2010 FIFA World Cup Group -E- デンマーク対日本

■Denmark 1 – 3 Japan
日本はこれまでと変わらないメンバーから同じような戦い方で試合に入ろうとしていました。ラインの設定は低く設定していこうとするセンターバックとデンマークに構築をさせないように前から向かおうとする中盤との分離があるのはこれまで通りで、それをデンマークに狙われている節がありました。
トマソンのスタートポジションの変化も日本の戦い方の混乱を生んでいましたし、長友がマークをすべきロンメダールに中に入られたことでポジションが不安定になり誰が誰を抑えるのかはっきりとしていませんでした。デンマークはショートパスと連続した動き、非常に素早い構築で流動的にポジションを動かしながら日本のスペースに入り込んでいく。ディフェンスラインの手前に入りギャップを作ろうとしていましたし、日本はそれをマンマーク気味にして抑えようとして余計にギャップを作ってしまっていた。何とか連続してその形を作らせないようにしようと前から守備をしようとしたことで余計に縦に伸びてしまい、ダイレクトに動かされる環境を作ってしまいました。

デンマークは縦にボールを動かし、それを横や戻すなどして日本の選手を引きつける手段にして、再び縦に出してもう一度動かす。連続して行ってくることで日本が裏へ飛び出されないように対応しようとすることで何度も手前で受けさせてしまう。デンマークはさらにウイングのポジションを低く設定しておくことで、日本のサイドバックがマークのために前に出てくる裏を狙って来ていました。今まではここへ飛び出されていても中澤が右に大きくケアに出ることでサイドバックの裏側を防いでいたんですが、この場面では予めトマソンが中央にいて中澤の注意を引きつけてそこへ予め出られないようにしていた。そして先に飛び出して中澤を対応させることで後手を踏ませる。非常に上手いボールの動かし方と飛び出しの狙いで、日本は大きく攻め込まれて失点してしまう可能性も大きくありました。

ただ本田が長い距離のフリーキックを決めたことでデンマークの戦い方を大きく変えさせ、日本にとっては危険な戦い方をデンマークが選択を出来なくなってしまったことで大きく助けられることになりました。それまでそれまでサイドバックの裏を使っていたトマソンの動きは、デンマークのウイングの位置が高くなり日本のサイドバックとの距離を縮めてポジションを下げさせたことで、流れて裏を狙うだけのスペースを失ってしまい繰り返すことが出来なくなっていました。その代わりアンカーがセンターバックに吸収されて、そこから中盤へと戻る瞬間にディフェンスラインにスペースが出来るところをトマソンに抜け出されるなど、抜け目ない動きは繰り返されていてまだ油断は出来ない攻撃を続けることをデンマークはしてきていました。

日本はチェックとリトリートを交互に繰り返しながらスペースを作らないように上手くポジションを守りながら下がっていこうとしていましたが、序盤はその動きの間にスペースへと入られて混乱を作られてしまっていた。失点以後の攻勢でもシュートの形を満足には作れなかったデンマークは、徐々に焦りから動きが直線的になり、日本が縦のコースを塞ぎ、スペースを埋めて受け止めやすくなっていきました。手前で受けさせて裏を狙うのではなく直接裏へロンメダールを走らせるボールを出したり、一つの作業を省略させるようになってきた。その一つの作業が日本を混乱させていたんですが、それがなくなったことで楽になっていった。

ソーレンセンが本田のフリーキックを警戒するあまり、遠藤が蹴るための空間を壁の裏に大きく空けてくれていたのは非常に幸運で、この大会では珍しく二本ものフリーキックを綺麗に枠の中に飛ばし、決めることが出来た。

