2010 年 6 月 のアーカイブ

2010 FIFA World Cup Round of 16 ウルグアイ対韓国

2010 年 6 月 27 日 日曜日

■Uruguay 2 – 1 Korea
ウルグアイが攻守に運動量を高く維持している一方、韓国は非常に運動量が少なく積極的にボールを奪いに行かずに待ち構える形を取り引いて守る方法を選択していました。、ただそれは堅さ来るように見え、引いて人がいるにもかかわらずコースを切り切れておらず、ドリブルで入られも寄せてもいない。一通りウルグアイに攻められた頃からようやくボールを受けに戻る動きに対してはついていくようになりましたが、激しさをまるで持っていませんでした。

ウルグアイは積極的に前から奪いにいき、ピッチに影響されたのか雑なボール扱いしかできていない韓国にプレッシャーを強く与え構築をさせていませんでした。それはミスを誘うことを目的としているよりも、奪って攻撃に繋げることを目的にしているようで、しっかりとタイミングを見計らって体を寄せたり足を出していく。韓国はそれに影響を受けてしまってフィードで前に蹴ることぐらいしかなく、奪われてしまいそうな守備を抜けることができても、その先での勝負を仕掛けるドリブルも前へ運ぶ動きも見られず、判定に助けられたファウルによるチャンスしか序盤は可能性がありませんでした。

ウルグアイは人数をかけずに攻め、フォワードの三人がペナルティエリア内に入るか、その付近でプレイをすることしかなく、それ以外の選手のサポートをポジションが高くなるにつれて少なくなっていきました。危険を冒さず、ボールを追い越さない手度までしか来ず、フォワードの三人に任せる。それでも十分なチャンスにしてしまえるだけの関係を三人が保っていて、サイドアタッカーや中盤の連動は必要ないと思えるほどでした。フォワードの三人が流動的に縦の関係を作り、引いて受けて、繋ぎ、ラインと戦う選手、というような分担をする。あるいはダイアゴナルな動きからマークを外しながら裏とサイドの二つの選択肢を提供する。非常に高度な連携であるように思えました。得点を取った場面はミスが絡んだものでしたが、きちんと動いて相手のマークをずらす動きと共に裏を伺いサイドを変える。横に動かして相手の視線をずらして背後に入ることを忘れず、相手の視界から消えてしまっていました。フォルランのクロスもキーパーとディフェンダーの間に出して戻りながらの処理をさせようとするもので、対応としては難しいものでしたが、ディフェンダーが中央のスペースに安心しきっていなければ対応できたものでした。キーパーが対応するには距離が遠く難しいものだったとはいえ、何のための守備かどうかも解らないほど足が止まっていました。

その後もウルグアイはカウンターの時に縦に動くだけではなく、横の動きで大きな展開を作り、相手の背後に入って逃げる動きをしながら引き出す。ドリブルで仕掛けたり動きの変化など少ない人数で崩すための方法をとって得点の機会をうかがっていたんですが、韓国の守備はそれまで緩く不安定な守備をして自由を与えていたのが、掴まえようとして体をぶつけるようになり、パスコースに入ってカットも狙うようになった。それでもウルグアイが一枚上手の印象が強く、切り替えられた際のいくつかをカットされただけで、球離れを早くすることと相手に先に動かせることによってパスコースを作って回避するようになった。奪われる、あるいは奪われそうになると、切り替えというよりも割り切りの早さによって自分たちの守備のゾーンへといち早く戻っていく姿は印象的でもありました。

ただ守備に関しては不安定な部分があり、前からのプレスはできているものの、後方の守備との分離を生みだしてしまって厚みを失ってしまっていました。特にディフェンスラインの前に人を置くことが出来ておらず、そこに入られてしまう回数が増えてしまっていた。本来なら中盤が当たることで後方はカバーに専念してスピードを出させないようにしたかったですし、ディフェンダーが縦の関係から厚みを作りながら守備をするなどをして裏をケアすべきでした。しかしウルグアイはそれぞれが一対一の勝負で守るようになってしまい、ドリブルで仕掛けられてしまうとコースを作られてしまう。裏へ飛び出されるものに対してもスピードで僅かに負けながら危険な状態で寄せて防がなければなりませんでしたし、万全ではありませんでした。

裏を何度か使われていくことでウルグアイは必要以上にラインを下げてしまうようになり、相手により手前でボールを受けさせてしまうようになりました。一度プレスを抜けられてしまうと簡単に収めさせしまっていましたし、ボールサイドに寄せてしまってファーサイドを空けてしまっている。ラインも整っておらず、カバーをする選手の距離が近すぎたり人数が多すぎたり、適切な距離とはいきませんでした。そういうウルグアイの守備の綻びが多く見えているのにまった韓国は活かせず、ボールを追い越していかず、長いボールを入れていくだけで仕掛けて変化を与えることも殆ど見られなかった。唯一パク・チソンのみが縦に運ぶ力を持っているだけでした。

後半になると韓国が前へ走ったところへパスを出す回数は増えていましたが、持ち上がっていく変化はあまり多くありませんでした。裏へ出すボールを減らしてしまい、ウルグアイとしては楽に守備をさせてもらえる回数も増えていましたし、ウルグアイの手前で回してくれることでポゼッションを高めているかのように満足をしているようなプレイが増えていましたし、ゾーンを動かされてしまうようなパスもありませんでした。
ただそういった対応しやすい攻撃と、寄せればボールを奪える自信からか安易に奪いにってしまう場面がいくつか見られ、サイドの突破を許してクロスを入れられてしまうこともありました。ボールを持つ選手に対しての寄せが甘くなり、サイドの突破を許したことで相手を活気づかせてしまい、縦の仕掛けをさせるようにしてしまった。ウルグアイの中央を固めた守備はそれによってサイドに引き出されて隙間を作ってしまっていましたし、間隔が伸びたことから対応が遅れてファウルになることもあった。そのファウルが致命的で同点のゴールを許す結果になってしまいました。

