■Spain 1 – 0 Portugal
スペインはいつも通りにポゼッションを高めてボールをキープしながら左右へと動かし、相手のゾーンを動かしながら前へと進めていく。立ち上がりのポルトガルの守備は甘く、受ける姿勢だけが出てしまい、選手と選手の間に招き入れてしまっていました。それほどスペインが運動量を多く活発に動いているわけではないんですが、ゾーンの形勢を優先してマークよりもポジションの維持をしているかのように不安定なものでした。
ただ攻撃面ではスペインのフォアチェックをかいくぐるためのプレイはいくつかしていた。フィードを中心としてウーゴ・アウメイダやクリスチアーノ・ロナウドといったところを走らせようとするもので、裏へ抜けさせてプレッシングにかからないように走らせていた。センターバックの所から出されるそれを掴みきることは難しく、その後はダイレクトでパスを動かされてかいくぐられてカウンターをプレッシングによって出来た裏側のスペースへの利用を通じてしてくる。その一連のプレイはスピードを活かそうとしたもので、前へ向かう守備から受け止めることが出来ず、後ろに下がった選手がそれでも戻りながら対応しなければならないほど前へ仕掛けられていましたし、クロスも多く入れられてしまった。サイドを多く使われてサイドバックが高い位置を取りづらくさせられていましたが、まだそれほど危険なプレイはされていなかった。
スペインは押し込まれてもそこから一気にクリアしてしまうようなことはせず、パスを繋いで全体をどんどんと押し上げて元の位置にまで戻ってしまえていた。パスだけで足が止まってしまうようなことはなく、キープの時間が長くても仕掛けをしながらパスのタイミングを探していたり、パスを出して前へ動き直して人数を溜めていく。パスとドリブルの二つと、それと中への人数があるお陰でいくつかのシュートを打つことまで持っていけていましたし、バランスとしては良い状態でした。
ポゼッションから前へ運ぶ場合には、左のタッチライン際にビジャが開くことで、高くワイドな位置に起点を作って相手を広げようとしていました。中央でパスを回してしまうだけになることが多かったグループリーグとは違う展開で、相手に中央を固めさせず、引き出そうとすることで中央にスペースを作って切れ込んでの展開を狙えるようにしていました。
しかしポルトガルも緩やかな守備をいつまでも続けているわけではなく、徐々に中のイニエスタやチャビに対してマークに行くようになり、守備がポジションを重視したものから人を掴まえようとするように動き、ポルトガルからはエンジンがかかったような印象を受けましたが、囲い込んで奪い、カウンターをするにはいたらず、スペインの上手さが上回っているようでもありました。
ポルトガルが積極的な守備から攻撃に出ようとしてくれたお陰で、スペインのボールの奪われる位置がプレスをかけられる一になりましたし、フィード一つ出浦へ抜けようとする回数を減らして、中央に一度収めてからサイドや縦の展開を狙うようになったことでスペインのプレスの網にかかる回数が増えていった。ポルトガルは中央に一回当てて置くことでスペインの守備がサイドに出ようとしているところを中央に集め、そしてまたサイドを利用しようとしているかのようでありましたが、サイドを警戒するあまり中央を使わせてしまい、その点ではポルトガルの思い通りでした。
スペインは一時的に押し込まれることになって全体が下がってしまっていましたが、あまりこれが攻撃に響くことはなく、問題でもありませんでした。ボールをピボーテが受けてサイドバックと連動して横に動かしながら逆サイドへ運んび、スペースが作られていたそこを縦に利用する。縦のドリブルが相手を押し下げて前を塞がれてしまうと、中でパスを受ける。中央とサイドのポジションのバランスがよく、ボールをよく動かせていましたし、チャビやイニエスタがバイタルエリアで受けようとして、利用も出来ていました。
ただドリブルだけがスペインには足りておらず、ポルトガルが引いて守ってカウンターのスタイルを徹底し始めたことで崩しきることが難しくなり、徐々にブロックの外側や手前を利用しなければならなくなっていましたし、バイタルエリアも消されて利用できなかった。バルセロナのやり方に近くするのであれば、停滞してきた状況ではどこかでメッシがするようなドリブルでの変化と相手を引きつける動きを期待しなければなりませんでしたが、セルヒオ・ラモスやフェルナンド・トーレス、ビジャも縦への突破を狙おうとするものの、横へスライドして相手の視線を引きつけるような動きを出来る選手はいませんでしたし、奪われやすくカウンターの原因になりかねないそれを抑え気味にしているようでもありました。
後半になるとカプデビラがオーバーラップをして、左側も積極的に利用できるようになっていました。それまではビジャが起点となるだけでしたが、連携をすることでサイドでの縦の利用がクロスを入れられる可能性を広げていました。クロス自体に合わせるにはフェルナンド・トーレス一人では難しさがありましたが、サイドへ意識をつくよくさせることで中央にチャビやイニエスタが入って利用をできるだけの余裕を与えていました。
状況が変わったのはフェルナンド・ジョレンテが投入されてからで、ジョレンテの高さと中央でのポジション、最初のアーリークロスを合わせたプレイが強い印象となって残っているようで、クロスを警戒させるようになり、サイドから中への切れ込みへの反応を遅らせていけるようにもなっていました。サイドからのボールだけではなく、中央に縦パスを入れるときでも裏へ直接狙わなければならないのではなく、センターバックと競りながら体を張って収めてくれる。お陰でディフェンダーはカットに向かえず、体で押さえていることもあってポストプレイをしなくても中盤の選手がセンターバックからのチェックにさらされずにプレイをできる。得点の時のイニエスタとの連携も同じようなもので、あの体を張る姿勢があるからこそ展開の変化をつけられる。いいポストプレイでした。
得点を取ってしまえばあとはスペインは自分たちのボール回しをすることで十分な展開にすることが出来、ポルトガルが待ち構えるのではなく追いかけまわさなければならなくなっていましたが、押し込まれてしまってもスペインは最後にはジョレンテへのフィードで逃げる選択肢を得たことで楽に逃げられるようになっていました。センターバックやピボーテにもポルトガルのチェックを受けるようになっていましたが、ミスは多くなっているものの支配していることに変わりはありませんでした。逆サイドのサイドバックの上がりは少なくなって展開の幅は狭まりましたが、チャビが前後左右に動いてボールを引き出して回ることでポルトガルは全く奪えませんでしたし、スペインが体勢を整えていくことが出来た。
ポルトガルは奪いに行けばファウルにされてしまい、奪うことが出来ず再びスペインボールにしてしまう。奪いに行けば奪った後のスペースを利用される。ミスを誘ってもなかなかミスはせず、仕掛けていかなければ奪えない。苛立ったプレイが多くなってチェックは単調になってより奪いづらくさせていましたが、終了間際にはようやくポルトガルの時間を作ることが出来ていた。アーリークロスから何度もペナルティエリア内でのプレイの可能性があり、多くのチャンスをこの形から作れそうな気配がありましたが、リカルド・コスタが肘打ちをしたらしくレッドカードで退場になってしまったことで、その勢いも途切れてしまいました。