のセンターバックに合わせてもう一人のセンターバックは本来とは違うサイドのケアにまで出てこなければならない。ただそこを中盤がこの試合の序盤は集中して埋められていたようでしたから大きな問題にはなりませんでした。

バーゼルは積極的な守備をしていて、フォワードからそれぞれの当たりも激しく行っていて、バイエルンのセンターバックが相手を離してしまっているのとは対照的に上手くコントロールさせないように当たってバランスを崩させていました。崩すことが出来なくてもそれを嫌がるバイエルンは、寄せられるタイミングよりも先にボールを離そうとして、精度の高いボールでなくても、スピードが不十分であってもパスで逃れようとしている印象が強く、ポゼッションはある程度あったとしてもパスで組み立てている印象はなく相手のプレッシャーから逃れようとしているようでした。そのため逃げるための場所が必要になり、センターバックがポジションを上げられず全体をコンパクトに保てない。中盤もいつでも戻せる位置にいることを重視しているように下がってプレイしているようでした。そういった早くボールを逃がしてしまおうというプレイが焦りを感じさせるようで、ドリブルになったときもその焦りが相手に読まれてカットされることにも繋がっているようでした。バーゼルはボールを動かされながらも対峙する相手をよく見て守備をしていました。

先制点を与えた場面は、ブンデスリーガでもよく見られたヴァン・ブイテンの不用意な縦パスをカットされてからスタートしたもので、彼が持ち上がって縦パスを入れる動きにもう一枚のバドシュトゥバーが連動をせずに後方でマークに付いてしまっていたためにディフェンスラインに大きなギャップを作ってしまっていたことが原因でした。それをカウンター直後に利用されてしまい、スピード面で劣る部分を利用されてしまった。ヴァン・ブイテンは全力で戻ったものの、勢いがつきすぎたために反応しきれず、シュトレラーのパスが彼の逆を突くようになったのがフライにとっては幸いしていました。

バイエルンはその後もボールを回そうとしていましたが、寄せられるのを嫌ってパススピードを上げて無理に通そうとしていたり、逃げるようなパスであったり、精度の高くないパスで次に繋がらないものが多くありました。それを誘うだけのバーゼルの労力があってこそで、少しでも強いボールをコントロールし損ねてバウンドさせてしまえばカットしてしまう、緩いパスなら前に出て先に触ってしまう、集中した守備もプレッシャーの一つになっていました。ボールを回してキープされてしまうのはバーゼルにとっては消耗に繋がるため、センターバックやセントラル・ミッドフィールダーの所に人を置いてプレッシャーにし続けて明確なポゼッションの形を作れないようにして、ディフェンスラインが下がってしまう回数を減らして、序盤にあったディフェンスラインが下がりすぎてドリブルを仕掛けられてしまうようなスペースを減らしていました。

多くの時間をバイエルンが主導権を持ってボールを回しているようでしたが、フォワードにボールが収まる回数の少なさやマイナス方向のパスの多さを考えると、縦へのパスコースが見つけられずに持たされてしまっているとしてもよさそうでした。相手の前でボールを回しているばかりで、シュートを打つ場面も、相手の手前をスライドするドリブルか跳ね返されたものを、ディフェンダーを前に置いたままミドルシュートをしているだけ。それを囮として利用しながら相手の背後を狙っているわけではない。ラームが深い位置には入れていることで、クロスで相手を脅かせている。それと連動するアルティントップのプレイもゴールに迫るものでしたが、それぐらいなもの。オフサイドだったものの前半の終了間際にミュラーがようやくミドルシュートに合わせて飛び出すことでチャンスを得ていましたが、それを繰り返すことが出来ていれば、もっと多くのチャンスを作れていたのかもしれません。

後半になってバイエルンが2トップの布陣を敷いたことでバーゼルの守備は混乱をするようになっていました。バイタルエリアで受けることがそれまでもできていたものの抑えるポイントが一つであったために対するバーゼルは抑えやすかったものが、二つになり、それぞれが縦関係に近いポジションを取るようにもなり、ついていけばギャップを生むことに繋がり躊躇するようになった。そのためバイタルエリアで比較的楽にボールを触れるようになっていましたが、まだそこから縦や裏への狙いを出すほどではなく、上がってくるサイドバックやサイドアタッカーに一歩遅れたパスを出すだけで勢いをそのまま利用できているわけではありませんでした。

それ以外の変化では、二人のフォワードに対してバーゼルのセンターバック二枚がかかり切りになってしまい、その外側、サイドバックの裏側へポジションを取られた際に誰がそこのカバーをしに出て行くのかというプランがなかったようにクロースやミュラーのポジションをフリーにしてサイドバックの裏を利用させていましたし、フォワードに押し下げられてディフェンスライン、サイドバックとセンターバックの位置にギャップを作ったことがそれの利用に繋がっていました。パスを出す選手にばかり目が行っているようで裏のスペースを意識していないようでした。何度もインクームの裏を使われていたことが実際にミュラーが倒されてPKを得ることに繋がっていました。あれだけバーゼル全体の守備が緩慢で戻りが遅く、裏への動きを許し続けてしまえばチャンスを作られても仕方がない。PKの判断にしてもふっげるが不必要に足を引っかけて払うような仕草をしているだけに取られても仕方のないものでした。

バーゼルの二人のフォワード、シュトレラーとフライは前半こそサイドバックの裏側を利用して、バイエルンのヴァン・ブイテンを主に引き出して中央にスペースを作りながら攻撃を組み立てていくことが出来ていましたが、後半になってからはポジションが中央に寄り気味で、縦パスを収めるときにそれまで密着されずに受けることが出来ていたのが、中央で受けるようになったことからある程度寄せられ、パスコースも限定されて安定して収めることが出来なくなってしまっていました。ただ縦へすぐに預けるのではなく、後方でパススピードを上げながらダイレクトで繋いで連動して前の人数を増やして攻撃に出ようとする姿勢も見せていましたし、違った形での攻めもありましたが、攻撃の人数を増やすことによって守勢に回ったときのプレッシングに寄って防ぐ人数を減らすことにも繋がり、ヤピ・ヤポが前半は上手くバランスを取って守備の重要なポジションを埋められていたのが、サイドに回っていたために空くスペースなども大きくありました。

