■Argentina 0 – 4 Germany
ドイツはこれまでのようにボールを動かすことに関して非常に長けていて、アルゼンチンのボールを奪う、パスをカットしてから味方へとボールを渡すところまでが早く、きっちりと奪うときにも味方が近くにいて受けられるポジションにいる。奪った瞬間に後方からの押し上げがあることで、最初のポイントを抑えられてもすぐ次にパスコースが出来ていく。アルゼンチンも寄せていましたし、それほどの緩さとスペースを与えてくいるわけではありませんでした。きちんと足を出せるくらいにマークには付いているものの、ドイツがきっちり選手の間に入り込んで受けているために、それをやりきれていないように見えました。
それ以外の点では両者とも仕掛ける意識と奪う意識が強く、特に縦へ仕掛ける意識は多く見せていました。サイドではドイツが仕掛けて深くまで入り込み、中のコースを切る事の多いアルゼンチンに対してさらに縦へと仕掛けてクロスのタイミングを伺い続ける。そういった仕掛けが奪えずにファウルをして止めなければならない場面が目立っていました。得点はあまりに早くその形から生まれ、シュバインシュタイガーのフリーキックにミュラーが合わせて先制をしていました。キックの精度が高くニアへの鋭いボールでしたが、相手の前に走り込んだミュラーも上手かった。アルゼンチンはニアにいたイグアインがコーナーキックに逃れるようなプレイをするほかにはあの状態ではチャンスがありませんでした。
ドイツはドリブルと動き直し、それらが連動をしていて、サイドでマークに付かれてもパスで逃げるようなことはせず、縦に仕掛ける意識を見せて上げられるチャンスを伺っていたり、足を止めてパスをするのではなく、仕掛ける姿勢を見せた上でパスを出していることで、アルゼンチンにパスコースを切る事に専念させず戻らせるように対応をさせた。仕掛ける意識を存分に植え付けたところで縦パスをだし、対応が遅れたりボールを持っていない選手へのマークが弱くなることろへダイレクトで回して崩していく。足下ではなくスペースを出していきながらポジションも変えていく。足を動かしながら展開をしていることで人数が前にかかっていましたし、こぼれ球への反応も先に出来て足下へ転がってきているように見える。
アルゼンチンもドリブルをしてパスコースを探している所まではよかったとしても、ボールを持っていない選手の運動量が少なく、パスコースを作るためであったり、受けるための動きをしてくれない。ドイツは守備を崩さなくてもドリブルを仕掛けてもくる相手を待ち構えておくだけでよく、それ以外のパスコースも動かないために掴まえておくことに苦労をしない。ドリブラーはパスを出せずに戻さなければならず、せっかくの仕掛けを周囲が活かせていませんでした。メッシが下がってボールを受けても同じ状況が繰り広げられて、前へボールを出してもそれだけしか効果が無く、そこから攻撃が始まるようなことはありませんでした。散発的にフォワードのテベスが動き飛び出したり仕掛けるところへ合わせるぐらいでした。メッシがパスを出しても、自分が上がっていく時間が必要で縦のパスでスピードを増加させると自分が攻撃に参加できない。チャンスがあるとすれば、ドイツが高く保っているディフェンスラインの裏側、特にサイドバックが上がった後にある裏だけでしょうか。そこを利用したとしてもドイツは中を固めて、サイドに収まってから寄せただけでもサポートが遠いために問題が無く防げていました。サイドのディ・マリアやマキシ・ロドリゲスとサイドバックが連携をしていくことが出来れば、そういった中とのサポートが遠くても問題のない状態を作れていたのかもしれませんが、それを出来るようになったのは前半終了間際から後半にかけてでした。
後半になってようやくアルゼンチンは連動性を増して、ボールを出してから再び動くようになりましたし、斜めに動いてスペースを作る動きもするようになった。前半は出来なかった連続したパスが何本も繋げるようになっていましたし、二人三人程度でボールを動かして構築していくのではなく、もっと多くの人数が攻撃に関与していくようになった。周りが動いてくれることでメッシもボールを前半よりは多く、高い位置で触れる環境になっていました。
アルゼンチンは攻撃に出たことで前に人数がいて、ボールをドイツが奪って中盤に預けても運ぼうとしても、人数がいるお陰ですぐに囲い込んでしまえるようになった。選択肢の少ない中でフォワードにロングボールを使って預けようとしても後方からデミケリスが抑え込め、明らかに状況はよくなっていました。中盤でボールを囲い込んで奪えることで裏へのパスを多く利用するようになった。そこへ預けるパスやドリブルを引っかけて、ショートカウンターで裏を狙う。ドイツが前へ出ようとした瞬間への切り替えのためにそれまでよりも簡単に使えていましたが、決定的な形を作るには至りませんでした。
その時間帯でアルゼンチンが大きなチャンスを作ってしまえば流れを持続させていくことが出来ていたのかもしれませんが、ドイツは徐々に修正をしていって切り替えを早くしていく。ボールを奪われてしまうと解った瞬間に縦を塞ぐ動きをすることでカウンターをさせないようにしてましたし、攻撃の選択肢を限定したところへ体を寄せてスピードを落とさせ、倒して奪う。
ドイツはドリブルに対して飛び込まず、足を出さずに陣形を整えて対処しようとしているようで、それがどこか奪えるチャンスが来るまで待つ粘り強さになっているものの、ディフェンスラインがずるずると下がってシュートレンジに自ら持っていかせてあげている事にもなっていました。そして裏を使われる原因にもなっていましたが、最後の部分で集中をして慌てずに対応していくことで防ぎきっていました。
ドイツは自分たちの流れではない時間帯を堪え忍んだことでチャンスを得て、追加点を奪ってしまった。アルゼンチンのディフェンダーにプレッシャーをかけることでフィードで繋がせず不安定なクリアをさせて拾い、右から左へとボールを動かし、最後は縦パスを入れた。パスから前へ向かう勢いを後ろから当たられても止めなかった事でそれがゴールに繋がっていました。
そこから再び試合はドイツが支配するようになり、きっちりとフォワードに預けてそこを追い越して、また攻撃に停滞を生まないようにしていった。ボールを動かしながらそれぞれがアルゼンチンの隙間に入って、そこで受けて相手をぎゅっと引き寄せて、そしてできたスペースへ別の選手が入って受ける。アルゼンチンの攻撃を受ける時間はありましたが、きっちりと攻撃の時間も作って逃げ切る姿勢だけを前面に出してしまうことはありませんでした。
三点目ははひたすらシュバインシュタイガーの状況判断が上回ってドリブルの進入からアルネ・フリードリッヒへとパスを出して決めさせた。
その後いくつかの交代がある頃にはアルゼンチンの動きは止まっていて、それぞれが守備に向かう気力も攻撃に出る気力をも失ってしまっていたかのようでした。それぞれがボールをキープできなくなっていましたし、ドイツの攻撃に対して複数で向かう事はあっても、裏や別の選択肢をケアするところまでいっていない。プレイはしているが雑になって抑えられないし、ファウルになってしまう。攻撃も守備もある程度動いているが故にドイツにスペースを与えてしまっていました。
ドイツは容赦なく四点目を決め、とにかく強く、試合を完全に決めて危なげなく試合を終わらせました。