■FC Barcelona 4 – 0 Sevilla
第一戦を3-1で負けてしまったバルサは二点以上が必要なため、今回は多くのメンバーを復帰させての試合になっていました。前回はベンチ入りすらしなかったスペイン代表の面々、その多くを先発させ、ベンチにもビジャ、イニエスタらを入れてカンテラーノの姿はありませんでした。セビリアはミッドウィークにチャンピオンズリーグのプレーオフ第一戦を戦った影響からかスーペル・コパの第一戦からは多少のメンバー変更を行っていました。
試合に入ってもバルサは第一戦との違いを大きく見せて、主にシャビを中心とした中盤の選手はセビリアのプレッシングではボールを失わず、他の選手たちもそれらを落ち着いてかわしてキープし続けていました。セビリアも第一戦にしたプレッシングからカンテラーノを混乱させたような積極的に追いかけ回す守備をしていませんでした。センターバックに多少のチェックをしたとしても全体としては待ち構えて中盤より前の選手を予め掴まえようとしておくものでした。後方から贈られてくる縦パスを抑えるためにケイタやシャビを緩やかにマークをしてパスコースを限定している。パスの出し手にも緩やかながら一定のプレッシャーを与えて中央へのパスを狙わせずに徐々にサイドに追いやろうとしていました。パスコースを限定しつつその際のディフェンスラインは高く設定して中盤との距離を広げずにコンパクトに保つ。セビリアの守備は第一戦と比べれば消極的といっていいものでした。
攻撃においてもセビリアは積極性やパターン、意欲に乏しく、得意のサイドアタックを中心としたドリブルによる切り崩しを狙うこともなく、自分自身で裏へボールを運ぼうとする姿勢も見られませんでした。それだけならまだしも、ドリブラーであるはずのディエゴ・カペルも前にスペースがあり振り向くだけの余裕を持っていても、自分で仕掛けずに他の選手の上がりや、さらに前方にいる選手が裏に飛び出してくれるのを待っているだけでした。ドリブルで仕掛けてくる選択肢を守備側は考えなくてもいいほどにボールを持った際に足が止まっており、バルサの守備陣は裏へのケアを最優先に考えて動けるために、本来であればスピードで負けてしまうことの多い裏へのパスに対しても先に動き出して楽に対応を出来ていました。
セビリアはバルサが後ろで構築しているときにはラインの押し上げをしてコンパクトに保とうとしていたんですが、一度縦パスを入れてしまうとそれまで高く保たれていたラインは一気にペナルティエリアに入る一歩手前まで下がってしまう。そうなると中盤のシャビやケイタ、下がってプレイをするメッシに対してのプレッシャーが強くかからず、徐々にそこへ預けられるようになっていました。遅れてくるプレスも縦への距離が伸びたことで前を向かせてくれますし、受けた後にでもそのスペースをプレゼントしてくれるようになっていました。ペドロの得点はその切り替えの悪さに寄るところが大きく、ドリブルで仕掛けることが出来るスペースを彼に与えたことでシュートまで持っていけ、シュートを打てば得点は入るかもしれない、ということを証明させることになり、コンコに当たってのオウンゴールを得る結果に繋がっていました。
バルサが得点を取ってからも大勢は変わらず、プレッシングを中心として前から奪いにかかるバルサと、守りを中心に考えているセビリア、二つの関係は維持されていました。少しずつマークが緩くなり、縦パスを収めやすくしてくれていることと、バルサが大きなサイドチェンジを利用して、パスコースを消そうと人数をかけている外側を何度も利用しようとしたことで、よりセビリアの守備に縦パスを収めさせてもらえるだけの緩さが加わり、バルサは多く中央を利用できるようになっていました。振り向いて仕掛ける回数も増やすことが出来て、あるいはポストプレイのように落としてから再展開を狙うだけ相手を押し込むことも出来るようになっていました。セビリアの攻撃が全くの仕掛けを伴わず、裏へのパスのみで成り立っていることと対照的で、バルサの面々が縦への姿勢を持っていることでディフェンダーを押し下げてしまい、落とすパスも効果的に使えていました。