バイエルンは空いたスペースにファン・ボメル、シュバインシュタイガーらを入れられるようになり、バイタルエリアで受けて、そこをしっかりと機能させられるようにもなっていました。サイドに流すボールにしてもオーバーラップする選手の勢いをそのまま利用できるようにもなっていましたし、改善は見られていました。ティモシュチュクを入れてシュバインシュタイガーを一列上げた効果はあまり合ったようには見られませんでしたが、後半の終了間際にバドシュトゥバーのフリーキックをファーサイドで合わせたプレイは見事でした。

Bundesliga 6. Spieltag バイエルン・ミュンヘン対マインツ05

2010 年 9 月 26 日 日曜日

■FC Bayern Munchen 1 – 2 1.FSV Mainz 05
前節の怪我の影響からリベリーが出場しておらず、オリッチが先発をしてシステムとして4-4-2へと変化をさせてクロースが左にポジションを取ってのスタートでした。

ここまで開幕から連勝をしていて好調のマインツは勢いそのままの守備によってラームの前を塞いで中や前への選択をさせないようにしていました。ここまでは他のチームもよくやる守備でしたが、マインツはさらにバックパスの選択もさせないようにセンターバックに二枚のフォワードが入りつくような形をを取り、キーパーまで戻させるか強引に縦へとパスを出させてしまおうとしていました。何とかコースを自分で作って前へとパスを出せれば、それだけの人数を前へかけているために中盤以降には利用できるだけのスペースが広がっていましたが、縦のコースは限定されているために前に位置するサイドアタッカーにしかパスが出せず、そこへの寄せ方はコースが解っているだけに激しく、止められる回数の増加に繋がっていました。

センターバックに張り付いているマインツのフォワード二人は攻撃になってもその形を保つ事が多く、二対二の形のままプレイしようとしていました。フィードや組み立てのパスから裏へ抜ける際もスピードのない二人に対して競争を仕掛けることになり、もう一枚がカバーリングをして助けることもできず、絞って守ることも出来ないために抜け出すことが出来れば大きなチャンスを得ることが出来る。バイエルンのサイドバックは前を塞がれているとはいえ、攻撃の為に高くポジションを取ることが多く、セントラル・ミッドフィールダーもセンターバックの前を埋める動きはしないため、二枚で二枚を抑えなければならない環境が多く出来上がり、カウンターでしっかりとしたパスが出ればシュートまで持っていかれてしまいそうでした。

それに加え、ボールを引き出そうと戻ってくる中盤の選手に対しても同様に厳しく引っ付いてくる。それがフォワード二枚との三角関係のような形を作り、バイエルンのセンターバックの前でシュバインシュタイガーらから何度もボールを奪うことに成功をして、ショートカウンターから数的に有利な環境を作ることが出来ていました。距離も近いことからキーパーは飛び出せず、ディフェンダーもシュートコースを塞ぐことを優先していてダイアゴナルな動きに釣られてマークに付ききれない。パスの精度と共通理解が徹底されていればもっと多くのシュートでゴールを脅かしていたでしょうし、実際に得点を取れていたのかもしれませんが、小さなズレが連続して実際にシュートにまで持っていける場面は多くありませんでした。他にもセンターバックと競争関係を作り、あるいはセンターバックの一枚を引き出してセンターバックとサイドバックとの競争をする。そうすることでフォワードのマークをバイエルンのセンターバックがするのが通常の形になり、サイドに流れても彼らはついてきてしまう。失点の場面はスローインからだったものの、流れを作ったのはマインツの狙い通りの前からのチェイシングでした。それが連動して働いたためにキーパーは外に出さなければならなかった。そしてバドシュトゥバーが外に引っ張り出されたときには中央のスペースが埋められておらず、シュバインシュタイガーは背後を簡単に許し、そこをカバーする選手がいなかった。パスの精度に問題があってシュートまで持っていけていなかったマインツがきっちりとパスを合わせてシュートも見事に決め、取るべくして取った先制点でした。

先制点後しばらくマインツは得点を得るまでと同じく、センターバックに二枚、下がり目のセントラル・ミッドフィールダーに一枚、その三角関係を守備時に続けていて、そこに自由を与えないことで奪ってカウンターの意識を持ち続けていました。ただバイエルンは上手くファン・ボメルがファウルにしてしまっていましたし、マインツの守備の勢いもファウルになる要因になっていました。それ以上にバイエルンはそこよりも前にボールを運ぼうとし始め、縦を抑えられることの多かったラームを先に使わずにある程度ポジションを上げてから利用する。そうすることで縦を塞がれて不安定なボールを出し、カウンターを受ける流れから逃れようとしていたし、左のクロースも中へのドリブルから間延びした中盤を利用してスピードを出そうとしていました。

それでも継続は出来ず、マインツは全体を押し上げつつあり、ボールをフォワードに預けて起点としようとしていました。バイエルンのセンターバックの二人、特にヴァン・ブイテンがそれに徹底してついていけば抑えられたのかもしれませんが、サイドに流れる彼について行きこそすれ、最後まで徹底することはなく、ある程度の間隔を置いてみているだけでいることが多く、背後からプレッシャーを与えることも出来ていませんでした。それで安定して収めさせて前を向けるスペースを与えてしまえば、センターバックがサイドに引き出されただけでしか無く、抜かれたりクロスを入れられれば失点したときと同じ環境を作られてしまいそうで、マークの受け渡しをするのか、それとも徹底してついていくのか、誰がカバーするのかの約束事があるのかどうかすら疑わしくなるほどでした。

バイエルンもポゼッションはある程度出来ていて、一度キープする姿勢に入ってしまえば、マインツが走ってボールに寄せて守るスタイルを取っているため、それを利用して走らせて消耗を誘うように横に動かしてくこともできましたし、フォワードを戻らせてセンターバックに余裕を与えることも出来るはずでした。ただバイエルンは無理に長いボールを使ってサイドチェンジを使用としたり、必要以上に警戒をする、あるいは単純なミスによってボールを失ってしまう回数が多く、継続してポゼッションをすることが出来ていませんでした。マインツのカウンターにキレが無くなり、中盤がフォワードと近い関係を保てず、フォワードの二枚が縦関係を作り、それまでセンターバック二枚同時に抑えていたものをしなくなって、ポゼッションしやすいはずの環境が出来ていたはずだったんですが、それができなかった。ただセンターバックからサイドバックに出されるボールが増えたくらいで、スピードアップできない要因になってしまうだけでしたし、サイドバックに渡してしまえば序盤と同じく縦を防がれ、クロースやミュラーもサイドに開いては前を塞がれ、中央との距離が広く、縦の連携は出来ても中との連携ができないことが攻撃のミスを増やしていました。そうなると大きな展開を望まなければならず、攻撃にスムーズさをもたらせずに縦パスの速度が出せないときにはカットされる原因になってしまっていました。運良くオウンゴールによって同点に追いつけましたが、それだけでしかありませんでした。

