2010 FIFA World Cup Semi final ウルグアイ対オランダ

■Uruguay 2 – 3 Netherlands
ウルグアイは当然のことながら前節のレッドカードによってこれまでフォワードとしてゴールに近い位置でプレイし続けていたスアレスが出場できず、オランダもブーラルーズとデ・ゼ・?ウが出場できない二人に変わって出場したことで、どちらも攻撃力の減少した感は否めませんでした。

それでもオランダは非常に悪かったブラジル戦の前半のようなものではありませんでしたが、後半にしていたような非常に運動量と効果的なオフ・ザ・ボールの動きをするものではありませんでした。積極的にボールに対してチェックに行き、奪うために激しく体をぶつけている。それはフォワードから行われていて、ウルグアイが早い段階から縦パスを入れて縦のスピードを出して一気に行こうとしているところを防ごうとする狙いがあったのかもしれませんが、積極的でした。

ウルグアイはそれよりは洗練された守り方をしていて、オランダはフォワードが戻りながらであってもチェックに向かって相手を追いかけるような守り方をしていたものの、ウルグアイは積極的にボールを奪いに行っているものの、素早く戻って自分たちの目の前に相手を置いてから守備を開始する。背後からボールに向かっても奪うことは難しくスピードも殺せるわけでもなく、ファウルをしてしまう可能性もある。きちんと捉えて、動向に合わせて奪うために囲む。自分たちの前で捉えてあることで、それが誰でどのコースを切らなければならないのかはっきりとしていて、ロッベンに対しては常に左を切る事で効果的な起点にさせていませんでした。

ウルグアイはオランダの積極的なプレスをかいくぐるように浮き球を多用し始め、センターバックから一気にサイドアタッカーやフォワードへのフィードを使うようになり、大きな影響を受ける中盤中央でのボール扱いを減らし、オランダのプレッシングからのショートカウンターをさせないようにしていました。それがオランダが中盤で構築を出来ない要因の一つでセンターバックに多くボールを持たせて停滞させることに成功をしていました。オランダもウルグアイにチェックをされることを嫌がっていて、ファン・ボメルがボールを持ち上がっていくことはあっても、デ・ゼーウはそれをしようとしないことで奪われる危険を減らそうとしていました。

ウルグアイは徐々に足を出さずに待ち構えておく守備になり始め、きっちりと囲い込んで縦を防いだり、パスコースを防ぐプレスをしていて、サイドを使われると二枚で前後を挟んでそれ以上のプレイはさせないようになっていく。オランダはポゼッションで崩すほどの運動量を出せておらず、ウイングに預けて中との連携をして相手を左右に揺さぶることもない。センターバックと右のサイドバックの展開力が乏しく、ファン・ボメルが持たなければ前へ繋ぐことすら難しい面があり、ウルグアイはそういう部分を利用して陣形を整える時間を稼ぎ中央を固めて外へ押し出していく。少ないパスコースを選択させてそこで奪い、少ない人数でカウンターをする。オランダはウルグアイの勢いと縦へ徹底された攻撃によって大きく入り込まれたところでしか奪えず、カウンターのパスを出してもウルグアイの守備は整っている。上手くオランダへポゼッションをさせることで彼らの得意なショートカウンターをさせないようにしていました。

本来であればウルグアイの狙い通りの展開だったはずで、崩せるような展開をオランダが作れていなかったんですが、ファン・ブロンクホルストの強烈なミドルシュートが決まってしまったことで状況を変えてしまいました。

オランダが先制点を取ったことでウルグアイは慎重な守りを続けることが難しく、どこかで攻撃をしなければならない環境に置かれてしまった。もし繋いでくるようなことがあればオランダの得意なショートカウンターを出来るようになり、オランダのポゼッションも余裕がうまれたことで機能し始め、タッチ数を少なくして早く動かせるようになったことでプレスに来ようとする選手たちを動かしてかわしていけるようになった。加えて前で支配できる時間が増えたことでプレッシングも機能するようになり、ウルグアイへ縦の展開をさせないようにしていく。センターバックからのフィードをさせず、中盤へ預けさせてそこで奪おうとして精度を落とさせることが出来るようになっていました。

