2010 FIFA World Cup Quarter final パラグアイ対スペイン

■Paraguay 0 – 1 Spain
スペインはメンバーを変えることなく試合に臨んでいましたが、パラグアイは大きくメンバーを変えて試合に臨んでいました。日本戦で見せたような守備的な入り方ではなく、前へ出ようとする意識の強いもので、スローインにしろパスにしろ、後方で横に動かして時間を使う場面は殆ど見られず、縦への意識を強くして裏を狙った飛び出しもさせていましたし、スペインがセンターバックから構築を開始して自分たちの流れを作ってきていましたが、それを防ぐためにフォアチェックを繰り返していました。スペインはパスを後方に戻して逃れたりサイドへは流れた選手へ出してプレッシングから逃れるためのパスしか出すことが出来ず、次に繋がるパスは殆ど出せず苦労をしていました。下げても下げた場所にまでプレッシングは行われていましたし、ある程度余裕を持たせてもらえていたのはカシージャスぐらいでしょうか。そこへバックパスが渡る機会が増えると余裕を持たせてもらえなくなってしまいましたし、バックパスを出した後にセンターバックが大きく開いて受けようとしても、そこにもマークがつくために出せず、判断が遅くなりよりマークに付かれて前へ出していくフィードも精度がないものを蹴るしかありませんでした。

連続して縦へ入れて戻して再び縦へ入れる。連続して行うことでどこかにスペースが出来たり、受けてから前を向けるチャンスを得ようとしていましたが、チャビもイニエスタも前を向かせてもらえず、受けた瞬間に複数枚で囲まれてしまい、ゲームを構築する二人にも考えてパスを出す余裕は殆どありませんでした。
中央を防ぐ一方で、これまで多くのチームが許していたセルヒオ・ラモスのドリブルやオーバーラップをもパラグアイは防ごうとしていて、彼に対しては縦のコースを塞ぐことで止めていましたし、ここを深い位置にまで入らせないことで、横に動かされるプレイを選択させず、揺さぶられないようにしていっているようでした。

フォワードへボールを預けることも難しく、中盤のプレスの外側から縦パスをようやくのことで出せたとしても、後方からぶつかられてしまって前を向くのは難しい。向けたとしてもフェルナンド・トーレスの近くにチャビやイニエスタが保てているわけではなく、ビジャも左に入っているために孤立していて単独で仕掛けていかなければならず、調子の上がらないフェルナンド・トーレスでは抜いていくことも相手の背後に出ることもかないませんでした。ビジャはこれまではボールを引き出す起点としてサイドの高い位置でボールを受けることが出来ていましたが、この試合右サイドバックに入ったベロンが高い位置で受けようとすれば掴まえてしまい受けさせず、低く下がって受けるしかありませんでしたし、ドリブルで中へ入ろうとしても、横へのコースは複数枚で防がれてビジャの左から中への動きも許してもらえなかった。

だがその運動量を高く維持し続ける形をずっと続けられるわけはなく、スペインが逆に高い位置からプレッシングをして徐々に自分たちの流れを取り戻していっていました。パラグアイほど賢明に追いかけているわけではないんですが、きちんとボールを持っている選手に向かい、繋いで縦への狙いをさせなくなり、ディフェンスラインの裏へ出そうとするボールの精度も落としてしまうようにした。それをスペインが奪えるようになり、奪えることでキープできるようになり、パスをある程度動かせるようになっていく。パラグアイの選手が向かってくることを利用してファウルを得ていく余裕も出来てきたし、サイドチェンジをしていくことでパラグアイがゾーンを作り直すための運動量を消費させるようにしていました。

パラグアイはスペインに持たれることで積極的な守備を若干弱めて、中を固めて横のコースを切る守備を選択していくようになりました。スペインがキープをして、ボールを動かしてもバイタルエリアには入らせず、裏を狙わせない。横に動かして相手を動かそうとしても、中央を経由するところで前に出てチェックをし、時間をかけさせないことでパラグアイは自分たちの守備構築を楽にしていましたし、中を固めていることでスペインはクロスを選択できなかった。

それでもスペインが前への勢いを出せるようになってきたことで、イニエスタやチャビの所を掴まられそうになったとしても、それをぶつかられる前にボールを離して動き直すことが出来、もう一度受け直して引き剥がしていけるようになっていった。囲い込もうとしてくるだけに人数が前へと引き出され、その裏、バイタルエリアを利用出来る環境になっていく。中がキープを出来るようになれば、抑えられていたセルヒオ・ラモスも上がれるようになり、利用も出来るようになっていく。

