2010 FIFA World Cup Group -B- アルゼンチン対ナイジェリア

■Argentina 1 – 0 Nigeria
注目されたメッシのポジションは2トップの下に入っていると言ってよく、フォワードよりは引き気味でスタートをしていました。中央に固定されているのではなく、左右に流れたり、ボールを受けに戻るなど、ある程度の自由を与えられていました。
それ以外のポジションに関することではホナス・グティエレスを右サイドバックで起用されたことでしょうか。本来は運動量豊富で粘り強いサイドアタッカーとしてプレすることの多い彼を右のサイドバックに持ってきたことで両サイドを攻撃的にし、2トップにした外側を利用する意図があるようでした。実際にポジションを高く保ち、左のエインセも序盤は大きくオーバーラップをしていましたから、2バックのような印象を受けるほどでした。ただ問題としてその部分は大きく、カウンターになったときに使われるサイドバックの裏にサムエルやデミケリスが注意を払わなければなりませんでしたし、サイドをドリブルで進入されたときのホナス・グティエレスの対応、クロスを上げさせないための利き足を切る動きが出来ていませんでしたし、逆サイドからのクロスの時にはファーサイドを大きく空けてしまってクリアし損ねる場面も目立ち、危険な要素は大きくありました。

最初のコーナーキックから先制点を得たことでアルゼンチンが主導権を握り試合を動かしていくようになり、大きく繰り返されるポジションチェンジは序盤は特に効果的に機能して相手を混乱させていました。特にメッシとテベスが相手のディフェンスラインの手前でボールを受けられるように動くことで、中盤の裏側に入り込み、そこでボールを受け、チェックを背中から受けるようにコントロールしていましたし、センターバックが寄せるよりも早く前を向いてキープできる環境を作り上げる。徐々にナイジェリアもそれに対応しようとメッシの近くに選手を配置し、中盤を下げてスペースを消すよう努力をしていましたが、そうしてしまうことで今度はベロンやマスケラーノらにプレッシャーがかからなくなり、ボールをコントロールして隙間を見つけられるまでキープをしていくことが出来る。特にナイジェリアがペースを掴みかけたときには、パスを前後に動かしながら揺さぶり続ける。そうやってボールを交換しながら様子をうかがい、自分たちのペースを無理矢理作り、メッシらが選手の間に入り込んでボールを受けられる環境が整うまで回す。前半途中からはそれほど活発にポジションチェンジをしなくなったこともあって、ナイジェリアが選手をみている部分に掴まえられ、メッシがスペースで受けられず下がってくる、テベスが隙間で受けられずボールに関与できない、イグアインがプレッシングでも中盤での構築でもミスをして足を引っ張っている。そうなるとベロンがボールを触ってコントロールできず、前に上がってもボールを触れない。それがきっちりとできていればドリブルで突破も出来、シュートまで持っていけるわけでスペースを作り、そこへ入り込む動きを徹底させたいところですね。

守備でのフィジカルコンタクト

ナイジェリアは後半になって守備で前に出てくることが多くなり、センターバックや後方でじっくりと持ってボールを回させてくれる時間は減ってきていました。流石にリードされている環境でじっくりと回させることはできないわけですが、それをやってしまうと、中盤が前に出てしまい、ディフェンスラインとの距離が開いてメッシをその中間で受けさせてドリブルを開始させてしまう。
だがボールをキープされたときのナイジェリアの下がり方、スペースの消し方は前半よりも強くなり、メッシがナイジェリアの圧縮された中盤の手前でボールを受ける回数が増えてボールを捌いて左右へ展開する、あるいは自分でドリブルで仕掛けることもできる。それでも固められたところに何度も突っ込むことは難しく、そこを省略して裏へ出そうとするパスも増えてしまい、時間が経過していくと徐々にオフ・ザ・ボールの動きが少なくなっていき、それぞれが前にスペースを持っていてもドリブルで仕掛けたりパスを出させるためのランニングをすることがなく、メッシがボールを多く触り、多く相手を引きつけても効果的な攻撃の構築があまり見られませんでした。

前半ほど守備の不安がアルゼンチンに見られないのはナイジェリアの攻撃が多少の焦りと共に行われているからでしょうか。マルティンスとオデムウィンギーのスピードのある二人を投入してカウンターを行っても、それらが選手とボールを引っ張っていっても厚みを生み出すことが難しく、縦の鋭さを持ってしても横の連動が得られず、コースを切られてしまった後の選択肢を得られない。そのためにスローダウンしていったん中へ戻してしまうとミドルシュートを選択してしまってせっかくのボールを失ってしまう。終了間際になって横のパスから決定的な形を作れるようになったんですが、そこを決めるまでには至らなかった。

エニュアマの好守がなければ、あるいはメッシとイグアインのシュートが決まっていればもっと一方的な試合になったのかもしれませんが、アルゼンチンの不思議な無秩序な試合構築とか守備ゾーンの分担の不明確さとか、普通とは違う形で面白い試合でした。
ちらちらと映る緑色のレーザーポインターの光りは気になりました。外部からの妨害行為だとすれば非常によくないですね、あれは。

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