同点に追いつかれたことでフォワードだけに任せたカウンターにサイドバックを含めるようになり、それまでフォワードだけで前後と左右の攻撃の幅を持たせるようなことをしなくてもよくなり、楽に形を作れるようになっていました。サイドで仕掛けてマークを引きつけ、中央にフリーな選手を作り、そこに渡してペナルティエリアの外からシュートも出来るようになっていましたし、フォワードを追い越す選手も出ていました。ただ前に人数をかけすぎたことで幅はできたものの、跳ね返されたボールを拾うところには選手がおらず、連続して仕掛けられず攻撃の度に戻らなければならなかったのは一つの問題でしたが、得点を取れたことでその必要もなくなり、焦るよりも先に得点を得られたことで消耗もそれほどではなさそうでした。

再びリードを許したことで韓国は焦りから直線的な攻撃になり、プレイの質も単純になってウルグアイがマークから足を出して奪えるようになっていました。足下で繋ぐボールにはそうやって対応でき、パワープレイのように放り込んでくるボールに対してはあまりついておけず、距離が開いて寄せきれない間にヘディングをされることもありましたが、韓国はそれを徹底しておらず、落としたところにも選手がいない、、距離が遠く裏にも走っていない、中途半端な攻めをしていました。さらに後一点を取らなければならない環境でカウンターを受けてしまうと、前に人数を残して一対一の守備で守るのではなく、攻撃に出なければならない選手まで戻ってきて守備をしてしまう。ウルグアイが時間稼ぎに徹することなく得点を狙ったことで人数と勢いがあったとはいえ、パワープレイの人数すら減らしてしまっていて、どうにかして一点を取ろうとしているようには思えませんでした。

2010 FIFA World Cup Group -H- チリ対スペイン

2010 年 6 月 26 日 土曜日

■Chile 1 – 2 Spain
序盤はチリの運動量と勢いが試合を支配していて、素早くボールへと寄せて囲い込もうとするだけの運動量を持った守備をしていて、スペインはそれを素早くボールを動かすことで解消しようとしていましたが、チリはボールだけではなく連動して周囲にも守備の人数をかけていたことからそれを奪うことも、ミスにさせてしまう回数も多く、スペインはボールを繋ぐ形は作れていませんでした。
チリはボールを奪ってからすぐにパスをして動かしてしまうのではなく、奪った選手はドリブルで仕掛けながら周囲を押し上げる役割を持ち、パスは連携して崩す手段として利用している。相手をかわすのはあくまでドリブルのようでした。その間に後方から長い距離を走り、ボールを追い越していく。それらにマークが引っ張られてしまえばドリブルで仕掛けられ、放置すればパスを出される。
そうやって奪われる度に仕掛けられるために、スペインのディフェンダーはスピードに乗ったそれを止めなければならず、体を寄せてしまわなければならなかった。ファウルになりやすく、繰り返される縦の勝負に引きずられてラインを下げてしまいがちになり、ペナルティエリア付近に人がたまり、そこでようやくボールを引っかける回数が多くありました。踏みとどまって裏を使われるわけにはいかずしかたのないものでしたが、カウンターをするときに人を前に出せず、フォワードの距離が開いて収めて全体を押し上げることも出来ませんでしたし、前に上がれないことで奪われた時すぐに奪い返してポゼッションを高めていくことができないのも、ここで下げさせられている影響でした。

チリの守備への切り替えも早く、押し上げを許してくれませんでしたし、スペインはパスに頼るあまり、ドリブルでマーカーを引き剥がそうとしたり、相手のゾーンを動かして自分たちが受けられるスペースを作れていませんでした。パスコースに簡単に入られ、チリはボールの周辺に人数も多く、カットされる。センターバックやサイドバックでもゆったりとボールを持たせてもらえず、ピボーテへとのパスも安定して行えませんでしたし、スペインらしさのないロングボールでのクリアのようなパスが多く見られるようになってしまった。ビジャは引き気味に位置してフェルナンド・トーレスが対応に多く出ていましたが、それを収めて押し上げをサポートするタイプではありませんでしたから苦しさがありました。
ただ幸運にも先制点はその形から作られていました。カウンターぁらフェルナンド・トーレスを走らせるパスをだし、それに対応できるチリのディフェンダーは一人だけだった。奪いに出て行ったことで後方の人数が減り、対応できなくなっていたわけですが、競争となっても中のコースは切れていたし、一対一で時間を稼げばチリの方が早く戻れる環境だった。キーパーが出てクリアする必要があったのかどうか解りませんが、飛び出してカットするのならきちんとクリアしなければならなかった。スペインにとっては幸運にもビジャの前にこぼれたことで得点にはなりましたが、あの一連の形を作る前へ走らせるフィードのいくつかは効果的だとは思っていませんでした。

その後もスペインはあまり攻撃に変化をつけられておらず、引いて守る姿が板についてきたぐらいでした。イニエスタぐらいがドリブルによって相手緒動かすことが出来ている程度でしたが、コンディションがよくないのか運動量が少なく仕掛けもあまり多くなかった。出来ているときでも中盤を相手にしているだけで、チリのディフェンスラインは抜かれた後をしっかりフォローできるように待ち構えていて、陣形を崩すほどではありませんでした。カウンターを狙ってもチリのように連動して前へ飛び出していく選手がおらず、それ以前の中盤にボールがある時にもパスコースを作るために動きが足りず、チリがカット出来る範囲でしか動いていなかった。

ようやく高い位置で相手のミスから奪うことが出来たことで二点目を奪えましたが、それをできる環境があるようにはまだなくミスをしてくれたことは幸運でした。ただそこから動きながら相手を引きつけていけたのは大きく、パスではなく選手の動きによってチリの守備を慌てさせることが出来たことが得点へと繋がっていました。
その最中にエストラーダがフェルナンド・トーレスにしたとされるファウルで退場になりましたが、カードが出されるようには見えず、軽く足同士がぶつかっているかもしれない程度にしか見えませんでした。ただそれまでチリは激しくぶつかってカードを出されるファウルを多くしていましたし、それをスペインが利用しようとしていた場面もいくらかありました。そういった意味では、チリが激しくファウルをし続けたことで審判に対して悪い印象を与えていたとも言えるわけで、あの退場も上手く利用されたものだったように見えました。