パラグアイは押し込まれるようになってからカウンターを中心とするようになり、アーリークロスからディフェンスラインの裏でキーパーとの間。そこへとボールを多く出して利用するようになっていました。足の遅いセンターバックの裏を巧みに利用をしていて、微妙な判定でオフサイドにこそなりましたが、アエド・バルデスがその形から決めたかに見えた。

後半開始時にはビジャがフォワードのポジションに移り2トップの形に変えてくるのかと思ったんですが、それは一時的なものですぐに左サイドへとポジションを移してしまってもとの状態に戻ってしまいました。フェルナンド・トーレスは中央で収めることが出来ず、縦パスをそこに選択して収めることを願うようなパスを後ろも選択をしなくなっていましたし、裏へ走るパスばかりになってしまっていた。あまりに単調で簡単に対応をさせていましたし、手前で受けるように動き、ディフェンダーに対してプレッシャーを与えて他が受ける助けになる選手がいればそれも成果を上げることが出来るのかもしれませんが、そうではないために効果的ではなくブレーキになってしまいました。

上手くいかないフェルナンド・トーレスに代えてセスク・ファブレガスを投入してスペインは中盤でボールを動かせるようにしてフォワードが収められない部分をカバーしようとして、攻勢に出ようとしたところへピケがカルドーソを掴まえてしまってPKを与えてしまった。完全に引き倒したわけではありませんでしたが、腕は掴んでしまっていましたし、ファウルを取られてもおかしくないものでした。しかしそのPKが決まることはなく、カシージャスが読んで止め、弾いて押し込まれることなく、キャッチをしたことで助けられました。

直後は反対側で起こり、ビジャが抜け出したところをアルカラスが後ろから押し倒しPK。ビジャは上手く相手の前に体を入れて体を押されたように見える環境を作りましたし、審判がバランスを取ってもう一方にPKを与えてしまいやすい状態のなかでそれをしてました。ただ、シャビ・アロンソが一度は決めたもののペナルティエリアに蹴る以前に入ってしまい蹴り直しで止められてしまった。
両者共に試合を決める可能性があった大きなチャンスをものにすることが出来ませんでした。

スペインはセスクを入れたことで中盤の人数が増えてそれぞれの距離が縮まってボールを動かしながら前に出て行っても人数の不足が発生することなく、サポートを使いながらボールを中央やサイドを利用して、パラグアイを揺さぶるようになってきた。パスのスピードも上がって、少ないタッチのパスで相手を動かしながら考える時間が減っていく。さらにペドロを投入して攻撃の人数を増やしていく。

パラグアイは中盤がきっちりとイニエスタらを抑えてけなくなってきていたし、そこに人数をかけて奪おうとしたりカウンターに出ようとすることで後方の人数が減っていってしまっていました。そこへ運動量を出せないほどの疲労も加わって縦パスに対してぶつかって収めさせないように出来ていたものが出来なくなり、スペインはともかく受けるところまではやらせてもらえるようになった。遅れが目立つようになったことでパラグアイのファウルが増え、スペインはきっちりと収めさせると進入していくことが出来る。
イニエスタが収めて中へドリブル。体力の切れてきたパラグアイは不用意に突っ込んでかわされてしまい、センターバックが対応するために寄せていかなければならなかった。それによってペドロがフリーになってボールを受け、シュートを放ったもののポストへ。当たり弾かれて、こぼれ球をビジャが決めた。それまでのように待つ、出て行く、二つの判断を間違わずに出来ていれば、この不用意なミスは生まれずにパラグアイは守り切れていたかもしれません。

ようやくリードを奪ったスペインは、フォアチェックから前へパスを繋がせずフィードもさせず、パラグアイが前に人数をかけて何とか点を取ろうとしているところを前に向かうことでそれをさせない。スペインがボールをキープして回して奪われないように動かしてどんどんとパラグアイを走らせて消耗させて、パワープレイをさせないようにしていく。本来ならそれで最後まで通していくことが出来ていたのかもしれませんが、完全できず、させてもらえなかったのはスペインも消耗していたからでしょう。裏に抜けられてシュートを打たれ、こぼれ球を押し込まれそうになった場面もありましたが、カシージャスが止めて同点に追いつかれることはありませんでした。

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