後半は前半とは違ってスローなスタートになり、マインツの慌ただしさを感じるほどの勢いは減っていました。サイドに開いた選手に対して縦のコースを切って密着をし、カットを狙ってカウンターに出ようとするスタイルに大きな変化はないものの慌ただしさや勢いを感じないのは攻める側のバイエルンに運動量が減って引きはがせなくなったからでしょうし、サイドバックにはドリブルをさせず、サイドアタッカーに預けようとするボールはカットしてしまう。前からのチェックは行おうとしているものの最後尾が高く保てなくなっている問題は抱えていて、中盤にスペースを用意してしまいがちになり、攻撃になればバイエルンのディフェンスラインも引いてしまってより間延びを加速させられる。それでもマインツはよく走っていて、ファン・ボメルによって上手くファウルにさせられて苛立ってはいましたが、よく寄せて自由にさせていませんでした。そのうちに動いているマインツよりも先にバイエルンの選手たちも上がれなくなり、足下のボールが増えて、ファウルが増えて、細かい変化にも味方がついてこられなくなってきていました。

バイエルンが他と連動しない単調なアタッカーへの縦パスをよくマインツは集中して待ち構え、カットしていました。後方から抑え込むだけではなく、勢いよく前へ出てカットしてしまう。それだけパスコースが限られているということで、どれだけバイエルンの選手たちが動けていないか、パスコースを多く作れていないか。パススピードも無くカットされやすいものが単調に出ているだけ、ドリブルで自分が持ち上がろうとしておらず、守りやすくしてしまっていました。

二点目も不要に出されたサイドチェンジを奪ったものからでした。この時のマインツは急がずゆっくりとスペースを探しながらプレイしていた。バイエルンは大きく引いて守ってスペースを与えていた。どの選手をも予め掴まえようとしておらず、強く当たろうともしておらず、センターバックはいつの失点も同じようにサイドに引き出されて中の選手は傍観者となっているだけだった。この状況になってもデミケリスを起用しないことに疑問を感じていて、予め強く当たるつもりが無いのなら、カバーリングに長けているデミケリスに中央を任せた方がより守れる範囲が広がるのではないかと思うんですが、最後に起用されたのも彼ではなくティモシュチュクでした。
あるいは中盤に守備の専門家を置いて、サイドに引き出されることの多いセンターバックのカバーをさせることを考えたとすればティモシュチュクを起用してセンターバックの前でプレイさせる可能性もあるはずなんですが、実際にサイドへセンターバックを引き出されて失点した二点目以降の交代で修正するのかと思ってしまったんですが、そうではなくただ単にヴァン・ブイテンを上げてパワープレイをするための交代でしか無くがっかりしてしまいました。

パワープレイの布陣を整えて中に人数を入れておいきながら、アーリークロスを入れてさっさと中で勝負をするでもなく、横に回して繋いで、またサイドアタッカーの足下へ預けようとしてカットされる。何度か失敗してようやく早めに入れるようになって実際にいくつかのチャンスは得ましたが、これだけフィードを成功させるティモシュチュクが居るにもかかわらず使わず、デミケリスも起用せず、不安定な守備の改善を目指さない。だからといって攻撃がスムーズなわけではなく、バリエーションも少なく、得点力もない。リベリーやロッベンがいないとはいえ、選手のパフォーマンスが悪いと言い張る監督にも大きな問題があるように思うのですが、そういうコメントが出ていないようなので残念です。

Liga Espanola Jornadas 5. アスレチック・ビルバオ対バルセロナ

2010 年 9 月 26 日 日曜日

■Athletic Bilbao 1 – 3 FC Barcelona
この日は前節からボヤンとマクスウェルが外れてペドロとアドリアーノのスタートでした。その二人の動きは前節の状態からするとよく、特にアドリアーノの部分はビルバオが縦を切る動きをしても中へとボールを動かすことでバックパスを避けられていましたし、それによって全体をペースダウンせずに済んでいました。

ビルバオは前からプレッシャーをかけて最後尾に下がったセルヒオ・ブスケツとピケにもプレッシャーを与えて前へボールを運ばせずに大きくポジションを下げたままプレイさせようとする部分を持っていました。主にボールの扱いに長けたその二人に近いポジションを保ってマークし、プジョルには右足のコースを切る事で左足でのパスを出させてカットを狙おうとしているようでしたが、それが常に成功していたわけではなく多くの場合はすり抜けられていました。一度チェックを抜けてキープの体勢に入ってしまえば、最後尾をハーフウェーラインにまで持ってこられるほどビルバオは引いて守ろうとし、セルヒオ・ブスケツもスリーバックとしてプレイするよりも中盤としてボールのコントロールに参加出来るほど前にポジションを移せていました。

序盤は大きく下がったビルバオも中央に位置していたイニエスタが戻って受けようとしてもぴったりとマークについてポストプレイをさせなかったり、全体を通して勢いよく寄せているためにコントロールをさせずに奪ってしまえる場面もありました。ただ全体を押し下げてしまう守り方はその継続をするには縦の距離が開いてしまい、中盤を自由にさせてしまうことにも繋がっていました。ペナルティエリアに入るほど下がってしまっていることでバルサはシャビもイニエスタもフリーでボールを扱えましたし、中央を固めている影響からサイドバックも高いポジションを取ることを苦労しなかった。キープが安定して出来ることでアンカーも後方のケアの為に下がらず、シャビやケイタと同列のように組み立てに参加できましたし、中盤を自由にしてくれることでバルサは攻撃に大きな可能性を持っていました。自由にパスを出す時間を与えてもらっていることでビジャの飛び出しにも対応してパスを出せましたし、ケイタの飛び出しも利用できた。そうやって強く当たってくるビルバオの前向きな守備も含めて裏を使いやすい環境にあったことで、ビジャとケイタが背後を突いてシュートまで持っていくことが出来た。残念なことにキーパーのイライソスやゴールポストに阻まれてしまったことで得点には至りませんでしたが、楽にボールを動かせてもらえたことで主導権を握ることには成功をしていました。

