■Chile 1 – 2 Spain
序盤はチリの運動量と勢いが試合を支配していて、素早くボールへと寄せて囲い込もうとするだけの運動量を持った守備をしていて、スペインはそれを素早くボールを動かすことで解消しようとしていましたが、チリはボールだけではなく連動して周囲にも守備の人数をかけていたことからそれを奪うことも、ミスにさせてしまう回数も多く、スペインはボールを繋ぐ形は作れていませんでした。
チリはボールを奪ってからすぐにパスをして動かしてしまうのではなく、奪った選手はドリブルで仕掛けながら周囲を押し上げる役割を持ち、パスは連携して崩す手段として利用している。相手をかわすのはあくまでドリブルのようでした。その間に後方から長い距離を走り、ボールを追い越していく。それらにマークが引っ張られてしまえばドリブルで仕掛けられ、放置すればパスを出される。
そうやって奪われる度に仕掛けられるために、スペインのディフェンダーはスピードに乗ったそれを止めなければならず、体を寄せてしまわなければならなかった。ファウルになりやすく、繰り返される縦の勝負に引きずられてラインを下げてしまいがちになり、ペナルティエリア付近に人がたまり、そこでようやくボールを引っかける回数が多くありました。踏みとどまって裏を使われるわけにはいかずしかたのないものでしたが、カウンターをするときに人を前に出せず、フォワードの距離が開いて収めて全体を押し上げることも出来ませんでしたし、前に上がれないことで奪われた時すぐに奪い返してポゼッションを高めていくことができないのも、ここで下げさせられている影響でした。
チリの守備への切り替えも早く、押し上げを許してくれませんでしたし、スペインはパスに頼るあまり、ドリブルでマーカーを引き剥がそうとしたり、相手のゾーンを動かして自分たちが受けられるスペースを作れていませんでした。パスコースに簡単に入られ、チリはボールの周辺に人数も多く、カットされる。センターバックやサイドバックでもゆったりとボールを持たせてもらえず、ピボーテへとのパスも安定して行えませんでしたし、スペインらしさのないロングボールでのクリアのようなパスが多く見られるようになってしまった。ビジャは引き気味に位置してフェルナンド・トーレスが対応に多く出ていましたが、それを収めて押し上げをサポートするタイプではありませんでしたから苦しさがありました。
ただ幸運にも先制点はその形から作られていました。カウンターぁらフェルナンド・トーレスを走らせるパスをだし、それに対応できるチリのディフェンダーは一人だけだった。奪いに出て行ったことで後方の人数が減り、対応できなくなっていたわけですが、競争となっても中のコースは切れていたし、一対一で時間を稼げばチリの方が早く戻れる環境だった。キーパーが出てクリアする必要があったのかどうか解りませんが、飛び出してカットするのならきちんとクリアしなければならなかった。スペインにとっては幸運にもビジャの前にこぼれたことで得点にはなりましたが、あの一連の形を作る前へ走らせるフィードのいくつかは効果的だとは思っていませんでした。
その後もスペインはあまり攻撃に変化をつけられておらず、引いて守る姿が板についてきたぐらいでした。イニエスタぐらいがドリブルによって相手緒動かすことが出来ている程度でしたが、コンディションがよくないのか運動量が少なく仕掛けもあまり多くなかった。出来ているときでも中盤を相手にしているだけで、チリのディフェンスラインは抜かれた後をしっかりフォローできるように待ち構えていて、陣形を崩すほどではありませんでした。カウンターを狙ってもチリのように連動して前へ飛び出していく選手がおらず、それ以前の中盤にボールがある時にもパスコースを作るために動きが足りず、チリがカット出来る範囲でしか動いていなかった。
ようやく高い位置で相手のミスから奪うことが出来たことで二点目を奪えましたが、それをできる環境があるようにはまだなくミスをしてくれたことは幸運でした。ただそこから動きながら相手を引きつけていけたのは大きく、パスではなく選手の動きによってチリの守備を慌てさせることが出来たことが得点へと繋がっていました。
その最中にエストラーダがフェルナンド・トーレスにしたとされるファウルで退場になりましたが、カードが出されるようには見えず、軽く足同士がぶつかっているかもしれない程度にしか見えませんでした。ただそれまでチリは激しくぶつかってカードを出されるファウルを多くしていましたし、それをスペインが利用しようとしていた場面もいくらかありました。そういった意味では、チリが激しくファウルをし続けたことで審判に対して悪い印象を与えていたとも言えるわけで、あの退場も上手く利用されたものだったように見えました。
人数が減ったことから後方にプレッシャーをかけられる場面は減り、中盤までは安定してボールを渡せるようになったし、奪うときも追い越していく選手が減ったことから狙いを絞りやすく奪いやすくなっていた。後半に投入された二人の選手によって活性化されたことで一時的に人数をかけた攻めを再びするようになっていましたが、スペインはラインを上げて囲い込める環境を作ることでそれに対抗しようとしていましたが、連動して出来ていたとは言えず、失点した場面ではプジョルとそれ以外とでギャップが出来てしまい、前を向かせてしまった。それがシュートを打たれる原因になっていました。
スペインは徐々に攻撃時にディフェンスラインを下げて、チェックを受けない環境を作ってピボーテと安定して繋げる環境を作り、守備になるとフォアチェックからミスを誘って奪うようになった。特にフェルナンド・トーレスとセスクとの交代からよりその傾向が強くなり、ポゼッションの出来る環境が作られつつありました。パスを出して受けて、動いて受けて出す。その繰り返しがされるようになったことで、ドリブルを挟まなくてもパスで繋いで前にボールを運び、ディフェンスラインの前にまで到達できるようになった。
前に人数を上げた攻撃をするようになったことでプレスにかける人数も増加して、チリに前へボールを運ばせにくくなり、本来ならスペインが相手を消耗させる戦い方に入る状態だったんですが、チリはプレスもしながらそれに付き合って守備をして、カウンターも継続をしていましたが、流石に状況を突き崩すほどの運動量はもう出せず、それ以上の失点を避けることだけしか選択を出来ませんでした。
ただ勝たなければスイスに追い抜かれてしまうと思われていたチリですが、スイスがホンジュラスから得点を奪えないまま終了をしてしまったことで、チリもーナメントへの進出が決定し、南米勢は一つも敗退することなく、欧州はまた一つ敗退が決まってしまいました。