人数が減ったことから後方にプレッシャーをかけられる場面は減り、中盤までは安定してボールを渡せるようになったし、奪うときも追い越していく選手が減ったことから狙いを絞りやすく奪いやすくなっていた。後半に投入された二人の選手によって活性化されたことで一時的に人数をかけた攻めを再びするようになっていましたが、スペインはラインを上げて囲い込める環境を作ることでそれに対抗しようとしていましたが、連動して出来ていたとは言えず、失点した場面ではプジョルとそれ以外とでギャップが出来てしまい、前を向かせてしまった。それがシュートを打たれる原因になっていました。

スペインは徐々に攻撃時にディフェンスラインを下げて、チェックを受けない環境を作ってピボーテと安定して繋げる環境を作り、守備になるとフォアチェックからミスを誘って奪うようになった。特にフェルナンド・トーレスとセスクとの交代からよりその傾向が強くなり、ポゼッションの出来る環境が作られつつありました。パスを出して受けて、動いて受けて出す。その繰り返しがされるようになったことで、ドリブルを挟まなくてもパスで繋いで前にボールを運び、ディフェンスラインの前にまで到達できるようになった。
前に人数を上げた攻撃をするようになったことでプレスにかける人数も増加して、チリに前へボールを運ばせにくくなり、本来ならスペインが相手を消耗させる戦い方に入る状態だったんですが、チリはプレスもしながらそれに付き合って守備をして、カウンターも継続をしていましたが、流石に状況を突き崩すほどの運動量はもう出せず、それ以上の失点を避けることだけしか選択を出来ませんでした。

ただ勝たなければスイスに追い抜かれてしまうと思われていたチリですが、スイスがホンジュラスから得点を奪えないまま終了をしてしまったことで、チリもーナメントへの進出が決定し、南米勢は一つも敗退することなく、欧州はまた一つ敗退が決まってしまいました。

2010 FIFA World Cup Group -G- ポルトガル対ブラジル

2010 年 6 月 26 日 土曜日

■Portugal 0 – 0 Brazil
ブラジルの特徴的な変化は右のダニエウ・アウベスが先発出場をしてマイコンと同時起用された部分と、出場停止のカカに代わり、ジュリオ・バチスタが起用されたことでしょうか。特にダニエウ・アウベスのポジションは予想された右サイドのウイングのような役割ではなく、中央に多くポジションを取ったアタッカーに近いもので、試合をパスで動かしたりバイタルエリアに入ったり、様々な事をしなければならなかった。序盤はそれを明確にしてミドルシュートを放っていたり、ボールを受けてマイコンを走らせたり、ボールを引き出す役割も担ってましたが、それをしなければならなかったのはジュリオ・バチスタがあまり高いポジションを取れず、ボランチの二人と近く、フォワードとの距離が開いてしまったためでしょう。そのため一時的にルイス・ファビアーノを頂点として、ニウマールとダニエウ・アウベスの3トップに見える瞬間もあるほどでした。

ニウマールにしろルイス・ファビアーノにしろ、その二人が攻撃に厚みを作れるわけではなく、ストライカーでありゴールに向かうべき選手で、フォワードに守備が集中されてしまわないようにどうしてもダニエウ・アウベスがコントロールをしなければならなかった。それでもダニエウ・アウベスはドリブルで突破を出来る選手ではありませんし、創造性のあるパスで試合を支配することも出来ない。マイコンが数多くオーバーラップをしてマークを引きつけてクロスを狙える形を作ってくれれば、それでも攻撃として利用できていたのかもしれませんが、ポルトガルの左サイドバック、ファビオ・コエントロンが何度かドリブルで仕掛け、突破してクロスを上げるところまで成功してしまったことからマイコンはそれのケアの為にあまり上がれなかった。上がれば裏をクリスチアーノ・ロナウドに狙われてもいましたし、仕方のない部分はありました。左のミシェウ・バストスも上がってくるタイミングが遅く、利用するには時間がかかってしまった。
サイドバックが高くポジションを保てないことで、フォワードの二人とダニエウ・アウベスだけでは狭まってしまい、相手に中へ絞って守られ、簡単には突き破れる状況ではなくなってしまう。

ブラジルはラインを高く設定してポルトガルに構築をさせないように前後の距離を縮めた守備をして、スピードに乗せさせず得意のドリブルをさせないことを上手くしていました。クリスチアーノ・ロナウドにしても手前で受けさせれば縦を塞ぎ、中へとカットインをさせてそこをボランチが塞いで止める。
他の選手に対しても同じでカウンターも縦のコースを切って同じようにスピードに乗らせず迂闊に飛び込んで奪いに行く回数を減らす。そうやってカウンターのスピードを削ることできっちりと全員が戻る時間を稼いでいられる。その守備の組織が整った時間に突破を許したのは前述のファビオ・コエントロンぐらいなものでしたが、上がれていないマイコンが迂闊に奪いに行って突破を許し、クロスを上げさせてしまうところまで持っていかれてしまった。
他にポルトガルが形を作れていたのは、ポゼッションからスピードアップするためのスペースをもらえず、高いラインの裏を狙うぐらいなものでした。単純なスピード差もありましたし、センターバックの外から飛び出されてしまうためにブラジルは対処に苦労をしている部分はありましたが、それでも抑えられていたと言えるほどで抑えていました。

一時はファビオ・コエントロンに突破をされていた右サイドもそれをされなくなり、マイコンの攻撃に出たときの位置が少し高くなっていくようになりました。裏をクリスチアーノ・ロナウドに狙われているもののルシオがケアに出ることで解決を目指し、スライドすることで中央に出来るスペースにはフェリペ・メロらが入ることで埋める。
これで攻撃の幅を作ることが出来ればよかったんですが、マイコンの位置はこれでも低く、ダニエウ・アウベスとの連動を促すほどではありませんでしたし、ボールをもらう位置もセンターバックやボランチからボールをもらう回数が多かった。もう一つ高いエリアでボールを受けることでスピードを上げたいところでしたが、後方からのボールを足下で受けることでスピードは止まってしまう。さらに低い位置での横パスは、出す選手に展開力がないこともあってパスミスやカットされやすいものになってしまって、奪われる位置の低さからカウンターで一気に裏を狙われる危険をはらみ、下手をすればそれを恐れてまたサイドバックの位置が下がってしまうところでした。