前節課題だったサイドバックと中央とのパスが少なかったのも改善されて、比較的前目の中盤からダニエウ・アウベスにパスを出せていて、少なくともセンターバックからパスを出されてスピードダウンをして、その間に縦を塞がれてしまうようなものを見ることはありませんでした。それとあと一つの問題だったフォワードとの距離も問題が無く、サイドバックが上がっていられることでウイングを大きく開いておく必要が無く、中に絞り気味のペドロとビジャを一列下がり気味にプレイするイニエスタがサポートする形を取れ、シャビやケイタのポジションも高く、前後に分離する姿は見られませんでした。ただビルバオも守備の修正をしてきてシャビをなるべくフリーにさせないようにマークを近づけたことで、中から縦へパスが出ず、外へ出すパスが増えていました。マークの距離を近づけられてしまったために前をゆっくり向くチャンスが減り、ポジションが下がったことで縦パスをカットされやすい環境を整えられてしまったためで、サイドバックからのクロスが全体として増えていました。代わりにケイタがバイタルエリアに入っても積極的に前を向いてスルーパスやシュートを狙わずサイドに流していたこともそれに影響をしていたのかもしれません。

アモレビエタが一発退場をしたのはこの試合では非常に大きく、ファウルは勢いに乗ったままの接触でイニエスタが先に触っている。そしてアモレビエタが足の裏を見せていて危険ではありましたし怪我の危険の高いプレイだったようには見えました。メッシの件があったからレッドカードのように見え、本来は選手を怪我から守るためにはこういった判定の方がいいのかもしれないんですが、この試合の中で危険な、荒れる要因となるようなファウルとしては一度目だったように思えましたから、イエローで止めておくべきだったのかもしれません。アトレチコ戦とは状況が違いましたから。

一人減ってもビルバオのプランは変わらず、前からのプレスとリトリート。スペースの出来る割合が増えたぐらいで、切り替えもチェックも行っていて、フェルナンド・ジョレンテを中心としたポストプレイとカウンターもある。バルサは裏へパスは相手が意識してしまったことから利用できなくなり、高い位置でキープを出来たとしても裏へ出すパスが無くなって足下のパスが増えてしまって停滞してしまうようになった。待ちかまえている相手に対してその手前でパスを回すだけでは相手のゾーンを崩せず、ドリブルで仕掛けたり裏への飛び出しを積極的にして相手のギャップを誘い崩せる要素を増やしたいところでしたが、それが出来ていない。ミドルシュートもなく、崩すための方法がパスしか利用できていないところに苦しさがあり、サイドでペドロとダニエウ・アウベスが連携したときもどちらもが相手に掴まえられて飛び出せず、手前で回しているだけで脅威を与えられずスピードアップもできていませんでした。

後半からはそのペドロとダニエウ・アウベスの連携もより明確に出来るようになり、ペドロは前半よりもサイドにポジションを取るようになっていました。二人でボールを交換しつつ一枚しか居ない相手の裏へ飛び出して使おうとしていましたし、ビジャも裏への狙いを復活させて中央で裏へ飛び出そうとしていました。イニエスタもそれをサポートする形は変わらず、上手く動けるようになっていました。それと前半に崩せなくなってからすることの多かった中からサイドへボールを出し、外から再び中へ戻す形も未だありましたが、それが全体の足を止めて足下だけに繰り返されるのではなく、誰かが裏への狙いを持っていたり追い越していく動きをプラスしていくことで、上手く相手の目線を動かしてマークに付かせず飛び出す役割を果たしていました。ケイタのゴールはその中から生まれ、パスだけでしたがリズムの変化をビジャのダイレクトのパスが出して、相手に守備のポイントを絞らせずフリーにしていました。

その後もペドロの飛び出しが一対一の状況を作っていましたが、イライソスが止めて追加点にさせてもらえなかった。しかしながらダニエウ・アウベスも相手の背後に飛び出して受けようとし始めたりペドロとの連携で相手を引きつけてその裏へ飛び出させている良さは継続をしていて、縦への勢いを止めてしまうことは減っていました。ドリブルで相手を引きつけられるようにもなっていましたし、そういった部分は待ちかまえられる前に向かっていけるようになっていました。ビルバオが攻撃に出るために前で踏みとどまろうとしたり出て行こうとするためにスペースができはじめていたこともありましたし、サイドバックの所は元々ケアしていなかったんですが、ダニエウ・アウベスをあまりにもフリーにしてしまい、ペドロとの連携で崩されすぎてビルバオは気にするあまり、上がってきたイニエスタをフリーにすることもありました。両サイドをフリーにしても守れていたものが失点をしたことで気にするようになってしまい、中央で受けるだけのスペースを作ってしまっていました。

ビルバオは攻撃する手段をなかなか見つけられず、バルサがそれぞれを予め掴まえて後方からプレッシャーを与えられるほど運動量が少なく、中盤からパスを出していくことは出来ておらず、カウンターで走ることは出来ても預けられずに奪われていました。交代で中盤の人数を増やしても、守備で追いかける位置は低いままで、カウンターになっても前が減ったために預けるポイントが少なく起点とできない。サポートしようにも距離が開いているために、全体的に押し込まれてボールを回されて消耗している印象が強くありました。そしてバルサが相手を消耗させつつ左右にボールを動かしつつ相手のゾーンを動かし、シャビのマーカーを外してフリーにしたことでミドルシュートからの二点目になっていました。

バルサは交代選手を入れて全体的にスピードを落としてしまっていましたが、それらの選手が悪いわけではなく、試合終了に向けての準備のようなものでした。問題なくそのまま終わることが出来ていれば得点を追加するよりも次に繋がったのかもしれませんが、ビジャが不必要な退場をしたことで状況を大きく変えてしまっていました。激しくボールを奪うためのチェックをされていたのは確かでしたが、残り時間やスコアを考えれば全く意味がない退場であって、スコアがどうであったとしてもプレイが切れた後の報復行為で意味のないものでした。この試合だけならともかく次の試合にも影響をする非常に問題のある退場でいくら責められたとしてもおかしくないものだと思っています。

退場で少し流れが変わり、ビルバオに攻撃のチャンスを与えてしまいました。それまでも多くプジョルが相手が最初に預ける縦パスを抑えるために出て行くことが多かったんですが、失点の場面ではサイドに引き出されてしまい、多くの場面ではそれで上手く抑えられていたんですが、この場面ではこぼれ球を拾われてしまい、ディフェンスライン中央に人数の足りていない状態を作ってしまった。クロスに対して全てを掴まえられなくなり、ヘディングを許したのはその影響でしょうが、ビクトル・バルデスは上手く防いでくれました。ただその後のこぼれ球を拾えなかったことも押し込まれてしまったこも状況からすれば仕方が無く、この失点がその後の危険な時間を作ってしまいました。