二点を得たことでより日本にとっては守りやすくなり、デンマークからは前に向かう推進力が減ってきた印象を受けるていました。引き出す動きに溢れていたものが全くなくなり、ウイングが先にボールを受けて、そこから日本と対峙をしてボールを長い時間持って上がりを待たなければならなくなった。連動して動けず、サイドから時間をかけてボールを動かす。そういうものを受け止める力は日本にはあり、日本のゾーンでの守り方が相手の中盤がボールを持っても前に運ばせず、ゾーンの外側、サイドへと押し出してからクロスを上げさせるなど大きな展開でしか狙えないようにさせていた。
サイドバックの裏を狙われても時間をかけさせることが出来ているようになったお陰で、センターバックが対応のために引き出されることは少なくなり、中盤の長谷部が駒野の裏をケアできるようにもなっていた。トマソンには飛び出しや動き出すことで裏を使うことをさせず、構築の方に参加をさせることでゴールから遠ざけてしまえるようになった。

デンマークのセンターバックや後方には日本の前線がチェックをし、高い位置から奪ってのカウンターも何度か見せ、センターバックがパスで小さく繋ぐことを躊躇していくようになり、出し所を迷うようにもなって前へのフィードに対しても時間がかかるようになった。日本は前へ蹴るタイミングの見極めも迷いのお陰で出来て、蹴る姿勢に入ったタイミングでプレスをかけて精度を落とすこともできていた。フィードで高さ勝負をしなければならなかったが、ショートパスの選択がないために日本はマークに付くのが容易になっていました。

ただ縦のフィードに関しては問題なく止められていたんですが、クロスとなると連続して繰り返されないようにクリアすることが難しく、何度か繰り返されていましたし、デンマークがウイングとサイドバックを連動させてアーリークロスをするようになったことから、サイドバックの方に対してはマークに付ききれず上げさせてしまう。加えてベントナーがボールに触れないことから受けに戻る動きも増えてきた。競り合わせているだけなら問題はなかったんですが、動きながらプレイさせたときが危険で、バイタルエリアの利用をさせてしまいそうになる。中澤や闘莉王が対応に出て行くことでギャップが出来てそこを利用されていればピンチになっていたはずなんですが、デンマークは焦りから利用できていませんでしたし、阿部がきっちりと戻っていて、スペースを与えていない。いい守備も含めて徐々にブロックを固めて、デンマークのサイドバックにクロスを上げさせても対応できるようになっていった。フリーにしていることは危険でしたが、距離が長いために精度はそれほど無く、ボールと高地のお陰でキーパーの前に落とすことは出来ておらず、日本が上手く外にボールを追い出していると見て良さそうでした。

PKとなった判断は納得がいかず、長谷部のプレイをファウルとする必要はなかったように見えましたが、アッガーが上手く倒れた不幸なPKとしかいいようが無く、残り時間や状況を考えると非常によくないものでした。PKを驚くべき事に一度は川島も止めてくれたんですが止めたが残念なことにこぼしたボールを詰められてしまって失点。

デンマークはここぞとばかりにどんどんとボールを入れていくようになり、センターバックから放り込みの形を作り続け、もう前へ向かいながら仕掛ける場面は殆ど無く、延々と競り合い続けていなければなりませんでした。あまりに後方から送られてくるものに対してプレッシャーをかけて精度を落とさせるのは難しく、日本はクリアを拾い、繋いである程度攻め込むことでデンマークを戻させ、再び放り込みにかかる時間を稼ぎ、精度を落とさせるのがやっと、という感じでした。

、それを奪ったり、精度を落とさせるためにプレッシャーを与えるのは難しい。入れられるが、時間が出来れば、クリアから繋いで日本はある程度攻めることでデンマークを戻させることが出来る。繋いでデンマークを戻させ、放り込む精度を落とさせる。それだけでも十分な働きに見えていたんですが、駒野がシュートを放ったり、長友のオーバーラップが見られるなど、守備だけに集中することなく、攻撃に出る姿勢を未だ残していました。そして日本は三点目を取り、その後は守りきるための交代と戦いになっていました。

多少幸運に思えたのは、その後の浮き球が日本の選手の手に当たる場面があったんですが幸運にも取られなかった。PKの判断が悪かったことを考えるとその裏返しのようなもので、問題視すべきものではなかったのかもしれません。

最後は上手く相手陣内でファウルを貰うことで時間を消費し、試合の入り方が嘘のように完勝に近い終わり方をしてくれました。

日本の次の対戦相手は、その前の試合で一位通過を果たしたパラグアイ。

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