前半の終盤にはジュリオ・バチスタが前にポジションを取るようになったことで、フォワードの連携がようやく取れるようになり、前が三枚で人数を揃えられるようになっていました。そうなることでダニエウ・アウベスは試合をコントロールする役割から開放されてきてサイドで受けられるようにもなりましたし、ミシェウ・バストスも上がってくるタイミングがそれほど遅れなくなった。
そのまま後半も継続できていれば攻撃の幅をワイドにしてクロスやドリブルの変化から得点を狙えていたのかもしれませんが、後半になるとジュリオ・バチスタのポジションは再び下がってしまい、マイコンも上がっていけずに中途半端なポジションのままになってしまいました。中途半端であるせいでマイコンが上がっていなくても裏をクリスチアーノ・ロナウドに狙われて走られ、ルシオが対応しなければならない場面が多く、悪循環に陥ってしまっていました。

ポルトガルはラインを高くしてブラジルのフォワードが上がってくるのを抑える。奪う位置を高くしてカウンターや攻撃に人数をかけやすくして、ブラジルを押し込んでしまう。ブラジルは押し込まれても守備にきっちりと二枚を揃えてバイタルエリアを閉じていて、守備に厚みを持たせてクロスへの対応も問題がない。だが裏を狙われることとジョズエに変わったことでセンターバックの所を徐々に上手く埋められなくなり、距離が開いてカウンターでそこを使われるようになってしまった。ドリブルでスピードに乗られてしまいスピードで劣る守備陣は対応に苦しみ始めて、攻撃にでる距離がどんどんと開いていってしまう。

ブラジルは徐々にルイス・ファビアーノが引いて引き出そうとするようになってしまったことでより得点は遠のいていきました。ダニエウ・アウベスは対応されてしまい、前半のようにある程度受けて展開する役割を担うのは難しく、ジュリオ・バチスタはまた下がってしまって展開の役にも守備の役にも立っていませんでした。裏へ走られることに影響して引き下げられているとしても、体を張ってボールを収めることも出来ず、上がってきてもボールに対応できなかったり、ドリブルの最中に体を入れられれて奪われてしまったりいいところが見えないままでした。
ブラジルの他の選手にしてもポルトガルが待ち構えている中盤に掴まえられてそれを引き剥がす運動量も出せず、停滞してから後ろ向きにボールを受け、そこから前に向くことが出来ずに戻りながら先を探すことしかない。

ブラジルの攻撃には横の広さが全くなく、縦の連動性もない。非常にお粗末なもので得点の気配があったプレイは非常に少なく、ポルトガルに守りきるための戦い方を後半は許してしまい、相手が守備の自信を深める結果になっただけでした。ミスから自滅してカウンターを受けることも多く、いくらかメンバーを変えて、引き分けが双方にとって問題のない結果だとしても、トーナメントでの試合に不安を抱かせる内容でした。

2010 FIFA World Cup Group -E- デンマーク対日本

2010 年 6 月 25 日 金曜日

■Denmark 1 – 3 Japan
日本はこれまでと変わらないメンバーから同じような戦い方で試合に入ろうとしていました。ラインの設定は低く設定していこうとするセンターバックとデンマークに構築をさせないように前から向かおうとする中盤との分離があるのはこれまで通りで、それをデンマークに狙われている節がありました。
トマソンのスタートポジションの変化も日本の戦い方の混乱を生んでいましたし、長友がマークをすべきロンメダールに中に入られたことでポジションが不安定になり誰が誰を抑えるのかはっきりとしていませんでした。デンマークはショートパスと連続した動き、非常に素早い構築で流動的にポジションを動かしながら日本のスペースに入り込んでいく。ディフェンスラインの手前に入りギャップを作ろうとしていましたし、日本はそれをマンマーク気味にして抑えようとして余計にギャップを作ってしまっていた。何とか連続してその形を作らせないようにしようと前から守備をしようとしたことで余計に縦に伸びてしまい、ダイレクトに動かされる環境を作ってしまいました。

デンマークは縦にボールを動かし、それを横や戻すなどして日本の選手を引きつける手段にして、再び縦に出してもう一度動かす。連続して行ってくることで日本が裏へ飛び出されないように対応しようとすることで何度も手前で受けさせてしまう。デンマークはさらにウイングのポジションを低く設定しておくことで、日本のサイドバックがマークのために前に出てくる裏を狙って来ていました。今まではここへ飛び出されていても中澤が右に大きくケアに出ることでサイドバックの裏側を防いでいたんですが、この場面では予めトマソンが中央にいて中澤の注意を引きつけてそこへ予め出られないようにしていた。そして先に飛び出して中澤を対応させることで後手を踏ませる。非常に上手いボールの動かし方と飛び出しの狙いで、日本は大きく攻め込まれて失点してしまう可能性も大きくありました。

ただ本田が長い距離のフリーキックを決めたことでデンマークの戦い方を大きく変えさせ、日本にとっては危険な戦い方をデンマークが選択を出来なくなってしまったことで大きく助けられることになりました。それまでそれまでサイドバックの裏を使っていたトマソンの動きは、デンマークのウイングの位置が高くなり日本のサイドバックとの距離を縮めてポジションを下げさせたことで、流れて裏を狙うだけのスペースを失ってしまい繰り返すことが出来なくなっていました。その代わりアンカーがセンターバックに吸収されて、そこから中盤へと戻る瞬間にディフェンスラインにスペースが出来るところをトマソンに抜け出されるなど、抜け目ない動きは繰り返されていてまだ油断は出来ない攻撃を続けることをデンマークはしてきていました。