ただ相手が嵩にかかって攻めてきてくれたお陰でカウンターのチャンスを得ることが出来、ペドロがオフサイドをクリアしつつ諦めず走ったこと、セルヒオ・ブスケツが長い距離を上がってきたこと、ファーサイドでボヤンも走っていた。それらのお陰で三点目を奪い、同点に追いつかれてしまいそうな異様な雰囲気を振り払ってくれ、なんとか勝ちをものにすることが出来ました。

Liga Espanola Jornadas 4. バルセロナ対スポルティング・ヒホン

2010 年 9 月 23 日 木曜日

■FC Barcelona 1 – 0 Sporting de Gijon
先日の怪我によってメッシはもちろん出場できず、フォワードにはイニエスタを一枚前に上げることで対応をしていました。基本形はビジャを中央に右にボヤン、左にイニエスタで、中盤にはケイタが、センターバックにはピケの代わりにガブリエル・ミリートがそれぞれ出場をしていました。

ヒホンは引いて守る形は取らず、ディフェンスラインを一定に保って踏みとどまり、ディフェンスラインと中盤の二つのラインを形成し、それよりも一つ前にフォワード二枚でラインを形成する統率された守備組織を披露していました。最初から高いラインを取ってプレッシングを繰り返してバルサに構築をさせない運動量を必要とする守り方ではなく、序盤は特に組織の構築を優先してバックパスがスイッチとなってチェイシングを開始する。それまではゾーンを保ったまま横に振られてしまったり不用意にでてスペースを相手に与えることなく待ち構える。それぞれのポジションが作っているライン同士は距離を一定に保ち、その間に入られるほどのスペースを用意しておらず、非常にコンパクトに保たれていました。

バルサは攻撃に移ったときにウイングの二人が中央でのプレイを得意とし、中に入る傾向が強くあることで、サイドの高い位置、ヒホンが作っているブロックの外側に残ってパスを受けようとするよりも若干中にポジションを取ってしまうために、ヒホンの守備の網にかかる位置でボールを受けようとしていることが多く、フリーでボールを受けて起点となることは出来ていませんでした。アンカーのセルヒオ・ブスケツがアトレチコ戦のように下がってスリーバックを形成することでサイドバックの押し上げを狙い、ウイングが中に入る外側をサイドバックによって利用させようとしているようではありましたが、キープ力が善戦に乏しいために上がりきれず、ダニエウ・アウベスもサイドバックの背後を突くような飛び出しを出来ず、中途半端な高さまでしか上がらなかったり中に絞ってしまうことでヒホンのブロックに捕まってしまい、効果的なオーバーラップを出来ていませんでした。

中央に寄ることの多いボヤンも開いてドリブルで仕掛ける姿勢は見せていたんですが、ダニエウ・アウベスはそれと連動してオーバーラップをしてマーカーを引きつける役割を果たせませんでしたし、ボヤンのドリブルも縦や中、キープなど明確に目的を持ったもののようには見えず、抜こうとしているようでもなかった。そういった部分が追い越すのを躊躇させてしまっていたのかもしれず、ボヤンはマイナス方向へのパスを出そうとしてカットされてしまうことも多く、サイドの起点は左へビジャが流れたときにマクスウェルと縦の連動を出来る程度でしかありませんでした。

そうなると中央で起点を作ってキープをしている間にサイドバックを押し上げて裏へ飛び出させることで攻撃に幅を持たせたいところでしたが、シャビ一枚がコントロールする形ではそこにマークが厳しくついてしまい、サイドバックが上がったとしてもパスコースを切られてしまってそこを選択できず、前を向かせてもらえることも少ない。中央で近くサポートを出来ていればよかったんですが、ケイタはその役割をするにはポジションが低く、あるいはフォワードの位置にまで上がってしまうことで平行した位置でパス交換をしながら前を向けない。中央からサイドへ出そうとしても、その間を取り持つ選手がおらず、フォワードはディフェンスラインのマークにあっていて、サイドバックも上がりきっておらず裏ではなくて前で受けようとしていることでチェックを受けやすい。イニエスタが中央に入ってしまえばシャビとの近い関係を保てるものの、ビジャが代わりに左へ流れてしまうことでディフェンスラインと戦ってくれる選手がいなくなり、相手に積極的に前への守備をさせてしまう。下がってバイタルエリアに入り、収められるようにしてしまえばウイングがストライカーの位置に入ってしまい、やはりサイドへの起点が設けられない。中央でワンツーを利用しながら崩そうとしても、見方が寄っているために敵がスペースを消してしまえ、人数の多さから抜くことも出来ていませんでした。他にもいくつか裏へボールを出すことが出来ていれば相手を押し下げることに繋がり、スペースを自分たちで用意できていたのかもしれませんが、裏へのパスが非常にミスが多く合わないためにミスを怖がってか出さなくなってしまっていましたし、長距離からは出せても合うことはありませんでした。

後半開始からペドロを投入したことでスリートップの下にイニエスタを置くいつもの形を作れたことで、バイタルエリアの利用を積極的に出来るようになったのは大きな効果でした。シャビ一枚を抑えられていたものをサポートとして使えるようになり、シャビとフォワードの間を彼がつないでラストパスもシュートも狙える環境になった。それだけでなく、サイドバックやウイングとの距離を彼が縮めることで外から中へ展開をスムーズにして再展開をしやすくなっていましたし、フォワードとの距離を縮めたことでビジャへのパスを預けた後近くにいるイニエスタ、もしくはシャビとパス交換をして裏へ飛び出そうとすることも出来るようになりましたし、シャビとイニエスタが近くなったことで二人で中央のキープと崩していけるようになった。

ボヤンは前半よりもきちんとサイドに開くようになり、ペドロはそれを徹底して出来ていることで、サイドバックを高い位置に呼び込んで使えるようになっていました。縦がばらばらの動きをするのではなく、中央のキープ力も加わってペドロが上手くダニエウ・アウベスの上がりを促せるようになり、それが高い位置を取れる要因になり裏へのパスを出せる要素になっていました。距離が近づいたことで精度のあるパスと飛び出しのタイミングがあっからこそのビジャの先制点でした。
その後もダニエウ・アウベスが相手のサイドバックの裏側に飛び出そうとする動きができるようになったのは、中央でのキープ力がシャビとイニエスタがいることで増したことも大きく、ペドロがサイドバックの上がりを促すことが出来るからでしょうか。ボヤンはその点サイドバックに扱いが下手なのか、それとも信頼されていないのか、同じようにダニエウ・アウベスが上がることが出来てればもっと早くに得点を取れていたのかもしれません。

