2010 FIFA World Cup Group -G- ポルトガル対北朝鮮

■Portugal 7 – 0 Korea DPR
前半の序盤に目立ったのは、先発メンバーを変えたポルトガルではなく、北朝鮮の攻撃でした。特に前へ前へという意識を持ったまま繰り出されるカウンターのランニングは大きな勢いを持ち、ポルトガルの中央を破ることはできていませんでしたが、サイドバックの所は脅かしていました。まずはサイドアタッカーがそこで勝負をし、中央ではフォワードが収める。ブラジル戦は情報が無く侮ってくれていたお陰か、センターバックとサイドバックの間に走り込みながら受けることが出来ていましたが、この試合はそれを警戒されて後方から当たられることで中央では受けさせてもらっていませんでした。

ただ繰り返されるその縦の突破を目指す動きと雨が降ってきた芝の中で何本も抜ききらない中で打たれるミドルシュート、それらをポルトガルは嫌がっているようにディフェンスラインを下げていっていました。ミドルシュートは雨に濡れた芝によってキーパーが処理を難しくする可能性がありましたし、浮いた玉でもボールの特性から軌道が変わってしまうかのしれない難しさがある。そういったものを警戒してセンターバックが自分たちの前で押さえておきたがっていて、攻撃時の押し上げを遅らせてしまっていたり、守備に回ったときの中盤との分離に繋がっていました。ディフェンスラインの前に入られてしまうことを考えた守りは、最後尾のラインをフラットにできなくさせてしまい、たくさんのギャップを含んだものにしながら、前へ向かって止めようとしていたために、連動して裏を狙う姿勢を相手に持たれていれば危険なものでした。

ある意味ではそれをしたのは先制点のポルトガルで、北朝鮮が引いて守り、中盤との圧縮をしてスペースが出来ていた。中盤とディフェンダーの関係でいえばポルトガルとは真逆の状態にありましたが、相手を目の前に置いておこうとする姿勢は同じでした。それがディフェンスラインのギャップを作り、前へ守備に向かう選手とそこに出来るスペースを生みだしていました。
ポルトガルは先制点の場面にあったような足が止まった状態から裏を狙うパスはそれまでは少なく、縦から縦へスピードのある状態から狙うことができていたり、ドリブルの時には出来ていましたが、足を止めて一呼吸置くようなタイミングで相手の足も止めさせてから裏を狙ったパスはあまり出せていなかった。それを得点の場面で行ったことで、北朝鮮はランニングする選手に注意を払えず、カバーに向かう選手が出来たスペースをケアするのが遅れていました。
それ以外のポルトガルのボールは、相手の裏へ走る選手へ合わせたボールも距離が長く、精度が求められるもので何度も通せるものではありませんでしたし、長い距離のランニングを行っていてもそれ以外の選手が同じく連動して上がっていくことは難しく、もし通ったとしても中のサポートが得られない孤立したものが多くありました。
それでもそれぞれのウイングはキープ力があり、フェイントにこそ釣られてくれる場面はありませんでしたが、どちらに対しても北朝鮮は迂闊に飛び込んできませんでしたし、それによって時間を稼ぐことは出来ていた。中の上がりを待ってパスをし、相手のディフェンスラインの前で受けて変化をつけたりシュートを放つ場面が多くなり、ポルトガルは北朝鮮の守備を崩すための形を徐々に見つけていっているようでした。

北朝鮮は早くから攻撃に人数を割き、一点を返しに向かいにいったことで、後方の人数を薄くしていました。それに加えサイドでキープされることで引き出されてしまい、中の人数を減らして対応しきれなくなっていった。特にクリスチアーノ・ロナウドを予め掴まえて自由にさせなかった守備はそこにはなく、自由に動かせて自由に受けさせてくれるようになり、そこでの変化も望めるようになった。

北朝鮮の前半はディフェンスラインの前には中盤の選手たちがきっちりと下げてスペースを埋めていた。下がりすぎて意味を成さないほどになっていることもありましたが、スペースを与えることはなく、ポルトガルにシュートに持っていかせないだけの構築は出来ていました。しかし攻撃に出たことで中盤の守備はもうそこにはなく、大きなスペースがディフェンスラインの前にぽっかりと空いてしまうようになっていました。そこを処理しなければならないためにセンターバックは中央で受けるウーゴ・アウメイダに注意を払いディフェンスラインは大きなギャップを常に抱えるようになっていました。

その後の得点には大きくその部分が影響をしていて、相手の前でウーゴ・アウメイダがメインで受けてギャップを作り、相手の意識を引きつけて裏へ出るクリスチアーノ・ロナウドらへパスを出す。飛び出したところからファーサイドへグラウンダーのクロスを入れて、シュートを促す。きっちりとそれらのパターンを理解している選手たちによるもので徹底して繰り返されていく。パターン化されてしまっているだけに、最初の一つが合致すればあとは同じ事を繰り返すことでチャンスになる。

最後の方には流し始めたことと得点を多くの選手が取りたがってしまったことで、前に人数が増えてしまってセンターバック前にあったスペースを自分たちで埋めてしまう場面も見られるようになってしまいましたが、それでもギャップは出来てたままなのだから、入りすぎなければ何度でもシュートに持っていけていましたし、北朝鮮のミスからも得点を出来てしまった。

得点の少ない今大会でこれだけの得点を取れたのは、パターン化できるほどの大きな穴を北朝鮮が塞ごうとしなかったことが一つの要因ででしょうし、それを突けるだけの要素がポルトガルには大きくあった。
クリスチアーノ・ロナウドが得点を取れたことでプレッシャーから解放されて、よりいいプレイを残りの試合で披露してくれるようになればいいですね。そうなればより大会と試合を楽しめるようになるかもしれない。

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