日本はチェックとリトリートを交互に繰り返しながらスペースを作らないように上手くポジションを守りながら下がっていこうとしていましたが、序盤はその動きの間にスペースへと入られて混乱を作られてしまっていた。失点以後の攻勢でもシュートの形を満足には作れなかったデンマークは、徐々に焦りから動きが直線的になり、日本が縦のコースを塞ぎ、スペースを埋めて受け止めやすくなっていきました。手前で受けさせて裏を狙うのではなく直接裏へロンメダールを走らせるボールを出したり、一つの作業を省略させるようになってきた。その一つの作業が日本を混乱させていたんですが、それがなくなったことで楽になっていった。

ソーレンセンが本田のフリーキックを警戒するあまり、遠藤が蹴るための空間を壁の裏に大きく空けてくれていたのは非常に幸運で、この大会では珍しく二本ものフリーキックを綺麗に枠の中に飛ばし、決めることが出来た。

二点を得たことでより日本にとっては守りやすくなり、デンマークからは前に向かう推進力が減ってきた印象を受けるていました。引き出す動きに溢れていたものが全くなくなり、ウイングが先にボールを受けて、そこから日本と対峙をしてボールを長い時間持って上がりを待たなければならなくなった。連動して動けず、サイドから時間をかけてボールを動かす。そういうものを受け止める力は日本にはあり、日本のゾーンでの守り方が相手の中盤がボールを持っても前に運ばせず、ゾーンの外側、サイドへと押し出してからクロスを上げさせるなど大きな展開でしか狙えないようにさせていた。
サイドバックの裏を狙われても時間をかけさせることが出来ているようになったお陰で、センターバックが対応のために引き出されることは少なくなり、中盤の長谷部が駒野の裏をケアできるようにもなっていた。トマソンには飛び出しや動き出すことで裏を使うことをさせず、構築の方に参加をさせることでゴールから遠ざけてしまえるようになった。

デンマークのセンターバックや後方には日本の前線がチェックをし、高い位置から奪ってのカウンターも何度か見せ、センターバックがパスで小さく繋ぐことを躊躇していくようになり、出し所を迷うようにもなって前へのフィードに対しても時間がかかるようになった。日本は前へ蹴るタイミングの見極めも迷いのお陰で出来て、蹴る姿勢に入ったタイミングでプレスをかけて精度を落とすこともできていた。フィードで高さ勝負をしなければならなかったが、ショートパスの選択がないために日本はマークに付くのが容易になっていました。

ただ縦のフィードに関しては問題なく止められていたんですが、クロスとなると連続して繰り返されないようにクリアすることが難しく、何度か繰り返されていましたし、デンマークがウイングとサイドバックを連動させてアーリークロスをするようになったことから、サイドバックの方に対してはマークに付ききれず上げさせてしまう。加えてベントナーがボールに触れないことから受けに戻る動きも増えてきた。競り合わせているだけなら問題はなかったんですが、動きながらプレイさせたときが危険で、バイタルエリアの利用をさせてしまいそうになる。中澤や闘莉王が対応に出て行くことでギャップが出来てそこを利用されていればピンチになっていたはずなんですが、デンマークは焦りから利用できていませんでしたし、阿部がきっちりと戻っていて、スペースを与えていない。いい守備も含めて徐々にブロックを固めて、デンマークのサイドバックにクロスを上げさせても対応できるようになっていった。フリーにしていることは危険でしたが、距離が長いために精度はそれほど無く、ボールと高地のお陰でキーパーの前に落とすことは出来ておらず、日本が上手く外にボールを追い出していると見て良さそうでした。

PKとなった判断は納得がいかず、長谷部のプレイをファウルとする必要はなかったように見えましたが、アッガーが上手く倒れた不幸なPKとしかいいようが無く、残り時間や状況を考えると非常によくないものでした。PKを驚くべき事に一度は川島も止めてくれたんですが止めたが残念なことにこぼしたボールを詰められてしまって失点。

デンマークはここぞとばかりにどんどんとボールを入れていくようになり、センターバックから放り込みの形を作り続け、もう前へ向かいながら仕掛ける場面は殆ど無く、延々と競り合い続けていなければなりませんでした。あまりに後方から送られてくるものに対してプレッシャーをかけて精度を落とさせるのは難しく、日本はクリアを拾い、繋いである程度攻め込むことでデンマークを戻させ、再び放り込みにかかる時間を稼ぎ、精度を落とさせるのがやっと、という感じでした。

、それを奪ったり、精度を落とさせるためにプレッシャーを与えるのは難しい。入れられるが、時間が出来れば、クリアから繋いで日本はある程度攻めることでデンマークを戻させることが出来る。繋いでデンマークを戻させ、放り込む精度を落とさせる。それだけでも十分な働きに見えていたんですが、駒野がシュートを放ったり、長友のオーバーラップが見られるなど、守備だけに集中することなく、攻撃に出る姿勢を未だ残していました。そして日本は三点目を取り、その後は守りきるための交代と戦いになっていました。

多少幸運に思えたのは、その後の浮き球が日本の選手の手に当たる場面があったんですが幸運にも取られなかった。PKの判断が悪かったことを考えるとその裏返しのようなもので、問題視すべきものではなかったのかもしれません。

最後は上手く相手陣内でファウルを貰うことで時間を消費し、試合の入り方が嘘のように完勝に近い終わり方をしてくれました。

日本の次の対戦相手は、その前の試合で一位通過を果たしたパラグアイ。

2010 FIFA World Cup Group -F- スロバキア対イタリア

2010 年 6 月 25 日 金曜日

■Slovakia 3 – 2 Italy
イタリアは状況を考えると勝利をしなければトーナメントに進出するのは難しく、ここまでの得点力不足や流れを作れない状況を改善しようとするかのようにディ・ナターレとガットゥーゾを先発をさせていましたが、効果的な働きをしている場面を見ることはあまりありませんでした。