それがデ・ゼーウが蹴られた一つのファウルで流れが変わり、ウルグアイが若干の勢いを取り戻しプレッシングから奪えるようになり、オランダは繋げなくなってバランスが崩れていました。繋げないことで高い位置にボールを運ぶには縦パス、もしくは持ち上がる必要が出てきたんですが、それをこの時間までしていたファン・ボメルがするのではなく、他の後方の選手たちが持ち上がってしまうようになった。多くの選手が持ち上がろうとすることで全体の距離が縮んで狭まい、ウイングが外に開いてボールを受けようとしなくなっていて中央で得点を狙うような姿勢をロッベンが出してしまい、広い展開で相手のゾーンを広げてしまえなくなったことも攻撃が上手くいかなくなった要因でした。相手を中央に集めてしまった後で外を利用できればよかったんですが、それをするためのサイドバックがブーラルーズで、オーバーラップに期待できないことも大きく影響をしていました。

そして流れを得ていたウルグアイが同点に追いついた。それまでが特にサイドのスペースを利用すべく出されるスルーパスを中心として、縦の勢いをそのまま利用していた。預けたり仕掛けさせたり、ディフェンスラインの前から勝負をするのではなく、パスによって裏を狙うことを中心として多くの展開を作っていた。それが大きなフェイントになって、フォルランにミドルシュートを打てるだけのスペースを与えてくれていました。

オランダは後半にファン・デル・ファールトを投入した効果を殆ど出せておらず、フォワードの近くにまでオーバーラップをさせていたとしても共存させることは出来ておらず、スナイデルと近く保ってお互いのマークを分散させる効果があったわけでもない。中央に二枚置いてウイングをサイドに残して厚みを作ったり、サイドでボールを持ったときにサポートをする役割も担えていない。多少の飛び出しをしていくことでボールを持っている選手を追い越していく攻撃を全体がするようにはなっていましたが、動きが直線的でチャンスになっていませんでした。
動きながらの展開もできていなくなり、ボールを足下で受けてからサポートを得て、そしてもう一度動き直すことでしかスピードを上げられず、一つ多くの時間を必要としていました。非常に慎重なプレイで、ウルグアイのスペースへのパスとは対照的でした。スペースのあるファーサイドに走ってもパスはなかなか出てこず、全体としてそれぞれが孤立をして個人の力で打開しなければならない。それがウルグアイに寄せられて奪われやすくして奪われそうになってファウルをしてしまう回数も増えていた。

やはりそれでも一人の選手が相手の注意を引きつけられることは大きく、ロッベンがドリブルで左から中へ入ることが出来たお陰で大きなチャンスを作っていました。それまでウルグアイは徹底して中のコースを切って左足を使わせない努力をしていましたが、その時には簡単に足を出してしまい、かわされやすい環境を作ってしまっていた。一度中に入られてしまえば、他の選手が左足のコースを切るためにサポートしなければならず、どんどんと人が引き出されていくために逆サイドにフリーな環境を作ってしまい、揺さぶられる原因になった。あとはちょっとした運でしょうか。シュートはディフェンダーの足に当たってコースが変わっていましたし、オフサイドの位置にいたファン・ペルシーは触らず、プレイに関与したと見なされなかった。あるいはオフサイドではないと判定をしてもらえた。それが追加点になってしまった。

残り時間が少ない中で再びリードを許したウルグアイは攻撃に出なければならず、オランダはそのお陰でようやく足下への止まるボールではなく勢いを殺さないパスを繋いでワイドに展開し、そこから再展開をして中を利用できるようになった。中央を固められた外側をきちんと利用をし、カイトがフリーでクロスを上げることが出来た。あれだけの余裕を与えてもらえばパスは出しやすく中も合わせやすかったのかもしれません。ロッベンのヘディングに繋がってさらに追加点を得ることが出来て、勝負を半ば決めることが出来た。

二点のリードを許したウルグアイの焦りがミスを生み、あまり攻撃に出られ無くさせ、オランダはボールを縦と横にひたすら動かして、ウルグアイを走らせるようになっていました。ウルグアイのフォワードはオランダのディフェンスラインと同じ所にいて足を動かしながら受けることが出来なくなってしまい、それがスペースへのパスや流れていく選手へのパスを出せなくし、高い位置の起点を失う原因になってしまった。残りの選択肢は放り込みのような形にしかなく、フリーキックのリスタートから一点は返したものの、それ以上の得点を取ることは出来ず、慌てさせることが出来ただけでした。

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