二点目はそれとは関係なく、セビリアがまったくボールに関与しようとせずに陣形を整えて下がることにのみ集中しようとしたことが原因でした。下がってボールを受けたシャビには、これまでであれば密着したものではなくても必ず誰かがついて自由にさせていなかったんですが、そういった徹底が成されず、ルーズになるだけではなく完全に自由を与えてしまっていた。そうなればフォワードの動きに合わせたパスを出せるわけで、メッシが高いラインを保っているだけのディフェンスラインの裏に飛び出す動きを逃していませんでした。
これでバルサが二試合合計でリードしたことでさらに主導権を握るようになりましたが、セビリアも多少の修正をするようになっていました。再び中盤の選手にボールを自由に持たれてしまわないように寄せようとする意識を取り戻していましたが、バルサは状況に余裕がでたことで、より球離れを早くしてしまえるようになり、近いサポートに対してショートパスを続けてプレッシングを無効化しつつ運動を加えてマークをし続けることを困難にしていました。密着して掴まえるには動かれすぎるためにゾーンが崩されてしまう恐れがあり、それを嫌がって徹底されずにバルサとセビリアの選手間には一定のスペースがあることが多く、上手く寄せられても反対側を意識した展開によってプレッシングを上手くかいくぐってコンパクトに保っている意味を無くしていました。
メッシはこの試合でクロスに対してニアにポジションを取ることが多く、これまでであれば引いた位置に入って体を張るようなプレイをせずにフリーでいることを重要視しているようでしたが、三点目に代表されるようにしっかりとニアに入りサイドからのクロスに対して明確な選択しになっていました。
後半にもバルサはプレッシングから自由にコントロールさせないことから入り、セビリアはそれを上手く受け流すことが出来ていませんでした。それほど連動しているわけでもなく、パスコースを多く残している状態であってもセビリアのボールを持っていない選手たちはパスコースを作るために戻ったり、開くような動きをせず足を止めたまま。その状態ではキーパーからもディフェンスラインからもボールを前に運ぶことが難しく、不安定なフィードや浮き球を多用して繋げておらず、ドリブルの仕掛けも未だ無く、外から中への再展開も狙えず、緩慢な動きに終始していてペナルティエリア内部に入り込む回数も少ない。ボールを前や中に運ぶポイントにまず選手がいないことで手詰まりは常に起こっていました。
ルイス・ファビアーノやチガリーニを投入したことでセビリアはそれまで停滞していた縦へ仕掛ける姿勢を多少出せるようになりましたが、バルサが縦のコースを切るようになるとそれを継続できず、個々人が仕掛ける意識を持ったとしても周囲との連動を目指せない以上パスコースの一部を削ってしまえば、戻して再展開をすることも出来ず、それほどの連続した攻撃は出来ていませんでした。ただ守備面においてはディフェンスラインにプレッシャーをかけて自由に展開する時間を削り、中盤もそれに連動して運動量の減ったバルサの選手たちを掴まえようとしていましたが、その反面、前半は高く保てていたディフェンスラインが高く保てず低くなってしまい、前後に間延びをしてスペースを多く作ってしまっていました。バルサは運動量が落ちているために明確にそこを利用する回数を増やせませんでしたが、イニエスタやメッシを中心に何度かそのエリアを利用できていました。ただビジャに得点を取らせようとするいくつかのプレイであったり、中央で裏を取ろうとする選手がいなくなったことでスペースに入り込んでもその先へ出すパスコースが存在しないこともあり、効果的な攻撃はあまり見られなくなっていました。
三点のまま試合終了かと思っていたんですが、イニエスタの飛び出しからメッシで四点目。
試合内容は圧倒的でしたが、それ以上に気になったのはセビリアがあまりにも動けていないこと。ミッドウィークに戦った影響が色濃く出たのかそれとも相手に負けたことが影響をしたいたのか、第二戦を考えてのことなのか。いずれにしてもこの試合の出来が非常に悪かったのは事実。