守備の面ではスロバキアが奪ってからの速攻と共に、序盤は様子を伺って後方で回すことも合わせて行っていました。イタリアが前面からチェックを開始してボールを奪いスロバキアを慌てさせてしまおうとしていましたが、それよりも大きくラインを下げることで連動したチェックをさせず、ガットゥーゾもマークをする相手を見つけることが出来ず、遠巻きに相手を見ていることしかできなかった。逆にスロバキアは序盤から守備も素早く仕掛け主導権を握ることに成功していました。
それぞれが運動量を必要とするスピードを上げてのチェックを行い、イタリアはそれに気押されて早くボールを離してしまおうとするばかりでした。
それをフィードとしてイヤキンタが裏へ走ったりセンターバックと競り合いながらボールを落としてマイボールにしようとしているんですが、それも効果的に機能しませんでした。ディ・ナターレが周囲を利用しているもののヘディングを落とせるほどの距離にはおらず、ペペもサイドからくるだけで、跳ね返されたボールを拾える状況にはない。二列目に該当する選手がおらず、もう一枚後ろにガットゥーゾやモントリーボが存在をしても、守備の意識を持っているだけでフィードのこぼれ球を拾うために駆け上がってくる場面は見られなかった。
セカンドボールを奪い直すときには力を発揮することもありましたが、攻撃になったときの戦力とは言い難い状況でした。ガットゥーゾは守備では球際に強くいい守備と運動量からショートカウンターのきっかけになる可能性もありましたが、縦の厚みがない状況では期待できず、せめてサイドバックを高く保てていれば幅を持たせて中央の薄さをごまかせて攻撃に出られていたのかもしれませんが、ラインを高く保って奪うことが出来れば、というだけで実際にその形は作れていませんでした。

高くラインを保とうとすることでスロバキアは後方からのフィードでディフェンダーを裏へ走らせ、カンナバーロの衰えやキエッリーニのスピードの問題を利用しようとしていました。その二人は戻りながら正確にクリアをすることが難しく、スロバキアはこぼれ球を拾える可能性が高い。実際のその二人の対応のまずさからこぼれ球を拾う場面は多々あり、スロバキアはこぼれ球への反応や、狙いとずれたところに来たボールでもきちんと反応をし、それが素早く、イタリアのその反応でも勝てていなかった。

ただのカウンターだけではなく、スロバキアの方は奪ってからセンターバックが上がってきたり、パスをゴール前で繋げるぐらい連動をしているし縦の思い切りがある。しかしイタリアには攻撃と守備の役割分担を守ってリスクを冒そうとしていないように見えました。それぞれが散発的な動きで留めてしまって、中盤後方の三人がまったく試合をコントロールできておらず、上がっていくこともない。三枚が相互にカバーをしながら上がってフォワードの近くにまで接近することも出来ておらず、中長距離のゲームを支配できるようなパスもなく、パスを出せる先もない。それどころか人数が守備の役に立っておらず、フィードに対してもセンターバックに対応をさせてしまって、中盤は何も仕事をしていない。繋ぎに対するチェックぐらいはしているが、それも奪いきる場面は珍しく、スロバキアにかわされて支配されてボールを回されてバイタルエリアへの進入も許している。

構築のミスも多くボールを失いすぎることで周囲の選手、サイドバックは特に安心をしてオーバーラップしていけませんし、センターバックはケアの為にファウルをしなければならない。そういった連続が失点に繋がり、先制点は深い位置でミスをしたことが原因でした。同じようなミスがそこかしこに転がっていて、奪ってから裏へイヤキンタを走らせるだけ。それもスロバキアはイタリアの守備とは違い、戻りながらであってもきちんとクリアをして相手に拾わせませんでしたし、繋ぐことすら出来ていた。

後半になってクアリャレッラと投入したことで前半はペペのサイドに頼りきっりだった状況から多少の変化が見られるようになり、サイドバックを押し上げてサイドアタッカーと連動させようとしていたり、前の人数が一人増えたことからフィードの後を拾える可能性も少し出てきていました。ペペのクロスにもイヤキンタとクアリャレッラとディ・ナターレ、その三人が入って最前線で相手よりも多い、あるいは同数で勝負ができるようになったていました。これまでは落とした先に誰もおらずボールを失っていましたが、フォワードの投入からサイドの利用へと繋がり、ボールを落とすのではなく、最前線で勝負して得点に直結させようとするようになってきていました。

前から追いかけていく人数も増えて、スロバキアに自由な組み立てさせなくはなったり、スロバキアがイタリアの攻撃の人数が増えたことに対応できずに、それまで少ない人数を相手にしていたように不用意に前に出る守備をしてしまっていた裏を使うことは出来ていましたが、得点には結びつけられなかった。不用意な動きが多く見られたその時間にイタリアが得点を出来ていれば状況は大きく変わっていたのかもしれませんが、それもできなかった。

スロバキアはイタリアから攻撃を受けていても前に人数をかけていて、繋ぎ、裏を狙う意識を持ったのは前半そのままに、奪われた瞬間に他の選手が下がるのではなく、奪いに、コースをふさぎに出て行くことで、イタリアに速攻を許さずカウンターに人数が出て行くのを阻止する積極的な守備でイタリアの攻撃にかかる人数を後方に押し下げてしまおうとしていました。徐々にそれは功を奏し始めて、ピルロの投入にもかかわらず、イタリアは後半開始当初は前に人数をかけてフォワードのサポートが出来る位置にまで押し上げられていたものが保てなくなり、再び後方からの組み立てでそれができない状態にまでなってしまっていました。

ペペが個人で奪いに行ったり、仕掛けたり、そういった動きはあったんですが、それで得られるのはクロスやコーナーキックぐらいなもので、大きなパターンを与えるものではありませんでした。ただファーサイドに流れる二人の選手に対してスロバキアは何度も繰り返されてもケアしきることは出来なかった。フリーになることも競ることも出来ていて、決定的なチャンスも作り出せていた。チームとしてその動きを利用できていたとはいえず、その局面での利用に留められていたように見えました。

二点目はコーナーキックからこぼれたところをニアで合わせたものでした。中にいるビテックへのマークをキエッリーニ一人に任せてしまい、それ以外の選手はサイドにボールがあるのに押し上げてスペースを作り、ニアのコースを消す人もいなかった。相手に前に入られたキエッリーニよりもその前を防げなかった守備陣形に問題があったはず。

