■FC Barcelona(PK3-1Win) 1 – 1 AC Milan
この試合はスーペル・コパに出場しなかった選手を中心にスターティングメンバーが組まれていました。ピント、プジョル、ガブリエル・ミリート、ジョナタン、ジェフレン、イブラヒモビッチ。それと途中出場だったビジャやアドリアーノを加えたもので、ポジションとして目立ったのはジョナタン・ドス・サントスのアンカーでしょうか。補強を出来ておらず、バックアップを出来る選手を探さなければならないということなのかもしれませんが、これまでの方針のような高さや強さを持ち合わせているわけではないんですが、そこは変更したんでしょうか。
バルサは攻守の切り替えを早くしつつ、ピルロに対してきっちりとプレッシングをかけて前を向かせないよう努力している部分が序盤は強く見えました。特に攻撃陣によるチェックによって奪うことよりも前を向かせないことを目的としているようで、ここから起点を作られることはありませんでした。
その中でバルサはボールを奪った後に縦パスを入れようとすることが多く、縦への仕掛けも多くありました。パスの出し手に対してプレッシャーをあまりかけられていないことがそれをさせているようでもありましたが、ディフェンスラインがあまりフォワードに密着をせず、パスカットを狙って来ていないこともそれを容易にさせた要因の一つでしょう。足を出して来るのではなく、待ってくれる。ビジャやジェフレンがボールを持ったときも同じようにリーガでなら足を出してボールを奪いに来られるような場面でもリトリートを優先しているかのようにポジションの守りに入ってくれている。それが仕掛けやすい環境になっていました。ミランが積極的に守備にでるのはたまにバルサの最後尾に対してチェックがされる程度で、フォワードと中盤の連動はあってもそれ以降がついてこないために結局は一つかいくぐることで前へ簡単に運べるためにバルサとしては苦労はしていないようでした。
ミランの守備が待つことを中心としているのとは反対にバルサの基本方針は、きっちりと当たり振り向かせいない、としているようでした。ジョナタンは積極的にアンカーの位置から縦パスに対して向かっていましたし、それが災いして追いかけるような姿勢になることもありましたが体を寄せていた。きちんと体勢を崩すことでセンターバックがカバーできるようにしていましたし、センターバックが同じように前に出て当たりに行くときにはポジションを埋める動きもある程度出来ていた。後方の方針としてそれをやっているためにミランの序盤は特に縦パスを入れることが出来てもそれ以上はいることが出来ずにバックパスを選択しなければならないようでした。
バルサの縦パスはイブラヒモビッチに対して収められるものが多く、イブラヒモビッチもボールを失うことは少なく、あまりスペースを得られない中でよくキープして、あるいはダイレクトで戻せていました。背中に背負いながらもボールのコントロールをわざと大きくして体で止めてから足に収めることもしていましたし、その辺のやりやすさはセリエAで長くプレイしていたからこそなのかもしれません。それ以外の縦パスにしても、ダイレクトで戻せるだけ中盤にはきっちりと人がいて相手の隙間に入り込んでいるし、フィードにしても、こぼれ球へのポジションを取れている。失敗してもマイボールにできているわけで運動量やポジションを上手く取ることに関してはバルサの方がこの時間はいいものでした。
ミランも徐々にフォアチェックをしてボールを積極的に奪おうとしてくるようになり、徐々にやりにくくなっていました。特にK.P.ボアテングにその傾向が強く、中盤で出されるパス、横パスやパススピードの遅いものになりやすいものを狙われ、実際に奪ってカウンターもされてしまっていました。徐々にそういった守備で前に出てくる傾向が強まり、バルサは上手く縦パスを通せなくなった、あるいは躊躇をするようになった。ジェフレンらが収めきれるか、それをチェックで奪われないかという不安を抱えながら選択しているようで、縦パスから戻して幅広い展開をサイドバックを含めて狙えなくなっていました。後ろからのプレッシャーを受けることで前を向く回数は減ってしまいましたが、その分下がってボールを受けることで自分の前にスペースを作ろうとするようになり、その点ではミランはあまり前に基本ポジションを移しているわけではないから、プレスは受けないで済む状態に変わりはありませんでした。ただその飛び込まない守備のやり方は、足を出さない代わりにドリブルやパスでバルサが攻勢を強めれば強めるほどペナルティエリアに人数を増やしてしまうことにも繋がり、プレイしやすいスペースを与えてもらえていたところから、一気に密集地帯には行ってパスもドリブルもシュートも打てなくなる。それはドリブルで中へ切り込まされているようでもありました。
