■Sevilla 3 – 1 FC Barcelona
セビリアが十分にメンバーを揃えてこの試合に挑んでいるのに対して、バルサはスペイン代表に招集された面々を一切起用することなくベンチにも入れていませんでした。そのためキーパーはミニョ、センターバックにセルジ・ゴメス、中盤にオリオル、ジョナタン・ドス・サントスを起用して挑むことになっていました。それ以外の部分でもマクスウェルが左のウイングに入るなど変則的な部分が見て取れ、大きなハンデ自ら背負った状態でのスタートになっていました。ベンチに入った選手にはメッシやアドリアーノ、チアゴ・アルカンタラやムニエッサ、ジェフレンンら知った名前が見られましたが、それらをも先発させることはありませんでした。
試合開始当初はそのカンテラの選手たちがセビリアの素早いプレッシングに苦しめられる場面が目立ち、前にボールを運べず後方へ下げ、さらに下げた位置でもプレッシャーを受けてロングボールによって展開しなければならず、その精度が安定せず繋げずにラインを割ってしまったり、不安定な競り合いからボールを失ってしまうばかりでした。中盤が積極的に引き出しに戻り展開の助けを出来ればよかったんですが、アンカーが明確ではなく、その役割も明確ではなく、繋ぐ展開を期待することは出来ませんでした。
その点はセビリアもあまり意図は言えず、バルサのフォアチェックに対してキーパーへ不安定なバックパスをしてしまったり、前へのフィードに精度を欠いて繋げず失う場面が多く見られ、どちらもがトップコンディションとは遠い印象を受けるほどでした。ただプレッシングの早さと正確さではセビリアの方が状態がよく、複数枚での囲い込みも出来ていましたし、奪ってからの速攻や横へ大きな展開をしてゾーンをずらしていくスピードの速さも状態が良さそうでした。
セビリアがフラットなラインを構築してプレッシングに重きを置いた守備陣形を整えていることが素早いチェックを可能にしてバルサの中盤を掴まえ、防いでいるようでした。中盤までで収まっていればディフェンスラインで回して無駄走りとゾーンの崩しを狙えていたのかもしれませんが、そこで止まることなくサイドバックにも明確にチェックに来る。中も縦も抑えられてダニエウ・アウベスでもやはり窮屈にプレイさせられていました。
相手がフラットな中盤を保ってくれていることでイブラヒモビッチらフォワードはそことセンターバックの間に入り込みやすい環境にあるんですが、あまり広大なスペースを利用するプレイをしているようには思えませんでした。バイタルエリアに広大なスペースがあってもイブラヒモビッチが一人で中央に張り追いかけ回しているだけで、ウイングのボヤンもマクスウェルも正確なパスを受けられず、前向きで受けるようなパスを後方から供給してもらえていないし、ポジションも取れていない。マークがついているまま振り払えず押しつぶされる場面が多々見受けられました。
明確なアンカーとはいえない構成でしたが、オリオル(だったかな)からのパスがリスクを怖がっているように前を向かず、展開の小さなバックパスか、大きく展開してもミスになっている。前が掴まえられ加減だから難しいんだろうけど、前に出さず、サイドバックらに渡すパスが多すぎてチェックを誘う原因になっている。きちんとセンターバックの間に入って3バックのような形になってボールを引き出すなどのバルサとしての動きは出来ていましたが、もっと余裕を持ってこのポジションでは展開をして欲しい状態でした。
この試合の大きな変化はイブラヒモビッチが走り、組織としてそれを利用できるようにしていることでしょうか。昨季はこの早いイブラヒモビッチの飛び出しを他の選手たちが見ておらず、効果的なパスが出ずに無駄走りになってしまっていることが多かったんですが、この試合では早めにサイドバックの外や裏側を利用するために飛び出したところへ、精度はともかくフィードがしっかりと出ていましたし、彼を他の選手たちがきっちりと見ていることを証明するかのようでした。外で起点になるには少し奪われてしまっていましたが、ここを起点として他の押し上げを図ったり、守勢に回ったときのチェックで献身的に動いていましたし、運動量がきっちりと活かされて増えているようでした。先制点になったマクスウェルのアーリークロスからニアで彼が触った場面もきっちりと見ていたからこそパスが出てきたものでした。もちろんこの二人は長く一緒にやっていましたから、昨季もこういう姿は見られたんだけれど、チームの意識としてそれをやっているように見えました。
一点を取ってからはバルサの方が運動量を増加させてケイタがフォワードを追い越したチェックを出来るようになっていて、相手を焦らせて繋がせず、ミスを誘う場面もそれまでより増えていました。あとはカンテラの選手が後方に戻しがちだったパスもセビリアのプレッシングが鈍ってきたこともあって、マイナス方向に出さずに、自らボールを前へ運んでからパスを出して繋ごうとするようにもなってきてました。少しリスクのあるプレイでしたが、それだけセビリアの連動が無くなってきていましたし、一人を抜くことで相手のゾーンを動かしてマークを引きはがせるわけで有効なプレイでした。