スロバキアも疲れが見えて奪われた瞬間に奪い返すことが出来なくなってきていましたし、守備もラインを整えたり押し上げたりするのも遅れてしまうようになり、イタリアが攻め込める隙を作ってしまっていましたし、それがクロスへの対応の悪さにも繋がっているようでした。それでもなんとか相手をつかまえてラインを押し上げる意識を保っていたんですが、足が止まって前に向かえず奪いに行けなかったところへ、ダイアゴナルの走りがマークの受け渡しや対応を難しくさせ、ついて行くことが難しくさせ、イタリアにとってはようやくの一点になりました。

イタリアはその後は積極的に攻撃を仕掛け、スロバキアはバイタルエリアを埋められなくなり、ファーサイドを利用されている部分の修正もできず、追加点を奪われる危険があり、実際にオフサイドでゴールにはならなかったもののクアリャレッラに決められてしまっていましたし、その状態で守りきることは難しいように思えていました。もしその後の追加点がなければ突き破られてしまうほど疲労が見えていましたから、イタリアはスローインで時間稼ぎをするという先入観に囚われて中央から人を外してしまったあの得点は大きなものでした。

もう一試合の結果からイタリアは最下位になり敗退。パラグアイが一位通過、この試合で勝利したスロバキアが二位通過。

2010 FIFA World Cup Group -D- ガーナ対ドイツ

2010 年 6 月 24 日 木曜日

■Ghana 0 – 1 Germany
前節退場したクローゼのポジションにはカカウがこれまで通り入り、もう一つ先の試合で失点に繋がる対応をしたバドシュトゥバーがいたポジションにはガーナ代表に兄がいるジェローム・ボアテングが出場をしていました。

ドイツの攻撃は選手が交代した以外はこれまで通りの形で、カカウがセンターバックとサイドバックの間でボールを引き出しに戻る動きを見せてマークを引きつけている間にケディラがそれを追い越して裏へボールを出させる。連動して動けていて、センターバックからシュバインシュタイガーらの中盤へ、そしてポドルスキらサイドアタッカーへ、とそういった関係は悪くなく、停滞して出し所に困る形はあまりありませんでした。
その一つにはガーナの守り方が積極的なプレスから守備を構築するものではなく、前へ収めさせないマークによって成り立っていて、ドイツがパスでボールを動かして受け直し、そういった連続した動きからサイドアタッカーにボールを収めさせてやると、相手は前を押さえようとしてマークやゾーン全体を押し下げて守るために下がってくれる。それがドイツの構築を助けていました。

ドイツは攻撃面でこそスムーズに入れていたんですが、守備は少し危険な対応をしていてピンチを作ってしまっていた。ガーナはあまり人数をかけた攻撃をしていたわけではありませんでしたが、ボールを奪うとサイドバックが上がった裏へ出して走らせ、収められればカウンターにできるやり方をしてきていました。ドイツはサイドバックの裏をケアするためにセンターバックのフリードリッヒやメルテザッカーがサイドに押し出されてしまう。サイドにセンターバックが引き出される状況はセルビア戦での失点に近い形で、中盤が下がってセンターバックが動いた後を埋められればいいんですが、戻ることは出来てもそれができずにサイドバックともう一枚のセンターバックがスライドして中央に入るだけ。

中央から攻撃を受けても守備をしているのはディフェンスラインが主で、中盤が下がってチェックをした後ろのケアだけではなく、センターバックがチェックとカバーの両方をしなければならない。それでも最後尾でギャップを強く作るわけにはいかないんですが、手前で自由に動かせるわけにはいかず、それをしてしまうと自由なタイミングで裏に抜けられてしまう。だからといって奪いにセンターバックが出てしまうと後方へギャップからスペースが出来てしまい利用される。どちらの形でも失点しそうな場面を作ってしまっていました。それに加え、後半にはフィードの対応でギャップを作って失点しそうにもなっていました。

ドイツは受けに戻るのと裏を狙う、その二つの連動は継続できていましたが、ドリブルで持ち上がってしまった場合、近くにサポートをするために近づいてきてくれる選手がいなかったり囮となってコースを作ったり相手を引きつけられる動きをする選手がおらず、足が止まっているだけ。相手の前で繋いで注意を引きつけられていないから、裏へ抜ける動きを警戒されるばかりで、飛び出しが実らないことが多くなっていました。
個人が上手く前を向こうと工夫はしているものの、前を向いてからの展開に乏しく、停滞したキープができていないから、飛び出しを促せない。その上、縦を狙う展開と動きばかりで直線的になってしまい、バイタルエリアを上手く閉じたガーナにコースを作らせてもらえませんでした。

その外側、サイドでボール持っても変化が無く、多少の連動から裏へ飛び出していく選手に合わせてスルーパスを裏へ出せてもその後のサポートが無く、個人の力で打開しなければならない。クロスを上げるにも遠く人数が入っていないために得点にするには余程の精度が必要で、サイドから中への展開が少なかった。
そういった中でミュラーがサイドからマイナス方向であっても横への移動を個人で出来たのは大きく、クロスではなく横の展開でマイナス気味のパスを出せたのはそれまでの形では少なかった効果的な変化でした。得点を焦り縦を狙ってばかりだったものがようやく横に向いた。それがゴールに繋がっていました。

その後はガーナが攻める場面が増え、いくつかピンチを作られてしまっていましたが、ガーナは前に出て行くスピードも裏を狙う動きやパスもなくなってしまい、センターバックに最初から引っ付いてギャップを作ってしまえなくなっていました。追い越していく選手も少なく、運動量を必要とする動きをあまりしなくなり、ドイツは囲い込んで奪えるようにもなりましたし、そこから横の展開を中心としてドイツは無理をせず繋いで相手を動かし、ボールを動かすと同時に上手く時間を使っていました。

ガーナはこの試合には負けていましたが、オーストラリアが後半途中で二点を得ていたことから勝敗が関係なくなりつつあったのはベンチに届いていたようで、それがもしかすると後半の動きの鈍さに繋がっていたんでしょうか。セルビアが一点を返したものの、ガーナは得失点差で二位通過を果たしたわけで、それでよかったんでしょうね。