ただその後も状態を継続できていたわけではなく、セルヒオ・ブスケツが下がってボールを受けたり、守備のためにスリーバックを形成しようとする事もあるため、中盤のシャビやイニエスタが下がって展開しなければならないことも増え、フォワードとの距離を広げてしまう回数が増えていました。押し込まれたときに前へ繋ぐ選手がいなくなることにも繋がり、守勢に回ったときに厚みを大きく取ることが出来ず、センターバックの前こそ埋められていましたが、それより前に選手を残しておけず、セカンドボールを多く拾われてしまい、バルサが押し上げることが出来なくなっていました。もちろんそれはヒホンがきっちりと人数を増やして攻勢に出ているからではありましたが、もっと多くセカンドボールを拾えるようにしてしまうべきでした。一つはバルサがディフェンスラインを上げられず、裏へ出される浮き球によって走らされることを気にして、ラインを下げて対応しようとしているため前後の距離が開いてしまいがちになる。それを気にして中盤が下がってしまったのも要因でした。高くコンパクトに保てないことで、得点を取れたときのようなイニエスタとシャビの高い位置、バイタルエリアのポジションが取れず、フォワードのみの攻撃とサイドバックに頼っているだけで中央での展開が出来なくなったことがヒホンに人数をかける余裕を与えてしまっていました。ヒホンの前線の人数が増え積極的なプレッシングができるようになったこともセンターバックのサポートを必要とするようになった要因でもありました。

その後にいくつか本来のように相手のペナルティエリア付近でボールを動かしてダニエウ・アウベスを裏へ飛び出させたりセカンドボールを拾って何度も作り直してしまうなどができるようになっていましたが、終盤は前後の分離から両者のフォワードにボールを収めてからの中盤をある程度省略された展開が目立つばかりでした。

Bundesliga 5. Spieltag ホッフェンハイムバイエルン・ミュンヘン

2010 年 9 月 22 日 水曜日

■TSG 1899 Hoffenheim 1 – 2 FC Bayern Munchen
開始一分もしないうちにホッフェンハイムに先制を許していましたが、失点の仕方はお粗末なものでした。ここの所目立っている無理な縦パスをカットされてからのカウンターでディフェンスラインの前をファン・ボメルとシュバインシュタイガーが埋めておらず、バドシュトゥバーの裏を使われてヴァン・ブイテンが左に寄せられたにもかかわらず、誰もヴァン・ブイテンがいなくなったスペースを埋めようとしていなかった。コンテントがきっちりとクリアしていたり、相手に当ててタッチラインを割るように出来ていれば問題の無かった場面でしたが、それが出来なかったのが一番の原因だとしても、リスクを考えればセンターバックの二人が同じポジションに残り続けていることも問題で、周囲の選手がきっちりとスペースを埋めようとしていなかったのも問題でした。

攻め急ぐ傾向が強いバイエルンが追いかけなければならなくなり、余計に攻め急ぐようになっていました。マーカーに付かれていたり囲まれかけている選手に対してもセンターバックから縦パスを出してしまい、収められないどころかカットされてしまいそうになっていましたし、実際に奪われてしまうことも多くにありました。大きなサイドチェンジをして相手を動かそうとしているようなプレイも序盤は見られましたが、サイドチェンジをしたあとにすぐ後ろに戻してしまっているだけで、仕掛けようともせず中のコースも用意できていない。それではサイドを変えても相手がポジション修正する運動量すら稼げず、そして戻してから縦パスを入れて奪われる。多少は背中を押さえられていることを利用して、コースを変えてサイドバックを走らせようとしているものの、それも明確な形で出来ていないことはサイドバックのスタートが遅れていることからも解りますし、勢いこそあるものの中で対応する選手がたりないことも多く得点に繋がりそうには思えませんでした。

ただ攻め急ぎに関しては、ホッフェンハイムが素早い囲い込みとセンターバックへのチェックをしてくれているお陰で、余裕を持ってボールを扱える時間が少なく、横パスを使って最後尾で動かさなければプレスにかかるようになってしまっている。ホッフェンハイムが上手く縦のコースを切ってくれているお陰で、縦パスが選べず、横に動かすことで徐々にボールを引き出す動きや全体を押し上げることにも繋がり、センターバックのヴァン・ブイテンが無理矢理パスをフォワードに渡そうとしなくなってセントラル・ミッドフィールダーのファン・ボメルやシュバインシュタイガーにまず渡すようになったのは怪我の功名とでもいうべきでしょうか。ただボールを渡されることの多いサイドバックの二人はコースを切られていることもあって前にドリブルをできず戻すばかりで、中のセントラル・ミッドフィールダーがサポートに入っていれば、ワンツーで前へ向かっていけるのかもしれませんが、距離が遠くそれも出来ない。徐々にフォアチェックが減ってしまうと、また無理な長距離のフィードで早くサイドアタッカーに預けてしまおうと長いボールが増え、カットされたりタッチラインを割るなどしてボールを失う回数が増えてしまい、相手の守備のお陰で目立たなくなっているだけでした。

リベリーもこれまでの試合よりも左サイドのタッチライン際に張っている時間が多く、中へポジションを動かそうとする回数も少ないままでした。そのため外側に相手一枚を引きつけられても中にパスコースが出来ず、運動量も少ないことで相手のマークがついてしまってパスを出せない。中に入ってクローゼやクロースと連携をしたり、サイドでプレイするならコンテントとの縦の関係で相手を崩すようなこともせず、ボールの来ないタッチライン際でひたすら待っているだけで、有効に力を発揮できているのはカウンター時のスピードで脅威を与えている程度でした。

時間の経過で中盤中央で多少の連動は出来るようになり、シュバインシュタイガーが上がったり、クロースが下がってきて受けてファン・ボメルと入れ替わろうとするようになっていました。ただホッフェンハイムのタイトなマークが前を向かせてくれませんし、一つのそのマークをワンツーなどで抜け出せたとしても、クローゼは相手に抑えられていて、クロースが戻ってきてしまえば他の選択肢が中央にない。それで裏へスルーパスで抜け出しを促すようなものを出せず、再び戻してしまう。戻したボールはマークに付かれながら戻ってくる選手へ縦パスを出して失う。序盤とそこは変わりませんでした。ホッフェンハイムの方が雑さはあるものの、それぞれがボールの近くにサポートに向かっていましたし、全体が運動量を保っているように見える。一斉にオーバーラップをしたりパスコースを作ったりダイアゴナルな動きでマーカーを外そうともしている。ボールを追い越していく動きもある。バイエルンはボールより前に選手がいても渡せず、渡せても追い越していかずに後ろに残ってしまっている。守備ではホッフェンハイムのカウンターを一対一で抑えられず、二枚で向かってもファウルで止めるだけ。そもそも一対一の守備で縦のコースは切っているものの寄せられておらず、奪うところまで持っていけず簡単に下がらされてしまっているのも大きな問題ですね。

