2010 FIFA World Cup Group -D- ドイツ対セルビア

■Germany 0 – 1 Serbia
ドイツは第一戦からメンバーの変化が無く、守備の対応も変わっていませんでした。守備のゾーンを中に絞った形で、ディフェンスラインはペナルティエリア付近に配置して中を固めてクロスへの対応を考えている状態。その外側をセルビアが長いパスを使用しながら利用しようとしているが、そこにはサイドアタッカーの二人が戻ってスペースを埋める。戻れない段階で使われてしまえばサイドバックが対応に出るが、すぐにアタッカーが戻ってきて数的有利を作って縦ではなく中を抑える。ただその中に絞った守備はラームの高さとファーサイドに出来る広大なスペースを考えれば不安なもので、セルビアはドイツの左サイドから主に崩しを狙い、クロスは徹底してファーサイドへ流すものを狙っていました。

前半の中盤からドイツがボールを支配し始め、縦パスのコースを中盤が多く切り始めたことでセルビアは縦パスをサイドアタッカーに預けられず、中にポジションを移さなければならなくなりサイドを使えなくなった。ただサイドを使えないことはマイナスでしたが、中央をカウンターの中心に据えたことで、相手の背後をつけるようにはなっていました。中盤のシュバインシュタイガーとケディラはアンカータイプではないために、その背後にあるディフェンスラインとの距離をあまり計算に入れたポジショニングをしない。そのためにスペースが出来やすく、セルビアはそこへドリブルでスピードを上げて入っていくことで、シュバインシュタイガーらの対応を誤らせて背後から追いかけさせる形にする。センターバックのメルテザッカーはジギッチが抑えていて、さらにドリブルで仕掛けるかミドルシュートを狙えばドイツのゴールを脅かせれたはずなんですが、ジギッチにどうしても預けようとするために失敗してチャンスらしい形を作りきるには至りませんでした。

ドイツは守備の切り替えを早くしてフォワードのクローゼを中心としてボールを奪うことが出来ていた。高い位置で奪えればそのままショートカウンターで裏を狙えていたんですが、その際のファウルによってクローゼが退場してしまった。守備の切り替えは上手くしていたんですが、球際が激しく、カードを出しやすい主審だったことも影響しての退場でした。調子自体は悪くなく、クロスに競り勝てていたし、クローゼとしては珍しくストライカーらしいエゴイスティックなプレイもしていた。でもそれが予兆だったのかもしれません。

そして数的不利になって浮き足だったところで、そこまでサイドへ出されるパスコースを切れていたのが出来ていなかった。それまでの中に絞る守備からすればクラシッチを予め掴まえておくことをしていなくても別に変わったことではなかったんですが、課題の一つだったバドシュトゥバーのスピードの無さが裏へ抜けられる要因になった。抜けられてしまうとセンターバックのアルネ・フリードリッヒとしてはカバーに向かわなければならず、中央を空ける原因になってしまった。さらにサイドバックが中に絞っている関係から、ラームとジギッチが当たることになり、メルテザッカーがカバーしなければならなかった。二人のセンターバックが中央を空けてしまえば入り込まれるのは確実で、中盤の選手たちがアンカーが出来る選手なら埋められていたのかもしれませんが、そうではなかったことも失点の要因の一つでした。

ドイツは攻撃からは第一戦のように後方へボールを戻しながら相手を引き出そうとする様子は見られませんでした。セルビアはラインを低く設定して裏へ抜ける動きを警戒しているようでした。低くしてあるそこでスピードを殺して、ラインで掴まえやすくしてしまう。そのままトップスピードに近く裏へ抜け出したとしてもボールをコントロールして中への展開を出来るほどのスペースがない。もちろんセルビアが攻撃をしているときにはそのラインも高く保たれているものの、守備に回ったときに踏みとどまってドイツの攻撃を受け止めようとはせず下がっていく。これによって飛び出そうとするドイツの選手たちを掴まえ、戻りながら対応して抜けさせない。

徐々にドイツは相手を下がらせないように後方でボールを回してセンターバックがボールを扱う回数を増やし、セルビアが前からプレスに来るように仕向けていましたし、セルビアはそれをしても問題ないと判断したようでした。パスもなかなか前へ出させてもらえず、エジル、ポドルスキ、ミュラーらを予め掴まえられて、ボールを出していけなくなっていた。それがセルビアが前から向かっていけるようになった要因かもしれません。
ある程度高くなったことでドイツは裏を狙うフィードの回数が増えていったんですが、パスを繋がせてもらえていませんでしたし、ボールを受けて、パスを出し、そしてボールを受けられる位置に動き直す、その一連の流れが第一戦はスムーズに行えていたのに、この試合ではそれが出せなかった。ポジションの修正が少ないことで、ボールを受けた選手には選択肢を多く与えられず、飛び出していく選手もそれほど多くなく、ディフェンスラインの手前まではランニングからポジションを移してくれる選手は多くいましたが、それより先の背後にまで飛び出していくほどのスペースがなく、そこで止まりやすく、上がると背後から抑えられる。
どうしても足下で受けたがる選手が多くなり、パスを出す選手はスペースを狙ったものが多くなる。二つのギャップで繋がらない時間帯が多くありましたし、相手に掴まえられている時間も多かった。それでも後半の途中から修正できていたのは好材料で、徐々に距離の長いスルーパスをセルビアの高くなったラインの裏を狙うようになった。シュバインシュタイガーやポドルスキが上手い飛び出しをしてチャンスできていましたし、裏を意識させることに成功したお陰で、それまで背後を抑えられて振り向くことが出来なかったエジルを前へ向かせることに成功した。他の選手にしてもセルビアは高い位置で相手を掴まえられなくなり、サイドバックの裏を中心として攻められるようになった。

ドイツにとってはこの時間帯が一番のチャンスだったかもしれません。セルビアの選手はドイツの選手、エジルやポドルスキを中心に止められなくなり、裏や自分たちの手前で安定してボールを収めさせてしまうようになった。その影響からクロスを上げさせ、ビディッチがハンドをしてしまい、PKを得ることもできた。それ以前にもチャンスはありましたし、決めるべき部分もあった。しかしPKすら決めることが出来ず、これが試合の流れを決定付けてしまいましたね。

セルビアがランニングの距離を長くし、ドイツの裏を取ろうとするようになりましたし、ドイツはフォワードがいなくなったことでラインを押し上げて中盤を飛び出させなければならなず、その裏を狙われるようになった。センターバックは後方へのボールを意識してポジションを一歩目の動き出しをしなければならないのに、それに加えてドリブルで仕掛けられる。非常に苦労をする部分でしたが、そこで追加点を取られなかったのは大きかったのかもしれませんが、攻撃面ではもう手がなくなりつつありました。

ドイツはそれまではセルビアが出てきていたことでロングスルーパスを利用しながらのチャンスを得ていましたが、多くを引かせて守られるようになったことでそれも狙えなくなり、数をかけて仕掛けなければ崩せなくなった。スタミナの残量から追い越していく選手はいなくなり、途中交代で入った選手にしても、カカウがクローゼがしていたような仕事をやっているものの、他は連動できませんでしたし、マリオ・ゴメスにしても起点となる動きはできなかった。前にたまってボールを受ける選手ばかりで飛び出していく動きは期待できず、パワープレイを選択するような布陣になってもクロスすら入れらず、ゴールを脅かすことなく試合終了を待たなければなりませんでした。

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