2010 FIFA World Cup Group -C- スロベニア対イングランド

2010 年 6 月 24 日 木曜日

■Slovenia 0 – 1 England
イングランドのスタート時の対応は攻守どちらも悪く、特に攻撃面はこれまでの試合と大きく変化が無く停滞する気配を含んだものでした。ポストプレイをデフォーに求めてしまい、スロベニアに体を寄せられて簡単に防がれてしまったり、後方からのパスに対して対応できる選手があまりいませんでした。パスを出したあとに飛び出していこうとする選手がおらず、パスを出しては足が止まり、受け手が体を寄せられてしまっているから奪われるリスクを考えて前に出ず奪われた後のことを考えているのか、それともバックパスの収め所として残ろうとしているのか。どちらにしても縦へ向かうスピードをそれによって止めてしまい、序盤に前へ出て行こうとしていたのはアシュリー・コールぐらいだったでしょうか。
カウンターからルーニーに渡り、相手の陣形が整っていないところなら飛び出していけているようでしたが、ポゼッションの段階ではどこで奪われてしまうか解らないからなのか上がっていこうとする動きは少ないままでした。動き直して前に出てディフェンダーの注意を引きつけておくことで奪われにくい環境が作れるのに、それをせずに自ら奪われやすい環境にしているように見えました。

守備はスロベニアのフィードに競って裏へ出されるボールや、カウンターからドリブルで仕掛けられた時の対応がセンターバックに任せっきりになってしまっていました。攻撃に人数をかけて上がっていないのだから、守勢になったら対応する人数が多くてもいいようなものでしたが、中盤の選手がカウンターに割って入り、カバーをセンターバックがする形にはなっていない。そのためセンターバックは抜かれるわけにはいず下がりながら対応をしてドリブルのスピードすら落とせていないこともありました。あるいはフィードに対してもセンターバックが前後の関係になってまず競る選手に対応することが多く、その裏に抜けられる選手がもう一人いるのにセンターバックが出て対応をしていました。もし裏へ出されてしまえば一対一で守備が止めなければならず、ポゼッションの段階でも同じでも同じように後方が三枚になることもあることから、ディフェンスラインの選手間に大きなスペースがあり、そこを使われていれば危険でした。

イングランドは徐々に堅さから解き放たれたのか、選手のオーバーラップが増えて、フォワードの近くに選手をおけるようになっていきました。最初はボールを触らない選手がサイドでキープしている間に中央に上がっていくだけでしたが、フォワードの近くに選手を溜めておくことができるようになった。サイドでキープすることと中央に人が入ることでルーニーが幅広く動くことができるようになり、連動していけるようになっていった。
徐々にパスを出した後上がっていく選手が増えていき、スロベニアがカウンターを出来ないほどに圧縮をしてしまえるようになってセカンドボールを拾って連続して攻撃できるようになり、ボールを失う位置を上げることが出来た。それがパスを出してからでも追い越していけるようになった要素なのかもしれず、サイドを意識させることができるようにもなった。

得点はミルナーのクロスからデフォーが中で合わせたもので、ゴールの前には彼ぐらいしかいなかったものの、ペナルティエリア付近には中盤の選手たちもも上がっており、人数はいました。それがディフェンダーの守備がデフォーに集中することができず、キーパーとディフェンダーとの間に入れる鋭いクロスが、ディフェンダーの処理を難しくさせ、飛び込む側に有利な環境を作り、得点に大きく影響をしていました。
その後もイングランドは相手のディフェンダーとキーパーの間に鋭いボールを入れられるようになり、後ろ向きの守備をさせるようになり、デフォーの飛び出しを強く意識させることで、スロベニアがラインを押し上げて前に向かって守備をし、奪ってそのままカウンターをさせる機会を減らしていけていました。それができているのは、イングランドがきっちりと相手の裏を意識したパスやクロスを出していけるようになったからこそ。お陰でデフォーが躊躇なく裏を狙うことに専念できるようになり、狙ったパスでなくても対応できるようになっていました。

後半は一段と試合展開のスピードが上がって、イングランドにはボールを動かす早さも出てきていました。スロベニアの寄せよりも早く動かすことでチェックを許さなくなってきましたし、横へのドリブルも加えながら左右に動かすことで、ゾーンの受け渡しも上手くさせず、その間にボールを持つ選手へと注意を引きつけさせて裏を狙う。縦の勢いをそのままに持ち上がってスロベニアのディフェンスラインの前で受けることで、スロベニアに前に出させず、勢いのままのドリブルやシュートを警戒させて裏を狙うようでした。あるいは、こぼれ球へスロベニアがラインコントロールをして押し上げるところを裏へ出る。

守備も前から向かい、スロベニアに組み立てをさせないぐらいのスピードで勢いよく向かっていくようになっていました。スロベニアもセットプレイは早くスタートするようにしてカウンターを狙っていましたが、フィードには対応しきれず、相手が競りに来ていないタイミングでもそらしてしまったり、コントロールしようとして出てきたディフェンダーに触られてしまったり、焦りからか状況の判断が上手くできておらず、せっかくのフィードを失う場面が多く見られていました。

その後はイングランドが前に人数をかけずに守りきる姿勢を徐々に出し始めたことからスロベニアが多くボールを前に出せていたんですが、疲れから相手を追いかけてボールを奪い返すことも出来なくなってしまいましたし、繋ぐことにしてもパスの方向と受ける選手の動ける範囲が一致せずにミスになることが多く、最後のパワープレイも、そらすところまでは出来ても、それを信頼して裏へ走ることも、出てから走って追いかけることも出来ない。一度だけ決定的な形を作ることが出来ましたが、それも集中したイングランドの守備に阻まれてキーパーにまでは届かず、徹底した時間稼ぎによってスロベニアは敗れてしまいました。

もう一つの試合でアメリカがロスタイムに得点を取らなければトーナメントに進出できていたはずなんですが、ドノバンのゴールによってそれもなりませんでした。