2010 FIFA World Cup Group -H- スペイン対スイス

■Spain 0 – 1 Swizerland
スペインのシステムはアンカーの前に四枚を並べる形ではなく、シャビ・アロンソとセルヒオ・ブスケツを同列に近い形で扱うようにし、その前に三枚を並べた形でした。ピボーテを担当する二人も含めて、中盤の選手たちは大きくポジションを動かしながらプレイするため固定されたものではなく掴まえにくくなっていました。

スイスはそれを掴まえるために適度なプレッシングと一気にゾーンを押し下げてカバーリングを行うものでした。序盤はあまりプレッシングの方に力を入れず後方にゾーンを作るスペースを埋めることを中心として、スペインが様子を伺いながらその手前でボールを回していた。中盤は大きくポジションを動かしながらキープしパスで動かしていたものの、サイドの攻撃はサイドバックに頼らなければならないほどシルバとイニエスタが中へ入り気味でプレイしまうこともあり、片側に二人が寄ってしまうこともある。起点をサイドの高い位置でできないために前なかなか出せない苦しさがありましたが、イニエスタやシルバがスイスのディフェンスラインと中盤との間に入り込み、半身から前を向きながらボールを受けることが出来ていため、起点をサイドに求めなくても、そこへ出すパスを起点の代わりに出来ていました。

様子を見ている間は後方で回す機会が多かったものの、それを過ぎてからは後方からもボールがスムーズに出ていくようになった。チャビが受けに戻り、中盤で相手のサイドを引きつけてシャビ・アロンソが逆サイドの大きく空いたエリアへセルヒオ・ラモスを走らせるロングパスで展開できているから、スイスが人数を集めてスペースを消していてもその外側を利用出来してしまう。それを何度か繰り返していくことで、パスに対して出て行けず、パスを警戒するあまりドリブルへの反応が遅れてファウルにしてしまう、あるいはマークにつけずにフリーにしてしまう。スペインのパスを出してから受けるための動き直しはよく、スイスの選手の背後を通って隙間に入る、ボールに視線がいっている間にマークから外れて先に動くために掴まえられていませんでした。

焦らされたスイスが耐えられなくなって前から守備をしようと、ボールを受ける選手に対して激しく当たっていくようになっていき、それによって動き直しの範囲の外側で当たられるために少しスペインがボールを失う回数が一時的に増えましたが、それにも慣れてくるとスペインはタッチ数を少なくして、寄せられないスピードでボールを回してプレスに来る意識を削っていき、そしてまたボールの支配率がスペインの方に大きく傾いていっていました。

スペインが多くの時間を攻撃で使用しているために守備は目立ちませんでしたが、二枚で中盤の低い位置を担当していることで、チャレンジのパスを出した後に奪われてカウンターになりそうな場面や跳ね返されたセカンドボールをそのまま中央で拾えるようになっていた。セルヒオ・ブスケツが前に出て行ってもシャビ・アロンソが残っていて、それでもその横を使われそうならカプデビラがバランスを取って中のケアもする。もちろんアタッカーも切り替えの早さから相手に襲いかかることでカウンターをさせず、上手く潰しているし、奪い返してもいる。

支配し続けて押し込み続けたことで徐々にサイドバックの裏を使えるようになり、サイドの深い位置をイニエスタやシルバが使えるようになった。そこにボールを収められることでサイドバックの上がりも到達点が高くなり、クロスを狙っていけるようになった。ビジャはもちろんのことセルヒオ・ブスケツが上がってこれる時間も稼いでヘディングの勝負にもいけるようになりましたし、ディフェンスラインと戦わせて裏を利用してシュートまで持っていけそうになった。前半得点できなかったのは、最後のパスの精度やアイデア、それとペナルティエリアに入る人数の問題、あとはシュートを選択しなかったことが原因でしょうか。

後半になってもサイドバックの外側を利用できる状態は変わっておらず、スイスは中央を固めてそこに出されるのはよしとしているような印象でもありました。しかし、高い位置で起点を作ることで、ドリブルによってサイド方向へセンターバックを向かせられますし集中も集められる。効果的な崩しに繋がっていくはずでした。それも一つのミスによって利用できなくなっていってしまった。
キーパーのベナーリオからのフィードをセルヒオ・ブスケツが抑えられなかったことでスピードに乗ったまま裏への抜け出しとパスを出させてしまい、キーパーの飛び出しも間に合わずピケも追いつけなかった。それまで完璧にフィードをセルヒオ・ラモスやピケやプジョルらが抑えていたのが、彼だけは抑えられなかった。ただセンターバックが対応したのではなくピボーテが対応したのは良かったんですが、抜けてくることを想定とした守りになっていなかったことが失点に繋がってしまいました。

得点によってスイスはより鮮明に中央を固めて守ることでブロックを形成して待ち構えていくようになっていきました。外側を使われても、そこからクロスの形を作られても、中の人数を揃えていることで慌てたような守備をすることはなくなり、それに加えてスペインのフォワードが前半のように動かず、サイドからのクロスを待ち構えてしまうようになったために、スイスとしては掴まえておくことが容易になった。
スペインが守備を固められたその外側から崩せるようなシュートを打てていれば良かったんですが、シャビ・アロンソがゴールマウスに嫌われたシュートを放った部分やイニエスタやヘスス・ナバスが惜しいシュートを放ったそれぐらいなもので、明確にスイスが守備を固めた外側から相手を脅かしてシューターに引き寄せるぐらいのことをしなければならなかったのにそれができなかった。中で待ち構えることを許してしまっていました。

中の人数が足りないことの解消のため途中からフェルナンド・トーレスが投入されていましたが、それは中でクロスを待ち構えようとする状態に拍車をかけてしまい、ボールを出させるための動きを中がしなくなってしまった。人数は足りていてもそれでは体を寄せられてしまい、強さや高さがあるわけではないので競り勝つことは難しい。
ヘスス・ナバスもドリブルは効果的に相手を揺さぶっていましたが、クロスのタイミングを中の選手が掴みづらく、動く邪魔をしていたのかもしれません。上手くセンターバックからボールを引き出せてはいたんですが、彼だけではなく、チャビやシャビ・アロンソがボールを持っても前の動きが足りませんでした。
ペドロにしても前へ人数を溜めてしまうだけで前線に厚みを作ってクロスとそのこぼれ球をシュートする環境を作るにはいたらず、前に人数を増やしすぎてしまったことから、クロスに対して同じ動きをする選手が増えてしまい、マイナス方向のクロスやパスを選択させることが出来なくなった。走り込みながら勢いを持ってジャンプすることも出来ていませんでしたし、あれでは守備を固める相手を突き崩すことはできないでしょうね。

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