2010 FIFA World Cup Group -A- 南アフリカ対メキシコ

■South Africa 1 – 1 Mexico
序盤の南アフリカは非常に硬くなってしまっていて、守備の状態にそれが顕著に表れていました。守備時は4-4-2の中盤のラインをフラットにした形で、その後ろにディフェンスラインが設定されている。二つのラインの間にはスペースが空いており、それが統率されているようには見られず、中盤の守り方にしてもスタイルとして普遍的なゾーンディフェンスの形で、ボールサイドに人が多くかかり逆サイドには大きなスペースがある。メキシコがゆったりと回しながら近い距離でのサポートを得、その人数を集めてしまえる戦い方をしていましたから、よりゾーンが片側に寄せられてしまっている印象がありました。
マークに関してもコースを切ることも奪いに行くことも不徹底で、多くの選手はパスを回すメキシコにつられてボールに視線を移してしまい、人を見ておらず、パスの後の動き直しによってスペースへ進入する動きに対してついていかず、ボールに寄せてしまい、前へ進入するだけの状態を作ってしまっていました。
メキシコはセンターバックであってもボールの扱いに長けていることと南アフリカからプレッシャーを強く受けないこともあって、バックパスを利用しながら後方から組み立てることもできていました。その間に相手のゾーンを寄せてしまったり、相手の視線を集めてフリーになれるエリアを作ってそこへボールを入れる。直接裏へ出して得点を狙うパスは出していませんでしたが、大きなサイドチェンジも見せようとしていましたし、主導権はメキシコにありました。

南アフリカは15分を過ぎてからは少しずつ安定を得られるようになり攻撃に出られるようになったものの、後方に押し込まれて守備に集中しなければならなかった時間帯の多さから、前後の分離が大きく後方からの押し上げが間に合っていませんでした。さらに縦パスを入れることが出来たとしてもフォワードはメキシコのセンターバックによって掴まえられている。あるいはポジションを動かしながらパスを回しても縦の意識が強く横のサポートが足りない。後方に戻してからの再展開もコースが限られてしまいメキシコに守備の時間を与えてしまっているようなものでした。
ただそれはメキシコのディフェンスラインを下げる役には立ち、中盤との距離を広げることができるようになった。カウンターによってメキシコはディフェンスラインを下げられ、サイドを制圧するためにサイドバックを高く上げている。そしてマルケスがそのケアのためにディフェンスラインに入っていることで中盤が存在しづらく、守備に厚みを作ることが出来ていない。その手前側を利用されてキープをされてしまう回数が増え、そしてメキシコはまたラインを下げざるを得なかった。
ラインを下げてしまえばメキシコはそれまで行っていた近い距離を保ったサポートによるパス回しが出来なくなり、相手を片側に寄せてスペースを作り出すことも難しくなっていく。時間をかけてもディフェンスラインを一定以上に保つことは難しく、パスの距離が伸びてしまい、縦パスのミスが増え、それを収める選手マークがついてしまいカットされやすくなる。カットされた後に連動して奪い返そうとしているものの、それがあまりに奪う意識が強いものでありすぎて、攻撃を遅らせる事が出来ず、逆に自ら動いてパスコースやドリブルのコースを作ってしまっているかのようでした。
コースさえ出来てしまえば、厚みのないディフェンスラインとそこに出来たスペースへ南アフリカの選手たちがスピードを上げて後方から入ってくるのは難しくなく、形勢は逆転しメキシコが後手を踏んで選手を掴まえられなくなってしまった。

後半になると南アフリカの変化は守備時にも大きく現れ、前半はボールを見てしまうことが多く、動き直した選手をフリーにさせてしまってたっての利用を容易くしていた。それが人を見て掴まえておくようになり、パスを出した後の動き直しだけで容易に作れていたパスコースがメキシコには作れなくなり、ボールを持たされている状態が強く表れているようになっていました。
そのため前半よりもより明確にある程度距離のある縦パスを利用して最後尾からの展開を図らなければならなくなり、それは難しい選択でした。フォワードに預ける形が多くなり、前を向けるパスではない。中盤とディフェンスラインの間でボールを受けられればそれでも問題なかったんですが、きっちりとフォワードにはセンターバックがついて対応していましたし、中盤から一人がそのスペースを埋めるようにポジションを取るようになっていた。そうなるとミスやカットからカウンターを受ける回数は多くなり、先制点を与えた場面でもその形からカットされてカウンター、そして裏へ抜け出されての失点でした。

得点によってプレッシャーから解放されたのか南アフリカは守備をゾーンでスペースを埋めてパスの先を抑えるものだったのが、それがボールを奪いにアタックに向かうようになった。積極的になったこともそうですが、メキシコがペースを上げて点を取るための動きをするようになり、パスを後方で回す回数を減らしたからこそ奪いやすくなったのもありますが、そういった積極的な動きも長くは続きませんでした。むしろそのプレッシャーから解放されたことが守備面においては悪影響で、チェックによってボールを奪いに向かえている間は良かったんですが、それが出来なくなってくるとまたゾーンディフェンスでボールを見てしまうようになり、人を掴まえて置けなくなった。縦パスを掴まえておくことでボールを奪えていたのが、人を掴まえていられなくなりメキシコが安定して収めてポストプレイが出来るようになってきた。

同点に追いつかれた場面はコーナーキックからの流れでしたが、それをアーリークロスでファーサイドのマルケスまで届くまでに南アフリカの選手たちはファーサイドに残っていた三人に対して注意を払えておらず、ボールに目が行ってしまっていて人を見ていないようでした。

他にもいくつか惜しいチャンスはあったものの目立ったのはメキシコの大きなパスミス。サイドチェンジやフィードのパスがことごとく長くタッチラインを割ってしまうばかりで成功した回数の方が少ないような印象でした。後半途中からは大事にボールを扱って展開しようとするためかフィードすら躊躇っているような姿が見られるようになり、少し窮屈そうでもありました。

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