ボヤンやマクスウェルも序盤はマークを激しく受けて、後方からのパスを受けてマークに押し倒される場面がいくつか見られていましたが、そういう場面が少なくなって前向きなパスを受けたり、中盤もジョナタンが持ち上がってフラットな中盤の裏側、バイタルエリアに進入していけるようになったり、そうやって受けた後に密着されずに振り向くチャンスをもらえるようになっていたことで、セビリアの不徹底が利用できて起点になりつつあるようになっていました。
ただ前半の終了間際においてその形は作れていましたが、後半になると流石にセビリアは修正をして、運動量もプレッシングも再開をしていましたから、ウイングからの展開を封じられてしまうように戻り、さらに候補からの構築に関しても自ら前へ運ぶことをさせないよう緩く囲まれてしまい、パスコースをもなかなか見つけられない環境を作られてしまっていました。後半代わりにバルサのディフェンスライン前にぽっかりとスペースが空く回数が多くなり、そこへのパスを出されて利用される回数が増えた。中央が空いてしまうことでセンターバックが掴まえておかなければならない方向が増えて裏へのパスを出されやすく通されやすい環境が出来てしまいつつあり、メッシ投入後の同点ゴールを決められた場面で失点となって現れました。
同点ゴールを決められた場面はセンターバックがボールを見てしまっていて裏へ抜ける選手を警戒を出来ていなかった。注意を払って、後ろのスペースを意識して相手を掴まえていられなかった。つまりはルイス・ファビアーノの存在を感じていなかったわけで、もう一人がついていくことでケアを出来ていればよかったんですが、流石に動き出しが早く、パサーをフリーにしたことやその手前を塞ぐべき存在がいなかったことも他の選択肢を考えさせる要因になり、それをさせてしまっていました。
メッシが入ってしばらくしてから近い距離のショートパスを連続させて繋ごうとする姿勢が増えた。それはいいんですが、イブラヒモビッチがいたときのような裏への飛び出しをする選手がいなくなったことで手前で受けてキープをする必要が出てきてしまった。プレッシングを強くする相手の中に入ってしまうことでボールを引っかけられてしまいやすくカットされてカウンターを受ける回数も増えた。ドリブルは効果的に相手のファウルを誘ったりカウンターで冷や汗をかかせるには十分な鋭さを持っていましたが、通常の流れの中では掴まえられていない環境からドリブルをする必要があって、それを利用する意味でも繋ぎが必要で、ショートパスのスタイルは必要だったんですが、球離れが早すぎて相手のゾーンを動かす効果は少なく、近い範囲で収まっているだけに余計相手を集めてしまっていたのかもしれません。
バルサは前向きな守備に意識を集中させていて、ショートカウンターはスピードがあるために効果的ではあったんですが、囲い込もうとする意識があまりにも強すぎたようでした。サイドアタッカーに対するマークに選手が引き出されて、そこからのパスをカットしようとさらにセンターバックがサイドに引き出されてしまった。アンカーが明確ならセンターバックのポジションにその選手がスライドして入りギャップは生じないのかもしれませんが、裏へのギャップを作ったまま向かってしまってラインはコントロール出来ておらず、ネグレドに余裕のあるスペースを与えてしまった。そしてカヌーテへのラストパスを許して得点を決めさせてしまった。その後も不用意なほどに足が止まってカヌーテに裏でボールを受けさせてしまっていて、三点目の時もサイドでキープされている間に中のディフェンダーたちは様子を見守っているだけできちんと戻りきっているわけでもなく、ニアやファーの選択肢を削っているわけでもない。カヌーテを掴まえて見ておくべき役割の選手がおらず、いずれも足が止まっていた。だからこそフリーでシュートをさせてしまっていて、あれでは決めてくれといわんばかり。
カンテラ主体だからとしても、三点のうちどれか一つくらいは防げていなければならない失点でしたから、後方の選手がいくつか離脱した影響を感じてしまいますね。中盤は特にイニエスタやシャビに依存する部分が強くあり、セルヒオ・ブスケツが戻ってきてもアンカーの控えは乏しい。カンテラーノが十分に補えるかどうかは現時点では難しく、センターバックもチグリンスキとマルケスがいなくなったことでアビダルをこちらにスライドする選択肢を持っているとはいえ、トゥーレ・ヤヤが入るオプションまで失っているわけで不安は強くありますね。一応の所どのポジションも才能あるカンテラーノがいるだけに問題とすべきかどうかも難しいところではありますが、この試合のような失点の仕方をしてしまうと、やはりアンカーに一人、センターバックに一人、という補強が欲しいと個人的に思ってます。