後半にダニエウ・アウベスが投入されて、それまで右サイドバックを担当していたアドリアーノが左に回りましたが、全体的に見れば彼の守備は軽く、それはセビリア時代から変わらない弱点だったんですが、クロスは非常にこの試合は多くのチャンスを作り出していました。前半にはアーリークロスをファーサイドのビジャに通していましたし、オフサイドだったもののイブラヒモビッチのカンフーキックシュートのようにスペースへ出すクロスは精度が高く、そういったポイントに出すクロスならダニエウ・アウベスよりも早く鋭く、正確な狙いだったかもしれません。左に回っても、後半開始直後に縦の突破から左足でビジャの先制点をアシストしていましたし、左右で効果的な動きが出来るのは非常に大きな強みとなるかもしれません。
いくつかの選手交代と修正をしたことで、ミランはセンターバックからアンカーへのボールを自由にさせないようになり、抑えてこようとするようになっていました。それまでのように散発的なプレッシングではなく、連動してコースを防がれてしまうためにセンターバックがボールの出し所に困ってスムーズな展開をさせてもらえなくなっていましたが、なんとか繋ぐこと自体は出来ていた。バルサも同じ事をしてミランにプレッシャーを与えていましたが、そちらはミスが多くより深い位置でミスをしてバルサにチャンスを与える結果になっていましたが、この試合のバルサは決定力を欠いていていくつかのチャンスを無駄にしていました。
その後、一気に6人も選手交代をしたことで大きくバランスが変わり、フォワードへボールを収めて落として展開を狙うのではなく、フィジカルコンタクトもあまり多くするような状況ではなく、センターバックと直接対峙する状況は少なくなっていました。セードルフが上手くスペースを消していた部分はありましたが、バイタルエリアの密集地帯に入ろうとはせずにその手前までメッシが下がってボールを受けようとしていましたし、ウイングにしてもそれまでのバランスよりも中に入り気味で幅広い展開は狙えていませんでしたし、サイドバックはミランがスピードのあるフォワードを投入していたことで引きずられるように上がってこられなくなっていたことでより狭まった感がありました。
一発のアーリークロスから裏へ抜け出したインザーギがダイレクトで合わせて同点に追いつかれたわけですが、セードルフからのピンポイントのパスも見事ですが、あれを綺麗に合わせるインザーギも素晴らしく、もう名人芸としかいいようがなく、あれは止められません。その後にもインザーギの動き、センターバックの間で裏を常に狙い続けている動きに対して明確なマークをしておくのでもなく、掴まえて、見ておくのでもない。そういうのは危険だと思えましたが、失点をした場面に関しては、相手が大きく上回ったとしかいえない綺麗なゴールでした。
ミランの守備が選手交代を多用する前と比べ、大きく乱れてしまうようになったのは顕著で、それがボールを受けに戻ったりする選手へついていくことで引き出されてギャップを作っていたり、ボールを奪いに向かうのが無秩序でそれぞれがばらばらに行っているか他へ簡単に出せていたり、隙間が空いてそこに入れるようになっていた。ただバルサにとって、そこに入った後の選択肢が乏しく、フォワードが収めた後に追い越していく選手もおらず中盤がそこで受けてフォワードが裏へ、という選択肢もない。メッシが下がって受けることでようやくそこへパスが出せているような状態でしたから、中央に人がいなくなってしまうところへ、ペドロやボヤンが絞ってしまう。となれば外への選択肢を用意して相手を引っ張っておけないtまえにやはりスペースは中央に作れない。もっと積極的な飛び出しをビジャがしていたように誰かが出来ればよかったんですが、ミランのラインが下がっていたこともあってそれを期待するのは酷でした。
守備ではバルサがというよりリーガがセリエよりも一歩足を出すタイミングが早いらしく、それでカット出来ている場面が目立っていましたし、バルサは多くボールを持たせてもらえる印象を受けたのもその影響かもしれません。テクニックよりもタイミングの問題でしょうか。
最後に行われたPKは勝つための人選よりも若手にチャンスを与えているような印象でした。ブスケツは止められ、ボヤンは危なかったものの決め、チアゴは気持ちの強さを見せて叩き込む。あとはピントが大きな見せ場で三つのセーブしてバルサの勝利。ピントは全てのセーブを読み切っているのかと思うほど完璧に止めていましたね。