後半開始から二枚を投入したことで勢いに繋がり、ミュラーとオリッチが右サイドで連携をしてドリブルで仕掛けられるようになっていました。これまではパスをすることはあってもカウンター以外でのドリブルが少なく変化をもたらせていませんでした。後半に入ってからすぐにバックパスだけではなくドリブルで仕掛けて相手を動かす選択肢を得てからはそれを何度かすることができるようなった。フォワードが二枚になったことから、最初の縦パスを何とか受けられればもう一枚が裏へ抜ける動きをしてそこへパスを出そうとすることも出来るようになったため連動をできましたし、左もコンテントよりもプラニッチが高く中への意識を持っているためにサポートを得れば連動できていましたし、縦や斜めのドリブルをしていける。リベリーも左サイドにいるだけではなく、中に動いてマークを引きつけることでプラニッチの上がるスペースを用意するようになり、プラニッチが上がることでリベリーにつくはずのベックをサイドに引きつけたり、それをすることでリベリーがディフェンスラインと中盤の間に入ってしまえるなど、いくつもの変化が生まれていました。そういった動きとオリッチの運動量が加わり、サイドと中央との距離も縮められるようになったのも大きかったんですが、サイドバックがボールを持った後にドリブルで前へ運ぶことが難しいのは変わらないようでした。前を軽く塞がれるだけで止めてパスを選択するために足を止めてしまうのはいい傾向ではありません。

素早くボールを動かして、選手もそれに合わせて動けるようになってきたことで、バイエルンの方が先手を取って動けるようになり、前半はホッフェンハイムが運動量の少ないバイエルンの選手たちを掴まえておくのに苦労しなかったようでしたが、後半はそれを予めつかまえておくことが難しくなり、ボールを受けようとしている選手に対しても近いポジションを保っていられず、急いで寄せなければ余裕を与えてしまうようになった。そのため走らされる距離が広がり、スピードも要求されるようになって消耗するようになってしまった。全体がそのため走っている印象を受けるようになり、試合展開のスピードアップにも繋がっていました。それはフィジカルコンタクトの回数の増加や激しさを増すことにも繋がり、シュバインシュタイガーやファン・ボメルはイエローカードの可能性すらあるほど遅れてしまったり激しく当たってしまっていたんですが、幸運にもそれらを出されることはありませんでした。

素早い展開が続きすぎて、リベリーへのマークが緩くなってしまったことがバイエルンが同点に追いつけた最大の要因でした。それまではドリブルを中へ向かって許すようなマークをしておらず、ある程度近く、中を切ってしまうことでスピードに乗らせない処理をしていたものの、ベックが再三にわたって攻撃のためにオーバーラップをしたこともあって大きなスペースが出来てしまっていた。バイエルンが右から攻めていたこともあって全体を均等なバランスで保てず片側に寄ってしまっていた。そのことがベックとリベリーとの距離を広げてしまって、スピードに乗ったドリブルをさせてしまい、カバーもいないことでリトリートするしかない環境を作ってしまった。一度は弾いたものの、そこで決められていてもおかしくなく、こぼれ球をミュラーに押し込まれて同点。しかしながら、この際の接触でリベリーは負傷退場をしなければならなくなり、アルティントップが交代で投入されました。

その後はバイエルンが押し気味に試合を進め、鋭いクロスやセットプレイのボールが多くチャンスを作っていました。低く鋭いボールは難しい対応を迫られますし、バイエルンの人数が揃っていたことも、ホッフェンハイムもペナルティエリア内に多く戻っていることで味方同士の競り合いもあり、低いボールはキーパーが出られないなど、処理を難しくさせていたんですが、その多くのチャンスを作った時間帯以降は何故か高いボールを多用するようになり、脅かせていたものから多少対応を楽にさせてしまっていました。

ホッフェンハイムがラインを押し上げられなくなると中盤が間延びしてプレッシャーをかけられず、それまではある程度出来ていたサイドバックの前を塞いでドリブルを選択させないようにしていた守備も出来なくなり、駆け上がられる回数も増えてしまっていました。それによってバイエルンは誰がボールを持ったとしてもスピードアップをすることが出来、それが連続した攻撃になってよりホッフェンハイムが出てこられないような環境を作ることになっていました。ただそれでも集中して守っていましたし、時間を得られれば押し上げて縦のコースを切るように組織を戻すこともできていました。カウンターの人数は少ないものの勢いを持続できていましたし、バイエルンの構成を継続させずに途切れさせたのは素晴らしい集中力でした。それまで一時的に許してしまっていたサイドバックのドリブルも再び防げるように戻せていましたし、粘り強さはさすが。ただバイエルンも横に動かすことでミュラーを掴まえるために左サイドバックが動き、出来たスペースをラームに使わせてオーバーラップからクロスを入れる、左もアルティントップが中に動いてプラニッチが使うなど、ようやくサイドアタッカーが中に安定して入る動きをして、サイドバックがそのスペースを使うパターンが出来るようになってきていました。

問題は審判の判断で、ロスタイム直前のファン・ボメルとルディの接触では、あれはアフターであり、あの試合のテンション、そしてスパイクの方向からすればレッドカードであってもおかしくないほどのものでしたが、バイエルンは幸運にも出されたカードがイエローで済み、ロスタイムのセットプレイでバイエルンは逆転しましたが、最初のヘディングをしたオリッチもオフサイドでしたし、その後ボールに反応したミュラーもヴァン・ブイテンもオフサイドポジションでした。

Liga Espanola Jornadas 4. レアル・マドリー対エスパニョール

2010 年 9 月 22 日 水曜日

■Real Madrid 3 – 0 RCD Espanyol
両者共に攻撃のリズムを作るためのパスを多用せず、中盤で繋いでキープを目指す場面も殆ど見られない試合でした。エスパニョールもレアル・マドリーもラインを一定に高く保ち、中盤を厚くしてスペースを減らそうとしている守備組織も影響していましたが、そこをパスの連続とサポートによって動かして突き崩そうとしたり、左右に大きく動かしてゾーンをずらしスペースを作ろうとするのでもなく、裏や浮き球を単調にパスを出すばかりでした。

エスパニョールの攻撃は特に意図がはっきりとせず、フォワードの選手たちは早くから走り出して裏へ飛び出そうとする狙いを持って動いて居るにもかかわらず、後方の選手たちは繋ごうとするかのように近くの選手にボールを預けてしまう。そのスピードダウンによってフォワードも動きを止めなければならず、止まってから浮き球によってボールを渡されることで収められず、チェックを受けた事による不安定なパスのために精度もなく、あるいはそういった後方からのパスを収める形になってから裏へ出されるなど、チーム内の意識の統一が出来ているようには見えませんでした。

マドリーは前から守備をして囲い込み、奪ってショートカウンターを狙う姿勢も見えていましたが、高い位置で奪えなければエスパニョールと攻撃のパターンはそれほど変わらず、鋭い縦パスを入れて個人のドリブルに頼るような、とにかく浮き球を含めてアタッカーに早くボールを預けてしまおうとするものばかりで、選手間の距離を縮めるために間に一つ挟もうとせず、中盤を省略したパスはその距離が長いために掴まえられやすく精度を高めにくいもので、パスミスも非常に多く相手にボールを渡してしまっていました。ボールが渡ったとしてもドリブルに対してリトリートする相手に飛び出した理代子の連動もパスで崩す姿勢もなく、相手の手前でプレイをし続けてミドルシュートをする。サイドバックの外側に出しても省略した攻撃の為に人数が足りず、クロスに対応を出来る選手が殆どいませんでした。

エスパニョールは時間の経過と共に縦を急ぎすぎず、中盤で繋ぎながらマドリーの囲い込もうとするプレッシングに対してサポートを利用してパスをダイレクトに動かし、繋いで逃れられる回数が増え、多少の改善は見られるようになりましたが、フォワードがどのタイミングで飛び出し、他の中盤がどうやってサポートをしていくのか、フォワードを追い越していくのかという形が見られず、繋いでいても全体を押し上げて攻撃の枚数を増やしているのではなく、時間をかけてしまっているだけのようでもありました。

マドリーはその後も縦に入れていく意識は変わっておらず、とにかく縦へ、裏へ、という距離の長いパスが連続していて、後方でパスコースを探す時間が長く、ボールを持っている時間も長く、目の前や横に選手がいてもそこに出そうとするよりも、より先ばかりを見てパスコースを探しているようでした。そのうちにそれぞれがサポートのための動きをしなくなり、縦も横もボールを持っている選手の周囲には動きが無く、ワンツーのようにしてプレッシングをかわすことも非常に希でした。ただ裏や縦へ出される単調なパスもスピードのあるアタッカーを相手にしていることでエスパニョールのディフェンダーにとっては大きな負担になっているようで、裏へのパスを警戒してディフェンダーが予め裏へ抜ける動きに対応しようと下がっていくようになり、縦パスに対して厳しくマークを受けていたものがほどける瞬間が出てくるようになっていました。そしてそれ以前であれば予め寄せられているために対応できていたものが遅れて当たるために、それまでよりもファウルになりやすく、押し下げられた後のプレイであるためにペナルティエリアの近くでのファウルになってしまう。

そうやって得たフリーキックによって壁のハンドを誘いPKを得て先制点になったわけですが、この試合のスコアを決めた要因は審判にあるのかもしれません。それまでも何度か手にボールが当たってハンドが主張される機会はあったんですが、一度もファウルの笛を吹いておらず、このPKの場面よりも体から離れて手に当たっている場面の方が多かった。むしろその場面でPKが与えられていてもよかったほどで、このPKの場面は頭の上に手が出ていたわけではなく顔の前で体から離れていたわけではない。そう考えると、この試合にそれまであった基準からは離れているようにも思えるわけで、エスパニョールからすれば納得のいかなかった判定かもしれません。その後もペペの二枚目の厳しすぎるイエローカードや退場者が出た直後で不用意すぎたとはいえ、ガランのファウルは勢いがついていて危険ではありましたが一発で退場にするほどかどうかも疑問で、フォルリンがさらに後に退場になったのも含めて、審判が目立ちすぎていたようにも思えました。

先制点以後もレアル・マドリーの攻撃は中盤での構築を省略してしまうものが多く、裏へ走らせるパスを中心としたものでした。それまではフォワードが単独で行い、その後の連動は望めませんでしたが、相手をフォワードが押し下げた後にエジルらが二列目の位置を取って跳ね返されたボールを拾えるチャンスが出てきて二次攻撃が出来るようにもなった。エスパニョールはせっかく出来ていた中盤の繋ぎをしなくなり、ロングボールの対応を嫌ってラインを下げてしまったことからマドリーのフォワードたちにもディフェンスラインの手前で安定して受けられる環境を作ってしまい、一人に裏へ走る動きをされてしまっただけで全体を大きく下げてしまい、中盤にぽっかりとスペースを与えてしまうようになった。そうなると守備だけではなく攻撃に出たときにも前後の分離が繋ぐパスをできなくさせ、もたつきを伴うボール回しにしかならなくなってしまいました。あとはクイックに、とにかくセルヒオ・ガルシアに裏へ走らせてそれに出す程度でしょうか。それでも一度出来たスペースをマドリーはあまり利用しようとはしておらず、後半になってようやくサイドバックがオーバーラップできる時間を得るほどパスを動かせるようになりましたが、サイドへのドリブルで相手に当ててコーナーキックを得る程度でしか無く、サポートを得ながらパスの交換は三点目の場面まで殆ど見られませんでした。それどころか中盤で奪った際にも預ける場所を得られないのは非常にマドリーにとって大きな問題で、ラサナ・ディアラがボールを奪っても、預ける先を見つけられずにすぐに離せず、もう一度奪い返されそうなほどにチェックを受ける場面も見られました。

エスパニョールも攻撃に変化はなくただフォワードへ裏へパスを出して走らせる程度でした。マドリーはそれに対応するためにラインを下げることは無かったために全体を間延びさせる効果もありませんでしたし、抜け出すことが出来てもスピードで大きく勝っているわけではないから戻りきられて対応されてしまう。何度も奪ってフォワードを走らせてもその効果は薄いものでした。

両者に退場者が出た後は、エスパニョールのファーサイドに特に大きな穴が空き、そこを利用されての失点など、状況を変えるための手段が徐々に無くなっていき、結局攻撃のパターンを変えることすら出来ていませんでした。